JP4772317B2 - 皮膚化粧料用水中油型乳化組成物 - Google Patents
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また、架橋型のカチオン性ポリマーが乳化剤として検討されているが(特許文献4)、微細粒径化、低粘度化の点で未だ不十分であり更なる改善が望まれている。
また、特許文献5には特定の高分子化合物と揮発性有機化合物を含有する毛髪化粧料組成物が開示されているが、かかる高分子化合物は処理後の毛髪を固定化することができるとの記載があるだけで、分散剤としての記載あるいは示唆はない。
(B):油性成分
(A)成分は、重合単位(1)と疎水性重合単位(2)とを構成成分として含むセグメント(イ)と、重合単位(3)からなるセグメント(ロ)がブロック又はグラフト状に結合してなる両親媒性高分子化合物である。
セグメント(ロ)のセグメント(イ)への結合は、セグメント(イ)中の窒素原子を介するものが好ましく、特にセグメント(イ)中の重合単位(1)の窒素原子を介して結合した構造を有するものが好ましい。ここで、セグメント(イ)とセグメント(ロ)の重量比は、安定な乳化組成物を得る観点から、1/9〜9/1が好ましく、2/8〜7/3が更に好ましく、2/8〜5/5が特に好ましい。
セグメント(ロ)は一般式(5)で表される環状イミノエーテル(以下環状イミノエーテル(5)という)を開環重合することで得られる。
ここで、環状イミノエーテル(5)の開環重合は、求電子反応性の強い化合物、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸等の強酸のメチル、エチル、プロピルあるいはベンジルエステル等を開始剤として用いて行うことができる。環状イミノエーテル(5)として例えば、2−R7置換−2−オキサゾリンを用いれば、ポリ(N−アシルエチレンイミン)が得られる。
(B)成分の油性成分としては、食品、飼料、化粧品、医薬品、工業等の分野で利用される公知の油性成分を特に制限なく用いることができ、常温・常圧での形態として固体状、ペースト状、液体状のいずれかのものである。好ましくは不揮発性有機化合物が用いられる。例えば固体状又は液体状パラフィン、ワセリン、セレシン、オゾケライト、モンタンロウ、スクワラン、スクワレン等の炭化水素類;ユーカリ油、ハッカ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、牛脂、豚脂、馬油、卵黄油、オリーブ油、カルナウバロウ、ラノリン、ホホバ油等の油脂類;グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、フタル酸ジエチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアロイル−3−ミリストイルグリセロール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジパラメトキシ桂皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル等のエステル油;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、セチルアルコール等の高級アルコール;ローズマリー、ルイボス、ローヤルゼリー、ハマメリス等の天然精油;リグナン、ビタミンE、油溶性ビタミンC、ビタミンA誘導体、セラミド類、セラミド類似構造物質、油溶性紫外線吸収剤、香料等の機能性油性物質などのほか、シリコーン類、フッ素系油剤などが挙げられる。
また、(B)成分は、(A)成分1重量部に対して、0.1〜20重量部、特に0.1〜13重量部の割合であるのが、より乳化安定性に優れるので好ましい。
水は、任意に配合できるが、本発明の乳化組成物中に50〜95重量%、特に60〜95重量%含有するのが、良好な使用感を有するので好ましい。
本発明の乳化組成物は、上記(A)成分、(B)成分及び水を含有し、水溶性有機溶媒(以下(C)成分という)を含有しても良い。
(C)成分は、本発明の乳化組成物中に0.1〜30重量%、特に0.1〜20重量%含有するのが、良好な使用感を有するので好ましい。
また、(A)成分の溶解性に支障のない範囲で、あらかじめ(C)成分と水を混合した水溶液に(A)成分を溶解又は分散させてもよい。その例としては、86%グリセリン水溶液の使用が挙げられる。
前記(A)成分の溶液又は分散液に(B)成分を加えて混合した後、10分以上、特に15〜60分間攪拌を続ける方が、より安定性に優れた乳化組成物が得られるので好ましい。
(B)成分を加えて混合した後の組成物は、青色透明〜白色ゲル状態になる。
この状態では、一般に電気伝導性があることから連続相が水溶性有機溶媒を含有する水相であり、該水相に溶解あるいは分散した(A)成分によって(B)成分が乳化されていると考えられる。
本発明の乳化組成物は、化粧料として好適に用いることができる。化粧料としては、例えばファンデーション、ローション、クリーム、乳液、化粧水、皮膚柔軟化化粧料、栄養化粧料、収斂化粧料、美白化粧料、シワ改善化粧料、老化防止化粧料、制汗剤、デオドラント剤等の皮膚化粧料が挙げられる。
滴下ロート、攪拌機、還流冷却機、温度計、窒素導入管のついた1Lセパラブルフラスコに予め酢酸エチルを40g仕込んだ。反応温度を80℃に保ったまま、ジメチルアミノエチルメタクリレート20g(0.128mol)、ステアリルメタクリレート230g(0.68mol)、2−メルカプトエタノール0.64g(0.00806mol)、酢酸エチル125gの混合液と開始剤V−65 10.02g(0.0403mol)、酢酸エチル101gの混合液を別々に2時間掛けて滴下し、その後2時間反応を続けた。冷却後、共重合体溶液aを得た。尚、不揮発性成分含有量は51.8重量%であった。得られた共重合体溶液aをクロロホルムに溶解し、不揮発性成分含有量0.5重量%溶液をGPCで分子量測定した結果、重量平均分子量1.3万(ポリスチレン換算)であった。GPC測定条件は下記のとおりである。
溶離液:1mmol/L ファーミンDM20(花王社製)/クロロホルム溶液
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折率計
2−エチル−2−オキサゾリン50.3g(0.51mol)、酢酸エチル50gの混合液にゼオライト4A 30gを加え、攪拌した後、カールフィッシャーにて水分量を測定したところ48mg/kgであった。乾燥させた500mL4つ口フラスコに、この2−エチル−2−オキサゾリン酢酸エチル溶液を全量シリンジを用いて移し、次いでジエチル硫酸1.56g(0.010mol)を投入した。直ちに昇温を開始し、80℃に保って15時間反応を行った。冷却後、合成例1で得られた共重合体溶液aをゼオライトで予め脱水しておいた(水分量:55mg/kgであった)ものを64.7g混合し、再度昇温、80℃にて12時間反応させた。冷却後、溶媒である酢酸エチルを50℃、減圧下で除去し、高分子化合物(A−1)を得た。合成例1と同様な方法で分子量を測定した結果、2.0万(ポリスチレン換算)であった。
2−エチル−2−オキサゾリン70g(0.706mol)、酢酸エチル70gの混合液にゼオライト4A 30gを加え、攪拌した後、カールフィッシャーにて水分量を測定したところ59mg/kgであった。乾燥させた500mL4つ口フラスコに、この2−エチル−2−オキサゾリン酢酸エチル溶液を全量シリンジを用いて移し、次いでジエチル硫酸2.18g(0.014mol)を投入した。直ちに昇温を開始し、80℃に保って15時間反応を行った。冷却後、合成例1で得られた共重合体溶液aをゼオライトで予め脱水しておいた(水分量:55mg/kgであった)ものを57.9g混合し、再度昇温、80℃にて24時間反応させた。冷却後、溶媒である酢酸エチルを50℃、減圧下で除去し、高分子化合物(A−2)を得た。合成例1と同様な方法で分子量を測定した結果、2.2万(ポリスチレン換算)であった。
80℃において、両親媒性高分子化合物(A−1) 1.0重量部と、水溶性有機溶媒であるトリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)ホスフェート2.3重量部を混合し、均一な分散液を得た。次いで、この分散液に、(B)成分として2−(パーフルオロヘキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテル1.0重量部を攪拌下に添加し、15分以上保持した後、25℃に冷却した。さらに室温の86%グリセリン(花王(株)製)10重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.2重量部、及び精製水85.5重量部の混合物を撹拌下に加え、粘度12mPa・sの水中油型乳化組成物を得た。
実施例1において、(B)成分として2−(パーフルオロヘキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテルに代えてオリブ油(CROPURE OL、クローダジャパン社製)1.0重量部を用い、実施例1と同様の方法により粘度12mPa・sの水中油型乳化組成物を得た。
実施例1において、(B)成分として2−(パーフルオロヘキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテルに代えてN−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド1.0重量部を用い、実施例1と同様の方法により粘度12mPa・sの水中油型乳化組成物を得た。
80℃において、高分子乳化剤としてアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体エマルション(ACULYN22、Rohm & Haas社製)1.2重量部、水酸化カリウム0.05重量部、室温の86%グリセリン(花王(株)製)10重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.2重量部、及び精製水78.55重量部を攪拌して混合し、均一溶液を得た。次いで、これに油性成分としてオリーブ油(CROPURE OL、クローダジャパン社製)10重量部をホモジナイザー(4500rpm)による攪拌下滴下し、さらに5分攪拌した。最後に、冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
比較例1と同様にして、但し、高分子乳化剤と油性成分を表1に示すように変更して、それぞれ水中油型乳化組成物を得た。
乳化組成物を−5℃、25℃又は50℃で30日間保存した後の外観・性状を観察し、以下の基準で判定した。
A;変化なし
B;かすかに油滴の合一を認めるが、使用性等には問題なし
C;若干の油滴の合一を認めるが、使用性等は許容範囲内
D;油滴の合一、分離浮上が認められ、使用性等も許容範囲外
両親媒性高分子化合物(A−2)及び表2に示す組成の成分を用い、実施例1と同様の方法により、粘度12mPa・s程度の水中油型乳化組成物を製造した。いずれの乳化組成物も、水中油型であることを電気伝導度により確認した。得られた乳化組成物の粒径、pH及び安定性を、上記の方法で評価した。結果を表2に示した。
Claims (4)
- 下記(A)成分、(B)成分及び水を含有する皮膚化粧料用水中油型乳化組成物。
(A):一般式(1)で表される重合単位と、一般式(2)で表される疎水性重合単位とを構成成分として含むセグメント(イ)と、一般式(3)で表される重合単位からなるセグメント(ロ)がブロック又はグラフト状に結合してなる両親媒性高分子化合物であって、セグメント(イ)とセグメント(ロ)の重量比(セグメント(イ)/セグメント(ロ))が1/9〜5/5である両親媒性高分子化合物
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R6は炭素数12〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R7は炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、−O−又は−NH−を示し、Y1は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、nは2又は3の数を示す。)
(B):油性成分 - (A)成分が、セグメント(イ)とセグメント(ロ)が一般式(1)で表される重合単位の窒素原子を介して結合した構造を有するものである、請求項1記載の乳化組成物。
- 請求項1又は2記載の乳化組成物を含有する皮膚化粧料。
- 水溶性有機溶媒又は水溶性有機溶媒の水溶液に、(A)成分を溶解又は分散させ、これと(B)成分を混合した後、更に水と混合する、請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
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