JP2019189841A - 疎水変性セルロース繊維及び有機媒体を有する膜 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物、並びに有機媒体を有する膜。
(X)エステル基、アミド基、ウレタン基、イミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する縮重合系高分子
(Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子
〔2〕 前記〔1〕に記載の膜を有する成形体。
〔3〕 セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維、前記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物、並びに有機媒体を含有する分散体を調製する工程1、及び工程1で調製された分散体を成形体に塗布する工程2、を有する、成形体への膜の形成方法。
〔4〕 セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維、前記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物、並びに有機媒体を含有する膜用分散体。
本発明における疎水変性セルロース繊維とは、セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなるものであり、有機媒体に分散性を示すものであればよい。有機媒体に対して分散性を有するとは、例えば、有機媒体と対象の疎水変性セルロース繊維との混合液の粘度をE型粘度計(25℃、1rpm、1分後、標準コーンロータ、ロータコード:01)を用いて測定した場合、増粘が観測されることをいう。例えば、本発明における疎水変性セルロース繊維としては、有機媒体の代表例としてスクアラン中にセルロース繊維の濃度を0.5質量%になるように調製した液の微細化処理後の分散液粘度が50mPa・s以上になるものが好ましい。なお、微細化処理は、後述の方法により行うことができる。
原料のセルロース繊維としては、環境面から好ましくは天然セルロース繊維であり、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、セルロース繊維としては、有機媒体の流動物への移行抑制の観点から、好ましくは、カルボキシ基を有するセルロース繊維(以下、酸化セルロース繊維ともいう。)であり、セルロース繊維を酸化することにより得ることができる。
酸化セルロース繊維は、例えば、触媒として2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を使用し、更に次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、臭化ナトリウム等の臭化物を併用して酸化する方法が適用できる。より詳細には、特開2011−140632号公報に記載の方法を参照することができ、更に、追酸化処理又は還元処理を行うことで、アルデヒドを除去した酸化セルロース繊維として調製することができる。
酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量としては、修飾基導入の観点から、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.4mmol/g以上、更に好ましくは0.6mmol/g以上、更に好ましくは0.8mmol/g以上である。また、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、更に好ましくは1.8mmol/g以下である。なお、「カルボキシ基含有量」とは、疎水変性セルロース繊維又は酸化セルロース繊維を構成するセルロース中のカルボキシ基の総量を意味し、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。
本明細書において、疎水変性セルロース繊維における修飾基の結合とは、セルロース繊維表面のカルボキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の基に、好ましくはカルボキシ基に、修飾基がイオン結合及び/又は共有結合している状態のことを意味する。カルボキシ基への結合様式としては、イオン結合、共有結合が挙げられる。ここでの共有結合としては、例えば、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合が挙げられ、なかでも、有機媒体の流動物への移行抑制の観点から、好ましくはアミド結合である。また、水酸基への結合様式としては、共有結合が挙げられ、具体的には、エステル結合;カルボキシメチル化、カルボキシエチル化などのエーテル結合;ウレタン結合が挙げられる。有機媒体の流動物への移行抑制の観点から、本発明における疎水変性セルロース繊維としては、セルロース繊維表面に既に存在するカルボキシ基に、修飾基を導入するための化合物をイオン結合及び/又はアミド結合させることにより得られるものが好ましい。
修飾基を導入するための化合物としては、後述の修飾基を導入可能なものであればよく、結合様式によって、例えば、以下のものを用いることができる。イオン結合の場合は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物のいずれでもよい。これらの中では、分散性の観点から、好ましくは、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物である。また、前記のアンモニウム化合物やホスホニウム化合物の陰イオン成分としては、反応性の観点から、好ましくは、塩素イオンや臭素イオンなどのハロゲンイオン、硫酸水素イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェイトイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヒドロキシイオンが挙げられ、より好ましくは、ヒドロキシイオンが挙げられる。共有結合の場合は置換される官能基によって以下のものを用いることができる。
炭化水素基としては、例えば、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が挙げられ、副反応を抑制する観点及び安定性の観点から、鎖式飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基であることが好ましい。
アミノ変性シリコーン化合物としては、25℃での動粘度が10〜20,000mm2/s、アミノ当量400〜8,000g/molのアミノ変性シリコーン化合物が好ましいものとして挙げられる。
−C3H6−NH2
−C3H6−NH−C2H4−NH2
−C3H6−NH−[C2H4−NH]e−C2H4−NH2
−C3H6−NH(CH3)
−C3H6−NH−C2H4−NH(CH3)
−C3H6−NH−[C2H4−NH]f−C2H4−NH(CH3)
−C3H6−N(CH3)2
−C3H6−N(CH3)−C2H4−N(CH3)2
−C3H6−N(CH3)−[C2H4−N(CH3)]g−C2H4−N(CH3)2
−C3H6−NH−cyclo-C5H11
(ここで、e、f、gは、それぞれ1〜30の数である。)
H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2 (a2)
本発明で用いられるセルロース繊維は、前記したセルロース繊維に修飾基を導入できるのであれば、特に限定なく公知の方法に従って製造することができる。なお、ここでいうセルロース繊維は、公知の方法、例えば、特開2011−140632号公報に記載の酸化反応工程の説明を参照して得られた酸化セルロース繊維として、あるいは、更に、追酸化処理又は還元処理を行うことで、アルデヒドを除去した酸化セルロース繊維として調製することができる。
〔態様A〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程
工程(2A):工程(1)で得られた酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とを混合する工程
〔態様B〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程
工程(2B):工程(1)で得られた酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とをアミド化反応させる工程
本工程においては、天然セルロース繊維に対して、例えば、特開2015−143336号に記載の酸化処理工程(例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を用いた酸化処理)及び精製工程(必要により)を行なうことで、カルボキシ基含有量が好ましくは0.1mmol/g以上の酸化セルロース繊維が得られる。
本工程は、酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とを溶媒中で混合することにより実施され、例えば、特開2015−143336号の工程(B)に記載の方法を参照して実施することができる。なお、特開2015−143336号の工程(B)における「EO/PO共重合部を有するアミン」は、本発明の工程(2A)における「修飾基を導入するための化合物」に該当する。
本工程においては、酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とを縮合剤の存在下で混合し、酸化セルロース繊維に含有されるカルボキシ基と、修飾基を導入するための化合物のアミノ基とを縮合反応させてアミド結合を形成する。例えば、特開2015−143337号の工程(B)に記載の方法を参照して実施することができる。なお、特開2015−143337号の工程(B)における「EO/PO共重合部又はPO重合部を有するアミン」は、本発明の工程(2B)における「修飾基を導入するための化合物」に該当する。
本工程は、前工程で得られた酸化セルロース繊維(又は修飾基が導入された酸化セルロース繊維)を微細化する工程であり、微細な酸化セルロース繊維が得られる。微細化工程では、精製工程を経た酸化セルロース繊維を溶媒中に分散させ、微細化処理を行うことが好ましい。具体的には、特開2013−151661号の微細化工程の説明を参照して実施することができる。
本発明の膜を構成する高分子化合物は、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物であり、有機媒体の流動物への移行抑制及び膜の耐久性の観点から、(X)の高分子化合物が好ましい。
(X)エステル基、アミド基、ウレタン基、イミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する縮重合系高分子
(Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子
(a)ポリアミド化合物
(b)ポリアルキレンイミン化合物
ポリアミド化合物としては、セルロース構造を有さず、かつ、アミド結合(−CONH−)を有する高分子化合物であれば、いかなる化学構造を有するポリアミド化合物を使用することもできる。ポリアミド化合物は、例えば、主として脂肪族骨格からなるナイロンであってもよいし、主として芳香族骨格をもつアラミドであってもよい。更にはこの両者以外の骨格構造を有するものでもよい。一方で好適に用いられる構造体としては、ジアミンと、モノカルボン酸、ジカルボン酸及び重合脂肪酸からなる群より選択される1種以上のカルボン酸とからなるポリアミドが挙げられる。
本発明に用いられるモノカルボン酸は、有機媒体の移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは炭素数8以上24以下のものであり、より好ましくは炭素数10以上22以下のものであり、更に好ましくは炭素数12以上18以下のものである。
ポリアルキレンイミン化合物とは、主鎖がアルキレン基とアミノ基からなる繰返し単位であり、下記式(A)及び/又は式(B)の構造の繰返し単位を有する高分子化合物である。
本発明で用いる有機媒体は、親水性でも疎水性でも良いが、有機媒体の移行性及び膜の耐久性の観点から、疎水性のもの、例えばSP値が10以下のものが好ましい。
本発明の膜は、特定の疎水変性セルロース繊維、特定の高分子化合物及び有機媒体を含有する。ここで膜とは、室温で流動せずに形状を保持する膜をいう。
膜の表面硬度としては、例えば、微小硬度計で測定した場合、下記式により算出されるマルテンス硬さ(HM)が0.1(N/mm2)以上の膜が好ましい。具体的には、後述の実施例に記載の方法により膜のマルテンス硬さが測定される。
HM=F/(26.43×hmax2)
F:試験力(N)
hmax:押し込み深さの最大値(mm)
本発明の膜は、前述の成分に加えて、本発明の効果を損なわない任意成分、例えば、公知の抗菌剤、静菌剤、防かび剤、生物付着防止剤及び/又は界面活性剤等を含んでいてもよい。膜におけるこれらの任意成分の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜選択することができる。例えば、膜中の好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。任意成分が2種以上の場合、任意成分の量は各任意成分の合計量である。
本発明における流動物とは、後述に定義される「成形体」に接触し得る流動性を示す物体、例えば化粧品においては容器内に保持される化粧料そのもの、食品においてはトレイ上の食品そのもの又は樹脂フィルムでラッピングされる食品そのもの、輸送用パイプにおいては、パイプ内を輸送される液状物、粉体又はガス、船底においては船底に接触し得る水や海水、医療機器や不織布においては血液、及び電線においては電線に接触し得る雨水や雪等、さらには流動性を示す汚れである。成形体表面に流動物が付着したままの状態が続くと、商品の外観が見劣りするだけでなく、パイプ等の詰まり、船の燃費の悪化、電線の切断といった悪影響が生じ得る。本発明の効果が発現し易い観点から、流動物の粘度は、例えば室温程度で液体のものの場合、好ましくは0.1mPa・s以上、より好ましくは0.5mPa・s以上、更に好ましくは0.8mPa・s以上であり、同様の観点から、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは80,000mPa・s以下、更に好ましくは50,000mPa・s以下である。なお、このような液体の流動物の粘度は、E型粘度計(25℃、1rpm、1分後、標準コーンロータ、ロータコード:01)により測定することができる。
本発明の成形体への膜の形成方法とは、疎水変性セルロース繊維、高分子化合物及び有機媒体を含有する分散体を調製する工程1、及び工程1で調製された分散体を成形体に塗布する工程2を有するものである。
疎水変性セルロース繊維、高分子化合物及び有機媒体を含有する分散体は、これらの成分と溶媒とを混合することにより調製することができる。
工程1で得られた分散体を、固体表面を有する成形体に塗布する。塗布の方法としては、例えば、アプリケーター、バーコーダー、スピンコーター等を使用して塗布する方法が挙げられる。塗膜の厚みとしては、滑液速度、耐久性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、塗布性の観点から、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下、更に好ましくは1200μm以下である。
膜を有する成形体は前述のようにして製造することができ、前述の膜を有する成形体は、本発明に包含される。本明細書において、成形体とは、ガラス、樹脂、金属、セラミックス又はコンクリート等を素材とする硬質表面や、繊維表面等の固体表面を有する物体であり、本発明の膜がその固体表面上に形成される対象である。成形体の形状は特に限定されず、板状、(中空の)筒状及びフィルム状のものや、これらの成形体を所定の形状、例えばトレイ及び船底等にさらに加工したものが例示できる。
本発明の一態様として、セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維、高分子化合物及び有機媒体を有する膜用分散体が提供される。かかる膜用分散体は、膜を形成させるための塗工液として提供され得る。かかる膜用分散体は、必要に応じて、前記[成形体への膜の形成方法]に列挙された溶媒やその他の成分を含有していてもよい。
セルロース繊維又は疎水変性セルロース繊維に水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM)(Digital instrument社製:Nanoscope III Tapping mode AFM、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維又は疎水変性セルロース繊維の繊維高さを測定する。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、セルロース繊維を100本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。繊維方向の距離より、平均繊維長を算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出し、標準偏差も算出する。
乾燥質量0.5gの酸化セルロース繊維又は疎水変性セルロース繊維を100mLビーカーにとり、イオン交換水もしくはメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、酸化セルロース繊維又は疎水変性セルロース繊維が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−710」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、酸化セルロース繊維又は疎水変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量を算出する。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/酸化セルロース繊維又は疎水変性セルロース繊維の質量(0.5g)
ハロゲン水分計MOC−120H(島津製作所社製)を用いて行う。サンプル1gに対して150℃恒温で30秒ごとの測定を行い、質量減少が0.1%以下となった値を固形分濃度とする。
修飾基の結合量を次のIR測定方法により求め、下記式によりその平均結合量及び導入率を算出する。IR測定は、具体的には、乾燥させた疎水変性セルロース繊維を赤外吸収分光装置(IR)Nicolet 6700(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いATR法にて測定し、次式により、修飾基の平均結合量及び導入率を算出する。
修飾基の平均結合量(mmol/g)=[セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)]×[(セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度 − 疎水変性セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度)÷セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度]
1720cm−1のピーク強度:カルボン酸のカルボニル基に由来するピーク強度
修飾基の導入率(%)={修飾基の結合量(mmol/g)/導入前のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)}×100
修飾基の平均結合量を下記式により算出する。
修飾基の平均結合量(mmol/g)=修飾基導入前のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)−修飾基導入後のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)
修飾基の導入率(%)={修飾基の平均結合量(mmol/g)/導入前のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)}×100
膜の算術平均粗さは次のようにして測定する。膜の算術平均粗さはキーエンス社製のレーザー顕微鏡「VK−9710」を用いて以下の測定条件で測定する。測定条件は、対物レンズ:10倍、光量:3%、明るさ:1548、Zピッチ:0.5μmとする。表面算術平均粗さは、内蔵の画像処理ソフトを用いて5点測定し、その平均値を用いる。
調製例1(天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させて得られる酸化セルロース繊維の分散液)
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
ビーカーに調製例1で得られた酸化セルロース繊維分散液3846.15g(固形分濃度1.3質量%)を投入し、ここに1M水酸化ナトリウム水溶液を加えpH10程度にした後、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬工業社製、純度95質量%)を2.63g仕込み、室温下3時間反応させアルデヒド還元処理を行った。反応終了後、1M塩酸水溶液を405g、イオン交換水を4286g加え0.7質量%の水溶液とし、室温下1時間反応させプロトン化を行い、反応終了後イオン交換水にて洗浄し塩酸及び塩を除去した。最後にイソプロパノールで溶媒置換し、アルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維分散液を得た。得られたアルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維分散液(固形分濃度2.0質量%)の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.62mmol/gであった。
製造例1
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例2で得られた酸化セルロース繊維分散液300g(固形分濃度2.0質量%)を仕込んだ。続いて、アミノ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製:BY16−209)を、酸化セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミノ基が表2に記載のモル数(0.5mol)に相当する量を仕込み、イソプロパノール100gを添加し、これらの混合物を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、イソプロパノールにて洗浄後、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所社製:US−300E)にて2分間攪拌し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製:スターバーストラボ HJP−2 5005)にて100MPaで1パス、150MPaで9パス微細処理させることで、酸化セルロース繊維に、アミノ変性シリコーンがイオン結合を介して連結した、平均繊維径が3.3nm、平均繊維長が578nmの疎水変性セルロース繊維を得た。
アミノ変性シリコーンの仕込み量を表2に示す通り(0.25mol)に変更した点以外は製造例1と同様の方法で、疎水変性セルロース繊維を得た。なお、得られた疎水変性セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、平均繊維長は578nmであった。
実施例1〜6、比較例1
実施例1、2、4〜6及び比較例1では製造例1で得られた疎水変性セルロース繊維を使用し、実施例3では製造例2で得られた疎水変性セルロース繊維を使用して、次のようにして膜を作製した。即ち、溶媒が分散体全体の90質量%になるように、かつ表2に示す質量比になるように、疎水変性セルロース繊維、高分子化合物、有機媒体(スクアラン)及び溶媒(イソプロパノール)をスクリュー管内に配合した。次いで、スクリュー管の内容物を、マグネチックスターラーの回転数:500rpm、室温(25℃)で12時間撹拌した。その後、自動公転式攪拌機 あわとり練太郎(シンキー社製)を用いて2200rpmで2分撹拌して脱泡し、塗膜用の分散体を得た。得られた塗膜用分散体を、モデル成形体としてのガラス基板(MATSUNAMI社製:Micro Slide Glass S2112)上にアプリケーター(テスター産業株式会社製)を用いて厚みが400μmになるように塗膜し、50℃真空下で12時間乾燥することによりイソプロパノールを揮発させ、膜厚が40μmの膜を得た。
質量平均分子量(Mw)は、日立L−6000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L−6000、検出器はショーデックスRI SE−61示差屈折率検出器、カラムはGMHHR−Hをダブルに接続したものを用いた。サンプルは、溶離液で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。溶離液には、1mmol/LのファーミンDM20(花王株式会社製)のクロロホルム溶液を使用した。カラム温度は40℃で、流速は1.0mL/分で行った。検量線の作成のための標準ポリマーとしては、ポリスチレン(東ソー株式会社製)を使用した。
分子量10万以上の成分量=(分子量10万以上の面積)/(全体の面積)
スクアラン(和光純薬製社製、SP値:7.9)
前記で使用した高分子化合物の詳細は以下の通りである。
ポリアミド1〜3:原料を表1記載の割合で用いて合成されたポリアミド
ポリアルキレンイミン:エポミンP−1000(日本触媒社製)
ハリダイマー 250K:450gを2Lセパラフラスコにとり、70℃に昇温した後に窒素置換を行った。その後、エチレンジアミン:45g、ジエチレントリアミン:5gを徐々に添加し、添加後に内温が145℃になるまで昇温を行った。145℃で1時間撹拌した後に、内温を210℃に昇温し、6時間撹拌を行った。その後、内温を210℃に保ったまま、内圧を45KPaになるまで真空ポンプを用いて減圧を行い、0.5時間撹拌を行い、ポリアミド1を製造した。
ポリアミド2〜3についても、表1に示す原料を用いて、ポリアミド1と同様の方法で製造した。
ハリダイマー 250K(ハリマ化成株式会社製):Cas番号61788−89−4:100%(C36 Dimer acid)
ツノダイム 205(築野食品工業株式会社製):Cas番号61788−89−4:70%(C36 Dimer acid)、Cas番号68937−90−6:18%(TRILINOLEIC ACID)及びCas番号68955−98−6:12%(Fatty acids, c16−18 and c18−unsatd., branched and linear)の混合物
以下の試験は室温下で実施した。試験で使用した流動物Aの詳細は以下の通りである。
コータミンE-80K(花王株式会社製):3質量%
プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製):1質量%
イオン交換水:残部
各実施例又は比較例で作製した膜上に、流動物Aを50mg置いて基板を90°傾け、1分間当たりに流動物Aが滑落する距離を測定した。この試験を5回実施した。1回目の滑落速度と5回目の滑落速度を表2に示す。
各実施例又は比較例で作製した膜上に、有機媒体の質量に対して100倍量の流動物Aを塗布した。72時間後に流動物Aのサンプリングを行い、有機媒体の流動物Aへの移行性を評価した。移行性は、サンプリングされた流動物A中に含まれる有機媒体の量(質量%)で評価した。サンプリングされた流動物A中のスクアランはGCを用いて下記条件により測定した。
下記測定メソッドにおいて、18.9分に検出されるスクアラン由来のピーク面積より、移行率を測定した。
カラム:DB−5 (Agilent)、12m×200μm×0.33μm
メソッド:100℃で3分保持→10℃/分で100℃から320℃まで昇温→320℃で15分保持
ディテクター:330℃(FID)、H2:30mL/分、Air:400mL/分、He:30mL/分
キャリアガス:He
注入量:1μL
サンプル:サンプリング後イソプロパノールで100倍希釈した溶液
室温20℃にて、膜に対して2μLのドデカンの液滴(20℃)を滴下し、10秒静置した後に1°/sの速さで膜表面を傾け、液滴が流れ始める角度を測定した。代表例として、実施例1の膜の滑落角は7°であった。
各膜に対して硬度試験測定器DUH−211(島津サイエンス社製)を用いて下記条件で表面硬度(マルテンス硬度)の測定を行った。結果を表2に示す。
試験力:0.1mN
負荷保持時間:5(s)
除荷保持時間:1(s)
各実施例の膜は、いずれも滑落速度が速く、有機媒体移行率が小さく、繰り返し滑液試験を行っても性能が劣化しない耐久性に優れた膜であることが分かった。さらに、特定の高分子化合物の量が多いほど、膜の表面硬度の値が大きい傾向も確認できた。
一方、高分子化合物を含まない比較例1では、繰り返し滑液試験で滑落速度が顕著に低下しており、耐久性が低いものであることが分かった。
HAp基板(コスモ・バイオ製、アパタイトペレット(四角)、品番:APP−100、1cm角)の片面を40μm、12μm、3μmの研磨紙を用いて鏡面研磨した後、1N HClに1分間浸漬して酸脱灰処理を施した。処理後のHAp基板をイオン交換水で洗浄して乾燥し、以下の方法に従い、実施例、比較例及び対照用の処理基板とした。
試験例5
1)刺激唾液の採取
20〜30代の健常男性を対象に、デントバフ ストリップ(株式会社オーラルケア OralCare Inc.)に含まれているガムペレットを噛んでもらい、その都度口の中に溜まった唾液をファルコンチューブに吐き出してもらうことにより、かかるファルコンチューブに唾液を採取した。なお、唾液中の細菌には個人差があるため、1名の健常男性の唾液により、全ての実施例と比較例についてバイオフィルム形成抑制試験を行った。
ファルコンチューブに採取した唾液を、3000rpm/rt/10minにて遠心分離した。分離された上澄み唾液を用い、スクロースを5質量%溶液となるように添加した後、撹拌機器(voltex、日本ジェネティクス(株)製)を用いて撹拌し、歯垢モデル試験液を調製した。
次に、24wellプレートのwell内に、実施例7の基板又は比較例2の基板を置いた。基板が置かれたwellに、歯垢モデル試験液を1mLずつ添加した後、これをCO2パックとともにプラスチックケース内に格納して嫌気条件下とし、37℃で24時間培養して、基板上にバイオフィルムとしてのモデル歯垢を形成させた。
減圧ポンプを用い、well中の歯垢モデル試験液を吸い取り、イオン交換水1mLをwellに添加して5分間振とうした。次にポンプを用いて水を吸い取り、0.1質量%クリスタルバイオレット(CV)溶液を750μL添加して15分間振盪した。
SUS基板(40mm×200mm)上に製造例1で得られた疎水変性セルロース繊維を使用し、実施例2と同一組成の塗膜用分散体を同様の方法で塗布した後に乾燥させ、膜厚が40μmの膜を得た。膜が形成されたSUS基板を実施例8の基板とした。膜を形成させなかったSUS基板を比較例3の基板とした。
試験例6
実施例8の基板と比較例3の基板をそれぞれ工業用水に2週間浸漬させた後、比較例3の基板については基板表面に形成された固体物質を、実施例8の基板については膜ごと全て削り取り、削り取った試料を以下に示す方法で前処理した後、金属量の定量を行った。
削り取ったそれぞれの試料全量を、別々の湿式分解用分解容器に入れた。両試料とも約10mgであった。そこへ、Conc硫酸2mL及びConc硝酸4mLを加えて、220℃に加熱したホットプレート上に容器を3時間置くことで、湿式分解処理を行った。冷却後、25mL容メスフラスコに超純水を用いて、容器内の残留物を定量的に移し換えた後に、超純水で25mLにフィルアップしたものを測定試料とした。
分析装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック製 iCAP 6500Duo
RFパワー:1150W
クーラントガス流量:12L/min
ネブライザー流量:0.50L/min
補助ガス:1.0L/min
ポンプ流量:50rpm
測定波長:各元素に応じた波長
ガラス基板(MATSUNAMI社製:Micro Slide Glass S2112)上に、製造例1で得られた疎水変性セルロース繊維を使用し、実施例2と同一組成の塗膜用分散体を同様の方法で塗布した後に乾燥させ、膜厚が40μmの膜を得た。膜が形成された基板を実施例9の基板とした。
〔バイオフィルム形成抑制効果の評価2〕
試験例7
1)菌液の調製
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)、大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)を、それぞれSoybean-Casein Digest Agar(日本製薬株式会社製:SCD寒天培地「ダイゴ」)を用いて、30℃、24時間の前培養を行った。
実施例9の基板及び比較例4の基板にUVを1分間照射し、基板表面を滅菌した。角型4well(アズワン株式会社製:浮遊細胞用マルチディッシュ267061)内に滅菌した基板を入れ、先に調製した菌液を6mLずつ入れ、30℃、24時間培養して、各基板上にそれぞれの菌種のバイオフィルムを形成させた。
<評価基板の作製>
比較例5
ガラス基板(MATSUNAMI社製:Micro Slide Glass S2112)上にバーコーター(オーエスジーシステムプロダクツ社製、OSP−13)を用いて、防汚塗料(三菱マテリアルトレーディング社製:エフロンティアTM防汚塗料)を塗工した。この基板を比較例5とした。
一方、実施例2と同じ方法で作製した本発明の膜を有する基板を用意した。
2℃の恒温室でドライアイス上に置いたSUS304上に、100μlのイオン交換水をマイクロピペット(M&S社製:ピペットマン)を用いて滴下し、10分間静置することで氷を作製した。2℃の恒温室内で、実施例2の基板と比較例5の基板のそれぞれの表面に、前記氷を置き、1分間静置した後、0°〜90°まで傾け、氷が滑落するか評価した。
<評価容器の作製>
実施例10
<下層体の作製>
製袋前のエッセンシャルコンディショナーしっとりツヤ髪 詰め替え用容器(花王社製:詰め替え用らくらくecoパック)のヒートシール部分にマスキングを行い、バーコーター(オーエスジーシステムプロダクツ社製、OSP−13)を用いて、下層体を形成する塗工液として水系アクリルエマルジョン(DSM社製、NeoCryl A−1127)を容器の内側となる面に塗工した。室温(25℃)下で24時間乾燥し、溶媒を揮発させて積層構造物を得た。
製造例1で得られた疎水変性セルロース繊維を用いて、次のようにして前記積層構造物の下層体側の表面上に上層体を作製した。疎水変性セルロース繊維のセルロース繊維:スクアラン(潤滑油):ポリアミド1が1:3:1の質量比になるように、また、溶媒が分散液全体の97%になるように、疎水変性セルロース繊維、スクアラン、ポリアミド1及び溶媒(イソプロパノール:トルエン=100:5の混合溶媒)を配合し、スクリュー管中、室温で24時間撹拌した。得られた上層体形成用の分散液を塗膜用サンプルとして、前記積層構造物の下層体側の面にアプリケーター(テスター産業株式会社製)を用いて、塗膜用サンプル液の厚みが1800μmになるように塗工した。室温(25℃)下で12時間乾燥させることにより溶媒を揮発させ、膜厚が約50μmの上層体が作製された、上層体と下層体と基材との積層体を得た。得られた積層体をヒートシールすることで容器を作製した。
製袋前のエッセンシャルコンディショナーしっとりツヤ髪 詰め替え用容器(花王社製:詰め替え用らくらくecoパック)をヒートシールすることで容器を作製し、比較例6とした。
実施例10と比較例6の容器にエッセンシャルコンディショナーしっとりツヤ髪(花王社製)の内容物を340g充填した。スマートホルダー(花王社製)にセットし、25℃で吐出不能になるまで1Push/秒の条件で吐出した。吐出後、ポンプを取り外し、容器内の内容物の残量を測定した。
Claims (9)
- セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物、並びに有機媒体を有する膜。
(X)エステル基、アミド基、ウレタン基、イミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する縮重合系高分子
(Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子 - 高分子化合物が分子量10万以上の高分子成分を含有する請求項1に記載の膜。
- 高分子化合物が高分子化合物(X)である、請求項1又は2に記載の膜。
- 高分子化合物(X)が、3官能性以上のモノマーを構成単位としてさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜。
- 有機媒体がSP値が10以下の有機媒体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜。
- 疎水変性セルロース繊維が、セルロース繊維のカルボキシ基に修飾基が結合されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜を有する成形体。
- セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物、並びに有機媒体を含有する分散体を調製する工程1、及び工程1で調製された分散体を成形体に塗布する工程2、を有する、成形体への膜の形成方法。
(X)エステル基、アミド基、ウレタン基、イミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する縮重合系高分子
(Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子 - セルロース繊維のカルボキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物、並びに有機媒体を含有する膜用分散体。
(X)エステル基、アミド基、ウレタン基、イミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する縮重合系高分子
(Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子
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