JP6615507B2 - 皮膚化粧料 - Google Patents
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Description
特許文献1には、保形性、分散安定性、耐塩性等に優れるとともに、乳化安定性に優れた粘性水系組成物を提供するという課題を解決するための技術として、特定の最大繊維径、水平均繊維径、カルボキシル基量および結晶構造を有するセルロース繊維であって、そのカルボキシル基が有機概念図における有機性値が300以下のモノアミンとの塩になっているセルロース繊維および水を含有する粘性水性組成物について記載されている。
以下の成分(A)〜(C):
(A)微細セルロース繊維複合体、
(B)SP値が7.2〜15の油剤、および
(C)水
を含有する皮膚化粧料であって、
前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24の炭化水素基を有するアミンまたはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンが、アミド結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A1)であって、
前記EO/PO共重合部の分子量が600〜10,000であって、前記EO/PO共重合部中のPOの含有率が6〜80モル%である、皮膚化粧料を提供するものである。
以下の成分(A)〜(C):
(A)微細セルロース繊維複合体、
(B)SP値が7.2〜15の油剤、および
(C)水
を含有する皮膚化粧料であって、
前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24のアルキル基を有する化合物であって、かつハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種が、エステル結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A2)である、皮膚化粧料を提供するものである。
本実施形態において、皮膚化粧料は、以下の成分(A)〜(C)を含む組成物である。
(A)微細セルロース繊維複合体
(B)SP値が7.2〜15の油剤
(C)水
以下、各成分について具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(成分(A))
成分(A)の微細セルロース繊維複合体は、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維において、該カルボキシ基に、アミド結合またはエステル結合を介して特定の基が結合してなる微細セルロース繊維複合体である。
まず、上記微細セルロース繊維について説明する。
(数平均繊維径)
成分(A)の微細セルロース繊維複合体を構成する微細セルロース繊維の数平均繊維径は、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにする観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは0.2nm以上、さらに好ましくは0.5nm以上、さらにより好ましくは0.8nm以上、殊更好ましくは1nm以上である。また、同様の観点から、微細セルロース繊維の数平均繊維径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらにより好ましくは20nm以下、殊更好ましくは10nm以下、よりさらに好ましくは5nm以下である。
なお、本明細書において、微細セルロース繊維および後述する微細セルロース繊維複合体の数平均繊維径は、いずれも、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用いて測定することができ、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。一般に、高等植物から調製されるセルロースナノファイバーの最小単位では6×6の分子鎖がほぼ正方形の形でパッキングされていることから、AFMによる画像で分析される高さを繊維の幅とすることができる。
微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量は、微小な繊維径のセルロース繊維を安定的に得る上で重要な要素である。本実施形態においては、微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量は、セルロース繊維の分散安定性を向上させる観点から、0.1mmol/g以上であり、好ましくは0.4mmol/g以上、より好ましくは0.6mmol/g以上、さらに好ましくは0.8mmol/g以上である。また、微細セルロース繊維の取り扱い性を向上させる観点から、微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量は3mmol/g以下であり、好ましくは2.5mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、さらに好ましくは1.8mmol/g以下である。
なお、本実施形態で用いられる微細セルロース繊維に、カルボキシ基含有量がかかる範囲外である微細セルロース繊維が、意図せずに不純物として含まれることもあり得る。
また、「カルボキシ基含有量」とは、微細セルロース繊維を構成するセルロース中のカルボキシ基の総量を意味し、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。
微細セルロース繊維の平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにする観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上、さらに好ましくは50以上、さらにより好ましくは100以上である。また、同様の観点から、微細セルロース繊維の平均アスペクト比は好ましくは1000以下であり、より好ましくは500以下、さらに好ましくは400以下、さらにより好ましくは350以下である。
微細セルロース繊維の結晶化度は、微細セルロース繊維の取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上、さらにより好ましくは45%以上である。また、アミド結合またはエステル結合の結合効率を向上させる観点から、微細セルロース繊維の結晶化度は、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。
なお、本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出されるセルロースI型結晶化度であり、下記計算式(B)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (B)
〔上記式(B)中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
なお、セルロースI型とは、天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。
まず、成分(A1)について説明する。
成分(A1)の微細セルロース繊維複合体は、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24の炭化水素基を有するアミンまたはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンが、アミド結合を介して結合してなるものである。
炭素数2〜24の脂肪族炭化水素基を有するアミンに含まれる炭化水素基は、飽和炭化水素基および不飽和炭化水素基のいずれでもよいが、副反応を抑制する観点および反応の安定性を高める観点から、飽和炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、直鎖状または分岐状の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基の炭素数は、取り扱い性を好ましいものとする観点から、2以上であり、より好ましくは3以上である。また、入手容易性を高める観点から、24以下であり、より好ましくは18以下、さらに好ましくは12以下である。また、炭化水素基の炭素数は、2〜24であり、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは3〜12である。すなわち、好適な炭化水素基としては、炭素数が好ましくは2〜24、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは3〜12である、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の炭化水素基が挙げられる。
このうち、第1級アミンとして、たとえば炭素数2〜24の第1級アミンを用いることができる。さらに具体的には、第1級アミンとしてエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミン等が挙げられる。皮膚化粧料により形成される皮膜の耐水性を向上させる観点から、炭素数2〜18の第1級アミンが好ましく、具体的にはエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミンが挙げられる。より好ましくは炭素数3〜12の第1級アミンであり、具体的にはプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミンが挙げられる。
炭素数2〜24の芳香族炭化水素基を有するアミンは、第1級アミン、第2級アミンのいずれでもよいが、カルボキシ基との反応性を向上させる観点から、第1級アミンが好ましい。
芳香族炭化水素基としては、たとえば、アリール基およびアラルキル基からなる群より選ばれる。アリール基およびアラルキル基としては、芳香族環そのものが置換されたものでも非置換のものであってもよい。
次に、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンについて説明する。
まず、本明細書において、カルボキシ基に、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンがアミド結合するとは、炭素原子がセルロース骨格に共有結合したカルボキシ基に、EO/PO共重合部がアミド結合した状態を意味する。
そして、上記EO/PO共重合部の分子量が600〜10,000であって、EO/PO共重合部中のPOの含有率が6〜80モル%である。
本実施形態の微細セルロース繊維複合体においては、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基が、EO/PO共重合部を有するアミンとアミド結合している。よって、本実施形態におけるアミンは、EO/PO共重合部によって置換されたものであればよく、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれでもよいが、カルボキシ基との反応性の観点から、第1級アミンまたは第2級アミンが好ましい。
EO/PO共重合部とは、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)がランダムまたはブロック状に重合した構造を意味する。たとえば、アミンが後述する一般式(1)または(2)で表される場合は、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)はランダムまたはブロック状の連鎖構造となる。また、アミンが後述する一般式(3)で表される構造を有するアミンである場合は、(EO)e(PO)f、(EO)g(PO)h、および、(EO)i(PO)jは、連鎖している必要はない。
ここで、EO/PO共重合部を有するアミンが、たとえば、後述する一般式(3)で表される構造を有するアミンである場合は、(EO)e(PO)f+(EO)g(PO)h+(EO)i(PO)jの合計の分子量を、EO/PO共重合部の分子量とする。EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)、および、EO/PO共重合部の分子量は、アミンを製造する際の平均付加モル数から計算して求めることができる。
上記一般式(1)において、aはEOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは11以上であり、さらに好ましくは15以上、さらにより好ましくは20以上、殊更好ましくは25以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100以下であり、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下、さらにより好ましくは55以下である。
アミンが上記一般式(2)で表される場合には、EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、同様に、式:d×100/(c+d)より求めることがでる。
また、アミンが上記一般式(3)で表される場合には、EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、同様に、式:(f+h+j)×100/(e+f+g+h+i+j)より求めることができる。
POの含有率の好ましい範囲は、前述のとおりである。
上記一般式(3)におけるiはEOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは5以上、さらに好ましくは11以上であり、さらにより好ましくは15以上、殊更好ましくは20以上、よりいっそう好ましくは25以上であり、また、同様の観点から、好ましくは50以下である。
上記一般式(3)におけるjはPOの平均付加モル数を示し、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、また、同様の観点から、好ましくは50以下であり、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、さらにより好ましくは25以下、殊更好ましくは20以下、よりさらに好ましくは15以下、よりいっそう好ましくは10以下である。
また、上記一般式(3)におけるeおよびgとしては、独立して、好ましくは1〜30、より好ましくは10〜30であり、fおよびhとしては、独立して、好ましくは1〜25、より好ましくは5〜25である。
なお、本実施形態において、EO/POアミンの結合量は、赤外分光法(Infrared(IR)Spectroscopy)により求めることができるが、具体的には後述の実施例に記載の方法で求められる。
微細セルロース繊維複合体は、微細セルロース繊維にアミド結合を介して炭化水素基またはEO/PO共重合部を導入できるのであれば、限定なく公知の方法に従って製造することができる。たとえば、予め調製された微細セルロース繊維に、アミド結合を介して炭化水素基またはEO/PO共重合部を導入する反応をおこなってもよいし、微細セルロース繊維を調製する際に続けて、アミド結合を介して炭化水素基またはEO/PO共重合部を導入する反応をおこなってもよい。なお、微細セルロース繊維は、公知の方法、たとえば、特開2011−140632号公報等に記載の方法により製造することができる。
工程(i):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る工程
工程(ii):工程(i)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維と、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部を有するアミンとをアミド化反応させる工程
なお、好適な製造方法として、さらに具体的には、工程(i)の後に後述する微細化工程をおこない、カルボキシ基含有微細セルロース繊維とした後に工程(ii)をおこなう方法(第1の製造形態)、および、工程(i)の後に工程(ii)をおこない、その後に微細化工程をおこなう方法(第2の製造形態)が挙げられる。
工程(i)は、天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る工程である。
次に、上記天然セルロース繊維を、N−オキシル化合物の存在下で酸化処理して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る(以下、単に「酸化処理」と称する場合がある)。
上述した酸化反応で得られるカルボキシ基含有セルロース繊維は、触媒として用いるTEMPO等のN−オキシル化合物や副生塩を含む。そのまま次工程をおこなってもよいが、精製をおこなって純度の高いカルボキシ基含有セルロース繊維を得ることもできる。精製方法としては、酸化反応における溶媒の種類、生成物の酸化の程度、精製の程度により最適な方法を採用することができる。たとえば、良溶媒として水、貧溶媒としてメタノール、エタノール、アセトン等を用いた再沈殿、ヘキサン等の水と相分離する溶媒へのTEMPO等の抽出、および塩のイオン交換、透析等による精製等が挙げられる。
第1の製造形態では、上述した精製工程後、工程(i)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維を微細化する工程をおこなう。微細化工程では、上述の精製工程を経たカルボキシ基含有セルロース繊維を溶媒中に分散させ、微細化処理をおこなうことが好ましい。この微細化工程をおこなうことにより、数平均繊維径および平均アスペクト比がそれぞれ前述した範囲にある微細セルロース繊維が得られる。
第1の製造形態において、工程(ii)は、前述した微細化工程を経て得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維と、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部を有するアミンとをアミド化反応させて、微細セルロース繊維複合体(A1)を得る工程である。具体的には、カルボキシ基含有微細セルロース繊維に含有されるカルボキシ基と、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部を有するアミンのアミノ基とを縮合反応させてアミド結合を形成し、炭素数2〜24の炭化水素基またはEO/PO共重合部がアミド結合を介して連結された微細セルロース繊維複合体を得る。
また、得られた微細セルロース繊維複合体におけるアミド結合量すなわち微細セルロース繊維複合体への炭素数2〜24の炭化水素基を有するアミンまたはEO/POを有するアミンの導入量は、微細セルロース繊維複合体の取り扱い性を向上させる観点、皮膚化粧料の乳化安定性を向上させる観点、および、皮膚等に適用された皮膚化粧料の皮膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは0.01mmol/g以上であり、より好ましくは0.05mmol/g以上、さらに好ましくは0.1mmol/g以上、さらにより好ましくは0.3mmol/g以上、殊更好ましくは0.5mmol/g以上、よりさらに好ましくは0.8mmol/g以上である。また、アミド結合する際の反応性の観点から、微細セルロース繊維複合体におけるアミド結合量は、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。
成分(a1)においても、微細セルロース繊維としては、微細セルロース繊維複合体(A1)にて用いられる微細セルロース繊維と同様のものとすることができる。
(成分(A2))
成分(A2)の微細セルロース繊維複合体は、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24のアルキル基を有する化合物であって、かつハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種が、エステル結合を介して結合してなるものである。
すなわち、成分(A2)の微細セルロース繊維複合体は、上述した微細セルロース繊維のカルボキシ基にエステル結合を介して炭素数2〜24のアルキルが結合したものである。成分(A2)として、たとえば、特開2010−59571号公報に記載のものを用いることができる。
また、成分(A2)の微細セルロース繊維複合体は、好ましくは数平均繊維径が0.1〜200nmのものである。
なお、本実施形態において、エステル結合量は、固体NMR(Nuclear Magnetic Resonance)により求めることができる。
成分(A2)の製造方法として、たとえば、下記工程(i)、工程(iii)および工程(iv)を含む製造方法が挙げられる。
工程(i):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基含有セルロース繊維を得る工程
工程(iii)微細セルロース繊維を有機オニウム化合物にて処理する工程
工程(iv):工程(iii)においてオニウム化合物にて処理されたセルロース繊維と炭素数2〜24のアルキル基を有する化合物であって、かつハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種とを反応させてエステル化する工程
また、成分(A1)の製造方法と同様に、成分(A2)の製造方法においても、工程(i)の後に微細化工程をおこない、カルボキシ基含有微細セルロース繊維とした後に工程(iii)および工程(iv)をおこなう方法(第1の製造形態)、または、工程(i)の後に工程(iii)および工程(iv)をおこない、その後に微細化工程をおこなう方法(第2の製造形態)とすることが好ましい。
工程(iii)は、工程(i)で得られた微細セルロース繊維のカルボキシル基と反応させるために有機アンモニウム、有機ホスホニウムのようなオニウム構造を有する有機オニウム化合物を加えることにより疎水化(親油化)処理する工程である。
工程(iii)として、たとえば、特開2010−59571号公報に記載の疎水化処理を用いることができる。
工程(iv)は、工程(iii)で得られた微細セルロース繊維とハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル、アルキルトシラート、アルキルメシラート、アルキルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種とを反応させてエステル化するアルキルエステル化工程である。
工程(iv)として、たとえば、特開2010−59571号公報に記載のエステル化反応を用いることができる。
溶媒の具体例として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族または芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどのような極性溶媒が挙げられる。たとえば、工程(iii)中の疎水化処理に用いたN−オニウム化合物がアルキルオニウム化合物である場合、微細セルロース繊維の分散性を高める観点から、好ましくはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンまたはジメチルスルホキシドである。
また、アルキルエステル化反応に用いる反応容器は限定されない。
また、反応時間は、好ましくは0.1〜30時間であり、より好ましくは1〜20時間である。
また、皮膚化粧料が耐水性に優れた皮膜を形成できるようにするとともに皮膚化粧料の使用感を好適にする観点からは、皮膚化粧料中の成分(A)の含有量は、皮膚化粧料全体に対してたとえば4質量%以下であり、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であり、さらにより好ましくは1.5質量%以下である。
(成分(B))
成分(B)は、SP値が7.2〜15(cal/cm3)1/2の油剤である。
SP値は溶解度パラメーターδであって、液体の分子凝集エネルギーEと分子容Vからδ=(E/V)1/2(J/cm3)で与えられる物質定数である。この値から物質の相対的な極性の高さを推定することができる。SP値は種々の方法で実測または計算で決定される。本実施形態においては、Fedorsの方法に従い、J. BRANDR UP著「POLYMER HANDBOOK 4th」(JHON WILEY & SONS,INC 1999年発行)、VII685〜686項に示されるパラメーターを用いて求められる。
本実施形態において、油剤が混合物である場合は、成分(B)の油剤のSP値は、加重平均すなわち構成成分それぞれのSP値と質量分率の積の総和として求める。また、天然物やポリマーなどの構造式が特定できないものについては代表構造に従ってSP値を計算する。
また、皮膚化粧料における乳化力を向上させる観点からは、成分(B)のSP値は、好ましくは7.5〜12であり、より好ましくは7.8〜10.2、さらに好ましくは8.0〜9.5、さらにより好ましくは8.2〜8.6である。
成分(B)は、好ましくは炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類、前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の紫外線吸収剤、前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の殺菌剤および前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の美白剤からなる群から選択される1種または2種以上である。
高級脂肪酸の具体例として、オレイン酸(たとえば、花王社製EXTRA OLEIN−80、SP値:9.14)、ステアリン酸(たとえば、花王社製ルナック S−50、SP値:9.12)、パルミチン酸(たとえば、花王社製ルナック P−95KC、SP値:9.18)、ミリスチン酸(たとえば、花王社製ルナック MY−98KC、SP値:9.26)、リノール酸(たとえば、日油社製リノール酸90、SP値:9.17)が挙げられる。
高級アルコールの具体例として、オレイルアルコール(たとえば、高級アルコール工業社製オレイルアルコール VP、SP値:9.47)が挙げられる。
エーテル類の具体例として、モノオレイルグリセリルエーテル(たとえば、日光ケミカルズ社製セラキルアルコール、SP値:10.46)が挙げられる。
モノエステルの具体例として、乳酸オクチルドデシル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール13、SP値:9.40)、セスキオレイン酸ソルビタン(たとえば、日清オイリオ社製コスモール82、SP値:10.07)、パルミチン酸イソプロピル(たとえば、花王社製エキセパールIPP、SP値:8.54)、ミリスチン酸イソステアリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール812、SP値:8.55)、ステアリン酸ブチル(たとえば、川研ファインケミカル社製ブチルステアレート K、SP値:8.61)、乳酸セチル(たとえば、アイエスピー・ジャパン社製セラフィル 28、SP値:9.6)、ラウロイルサルコシンイソプロピル(たとえば、味の素社製エルデューSL−205、SP値:9.52)が挙げられる。
ジエステルの具体例として、リンゴ酸ジイソステアリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール222、SP値:9.36)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(たとえば、日清オイリオ社製エステモールNO−1、SP値:8.87)、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(たとえば、日清オイリオ社製コスモール525、SP値:8.79)が挙げられる。
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類の具体例として、(イソステアリン酸/ミリスチン酸)グリセリル(たとえば、花王社製エキセパールDG−MI、SP値:9.32)、モノミリスチン酸ジグリセリン(たとえば、日光ケミカル社製セラキルアルコール、SP値:11.88)、イソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール41、SP値:11.37)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール42、SP値:9.91)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール43、SP値:9.25)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル(たとえば、日清オイリオ社製コスモール44、SP値:8.88)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(たとえば、日清オイリオ社製T.I.O、SP値:9.1)が挙げられる。
前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の紫外線吸収剤の具体例として、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(たとえば、BASF社製ユビナールMC80、SP値:10.00)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(たとえば、BASF社製ユビナールA plus、SP値:10.69)、エチルヘキシルトリアゾン(たとえば、BASF社製ユビナールT150、SP値:11.51)、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(たとえば、DSMニュートリション社製パルソールMCX、SP値:9.91)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(たとえば、BASF社製チノソルブS、SP値:12.00)が挙げられる。
前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の殺菌剤の具体例として、イソプロピルメチルフェノール(たとえば、大阪化成社製IPMP、SP値:11.50)、トリクロサン(たとえば、BASF社製イルガサン DP 300、SP値:12.75)が挙げられる。
また、前記炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類以外の美白剤の具体例として、エチルペンチルメトキシクロモン(たとえば、花王社製MA−293、SP値:10.43)が挙げられる。
植物油の具体例として、ホホバ油(SP値:8.6)、オリーブ油(SP値:9.3)が挙げられる。
成分(C)は、水である。水としては、イオン交換水や蒸留水等を用いることができる。水の含有量は、たとえば皮膚化粧料中の成分(A)、(B)およびその他成分の残量となる。また、成分(C)の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上である。
得られる乳化物、たとえば水中油型乳化組成物を、皮膚化粧料として用いることができる。
さらに具体的には、本実施形態においては、成分(A)の特定の構造および特性を有する微細セルロース繊維複合体を用いている。成分(A)を用いることにより、油溶性液体の乳化力や油溶性結晶の可溶化力を向上させることができるため、乳化力、乳化安定性および塩を添加した際の乳化安定性に優れた皮膚化粧料が得られる。殊に、成分(A)〜(C)を組み合わせて用いることにより、耐塩性に優れた乳化物を得ることができる。さらに、成分(A)を用いることにより、皮膚等に適用した際に、皮膚化粧料の塗膜を形成することができる。そして、形成された塗膜中に成分(B)を分散、保持することができるとともに、塗膜自身の耐水性にも優れている。このため、たとえば発汗に対し、成分(B)を肌上に長時間残留させることも可能となる。
本実施形態における皮膚化粧料の使用方法は、たとえば、当該皮膚化粧料を皮膚に、好ましくは頭皮を除く皮膚に適用するステップを含む。さらに具体的には、皮膚化粧料を皮膚に、好ましくは頭皮を除く皮膚に適用して皮膜を形成するステップを含んでもよい。
また、本実施形態における皮膚化粧料は、成分(B)の性質に応じて、たとえば日焼け抑制用化粧料、紫外線防御用化粧料、美白用化粧料、制汗用化粧料、消炎用化粧料等を得るために使用することができる。
たとえば、皮膚化粧料が、水以外の溶媒を含んでもよく、このような溶媒として、たとえば、エタノール、2−プロパノール等の炭素数2〜5の低級アルコール類が挙げられる。
また、本実施形態において、皮膚化粧料が、上記以外の成分として、界面活性剤、成分(B)以外の油剤、保湿剤、防腐剤、消臭剤、制汗剤、冷感剤、温感剤、抗炎症剤、防腐剤、香料等を含有してもよい。
さらに、皮膚化粧料には、その効果を損なわない限り、通常化粧料または外用剤に配合される成分を、適宜利用することができる。たとえば、上記以外のアルコール類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、色素、乳化安定剤、収斂剤、清涼剤、ビタミン類、アミノ酸類等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、各成分は、上述した一の剤としての機能に加えて他の機能を有するものであってもよく、たとえば、ビタミン類が抗炎症剤としても機能してもよい。
後述する実施例または比較例で用いた微細セルロース繊維複合体を以下の方法で製造し、評価した。各製造例において用いた微細セルロース繊維およびこれにアミド結合する炭化水素基もしくはEO/PO共重合部またはエステル結合するアルキル基の構成、ならびに、各製造例で得られた微細セルロース繊維複合体の特性を表1〜表3に示す。
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
ビーカーに調製例1で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液4088.75g(固形分濃度1.3質量%)にイオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温(25℃)下、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温(25℃)下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過し、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄をおこない、塩酸および塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、アセトンにカルボキシ基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄をおこない、塩酸および塩を除去した。アセトンで溶媒置換した後、IPAで溶媒置換し、カルボキシ基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のIPA含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.4mmol/gであった。
(EO/PO共重合部を有するアミン(EO/PO共重合アミン)の製造)
プロピレングリコール第三級ブチルエーテル132gを1Lのオートクレーブに仕込み、75℃に加熱し、フレーク状の水酸化カリウム1.2gを加え、溶解するまで攪拌した。次いで、表1に示すEO/PO共重合部の構成部を得るために、表1に示すモル数aのエチレンオキシド(EO)と表1に示すモル数(b−1)のプロピレンオキシド(PO)を110℃で0.34MPaにて反応させた後、Magnesol 30/40(ケイ酸マグネシウム、ダラスグループ社製)7.14gを投入して95℃で中和し、得られた生成物をジ第三級ブチル−p−クレゾール 0.16gを添加、混合した後、濾過して、EO/PO共重合体であるポリエーテルを得た。
なお、アミン共重合部の分子量は、たとえば、製造例1のアミンの場合、
2200(=44×50)+754(=58×13)=2954
と算出した。
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、微細セルロース繊維の調製例2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液35g(固形分濃度5.4質量%)を仕込んだ。続いて、表1に示す種類のEO/PO共重合部を有するアミンを、微細セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミン基5molに相当する量、および、縮合剤である4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(DMT−MM)3.78gを仕込み、IPA 300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、イオン交換水にて洗浄、DMT−MM塩を除去し、アセトンで洗浄および溶媒置換することで、微細セルロース繊維にEO/PO共重合体がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、微細セルロース繊維の調製例2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液40g(固形分濃度5質量%)を仕込んだ。続いて、プロピルアミンを、微細セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミン基1.2molに相当する量、4−メチルモルホリン0.34g、縮合剤であるDMT−MMを1.98g仕込み、DMF 300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時か反応させた。反応終了後ろ過し、DMT−MM塩を除去するためにエタノールで洗浄して、イオン交換水で溶媒置換することで、微細セルロース繊維に、アミンがアミド結を介して連結した微細セルロース繊維複合体分散液を得た。
製造例11において、プロピルアミンにかえてヘキシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にヘキシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
製造例11において、プロピルアミンにかえてオクタデシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にオクタデシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
製造例11において、プロピルアミンにかえてジオクチルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にジオクチル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
製造例11において、プロピルアミンにかえてジドデシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にジドデシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
製造例11において、プロピルアミンにかえてアニリンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて製造し、微細セルロース繊維にフェニル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を調製した。
製造例11において、プロピルアミンにかえてベンジルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて微細セルロース繊維にベンジル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
製造例11において、プロピルアミンにかえてメチルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて微細セルロース繊維にメチル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
製造例11において、プロピルアミンにかえてヘプタコシルアミンを用いた他は、製造例11に記載の方法に準じて微細セルロース繊維にヘプタコシル基がアミド結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
微細セルロース繊維の調製例2で得られた微細セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を、攪拌羽根を備えたビーカーに入れてイオン交換水で固形分濃度1.0質量%に希釈し、分散液を調製した。この分散液をテトラブチルアンモニウムヒドロキシド10%水溶液(和光純薬工業社製)でpH8.0付近に調整し、有機オニウム処理された微細セルロース(以下、「微細修飾セルロース」と称する。)を得た。この微細修飾セルロースを凍結乾燥した。
ヨウ化プロピル10.2質量部をヨウ化ヘキシル12.7質量部に変更したこと以外は、製造例20の方法に準じて微細セルロース繊維にヘキシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。微細セルロース繊維複合体におけるヘキシル基の平均結合量は0.67mmol/gであった。
特開2010−59571号公報の記載の方法に準じて、以下の手順により、微細セルロース繊維にアルキル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
微細セルロース繊維の調製例1で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維の分散液100質量部を、攪拌羽根をそなえたビーカーに入れて、70℃に加熱攪拌した。ここでN−オニウム化合物として、トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド(日本化成工業社製)11質量部をイオン交換水300質量部で溶解させた溶液を加え、70℃で3時間攪拌した。混合物から固体を濾別し、メタノールで3回、水で3回洗浄した後、オニウム処理された微細セルロース繊維を得た。得られた微細セルロース繊維を一昼夜減圧乾燥した。
アルキル化剤として、臭化ヘキシル8.3質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にヘキシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.79mmol/gであった。
アルキル化剤として、臭化デシル11.1質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にデシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.8mmol/gであった。
アルキル化剤として、臭化ヘキサデシル15.3質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にヘキサデシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.78mmol/gであった。
アルキル化剤として、臭化メチル4.7質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にメチル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.76mmol/gであった。
アルキル化剤として、臭化ヘプタコシル23.0質量部を用いたことの他は、製造例22に準じて操作をおこない、微細セルロース繊維にヘプタコシル基がエステル結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。得られた微細セルロース繊維複合体中の固体NMRにて測定したエステル基量は0.78mmol/gであった。
微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体に水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維の繊維高さを測定した。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体を5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出した。
乾燥質量0.5gの微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体を100mLビーカーにとり、イオン交換水もしくはメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体が十分に分散するまで該分散液を攪拌した。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度およびpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得た。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、微細セルロース繊維または微細セルロース繊維複合体のカルボキシ基含有量を算出した。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロース繊維の質量(0.5g)
微細セルロース繊維複合体中の炭化水素基の平均結合量を下記式により算出した。
アミド基の結合量(mmol/g)=炭化水素基又はEO/PO共重合導入前の微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)−炭化水素又はEO/PO共重合導入後の微細セルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)
微細セルロース繊維中のカルボキシ基がエステル化された割合、つまりエステル化率は、特開2010−59571号公報の記載に準じて、固体NMRを用いてDD/MAS(Dipolar Decoupling/Magic Angle Spinning)法により算出した。
表4〜表7に示す皮膚化粧料を調製し、乳化力、乳化安定性および皮膜耐水性を以下の方法で評価した。評価結果を表4〜表7に併せて示す。
表4〜表7に示す成分を同表に記載の濃度で含むように各例の皮膚化粧料を調製した。具体的には、油剤、イオン交換水に成分(A)の微細セルロース繊維複合体分散液または成分(A)'のその他成分を添加し、温度60℃でホモミクサーMarkIIを用い4500rpm、5分間撹拌乳化して得られた水中油型乳化組成物を各例の皮膚化粧料とした。
各例で得られた皮膚化粧料の乳化物を、直径3cm*30cm長の試験管に20cmの高さ分入れ、25℃で静置した。6時間後の乳化層の体積%を高さ計測から算出した。体積%が高いほど、乳化能力に優れることを示す。
各例で得られた皮膚化粧料の乳化物500gを30cm長の試験管に入れ、25℃にて6時間静置後の乳化層の体積%と50℃の恒温槽に5日間保存後の乳化層の体積%の差分から、乳化安定性を判定した。評価基準を以下に示す。
++:10%未満減少
+:10%以上40%未満減少
−:40%以上減少
表4〜表7に示す成分を同表に記載の濃度で含むように、油剤、塩化ナトリウム5重量%イオン交換水に成分(A)の微細セルロース繊維複合体分散液または成分(A)'のその他成分を添加し、温度60℃でホモミクサーMarkII(プライミクス社製)を用い4500rpm,5分間撹拌乳化して、500g調製した。得られた乳化物を30cm長の試験管に入れ、6時間後の乳化層の体積%と、塩化ナトリウム未添加の同調製品の6時間後の乳化層の体積%との差分から、乳化安定性を判定した。評価基準を以下に示す。
++:塩化ナトリウム添加により10%未満減少
+:塩化ナトリウム添加により10%以上40%未満減少
−:塩化ナトリウム添加により40%以上減少
各例の皮膚化粧料0.1mgを、それぞれスライドガラス板に塗布し、バーコーダーにて均一に引き伸ばし、30分間乾燥させて皮膜を形成させた。その後、ガラス板を37℃の水浴に浸し、水温を37℃に保ちながら80分間軽く水を攪拌し続けた。終了後、ガラス板をゆっくり取り出し、30分以上放置して乾燥させた後、目視で皮膜の残留性を判定した。判定基準を以下に示す。
++:皮膜が80%以上残留
+:40%以上80%未満残留
−:40%未満残留
*1 スクワラン/日光ケミカル社製
*2 流動パラフィン:ハイコールK−350/カネダ社製
*3 パルミチン酸イソプロピル:エキセパールIPP/花王社製
*4 ジカプリン酸ネオペンチルグリコール:エステモールN01/日清オイリオ社製
*5 ジイソステアリン酸ポリグリセリル:コスモール42/日清オイリオ社製
*6 メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:ユビナールMC80/BASF社製
*7 モノオレイルグリセリルエーテル:セラキルアルコール/日光ケミカル社製
*8 (イソステアリン酸/ミリスチン酸)グリセリル:エキセパールDG−MI/花王社製
*9 ミリスチン酸イソステアリル:コスモール812/日清オイリオ社製
*10 モノミリスチン酸ジグリセリン:セラキルアルコール/日光ケミカル社製
*11 HEC(ヒドロキシエチルセルロース):ダイセルHEC/ダイセルファインケム社製
*12 CMC(カルボキシメチルセルロース):CMCダイセル1222/ダイセルファインケム社製
Claims (4)
- 以下の成分(A)〜(C):
(A)微細セルロース繊維複合体、
(B)SP値が7.2〜15(cal/cm 3 ) 1/2 の油剤、および
(C)水 75質量%以上
を含有する皮膚化粧料であって、
前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24の炭化水素基またはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部が、アミド結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A1)であって、
前記EO/PO共重合部の分子量が600〜10,000であって、前記EO/PO共重合部中のPOの含有率が6〜80モル%である、皮膚化粧料。 - 以下の成分(A)〜(C):
(A)微細セルロース繊維複合体、
(B)SP値が7.2〜15(cal/cm 3 ) 1/2 の油剤、および
(C)水 75質量%以上
を含有する皮膚化粧料であって、
前記成分(A)が、カルボキシ基含有量0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維のカルボキシ基に、炭素数2〜24のアルキル基が、エステル結合を介して結合してなる微細セルロース繊維複合体(A2)である、皮膚化粧料。 - 前記微細セルロース繊維の数平均繊維径が0.1〜200nmである、請求項1または2に記載の皮膚化粧料。
- 前記成分(B)が、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エーテル類、エステル類、前記以外の紫外線吸収剤、前記以外の殺菌剤および前記以外の美白剤からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の皮膚化粧料。
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