JP2019182997A - 疎水変性セルロース繊維及び油を配合してなる膜 - Google Patents

疎水変性セルロース繊維及び油を配合してなる膜 Download PDF

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Abstract

【課題】膜を構成する油の流動物への移行性が小さく、流動物の付着防止効果を長期間維持できる膜に関すること。並びに膜を繰り返し使用した場合でも付着防止効果を維持できる耐久性に優れた膜に関すること。【解決手段】アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基にシリコーン化合物が結合されてなる疎水変性セルロース繊維とSP値が10以下の油とを配合してなる膜であって、疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量が0.8mmol/g以上である、膜。【選択図】なし

Description

本発明は、疎水変性セルロース繊維及び油を配合してなる膜に関する。
従来より、化粧料や食品等の包装容器等の分野において、対象物や汚れの付着を防止する表面膜が開発されてきた。最近では、繊維状の高分子が三次元方向に相互に絡み合った網目構造の骨格を形成し、その空隙として連続細孔構造を有する多孔質高分子膜と、前記多孔質高分子膜の孔内部に含浸された滑剤液とを有することを特徴とする滑水・滑油性膜が知られており(特許文献1)、特許文献1では、滑剤液としてフッ素系油又はシリコーン油が例示されている(請求項7)。
特開2016−011375号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、表面膜を構成する油が対象物に移行してしまい、結果的に表面膜の汚れ等の付着防止効果が損なわれる可能性があった。かかる現象は、対象物(流動物)に油性成分が含まれている場合や、膜を繰り返し使用した場合に特に顕著に生じ得る。
本発明は、膜を構成する油の流動物への移行性が小さく、流動物の付着防止効果を長期間維持できる膜に関する。更に本発明は、膜を繰り返し使用した場合でも付着防止効果を維持できる耐久性に優れた膜に関する。
本発明は、下記〔1〕に関する。
〔1〕 アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基にシリコーン化合物が結合されてなる疎水変性セルロース繊維とSP値が10以下の油とを配合してなる膜であって、疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量が0.8mmol/g以上である、膜。
本発明の膜は、膜を構成する油の流動物への移行性が小さく、流動物の付着防止効果を長期間維持できるという効果を有する。更に本発明の膜は、膜を繰り返し使用した場合でも付着防止効果を維持できるという優れた耐久性を発揮できるという効果を有する。
[膜]
本発明の膜は、特定の疎水変性セルロース繊維とSP値が10以下の油とが配合されてなる。ここで膜とは、室温で流動せずに形状を保持する膜をいう。膜の表面硬度としては、例えば、微小硬度計で測定した場合、次の式により算出されるマルテンス硬さ(HM)が0.1(N/mm)以上の膜が好ましい。具体的には、後述の実施例に記載の方法により膜のマルテンス硬さが測定される。
HM=F/(26.43×hmax
F:試験力(N)
hmax:押し込み深さの最大値(mm)
本発明の膜が、表面膜を構成する油の流動物への移行性が小さく、流動物の付着防止効果を長期間維持できるという効果を発揮するというメカニズムは定かではないが、以下のように推定される。SP値が10以下の油は、SP値が10を超える有機媒体よりも疎水性が高いため、SP値が10以下の油は疎水変性セルロース繊維との親和性が強くなると考えらえる。その結果、SP値が10以下の油は、疎水変性セルロース繊維から容易に離れることがないため、流動物に油性成分が含まれている場合でも流動物に移行しにくくなるものと推定される。さらに、シリコーン化合物の平均結合量を0.8mmol/g以上としたことで、得られる膜の平滑性が向上し、その結果、流動物の付着防止効果がより高まったものと推定される。
更に、本発明の膜が優れた耐久性を発揮するというメカニズムは定かではないが、以下のように推定される。シリコーン化合物の平均結合量を0.8mmol/g以上としたことで、得られる疎水変性セルロース繊維の繊維間のネットワークがより均一となり、その結果、膜の強度が向上し、それに伴い膜の耐久性も向上したものと推定される。
本発明の膜は、平滑性が高いほど、滑液表面性が高くなるため好ましい。具体的には、膜の算術平均粗さとして、費用対効果の観点から、好ましくは0.5μm以上であり、一方、滑液表面性の観点から、好ましくは2.5μm以下であり、より好ましくは2.0μm以下であり、更に好ましくは1.5μm以下である。なお、膜の算術平均粗さは、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の膜の厚みは特に制限はなく、膜の耐久性の観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3μm以上であり、更に好ましくは5μm以上であり、経済性の観点から、好ましくは2000μm以下であり、より好ましくは1200μm以下であり、更に好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。なお、膜の厚みは、アプリケーター等の塗布用具による塗膜厚の設定や、分散体中の溶媒の割合を調整することにより、所望の値とすることができる。
<滑液表面膜>
本発明の膜は、文献(超撥水・超撥油・滑液性表面の技術/発行者:元木浩/発行所:サイエンス&テクノロジー株式会社/2016年1月28日発行)に示される滑液表面性を示すことが好ましい。本明細書において、かかる滑液表面性を発揮する膜を「滑液表面膜」とも称する。
滑液表面性は、例えば、論文(Nature 2011年、vol477, p443−447)記載の方法により測定することができる。具体的には、室温20℃にて、滑液表面性は、滑液表面に対して8μLの液滴(20℃)を滴下し、10秒静置した後に1°/sの速さで表面を傾け、液滴が流れ始める角度(以下、滑落角ともいう。)を測定することにより評価できる。例えば、上記の測定方法で液滴として水を用いた場合、膜における滑落角は、滑液表面性を発現する観点から、好ましくは80°以下であり、より好ましくは50°以下であり、更に好ましくは40°以下である。
本発明の膜は流動物の付着抑制効果が高いため、例えば、固体表面を滑液表面に改質するための滑液表面膜として使用することができる。
本発明の膜の用途としては、例えば、化粧料や食品等の包装容器の内装材、輸送用パイプ、船底、電線等の被覆材等が挙げられる。
本発明の膜は流動物の付着抑制効果が高いことが一つの特徴である。具体的には、滑落速度は、好ましくは1.5cm/分以上であり、より好ましくは2.0cm/分以上であり、更に好ましくは2.5cm/分以上である。なお、滑落速度は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の膜は、SP値が10以下の油の流動物への移行性が小さいことが一つの特徴である。移行性が小さいことにより、膜をより長期間維持することができ、その結果、付着抑制効果もより長期間発揮される。油移行率は低ければ低いほど好ましく、具体的には、好ましくは5.0%以下であり、より好ましくは4.0%以下であり、更に好ましくは3.0%以下であり、更に好ましくは0%である。なお、油移行率は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
<流動物>
本発明における流動物とは、例えば化粧料や食品そのものといった、包装対象又は被覆対象の物である。本発明の膜において付着を抑制できる流動物は特に限定されないが、本発明の効果が発現し易い観点から、流動物の粘度は、好ましくは0.1mPa・s以上、より好ましくは0.5mPa・s以上、更に好ましくは0.8mPa・s以上であり、同様の観点から、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは80,000mPa・s以下、更に好ましくは50,000mPa・s以下である。なお、流動物の粘度は、E型粘度計(25℃、1rpm、1分後、標準コーンロータ、ロータコード:01)により測定することができる。
また、本発明の効果が発現し易い観点から、流動物の表面張力は、好ましくは15mN/m以上、より好ましくは18mN/m以上、更に好ましくは20mN/m以上であり、同様の観点から、好ましくは75mN/m以下である。なお、流動物の表面張力は、プレート法(Wilhelmy法)により測定することができる。
<疎水変性セルロース繊維>
本発明における疎水変性セルロース繊維とは、アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基にシリコーン化合物が結合されてなるものであり、SP値10以下の油に分散性を示すものであればより好ましい。SP値10以下の油に対して分散性を有するとは、例えば、油と対象の疎水変性セルロース繊維との混合液の粘度をE型粘度計(25℃、1rpm、1分後、標準コーンロータ、ロータコード:01)を用いて測定した場合、増粘が観測されることをいう。例えば、本発明における疎水変性セルロースとしては、SP値10以下の油の代表例としてスクアラン中にセルロース繊維の含有量を0.5質量%になるように調製した液の微細化処理後の分散液粘度が50mPa・s以上になるものが好ましい。なお、微細化処理は、後述の方法により行うことができる。
(セルロース繊維)
疎水変性セルロース繊維の原料のセルロース繊維としては、環境面から好ましくは天然セルロース繊維であり、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
原料のセルロース繊維の平均繊維径は特に限定されないが、取扱い性及びコストの観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、更に好ましくは15μm以上であり、一方、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは60μm以下である。
また、原料のセルロース繊維の平均繊維長は特に限定されないが、入手性及びコストの観点から、好ましくは100μm以上であり、より好ましくは500μm以上であり、更に好ましくは1,000μm以上であり、好ましくは5,000μm以下であり、より好ましくは4,000μm以下であり、更に好ましくは3,000μm以下である。原料のセルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
<アニオン変性セルロース繊維>
アニオン変性セルロース繊維中に含まれるアニオン性基は、例えばカルボキシ基、スルホン酸基及びリン酸基等が挙げられ、セルロース繊維への導入効率の観点から、カルボキシ基であることが好ましい。アニオン変性セルロース繊維におけるアニオン性基の対となるイオン(カウンターイオン)としては、例えば、製造時のアルカリ存在下で生じるナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びアルミニウムイオン等の金属イオンや、これらの金属イオンを酸で置換して生じるプロトン等が挙げられる。
本発明で用いられるアニオン変性セルロース繊維におけるアニオン性基含有量は、シリコーン化合物導入の観点から、好ましくは0.1mmol/g以上であり、より好ましくは0.4mmol/g以上であり、更に好ましくは0.6mmol/g以上であり、更に好ましくは0.8mmol/g以上である。また、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2mmol/g以下であり、更に好ましくは1.8mmol/g以下である。なお、「アニオン性基含有量」とは、セルロース繊維を構成するセルロース中のアニオン性基の総量を意味し、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。
本発明において、アニオン変性セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比は特に限定されないが、微細化処理後のアニオン変性セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比の好ましい範囲は、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、前述の疎水変性セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比の好ましい範囲と同じである。また、後述の実施例に記載の測定方法によりこれらの値を求めることができる。
本発明で用いられるアニオン変性セルロース繊維は、対象のセルロース繊維に酸化処理又はアニオン性基の付加処理を施して、少なくとも1つ以上のアニオン性基を導入してアニオン変性させることによって得ることができる。
アニオン変性の対象となるセルロース繊維としては、前記の原料のセルロース繊維が挙げられる。分散性の観点から、原料のセルロース繊維を、アルカリ加水分解処理や酸加水分解処理等で短繊維化処理した平均繊維長が1μm以上であり、1,000μm以下であるセルロース繊維を用いることが好ましい。
以下、(i)セルロース繊維にアニオン性基としてカルボキシ基を導入する場合と、(ii)セルロース繊維にアニオン性基としてスルホン酸基又はリン酸基を導入する場合とに分けてより具体的に説明する。
(i)セルロース繊維にアニオン性基としてカルボキシ基を導入する場合
セルロース繊維にアニオン性基としてカルボキシ基を導入する方法としては、例えばセルロースの水酸基を酸化してカルボキシ基に変換する方法や、セルロースの水酸基にカルボキシ基を有する化合物、カルボキシ基を有する化合物の酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させる方法が挙げられる。
本明細書において、カルボキシ基を有するセルロース繊維を「酸化セルロース繊維」と称する。酸化セルロース繊維は、例えば、触媒として2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を使用し、更に次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、臭化ナトリウム等の臭化物を併用して、セルロース繊維の水酸基をカルボキシ基に酸化する方法を適用することにより、製造することができる。より詳細には、特開2011−140632号公報に記載の方法を参照することができ、更に、追酸化処理又は還元処理を行うことで、アルデヒドを除去した酸化セルロース繊維として調製することができる。酸化セルロース繊維は、それ以外のアニオン変性セルロース繊維と比べて、油の流動物への移行抑制の観点から好ましい。
(ii)セルロース繊維にアニオン性基としてスルホン酸基又はリン酸基を導入する場合
セルロース繊維にアニオン性基としてスルホン酸基を導入する方法としては、セルロース繊維に硫酸を添加し加熱する方法等が挙げられる。
セルロース繊維にアニオン性基としてリン酸基を導入する方法としては、乾燥状態又は湿潤状態のセルロース繊維に、リン酸又はリン酸誘導体の粉末や水溶液を混合する方法や、セルロース繊維の分散液にリン酸又はリン酸誘導体の水溶液を添加する方法等が挙げられる。これらの方法を採用した場合、一般的に、リン酸又はリン酸誘導体の粉末や水溶液を混合または添加した後に、脱水処理及び加熱処理等を行う。
疎水変性セルロース繊維におけるアニオン性基とシリコーン化合物との結合様式としては、イオン結合、共有結合が挙げられる。共有結合としては、例えば、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合が挙げられ、なかでも、油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくはアミド結合である。油の流動物への移行抑制の観点から、本発明における疎水変性セルロース繊維の好ましい態様としては、原料のセルロース繊維中の水酸基を酸化して生じさせたカルボキシ基にシリコーン化合物をイオン結合及び/又はアミド結合させることにより得られるものが挙げられる。
<シリコーン化合物>
シリコーン化合物としては、アニオン性基とイオン結合又は共有結合を介して容易に結合し得る観点から、分子内にアミノ基を有するシリコーン化合物(本明細書において、「アミノ変性シリコーン化合物」とも称する。)が好ましい。
(アミノ変性シリコーン化合物)
アミノ変性シリコーン化合物としては、25℃での動粘度が10〜20,000mm/s、アミノ当量400〜8,000g/molのアミノ変性シリコーン化合物が好ましいものとして挙げられる。
25℃での動粘度はオストワルト型粘度計で求めることができ、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、より好ましくは200〜10,000mm/s、更に好ましくは500〜5,000mm/sである。
また、アミノ当量は、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくは400〜8,000g/mol、より好ましくは600〜5,000g/mol、更に好ましくは800〜3,000g/molである。なお、アミノ当量は、窒素原子1個当りの分子量であり、アミノ当量(g/mol)=質量平均分子量/1分子あたりの窒素原子数で求められる。ここで質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準物質として求めた値であり、窒素原子数は元素分析法により求めることができる。
アミノ変性シリコーン化合物の具体例として、一般式(a1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019182997
〔式中、R1aは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は水素原子から選ばれる基を示し、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくはメチル基又はヒドロキシ基である。R2aは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基又は水素原子から選ばれる基であり、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくはメチル基又はヒドロキシ基である。Bは少なくとも一つのアミノ基を有する側鎖を示し、R3aは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。x及びyはそれぞれ平均重合度を示し、該化合物の25℃の動粘度及びアミノ当量が前記範囲になるように選ばれる。尚、R1a、R2a、R3aはそれぞれ同一でも異なっていても良く、また複数個のR2aは同一でも異なっていても良い。〕
一般式(a1)の化合物において、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、xは好ましくは10〜10,000の数、より好ましくは20〜5,000の数、更に好ましくは30〜3,000の数である。yは好ましくは1〜1,000の数、より好ましくは1〜500の数、更に好ましくは1〜200の数である。一般式(a1)の化合物の質量平均分子量は、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは8,000〜50,000である。
一般式(a1)において、アミノ基を有する側鎖Bとしては、下記のものを挙げることができる。
−C−NH
−C−NH−C−NH
−C−NH−[C−NH]−C−NH
−C−NH(CH
−C−NH−C−NH(CH
−C−NH−[C−NH]−C−NH(CH
−C−N(CH
−C−N(CH)−C−N(CH
−C−N(CH)−[C−N(CH)]−C−N(CH
−C−NH−cyclo-C11
(ここで、e、f、gは、それぞれ1〜30の数である。)
本発明で用いるアミノ変性シリコーン化合物は、例えば、一般式(a2)で表されるオルガノアルコキシシランを過剰の水で加水分解して得られた加水分解物と、ジメチルシクロポリシロキサンとを水酸化ナトリウムのような塩基性触媒を用いて、80〜110℃に加熱して平衡反応させ、反応混合物が所望の粘度に達した時点で酸を用いて塩基性触媒を中和することにより製造することができる(特開昭53−98499号参照)。
N(CHNH(CHSi(CH)(OCH (a2)
また、アミノ変性シリコーン化合物としては、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくは側鎖Bの1個の中にアミノ基が1個有するモノアミノ変性シリコーン及び側鎖Bの1個の中にアミノ基が2個有するジアミノ変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはアミノ基を有する側鎖Bが−C−NHで表される化合物〔以下、(a1−1)成分という〕及びアミノ基を有する側鎖Bが−C−NH−C−NHで表される化合物〔以下、(a1−2)成分という〕からなる群から選ばれる1種以上である。
本発明におけるアミノ変性シリコーン化合物としては、性能の点から、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSF4703(動粘度:1000、アミノ当量:1600)、TSF4708(動粘度:1000、アミノ当量:2800)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSF8457C(動粘度:1200、アミノ当量:1800)、SF8417(動粘度:1200、アミノ当量:1700)、BY16−209(動粘度:500、アミノ当量:1800)、BY16−892(動粘度:1500、アミノ当量:2000)、BY16−898(動粘度:2000、アミノ当量:2900)、FZ−3760(動粘度:220、アミノ当量:1600)、信越化学工業(株)製のKF8002(動粘度:1100、アミノ当量:1700)、KF867(動粘度:1300、アミノ当量:1700)、KF−864(動粘度:1700、アミノ当量:3800)、BY16−213(動粘度:55、アミノ当量:2700)、BY16−853U(動粘度:14、アミノ当量:450)が好ましい。( )内において、動粘度は25℃での測定値(単位:mm/s)を示し、アミノ当量の単位はg/molである。
(a1−1)成分としては、BY16−213(動粘度:55、アミノ当量:2700)、BY16−853U(動粘度:14、アミノ当量:450)がより好ましい。
(a1−2)成分としては、SF8417(動粘度:1200、アミノ当量:1700)、BY16−209(動粘度:500、アミノ当量:1800)、FZ−3760(動粘度:220、アミノ当量:1600)がより好ましい。
疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量は、セルロース繊維あたり、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から0.8mmol/g以上であり、好ましくは0.9mmol/g以上であり、より好ましくは1.0mmol/g以上である。また、反応性の観点から、好ましくは3.0mmol/g以下であり、より好ましくは2.0mmol/g以下であり、更に好ましくは1.5mmol/g以下であり、更に好ましくは1.3mmol/g以下である。ここで、2種類以上のシリコーン化合物が同時にセルロース繊維に結合している場合、シリコーン化合物の平均結合量としては、結合しているシリコーン化合物の合計量が前記範囲内であることが好ましい。
疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の導入率は、耐久性の観点から、好ましくは50%以上であり、より好ましくは55%以上であり、更に好ましくは60%以上であり、反応性の観点から、好ましくは99%以下であり、より好ましくは97%以下であり、更に好ましくは95%以下であり、更に好ましくは90%以下である。ここで、シリコーン化合物として任意の2種以上のシリコーン化合物が同時にセルロース繊維に導入されている場合、導入率の合計は、上限の100%を超えない範囲において、前記範囲内であることが好ましい。
本明細書において、疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量及び導入率は、シリコーン化合物の添加量や種類、反応温度、反応時間、溶媒などによって調整することができる。シリコーン化合物の平均結合量(mmol/g)及び導入率(%)とは、疎水変性セルロース繊維のアニオン性基にシリコーン化合物が導入された量及び割合のことである。疎水変性セルロース繊維のアニオン性基含有量は公知の方法(例えば、滴定、IR測定等)に従って測定することで算出できる。疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量及び導入率は、例えば、後述の実施例に記載された方法で算出される。
<疎水変性セルロース繊維の製造方法>
本発明で用いられる疎水変性セルロース繊維は、前記したアニオン変性セルロース繊維にシリコーン化合物を導入できるのであれば、特に限定なく公知の方法に従って製造することができる。以下、アニオン変性セルロース繊維の好ましい一態様としての酸化セルロース繊維を用いた場合を説明する。なお、ここでいう酸化セルロース繊維は、公知の方法、例えば、特開2011−140632号公報に記載の方法を参照にし、更に、前述の追酸化処理又は還元処理を行うことで、アルデヒドを除去した酸化セルロース繊維として調製することができる。
具体的な製造方法としては、シリコーン化合物の酸化セルロース繊維への導入態様によって、以下の2態様が挙げられる。即ち、シリコーン化合物をイオン結合によって酸化セルロース繊維に結合させる態様(態様A)、シリコーン化合物を共有結合によって酸化セルロース繊維に結合させる態様(態様B)が挙げられる。なお、共有結合として、アミド結合の場合を以下に示す。
〔態様A〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程
工程(2A):工程(1)で得られた酸化セルロース繊維と、シリコーン化合物を導入するための化合物とを混合する工程
〔態様B〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程
工程(2B):工程(1)で得られた酸化セルロース繊維と、シリコーン化合物を導入するための化合物とをアミド化反応させる工程
シリコーン化合物の導入方法は、例えば、態様Aは特開2015−143336号公報に記載の方法を、態様Bは特開2015−143337号公報に記載の方法を参照して行うことができる。シリコーン化合物としては前述のものが挙げられ、好ましくは前述のアミノ変性シリコーン化合物であり、アミノ変性シリコーン化合物は、特開2015−143336号及び特開2015−143337号公報における第1級アミンに該当する。また、本発明においては、工程(1)の後に後述する微細化処理工程を行い、微細化処理後の酸化セルロース繊維とした後に工程(2A又は2B)を行う方法(第1の製造形態)、及び、工程(1)から順に工程(2A又は2B)を行い、その後に微細化処理工程を行って疎水変性セルロース繊維を得る方法(第2の製造形態)を行ってもよい。
以下、態様Aの第1の製造形態に基づいて、疎水変性セルロース繊維の製造方法を説明する。
〔工程(1)〕
工程(1)は、天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程である。具体的には、天然セルロース繊維に対して、特開2015−143336号又は特開2015−143337号に記載の、酸化処理工程(例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を用いた酸化処理)及び精製工程(必要により)を行うことで、カルボキシ基含有量が好ましくは0.1mmol/g以上の酸化セルロース繊維が得られる。TEMPOを触媒としてセルロース繊維の酸化処理を行うことによって、セルロース構成単位のC6位のヒドロキシメチル基(−CHOH)が選択的にカルボキシ基に変換される。特にこの方法は、原料のセルロース繊維表面の酸化対象となるC6位の水酸基の選択性に優れており、且つ反応条件も穏やかである点で有利である。
(微細化処理工程)
次に、(必要により行われてもよい)精製工程後に工程(1)で得られた酸化セルロース繊維を微細化する工程を行って、微細な酸化セルロース繊維を得る。微細化工程では、精製工程を経た酸化セルロース繊維を溶媒中に分散させ、微細化処理を行うことが好ましい。
分散媒としての溶媒は、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3〜6のケトン;直鎖又は分岐状の炭素数1〜6の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;炭素数2〜5の低級アルキルエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル等の極性溶媒等が例示される。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、微細化処理の操作性の観点から、水、炭素数1〜6のアルコール、炭素数3〜6のケトン、炭素数2〜5の低級アルキルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、コハク酸メチルトリグリコールジエステル等の極性溶媒が好ましく、環境負荷低減の観点から、水がより好ましい。溶媒の使用量は、酸化セルロース繊維を分散できる有効量であればよく、特に制限はないが、酸化セルロース繊維に対して、好ましくは1〜500質量倍、より好ましくは2〜200質量倍使用することがより好ましい。
微細化処理で使用する装置としては公知の分散機が好適に使用される。例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。また、微細化処理における反応物繊維の固形分含有量は50質量%以下が好ましい。
かくして、セルロース繊維構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシ基へと選択的に酸化されたセルロース繊維を得ることができる。
〔工程(2A)〕
第1の製造形態において、工程(2A)は、前記工程を経て得られた酸化セルロース繊維とシリコーン化合物とを混合して、疎水変性セルロース繊維を得る工程である。具体的には、酸化セルロース繊維とシリコーン化合物とを溶媒中で混合すればよく、例えば、特開2015−143336号に記載の方法に従って製造することができる。
シリコーン化合物の使用量は、疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の所望結合量により設定することができるが、反応性の観点から、酸化セルロース繊維に含有されるアニオン性基1molに対して、アミノ基などのアニオン性基と相互作用する官能基が、好ましくは0.4mol以上であり、より好ましくは0.5mol以上であり、更に好ましくは0.7mol以上であり、製品純度の観点から、好ましくは50mol以下であり、より好ましくは20mol以下であり、更に好ましくは10mol以下である。なお、前記範囲に含まれる量の化合物を一度に反応に供しても、分割して反応に供してもよい。
溶媒としては、用いる化合物が溶解する溶媒を選択することが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン(THF)、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸、水等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの極性溶媒の中でも、イソプロパノール、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、エタノール、DMF、水が好ましい。
混合時の温度は、化合物の反応性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上である。また、着色等の製品品質の観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。混合時間は、用いる化合物及び溶媒の種類に応じて適宜設定することができるが、化合物の反応性の観点から、好ましくは0.01時間以上、より好ましくは0.1時間以上、更に好ましくは1時間以上であり、生産性の観点から、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。
疎水変性セルロース繊維が生成した後、未反応の化合物等を除去するために、適宜後処理を行ってもよい。該後処理の方法としては、例えば、ろ過、遠心分離、透析等を用いることができる。
また、態様Bの製造方法については、工程(1)は態様Aと同様に行うことができるので、以下に第1の製造形態における工程(2B)について記載する。
〔工程(2B)〕
第1の製造形態において、工程(2B)は、前記工程を経て得られた酸化セルロース繊維とシリコーン化合物とをアミド化反応させて、セルロース繊維を得る工程である。前記混合方法としては、原料が反応する程度のものであれば特に問題なく、具体的には、前記原料を縮合剤の存在下で混合し、酸化セルロース繊維に含有されるカルボキシ基とシリコーン化合物、好ましくはアミノ変性シリコーン化合物のアミノ基とを縮合反応させてアミド結合を形成する。
工程(2B)で用いられるシリコーン化合物としては、前述のものが挙げられる。
工程(2B)では、酸化セルロース繊維とシリコーン化合物とを縮合剤の存在下でアミド化させる。
シリコーン化合物の使用量は、疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の所望結合量により設定することができるが、シリコーン化合物としてアミノ変性シリコーン化合物を使用する場合、反応性の観点から、酸化セルロース繊維に含有されるカルボキシ基1molに対して、アミノ基が、好ましくは0.4mol以上であり、より好ましくは0.5mol以上であり、更に好ましくは0.7mol以上であり、製品純度の観点から、好ましくは50mol以下、より好ましくは20mol以下、更に好ましくは10mol以下となる量用いる。なお、前記範囲に含まれる量の化合物を一度に反応に供しても、分割して反応に供してもよい。
縮合剤としては、特には限定されないが、合成化学シリーズ ペプチド合成(丸善社)P116記載、又はTetrahedron,57,1551(2001)記載の縮合剤などが挙げられ、例えば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(以下、「DMT−MM」と称する場合がある。)等が挙げられる。
前記アミド化反応においては、前記微細化処理工程における溶媒が挙げられ、用いる化合物が溶解する溶媒を選択することが好ましい。
前記アミド化反応における反応時間及び反応温度は、用いる化合物及び溶媒の種類等に応じて適宜選択することができるが、反応率の観点から、好ましくは1〜24時間、より好ましくは10〜20時間である。また、反応温度は、反応性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上である。また、着色等の製品品質の観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
前記反応後、未反応の化合物や縮合剤等を除去するために、適宜後処理を行ってもよい。該後処理の方法としては、例えば、ろ過、遠心分離、透析等を用いることができる。
なお、態様A及び態様Bのいずれにおいても、第2の製造形態では、前記した各工程を、工程(1)、工程(2A)又は工程(2B)、微細化工程の順で行うこと以外は、第1の製造形態と同様の方法で行うことができる。
また、態様A及び態様Bを組み合せて得られる疎水変性セルロース繊維であってもよく、即ち、イオン結合を介して連結したシリコーン化合物とアミド結合を介して連結したシリコーン化合物の両方を有する疎水変性セルロース繊維であってもよい。この場合、工程(2A)と工程(2B)のいずれを先に行ってもよい。
かくして、セルロース繊維にシリコーン化合物がイオン結合及び/又は共有結合を介して連結した、疎水変性セルロース繊維を得ることができる。
<疎水変性セルロース繊維>
得られた疎水変性セルロース繊維は、前記の後処理を行った後の分散液の状態で使用することもできるし、あるいは乾燥処理等により該分散液から溶媒を除去して、乾燥した粉末状の疎水変性セルロース繊維を得て、これを使用することもできる。ここで「粉末状」とは、疎水変性セルロース繊維が凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない。
粉末状の疎水変性セルロース繊維としては、例えば、前記セルロース繊維の分散液をそのまま乾燥させた乾燥物;該乾燥物を機械処理で粉末化したもの;前記セルロース繊維の分散液を公知のスプレードライ法により粉末化したもの;前記セルロース繊維の分散液を公知のフリーズドライ法により粉末化したもの等が挙げられる。前記スプレードライ法は、前記セルロース繊維の分散液を大気中で噴霧し、乾燥させる方法である。
疎水変性セルロース繊維の平均繊維径は、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは0.5nm以上であり、更に好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは2nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、同様の観点から、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、更に好ましくは20nm以下であり、更に好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは6nm以下であり、更に好ましくは5nm以下である。
疎水変性セルロース繊維の長さ(平均繊維長)としては、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上である。また、同様の観点から、好ましくは1000nm以下、より好ましくは750nm以下、更に好ましくは500nm以下、更に好ましくは400nm以下である。
疎水変性セルロース繊維の平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上、更に好ましくは40以上、更に好ましくは50以上であり、同様の観点から、好ましくは150以下、より好ましくは140以下、更に好ましくは130以下、更に好ましくは100以下、更に好ましくは95以下、更に好ましくは90以下である。また、平均アスペクト比が前記範囲内にある場合、アスペクト比の標準偏差としては、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは45以下であり、下限は特に設定されないが、経済性の観点から、好ましくは4以上である。前記低アスペクト比の疎水変性セルロース繊維は、油中での分散性に優れたものである。
疎水変性セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比は、後述の実施例に記載の測定方法によりこれらの値を求めることができる。
本発明における疎水変性セルロース繊維の結晶化度は、滑液表面性発現の観点から、好ましくは10%以上である。また、原料入手性の観点から、好ましくは90%以下である。なお、本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値から算出したセルロースI型結晶化度であり、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。セルロースI型結晶構造の有無は、X線回折測定において、2θ=22.6°にピークがあることで判定することができる。
<SP値が10以下の油>
本発明においては、SP値が10以下の油を、膜を構成する潤滑油として使用する。
本明細書におけるSP値とは、Fedors法で計算される溶解度パラメーター(単位:(cal/cm1/2)を示し、例えば、参考文献「SP値基礎・応用と計算方法」(情報機構社、2005年)、Polymer handbook Third edition(A Wiley-Interscience publication, 1989)等に記載されている。
SP値が10以下の油の質量平均分子量には特に制限はないが、好ましくは100以上であり、また、好ましくは100,000以下であり、より好ましくは50,000以下であり、更に好ましくは20,000以下である。
本発明で使用されるSP値が10以下の油としては、例えば、オレイン酸(SP値:9.2)、D−リモネン(SP値:9.4)、PEG400(SP値:9.4)、コハク酸ジメチル(SP値:9.9)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(SP値:8.9)、ラウリン酸ヘキシル(SP値:8.6)、ラウリン酸イソプロピル(SP値8.5)、ミリスチン酸イソプロピル(SP値8.5)、パルミチン酸イソプロピル(SP値8.5)、オレイン酸イソプロピル(SP値:8.6)、ヘキサデカン(SP値:8.0)、オリーブ油(SP値:9.3)、ホホバ油(SP値:8.6)、スクアラン(SP値:7.9)、流動パラフィン(SP値:7.9)、フロリナートFC−40(3M社製、SP値:6.1)、フロリナートFC−43(3M社製、SP値:6.1)フロリナートFC−72(3M社製、SP値:6.1)、フロリナートFC−770(3M社製、SP値:6.1)、KF96−1cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF−96−10cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF−96−50cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF−96−100cs(信越化学社製、SP値:7.3)、KF−96−1000cs(信越化学社製、SP値:7.3)等が挙げられる。これらの中では、滑液表面性及び油の流動物への移行抑制の観点から、油のSP値は、好ましくは9.5以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.5以下である。
<膜における各成分の配合量及び質量比>
本発明の膜中の疎水変性セルロース繊維の配合量としては、特に限定されないが、膜の滑液表面性及び耐久性の観点から、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは48質量%以下である。
本発明の膜中のSP値が10以下の油の配合量としては、特に限定されないが、油の移行性及び膜の耐久性の観点から、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは94質量%以下であり、より好ましくは92質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以下である。油が2種以上の場合、油の配合量は各油の合計量である。
本発明の膜における疎水変性セルロース繊維中のセルロース繊維とSP値が10以下の油との質量比(セルロース繊維:SP値が10以下の油)は特に制限されないが、滑液表面性を発揮させる観点から、好ましくは1:1以上であり、より好ましくは1:2以上であり、更に好ましくは1:3以上である。また、膜の耐久性の観点から、好ましくは1:100以下であり、より好ましくは1:50以下であり、更に好ましくは1:20以下である。なお、疎水変性セルロース繊維中のセルロース繊維の量は、換算量として、後述の実施例に記載の方法に従って求めることができる。
本発明の膜には本発明の効果を損なわない任意成分が含まれていてもよい。膜におけるこれらの任意成分の配合量は、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上であり、一方、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。任意成分が2種以上の場合、任意成分の量は各任意成分の合計量である。
任意成分としては、例えば、分子量10万以上の高分子化合物(例えば縮重合系高分子、メタクリル系及びアクリル系高分子等)が挙げられる。
[成形体への膜の形成方法]
本発明の成形体への膜の形成方法とは、疎水変性セルロース繊維とSP値が10以下の油とを含有する分散体を調製する工程1、及び工程1で調製された分散体を成形体に塗布する工程2を有するものである。
<工程1>
疎水変性セルロース繊維とSP値が10以下の油とを含有する分散体は、これらの成分と溶媒とを混合することにより調製することができる。
溶媒としては、例えば、イソプロパノール、エタノール、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらの成分の混合条件としては、例えば、15〜35℃が好ましい。更に、混合時間としては、10〜60分間が好ましい。
<工程2>
工程1で得られた分散体を、ガラス、樹脂等の固体表面を有する成形体に塗布する。塗布の方法としては、例えば、アプリケーター、バーコーダー、スピンコーター等を使用して塗布する方法が挙げられる。成形体上の塗膜の厚みとしては、滑落速度、耐久性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μmであり、塗布性の観点から、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下、更に好ましくは1200μm以下である。
次いで、塗膜を乾燥させて膜を得る。乾燥条件としては、減圧下でも常圧下でもよく、温度範囲としては15〜75℃が好ましい。また、乾燥のための時間としては、1〜24時間が好ましい。
このようにして、膜、好ましくは滑液表面膜が形成され、膜を有する成形体が得られる。
[成形体]
膜を有する成形体は前述のようにして製造することができ、前述の本発明の膜を有する成形体は、本発明に包含される。
本発明の膜、好ましくは滑液表面膜を前述のように固体表面に適用することにより、固体表面を滑液表面に改質することができる。従って本発明は、固体表面を滑液表面に改質するための前述の膜を包含するものである。本発明の膜は油性成分の付着防止効果が高いだけでなく、その効果を長期間維持できることから、各種用途、例えば、日用品、化粧品、家電製品などの包装材として、ブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の包装容器、食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイ等に好適に用いることができる。
[膜用分散体]
本発明の一態様として、前記疎水変性セルロース繊維とSP値が10以下の油とを有する膜用分散体が提供される。かかる膜用分散体は、膜、好ましくは滑液表面膜を形成させるための塗工液として提供され得る。かかる膜用分散体は、必要に応じて、前記[成形体への膜の形成方法]に列挙された溶媒やその他の成分を含有していてもよい。
膜用分散体における疎水変性セルロース繊維の含有量は、SP値が10以下の油の移行抑制及び耐久性の観点から、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、更に好ましくは0.4質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下である。
膜用分散体におけるSP値が10以下の油の含有量は、該油の移行抑制及び耐久性の観点から、好ましくは4.0質量%以上であり、より好ましくは5.0質量%以上であり、更に好ましくは6.0質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは15質量%以下である。
膜用分散体における溶媒の含有量は、疎水変性セルロース繊維等を十分に分散させる観点から、好ましくは80.0質量%以上であり、より好ましくは85.0質量%以上であり、更に好ましくは88.0質量%以上である。また、膜形成時間の短縮化の観点から、好ましくは92.8質量%以下であり、より好ましくは91.7質量%以下であり、更に好ましくは90.6質量%以下である。
前記分散体には本発明の効果を損なわない任意成分が含まれていてもよい。分散体におけるこれらの任意成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。任意成分が2種以上の場合、任意成分の量は各任意成分の合計量である。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「室温」とは25℃を示す。
〔疎水変性セルロース繊維及び微細化処理後のアニオン変性セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比〕
対象のセルロース繊維に水を加えて、その含有量が0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料とした。原子間力顕微鏡(AFM、Digital instrument社製、商品名:Nanoscope III Tapping mode AFM、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)を使用)を用いて、該観察試料中の対象のセルロース繊維の繊維高さを測定する。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、セルロース繊維を100本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。繊維方向の距離より、平均繊維長を算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出し、標準偏差も算出する。一般に、高等植物から調製されるセルロースナノファイバーの最小単位は6×6の分子鎖がほぼ正方形の形でパッキングされていることから、AFMによる画像で分析される高さを繊維の幅とみなすことができる。
〔原料のセルロース繊維及び微細化処理前のアニオン変性セルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長〕
測定対象のセルロース繊維にイオン交換水を加えて、その含有量が0.01質量%の分散液を調製する。該分散液を湿式分散タイプ画像解析粒度分布計(ジャスコインターナショナル社製、商品名:IF−3200)を用いて、フロントレンズ:2倍、テレセントリックズームレンズ:1倍、画像分解能:0.835μm/ピクセル、シリンジ内径:6515μm、スペーサー厚み:500μm、画像認識モード:ゴースト、閾値:8、分析サンプル量:1mL、サンプリング:15%の条件で測定する。セルロース繊維を100本以上測定し、それらの平均ISO繊維径を平均繊維径をとして、平均ISO繊維長を平均繊維長として算出する。
〔アニオン変性セルロース繊維及び疎水変性セルロース繊維のアニオン性基含有量〕
乾燥質量0.5gの測定対象のセルロース繊維を100mLビーカーにとり、イオン交換水又はメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとする。そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、測定対象のセルロース繊維が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名:AUT−710)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、測定対象のセルロース繊維のアニオン性基含有量を算出する。
アニオン性基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/測定対象のセルロース繊維の質量(0.5g)
〔アニオン変性セルロース繊維及び疎水変性セルロース繊維のアルデヒド基含有量〕
ビーカーに、測定対象のセルロース繊維100.0g(固形分含有量1.0質量%)、酢酸緩衝液(pH4.8)、2−メチル−2−ブテン0.33g、亜塩素酸ナトリウム0.45gを加え室温で16時間撹拌して、アルデヒド基の酸化処理を行う。反応終了後ろ過し、得られたケークをイオン交換水にて洗浄し、アルデヒドを酸化処理した対象のセルロース繊維を得る。反応液を凍結乾燥処理し、得られた乾燥品のカルボキシ基含有量を前記のアニオン性基含有量の測定方法で測定し、酸化処理された対象のセルロース繊維のカルボキシ基含有量を算出する。続いて、式1にて対象のセルロース繊維のアルデヒド基含有量を算出する。
アルデヒド基含有量(mmol/g)=(酸化処理された対象のセルロース繊維のカルボキシ基含有量)−(酸化処理前の対象のセルロース繊維のカルボキシ基含有量)・・・式1
〔分散液中の固形分含有量〕
ハロゲン水分計(島津製作所社製、商品名:MOC−120H)を用いて行う。サンプル1gに対して150℃恒温で30秒ごとの測定を行い、質量減少が0.1%以下となった値を固形分含有量とする。
〔疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量及び導入率(イオン結合)〕
シリコーン化合物の結合量を次のIR測定方法により求め、下記式によりその平均結合量及び導入率を算出する。IR測定は、具体的には、乾燥させた疎水変性セルロース繊維を赤外吸収分光装置(IR)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、商品名:Nicolet 6700)を用いATR法にて測定し、次式により、シリコーン化合物の平均結合量及び導入率を算出する。以下、アニオン変性セルロース繊維におけるアニオン性基がカルボキシ基の場合を示す。「1720cm−1のピーク強度」とは、カルボン酸(カルボキシ基)中のカルボニル基に由来するピーク強度のことである。なお、アニオン変性セルロース繊維におけるアニオン性基がカルボキシ基以外の基の場合であっても、ピーク強度の値を適宜変更することにより、対象の疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量及び導入率を算出することができる。
シリコーン化合物の平均結合量(mmol/g)=[アニオン変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)]×[(アニオン変性セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度 − 疎水変性セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度)÷アニオン変性セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度]
シリコーン化合物の導入率(%)={シリコーン化合物の平均結合量(mmol/g)/アニオン変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)}×100
〔疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量及び導入率(アミド結合)〕
シリコーン化合物の平均結合量を下記式により算出する。以下、アニオン変性セルロース繊維におけるアニオン性基がカルボキシ基の場合を示す。なお、アニオン変性セルロース繊維におけるアニオン性基がカルボキシ基以外の基の場合であっても、カルボキシ基を当該アニオン性基に置き換えることにより、対象の疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量及び導入率を算出することができる。
シリコーン化合物の平均結合量(mmol/g)=アニオン変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)−疎水変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)
シリコーン化合物の導入率(%)={シリコーン化合物の平均結合量(mmol/g)/アニオン変性セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)}×100
〔疎水変性セルロース繊維における結晶構造の確認〕
疎水変性セルロース繊維の結晶構造は、X線回折計(リガク社製、商品名:RigakuRINT 2500VC X−RAY diffractometer)を用いて以下の条件で測定することにより確認する。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/minとする。測定用サンプルは面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製する。また、セルロースI型結晶構造の結晶化度は得られたX線回折強度を、以下の式(A)に基づいて算出する。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
一方、前記の式(A)で得られる結晶化度が35%以下の場合には、算出精度の向上の観点から、「木質科学実験マニュアル」(日本木材学会編)のP199−200の記載に則り、以下の式(B)に基づいて算出することが好ましい。
したがって、前記の式(A)で得られる結晶化度が35%以下の場合には、以下の式(B)に基づいて算出した値を結晶化度として用いることができる。
セルロースI型結晶化度(%)=[Ac/(Ac+Aa)]×100 (B)
〔式中、Acは、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)、(011面)(回折角2θ=15.1°)および(0−11面)(回折角2θ=16.2°)のピーク面積の総和、Aaはアモルファス部(回折角2θ=18.5°)のピーク面積を示し、各ピーク面積は得られたX線回折チャートをガウス関数でフィッティングすることで求める。〕
〔膜の算術平均粗さの測定〕
膜の算術平均粗さは次のようにして測定する。膜の算術平均粗さはレーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名:VK−9710)を用いて以下の測定条件で測定する。測定条件は、対物レンズ:10倍、光量:3%、明るさ:1548、Zピッチ:0.5μmとする。膜の算術平均粗さは、内蔵の画像処理ソフトを用いて5点測定し、その平均値を用いる。
疎水変性セルロース繊維におけるセルロース繊維(換算量)〕
疎水変性セルロース繊維におけるセルロース繊維(換算量)は、以下の方法によって測定する。
(1)添加されるシリコーン化合物が1種類の場合
セルロース繊維量(換算量)を下記式Aによって算出する。
<式A>
セルロース繊維量(換算量)(g)=疎水変性セルロース繊維の質量(g)/〔1+シリコーン化合物の分子量(g/mol)×シリコーン化合物の結合量(mmol/g)×0.001〕
(2)添加されるシリコーン化合物が2種類以上の場合
各シリコーン化合物のモル比率(即ち、添加されるシリコーン化合物の合計モル量を1とした時のモル比率)を考慮して、セルロース繊維量(換算量)を算出する。
なお、セルロース繊維とシリコーン化合物との結合様式がイオン結合の場合、上述の式Aにおいて、「シリコーン化合物の分子量」とは、「シリコーン化合物全体の分子量」を指す。一方、セルロース繊維とシリコーン化合物との結合様式がアミド結合の場合、上述の式Aにおいて、「シリコーン化合物の分子量」とは、「シリコーン化合物全体の分子量−18」である。
〔酸化セルロース繊維分散液の作製〕
調製例1(天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させて得られる酸化セルロース繊維の分散液)
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名:Machenzie、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウム及び臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25g、臭化ナトリウム12.5g、次亜塩素酸ナトリウム28.4gをこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。得られた酸化パルプをイオン交換水で十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボ HJP−2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、酸化セルロース繊維分散液(固形分含有量1.3質量%)を得た。この酸化セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.62mmol/g、アルデヒド基含有量は0.27mmol/gであった。
調製例2(アルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維の分散液)
ビーカーに調製例1で得られた酸化セルロース繊維分散液3846.15g(固形分含有量1.3質量%)を投入し、ここに1M水酸化ナトリウム水溶液を加えpH10程度にした後、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬工業社製、純度95質量%)を2.63g仕込み、室温下3時間反応させアルデヒド基の還元処理を行った。反応終了後、1M塩酸水溶液を405g、イオン交換水を4286g加え0.7質量%の水溶液とし、室温下1時間反応させプロトン化を行った。反応終了後ろ過し、得られたケークをイオン交換水にて洗浄し塩酸及び塩を除去した。最後にイソプロパノールで溶媒置換し、アルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維分散液を得た。得られたアルデヒド基を還元処理した酸化セルロース繊維分散液(固形分含有量2.0質量%)の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.62mmol/g、アルデヒド基含有量は0.02mmol/gであった。
〔疎水変性セルロース繊維の作製〕
製造例1
マグネチックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例2で得られた酸化セルロース繊維分散液300g(固形分含有量2.0質量%)を仕込んだ。続いて、アミノ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−209;「シリコーン1」と略記する。)を、酸化セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミノ基0.7molに相当する量を仕込み、イソプロパノール100gを添加し、これらの混合物を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、得られたケークをイソプロパノールにて洗浄後、ホモジナイザー(プライミクス社製、商品名:T.K.ロボミックス)にて5000rpm、5分間撹拌後、高圧ホモジナイザー(吉田機械社製、商品名:ナノヴェイタL−ES)にて100MPaで1パス、150MPaで9パス微細化処理を行うことで、酸化セルロース繊維のカルボキシ基に、アミノ変性シリコーンがイオン結合を介して結合した疎水変性セルロース繊維を得た。シリコーン化合物の導入率は酸化セルロース繊維のカルボキシ基の60%であった。
製造例2〜6
シリコーン化合物及び仕込み量を表1に示す通りに変更した点以外は製造例1と同様の方法で、疎水変性セルロース繊維を得た。なお、表1中のシリコーン化合物の詳細は次の通りである。
シリコーン2:東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:SF8417
シリコーン3:東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:FZ−3760
試験例1(透過率測定試験)
製造例1〜6で得られた疎水変性セルロース繊維を用いて、次のようにして分散体を得た。即ち、疎水変性セルロース繊維中のセルロース繊維が分散体全体の0.1質量%になるように、疎水変性セルロース繊維及び油(スクアラン)をスクリュー管内に配合した。次いで、スクリュー管の内容物を、高圧ホモジナイザー(吉田機械社製、商品名:ナノヴェイタL−ES)にて100MPaで8パス処理を行った。次いで、波長660nmにおける光線透過率を、ダブルビーム分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、商品名:U−2910)及び光路長10mmの石英セルを用いて、25℃、1分の条件で測定した。スクアランのみの測定値を100%とした、それぞれの分散体の透過率の相対値を表1に示す。透過率が高いほど、疎水変性セルロース繊維が油中に良好に分散にしていることを示す。
Figure 2019182997
表1より、シリコーン化合物の平均結合量が0.8mmol/g以上である製造例1〜5においては、透過率が高いことから、疎水変性セルロース繊維が油中に良好に分散にしていることが分かる。しかも、製造例1〜3から、平均結合量の値が大きくなるほど、透過率も高くなる傾向が見られた。
一方、シリコーン化合物の平均結合量が0.8mmol/g未満である製造例6においては、製造例1〜5に比べて、透過率が低いことから、疎水変性セルロース繊維の油中への分散性が製造例1〜5に劣っていることが分かった。
〔膜の作製〕
実施例1〜7、比較例1
製造例1〜6で得られた疎水変性セルロース繊維を用いて、次のようにして塗膜用の分散体を調製し、膜を作製した。即ち、溶媒が分散体全体の90質量%になるように、かつ疎水変性セルロース繊維のセルロース繊維:油が表2に示す質量比になるように、疎水変性セルロース繊維、油(スクアラン)及び溶媒(イソプロパノール)をスクリュー管内に配合した。次いで、スクリュー管の内容物を、マグネチックスターラーの回転数:500rpm、室温(25℃)で12時間撹拌した。その後、自動公転式攪拌機(シンキー社製、あわとり練太郎)を用いて2200rpmで2分撹拌して脱泡し、塗膜用の分散体を得た。得られた塗膜用分散体を、モデル成形体としてのガラス基板(MATSUNAMI社製、Micro Slide Glass S2112)上にアプリケーター(テスター産業株式会社製)を用いて厚みが400μmになるように塗膜し、常温・常圧で12時間乾燥することによりイソプロパノールを揮発させ、膜厚が40μmの膜を得た。
前記で使用した油の詳細は以下の通りである。
スクアラン(和光純薬製、SP値:7.9)
〔膜の性能試験〕
特記がない限り、以下の試験は室温下で実施した。試験で使用した流動物Aの詳細は以下の通りである。
コータミンE-80K(花王株式会社製):3質量%
プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製):1質量%
イオン交換水:残部
試験例2(滑落角測定試験)
室温20℃にて、各実施例又は比較例で作製した膜に対して8μLの水の液滴(20℃)を滴下し、10秒静置した後に1°/sの速さで膜表面を傾け、液滴が流れ始める角度を測定した。この試験を30回実施した。1回目及び30回目の滑落角を表2に示す。
試験例3(油移行性試験)
各実施例又は比較例で作製した膜上に、膜中の油の質量に対して100倍量の流動物Aを塗布し、室温で静置した。72時間後に流動物Aのサンプリングを行い、膜から流動物Aへの油の移行性を評価した。移行性は、油移行率として、元々膜中に含まれていた全ての油の質量を100とした際の、サンプリングされた流動物A(サンプル)中に移行した全ての油の量(質量%)で評価した。サンプル中のスクアランはGCを用いて下記条件により測定した。
<GC法>
下記測定メソッドにおいて、18.9分に検出されるスクアラン由来のピーク面積より、移行率を測定した。
装置:Agilent 6850 series II
カラム:DB−5 (Agilent)、12m×200μm×0.33μm
メソッド:100℃で3分保持→10℃/分で100℃から320℃まで昇温→320℃で15分保持
ディテクター:330℃(FID)、H:30mL/分、Air:400mL/分、He:30mL/分
キャリアガス:He
注入量:1μL
サンプル:サンプリング後イソプロパノールで100倍希釈した溶液
試験例4(滑落速度測定試験)
各実施例又は比較例で作製した膜上に流動物Aを50mg置き、膜を90°傾け、1分間当たりに流動物Aが滑落する距離を測定した。代表例として、実施例1の膜の滑落速度は7.5cm/minであった。
試験例5(硬度測定試験)
各実施例又は比較例で作製した膜に対して硬度試験測定器(島津サイエンス社製、DUH−211)を用いて下記条件で表面硬度(マルテンス硬度)の測定を行った。結果を表6に示す。
試験力:0.1mN
負荷保持時間:5(s)
除荷保持時間:1(s)
試験例6(分散体の安定性の評価)
前記の各実施例及び比較例で調製された塗膜用の分散体について、室温下で保管し、目視で分散体の状態を観察した。下記の評価基準による評価を行い、安定性評価とした。結果を表2に示す。
5:1週間以上安定に分散
4:1週間後に分離。
3:3日後に分離。
2:1日後に分離。
1:撹拌終了直後に分離。
前記の主な条件及び結果を表2に示す。
Figure 2019182997
表2より、以下のことが分かった。
疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量が0.8mmol/g以上である実施例1〜7においては、膜の平滑性や滑液性に優れ、油の流動物への移行性が小さく、分散体の分散性や安定性が高く、膜の表面硬度も十分に高いものであった。滑落角に関して、1回目における値と30回目における値とはほぼ同様であり、かつ十分に小さい値であったことから、本発明の膜は繰り返し使用しても付着防止効果を維持できる耐久性に優れた膜であることが分かった。
一方、疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量が0.8mmol/g未満である比較例1においては、実施例1〜7に比べて、分散体の安定性は同等であったものの、膜の平滑性や滑液性、油の流動物への移行性、分散体の分散性及び膜の表面硬度の点で劣っていた。滑落角に関して、1回目では(実施例よりも大きな値ではあったものの)値を測定することができたが、30回目においては液滴が滑落しなかった。このことから、比較例1の膜は繰り返し使用すると付着防止効果を維持できない、耐久性に劣る膜であることが分かった。
本発明の膜は高い滑液表面性を有するので、化粧料や食品の包装容器の素材分野に利用することができる。

Claims (5)

  1. アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基にシリコーン化合物が結合されてなる疎水変性セルロース繊維とSP値が10以下の油とを配合してなる膜であって、疎水変性セルロース繊維におけるシリコーン化合物の平均結合量が0.8mmol/g以上である、膜。
  2. アニオン性基がカルボキシ基である、請求項1に記載の膜。
  3. シリコーン化合物がアミノ変性シリコーン化合物である、請求項1又は2に記載の膜。
  4. 平均結合量が1.3mmol/g以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜。
  5. 疎水変性セルロース繊維中のセルロース繊維とSP値が10以下の油との質量比(セルロース繊維:SP値が10以下の油)が1:1〜1:100である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜。
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