JP6615507B2 - 皮膚化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚化粧料に関する。
セルロース繊維を増粘剤として利用する技術として、特許文献1(特開2012−126786号公報)に記載のものがある。
特許文献1には、保形性、分散安定性、耐塩性等に優れるとともに、乳化安定性に優れた粘性水系組成物を提供するという課題を解決するための技術として、特定の最大繊維径、水平均繊維径、カルボキシル基量および結晶構造を有するセルロース繊維であって、そのカルボキシル基が有機概念図における有機性値が300以下のモノアミンとの塩になっているセルロース繊維および水を含有する粘性水性組成物について記載されている。
特開2012−126786号公報
しかしながら、上述した特許文献1の技術においても、乳化力、乳化安定性および塩を添加した際の乳化安定性に優れるとともに、皮膚等に適用した際の皮膜の耐水性を向上させるという点で改善の余地があった。
本発明は、
以下の成分(A)〜(C):
(A)微細セルロース繊維複合体、
(B)SP値が7.2〜15の油剤、および
(C)水
を含有する皮膚化粧料であって、
前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24の炭化水素基を有するアミンまたはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンが、アミド結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A1)であって、
前記EO/PO共重合部の分子量が600〜10,000であって、前記EO/PO共重合部中のPOの含有率が6〜80モル%である、皮膚化粧料を提供するものである。
また、本発明は、
以下の成分(A)〜(C):
(A)微細セルロース繊維複合体、
(B)SP値が7.2〜15の油剤、および
(C)水
を含有する皮膚化粧料であって、
前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24のアルキル基を有する化合物であって、かつハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種が、エステル結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A2)である、皮膚化粧料を提供するものである。
本発明によれば、乳化力、乳化安定性および塩を添加した際の乳化安定性に優れるとともに、皮膚等に適用した際の皮膜の耐水性に優れる皮膚化粧料を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態において、皮膚化粧料は、以下の成分(A)〜(C)を含む組成物である。
(A)微細セルロース繊維複合体
(B)SP値が7.2〜15の油剤
(C)水
以下、各成分について具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(成分(A))
成分(A)の微細セルロース繊維複合体は、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維において、該カルボキシ基に、アミド結合またはエステル結合を介して特定の基が結合してなる微細セルロース繊維複合体である。
まず、上記微細セルロース繊維について説明する。
<微細セルロース繊維>
(数平均繊維径)
成分(A)の微細セルロース繊維複合体を構成する微細セルロース繊維の数平均繊維径は、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにする観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは0.2nm以上、さらに好ましくは0.5nm以上、さらにより好ましくは0.8nm以上、殊更好ましくは1nm以上である。また、同様の観点から、微細セルロース繊維の数平均繊維径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらにより好ましくは20nm以下、殊更好ましくは10nm以下、よりさらに好ましくは5nm以下である。
なお、本明細書において、微細セルロース繊維および後述する微細セルロース繊維複合体の数平均繊維径は、いずれも、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用いて測定することができ、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。一般に、高等植物から調製されるセルロースナノファイバーの最小単位では6×6の分子鎖がほぼ正方形の形でパッキングされていることから、AFMによる画像で分析される高さを繊維の幅とすることができる。
(カルボキシ基含有量)
微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量は、微小な繊維径のセルロース繊維を安定的に得る上で重要な要素である。本実施形態においては、微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量は、セルロース繊維の分散安定性を向上させる観点から、0.1mmol/g以上であり、好ましくは0.4mmol/g以上、より好ましくは0.6mmol/g以上、さらに好ましくは0.8mmol/g以上である。また、微細セルロース繊維の取り扱い性を向上させる観点から、微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量は3mmol/g以下であり、好ましくは2.5mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、さらに好ましくは1.8mmol/g以下である。
なお、本実施形態で用いられる微細セルロース繊維に、カルボキシ基含有量がかかる範囲外である微細セルロース繊維が、意図せずに不純物として含まれることもあり得る。
また、「カルボキシ基含有量」とは、微細セルロース繊維を構成するセルロース中のカルボキシ基の総量を意味し、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。
(平均アスペクト比)
微細セルロース繊維の平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにする観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上、さらに好ましくは50以上、さらにより好ましくは100以上である。また、同様の観点から、微細セルロース繊維の平均アスペクト比は好ましくは1000以下であり、より好ましくは500以下、さらに好ましくは400以下、さらにより好ましくは350以下である。
なお、本明細書において、微細セルロース繊維の平均アスペクト比は、微細セルロース繊維を水に分散させた分散液中のセルロース繊維濃度と分散液の水に対する比粘度との関係から、下記式(A)によりセルロース繊維のアスペクト比を逆算して求める。
Figure 0006615507
〔上記式(A)中、ηSPは比粘度、πは円周率、lnは自然対数、Pはアスペクト比(繊維長L/繊維幅b)、γ=0.8、ρは分散媒の密度(kg/m3)、ρはセルロース結晶の密度(kg/m3)、Cはセルロースの質量濃度(C=ρ/ρ)を表す。〕
なお、上記式(A)は、The Theory of Polymer Dynamics, M.DOI and D.F.EDWARDS, CLARENDON PRESS・OXFORD, 1986, P.312に記載の剛直棒状分子の粘度式(8.138)と、Lb2×ρ=M/Nの関係〔式中、Lは繊維長、bは繊維幅(ここで、セルロース繊維断面は正方形とする。)、ρはセルロース繊維の濃度(kg/m3)、Mは分子量、Nはアボガドロ数を表す。〕から導き出されるものである。また、上記の粘度式(8.138)において、剛直棒状分子をセルロース繊維とする。
(結晶化度)
微細セルロース繊維の結晶化度は、微細セルロース繊維の取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上、さらにより好ましくは45%以上である。また、アミド結合またはエステル結合の結合効率を向上させる観点から、微細セルロース繊維の結晶化度は、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。
なお、本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出されるセルロースI型結晶化度であり、下記計算式(B)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (B)
〔上記式(B)中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
なお、セルロースI型とは、天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。
次に、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基に、アミド結合またはエステル結合を介して特定の基が結合してなる微細セルロース繊維複合体すなわち成分(A)の具体例としては、以下の成分(A1)および(A2)が挙げられる。本実施形態において、成分(A)として、以下の成分(A1)および(A2)からなる群から選択される一種以上を用いることができる。
まず、成分(A1)について説明する。
(成分(A1))
成分(A1)の微細セルロース繊維複合体は、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24の炭化水素基を有するアミンまたはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンが、アミド結合を介して結合してなるものである。
微細セルロース繊維とアミド結合するアミンのうち、炭素数2〜24の炭化水素基を有するアミンとしては、炭素数2〜24の脂肪族炭化水素基または炭素数2〜24の芳香族炭化水素基を有するアミンが挙げられる。
<炭素数2〜24の脂肪族炭化水素基を有するアミン>
炭素数2〜24の脂肪族炭化水素基を有するアミンに含まれる炭化水素基は、飽和炭化水素基および不飽和炭化水素基のいずれでもよいが、副反応を抑制する観点および反応の安定性を高める観点から、飽和炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、直鎖状または分岐状の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基の炭素数は、取り扱い性を好ましいものとする観点から、2以上であり、より好ましくは3以上である。また、入手容易性を高める観点から、24以下であり、より好ましくは18以下、さらに好ましくは12以下である。また、炭化水素基の炭素数は、2〜24であり、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは3〜12である。すなわち、好適な炭化水素基としては、炭素数が好ましくは2〜24、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは3〜12である、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の炭化水素基が挙げられる。
炭素数2〜24の脂肪族炭化水素基を有するアミンとして、上述した脂肪族炭化水素基を有する第1級または第2級アミンが挙げられる。
このうち、第1級アミンとして、たとえば炭素数2〜24の第1級アミンを用いることができる。さらに具体的には、第1級アミンとしてエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミン等が挙げられる。皮膚化粧料により形成される皮膜の耐水性を向上させる観点から、炭素数2〜18の第1級アミンが好ましく、具体的にはエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミンが挙げられる。より好ましくは炭素数3〜12の第1級アミンであり、具体的にはプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミンが挙げられる。
また、第2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン等が挙げられる。
炭素数2〜24の炭化水素基を有する第1級または第2級アミンは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、カルボキシ基との反応性を向上させる観点から、好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数2〜6の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有する第1級アミンが好ましい。
微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24の脂肪族炭化水素基を有するアミンがアミド結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体としては、たとえば、特開2013−151636号公報に記載のものを用いることができる。
<炭素数2〜24の芳香族炭化水素基を有するアミン>
炭素数2〜24の芳香族炭化水素基を有するアミンは、第1級アミン、第2級アミンのいずれでもよいが、カルボキシ基との反応性を向上させる観点から、第1級アミンが好ましい。
芳香族炭化水素基としては、たとえば、アリール基およびアラルキル基からなる群より選ばれる。アリール基およびアラルキル基としては、芳香族環そのものが置換されたものでも非置換のものであってもよい。
アリール基としては、たとえば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ターフェニル基、およびこれらの基が後述する置換基で置換された基が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上が芳香族炭化水素基を有するアミン中に含まれていてもよい。なかでも、皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
アラルキル基としては、たとえば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、およびこれらの基の芳香族基が後述する置換基で置換された基などが挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上が前記アミンに含まれていてもよい。なかでも、皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点から、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基が好ましく、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基がより好ましく、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基がさらに好ましい。
アリール基およびアラルキル基の総炭素数は、皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは6以上、より好ましくは7以上であり、また、同様の観点から、24以下、より好ましくは20以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは13以下、さらに好ましくは11以下である。
アリール基およびアラルキル基の置換基としては、置換基を含めた芳香族炭化水素基全体の総炭素数が前述した範囲内となるものが好ましく、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基等のアルコキシ基の炭素数が1〜6のアルコキシ−カルボニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;アセチル基、プロピオニル基等の炭素数1〜6のアシル基;アラルキル基;アラルキルオキシ基;炭素数1〜6のアルキルアミノ基;アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルアミノ基が挙げられる。なお、前記した芳香族基そのものが置換基として結合していてもよい。
炭素数2〜24の芳香族炭化水素基を有するアミンにおいて、芳香族炭化水素基とN原子とは、直接にまたは連結基を介して結合しているものが好ましい。連結基としては炭化水素基が好ましく、炭素数が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3のアルキレン基が用いられる。たとえば、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
かかる炭素数2〜24の芳香族炭化水素基を有するアミンの具体例を以下に挙げる。たとえば、アリール基を有するアミンとしては、アニリン、4−ビフェニリルアミン、ジフェニルアミン、2−アミノナフタレン、p−テルフェニルアミン、2−アミノアントラセン、2-アミノアントラキノンが挙げられる。なかでも、皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点からアニリン、4−ビフェニリルアミン、ジフェニルアミン、2−アミノナフタレン、p−テルフェニルアミンが好ましく、アニリンがより好ましい。また、アラルキル基を有するアミンとしては、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニルプロピルアミン、5−フェニルペンチルアミン、6−フェニルヘキシルアミン、7−フェニルヘプチルアミン、8−フェニルオクチルアミンが挙げられる。なかでも、同様の観点からベンジルアミン、フェネチルアミン、5−フェニルペンチルアミン、6−フェニルヘキシルアミン、7−フェニルヘプチルアミンが好ましく、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニルプロピルアミン、5−フェニルペンチルアミン、6−フェニルヘキシルアミンがより好ましく、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニルプロピルアミン、5−フェニルペンチルアミンがさらに好ましい。
炭素数2〜24の芳香族炭化水素基を有するアミンとして市販品を用いることもできるし、公知の方法に従って芳香族炭化水素基を有するアミンを調製することもできる。たとえば、ニトロベンゼンを還元することでアニリンを製造することができ、ベンズニトリルを水素化することでベンジルアミンを製造することができる。
<EO/PO共重合部を有するアミン>
次に、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンについて説明する。
まず、本明細書において、カルボキシ基に、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンがアミド結合するとは、炭素原子がセルロース骨格に共有結合したカルボキシ基に、EO/PO共重合部がアミド結合した状態を意味する。
そして、上記EO/PO共重合部の分子量が600〜10,000であって、EO/PO共重合部中のPOの含有率が6〜80モル%である。
<EO/PO共重合部を有するアミン>
本実施形態の微細セルロース繊維複合体においては、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基が、EO/PO共重合部を有するアミンとアミド結合している。よって、本実施形態におけるアミンは、EO/PO共重合部によって置換されたものであればよく、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれでもよいが、カルボキシ基との反応性の観点から、第1級アミンまたは第2級アミンが好ましい。
(EO/PO共重合部)
EO/PO共重合部とは、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)がランダムまたはブロック状に重合した構造を意味する。たとえば、アミンが後述する一般式(1)または(2)で表される場合は、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)はランダムまたはブロック状の連鎖構造となる。また、アミンが後述する一般式(3)で表される構造を有するアミンである場合は、(EO)e(PO)f、(EO)g(PO)h、および、(EO)i(PO)jは、連鎖している必要はない。
EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点から、6モル%以上であり、好ましくは12モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であり、同様の観点から、80モル%以下であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは55モル%以下、さらに好ましくは45モル%以下、さらにより好ましくは35モル%以下である。
EO/PO共重合部の分子量は、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点から、600以上であり、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上であり、同様の観点から、10,000以下であり、好ましくは7,000以下、より好ましくは5,000以下、さらに好ましくは4,000以下、さらにより好ましくは3,000以下である。
ここで、EO/PO共重合部を有するアミンが、たとえば、後述する一般式(3)で表される構造を有するアミンである場合は、(EO)e(PO)f+(EO)g(PO)h+(EO)i(PO)jの合計の分子量を、EO/PO共重合部の分子量とする。EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)、および、EO/PO共重合部の分子量は、アミンを製造する際の平均付加モル数から計算して求めることができる。
EO/PO共重合部とアミンとは、直接にまたは連結基を介して結合しているものが好ましい。連結基としては炭化水素基が好ましく、炭素数が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3のアルキレン基が用いられる。たとえば、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
かかるEO/PO共重合部を有するアミンとしては、たとえば、下記一般式(1)〜(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006615507
〔上記一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、EOおよびPOはランダムにまたはブロック状に存在し、aはEOの平均付加モル数を示す正の数であり、bはPOの平均付加モル数を示す正の数である。〕
Figure 0006615507
〔上記一般式(2)中、EOおよびPOはランダムにまたはブロック状に存在し、cは、EOの平均付加モル数を示し、独立して1〜70の数であり、dはPOの平均付加モル数を示し、独立して1〜70の数である。〕
Figure 0006615507
〔上記一般式(3)中、nは0または1であり、R2は水素原子、または、炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、EOおよびPOはランダムにまたはブロック状に存在し、e、gおよびiはEOの平均付加モル数を示し、独立して1〜50の数であり、f、hおよびjはPOの平均付加モル数を示し、独立して1〜50の数である。〕
これらのアミンの中では、上記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(1)において、aはEOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは11以上であり、さらに好ましくは15以上、さらにより好ましくは20以上、殊更好ましくは25以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100以下であり、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下、さらにより好ましくは55以下である。
また、上記一般式(1)において、bはPOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、また、同様の観点から、好ましくは50以下であり、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、さらにより好ましくは25以下、殊更好ましくは20以下、よりさらに好ましくは18以下、よりいっそう好ましくは15以下である。
また、EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、アミンが上記一般式(1)で表される場合には、前述したaとbより、共重合部におけるPOの含有率を計算することが可能であり、式:b×100/(a+b)より求めることがでる。
アミンが上記一般式(2)で表される場合には、EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、同様に、式:d×100/(c+d)より求めることがでる。
また、アミンが上記一般式(3)で表される場合には、EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、同様に、式:(f+h+j)×100/(e+f+g+h+i+j)より求めることができる。
POの含有率の好ましい範囲は、前述のとおりである。
上記一般式(1)におけるRは水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、−CH2CH(CH3)NH2基を示すが、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、水素原子が好ましい。炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、イソまたはノルマルのプロピル基である。
上記一般式(2)において、cはEOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは5以上、さらに好ましくは11以上であり、さらにより好ましくは15以上、殊更好ましくは20以上、よりいっそう好ましくは25以上であり、また、同様の観点から、好ましくは70以下であり、より好ましくは50以下である。また、上記一般式(2)において、dはPOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、また、同様の観点から、好ましくは70以下であり、より好ましくは50以下であり、さらに好ましくは40以下、さらにより好ましくは30以下、さらにまた好ましくは25以下、殊更好ましくは20以下、よりさらに好ましくは15以下、よりいっそう好ましくは10以下である。
上記一般式(3)において、Rの炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基である。Rがメチル基またはエチル基である場合、nが1であることが好ましく、Rが水素原子である場合、nが0であることが好ましい。
上記一般式(3)におけるiはEOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは5以上、さらに好ましくは11以上であり、さらにより好ましくは15以上、殊更好ましくは20以上、よりいっそう好ましくは25以上であり、また、同様の観点から、好ましくは50以下である。
上記一般式(3)におけるjはPOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、また、同様の観点から、好ましくは50以下であり、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、さらにより好ましくは25以下、殊更好ましくは20以下、よりさらに好ましくは15以下、よりいっそう好ましくは10以下である。
また、上記一般式(3)におけるeおよびgとしては、独立して、好ましくは1〜30、より好ましくは10〜30であり、fおよびhとしては、独立して、好ましくは1〜25、より好ましくは5〜25である。
上記一般式(1)および(2)で表されるEO/PO共重合部を有するアミンは、公知の方法に従って調製することができる。たとえば、プロピレングリコールアルキルエーテルにエチレンオキシド、プロピレンオキシドを所望量付加させた後、水酸基末端をアミノ化すればよい。必要により、アルキルエーテルを酸で開裂することで末端を水素原子とすることができる。これらの製造方法としては、特開平3−181448号等を参照することができる。
また、EO/PO共重合部を有するアミンとして、市販品も好適に用いられ、具体例としては、HUNTSMAN社製のJeffamine M−2070、Jeffamine M−2005、Jeffamine M−1000、Surfoamine B200、Surfoamine L100、Surfoamine L200、Surfoamine L207、Surfoamine L300、XTJ−501、XTJ−506、XTJ−507、XTJ―508;BASF社製のM3000、Jeffamine ED−900、Jeffamine ED−2003、Jeffamine D−2000、Jeffamine D−4000、XTJ−510、Jeffamine T−3000、JeffamineT−5000、XTJ−502、XTJ−509、XTJ−510等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせてもよい。
微細セルロース繊維複合体におけるEO/POアミンの結合量は、微細セルロース繊維複合体の取り扱い性を向上させる観点、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは0.01mmol/g以上であり、より好ましくは0.05mmol/g以上、さらに好ましくは0.1mmol/g以上、さらにより好ましくは0.3mmol/g以上、殊更好ましくは0.5mmol/g以上、よりさらに好ましくは0.8mmol/g以上である。また、アミド結合する際の反応性の観点から、微細セルロース繊維複合体におけるEO/POアミンの結合量は、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。EO/POアミンの結合量は、アミン添加量、アミンの種類、反応温度、反応時間、溶媒などによって調整することができる。
なお、本実施形態において、EO/POアミンの結合量は、赤外分光法(Infrared(IR)Spectroscopy)により求めることができるが、具体的には後述の実施例に記載の方法で求められる。
<成分(A1)の微細セルロース繊維複合体の製造方法>
微細セルロース繊維複合体は、微細セルロース繊維にアミド結合を介して炭化水素基またはEO/PO共重合部を導入できるのであれば、限定なく公知の方法に従って製造することができる。たとえば、予め調製された微細セルロース繊維に、アミド結合を介して炭化水素基またはEO/PO共重合部を導入する反応をおこなってもよいし、微細セルロース繊維を調製する際に続けて、アミド結合を介して炭化水素基またはEO/PO共重合部を導入する反応をおこなってもよい。なお、微細セルロース繊維は、公知の方法、たとえば、特開2011−140632号公報等に記載の方法により製造することができる。
好適な製造方法としては、たとえば、下記工程(i)および工程(ii)を含む製造方法が挙げられる。
工程(i):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る工程
工程(ii):工程(i)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維と、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部を有するアミンとをアミド化反応させる工程
なお、好適な製造方法として、さらに具体的には、工程(i)の後に後述する微細化工程をおこない、カルボキシ基含有微細セルロース繊維とした後に工程(ii)をおこなう方法(第1の製造形態)、および、工程(i)の後に工程(ii)をおこない、その後に微細化工程をおこなう方法(第2の製造形態)が挙げられる。
以下、上述した「第1の製造形態」に基づいて、成分(A1)の微細セルロース繊維複合体の製造方法を説明する。
(工程(i))
工程(i)は、天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る工程である。
工程(i)では、まず、水中に天然セルロース繊維を分散させたスラリーを調製する。スラリーは、原料となる天然セルロース繊維(絶対乾燥基準:150℃にて30分間加熱乾燥させた後の天然セルロース繊維の質量)に対して約10〜1000倍量(質量基準)の水を加え、ミキサー等で処理することにより得られる。天然セルロース繊維としては、たとえば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。天然セルロース繊維は、叩解等の表面積を高める処理が施されていてもよい。また、前記市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常80%以上である。
(酸化処理工程)
次に、上記天然セルロース繊維を、N−オキシル化合物の存在下で酸化処理して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る(以下、単に「酸化処理」と称する場合がある)。
N−オキシル化合物としては、炭素数1または2のアルキル基を有するピペリジンオキシル化合物、ピロリジンオキシル化合物、イミダゾリンオキシル化合物、および、アザアダマンタン化合物から選ばれる1種以上の複素環式のN−オキシル化合物が好ましい。これらの中では、反応性の観点から、炭素数1または2のアルキル基を有するピペリジンオキシル化合物が好ましく、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)等の2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等の4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等の4−アルコキシ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル等のジ−tert−アルキルニトロキシル化合物、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−ホスフォノキシ−TEMPO等が挙げられる。これらのピペリジンオキシル化合物の中では、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルがより好ましく、2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)がさらに好ましい。
N−オキシル化合物の量は、触媒として機能する量であれば制限なく、天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜9質量%、さらに好ましくは0.1〜8質量%、さらにより好ましくは0.5〜5質量%である。
天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化剤を使用することができる。酸化剤としては、溶媒をアルカリ性域に調整した場合の溶解度や反応速度等の観点から、酸素または空気、過酸化物、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およびそれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましく、具体的には、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウムが例示される。酸化剤の使用量は、天然セルロース繊維のカルボキシ基置換度(酸化度)に応じて選択すればよく、また反応条件によって酸化反応収率が異なるため一概には決められないが、原料である天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対し、約1〜100質量%となる範囲とすることができる。
また、酸化反応をより一層効率よくおこなうため、助触媒として、臭化ナトリウム、臭化カリウム等の臭化物や、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化物等を用いることができる。助触媒の量は、その機能を発揮できる有効量であればよく、制限はない。
酸化処理における反応温度は、反応の選択性を高める観点、および副反応の抑制の観点から、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは20℃以下であり、その下限は、好ましくは−5℃以上である。
また、反応系のpHは酸化剤の性質に合わせることが好ましく、たとえば、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合、反応系のpHはアルカリ側とすることが好ましく、pH7〜13が好ましく、pH10〜13がより好ましい。また、反応時間は1〜240分間が好ましい。
上述した酸化処理をおこなうことにより、カルボキシ基含有量が0.1〜3mmol/gの範囲の、カルボキシ基含有セルロース繊維が得られる。
(精製工程)
上述した酸化反応で得られるカルボキシ基含有セルロース繊維は、触媒として用いるTEMPO等のN−オキシル化合物や副生塩を含む。そのまま次工程をおこなってもよいが、精製をおこなって純度の高いカルボキシ基含有セルロース繊維を得ることもできる。精製方法としては、酸化反応における溶媒の種類、生成物の酸化の程度、精製の程度により最適な方法を採用することができる。たとえば、良溶媒として水、貧溶媒としてメタノール、エタノール、アセトン等を用いた再沈殿、ヘキサン等の水と相分離する溶媒へのTEMPO等の抽出、および塩のイオン交換、透析等による精製等が挙げられる。
(微細化工程)
第1の製造形態では、上述した精製工程後、工程(i)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維を微細化する工程をおこなう。微細化工程では、上述の精製工程を経たカルボキシ基含有セルロース繊維を溶媒中に分散させ、微細化処理をおこなうことが好ましい。この微細化工程をおこなうことにより、数平均繊維径および平均アスペクト比がそれぞれ前述した範囲にある微細セルロース繊維が得られる。
分散媒としての溶媒は、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3〜6のケトン;直鎖または分岐状の炭素数1〜6の飽和炭化水素または不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;炭素数2〜5の低級アルキルエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、コハク酸メチルトリグリコールジエステル等の極性溶媒等が例示される。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、微細化処理の操作性を向上させる観点から、水、炭素数1〜6のアルコール、炭素数3〜6のケトン、炭素数2〜5の低級アルキルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、コハク酸メチルトリグリコールジエステル等の極性溶媒が好ましく、環境負荷低減の観点から、水がより好ましい。溶媒の使用量は、カルボキシ基含有セルロース繊維を分散できる有効量であればよく、制限はないが、カルボキシ基含有セルロース繊維に対して、好ましくは1〜500質量倍、より好ましくは2〜200質量倍使用する。
また、微細化処理で使用する装置としては公知の分散機が好適に使用される。たとえば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。また、微細化処理における反応物繊維の固形分濃度は50質量%以下が好ましい。
微細化工程後に得られるカルボキシ基含有微細セルロース繊維の形態としては、必要に応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状(目視的に無色透明または不透明な液)、あるいは乾燥処理した粉末状(ただし、微細セルロース繊維が凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない。)とすることもできる。なお、懸濁液状にする場合、分散媒として水のみを使用してもよく、水と他の有機溶媒(たとえば、エタノール等のアルコール類)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
このような天然セルロース繊維の酸化処理および微細化処理により、セルロース構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシ基へと選択的に酸化され、カルボキシ基含有量が0.1〜3mmol/gのセルロースからなる、好ましくは数平均繊維径0.1〜200nmの微細化された、好ましくは30%以上の結晶化度を有するセルロース繊維を得ることができる。ここで、カルボキシ基を含有する微細セルロース繊維(本明細書中、「カルボキシ基含有微細セルロース繊維」ともいう。)は、セルロースI型結晶構造を有している。これは、本実施形態で用いるカルボキシ基含有微細セルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料が表面酸化され微細化された繊維であることを意味する。なお、工程(i)において、天然セルロース繊維の酸化処理後に、さらに酸(たとえば、塩酸)を反応させてカルボキシ基含有量を調整することができ、該反応は微細化処理前、微細化処理後のいずれにおこなってもよい。
(工程(ii))
第1の製造形態において、工程(ii)は、前述した微細化工程を経て得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維と、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部を有するアミンとをアミド化反応させて、微細セルロース繊維複合体(A1)を得る工程である。具体的には、カルボキシ基含有微細セルロース繊維に含有されるカルボキシ基と、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部を有するアミンのアミノ基とを縮合反応させてアミド結合を形成し、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部がアミド結合を介して連結された微細セルロース繊維複合体を得る。
工程(ii)で用いられる、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部を有するアミンとしては、微細セルロース繊維複合体において前述したものが挙げられる。
アミンの使用量は、反応性を向上させる観点から、カルボキシ基含有微細セルロース繊維に含有されるカルボキシ基1molに対して、アミン基が、好ましくは0.1mol以上、より好ましくは0.5mol以上、さらに好ましくは0.7mol以上であり、製品純度を高める観点から、好ましくは50mol以下、より好ましくは20mol以下、さらに好ましくは10mol以下となる量とする。なお、上記範囲に含まれる量のアミンを一度に反応に供しても、分割して反応に供してもよい。アミンが、モノアミンの場合は、上記のアミン基とアミンとは同じである。
カルボキシ基含有微細セルロース繊維と、アミンとの反応(以下、「縮合反応」または「アミド結合形成反応」と称する場合がある。)においては、公知の縮合剤を用いることもできる。
縮合剤としては、限定されないが、合成化学シリーズ ペプチド合成(丸善社)P.116に記載、またはTetrahedron,57,1551(2001)に記載の縮合剤などが挙げられ、たとえば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(以下、「DMT−MM」と称する場合がある。)等が挙げられる。
縮合反応における溶媒の具体例としては、前述した微細化工程における溶媒が挙げられ、アミド化反応に用いるアミンが溶解する溶媒を選択することが好ましく、より好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、イソプロピルアルコール(IPA)である。
縮合反応における反応時間および反応温度は、用いるアミンおよび溶媒の種類等に応じて適宜選択することができる。反応時間は、反応率を高める観点から、好ましくは1〜24時間、より好ましくは10〜20時間である。また、反応温度は、反応性を向上させる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。また、微細セルロース繊維複合体の着色を抑制する観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
縮合反応後、未反応のアミンや縮合剤等を除去するために、適宜後処理をおこなってもよい。後処理の方法としては、たとえば、ろ過、遠心分離、透析等を用いることができる。
第2の製造形態では、前述した各工程を、工程(i)、工程(ii)、微細化工程の順でおこなうこと以外は、第1の製造形態に準じた方法でおこなうことができる。
かくして得られる微細セルロース繊維複合体は、後処理をおこなった後の分散液の状態で皮膚化粧料中の成分として使用することもできるし、あるいは乾燥処理等により該分散液から溶媒を除去して、乾燥した粉末状の微細セルロース繊維複合体を得て、これを使用することもできる。ここで「粉末状」とは、微細セルロース繊維複合体が凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない。
粉末状の微細セルロース繊維複合体としては、たとえば、微細セルロース繊維複合体の分散液をそのまま乾燥させた乾燥物;該乾燥物を機械処理で粉末化したもの;微細セルロース繊維複合体の分散液を公知のスプレードライ法により粉末化したもの;微細セルロース繊維複合体の分散液を公知のフリーズドライ法により粉末化したもの等が挙げられる。スプレードライ法は、微細セルロース繊維複合体の分散液を大気中で噴霧し、乾燥させる方法である。
得られる微細セルロース繊維複合体(A1)の数平均繊維径は、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにする観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは0.2nm以上、さらに好ましくは0.5nm以上、さらにより好ましくは0.8nm以上、殊更好ましくは1nm以上である。また、皮膚に適用した際の耐水性を向上させる観点、さらに具体的には形成される皮膜の耐水性を向上させる観点から、微細セルロース繊維複合体の数平均繊維径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらにより好ましくは20nm以下、殊更好ましくは10nm以下である。
なお、微細セルロース繊維複合体は、工程(ii)の反応により結晶性が低下することがないことから、微細セルロース繊維の結晶化度と同程度の結晶化度を有することが好ましい。
また、得られた微細セルロース繊維複合体におけるアミド結合量すなわち微細セルロース繊維複合体への炭素数2〜24の炭化水素基を有するアミンまたはEO/POを有するアミンの導入量は、微細セルロース繊維複合体の取り扱い性を向上させる観点、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは0.01mmol/g以上であり、より好ましくは0.05mmol/g以上、さらに好ましくは0.1mmol/g以上、さらにより好ましくは0.3mmol/g以上、殊更好ましくは0.5mmol/g以上、よりさらに好ましくは0.8mmol/g以上である。また、アミド結合する際の反応性の観点から、微細セルロース繊維複合体におけるアミド結合量は、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。
また、成分(A1)の微細セルロース繊維複合体としては、微細セルロース繊維に、好ましくはEO/PO共重合部、二級アミン、直鎖または分岐鎖のアルキルアミンからなる群から選択される一種以上がアミド結合を介して結合したものであり、より好ましくはEO/PO共重合部、二級アミン、直鎖のアルキルアミンからなる群から選択される一種以上がアミド結合を介して結合したものであり、さらに好ましくはEO/PO共重合部および二級アミンからなる群から選択される一種以上がアミド結合を介して結合したものであり、さらにより好ましくはEO/PO共重合部がアミド結合を介して結合したものである。また、成分(A1)の微細セルロース繊維複合体は、好ましくは数平均繊維径が0.1〜200nmのものである。
また、好ましい成分(A1)として、微細セルロース繊維に炭素数2〜24の炭化水素基が平均結合量0.3mmol/g以上でアミド結合を介して結合し、平均繊維径が0.1〜200nmである微細セルロース繊維複合体(a1)が挙げられる。
成分(a1)においても、微細セルロース繊維としては、微細セルロース繊維複合体(A1)にて用いられる微細セルロース繊維と同様のものとすることができる。
また、微細セルロース繊維複合体(a1)における炭化水素基では、炭素数が2〜24であり、より詳しくは、炭素数が2〜24の飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の炭化水素基が挙げられる。なかでも、皮膚化粧料により形成される皮膜の強度を向上させる観点から、炭素数は好ましくは20以下であり、より好ましくは18以下、さらに好ましくは12以下である。また、成分(a1)の耐黄変性(加熱時の着色の少なさ)を向上させる観点および皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点から、微細セルロース繊維複合体(a1)における炭化水素基の炭素数は、好ましくは3以上である。また、微細セルロース繊維複合体(a1)における炭化水素基の炭素数は、2〜24であり、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜18であり、より好ましくは3〜12である。
炭化水素基の具体例としては、たとえば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上が任意の割合でそれぞれアミド結合を介して連結されていてもよい。
微細セルロース繊維複合体(a1)における炭化水素基の結合量は、成分(a1)の耐黄変性(加熱時の着色の少なさ)を向上させる観点および皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点から、平均結合量としては0.3mmol/g以上であり、好ましくは0.4mmol/g以上であり、より好ましくは0.5mmol/g以上である。また、皮膚化粧料により形成される皮膜の強度を向上させる観点から、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、さらに好ましくは1mmol/g以下である。また、炭化水素基の平均結合量は、0.3〜3mmol/gが好ましく、0.4〜2mmol/gがより好ましく、0.5〜1mmol/gがさらに好ましい。
微細セルロース繊維複合体(a1)は、微細セルロース繊維複合体(A1)の製造方法に準じて製造することができる。
得られる微細セルロース繊維複合体(a1)におけるカルボキシ基含有量は、皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0mmol/g以上、より好ましくは0.1mmol/g以上、さらに好ましくは0.2mmol/g以上である。また、成分(a1)の耐黄変性(加熱時の着色の少なさ)を向上させる観点から、好ましくは2.8mmol/g以下、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。また、カルボキシ基含有量は、上記効果のバランスを高める観点から、好ましくは0〜2.8mmol/g、より好ましくは0.1〜2.0mmol/g、さらに好ましくは0.2〜1.5mmol/gである。
また、微細セルロース繊維複合体(a1)の平均繊維径は、皮膚化粧料に形成される皮膜の強度を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは0.2nm以上、さらに好ましくは0.5nm以上、さらに好ましくは0.8nm以上、よりさらに好ましくは1nm以上である。また、分散安定性を向上させる観点および皮膚化粧料の透明性を高める観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらに好ましくは20nm以下、よりさらに好ましくは10nm以下である。また、成分(a1)の平均繊維径は、上記効果のバランスを高める観点から、好ましくは0.1〜200nm、より好ましくは0.2〜100nm、さらに好ましくは0.5〜50nm、さらに好ましくは0.8〜20nm、よりさらに好ましくは1〜10nmである。
次に、成分(A2)について説明する。
(成分(A2))
成分(A2)の微細セルロース繊維複合体は、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24のアルキル基を有する化合物であって、かつハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種が、エステル結合を介して結合してなるものである。
すなわち、成分(A2)の微細セルロース繊維複合体は、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基にエステル結合を介して炭素数2〜24のアルキルが結合したものである。成分(A2)として、たとえば、特開2010−59571号公報に記載のものを用いることができる。
成分(A2)の微細セルロース繊維複合体は、たとえば天然セルロースと同じI型結晶構造を有する。
また、成分(A2)の微細セルロース繊維複合体は、好ましくは数平均繊維径が0.1〜200nmのものである。
また、成分(A2)において、微細セルロース繊維にエステル基を介して結合しているアルキル基の炭素数は、皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点および皮膚化粧料により形成される皮膜の強度を向上させる観点から、2〜24であり、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは3〜18であり、さらにより好ましくは、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基またはヘキサデシル基である。
成分(A2)の微細セルロース繊維複合体において、エステル基およびアルデヒド基の量は、皮膚化粧料の分散安定性を向上させる観点から、微細セルロース繊維複合体の質量に対し、エステル基とアルデヒド基との合計で好ましくは0.1〜2.2mmol/gであり、より好ましくは0.5〜1.5mmol/gである。
また、成分(A2)の微細セルロース繊維複合体におけるエステル結合量は、成分(A2)の取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは0.01mmol/g以上であり、より好ましくは0.05mmol/g以上、さらに好ましくは0.1mmol/g以上、さらにより好ましくは0.3mmol/g以上、殊更好ましくは0.5mmol/g以上、よりさらに好ましくは0.8mmol/g以上である。また、成分(A2)を得る際のエステル化の反応性の観点から、微細セルロース繊維複合体におけるエステル結合量は、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。
なお、本実施形態において、エステル結合量は、固体NMR(Nuclear Magnetic Resonance)により求めることができる。
<成分(A2)の微細セルロース繊維複合体の製造方法>
成分(A2)の製造方法として、たとえば、下記工程(i)、工程(iii)および工程(iv)を含む製造方法が挙げられる。
工程(i):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る工程
工程(iii)微細セルロース繊維を有機オニウム化合物にて処理する工程
工程(iv):工程(iii)においてオニウム化合物にて処理されたセルロース繊維と炭素数2〜24のアルキル基を有する化合物であって、かつハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種とを反応させてエステル化する工程
ここで、工程(i)は、成分(A1)の製造方法において前述した工程(i)と同じである。
また、成分(A1)の製造方法と同様に、成分(A2)の製造方法においても、工程(i)の後に微細化工程をおこない、カルボキシ基含有微細セルロース繊維とした後に工程(iii)および工程(iv)をおこなう方法(第1の製造形態)、または、工程(i)の後に工程(iii)および工程(iv)をおこない、その後に微細化工程をおこなう方法(第2の製造形態)とすることが好ましい。
以下、工程(iii)について説明する。
工程(iii)は、工程(i)で得られた微細セルロース繊維のカルボキシル基と反応させるために有機アンモニウム、有機ホスホニウムのようなオニウム構造を有する有機オニウム化合物を加えることにより疎水化(親油化)処理する工程である。
工程(iii)として、たとえば、特開2010−59571号公報に記載の疎水化処理を用いることができる。
以下、工程(iv)について説明する。
工程(iv)は、工程(iii)で得られた微細セルロース繊維とハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種とを反応させてエステル化するアルキルエステル化工程である。
工程(iv)として、たとえば、特開2010−59571号公報に記載のエステル化反応を用いることができる。
アルキルエステル化工程に使用する溶媒は、限定されないが、工程(iii)において疎水化処理した微細セルロース繊維の分散性に優れるもの、または、エステル交換反応を阻害しないものを選択することが好ましい。溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の具体例として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族または芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどのような極性溶媒が挙げられる。たとえば、工程(iii)中の疎水化処理に用いたN−オニウム化合物がアルキルオニウム化合物である場合、微細セルロース繊維の分散性を高める観点から、好ましくはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンまたはジメチルスルホキシドである。
溶媒の使用量は、アルキルエステル化反応に供される微細セルロース繊維の量、反応試薬の添加量などに応じて決めることができる。アルキルエステル化反応を安定的におこなう観点から、微細セルロース濃度が好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1.0〜10質量%となる量である。
アルキルエステル化反応の反応温度は、溶媒の沸点、疎水化処理した微細セルロース繊維の熱安定性等に応じて設定することができ、好ましくは、室温(25℃、以下同じ。)〜200℃であり、より好ましくは50℃〜150℃、さらに好ましくは70℃〜120℃である。また、100℃以上の比較的高い反応温度を採用する場合には、耐熱性を向上させる観点からアルキルホスホニウム化合物で処理した微細セルロース繊維が好ましく用いられる。
また、アルキルエステル化反応に用いる反応容器は限定されない。
また、反応時間は、好ましくは0.1〜30時間であり、より好ましくは1〜20時間である。
工程(iv)において、疎水化処理した微細セルロース繊維を有機溶媒に添加した後、分散処理し、その後、ハロゲン化アルキルを添加してアルキルエステル化反応をおこなうことが好ましい。分散処理には、たとえばホモジナイザーなどのせん断装置を用いることができる。
アルキルエステル化反応に用いるアルキル化剤として、ハロゲン化アルキル;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のアルキル硫酸エステル;p−トルエンスルホン酸メチル等のアルキルトシラート;メタンスルホン酸メチル等のアルキルメシラート;トリフルオロメタンスルホン酸メチル等のアルキルトリフラートが挙げられる。このうち、価格等の観点からハロゲン化アルキルが好ましい。ハロゲン化アルキルの具体例として、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化ヘキシル、塩化デシル、塩化ヘキサデシル、塩化オクタデシル、塩化コレステリル、塩化コレスタリル、炭素数2〜24のポリフルオロアルキルクロリド等の塩化物;臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、臭化ヘキシル、臭化デシル、臭化ヘキサデシル、臭化オクダシル、臭化コレステリル、臭化コレスタリル、炭素数2〜24のポリフルオロアルキルブロミド等の臭化物;ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ヘキシル、ヨウ化デシル、ヨウ化ヘキサデシル、ヨウ化オクタデシル、ヨウ化コレステリル、ヨウ化コレスタリル、炭素数2〜24のポリフルオロアルキルヨード等のヨウ化物;等が挙げられ、反応性および取り扱い性に優れる観点から、好ましくは臭化物である。
アルキルエステル化反応後、未反応のアルキル化剤等を除去するために、適宜後処理をおこなってもよい。後処理の方法としては、たとえば、ろ過、遠心分離、透析等を用いることができる。
また、以上により得られる微細セルロース繊維複合体(A2)は、成分(A1)の場合と同様に、後処理をおこなった後の分散液の状態で皮膚化粧料中の成分として使用することもできるし、あるいは乾燥処理等により該分散液から溶媒を除去して、乾燥した粉末状の微細セルロース繊維複合体を得て、これを使用することもできる。粉末状の微細セルロース繊維複合体の具体例としては、成分(A1)について前述したものが挙げられる。
また、得られる微細セルロース繊維複合体(A2)の数平均繊維径は、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにする観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは0.2nm以上、さらに好ましくは0.5nm以上、さらにより好ましくは0.8nm以上、殊更好ましくは1nm以上である。また、皮膚に適用した際の耐水性を向上させる観点、さらに具体的には形成される皮膜の耐水性を向上させる観点から、微細セルロース繊維複合体(A2)の数平均繊維径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらにより好ましくは20nm以下、殊更好ましくは10nm以下である。
本実施形態において、皮膚化粧料中の成分(A)の含有量は、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにする観点から、皮膚化粧料全体に対してたとえば0.1質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上である。
また、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにするとともに皮膚化粧料の使用感を好適にする観点からは、皮膚化粧料中の成分(A)の含有量は、皮膚化粧料全体に対してたとえば4質量%以下であり、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であり、さらにより好ましくは1.5質量%以下である。
次に、成分(B)について説明する。
(成分(B))
成分(B)は、SP値が7.2〜15(cal/cm31/2の油剤である。
SP値は溶解度パラメーターδであって、液体の分子凝集エネルギーEと分子容Vからδ=(E/V)1/2(J/cm3)で与えられる物質定数である。この値から物質の相対的な極性の高さを推定することができる。SP値は種々の方法で実測または計算で決定される。本実施形態においては、Fedorsの方法に従い、J. BRANDR UP著「POLYMER HANDBOOK 4th」(JHON WILEY & SONS,INC 1999年発行)、VII685〜686項に示されるパラメーターを用いて求められる。
本実施形態において、油剤が混合物である場合は、成分(B)の油剤のSP値は、加重平均すなわち構成成分それぞれのSP値と質量分率の積の総和として求める。また、天然物やポリマーなどの構造式が特定できないものについては代表構造に従ってSP値を計算する。
成分(B)のSP値は、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点から、7.2以上であり、好ましくは7.8以上、より好ましくは8.0以上であり、また、15以下であり、好ましくは12以下、より好ましくは10.2以下、さらに好ましくは9.99以下である。
また、皮膚化粧料における乳化力を向上させる観点からは、成分(B)のSP値は、好ましくは7.5〜12であり、より好ましくは7.8〜10.2、さらに好ましくは8.0〜9.5、さらにより好ましくは8.2〜8.6である。
成分(B)の具体例としては、炭化水素;高級脂肪酸;高級アルコール;エーテル類;脂肪酸モノエステル等のモノエステル、ジエステル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド等の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類等のエステル類であって、SP値が7.2〜15であるものが挙げられる。また、成分(B)として、SP値が7.2〜15である紫外線吸収剤、殺菌剤、美白剤等を用いることもできる。これらは植物油であってもよい。
成分(B)は、好ましくは炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類、前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の紫外線吸収剤、前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の殺菌剤および前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の美白剤からなる群から選択される1種または2種以上である。
成分(B)のうち、炭化水素の具体例として、スクワラン(たとえば、日光ケミカルズ社製、SP値:8.34)、流動パラフィン(たとえば、カネダ社製ハイコールK−350、SP値:8.51)が挙げられる。
高級脂肪酸の具体例として、オレイン酸(たとえば、花王社製EXTRA OLEIN−80、SP値:9.14)、ステアリン酸(たとえば、花王社製ルナック S−50、SP値:9.12)、パルミチン酸(たとえば、花王社製ルナック P−95KC、SP値:9.18)、ミリスチン酸(たとえば、花王社製ルナック MY−98KC、SP値:9.26)、リノール酸(たとえば、日油社製リノール酸90、SP値:9.17)が挙げられる。
高級アルコールの具体例として、オレイルアルコール(たとえば、高級アルコール工業社製オレイルアルコール VP、SP値:9.47)が挙げられる。
エーテル類の具体例として、モノオレイルグリセリルエーテル(たとえば、日光ケミカルズ社製セラキルアルコール、SP値:10.46)が挙げられる。
モノエステルの具体例として、乳酸オクチルドデシル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール13、SP値:9.40)、セスキオレイン酸ソルビタン(たとえば、日清オイリオ社製コスモール82、SP値:10.07)、パルミチン酸イソプロピル(たとえば、花王社製エキセパールIPP、SP値:8.54)、ミリスチン酸イソステアリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール812、SP値:8.55)、ステアリン酸ブチル(たとえば、川研ファインケミカル社製ブチルステアレート K、SP値:8.61)、乳酸セチル(たとえば、アイエスピー・ジャパン社製セラフィル 28、SP値:9.6)、ラウロイルサルコシンイソプロピル(たとえば、味の素社製エルデューSL−205、SP値:9.52)が挙げられる。
ジエステルの具体例として、リンゴ酸ジイソステアリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール222、SP値:9.36)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(たとえば、日清オイリオ社製エステモールNO−1、SP値:8.87)、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(たとえば、日清オイリオ社製コスモール525、SP値:8.79)が挙げられる。
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類の具体例として、(イソステアリン酸/ミリスチン酸)グリセリル(たとえば、花王社製エキセパールDG−MI、SP値:9.32)、モノミリスチン酸ジグリセリン(たとえば、日光ケミカル社製セラキルアルコール、SP値:11.88)、イソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール41、SP値:11.37)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール42、SP値:9.91)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール43、SP値:9.25)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール44、SP値:8.88)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(たとえば、日清オイリオ社製T.I.O、SP値:9.1)が挙げられる。
前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の紫外線吸収剤の具体例として、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(たとえば、BASF社製ユビナールMC80、SP値:10.00)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(たとえば、BASF社製ユビナールA plus、SP値:10.69)、エチルヘキシルトリアゾン(たとえば、BASF社製ユビナールT150、SP値:11.51)、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(たとえば、DSMニュートリション社製パルソールMCX、SP値:9.91)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(たとえば、BASF社製チノソルブS、SP値:12.00)が挙げられる。
前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の殺菌剤の具体例として、イソプロピルメチルフェノール(たとえば、大阪化成社製IPMP、SP値:11.50)、トリクロサン(たとえば、BASF社製イルガサン DP 300、SP値:12.75)が挙げられる。
また、前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の美白剤の具体例として、エチルペンチルメトキシクロモン(たとえば、花王社製MA−293、SP値:10.43)が挙げられる。
植物油の具体例として、ホホバ油(SP値:8.6)、オリーブ油(SP値:9.3)が挙げられる。
成分(B)の油剤は1種単独でも2種以上を組み合わせてもよい。また、皮膚化粧料中の成分(B)の含有量は、乳化安定性を向上させるとともに皮膚に適用した際の使用感を好適にする観点から、皮膚化粧料全体に対し、好ましくは合計で2質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらにより好ましくは19質量%以下である。
なお、本実施形態において、皮膚化粧料中にSP値が上記の範囲にない油剤を含んでもよい。この場合にも、皮膚化粧料中の油剤成分全体のSP値の加重平均が7.2〜15の範囲にあることが好ましい。
(成分(C))
成分(C)は、水である。水としては、イオン交換水や蒸留水等を用いることができる。水の含有量は、たとえば皮膚化粧料中の成分(A)、(B)およびその他成分の残量となる。また、成分(C)の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上である。
本実施形態における皮膚化粧料は、皮膚化粧料の形態に応じて所定の手順により製造することができる。たとえば、皮膚化粧料の製造方法が、成分(A)〜(C)を混合撹拌し、乳化物を調製する工程を含んでもよい。また、皮膚化粧料の製造方法が、成分(A)および(C)を含む水相と、成分(B)を含む油相とを混合して乳化物を調製する工程を含んでもよい。
得られる乳化物、たとえば水中油型乳化組成物を、皮膚化粧料として用いることができる。
本実施形態における皮膚化粧料の形態は、ローション状、溶液状、乳液状、クリーム状、軟膏状、ゲル状、パック状、パウダー状、スティック状等とすることができ、さらに具体的には、乳液、化粧水、パック、ジェルが挙げられる。
本実施形態においては、成分(A)〜(C)を組み合わせて用いることにより、乳化力および乳化安定性に優れるとともに、皮膚等に適用されて皮膜を形成することができ、形成された皮膜の耐水性に優れる皮膚化粧料を得ることができる。
さらに具体的には、本実施形態においては、成分(A)の特定の構造および特性を有する微細セルロース繊維複合体を用いている。成分(A)を用いることにより、油溶性液体の乳化力や油溶性結晶の可溶化力を向上させることができるため、乳化力、乳化安定性および塩を添加した際の乳化安定性に優れた皮膚化粧料が得られる。殊に、成分(A)〜(C)を組み合わせて用いることにより、耐塩性に優れた乳化物を得ることができる。さらに、成分(A)を用いることにより、皮膚等に適用した際に、皮膚化粧料の塗膜を形成することができる。そして、形成された塗膜中に成分(B)を分散、保持することができるとともに、塗膜自身の耐水性にも優れている。このため、たとえば発汗に対し、成分(B)を肌上に長時間残留させることも可能となる。
次に、皮膚化粧料の使用方法を説明する。
本実施形態における皮膚化粧料の使用方法は、たとえば、当該皮膚化粧料を皮膚に、好ましくは頭皮を除く皮膚に適用するステップを含む。さらに具体的には、皮膚化粧料を皮膚に、好ましくは頭皮を除く皮膚に適用して皮膜を形成するステップを含んでもよい。
また、本実施形態における皮膚化粧料は、成分(B)の性質に応じて、たとえば日焼け抑制用化粧料、紫外線防御用化粧料、美白用化粧料、制汗用化粧料、消炎用化粧料等を得るために使用することができる。
本実施形態において、皮膚化粧料は、上記以外の成分を含んでいてもよい。
たとえば、皮膚化粧料が、水以外の溶媒を含んでもよく、このような溶媒として、たとえば、エタノール、2−プロパノール等の炭素数2〜5の低級アルコール類が挙げられる。
また、本実施形態において、皮膚化粧料が、上記以外の成分として、界面活性剤、成分(B)以外の油剤、保湿剤、防腐剤、消臭剤、制汗剤、冷感剤、温感剤、抗炎症剤、防腐剤、香料等を含有してもよい。
さらに、皮膚化粧料には、その効果を損なわない限り、通常化粧料または外用剤に配合される成分を、適宜利用することができる。たとえば、上記以外のアルコール類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、色素、乳化安定剤、収斂剤、清涼剤、ビタミン類、アミノ酸類等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、各成分は、上述した一の剤としての機能に加えて他の機能を有するものであってもよく、たとえば、ビタミン類が抗炎症剤としても機能してもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
(製造例1〜27)
後述する実施例または比較例で用いた微細セルロース繊維複合体を以下の方法で製造し、評価した。各製造例において用いた微細セルロース繊維およびこれにアミド結合する炭化水素基もしくはEO/PO共重合部またはエステル結合するアルキル基の構成、ならびに、各製造例で得られた微細セルロース繊維複合体の特性を表1〜表3に示す。
Figure 0006615507
Figure 0006615507
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微細セルロース繊維の調製例1(天然セルロースにN−オキシル化合物を作用させて得られるカルボキシ基含有微細セルロース繊維の分散液)
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分おこなった後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理をおこなった。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gとを混合し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボ HJP−2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を2回おこない、カルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度1.3質量%)を得た。この微細セルロース繊維の数平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.4mmol/gであった。
微細セルロース繊維の調製例2(酸型処理して得られるカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液)
ビーカーに調製例1で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液4088.75g(固形分濃度1.3質量%)にイオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温(25℃)下、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温(25℃)下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過し、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄をおこない、塩酸および塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、アセトンにカルボキシ基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄をおこない、塩酸および塩を除去した。アセトンで溶媒置換した後、IPAで溶媒置換し、カルボキシ基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のIPA含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.4mmol/gであった。
(製造例1〜10)
(EO/PO共重合部を有するアミン(EO/PO共重合アミン)の製造)
プロピレングリコール第三級ブチルエーテル132gを1Lのオートクレーブに仕込み、75℃に加熱し、フレーク状の水酸化カリウム1.2gを加え、溶解するまで攪拌した。次いで、表1に示すEO/PO共重合部の構成部を得るために、表1に示すモル数aのエチレンオキシド(EO)と表1に示すモル数(b−1)のプロピレンオキシド(PO)を110℃で0.34MPaにて反応させた後、Magnesol 30/40(ケイ酸マグネシウム、ダラスグループ社製)7.14gを投入して95℃で中和し、得られた生成物をジ第三級ブチル−p−クレゾール 0.16gを添加、混合した後、濾過して、EO/PO共重合体であるポリエーテルを得た。
一方、酸化ニッケル/酸化銅/酸化クロム(モル比:75/23/2)(和光純薬工業社製)の触媒を充填した1.250mLの管状反応容器に上記で得られたEO/PO共重合体であるポリエーテル(8.4mL/min)、アンモニア(12.6mL/min)および水素(0.8mL/min)をそれぞれ供給した。容器の温度を190℃に維持し、圧力を14MPaに維持した。そして容器からの粗流出液を70℃および3.5mmHgにて30分間留去した。得られたアミノ化ポリエーテル200gおよび15%塩酸水溶液93.6gをフラスコに仕込み、反応混合物を100℃にて3.75時間加熱し、第三級ブチルエーテルを酸で開裂させた。そして生成物を15%の水酸化カリウム水溶液144gで中和した。次に中和された生成物を112℃で一時間減圧留去して濾過し、一般式(1)で表されるEO/PO共重合部を有するモノアミンを得た。なお、得られたモノアミンでは、EO/PO共重合部とアミンとが直接結合しており、一般式(1)におけるRは水素原子である。
なお、アミン共重合部の分子量は、たとえば、製造例1のアミンの場合、
2200(=44×50)+754(=58×13)=2954
と算出した。
(微細セルロース繊維複合体の製造)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、微細セルロース繊維の調製例2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液35g(固形分濃度5.4質量%)を仕込んだ。続いて、表1に示す種類のEO/PO共重合部を有するアミンを、微細セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミン基5molに相当する量、および、縮合剤である4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(DMT−MM)3.78gを仕込み、IPA 300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、イオン交換水にて洗浄、DMT−MM塩を除去し、アセトンで洗浄および溶媒置換することで、微細セルロース繊維にEO/PO共重合体がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
(製造例11)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、微細セルロース繊維の調製例2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液40g(固形分濃度5質量%)を仕込んだ。続いて、プロピルアミンを、微細セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミン基1.2molに相当する量、4−メチルモルホリン0.34g、縮合剤であるDMT−MMを1.98g仕込み、DMF 300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時か反応させた。反応終了後ろ過し、DMT−MM塩を除去するためにエタノールで洗浄して、イオン交換水で溶媒置換することで、微細セルロース繊維に、アミンがアミド結を介して連結した微細セルロース繊維複合体分散液を得た。
(製造例12)
製造例11において、プロピルアミンにかえてヘキシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にヘキシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
(製造例13)
製造例11において、プロピルアミンにかえてオクタデシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にオクタデシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
(製造例14)
製造例11において、プロピルアミンにかえてジオクチルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にジオクチル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
(製造例15)
製造例11において、プロピルアミンにかえてジドデシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にジドデシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
(製造例16)
製造例11において、プロピルアミンにかえてアニリンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にフェニル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
(製造例17)
製造例11において、プロピルアミンにかえてベンジルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて微細セルロース繊維にベンジル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
(製造例18)
製造例11において、プロピルアミンにかえてメチルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて微細セルロース繊維にメチル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
(製造例19)
製造例11において、プロピルアミンにかえてヘプタコシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて微細セルロース繊維にヘプタコシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
(製造例20)
微細セルロース繊維の調製例2で得られた微細セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を、攪拌羽根を備えたビーカーに入れてイオン交換水で固形分濃度1.0質量%に希釈し、分散液を調製した。この分散液をテトラブチルアンモニウムヒドロキシド10%水溶液(和光純薬工業社製)でpH8.0付近に調整し、有機オニウム処理された微細セルロース(以下、「微細修飾セルロース」と称する。)を得た。この微細修飾セルロースを凍結乾燥した。
上記の微細修飾セルロース1.0質量部をビーカーに移し、ジメチルホルムアミド100質量部を添加してホモジナイザーで10分間分散処理を行った。さらに、アルキル化剤としてヨウ化プロピル10.2質量部を添加した後、反応温度を25℃に設定し約48時間反応させた。該反応物をメタノールで洗浄した後に一昼夜減圧乾燥し、微細セルロース繊維にプロピル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。微細セルロース繊維複合体におけるプロピル基の平均結合量は0.73mmol/gであった。
(製造例21)
ヨウ化プロピル10.2質量部をヨウ化ヘキシル12.7質量部に変更したこと以外は、製造例20の方法に準じて微細セルロース繊維にヘキシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。微細セルロース繊維複合体におけるヘキシル基の平均結合量は0.67mmol/gであった。
(製造例22〜27)
特開2010−59571号公報の記載の方法に準じて、以下の手順により、微細セルロース繊維にアルキル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
(製造例22)
微細セルロース繊維の調製例1で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維の分散液100質量部を、攪拌羽根をそなえたビーカーに入れて、70℃に加熱攪拌した。ここでN−オニウム化合物として、トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド(日本化成工業社製)11質量部をイオン交換水300質量部で溶解させた溶液を加え、70℃で3時間攪拌した。混合物から固体を濾別し、メタノールで3回、水で3回洗浄した後、オニウム処理された微細セルロース繊維を得た。得られた微細セルロース繊維を一昼夜減圧乾燥した。
次に、得られた微細修飾セルロース1.0質量部をビーカーに移し、DMF100質量部、さらにアルキル化剤として臭化ブチル6.9質量部を添加した後、ホモジナイザーで10分間分散処理をおこなった。反応温度を85℃に設定し、約24時間反応させた。反応物をメタノール、水で洗浄した後に一昼夜減圧乾燥し、微細セルロース繊維にブチル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。この微細セルロース繊維複合体中の固体NMR法にて測定したエステル基量は0.78mmol/gであった。
(製造例23)
アルキル化剤として、臭化ヘキシル8.3質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にヘキシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.79mmol/gであった。
(製造例24)
アルキル化剤として、臭化デシル11.1質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にデシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.8mmol/gであった。
(製造例25)
アルキル化剤として、臭化ヘキサデシル15.3質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にヘキサデシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.78mmol/gであった。
(製造例26)
アルキル化剤として、臭化メチル4.7質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にメチル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.76mmol/gであった。
(製造例27)
アルキル化剤として、臭化ヘプタコシル23.0質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にヘプタコシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.78mmol/gであった。
〔微細セルロース繊維および微細セルロース繊維複合体の平均繊維径〕
微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体に水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維の繊維高さを測定した。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体を5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出した。
〔微細セルロース繊維および微細セルロース繊維複合体のカルボキシ基含有量〕
乾燥質量0.5gの微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体を100mLビーカーにとり、イオン交換水もしくはメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体が十分に分散するまで該分散液を攪拌した。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度およびpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得た。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体のカルボキシ基含有量を算出した。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロース繊維の質量(0.5g)
〔微細セルロース繊維複合体中のアミド結合の導入量〕
微細セルロース繊維複合体中の炭化水素基の平均結合量を下記式により算出した。
アミド基の結合量(mmol/g)=炭化水素基又はEO/PO共重合導入前の微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)−炭化水素又はEO/PO共重合導入後の微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)
〔微細セルロース繊維複合体中のエステル結合の導入量〕
微細セルロース繊維中のカルボキシ基がエステル化された割合、つまりエステル化率は、特開2010−59571号公報の記載に準じて、固体NMRを用いてDD/MAS(Dipolar Decoupling/Magic Angle Spinning)法により算出した。
(実施例1〜20、比較例1〜9)
表4〜表7に示す皮膚化粧料を調製し、乳化力、乳化安定性および皮膜耐水性を以下の方法で評価した。評価結果を表4〜表7に併せて示す。
(皮膚化粧料の調製方法)
表4〜表7に示す成分を同表に記載の濃度で含むように各例の皮膚化粧料を調製した。具体的には、油剤、イオン交換水に成分(A)の微細セルロース繊維複合体分散液または成分(A)'のその他成分を添加し、温度60℃でホモミクサーMarkIIを用い4500rpm、5分間撹拌乳化して得られた水中油型乳化組成物を各例の皮膚化粧料とした。
(乳化力試験)
各例で得られた皮膚化粧料の乳化物を、直径3cm*30cm長の試験管に20cmの高さ分入れ、25℃で静置した。6時間後の乳化層の体積%を高さ計測から算出した。体積%が高いほど、乳化能力に優れることを示す。
(乳化安定性)
各例で得られた皮膚化粧料の乳化物500gを30cm長の試験管に入れ、25℃にて6時間静置後の乳化層の体積%と50℃の恒温槽に5日間保存後の乳化層の体積%の差分から、乳化安定性を判定した。評価基準を以下に示す。
++:10%未満減少
+:10%以上40%未満減少
−:40%以上減少
(塩添加に対する乳化安定性)
表4〜表7に示す成分を同表に記載の濃度で含むように、油剤、塩化ナトリウム5重量%イオン交換水に成分(A)の微細セルロース繊維複合体分散液または成分(A)'のその他成分を添加し、温度60℃でホモミクサーMarkII(プライミクス社製)を用い4500rpm,5分間撹拌乳化して、500g調製した。得られた乳化物を30cm長の試験管に入れ、6時間後の乳化層の体積%と、塩化ナトリウム未添加の同調製品の6時間後の乳化層の体積%との差分から、乳化安定性を判定した。評価基準を以下に示す。
++:塩化ナトリウム添加により10%未満減少
+:塩化ナトリウム添加により10%以上40%未満減少
−:塩化ナトリウム添加により40%以上減少
(皮膜耐水性)
各例の皮膚化粧料0.1mgを、それぞれスライドガラス板に塗布し、バーコーダーにて均一に引き伸ばし、30分間乾燥させて皮膜を形成させた。その後、ガラス板を37℃の水浴に浸し、水温を37℃に保ちながら80分間軽く水を攪拌し続けた。終了後、ガラス板をゆっくり取り出し、30分以上放置して乾燥させた後、目視で皮膜の残留性を判定した。判定基準を以下に示す。
++:皮膜が80%以上残留
+:40%以上80%未満残留
−:40%未満残留
Figure 0006615507
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Figure 0006615507
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表4〜表7において、以下の成分を用いた。
*1 スクワラン/日光ケミカル社製
*2 流動パラフィン:ハイコールK−350/カネダ社製
*3 パルミチン酸イソプロピル:エキセパールIPP/花王社製
*4 ジカプリン酸ネオペンチルグリコール:エステモールN01/日清オイリオ社製
*5 ジイソステアリン酸ポリグリセリル:コスモール42/日清オイリオ社製
*6 メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:ユビナールMC80/BASF社製
*7 モノオレイルグリセリルエーテル:セラキルアルコール/日光ケミカル社製
*8 (イソステアリン酸/ミリスチン酸)グリセリル:エキセパールDG−MI/花王社製
*9 ミリスチン酸イソステアリル:コスモール812/日清オイリオ社製
*10 モノミリスチン酸ジグリセリン:セラキルアルコール/日光ケミカル社製
*11 HEC(ヒドロキシエチルセルロース):ダイセルHEC/ダイセルファインケム社製
*12 CMC(カルボキシメチルセルロース):CMCダイセル1222/ダイセルファインケム社製
表4〜表7より、各実施例で得られた皮膚化粧料は、特定の構造および特性を有する微細セルロール繊維複合体を含むため、乳化力、乳化安定性および塩を添加した際の乳化安定性に優れるとともに、塗布されて皮膜を形成することができ、また、皮膜の耐水性に優れている。

Claims (4)

  1. 以下の成分(A)〜(C):
    (A)微細セルロース繊維複合体、
    (B)SP値が7.2〜15(cal/cm 3 1/2 の油剤、および
    (C)水 75質量%以上
    を含有する皮膚化粧料であって、
    前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24の炭化水素基またはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部が、アミド結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A1)であって、
    前記EO/PO共重合部の分子量が600〜10,000であって、前記EO/PO共重合部中のPOの含有率が6〜80モル%である、皮膚化粧料。
  2. 以下の成分(A)〜(C):
    (A)微細セルロース繊維複合体、
    (B)SP値が7.2〜15(cal/cm 3 1/2 の油剤、および
    (C)水 75質量%以上
    を含有する皮膚化粧料であって、
    前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24のアルキル基が、エステル結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A2)である、皮膚化粧料。
  3. 前記微細セルロース繊維の数平均繊維径が0.1〜200nmである、請求項1または2に記載の皮膚化粧料。
  4. 前記成分(B)が、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類、前記以外の紫外線吸収剤、前記以外の殺菌剤および前記以外の美白剤からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の皮膚化粧料。
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