JP4772317B2 - 皮膚化粧料用水中油型乳化組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚化粧料等に有用な水中油型乳化組成物に関する。
近年、化粧料についてより一層優れた低刺激性が期待されており、この観点から、いわゆる高分子乳化剤を用いた乳化技術が種々提案されている。例えば、疎水変性ポリ(メタ)アクリレートであるPEMULEN TR−1及びTR−2(Noveon社)や、ACULYN22(Rohm & Haas社)の水和ゲルに、油滴を分散させる方法が知られている(特許文献1、非特許文献1)。
しかしながら、これらのアニオン性の疎水変性ポリ(メタ)アクリレートは乳化力が小さく、乳化安定性を確保するには、適度な粘度が必要であった。すなわち、微細な粒径のエマルションを調製できないため、粘度が低いとクリーミングを起こし、粘度が高いと経時でゲル化が生じ、乳化組成物の使用性が著しく悪くなる。特に、化粧水のような粘度の低い剤型の組成物を製造することができないという問題があった。
一方、スルホン酸型の水溶性両親媒性高分子電解質による可溶化も検討されているが(特許文献2、特許文献3)、可溶化される油性成分の種類と量が限られるという問題がある。
また、架橋型のカチオン性ポリマーが乳化剤として検討されているが(特許文献4)、微細粒径化、低粘度化の点で未だ不十分であり更なる改善が望まれている。
また、特許文献5には特定の高分子化合物と揮発性有機化合物を含有する毛髪化粧料組成物が開示されているが、かかる高分子化合物は処理後の毛髪を固定化することができるとの記載があるだけで、分散剤としての記載あるいは示唆はない。
特開平8−217624号公報 特開平9−20615号公報 特開平9−136825号公報 特開平10−286451号公報 特開2000−44438号公報 FRAGRANCE JOURNAL, 1998-8, p.79
本発明の課題は、微細な粒子を安定に分散させた低粘度の水中油型乳化組成物及びそれを含有する皮膚化粧料を提供することにある。
本発明は、下記(A)成分、(B)成分及び水を含有する皮膚化粧料用水中油型乳化組成物、その製造法、並びにその乳化組成物を含有する皮膚化粧料を提供する。
(A):一般式(1)で表される重合単位(以下重合単位(1)という)と、一般式(2)で表される疎水性重合単位(以下疎水性重合単位(2)という)とを構成成分として含むセグメント(イ)と、一般式(3)で表される重合単位(以下重合単位(3)という)からなるセグメント(ロ)がブロック又はグラフト状に結合してなる両親媒性高分子化合物
Figure 0004772317
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R6は炭素数4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R7は炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、−O−又は−NH−を示し、Y1は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、nは2又は3の数を示す。)
(B):油性成分
本発明によれば、安定な水中油型乳化組成物を得ることができ、特に、粘度の低い剤型の組成物も得ることができる。本発明の水中油型乳化組成物は、化粧水、乳液、クリーム等の皮膚化粧料として好適に使用できる。
[(A)成分]
(A)成分は、重合単位(1)と疎水性重合単位(2)とを構成成分として含むセグメント(イ)と、重合単位(3)からなるセグメント(ロ)がブロック又はグラフト状に結合してなる両親媒性高分子化合物である。
セグメント(ロ)のセグメント(イ)への結合は、セグメント(イ)中の窒素原子を介するものが好ましく、特にセグメント(イ)中の重合単位(1)の窒素原子を介して結合した構造を有するものが好ましい。ここで、セグメント(イ)とセグメント(ロ)の重量比は、安定な乳化組成物を得る観点から、1/9〜9/1が好ましく、2/8〜7/3が更に好ましく、2/8〜5/5が特に好ましい。
セグメント(イ)は、重合単位(1)と、疎水性重合単位(2)とを構成成分として含むが、重合単位(1)の酸塩又は4級アンモニウム塩の2種以上を含んでいても良い。また、上記以外の重合単位を1種以上含んでいても良い。
重合単位(1)及び(2)中、R1、R2、R3、R4及びR5は、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示すが、R1、R2及びR3としては、水素原子又はメチル基が好ましく、R4及びR5としては、セグメント(ロ)の結合が容易である点から、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。
1及びX2はそれぞれ独立に、−O−又は−NH−である。Y1は炭素数1〜8のアルキレン基を示すが、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、特にエチレン基、プロピレン基等が好ましい。R6は、乳化安定性の点から、炭素数4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示すが、炭素数8〜30、特に炭素数12〜22のものが好ましい。具体的には、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基等が挙げられる。
セグメント(イ)における重合単位(1)と疎水性重合単位(2)の配列は、ランダムでもブロックでも良く、重合単位(1)と、疎水性重合単位(2)の共重合比率(重合単位(1)/疎水性重合単位(2))は、2/98〜70/30(重量比)が好ましく、特に5/95〜50/50が好ましい。
また、セグメント(イ)の重量平均分子量は、1000〜100万が好ましく、5000〜20万がより好ましい。なお、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した値であり、測定条件の詳細は実施例に示すとおりである。
重合単位(1)を構成するモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でもジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
また、これらのアミノ基の中和酸としては、有機酸、無機酸のいずれでも良く、例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸、乳酸、ピロリドン−2−カルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、グリコール酸、アスコルビン酸等が挙げられる。中でもクエン酸、グルタミン酸、コハク酸、アジピン酸が好ましい。
疎水性重合単位(2)を構成するモノマーとしては、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でもラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
セグメント(イ)は公知の合成方法により得ることができる。重合単位(1)を構成するモノマーと、疎水性重合単位(2)を構成するモノマーを溶液重合法で重合することにより得られる。また、得られた共重合体を有機酸又は無機酸で、重合単位(1)のアミノ基の一部又は全部を中和し、酸塩としてもよい。もしくは、上記共重合体を4級化剤(例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のアルキル硫酸エステル、メチルクロライド、メチルブロマイド、アルキルベンジルクロライド等のハロゲン化アルキル、トリメチルフォスフェート、ジメチルカーボネート等)で4級アンモニウム塩とすることができる。
あるいは予め4級化した下記一般式(4)で表されるモノマーを、疎水性重合単位(2)を構成するモノマーと共重合することで得ることもできる。
Figure 0004772317
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,X1及びY1は前記と同じ意味を示し、R8は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Z-は4級アンモニウム基の対イオンを示す。)
8としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられる。
-としては、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲンイオン;メチルサルフェート、エチルサルフェート、メチルフォスフェート、エチルフォスフェート等の有機アニオンが好ましい。
重合単位(1)を構成するモノマーと、疎水性重合単位(2)を構成するモノマーの溶液重合は、例えば以下の方法により行うことができる。
重合反応の溶媒としては、例えば芳香族系化合物(トルエン、キシレン等)、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン)、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エステル(酢酸エチル、酢酸メチル等)、クロロホルム等の有機溶剤を使用することができる。溶媒量(重量基準)は、好ましくは全モノマーに対して等量〜20倍量、特に等量〜10倍量が好ましい。
重合開始剤としては、公知のラジカル開始剤を用いることができ、例えばアゾ系重合開始剤、ヒドロ過酸化物類、過酸化ジアルキル類、過酸化ジアシル類、ケトンペルオキシド類等が挙げられる。また必要により、塩基性触媒(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等の金属、そのアルコキシド、ヒドロキシド等)、又は酸性触媒(硫酸、塩酸等)を用いても良い。重合開始剤量は、全モノマーを基準として0.01〜5モル%、特に0.01〜3モル%、更に0.01〜1モル%の範囲であるのが好ましい。
重合反応は、窒素気流下、60〜180℃の温度範囲で行うのが好ましく、反応時間は0.5〜20時間が好ましい。また、4級化反応は、常圧下、50〜80℃の温度範囲で行うのが好ましく、反応時間は2〜8時間が好ましい。
(A)成分におけるセグメント(ロ)は、重合単位(3)からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントである。重合単位(3)において、R7は炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、乳化の安定性の観点からメチル基又はエチル基が特に好ましい。nは2又は3の数であり、2が特に好ましい。
セグメント(ロ)は一般式(5)で表される環状イミノエーテル(以下環状イミノエーテル(5)という)を開環重合することで得られる。
Figure 0004772317
(式中、R7及びnは前記と同じ意味を示す。)
ここで、環状イミノエーテル(5)の開環重合は、求電子反応性の強い化合物、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸等の強酸のメチル、エチル、プロピルあるいはベンジルエステル等を開始剤として用いて行うことができる。環状イミノエーテル(5)として例えば、2−R7置換−2−オキサゾリンを用いれば、ポリ(N−アシルエチレンイミン)が得られる。
セグメント(イ)とセグメント(ロ)の結合は、環状イミノエーテル(5)の開環重合時に生成する活性末端とセグメント(イ)のヘテロ原子(ここでは、具体的には窒素原子)とを反応させると良い。具体的には、環状イミノエーテル(5)の開環重合後、予め合成しておいたセグメント(イ)の溶液を混合、加熱攪拌することで(A)成分の両親媒性高分子化合物が得られる。その際、上記活性末端とヘテロ原子の反応性を高めるために、系内の水分(又は水酸基を有する有機溶剤量)を100mg/kg未満とすることが好ましい。但し、セグメント(イ)とセグメント(ロ)の結合割合は100%で無くても良く、フリーのセグメント(ロ)が混在していても問題ない。
(A)成分は、1種以上複数を用いることができ、本発明の乳化組成物中に0.01〜10重量%、特に0.1〜10重量%含有するのが、良好な使用感を有するので好ましい。
[(B)成分]
(B)成分の油性成分としては、食品、飼料、化粧品、医薬品、工業等の分野で利用される公知の油性成分を特に制限なく用いることができ、常温・常圧での形態として固体状、ペースト状、液体状のいずれかのものである。好ましくは不揮発性有機化合物が用いられる。例えば固体状又は液体状パラフィン、ワセリン、セレシン、オゾケライト、モンタンロウ、スクワラン、スクワレン等の炭化水素類;ユーカリ油、ハッカ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、牛脂、豚脂、馬油、卵黄油、オリーブ油、カルナウバロウ、ラノリン、ホホバ油等の油脂類;グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、フタル酸ジエチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアロイル−3−ミリストイルグリセロール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジパラメトキシ桂皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル等のエステル油;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、セチルアルコール等の高級アルコール;ローズマリー、ルイボス、ローヤルゼリー、ハマメリス等の天然精油;リグナン、ビタミンE、油溶性ビタミンC、ビタミンA誘導体、セラミド類、セラミド類似構造物質、油溶性紫外線吸収剤、香料等の機能性油性物質などのほか、シリコーン類、フッ素系油剤などが挙げられる。
シリコーン類としては、通常トイレタリー製品に用いられるもので、例えばオクタメチルポリシロキサン、テトラデカメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のメチルシクロポリシロキサン;トリメチルシロキシケイ酸;アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、アルキル、アルケニル又はフルオロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
フッ素系油剤としては、常温で液体のパーフルオロ有機化合物が用いられ、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロブチルテトラハイドロフラン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
これらの(B)成分は1種以上を用いることができ、本発明の乳化組成物中に0.01〜10重量%、特に0.1〜10重量%含有するのが、良好な使用感を有するので好ましい。
また、(B)成分は、(A)成分1重量部に対して、0.1〜20重量部、特に0.1〜13重量部の割合であるのが、より乳化安定性に優れるので好ましい。
[水]
水は、任意に配合できるが、本発明の乳化組成物中に50〜95重量%、特に60〜95重量%含有するのが、良好な使用感を有するので好ましい。
[水中油型乳化組成物及びその製造法]
本発明の乳化組成物は、上記(A)成分、(B)成分及び水を含有し、水溶性有機溶媒(以下(C)成分という)を含有しても良い。
(C)成分の水溶性有機溶媒としては、配合した際に水と均一相になるものが使用でき、室温で水と任意の割合で混合しうる有機溶媒が好ましい。例えばエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜1540)等のグリコール類;ポリオキシエチレンメチルグルコシド、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール;トリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)ホスフェート等が挙げられ、1種以上を用いることができる。
(C)成分は、本発明の乳化組成物中に0.1〜30重量%、特に0.1〜20重量%含有するのが、良好な使用感を有するので好ましい。
本発明の乳化組成物は、例えば、(C)成分に、(A)成分を溶解又は分散させ、これと(B)成分を混合した後、更に水を加えて混合することにより製造することができる。
また、(A)成分の溶解性に支障のない範囲で、あらかじめ(C)成分と水を混合した水溶液に(A)成分を溶解又は分散させてもよい。その例としては、86%グリセリン水溶液の使用が挙げられる。
具体的には、まず、(A)成分を、(C)成分中に溶解又は分散させる。(A)成分の溶解状態を好適にするために、(C)成分としては、本発明において乳化させようとする(B)成分と相溶しないものを選択して用いるのが好ましい。
次に、この溶液又は分散液に(B)成分を添加して混合する。(B)成分として、固体〜ペースト状のものを含む場合には、予め加熱(例えば40〜80℃程度)して溶解しておくのが好ましい。
前記(A)成分の溶液又は分散液に(B)成分を加えて混合した後、10分以上、特に15〜60分間攪拌を続ける方が、より安定性に優れた乳化組成物が得られるので好ましい。
(B)成分を加えて混合した後の組成物は、青色透明〜白色ゲル状態になる。
次に、得られた油性混合物に、水又は所望の水溶性成分を含有する水溶液を任意の割合で加えて混合することにより、水中油型乳化組成物を得ることができる。このとき、添加する水又は水溶液は、通常常温(25℃前後)であるが、多少加温しても良い。
なお、重合単位(1)のアミノ基を中和するために用いる酸は、(A)成分とともに(C)成分と混合するか、又は水に溶解させて混合しても良く、組成物中で、(A)成分のアミノ基の一部又は全部が中和されていれば良い。
本発明の乳化組成物の25℃におけるpHは、pH3.0〜6.8、特にpH4.0〜6.5であるのが好ましい。
この状態では、一般に電気伝導性があることから連続相が水溶性有機溶媒を含有する水相であり、該水相に溶解あるいは分散した(A)成分によって(B)成分が乳化されていると考えられる。
本発明において、各成分を加えて混合するには、通常の方法により攪拌・混合すれば良く、例えばホモジナイザー、超音波乳化機、高圧乳化機等を用いて行うことができる。
本発明においては、(A)成分と(B)成分との割合や、(C)成分の種類と使用量を選択することにより、エマルションの分散粒子の粒径をコントロールすることができる。特に、本発明では、(A)成分を用いているので、平均粒径が好ましくは1〜1000nm、更に好ましくは1〜100nmのエマルションを得ることができ、安定な水中油型乳化組成物とすることができる。
なお、本発明において乳化油滴の粒径は、動的光散乱式粒径分布測定装置 HORIBA LB-500(堀場製作所製)を用いて測定した散乱光強度から求めた算術平均径を用いる。該装置の測定範囲の上限(6μm)を越える場合は、顕微鏡写真より複数の粒子の直径を測定し、その算術平均をとることで求めることができる。これらの粒径測定は、25℃で行うものである。
また、本発明の乳化組成物においては、25℃における粘度が200mPa・s以下の粘度の低い組成物を製造することができ、用いる目的により適宜調整することができるが、1〜200mPa・sが好ましく、1〜50mPa・sが更に好ましい。なお、本発明において粘度は、25℃において、B8L型粘度計(東京計器社製)により測定したものである。
[化粧料]
本発明の乳化組成物は、化粧料として好適に用いることができる。化粧料としては、例えばファンデーション、ローション、クリーム、乳液、化粧水、皮膚柔軟化化粧料、栄養化粧料、収斂化粧料、美白化粧料、シワ改善化粧料、老化防止化粧料、制汗剤、デオドラント剤等の皮膚化粧料が挙げられる。
化粧料には、防腐剤、酸化防止剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚保護剤、水溶性高分子、植物エキス、界面活性剤等を配合することができる。化粧料として好ましい粘度、pHは、前述の乳化組成物のものと同様である。
以下の例において、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−メルカプトエタノール、V−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、ジエチル硫酸は和光純薬社の試薬を用いた。2−エチル−2−オキサゾリンはDegussa社製を用いた。
合成例1(ジメチルアミノエチルメタクリレート/ステアリルメタクリレート共重合体(8/92重量比)溶液aの合成)
滴下ロート、攪拌機、還流冷却機、温度計、窒素導入管のついた1Lセパラブルフラスコに予め酢酸エチルを40g仕込んだ。反応温度を80℃に保ったまま、ジメチルアミノエチルメタクリレート20g(0.128mol)、ステアリルメタクリレート230g(0.68mol)、2−メルカプトエタノール0.64g(0.00806mol)、酢酸エチル125gの混合液と開始剤V−65 10.02g(0.0403mol)、酢酸エチル101gの混合液を別々に2時間掛けて滴下し、その後2時間反応を続けた。冷却後、共重合体溶液aを得た。尚、不揮発性成分含有量は51.8重量%であった。得られた共重合体溶液aをクロロホルムに溶解し、不揮発性成分含有量0.5重量%溶液をGPCで分子量測定した結果、重量平均分子量1.3万(ポリスチレン換算)であった。GPC測定条件は下記のとおりである。
カラム:昭和電工社製KF−804L×2、
溶離液:1mmol/L ファーミンDM20(花王社製)/クロロホルム溶液
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折率計
合成例2(両親媒性高分子化合物(A−1):(イ)/(ロ)=40/60重量比の合成)
2−エチル−2−オキサゾリン50.3g(0.51mol)、酢酸エチル50gの混合液にゼオライト4A 30gを加え、攪拌した後、カールフィッシャーにて水分量を測定したところ48mg/kgであった。乾燥させた500mL4つ口フラスコに、この2−エチル−2−オキサゾリン酢酸エチル溶液を全量シリンジを用いて移し、次いでジエチル硫酸1.56g(0.010mol)を投入した。直ちに昇温を開始し、80℃に保って15時間反応を行った。冷却後、合成例1で得られた共重合体溶液aをゼオライトで予め脱水しておいた(水分量:55mg/kgであった)ものを64.7g混合し、再度昇温、80℃にて12時間反応させた。冷却後、溶媒である酢酸エチルを50℃、減圧下で除去し、高分子化合物(A−1)を得た。合成例1と同様な方法で分子量を測定した結果、2.0万(ポリスチレン換算)であった。
高分子化合物(A−1) 2.0gを86%グリセリン水溶液18.0gと混合した後、室温で攪拌したところ、若干白濁した分散液となった。これより、高分子化合物(A−1)は両親媒性であることが確認された。
合成例3(両親媒性高分子化合物(A−2):(イ)/(ロ)=30/70重量比の合成)
2−エチル−2−オキサゾリン70g(0.706mol)、酢酸エチル70gの混合液にゼオライト4A 30gを加え、攪拌した後、カールフィッシャーにて水分量を測定したところ59mg/kgであった。乾燥させた500mL4つ口フラスコに、この2−エチル−2−オキサゾリン酢酸エチル溶液を全量シリンジを用いて移し、次いでジエチル硫酸2.18g(0.014mol)を投入した。直ちに昇温を開始し、80℃に保って15時間反応を行った。冷却後、合成例1で得られた共重合体溶液aをゼオライトで予め脱水しておいた(水分量:55mg/kgであった)ものを57.9g混合し、再度昇温、80℃にて24時間反応させた。冷却後、溶媒である酢酸エチルを50℃、減圧下で除去し、高分子化合物(A−2)を得た。合成例1と同様な方法で分子量を測定した結果、2.2万(ポリスチレン換算)であった。
高分子化合物(A−2) 2.0gを86%グリセリン水溶液18.0gと混合した後、室温で攪拌したところ、若干白濁した分散液となった。これより、高分子化合物(A−2)は両親媒性であることが確認された。
実施例1
80℃において、両親媒性高分子化合物(A−1) 1.0重量部と、水溶性有機溶媒であるトリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)ホスフェート2.3重量部を混合し、均一な分散液を得た。次いで、この分散液に、(B)成分として2−(パーフルオロヘキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテル1.0重量部を攪拌下に添加し、15分以上保持した後、25℃に冷却した。さらに室温の86%グリセリン(花王(株)製)10重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.2重量部、及び精製水85.5重量部の混合物を撹拌下に加え、粘度12mPa・sの水中油型乳化組成物を得た。
実施例2
実施例1において、(B)成分として2−(パーフルオロヘキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテルに代えてオリブ油(CROPURE OL、クローダジャパン社製)1.0重量部を用い、実施例1と同様の方法により粘度12mPa・sの水中油型乳化組成物を得た。
実施例3
実施例1において、(B)成分として2−(パーフルオロヘキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテルに代えてN−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド1.0重量部を用い、実施例1と同様の方法により粘度12mPa・sの水中油型乳化組成物を得た。
比較例1
80℃において、高分子乳化剤としてアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体エマルション(ACULYN22、Rohm & Haas社製)1.2重量部、水酸化カリウム0.05重量部、室温の86%グリセリン(花王(株)製)10重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.2重量部、及び精製水78.55重量部を攪拌して混合し、均一溶液を得た。次いで、これに油性成分としてオリーブ油(CROPURE OL、クローダジャパン社製)10重量部をホモジナイザー(4500rpm)による攪拌下滴下し、さらに5分攪拌した。最後に、冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
比較例2及び3
比較例1と同様にして、但し、高分子乳化剤と油性成分を表1に示すように変更して、それぞれ水中油型乳化組成物を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた水中油型乳化組成物の25℃における粘度、粒径及びpHを上記方法で測定し、安定性を下記方法で評価した。結果を表1に示す。また、いずれの乳化組成物も、水中油型であることを電気伝導度により確認した。
<安定性>
乳化組成物を−5℃、25℃又は50℃で30日間保存した後の外観・性状を観察し、以下の基準で判定した。
A;変化なし
B;かすかに油滴の合一を認めるが、使用性等には問題なし
C;若干の油滴の合一を認めるが、使用性等は許容範囲内
D;油滴の合一、分離浮上が認められ、使用性等も許容範囲外
Figure 0004772317
実施例1〜3で得られた乳化組成物は低粘度であり、化粧水として使用することができた。肌に使用したところ、伸び、なじみが良く、なめらかでべたつきの少ない良好な使用感を有していた。一方、比較例1〜3で得られた組成物は粘度が高く、化粧水として使用できるものではなかった。
実施例4〜9
両親媒性高分子化合物(A−2)及び表2に示す組成の成分を用い、実施例1と同様の方法により、粘度12mPa・s程度の水中油型乳化組成物を製造した。いずれの乳化組成物も、水中油型であることを電気伝導度により確認した。得られた乳化組成物の粒径、pH及び安定性を、上記の方法で評価した。結果を表2に示した。
Figure 0004772317
実施例4〜9で得られた乳化組成物を化粧水として肌に使用したところ、伸び、なじみがよく、なめらかでべたつきの少ない良好な使用感を有していた。

Claims (4)

  1. 下記(A)成分、(B)成分及び水を含有する皮膚化粧料用水中油型乳化組成物。
    (A):一般式(1)で表される重合単位と、一般式(2)で表される疎水性重合単位とを構成成分として含むセグメント(イ)と、一般式(3)で表される重合単位からなるセグメント(ロ)がブロック又はグラフト状に結合してなる両親媒性高分子化合物であって、セグメント(イ)とセグメント(ロ)の重量比(セグメント(イ)/セグメント(ロ))が1/9〜5/5である両親媒性高分子化合物
    Figure 0004772317

    (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R6は炭素数12〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R7は炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、−O−又は−NH−を示し、Y1は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、nは2又は3の数を示す。)
    (B):油性成分
  2. (A)成分が、セグメント(イ)とセグメント(ロ)が一般式(1)で表される重合単位の窒素原子を介して結合した構造を有するものである、請求項1記載の乳化組成物。
  3. 請求項1又は2記載の乳化組成物を含有する皮膚化粧料。
  4. 水溶性有機溶媒又は水溶性有機溶媒の水溶液に、(A)成分を溶解又は分散させ、これと(B)成分を混合した後、更に水と混合する、請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
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