JP7372087B2 - 流動抵抗低減剤 - Google Patents

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Description

本発明は流動抵抗低減剤に関する。
一般に、流体と接する表面を有する構造物においては、その表面に沿った流れがある場合に流動抵抗が生じる。例えば、船舶や配管、マイクロ流体デバイス等の液体輸送路では省エネルギーの観点、ポンプディスペンサーやスプレーヤー等の液体吐出道具等では押し圧低減の観点、水着やゴーグル等では競技における記録更新の観点等、様々な観点から流動抵抗を低減することが望まれている。
そこで、最近では、簡便な表面改質で流動抵抗を低減させることが可能な、粗面と、前記粗面に含浸された滑剤液とを有することを特徴とする滑水・滑油性膜が開示されている(特許文献1)。
特表2014-509959号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、表面膜を構成する油等の潤滑液が流動物の流れによって、はぎとられる傾向にあり、粗面がむき出しになり効果が失われるという課題があった。かかる現象は、流動物が高粘度液体の場合に特に顕著に生じ得る。
そこで、流動抵抗を低減させる膜を検討したところ、特定の疎水変性セルロース繊維及びSP値が10以下である油を有する膜が流動抵抗を顕著に低減させることを見出した。
本発明は、下記〔1〕~〔5〕に関する。
〔1〕 セルロース繊維のアニオン性基及び水酸基から選ばれる1種以上に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維と、SP値が10以下である油とを含有する、流動抵抗低減剤。
〔2〕 さらに、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物を含有する、前記〔1〕に記載の流動抵抗低減剤。
(X)主鎖にエステル基、アミド基、ウレタン基、アミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する高分子化合物
(Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子化合物
〔3〕 前記〔1〕又は〔2〕に記載の流動抵抗低減剤を成形体に塗布する工程を有する、成形体への流動抵抗低減膜の形成方法。
〔4〕 セルロース繊維のアニオン性基及び水酸基から選ばれる1種以上に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維と、SP値が10以下である油とを含有する、流動抵抗低減膜。
〔5〕 前記〔4〕に記載の流動抵抗低減膜を有する成形体。
本発明の流動抵抗低減膜は、種々の粘度を有する液体に対する流動抵抗低減効果を発揮する。本発明の流動抵抗低減剤は、成形体に塗布するだけで、かかる効果を容易に成形体に付与するという効果を発揮する。
図1は、圧力損失の測定装置の模式図である。
[流動抵抗低減剤]
本発明の流動抵抗低減剤は、セルロース繊維のアニオン性基及び水酸基から選ばれる1種以上に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維と、SP値が10以下である油とを含有する。
<疎水変性セルロース繊維>
本発明における疎水変性セルロース繊維とは、セルロース繊維のアニオン性基及び水酸基から選ばれる1種以上に修飾基が結合されてなるものであり、SP値10以下の油に分散性を示すものが、より好ましい。SP値10以下の油に対して分散性を有するとは、例えば、油と対象の疎水変性セルロース繊維との混合液の粘度をE型粘度計(25℃、1rpm、1分後、標準コーンロータ、ロータコード:01)を用いて測定した場合、増粘が観測されることをいう。例えば、本発明における疎水変性セルロースとしては、SP値10以下の油の代表例としてスクアラン中にセルロース繊維の濃度を0.5質量%になるように調製した液の微細化処理後の分散液粘度が50mPa・s以上になるものが好ましい。なお、微細化処理は、後述の方法により行うことができる。
疎水変性セルロース繊維としては、例えば、アニオン性基を有するセルロース繊維(以下、「アニオン変性セルロース繊維」とも言う。)のアニオン性基に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維(A)や、セルロース繊維表面の水酸基に修飾基がエーテル結合されてなる疎水変性セルロース繊維(B)(以下、「エーテル化セルロース繊維」とも言う。)が挙げられ、本発明の効果がより発揮できる観点から、好ましくは、疎水変性セルロース繊維(A)である。
(セルロース繊維)
疎水変性セルロース繊維の原料のセルロース繊維としては、環境面から好ましくは天然セルロース繊維であり、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
原料のセルロース繊維の平均繊維径は特に限定されないが、取扱い性及びコストの観点から、好ましくは1μm以上であり、一方、好ましくは300μm以下である。
また、原料のセルロース繊維の平均繊維長は特に限定されないが、入手性及びコストの観点から、好ましくは100μm以上であり、好ましくは5,000μm以下である。原料のセルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
<疎水変性セルロース繊維(A)>
本発明における疎水変性セルロース繊維(A)とは、アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基に、修飾基を導入するための化合物が結合してなるセルロース繊維である。アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基及びリン酸基等が挙げられる。修飾基のセルロース繊維への導入効率の観点から、アニオン性基としてはカルボキシ基が好ましく、本明細書において、このようなカルボキシ基を有するセルロース繊維を「酸化セルロース繊維」ともいう。
(酸化セルロース繊維)
酸化セルロース繊維におけるカルボキシ基の対となるイオン(カウンターイオン)としては、例えば、製造時のアルカリ存在下で生じるナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びアルミニウムイオン等の金属イオンや、これらの金属イオンを酸で置換して生じるプロトン等が挙げられる。
(カルボキシ基含有量)
本発明で用いられる酸化セルロース繊維におけるカルボキシ基含有量は、修飾基導入の観点から、好ましくは0.1mmol/g以上であり、より好ましくは0.4mmol/g以上であり、更に好ましくは0.6mmol/g以上であり、更に好ましくは0.8mmol/g以上である。また、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2mmol/g以下であり、更に好ましくは1.8mmol/g以下である。なお、「カルボキシ基含有量」とは、セルロース繊維を構成するセルロース中のカルボキシ基の総量を意味し、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。
また、酸化セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比の好適な範囲は、微細化処理後の疎水変性セルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長の好ましい範囲と同じである。また、後述の実施例に記載の測定方法により求めることができる。
(カルボキシ基を導入する工程)
本発明で用いられる酸化セルロース繊維は、対象のセルロース繊維に酸化処理又はカルボキシ基の付加処理を施して、少なくとも1つ以上のカルボキシ基を導入することによって得ることができる。
カルボキシ基導入の対象となるセルロース繊維としては、原料のセルロース繊維が挙げられる。分散性の観点から、原料のセルロース繊維を、アルカリ加水分解処理や酸加水分解処理等で短繊維化処理した平均繊維長が1μm以上であり、1,000μm以下であるセルロース繊維を用いることが好ましい。
セルロース繊維にカルボキシ基を導入する方法としては、例えばセルロースの水酸基を酸化してカルボキシ基に変換する方法や、セルロースの水酸基にカルボキシ基を有する化合物、カルボキシ基を有する化合物の酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させる方法が挙げられる。
酸化セルロース繊維は、例えば、触媒として2,2,6,6,-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)を使用し、更に次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、臭化ナトリウム等の臭化物を併用して、セルロース繊維の水酸基をカルボキシ基に酸化する方法を適用することにより、製造することができる。より詳細には、特開2011-140632号公報に記載の方法を参照することができ、更に、追酸化処理又は還元処理を行うことで、アルデヒドを除去した酸化セルロース繊維として調製することができる。
セルロース繊維にアニオン性基としてスルホン酸基又はリン酸基を導入する場合、セルロース繊維にスルホン酸基を導入する方法としては、セルロース繊維に硫酸を添加し加熱する方法等が挙げられる。あるいは、セルロース繊維にリン酸基を導入する方法としては、乾燥状態又は湿潤状態のセルロース繊維に、リン酸又はリン酸誘導体の粉末や水溶液を混合する方法や、セルロース繊維の分散液にリン酸又はリン酸誘導体の水溶液を添加する方法等が挙げられる。これらの方法を採用した場合、一般的に、リン酸又はリン酸誘導体の粉末や水溶液を混合または添加した後に、脱水処理及び加熱処理等を行う。
(修飾基)
本明細書において、疎水変性セルロース繊維(A)における修飾基の結合とは、セルロース繊維表面のカルボキシ基に、修飾基がイオン結合及び/又は共有結合している状態のことを意味する。カルボキシ基への結合様式としては、イオン結合、共有結合が挙げられる。ここでの共有結合としては、例えば、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合が挙げられ、なかでも、油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくはアミド結合である。SP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、本発明における疎水変性セルロース繊維(A)としては、セルロース繊維表面に既に存在するカルボキシ基に、修飾基を導入するための化合物をイオン結合及び/又はアミド結合させることにより得られるものが好ましい。
(修飾基を導入するための化合物)
修飾基を導入するための化合物としては、後述の修飾基を導入可能なものであればよく、結合様式によって、例えば、以下のものを用いることができる。イオン結合の場合は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物のいずれでもよい。修飾基を導入するための化合物としてのアミノ変性シリコーン化合物も、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、のいずれでもよい。また、前記のアンモニウム化合物やホスホニウム化合物の陰イオン成分としては、反応性の観点から、好ましくは、塩素イオンや臭素イオンなどのハロゲンイオン、硫酸水素イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェイトイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヒドロキシイオンが挙げられる。
共有結合の場合は置換される官能基によって以下のものを用いることができる。
カルボキシ基への修飾においては、アミド結合の場合は、第1級アミン、第2級アミンのいずれでもよい。エステル結合の場合は、アルコールがよく、例えば、ブタノール、オクタノール、ドデカノールが例示される。ウレタン結合の場合は、イソシアネート化合物がよい。
疎水変性セルロース繊維(A)における修飾基としては、炭化水素基等を用いることができる。これらは単独で又は2種以上が組み合わさって、セルロース繊維に結合(導入)されてもよい。
(炭化水素基)
炭化水素基としては、例えば、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が挙げられ、副反応を抑制する観点及び安定性の観点から、鎖式飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基の炭素数は、流動抵抗を低減する観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上であり、更に好ましくは3以上であり、同様の観点から、好ましくは30以下であり、より好ましくは24以下であり、更に好ましくは18以下である。なお、炭化水素基の炭素数とは、別に規定の無い限り、一つの修飾基における炭素数のことを意味する。
鎖式飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、tert-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、オクタコサニル基等が挙げられる。
鎖式不飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、イソプレニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、オクタデセニル基が挙げられる。
環式飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる。アリール基及びアラルキル基としては、芳香族環そのものが置換されたものでも非置換のものであってもよい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ターフェニル基、及びこれらの基が後述する置換基で置換された基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、及びこれらの基の芳香族基が置換基でさらに置換された基などが挙げられる。
前記炭化水素基を導入するための第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、酸無水物、イソシアネート化合物は、市販品を用いるか、公知の方法に従って調製することができる。
第1~3級アミンとしては、流動抵抗低減性の観点から、炭素数が好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上であり、更に好ましくは3以上であり、同様の観点から、炭素数が好ましくは20以下であり、より好ましくは18以下であり、更に好ましくは16以下である(ただし、アミノ変性シリコーン化合物を除く。)。第1~3級アミンの具体例としては、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アニリン、及びベンジルアミン、並びにアミノ変性シリコーン化合物等が挙げられる。第4級アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、テトラブチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。これらの中では、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、ジステアリルアミン、アミノ変性シリコーン化合物、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、アニリン、より好ましくはプロピルアミン、ドデシルアミン、アミノ変性シリコーン化合物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、アニリンであり、更に好ましくはアミノ変性シリコーン化合物である。
これらの化合物の中で、とりわけアミノ変性シリコーン化合物を用いて得られた疎水変性セルロース繊維が、流動抵抗低減膜の原料として有用である。従って、本発明の一態様として、酸化セルロース繊維のカルボキシ基にアミノ変性シリコーン化合物が結合されてなる疎水変性セルロース繊維が提供される。かかる疎水変性セルロース繊維を流動抵抗低減膜とした場合、優れた流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制性という効果を発揮することができる。
(アミノ変性シリコーン化合物)
アミノ変性シリコーン化合物としては、25℃での動粘度が10~20,000mm/s、アミノ当量400~8,000g/molのアミノ変性シリコーン化合物が好ましいものとして挙げられる。
25℃での動粘度はオストワルト型粘度計で求めることができ、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、より好ましくは200~10,000mm/s、更に好ましくは500~5,000mm/sである。
また、アミノ当量は、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは400~8,000g/mol、より好ましくは600~5,000g/mol、更に好ましくは800~3,000g/molである。なお、アミノ当量は、窒素原子1個当りの分子量であり、アミノ当量(g/mol)=質量平均分子量/1分子あたりの窒素原子数で求められる。ここで質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準物質として求めた値であり、窒素原子数は元素分析法により求めることができる。
アミノ変性シリコーン化合物の具体例として、一般式(a1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007372087000001
〔式中、R1aは炭素数1~3のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1~3のアルコキシ基又は水素原子から選ばれる基を示し、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくはメチル基又はヒドロキシ基である。R2aは炭素数1~3のアルキル基、ヒドロキシ基又は水素原子から選ばれる基であり、同様の観点から、好ましくはメチル基又はヒドロキシ基である。Bは少なくとも一つのアミノ基を有する側鎖を示し、R3aは炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を示す。x及びyはそれぞれ平均重合度を示し、該化合物の25℃の動粘度及びアミノ当量が上記範囲になるように選ばれる。尚、R1a、R2a、R3aはそれぞれ同一でも異なっていても良く、また複数個のR2aは同一でも異なっていても良い。〕
一般式(a1)の化合物において、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、xは好ましくは10~10,000の数、より好ましくは20~5,000の数、更に好ましくは30~3,000の数である。yは好ましくは1~1,000の数、より好ましくは1~500の数、更に好ましくは1~200の数である。一般式(a1)の化合物の質量平均分子量は、好ましくは2,000~1,000,000、より好ましくは5,000~100,000、更に好ましくは8,000~50,000である。
一般式(a1)において、アミノ基を有する側鎖Bとしては、下記のものを挙げることができる。
-C-NH
-C-NH-C-NH
-C-NH-[C-NH]-C-NH
-C-NH(CH
-C-NH-C-NH(CH
-C-NH-[C-NH]-C-NH(CH
-C-N(CH
-C-N(CH)-C-N(CH
-C-N(CH)-[C-N(CH)]-C-N(CH
-C-NH-cyclo-C11
(ここで、e、f、gは、それぞれ1~30の数である。)
本発明で用いるアミノ変性シリコーン化合物は、例えば、一般式(a2)で表されるオルガノアルコキシシランを過剰の水で加水分解して得られた加水分解物と、ジメチルシクロポリシロキサンとを水酸化ナトリウムのような塩基性触媒を用いて、80~110℃に加熱して平衡反応させ、反応混合物が所望の粘度に達した時点で酸を用いて塩基性触媒を中和することにより製造することができる(特開昭53-98499号参照)。
N(CHNH(CHSi(CH)(OCH (a2)
また、アミノ変性シリコーン化合物としては、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは側鎖Bの1個の中にアミノ基が1個有するモノアミノ変性シリコーン及び側鎖Bの1個の中にアミノ基が2個有するジアミノ変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはアミノ基を有する側鎖Bが-C-NHで表される化合物〔以下、(a1-1)成分という〕及びアミノ基を有する側鎖Bが-C-NH-C-NHで表される化合物〔以下、(a1-2)成分という〕からなる群から選ばれる1種以上である。
本発明におけるアミノ変性シリコーン化合物としては、性能の点から、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSF4703(動粘度:1000、アミノ当量:1600)、TSF4708(動粘度:1000、アミノ当量:2800)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSS-3551(動粘度:1000、アミノ当量:1600)、SF8457C(動粘度:1200、アミノ当量:1800)、SF8417(動粘度:1200、アミノ当量:1700)、BY16-209(動粘度:500、アミノ当量:1800)、BY16-892(動粘度:1500、アミノ当量:2000)、BY16-898(動粘度:2000、アミノ当量:2900)、FZ-3760(動粘度:220、アミノ当量:1600)、信越化学工業(株)製のKF8002(動粘度:1100、アミノ当量:1700)、KF867(動粘度:1300、アミノ当量:1700)、KF-864(動粘度:1700、アミノ当量:3800)、BY16-213(動粘度:55、アミノ当量:2700)、BY16-853U(動粘度:14、アミノ当量:450)が好ましい。( )内において、動粘度は25℃での測定値(単位:mm/s)を示し、アミノ当量の単位はg/molである。
(a1-1)成分としては、BY16-213(動粘度:55、アミノ当量:2700)、BY16-853U(動粘度:14、アミノ当量:450)がより好ましい。
(a1-2)成分としては、SF8417(動粘度:1200、アミノ当量:1700)、BY16-209(動粘度:500、アミノ当量:1800)、FZ-3760(動粘度:220、アミノ当量:1600)、SS-3551(動粘度:1000、アミノ当量:1600)がより好ましい。
なお、前記修飾基は更に置換基を有するものであってもよく、例えば、炭化水素基の場合、置換基を含めた修飾基全体の総炭素数が前記範囲内となるものが好ましい。置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基等のアルコキシ基の炭素数が1~6のアルコキシ-カルボニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;アセチル基、プロピオニル基等の炭素数1~6のアシル基;アラルキル基;アラルキルオキシ基;炭素数1~6のアルキルアミノ基;アルキル基の炭素数が1~6のジアルキルアミノ基が挙げられる。なお、前記した炭化水素基そのものが置換基として結合していてもよい。
疎水変性セルロース繊維(A)における修飾基の結合量は、セルロース繊維あたり、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは0.01mmol/g以上であり、より好ましくは0.05mmol/g以上であり、更に好ましくは0.1mmol/g以上であり、更に好ましくは0.3mmol/g以上であり、更に好ましくは0.5mmol/g以上である。また、反応性の観点から、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2.5mmol/g以下であり、更に好ましくは2mmol/g以下であり、更に好ましくは1.8mmol/g以下であり、更に好ましくは1.5mmol/g以下である。ここで、修飾基として任意の2種以上の修飾基が同時にセルロース繊維に導入されている場合、修飾基の結合量は、導入されている修飾基の合計量が前記範囲内であることが好ましい。
疎水変性セルロース繊維(A)における修飾基の導入率は、いずれの修飾基についても、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、セルロース繊維のアニオン性基の好ましくは10mol%以上であり、より好ましくは30mol%以上であり、更に好ましくは50mol%以上であり、更に好ましくは60mol%以上であり、更に好ましくは70mol%以上であり、反応性の観点から、好ましくは99mol%以下であり、より好ましくは97mol%以下であり、更に好ましくは95mol%以下であり、更に好ましくは90mol%以下である。ここで、修飾基として任意の2種以上の修飾基が同時にセルロース繊維に導入されている場合、導入率の合計は、上限の100mol%を超えない範囲において、前記範囲内であることが好ましい。
本明細書において、疎水変性セルロース繊維(A)における修飾基の結合量及び導入率は、修飾基を導入するための化合物の添加量や種類、反応温度、反応時間、溶媒などによって調整することができる。修飾基の結合量(mmol/g)及び導入率(mol%)とは、疎水変性セルロース繊維(A)の表面のアニオン性基に修飾基が導入された量及び割合のことである。疎水変性セルロース繊維(A)のアニオン性基の含有量は公知の方法(例えば、滴定、IR測定等)に従って測定することで算出できる。疎水変性セルロース繊維(A)における修飾基の結合量及び導入率は、例えば、実施例に記載された方法で算出される。
<疎水変性セルロース繊維(A)の製造方法>
疎水変性セルロース繊維(A)は、例えば、アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基に修飾基を導入できるのであれば、特に限定なく公知の方法に従って製造することができる。例えば、アニオン変性セルロース繊維として酸化セルロース繊維を使用する場合、特開2018-024967号公報の段落0017~0106等を参照して疎水変性セルロース繊維(A)を製造することができる。なお、疎水変性セルロース繊維(A)の製造の際には、特開2018-024967号公報における低アスペクト比化処理や微細化工程を省略することができる。
<疎水変性セルロース繊維(B)(エーテル化セルロース繊維)>
本発明における疎水変性セルロース繊維(B)(エーテル化セルロース繊維とも言う)は、セルロース繊維表面に修飾基がエーテル結合を介して結合していることを特徴とし、好ましくはセルロースI型結晶構造を有するものである。なお、本明細書において、「エーテル結合を介して結合」とは、セルロース繊維表面の水酸基に修飾基が反応して、エーテル結合した状態を意味する。
エーテル化セルロース繊維における修飾基は、好ましくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。ここで、置換基を有してもよい炭化水素基において、炭化水素基としては、飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、フェニル基等の芳香族炭化水素基、又はシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基が挙げられる。また、本発明における置換基を有してもよい炭化水素基において、置換基としては、ハロゲン原子、オキシエチレン基等のオキシアルキレン基及び水酸基等が挙げられる。
このようなエーテル化セルロース繊維の好適な態様(「態様1」とする)として、例えば、下記一般式(1)で表される修飾基及び下記一般式(2)で表される修飾基から選ばれる1種又は2種以上の修飾基がエーテル結合を介してセルロース繊維に結合しており、好ましくはセルロースI型結晶構造を有するものが挙げられる。
-CH-CH(R)-R (1)
-CH-CH(R)-CH-(OA)-O-R (2)
〔式中、一般式(1)及び一般式(2)におけるRは水素原子又は水酸基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数3以上30以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキルを示し、一般式(2)におけるnは0以上50以下の数、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示す。〕
態様1の具体例としては、例えば、下記一般式(4)で表されるエーテル化セルロース繊維が例示される。
Figure 0007372087000002
〔式中、Rは同一又は異なって、水素原子、もしくは前記一般式(1)で表される修飾基及び前記一般式(2)で表される修飾基から選ばれる修飾基を示し、mは20以上3000以下の整数が好ましく、但し、全てのRが同時に水素原子である場合を除く〕
一般式(4)で表されるエーテル化セルロース繊維は、前記修飾基が導入されたセルロースユニットの繰り返し構造を有するものである。繰り返し構造の繰り返し数として、一般式(4)におけるmは、流動抵抗を低減する観点から20以上3000以下の整数が好ましい。
(置換基を有していてもよい炭化水素基)
態様1のエーテル化セルロース繊維は、前記の一般式(1)及び下記一般式(2)で表される修飾基から選ばれる1種又は2種以上の修飾基を単独で又は任意の組み合わせで導入される。なお、導入される修飾基は同一の修飾基であっても2種以上が組み合わさって導入されてもよい。
流動抵抗を低減する観点から、一般式(1)及び一般式(2)におけるRは水酸基が好ましい。
一般式(1)におけるRの炭素数は、流動抵抗低減性の観点から、好ましくは25以下である。具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、イコシル基、トリアコンチル基等が例示される。
一般式(2)におけるRの炭素数は、流動抵抗低減性の観点から、好ましくは4以上であり、流動抵抗低減性、入手性及び反応性向上の観点から、好ましくは27以下である。具体的には、前記した一般式(1)におけるRと同じものが挙げられる。
一般式(2)におけるAは、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数は、流動抵抗低減性、入手性及びコストの観点から、好ましくは2以上であり、同様の観点から、好ましくは4以下である。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が例示される。
一般式(2)におけるnは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nは、流動抵抗低減性、入手性及びコストの観点から、好ましくは3以上であり、同様の観点から、好ましくは40以下である。
一般式(2)におけるAとnの組み合わせとしては、流動抵抗低減性の観点から、好ましくはAが炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基で、nが0以上20以下の数の組み合わせである。
一般式(1)で表される修飾基の具体例としては、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、イコシル基、プロピルヒドロキシエチル基、ブチルヒドロキシエチル基、ペンチルヒドロキシエチル基、ヘキシルヒドロキシエチル基、ヘプチルヒドロキシエチル基、オクチルヒドロキシエチル基、2-エチルヘキシルヒドロキシエチル基、ノニルヒドロキシエチル基、デシルヒドロキシエチル基、ウンデシルヒドロキシエチル基、ドデシルヒドロキシエチル基、ヘキサデシルヒドロキシエチル基、オクタデシルヒドロキシエチル基、イソオクタデシルヒドロキシエチル基、イコシルヒドロキシエチル基、トリアコンチルヒドロキシエチル基等が挙げられる。
一般式(2)で表される修飾基の具体例としては、例えば、3-ブトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ヘキトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ヘキトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-オクトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-オクトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、6-エチル-3-ヘキトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、6-エチル-3-ヘキトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-デトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-デトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ウンデトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ウンデトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ドデトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ドデトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ヘキサデトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-ヘキサデトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-オクタデトキシエチレンオキシド-2-ヒドロキシ-プロピル基、3-オクタデトキシ-2-ヒドロキシ-プロピル基等が挙げられる。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は0以上50以下であればよく、例えば、前記したエチレンオキシド等のオキシアルキレン基を有する修飾基において付加モル数が10、12、13、20モルの修飾基が例示される。
(導入率)
エーテル化セルロース繊維において、セルロースの無水グルコースユニット1モルに対する修飾基の導入率は、修飾基の種類により一概には限定できないが、流動抵抗低減性の観点から、好ましくは0.0001モル以上であり、また、同様の観点から、好ましくは1.5モル以下である。ここで、修飾基として、一般式(1)で表される修飾基と一般式(2)で表される修飾基のいずれもが導入されている場合は、合計した導入モル率のことである。なお、本明細書において、エーテル化セルロース繊維における修飾基の導入率は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
(平均繊維径)
本発明におけるエーテル化セルロース繊維としては、修飾基の種類に関係なく、平均繊維径に特に限定はない。例えば、平均繊維径がマイクロオーダーの態様、平均繊維径がナノオーダーの態様が例示される。
マイクロオーダーの態様のエーテル化セルロース繊維は、流動抵抗低減性、取扱い性、入手性、及びコストの観点から、好ましくは5μm以上である。また、上限は特に設定されないが、流動抵抗低減性、取扱い性の観点から、好ましくは100μm以下である。なお、本明細書において、マイクロオーダーのセルロース繊維の平均繊維径は、原料のセルロース繊維の平均繊維径と同じ方法で測定することができる。
ナノオーダーの態様のエーテル化セルロース繊維は、流動抵抗低減性、取扱い性、入手性、及びコストの観点から、好ましくは1nm以上であり、流動抵抗低減性及び取扱い性の観点から、好ましくは500nm以下である。なお、本明細書において、ナノオーダーのセルロース繊維の平均繊維径は、酸化セルロース繊維の平均繊維径と同じ方法で測定することができる。
[エーテル化セルロース繊維の製造方法]
本発明におけるエーテル化セルロース繊維は、上記したようにセルロース繊維表面に、修飾基、好ましくは前記の置換基を有していてもよい炭化水素基がエーテル結合を介して結合しているが、修飾基の導入は、特に限定なく公知の方法に従って行うことができる。以下、態様1のエーテル化セルロース繊維を製造する方法の具体的な例を説明する。
態様1のエーテル化セルロース繊維の製造方法の具体例として、上記の原料のセルロース繊維に対し、塩基存在下、特定の化合物を反応させる態様が挙げられる。
また、製造工程数低減の観点から、あらかじめ微細化されたセルロース繊維を原料のセルロース繊維として用いてよく、その場合の平均繊維径は、入手性およびコストの観点から、好ましくは1nm以上である。また、上限は特に設定されないが、取扱い性の観点から、好ましくは500nm以下である。
(塩基)
本製造方法においては、前記原料のセルロース繊維に塩基を混合する。
塩基としては、特に制限はないが、エーテル化反応を進行させる観点から、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、1~3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
塩基の量は、原料のセルロース繊維の無水グルコースユニットに対して、エーテル化反応を進行させる観点から、好ましくは0.01当量以上であり、製造コストの観点から、好ましくは10当量以下である。
なお、前記原料のセルロース繊維と塩基の混合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限はなく、例えば、水、イソプロパノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ヘキサン、1,4-ジオキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
原料のセルロース繊維と塩基の混合は、均一に混合できるのであれば、温度や時間は特に制限はない。
次に、前記で得られた原料のセルロース繊維と塩基の混合物に、修飾基を導入するための化合物(本明細書において「エーテル化剤」ともいう)、好ましくは置換基を有していてもよい炭化水素基を導入するための化合物を添加して、原料のセルロース繊維とかかる化合物とを反応させる。かかる化合物としては、反応性を有する環状構造基を有する化合物を用いることが好ましく、エポキシ基を有する化合物を用いることがより好ましい。
一般式(1)で表される修飾基をエーテル結合を介して結合させることができる化合物としては、例えば、特開2017-053077号公報の段落0079~0084に記載の酸化アルキレン化合物が挙げられる。
一般式(2)で表される修飾基をエーテル結合を介して結合させることができる化合物としては、例えば、特開2017-053077号公報の段落0085~0091に記載のグリシジルエーテル化合物が挙げられる。
修飾基を導入するための化合物の量は、得られる疎水変性セルロース繊維(B)における修飾基の所望の導入率により決めることができるが、反応性の観点から、原料のセルロース繊維の無水グルコースユニットに対して、好ましくは0.01当量以上であり、製造コストの観点から、好ましくは10当量以下である。
(エーテル化反応)
前記化合物と原料のセルロース繊維とのエーテル化反応は、溶媒の存在下で、両者を混合することにより行うことができる。溶媒としては、特に制限はなく、前記塩基を存在させる際に使用することができると例示した溶媒を用いることができる。エーテル化反応の詳細については、特開2017-053077号公報の段落0070~0075の記載を参照することができる。
このようにして得られた疎水変性セルロース繊維(B)を、公知の微細化処理、例えば、有機溶媒中で高圧ホモジナイザー等を用いた処理を行ってもよい。
上記の疎水変性セルロース繊維(A)及び(B)のいずれに関しても、得られた疎水変性セルロース繊維は、上記後処理を行った後の分散液の状態で使用することもできるし、あるいは乾燥処理等により該分散液から溶媒を除去して、乾燥した粉末状の疎水変性セルロース繊維を得て、これを使用することもできる。ここで「粉末状」とは、疎水変性セルロース繊維が凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない。
粉末状の疎水変性セルロース繊維としては、例えば、前記セルロース繊維の分散液をそのまま乾燥させた乾燥物;該乾燥物を機械処理で粉末化したもの;前記セルロース繊維の分散液を公知のスプレードライ法により粉末化したもの;前記セルロース繊維の分散液を公知のフリーズドライ法により粉末化したもの等が挙げられる。前記スプレードライ法は、前記セルロース繊維の分散液を大気中で噴霧し、乾燥させる方法である。
<疎水変性セルロース繊維の特性>
疎水変性セルロース繊維の結晶化度は、流動抵抗低減性発現の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である。また、原料入手性の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値から算出したセルロースI型結晶化度であり、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。セルロースI型結晶構造の有無は、X線回折測定において、2θ=22.6°にピークがあることで判定することができる。
得られた微細化処理後の疎水変性セルロース繊維の平均繊維径は、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは0.5nm以上、更に好ましくは1nm以上、更に好ましくは2nm以上、より更に好ましくは3nm以上である。また、同様の観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、更に好ましくは20nm以下、更に好ましくは10nm以下、更に好ましくは6nm以下、より更に好ましくは5nm以下である。
得られた微細化処理後の疎水変性セルロース繊維の長さ(平均繊維長)としては、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上である。また、同様の観点から、好ましくは1000nm以下、より好ましくは750nm以下、更に好ましくは500nm以下、更に好ましくは400nm以下である。
また、得られた微細化処理後の疎水変性セルロース繊維の平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上、更に好ましくは40以上、更に好ましくは50以上であり、同様の観点から、好ましくは150以下、より好ましくは140以下、更に好ましくは130以下、更に好ましくは100以下、更に好ましくは95以下、更に好ましくは90以下である。また、平均アスペクト比が上記範囲内にある場合、アスペクト比の標準偏差としては、流動抵抗低減性及びSP値が10以下である油の外部への移行抑制の観点から、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは45以下であり、下限は特に設定されないが、経済性の観点から、好ましくは4以上である。前記低アスペクト比を有する、微細化処理後の疎水変性セルロース繊維は、流動抵抗低減剤中での分散性に優れ、機械的強度が高く、脆性破壊し難い膜が得られる。
平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比は、後述の実施例に記載の測定方法により求めることができる。
なお、本発明において、セルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、前記の範囲に限定されるものではなく、例えばマイクロメーターのオーダーのものであっても使用することができる。
流動抵抗低減剤における疎水変性セルロース繊維の含有量は、SP値が10以下の油の外部への移行抑制及び耐久性の観点から、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、更に好ましくは0.4質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下である。
<SP値が10以下の油>
本発明においては、SP値が10以下の油を、流動抵抗低減剤又は流動抵抗低減膜を構成する潤滑油として含有することが好ましい。かかる油を使用することによって、流動抵抗低減作用をより強く発揮できるため、好ましい。
本明細書におけるSP値とは、Fedors法で計算される溶解度パラメーター(単位:(cal/cm1/2)を示し、例えば、参考文献「SP値基礎・応用と計算方法」(情報機構社、2005年)、Polymer handbook Third edition(A Wiley-Interscience publication, 1989)等に記載されている。
SP値が10以下の油の質量平均分子量には特に制限はないが、好ましくは100以上であり、また、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは20,000以下である。
本発明で使用されるSP値が10以下の油としては、例えば、オレイン酸(SP値:9.2)、D-リモネン(SP値:9.4)、PEG400(SP値:9.4)、コハク酸ジメチル(SP値:9.9)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(SP値:8.9)、ラウリン酸ヘキシル(SP値:8.6)、ラウリン酸イソプロピル(SP値8.5)、ミリスチン酸イソプロピル(SP値8.5)、パルミチン酸イソプロピル(SP値8.5)、オレイン酸イソプロピル(SP値:8.6)、ヘキサデカン(SP値:8.0)、オリーブ油(SP値:9.3)、ホホバ油(SP値:8.6)、スクアラン(SP値:7.9)、流動パラフィン(SP値:7.9)、フッ素系不活性液体(例えば、フロリナートFC-40(3M社製、SP値:6.1)、フロリナートFC-43(3M社製、SP値:6.1)、フロリナートFC-72(3M社製、SP値:6.1)、フロリナートFC-770(3M社製、SP値:6.1))、シリコーンオイル(例えば、KF96-1cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF-96-10cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF-96-50cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF-96-100cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF-96-1000cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF-96-10000cs(信越化学社製、SP値:7.3))等が挙げられる。これらの中では、流動抵抗を低減する観点及び油の流動物への移行抑制の観点から、油のSP値は、好ましくは9.5以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.5以下である。
流動抵抗低減剤におけるSP値が10以下の油の含有量は、該油の外部への移行抑制及び耐久性の観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1.0質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは15質量%以下である。
本発明の低減剤における疎水変性セルロース繊維中のセルロース繊維とSP値が10以下である油との質量比(セルロース繊維:油)は特に制限されないが、流動抵抗低減性を発揮させる観点から、好ましくは1:1以上、より好ましくは1:2以上、更に好ましくは1:3以上である。また、膜の耐久性の観点から、好ましくは1:100以下、より好ましくは1:50以下、更に好ましくは1:20以下である。なお、疎水変性セルロース繊維中のセルロース繊維の量は、換算量として、後述の実施例に記載の方法に従って求めることができる。
本発明の流動抵抗低減剤は、前述の各成分の他に、特定の高分子化合物、溶媒及びその他の成分からなる群より選択される1種以上の成分をさらに含有していてもよい。
<高分子化合物>
本発明においては、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物を、流動抵抗低減剤又は流動抵抗低減膜が含有することが好ましい。かかる特定の高分子化合物を使用することによって、流動抵抗低減作用がより強く発揮できるため、好ましい。SP値が10以下である油の外部への移行抑制及び膜の耐久性の観点から、(X)の高分子化合物がより好ましい。
(X)主鎖にエステル基、アミド基、ウレタン基、アミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する高分子化合物
(Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子化合物
前記高分子化合物は、SP値が10以下である油の外部への移行性及び膜の耐久性の観点から、分子量10万以上の高分子成分を含有するものが好ましい。高分子化合物中のこのような高分子成分の成分量としては、同様の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。高分子化合物の質量平均分子量や高分子化合物中の分子量10万以上の高分子成分の成分量は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
前記高分子化合物の質量平均分子量としては、SP値が10以下である油の移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは1000以上であり、同様の観点から、好ましくは50万以下である。
(高分子化合物(X))
主鎖にエステル基を有する高分子化合物(X)としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、及びアルケニルコハク酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオールとの縮合物等、あるいは、グルコール酸、乳酸などの一分子内にヒドロキシ基とカルボキシル基の両方を有する化合物の縮合物が挙げられる。
主鎖にアミド基を有する高分子化合物(X)としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、及びアルケニルコハク酸等のジカルボン酸と、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族ジアミン等のジアミンとの縮合物等が挙げられる。
主鎖にウレタン基を有する高分子化合物(X)としては、トリレジンジイソシアネート、ジフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオールとの重合物等が挙げられる。
主鎖にアミノ基を有する高分子化合物(X)としては、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ジメチルエチレンイミン、ペンチレンイミン、へキシレンイミン等のアルキルイミンの重合物等が挙げられる。
主鎖にエーテル基を有する高分子化合物(X)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドの重合物、ホルムアルデヒドの重合物等が挙げられる。
主鎖にカーボネート基を有する高分子化合物(X)としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のポリオールとホスゲンとの縮合物等が挙げられる。
高分子化合物(X)は、SP値が10以下である油の外部への移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは下記の(a)及び(b)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物であり、SP値が10以下である油の外部への流動物への移行抑制及び膜の耐久性の観点から、(a)のポリアミド化合物がより好ましい。
(a)ポリアミド化合物
(b)ポリアルキレンイミン化合物
(a)ポリアミド化合物
ポリアミド化合物としては、セルロース構造を有さず、かつ、アミド結合(-CONH-)を有する高分子化合物であれば、いかなる化学構造を有するポリアミド化合物を使用することもできる。ポリアミド化合物は、例えば、主として脂肪族骨格からなるナイロンであってもよいし、主として芳香族骨格をもつアラミドであってもよい。更にはこの両者以外の骨格構造を有するものでもよい。一方で好適に用いられる構造体としては、アミン化合物と、モノカルボン酸、ジカルボン酸及び重合脂肪酸からなる群より選択される1種以上のカルボン酸とからなるポリアミドが挙げられる。
ポリアミド化合物の質量平均分子量としては、SP値が10以下である油の外部への移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは2万以上、更に好ましくは3万以上であり、同様の観点から、好ましくは50万以下、より好ましくは25万以下、更に好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下である。
ポリアミド化合物は、通常、環状ラクタムの開環重合反応や、アミノ酸やその誘導体の自己縮合反応、カルボン酸とアミン化合物との縮重合反応などにより得られる。カルボン酸とアミン化合物との縮重合反応によるポリアミド化合物は、例えば、カルボン酸とアミン化合物とを縮合(縮重合)反応させて得ることができる。
一方の原料であるカルボン酸においては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及び重合脂肪酸を好適に用いることができる。
また、他方の原料であるアミン化合物としては、ポリアミン、アミノカルボン酸、アミノアルコールなどが挙げられる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、ペンタペンチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン、(オルト、パラ又はメタ)キシレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンなどの芳香族ジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミンが挙げられる。アミノカルボン酸としては、メチルグリシン、トリメチルグリシン、6-アミノカプロン酸、δ-アミノカプリル酸、ε-カプロラクタムなどが挙げられる。アミノアルコールとしては、エタノールアミン、プロパノールアミンなどが挙げられる。
これら原料として使用される各化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
また、SP値が10以下である油の外部への移行性及び膜の耐久性の観点から、アミン化合物として、好ましくはポリアミンを含むアミン成分、より好ましくは、前記アミン化合物として、ジアミンと、トリアミン、テトラミン、ペンタミン及びヘキサテトラアミンからなる群から選ばれる1種以上とを併用するアミン成分(「アミン成分1」とする。)や、2種以上のジアミンを含むアミン成分(「アミン成分2」とする。)を用いることができる。
(b)ポリアルキレンイミン化合物
ポリアルキレンイミン化合物とは、主鎖がアルキレン基とアミノ基からなる繰返し単位であり、下記式(A)及び/又は式(B)の構造の繰返し単位を有する高分子化合物である。
Figure 0007372087000003
前記式(A)及び式(B)中、Qはアルキレン基を示す。ここで、Qで示されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。アルキレン基は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。これらのうち、アルキレン基がエチレン基であることが好ましい。すなわち、ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミンであることが好ましい。
ポリアルキレンイミン化合物の質量平均分子量としては、SP値が10以下である油の外部への移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上、更に好ましくは1万以上であり、同様の観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下、更に好ましくは2万以下である。
(高分子化合物(Y))
高分子化合物(Y)、即ち、側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子化合物としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリN-メチル(メタ)アクリルアミド、ポリN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリN-フェニル(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
本発明の流動抵抗低減剤がかかる高分子化合物を含有する場合、該流動抵抗低減剤における高分子化合物の含有量は、有機媒体の外部への移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、更に好ましくは2.0質量%以下である。
<溶媒>
溶媒としては、例えば、イソプロパノール(IPA)、1-プロパノール、エタノール、メタノール、t-ブタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。
流動抵抗低減剤が溶媒を含む場合、流動抵抗低減剤における溶媒の含有量は、疎水変性セルロース繊維等を十分に分散させる観点から、好ましくは80.0質量%以上であり、より好ましくは85.0質量%以上であり、更に好ましくは88.0質量%以上である。また、膜形成時間の短縮化の観点から、好ましくは99.5質量%以下であり、より好ましくは99.0質量%以下であり、更に好ましくは98.0質量%以下である。
<その他の成分>
流動抵抗低減剤には本発明の効果を損なわないその他の成分(任意成分)が含まれていてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、可塑剤、結晶核剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、加水分解抑制剤、難燃剤、酸化防止剤、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;香料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;紫外線分散剤;消臭剤等が挙げられる。低減剤におけるこれらの任意成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。任意成分が2種以上の場合、任意成分の量は各任意成分の合計量である。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内で、他の高分子材料や他の組成物を添加することも可能である。
[成形体への流動抵抗低減膜の形成方法]
本発明の、成形体への流動抵抗低減膜の形成方法は、前述の本発明の流動抵抗低減剤を成形体に塗布する工程を有する。
本明細書における流動抵抗低減剤の適用対象(「成形体」と称する場合がある。)は、その表面が液体と接する物体である。例えば、配管、チューブ、ノズル、船底又は流体チャネルが挙げられる。
流動抵抗低減剤の塗布の方法としては、例えば、特に限定されないが、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、ブラシコーティングなどが挙げられる。必要に応じて、成形体と抑制膜との密着性を向上させるために、プライマーを予め成形体表面に塗工しても良い。成形体上の塗膜の厚みとしては、流動抵抗低減性、耐久性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、塗布性の観点から、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下、更に好ましくは1200μm以下である。
次いで、塗膜を乾燥させて膜を得る。乾燥条件としては、減圧下でも常圧下でもよく、温度範囲としては15~75℃が好ましい。また、乾燥のための時間としては、1~24時間が好ましい。
このようにして、流動抵抗低減膜が成形体の表面に形成され、膜を有する成形体が得られる。
[流動抵抗低減膜]
本発明の流動抵抗低減膜は、特定の疎水変性セルロース繊維、即ち、セルロース繊維のアニオン性基及び水酸基から選ばれる1種以上に修飾基が結合されてなる疎水変性セルロース繊維と、SP値が10以下である油とを含有する。ここで、アニオン性基がカルボキシ基であることが好ましい。このような本発明の流動抵抗低減膜は、膜上を流体が流れる際に、流動抵抗を低減できる効果を有する膜であり、本発明の流動抵抗低減剤を塗布することによって、成形体の内側もしくは外側または両側の表面の一部もしくは全面に、容易に形成させることができる。本発明の膜は成形体の全面を覆うことができるため、既存技術に比べて効果的に流動抵抗を低減することが可能である。ここで膜とは、常温で流動せずに形状を保持する膜をいう。膜の表面硬度としては、例えば、微小硬度計で測定した場合、下記式により算出されるマルテンス硬さ(HM)が0.1(N/mm)以上の膜が好ましい。
HM=F/(26.43×hmax
F:試験力(N)
hmax:押し込み深さの最大値(mm)
本発明の流動抵抗低減膜が前記効果を発揮することの詳細なメカニズムは定かではないが、考え得る可能性として、流体と膜界面での流体の滑り現象が起こり、流動抵抗が低減することが挙げられる。
本発明の膜の厚みは特に制限はなく、膜の耐久性の観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3μm以上であり、更に好ましくは5μm以上であり、経済性の観点から、好ましくは2000μm以下であり、より好ましくは1200μm以下であり、更に好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。なお、膜の厚みは、アプリケーター等の塗布用具による塗膜厚の設定や、低減剤中の溶媒の割合を調整することにより、所望の値とすることができる。
本発明の低減膜は、低粘度~高粘度の幅広い粘度を有する流体に対して、流動抵抗を低減することができる。本明細書において流体とは、管内や物体まわりに流れる際の流体をいい、気体と液体、もしくはその混合体を含む。本発明の低減膜上を流れる流体、即ち、本発明の低減膜の対象となる流体の30℃における粘度は、好ましくは0.5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは100mPa・s以上、更に好ましくは1,000mPa・s以上であり、好ましくは1,000,000mPa・s以下、より好ましくは100,000mPa・s以下、更に好ましくは10,000mPa・s以下である。ここでの流体の粘度の測定条件は、30℃、B8R型粘度計(東機産業社製:TVB-10R、ローターNo.T-C)を使用し、10r/min、1分である。
本発明の膜中の疎水変性セルロース繊維の量としては、特に限定されないが、流動抵抗低減の観点及び膜の耐久性の観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは4質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。
本発明の膜中のSP値が10以下である油の量としては、特に限定されないが、該油の移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、更に好ましくは96質量%以下である。SP値が10以下の油が2種以上の場合、SP値が10以下の油の量は各油の合計量である。
本発明の膜が前記高分子化合物を含有する場合、膜中の高分子化合物の量としては、特に限定されないが、油の移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは12質量%以上、更に好ましくは16質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは27質量%以下、更に好ましくは24質量%以下、更に好ましくは22質量%以下である。高分子化合物が2種以上の場合、高分子化合物の量は各高分子化合物の合計量である。
本発明の膜には本発明の効果を損なわない任意成分が含まれていてもよい。膜におけるこれらの任意成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。任意成分が2種以上の場合、任意成分の量は各任意成分の合計量である。
本発明の膜は流動抵抗低減効果が高いだけでなく、膜自体の耐久性に優れるためにその効果を長期間維持できることから、各種用途、例えば、日用品、化粧品、家電製品などの包装材として、ブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の包装容器用の内装材、食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイや輸送用パイプ等、さらには船底やプロペラ、電線等の被覆材として好適に用いることができる。
[本発明の成形体]
本発明の成形体は、前述の本発明の流動抵抗低減膜を有する成形体である。本明細書において、成形体とは、ガラス、樹脂、金属、セラミックス又はコンクリート等を素材とする硬質表面や、繊維表面等表面を有する物体であり、本発明の膜がその固体表面上に形成される対象である。成形体の形状は特に限定されず、板状、(中空の)筒状及びフィルム状のものや、これらの成形体を所定の形状、例えばトレイ及び船底等にさらに加工したものが例示できる。具体的には、前述の膜を有する配管、チューブ、ノズル、船底、水着又は流体チャネルが挙げられる。かかる膜を有する成形体は、流動物の抵抗性が大きく低減されるという効果を有する。
成形体の具体例としては、記載事項に限定されるわけではないが、パイプ、配管、タンク、電線、ワイヤーロープ、標識版、冠雪防止板、ミラー、シェルター、照明灯、柵、信号機、ガード等の屋外設備や、換気扇、排水口、パッキン、洗面台、トイレ、浴室内部、洗濯機、空調、シンク、台所等の住宅設備や、屋根、壁、窓、トンネル、橋、物置等の建造物や、内視鏡、人工透析機、カテーテル、義歯、義歯を固定するための器具等の医療機器や、金属加工装置、金属加工器具、工作機械部品、食器、洗面桶等の器具や、船舶(船底)、自動車、飛行機、鉄道車両等の乗り物や、瓶、ボトル、パウチ、フィルム容器、ジャー容器、袋、トレイ、ブリスターパック、缶、紙パック、ポンプ、吐出具、ドラム容器、カートリッジ等の容器や、衣類、生理用品、おむつ等の不織布が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは25℃を示す。
〔アニオン変性セルロース繊維及び疎水変性セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比〕
測定対象のセルロース繊維に水を加えて、その含有量が0.0001質量%の分散液を調製する。該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM)、Nanoscope II Tappingmode AFM、Digital instrument社製;プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維の繊維高さ(繊維のあるところとないところの高さの差)を測定する。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、セルロース繊維を100本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。繊維方向の距離より、平均繊維長を算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出し、標準偏差も算出する。一般に、高等植物から調製されるセルロースナノファイバーの最小単位は6×6の分子鎖がほぼ正方形の形でパッキングされていることから、AFMによる画像で分析される高さを繊維径とみなすことができる。
〔原料のセルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長〕
測定対象のセルロース繊維にイオン交換水を加えて、その含有量が0.01質量%の分散液を調製する。該分散液を湿式分散タイプ画像解析粒度分布計(ジャスコインターナショナル社製、商品名:IF-3200)を用いて、フロントレンズ:2倍、テレセントリックズームレンズ:1倍、画像分解能:0.835μm/ピクセル、シリンジ内径:6515μm、スペーサー厚み:500μm、画像認識モード:ゴースト、閾値:8、分析サンプル量:1mL、サンプリング:15%の条件で測定する。セルロース繊維を100本以上測定し、それらの平均ISO繊維径を平均繊維径をとして、平均ISO繊維長を平均繊維長として算出する。
〔酸化セルロース繊維及び疎水変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量〕
乾燥質量0.5gの測定対象のセルロース繊維を100mLビーカーにとり、イオン交換水又はメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、ここに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製する。測定対象のセルロース繊維が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5~3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT-701」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定する。pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、測定対象のセルロース繊維のカルボキシ基含有量を算出する。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=[水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)]/[測定対象のセルロース繊維の質量(0.5g)]
〔酸化セルロース繊維及び疎水変性セルロース繊維のアルデヒド基含有量〕
ビーカーに、測定対象のセルロース繊維100.0g(固形分含有量1.0質量%)、酢酸緩衝液(pH4.8)、2-メチル-2-ブテン0.33g、亜塩素酸ナトリウム0.45gを加え常温で16時間撹拌して、アルデヒド基の酸化処理を行う。反応終了後、イオン交換水にて洗浄を行い、アルデヒド基を酸化処理したセルロース繊維を得る。反応液を凍結乾燥処理し、得られた乾燥品のカルボキシ基含有量を上記の方法で測定し、「酸化処理したセルロース繊維のカルボキシ基含有量」を算出する。続いて、次式にて測定対象のセルロース繊維のアルデヒド基含有量を算出する。
アルデヒド基含有量(mmol/g)=(酸化処理したセルロース繊維のカルボキシ基含有量)-(測定対象のセルロース繊維のカルボキシ基含有量)
〔分散液中の固形分含有量〕
ハロゲン水分計(島津製作所社製;商品名「MOC-120H」)を用いて行う。サンプル1gに対して150℃恒温で30秒ごとの測定を行い、質量減少が0.1%以下となった値を固形分含有量とする。
〔疎水変性セルロース繊維の修飾基の結合量及び導入率(イオン結合)〕
修飾基の結合量を次のIR測定方法により求め、下記式によりその結合量及び導入率を算出する。IR測定は、具体的には、乾燥させた疎水変性セルロース繊維を赤外吸収分光装置(IR)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製;商品名「Nicolet 6700」)を用いATR法にて測定し、下記式A及びBにより、修飾基の結合量及び導入率を算出する。
<式A>
修飾基の結合量(mmol/g)=a×(b-c)÷d
a:酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)
b:酸化セルロース繊維の1720cm-1のピーク強度
c:疎水変性セルロース繊維の1720cm-1のピーク強度
d:酸化セルロース繊維の1720cm-1のピーク強度
1720cm-1のピーク強度:カルボン酸のカルボニル基に由来するピーク強度
<式B>
修飾基の導入率(mol%)=100×e/f
e:修飾基の結合量(mmol/g)
f:酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)
〔疎水変性セルロース繊維における結晶構造の確認〕
疎水変性セルロース繊維の結晶構造は、X線回折計(リガク社製、MiniFlexII)を用いて以下の条件で測定することにより確認する。
測定条件は、X線源:Cu/Kα-radiation、管電圧:30kv、管電流:15mA、測定範囲:回折角2θ=5~45°、X線のスキャンスピード:10°/minとする。測定用サンプルは面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製する。また、セルロースI型結晶構造の結晶化度は得られたX線回折強度を、以下の式(A)に基づいて算出する。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6-I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
一方、上記式(A)で得られる結晶化度が35%以下の場合には、算出精度の向上の観点から、「木質科学実験マニュアル」(日本木材学会編)のP199-200の記載に則り、以下の式(B)に基づいて算出することが好ましい。
したがって、上記式(A)で得られる結晶化度が35%以下の場合には、以下の式(B)に基づいて算出した値を結晶化度として用いることができる。
セルロースI型結晶化度(%)=[Ac/(Ac+Aa)]×100 (B)
〔式中、Acは、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)、(011面)(回折角2θ=15.1°)および(0-11面)(回折角2θ=16.2°)のピーク面積の総和、Aaは,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)のピーク面積を示し、各ピーク面積は得られたX線回折チャートをガウス関数でフィッティングすることで求める〕
〔疎水変性セルロース繊維におけるセルロース繊維(換算量)〕
疎水変性セルロース繊維におけるセルロース繊維(換算量)は、以下の方法によって測定する。
(1)添加される「修飾基を導入するための化合物」が1種類の場合
セルロース繊維量(換算量)を下記式Eによって算出する。
<式E>
セルロース繊維量(換算量)(g)=疎水変性セルロース繊維の質量(g)/〔1+修飾基を導入するための化合物の分子量(g/mol)×修飾基の結合量(mmol/g)×0.001〕
(2)添加される「修飾基を導入するための化合物」が2種類以上の場合
各化合物のモル比率(即ち、添加される化合物の合計モル量を1とした時のモル比率)を考慮して、セルロース繊維量(換算量)を算出する。
なお、セルロース繊維と修飾基との結合様式がイオン結合の場合、上述の式Eにおいて、「修飾基を導入するための化合物の分子量」とは、「修飾基を導入するための化合物全体の分子量」を指す。一方、セルロース繊維と修飾基を導入するための化合物との結合様式がアミド結合の場合、上述の式Eにおいて、「修飾基を導入するための化合物の分子量」とは、「修飾基を導入するための化合物全体の分子量-18」である。
〔膜の算術平均粗さの測定〕
膜の算術平均粗さは、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK-9710)を用いて以下の測定条件で測定する。測定条件は、対物レンズ:10倍、光量:3%、明るさ:1548、Zピッチ:0.5μmとする。算術平均粗さは、内蔵の画像処理ソフトを用いて5点測定し、その平均値を用いる。
〔酸化セルロース繊維分散液の作製〕
調製例1(天然セルロース繊維にN-オキシル化合物を作用させて得られる酸化セルロース繊維の分散液)
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(SIGMA ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25g、臭化ナトリウム12.5g、次亜塩素酸ナトリウム28.4gをこの順で添加した。自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名:AUT-701)でpHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。撹拌速度100rpmにて反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。
得られた酸化パルプに0.01Mの塩酸を加えてpH=2とした後に、イオン交換水を用いて、コンパクト電気伝導率計(堀場製作所製、LAQUAtwin EC-33B)によるろ液の電導度測定において200μs/cm以下になるまで十分に洗浄し、次いで脱水処理を行って、アニオン変性セルロース繊維を得た。得られたアニオン変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量は1.50mmol/g、アルデヒド基含有量は0.23mmol/gであった。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボ HJP-25005)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、酸化セルロース繊維分散液(固形分含有量1.3質量%)を得た。この酸化セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.62mmol/g、アルデヒド基量は0.27mmol/gであった。
調製例2(アルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維の分散液)
ビーカーに調製例1で得られた酸化セルロース繊維分散液3846.15g(固形分含有量1.3質量%)を投入し、ここに1M水酸化ナトリウム水溶液を加えpH10程度にした後、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬工業社製、純度95質量%)を2.63g仕込み、常温下3時間反応させアルデヒド基の還元処理を行った。反応終了後、1M塩酸水溶液を405g、イオン交換水を4286g加え0.7質量%の水溶液とし、常温下1時間反応させプロトン化を行った。反応終了後ろ過し、得られたケークをイオン交換水にて洗浄し塩酸及び塩を除去した。最後にイソプロパノールで溶媒置換し、アルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維分散液を得た。
得られた酸化セルロース繊維分散液に0.01Mの塩酸を加えてpH=2とした後に、イオン交換水を用いて、コンパクト電気伝導率計(堀場製作所製、LAQUAtwin EC-33B)によるろ液の電導度測定において200μs/cm以下になるまで十分に洗浄し、次いで脱水処理を行って、酸化セルロース繊維を得た。得られたアルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.62mmol/g、アルデヒド基量は0.02mmol/gであった。
〔疎水変性セルロース繊維の作製〕
製造例1
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例2で得られた酸化セルロース繊維分散液300g(固形分含有量2.0質量%)を仕込んだ。続いて、アミノ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製「BY16-209」;「シリコーン1」と略記する。)を、酸化セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミノ基0.5molに相当する量を仕込み、イソプロパノール100gを添加し、これらの混合物を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、得られたケークをイソプロパノールにて洗浄後、ホモジナイザー(プライミクス社製、商品名:T.K.ロボミックス)にて5000rpm、5分間攪拌後、高圧ホモジナイザー(吉田機械社製、商品名:ナノヴェイタL-ES)にて150MPaで10パス処理することで、酸化セルロース繊維に、アミノ変性シリコーンがイオン結合を介して連結した疎水変性セルロース繊維を得た。修飾基の導入率は酸化セルロース繊維のカルボキシ基の40mol%であった。この疎水変性セルロース繊維の結晶化度は30%であった。
実施例1
製造例1で得られた疎水変性セルロース繊維を用いて、次のようにして膜を作製した。疎水変性セルロース繊維のセルロース繊維:スクアラン(潤滑油)が1:3の質量比になるように、また、溶媒が分散液全体の98質量%になるように、疎水変性セルロース繊維、スクアラン及び溶媒(イソプロパノール:トルエン=100:5の混合溶媒)を配合し、スクリュー管中、常温で24時間撹拌した。得られた分散液を流動抵抗低減剤として、L200mm×W50mm×T3mmのSUS304(北村鉄工所社製)上にアプリケーター(テスター産業株式会社製)を用いて、流動抵抗低減剤の厚みが2100μmになるように塗工した。常温(25℃)下で12時間乾燥させることにより溶媒を揮発させ、膜厚が約50μmの流動抵抗低減膜を得た。なお、流動抵抗低減膜の算術平均粗さは1.7μmであった。
実施例2
製造例1で得られた疎水変性セルロース繊維を用いて、次のようにして膜を作製した。疎水変性セルロース繊維のセルロース繊維:スクアラン(潤滑油):ポリアミドが1:3:1の質量比になるように、また、溶媒が分散液全体の97質量%になるように、疎水変性セルロース繊維、スクアラン、ポリアミド及び溶媒(イソプロパノール:トルエン=100:5の混合溶媒)を配合し、スクリュー管中、常温で24時間撹拌した。得られた分散液を流動抵抗低減剤として、L200mm×W50mm×T3mmのSUS304(北村鉄工所社製)上にアプリケーター(テスター産業株式会社製)を用いて、流動抵抗低減剤の厚みが1800μmになるように塗工した。常温(25℃)下で12時間乾燥させることにより溶媒を揮発させ、膜厚が約50μmの流動抵抗低減膜を得た。なお、流動抵抗低減膜の算術平均粗さは1μmであった。
実施例2で使用したポリアミドは次のようにして調製した。
ハリダイマー 250K:450gを2Lセパラフラスコにとり、70℃に昇温した後に窒素置換を行った。その後、エチレンジアミン:45g、ジエチレントリアミン:5gを徐々に添加し、添加後に内温が145℃になるまで昇温を行った。145℃で1時間撹拌した後に、内温を210℃に昇温し、6時間撹拌を行った。その後、内温を210℃に保ったまま、内圧を45KPaになるまで真空ポンプを用いて減圧を行い、0.5時間撹拌を行い、ポリアミドを調製した。
Figure 0007372087000004
ハリダイマー 250K(ハリマ化成株式会社製):Cas番号61788-89-4:100%(C36 Dimer acid)
なお、ポリアミドにおけるジエチレントリアミンの含有率は3.0モル%であった。
高分子化合物の分子量測定方法
質量平均分子量(Mw)は、日立L-6000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L-6000、検出器はショーデックスRI SE-61示差屈折率検出器、カラムはGMHHR-Hをダブルに接続したものを用いた。サンプルは、溶離液で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。溶離液には、1mmol/LのファーミンDM20(花王株式会社製)のクロロホルム溶液を使用した。カラム温度は40℃で、流速は1.0mL/分で行った。検量線の作成のための標準ポリマーとしては、ポリスチレン(東ソー株式会社製)を使用した。
GPC測定により得られたチャートから、高分子化合物中の分子量10万以上の高分子成分の成分量を、下記式に従い算出した。
分子量10万以上の成分量=(分子量10万以上の面積)/(全体の面積)
比較例1
L200mm×W50mm×T3mmの未処理のSUS304(北村鉄工所社製)を比較例1とした。
比較例2
L200mm×W50mm×T3mmのSUS304(北村鉄工所社製)上に超撥水粗面を有する、トーヤルウルトラロータス(東洋アルミニウム社製)をスプレーのり(3M社製 スプレーのり55)で貼付け、トーヤルウルトラロータス上にFluorinert(SIGMA ALDRICH社製:FC-70)を含浸させた。
試験例1(流動抵抗測定)
図1で示すようにSUS304で構成されたスリット流れの流路デバイス中に、水道水(30℃における粘度:0.8mPa・s)を流した際の圧力損失の測定を行った。基板(実施例1~2、比較例1~2)で厚さ4mmのPTFEのスペーサーを挟み、圧力ポート間距離230mm、スリット幅30mm、スリット高さ4mm、流量13.3L/分の条件で、入口圧力ポートと出口圧力ポートには、透明チューブを繋ぎ、室温20℃、水温9℃にて、液供給口にはホースで水道の蛇口を繋ぎ、水を60分流した際の圧力損失で比較した。入口と出口に繋がれたシリコンチューブ中の水面の高さの差を測定することで水頭圧を測定し、圧力損失を評価した。
結果を表2に示す。未処理のSUS基板である比較例1に比べ、実施例1、2は圧力損失が低減していることが分かる。つまり、実施例1、2は水を流した際に効果が得られる流動抵抗低減膜であることが分かった。さらに、比較例2は未処理のSUS基板(比較例1)より圧力損失が増加した。測定後の基板サンプルを観察すると、粗面に含浸されていた潤滑油の大部分がはぎ取られており、表面からオイル感が消失していることが確認された。このことから、粗面に潤滑油を含浸させた比較例2は水を流した際のせん断力に弱い膜であり、流動抵抗低減膜として劣ることが分かった。
試験例2(流動抵抗測定)
図1で示すようにSUS304で構成されたスリット流れの流路デバイス中に、エッセンシャルコンディショナー しっとりツヤ髪(花王社製、30℃における粘度:30,000mPa・s)を流した際の圧力損失の測定を行った。基板(実施例1~2、比較例1~2)で厚さ4mmのPTFEのスペーサーを挟み、圧力ポート間距離230mm、スリット幅30mm、スリット高さ4mm、流量60g/分の条件で、入口圧力ポートと出口圧力ポートには、圧力計(岡野製作所社製 真空コントローラーVCN-300)を繋ぎ、室温20℃にて、液供給口にはシリコンチューブでポンプ(兵神装備社製 ヘイシンモノポンプ2NL04F)と繋ぎ、コンディショナーを3分流した際の圧力損失を比較した。
結果を表2に示す。未処理のSUS基板である比較例1に比べ、実施例1、2は大きく圧力損失が低減していることが分かる。つまり、高粘度流体を流した際には水と比較すると低減率は大きく、大きな効果が得られる流動抵抗低減膜であることが分かった。さらに、比較例2は未処理のSUS基板より圧力損失が大きいことが分かる。測定後の基板サンプルを観察すると、コンディショナーによって粗面に含浸されていた潤滑油ははぎ取られており、粗面がコンディショナーで満たされている状態であった。このことから、粗面に潤滑油を含浸させた比較例2は高粘度流体やコンディショナーのような非ニュートン流体を流す際、流体のせん断力に弱い膜であり、流動抵抗低減膜として劣ることが分かった。
Figure 0007372087000005
表中の圧力損失値は、測定装置の(入口圧力-出口圧力)である。また、流動抵抗低減率は、比較例1のSUS(未塗工)を基準として比較し、次の式で算出した。
((SUSの圧力損失)-(コーティング時の圧力損失))/(SUSの圧力損失)×100
本発明の流動抵抗低減剤を塗布して形成される膜は、高い流動抵抗低減効果を有するので、流動抵抗を小さくしたい分野、例えば、船舶や包装容器の分野に利用することができる。
PG 圧力計

Claims (9)

  1. セルロース繊維のアニオン性基にアミノ変性シリコーン化合物が結合されてなる疎水変性セルロース繊維と、SP値が10以下である油とを含有する、流動抵抗低減剤。
  2. アニオン性基がカルボキシ基である、請求項1に記載の流動抵抗低減剤。
  3. 疎水変性セルロース繊維中のセルロース繊維と油との質量比(セルロース繊維:油)が1:1~1:100である、請求項1又は2に記載の流動抵抗低減剤。
  4. さらに、下記の(X)及び(Y)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の流動抵抗低減剤。
    (X)主鎖にエステル基、アミド基、ウレタン基、アミノ基、エーテル基又はカーボネート基を有する高分子化合物
    (Y)側鎖にエステル基若しくはアミド基を有するメタクリル系又はアクリル系高分子化合物
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の流動抵抗低減剤を成形体に塗布する工程を有する、成形体への流動抵抗低減膜の形成方法。
  6. セルロース繊維のアニオン性基にアミノ変性シリコーン化合物が結合されてなる疎水変性セルロース繊維と、SP値が10以下である油とを含有する、流動抵抗低減膜。
  7. アニオン性基がカルボキシ基である、請求項に記載の流動抵抗低減膜。
  8. 30℃における粘度範囲が10~1,000,000mPa・sである流体を対象とする、請求項6又は7に記載の流動抵抗低減膜。
  9. 請求項6~8のいずれか1項に記載の流動抵抗低減膜を有する成形体。
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