JPWO2018186261A1 - クレンジング化粧料 - Google Patents

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Abstract

本発明は、油性汚れの洗浄力に優れ、水で容易に洗い流すことができるクレンジング化粧料であって、ポンプ方式の容器に充填した際の吐出性に優れ、手に取ったときにたれ落ちにくく、且つ展延性に優れるクレンジング化粧料を提供する。本発明のクレンジング化粧料は、増粘剤(A)と油剤(B)と界面活性剤(C)とを含むクレンジング化粧料であって、前記増粘剤(A)として、下記式(1-1)で表される基及び/又は下記式(1-2)で表される基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーを、油剤(B)100重量部に対して0.1〜10.0重量部含有する。【化1】

Description

本発明は、油性汚れを落とすクレンジング化粧料であって、ポンプ方式の容器に充填して使用するのに好適なクレンジング化粧料に関する。本願は、2017年4月4日に日本に出願した特願2017−074402号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
皮脂による汚れやメイクアップ化粧料による汚れ(=メイク汚れ)等の皮膚の油性汚れを落とす目的で使用されるクレンジング化粧料としては、皮脂やメイク汚れにすばやく馴染み、水で濯ぐことによりすっきりと洗い流すことができるものが求められており、油剤と界面活性剤を含む液状のクレンジング化粧料が好ましく使用されている(特許文献1)。しかし、液状のクレンジング化粧料は、ポンプ方式の容器に充填して使用する場合、吐出時に飛び散ったり、手に取った際に指の間からたれ落ちたり、容器の吐出口から液だれして容器を汚染したりすることが問題であった。
国際公開第2013/172187号
この問題を解決する方法としては、増粘剤を添加して油剤を適度に増粘する方法が考えられる。しかし、増粘剤として、例えば、ポリスチレン−水素化ポリイソプレンブロックコポリマー(特開平8−59765号公報)を使用すると、粘度が高くなりすぎてポンプ方式の容器からの吐出性や、皮膚に塗布する際の展延性が悪くなることがわかった。
また、油剤の増粘剤として知られるジブチルラウロイルグルタミド等のアミノ酸誘導体やステアリン酸イヌリン(国際公開第2009/139092号、国際公開第2014/119039号等)は、結晶性をゲル化の駆動力とし、ヒステリシスを有するゲルが得られるため、復元性のある増粘組成物が得られず、ポンプ方式の容器では良好に吐出することが困難であることがわかった。また、水で濯いでも容易に洗い流せないことがわかった。
従って、本発明の目的は、油性汚れの洗浄力に優れ、水で容易に洗い流すことができるクレンジング化粧料であって、ポンプ方式の容器に充填した際の吐出性に優れ、手に取ったときにたれ落ちにくく、且つ展延性に優れるクレンジング化粧料を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、油剤への溶解性を付与するための特定の置換基を備えたセルロースファイバー(すなわち、変性セルロースファイバー)は、油剤を任意の粘度にまで増粘し、その粘度を安定的に維持することができること、前記変性セルロースファイバーによって適度に増粘された油剤と界面活性剤とを含むクレンジング化粧料は、ポンプ方式の容器に充填した際には吐出性に優れ、容器の吐出口から液だれしにくく、手に取ったときにはたれ落ちにくく、且つ展延性に優れること、油性汚れに馴染ませた後は水で濯ぐことにより容易に洗い流すことができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、増粘剤(A)と油剤(B)と界面活性剤(C)とを含むクレンジング化粧料であって、前記増粘剤(A)として、下記式(1-1)で表される基及び/又は下記式(1-2)で表される基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーを、油剤(B)100重量部に対して0.1〜10.0重量部含有するクレンジング化粧料を提供する。
Figure 2018186261
(式中、R1は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。mは10〜100の整数を示し、m個のR2は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を示す。R3は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す)
本発明は、また、25℃、せん断速度10s-1における粘度が300〜6000mPa・sである、前記のクレンジング化粧料を提供する。
本発明のクレンジング化粧料は、変性セルロースファイバーによって油剤が増粘されることにより適度な粘性を有し、その粘性が経時安定的に保持されるため、手に取ったときに指の間からたれ落ちにくく、且つ展延性に優れる。また、ポンプ方式の容器に充填した際は吐出性に優れ、容器の吐出口から液だれしにくい。その上、本発明のクレンジング化粧料は油性汚れの洗浄力に優れ、皮膚の汚れやメイク汚れと容易に馴染み、水で濯ぐことによりすっきりと洗い流すことができる。従って、本発明のクレンジング化粧料は、ポンプ方式の容器に充填して使用する、皮膚の油性汚れやメイク汚れ用のクレンジング剤として好適である。
[クレンジング化粧料]
本発明のクレンジング化粧料は、増粘剤(A)と油剤(B)と界面活性剤(C)とを含む。増粘剤(A)、油剤(B)、及び界面活性剤(C)は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
(増粘剤(A))
本発明における増粘剤(A)は、下記式(1-1)で表される基及び/又は下記式(1-2)で表される基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバー(以後、「本発明における変性セルロースファイバー」と称する場合がある)である。
Figure 2018186261
(式中、R1は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。mは10〜100の整数を示し、m個のR2は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を示す。R3は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す)
前記R1における脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜30であり、好ましくは3〜30、より好ましくは5〜25、特に好ましくは10〜20、最も好ましくは15〜20である。前記R1における脂肪族炭化水素基の炭素数を前記範囲とすることで、セルロースファイバーに親油性を付与することができ、油剤(B)に対する良好な相溶性を付与することができる。
前記R1における脂肪族炭化水素基には、飽和脂肪族炭化水素基と不飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。
前記飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、ステアリル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
前記不飽和脂肪族炭化水素基は、少なくとも1個の不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基であり、二重結合及び三重結合から選択される少なくとも1個の不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基が挙げられる。また、前記不飽和脂肪族炭化水素基は、少なくとも1個の不飽和結合を有していてばよく、不飽和結合を1個有していても、2個以上有していてもよい。尚、不飽和結合の数の上限は、例えば6個、好ましくは3個である。従って、前記不飽和脂肪族炭化水素基が有する不飽和結合の数としては、例えば1〜6個、好ましくは1〜3個である。更に、前記不飽和脂肪族炭化水素基が二重結合を有する場合、当該基はcis及びtransの何れの立体配置を有していてもよい。
前記R1としては、なかでも、不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、特に好ましくは、少なくとも1個の二重結合を有する脂肪族炭化水素基であり、最も好ましくは、二重結合を1〜6個(好ましくは1〜3個)有する直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基、11−ドデセニル基、オレイル基等)である。
前記R1としては、とりわけ、二重結合を1〜6個(好ましくは、1〜3個)有する、炭素数1〜30(好ましくは3〜30、より好ましくは5〜25、特に好ましくは10〜20、最も好ましくは15〜20)の直鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素基が好ましい。
2における炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
mは10〜100の整数を示し、mの下限値は好ましくは15、特に好ましくは20、最も好ましくは25、とりわけ好ましくは30である。また、mの上限値は好ましくは80、特に好ましくは70、最も好ましくは60、とりわけ好ましくは50である。mの値を前記範囲とすることで、セルロースファイバーに親油性を付与することができ、油剤(B)に対する良好な相溶性を付与することができる。
3における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルキニル基等が挙げられる。
3における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、なかでもアルキル基(特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、とりわけ好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)が好ましい。
本発明における増粘剤(A)は、上記式(1-1)で表される基、及び上記式(1-2)で表される基から選択される少なくとも1つの基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合(より詳細には、ピラノース環を構成する炭素原子に結合)した構造を有する変性セルロースファイバーを含有する。
変性セルロースファイバーにおける上記式(1-1)で表される基、及び上記式(1-2)で表される基が結合する割合としては、用途に応じて適宜調整することができ、例えば皮膚の油性汚れやメイク汚れ用のクレンジング剤として使用する場合、前記各基の平均の総置換度(すなわち、上記式(1-1)で表される基の平均置換度及び上記式(1-2)で表される基の平均置換度の合計)は、例えば0.05〜3.0である。総置換度の上限は、好ましくは2.8、特に好ましくは2.7、最も好ましくは2.6である。総置換度の下限は、好ましくは0.1、より好ましくは0.3、特に好ましくは0.5、最も好ましくは1.0、とりわけ好ましくは1.5である。
尚、上記式(1-1)で表される基の置換度は、以下の方法で測定できる。
1.変性セルロースファイバーをジメチルアセトアミドに溶解し、触媒(例えば、ピリジン)の存在下、カルボン酸無水物(例えば、無水酢酸)でアシル化する。
2.得られた試料を貧溶媒で再沈させ、未反応成分を除去する。
3.その後、ジメチルアセトアミドに溶解し、水酸化カリウムでケン化後、生成する遊離脂肪酸量を定量することで、総置換度を求めることができる。
また、アシル化が完結したことはIRスペクトルで3400cm-1付近に水酸基の吸収が認められないことによって確認できる。また、ケン化が完結したことはIRスペクトル1750cm-1付近のカルボニル基の吸収が認められないことで確認できる。また、上記式(1-1)中のR1がメチル基である場合(すなわち、式(1-1)で表される基が酢酸残基である場合)は、無水酢酸に代えて、酢酸以外の一塩基酸の無水物(例えば、無水プロピオン酸など)を用いることが好ましい。その他、ケン化後に生成する遊離脂肪酸の量は、ヒドラジド化したものをHPLCによって測定することにより求められる(Journal of chromatography, 416 (1987) 237-245)。
例えば、上記式(1-1)で表される基が結合した構成を有する変性セルロースファイバーの置換度(Dx)は、以下のように算出できる。
Figure 2018186261
AV%:ケン化で生じた遊離脂肪酸(例えば、酢酸)のケン化前試料重量に対する重量%
[a+OH]:分析目的で導入したアシル基に対応する遊離脂肪酸の分子量(例えば、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用した場合は、酢酸の分子量(60.052g/mol))
[a−H]:分析目的で導入したアシル基とプロトンの分子量の差(例えば、アシル基がアセチル基である場合は、42.037g/mol)
[x−H]:R1基とプロトンの分子量の差(例えば、R1基がcis−オレイル基である場合は、264.45g/mol)
G:グルコース残基の分子量(162.14g/mol)
上記式(1-2)で表される基の置換度も、上記式(1-1)で表される基と同様の方法で求めることができる。
上記変性セルロースファイバーであって、上記式(1-1)で表される基(式中のn=1)が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーは、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合する水酸基の少なくとも1つに、変性剤として下記式(1)
Figure 2018186261
(式中のR1は上記に同じ。nは1を示す)
で表されるカルボン酸、若しくはそのハロゲン化物、又はその塩を反応させることにより製造することができる。
前記変性セルロースファイバーの原材料であるセルロースファイバーとしては、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物、布といった天然植物原料から得られるパルプ;レーヨン、セロファン等の再生セルロース繊維等が挙げられる。なかでも、パルプが好ましい。
前記パルプとしては、例えば、植物原料(例えば、木材、コットン等)を化学的、若しくは機械的にパルプ化することで得られるケミカルパルプや、脱墨古紙パルプ、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプが挙げられる。
これらのパルプの中でも、繊維の強度が強い針葉樹由来のクラフトパルプ(例えば、針葉樹未漂白クラフトパルプ、針葉樹酸素晒し未漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ等)が好ましい。
これらの原材料は、必要に応じ、脱リグニン処理や漂白処理を行うことが好ましい。また前記原材料を、叩解してミクロフィブリル化するリファイナー処理を施しても良い。
上記式(1)で表されるカルボン酸としては、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸;クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等のモノ不飽和脂肪族カルボン酸;ソルビン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪族カルボン酸;リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸等のトリ不飽和脂肪族カルボン酸;ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸等のテトラ不飽和脂肪族カルボン酸;ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸等のペンタ不飽和脂肪族カルボン酸;ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等のヘキサ不飽和脂肪族カルボン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記変性セルロースファイバーであって、上記式(1-1)で表される基(式中のn=0)が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーは、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合する水酸基の少なくとも1つに、変性剤として下記式(1’)
Figure 2018186261
(式中のR1は上記に同じ。nは0を示す)
で表されるアルコールを反応させることにより製造することができる。
前記式(1’)で表されるアルコールとしては、例えば、ブタノール、ペンタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、ステアリルアルコール等の飽和アルコール;アリルアルコール、オクタデカジエノール、ドコセノール、ドデセジエノール、オレイルアルコール、トリデセノール、リノリルアルコール等の不飽和アルコール等が挙げられる。
前記変性剤の使用量は、セルロースファイバーのグルコース単位1モルに対して、例えば0.1〜20モル、好ましくは0.4〜10モルである。前記変性剤を過剰に使用し、所定の平均置換度となるまで反応させた時点で反応を停止させてもよい。
セルロースファイバーを上記式(1-1)で表される基で変性する反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、酢酸等の酸触媒や、塩基性触媒が挙げられる。なかでも、塩基性触媒を使用することが好ましい。
塩基性触媒としては、例えば、ピリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)等の含窒素芳香族性複素環化合物;トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジアザビシクロオクタン等の非環状、或いは環状第三級アミン化合物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。
触媒の使用量は、例えば、セルロースファイバーのグルコース単位1モルに対して0.1〜10モル程度である。
上記変性反応の反応温度は、例えば20〜160℃程度である。反応時間は、例えば2〜30時間程度である。
また、上記変性反応は、非水系溶媒中で行うことが好ましい。前記非水系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の飽和又は不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びこれらの混合物が挙げられる。
更に、上記変性反応は、セルロースファイバーを解砕処理に付しつつ、そこに変性剤を添加して、反応させることが、置換度を向上させ、油剤(B)に対してより優れた相溶性を付与することができる点で好ましい。
上記変性セルロースファイバーであって、上記式(1-2)で表される基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーは、セルロースファイバー[好ましくはセルロースファイバーを構成するピラノース環のC5位に結合するヒドロキシメチル基(−CH2OH)]に酸化剤を反応させることにより、セルロースファイバーを構成するピラノース環にカルボキシル基が結合した酸化セルロースファイバーを得(酸化工程)、得られた酸化セルロースファイバーのカルボキシル基の少なくとも1つに、変性剤としてのポリエーテルアミンを反応させて塩を形成する(アミン変性工程)ことにより製造することができる。
前記セルロースファイバーとしては、上述の式(1-1)で表される基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーを製造する場合と同様のものを使用することができる。
(酸化工程)
酸化工程で使用される酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸又はその塩(次亜塩素酸又はその塩、次亜臭素酸又はその塩、次亜ヨウ素酸又はその塩等)、亜ハロゲン酸又はその塩(亜塩素酸又はその塩、亜臭素酸又はその塩、亜ヨウ素酸又はその塩等)、過ハロゲン酸又はその塩(過塩素酸又はその塩、過ヨウ素酸又はその塩等)、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素等)、ハロゲン酸化物(ClO、ClO2、Cl26、BrO2、Br37等) 、窒素酸化物(NO、NO2、N23等)、過酸(過酸化水素、過酢酸、過硫酸、過安息香酸等)が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
セルロースファイバーと酸化剤の反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、例えば、TEMPO(=2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)等のN−オキシル化合物や、その誘導体を用いることができる。また、前記N−オキシル化合物に、臭化物やヨウ化物(臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム等のアルカリ金属臭化物;ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のアルカリ金属ヨウ化物;臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化ストロンチウム等のアルカリ土類金属臭化物;ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化ストロンチウム等のアルカリ土類金属ヨウ化物)を組み合わて用いてもよい。
酸化工程では、反応の進行に伴ってカルボキシル基が生成するため、反応溶液のpHが低下する。そこで、反応溶液をアルカリ性領域(例えばpH9〜12、好ましくは10〜11)の範囲に維持することが酸化反応を十分に進行させる上で好ましい。
酸化工程終了後に、セルロースナノファイバーに結合したカルボキシル基が塩(例えば、ナトリウム塩)の状態で存在する場合は、酸を添加して、カルボキシル基に置換することが好ましい。
(アミン変性工程)
アミン変性工程で使用される、変性剤としてのポリエーテルアミンは、例えば、下記式(2)で表される。R2、R3、mは上記に同じ。ポリエーテルアミンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2018186261
ポリエーテルアミンの重量平均分子量(GPCによる、標準ポリスチレン換算)は、例えば300以上、好ましくは500以上、特に好ましくは1000以上、最も好ましくは1500以上である。尚、重量平均分子量の上限は、例えば5000、好ましくは4000、特に好ましくは3000である。
アミン変性反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。前記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の飽和又は不飽和炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、フルオロトリクロロメタン、トリクロロトリフルオロメタン、ヘキサフルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ等のエーテル;及びこれらの混合物が挙げられる。
アミン変性反応は、酸化工程を経て得られた酸化セルロースファイバーを解砕処理に付しつつ、そこに変性剤を添加して、反応させることが、置換度を向上させ、油剤(B)に対してより優れた相溶性を付与することができる点で好ましい。
(油剤(B))
本発明における油剤としては、室温(例えば、25℃)において、液状やペースト状の油を使用することが好ましいが、固体状の油も、液状のクレンジング化粧料を調製できる範囲内において使用することができる。また、本発明における油剤は極性油であっても、非極性油であってもよい。
本発明における油剤としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素;ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、アーモンド油、小麦胚芽油、米胚芽油、オリーブ油、ホホバ油、月見草油、ヤシ油、山茶花油、ローズヒップ油等の天然油;イソノナン酸2−エチルへキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソパルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オクタン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン等のエステル類;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン油;ラウリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(界面活性剤(C))
本発明における界面活性剤には、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が含まれる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、なかでも、安全性の点で非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
非イオン性界面活性剤には、エステル型、エーテル型、エーテル・エステル型化合物が含まれる。
前記エステル型化合物としては、例えば、ジグリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(7)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレン(3)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(6)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(8)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(10)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(20)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(30)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(10)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(20)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(30)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(40)グリセリルトリイソステアレート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(8)トリメチロールプロパントリミリステート、ポリオキシエチレン(20)トリメチロールプロパントリミリステート、ポリオキシエチレン(30)トリメチロールプロパントリミリステート等のポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(30)ソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン(40)ソルビトールテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(6)ジイソステアレート、ポリオキシエチレン(12)ジイソステアレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
前記エーテル型化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルや、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
前記エーテル・エステル型化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルステアレート、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテルステアレート等が挙げられる。
本発明においては、なかでもエステル型化合物を使用することが、安全性の点で好ましく、特にポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
[クレンジング化粧料]
本発明のクレンジング化粧料は、増粘剤(A)と油剤(B)と界面活性剤(C)とを含む。
本発明のクレンジング化粧料の粘度[25℃、せん断速度10s-1における]は、例えば300〜6000mPa・s程度であり、その上限は、好ましくは5800mPa・sである。下限は、好ましくは500mPa・s、より好ましくは1000mPa・s、更に好ましくは1500mPa・s、特に好ましくは2000mPa・s、最も好ましくは3000mPa・s、とりわけ好ましくは4000mPa・sである。そのため、ポンプ方式の容器に充填して使用する場合は、吐出時に飛び散りにくく、吐出口からの液だれを防止することができる。その上、皮膚に塗布する際は、指の間からたれ落ちにくく、且つ展延性に優れる。すなわち、使用性に優れる。一方、粘度が上記範囲を上回ると、吐出性や使用性が低下する傾向があり、粘度が上記範囲を下回ると、吐出時に飛び散ったり、手に取った際に指の間からたれ落ちたり、容器の吐出口から液だれして容器を汚染したりする場合がある。
本発明のクレンジング化粧料は、例えば、増粘剤(A)と油剤(B)とを相溶させる工程を経て得られた油組成物(若しくは、相溶物)に、界面活性剤(C)を混合することにより製造することができる。前記油組成物は、より詳細には、上記増粘剤(A)と油剤(B)の全量を混合して加温し、相溶させた後、冷却することにより製造することができる。また、油剤(B)の一部に上記増粘剤(A)を混合して、加温、相溶させた後、冷却し、その後、残りの油剤(B)を混合する方法でも製造することができる。
クレンジング化粧料における本発明における変性セルロースファイバーの含有量(2種以上使用する場合はその総量)は、本発明のクレンジング化粧料に含まれる油剤(B)100重量部に対して0.1〜10.0重量部(好ましくは0.5〜10.0重量部、特に好ましくは1.0〜5.0重量部)である。
また、本発明における変性セルロースファイバーの含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、クレンジング化粧料全量の0.1〜10.0重量%であり、前記範囲の下限は好ましくは1.0重量%である。また、前記範囲の上限は、好ましくは7.0重量%、特に好ましくは5.0重量%である。本発明における変性セルロースファイバーを前記範囲で配合することにより油剤(B)に適度な粘度を付与することができ、使用性及び吐出性に優れたクレンジング化粧料を得ることができる。一方、本発明における変性セルロースファイバーの含有量が上記範囲を下回ると、クレンジング化粧料の粘度を安定的に保持することが困難となる傾向がある。また、本発明における変性セルロースファイバーの含有量が上記範囲を上回っても有利な効果は得られ難く、かえってクレンジング化粧料の展延性や吐出性が低下する場合がある。
本発明のクレンジング化粧料には増粘剤(A)として、本発明における変性セルロースファイバー以外の他の増粘剤を含有してもよいが、クレンジング化粧料に含まれる全増粘剤に占める本発明における変性セルロースファイバーの割合は、例えば30重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは85重量%以上である。他の増粘剤の含有量が過剰となると、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。尚、本発明における「増粘剤」は、粘性を付与する増粘剤、ゲル化するゲル化剤、及び組成物の成分を均一に安定化する安定剤を含む概念である。
油剤(B)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、クレンジング化粧料全量の例えば40.0〜99.0重量%程度であり、前記範囲の下限は好ましくは50.0重量%、特に好ましくは60.0重量%、最も好ましくは65.0重量%、とりわけ好ましくは70.0重量%である。また、前記範囲の上限は、好ましくは90.0重量%、特に好ましくは85.0重量%、最も好ましくは80.0重量%である。油剤(B)を上記範囲で含有するクレンジング化粧料は、油性汚れの洗浄力に優れる。
増粘剤(A)と油剤(B)の組み合わせは、増粘剤(A)と油剤(B)が相溶する組み合わせであれば特に制限されない。
相溶の際の温度は増粘剤(A)と油剤(B)の種類によって適宜選択されるものであり特に制限されないが、100℃を越えないことが好ましく、油剤(B)の沸点が100℃以下の場合には沸点程度が好ましい。
相溶後の冷却は、例えば25℃以下まで冷却することができればよく、室温で徐々に冷却してもよいし、氷冷等により急速冷却してもよい。
界面活性剤(C)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、クレンジング化粧料の例えば1.0〜40.0重量%程度であり、好ましくは5.0〜25.0重量%、特に好ましくは10.0〜25.0重量%、最も好ましくは15.0〜25.0重量%である。界面活性剤(C)の使用量が上記範囲を下回ると、クレンジング化粧料を水で洗い流すことが困難となる傾向がある。一方、界面活性剤(C)の使用量が上記範囲を上回ると、皮膚への刺激が強くなり、安全性が低下する傾向がある。
本発明のクレンジング化粧料は、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、通常のクレンジング化粧料に用いられる成分(以後、「他の成分」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。前記他の成分としては、例えば、防腐剤、抗菌剤、消炎剤、収斂剤、保湿剤、酸化防止剤、アルコール類、水、着色剤、香料等が挙げられる。
本発明のクレンジング化粧料における他の成分の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば10.0重量%以下程度、好ましくは7.0重量%以下、特に好ましくは5.0重量%以下である。
本発明のクレンジング化粧料は上記特性を兼ね備えるため、手指で軽くマッサージすることにより皮膚の汚れや油性化粧料(例えば、ファンデーション、日焼け止め化粧料、口紅、マスカラ等)によるメイク汚れ等の油性汚れに馴染ませることができ、その後、水で濯ぐことにより、すっきりと洗い落とすことできる。また、ポンプ方式の容器に充填した際は、飛び散ること無く吐出させることができ、吐出口からのたれ落ちを抑制することもできる。そのため、本発明のクレンジング化粧料は、ポンプ方式の容器に充填して使用する、皮膚の油性汚れやメイク汚れ用のクレンジング剤として好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(変性セルロースファイバーの調製)
リファイナー処理済みの針葉樹漂白クラフトパルプ(王子製紙(株)製)を水に分散させ、固形分濃度1重量%のパルプ水懸濁液を調製した。
得られたパルプ水懸濁液に石臼式磨砕機(商品名「セレンディピターMKCA6−3」、増幸産業(株)製、ディスク回転速度:1500rpm)を用いてフィブリル化処理を行い、フィブリル化セルロース水懸濁液(固形分濃度:1重量%)を得た。
その後、フィブリル化セルロース水懸濁液中の水をN−メチルピロリドンに置換し、固形分濃度0.5重量%のフィブリル化セルロース懸濁液を得た。
得られたフィブリル化セルロース懸濁液に、触媒としてピリジンを添加し、さらに、cis−オレオイルクロライドをフィブリル化セルロースのグルコース単位1モルに対して1モルの割合で添加し、30℃で反応させた。反応終了後、得られた生成物をエタノールで十分に洗浄後、トルエンにより溶媒置換し、トルエン中で懸濁させて、1重量%の変性セルロースファイバー懸濁液[増粘剤(1)]を得た。
調製例2(変性セルロースファイバーの調製)
(酸化工程)
針葉樹パルプ2gに、水150ml、臭化ナトリウム0.25g、TEMPO(0.025g)を加え、撹拌して分散させた後、13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、前記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウムが5.2mmol/gとなる量を加え、反応を開始した。
反応の進行に伴いpHが低下したため、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保持しつつ、120分間反応を行った。
反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化された酸化セルロースを得た。続いて、酸化セルロースに含まれる水をエタノールに置換して、酸化セルロース懸濁液を得た。
(アミン変性工程)
得られた酸化セルロース懸濁液に、エタノールと、酸化セルロースのカルボキシル基量と等量の下記式で表されるポリエーテルアミン(商品名「JEFFAMINE M−2070」、重量平均分子量:2000、HUNTSMAN社製)とを加えて2%に希釈し、高圧ホモジナイザー(圧力:100MPa)を用いてホモジナイズ処理を1回行った。これに、変性セルロースファイバー濃度が0.75%となるまでエタノールを加え、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)を用いて8000rpmで10分間撹拌して、変性セルロースファイバー懸濁液[増粘剤(2)]を得た。
Figure 2018186261
実施例1(クレンジング化粧料の調製)
調製例1で得られた増粘剤(1)2重量部と、油剤としてのオクタン酸セチル(商品名「CEH」、高級アルコール工業(株)製)78重量部とを混合し、80℃で加熱撹拌してこれらを相溶させ、その後25℃まで冷却してから、界面活性剤としてポリオキシエチレン(10)グリセリルモノイソステアレート(商品名「EMALEX GWIS-110」、日本エマルジョン(株)製)10重量部、及びポリオキシエチレン(8)グリセリルモノイソステアレート(商品名「EMALEX GWIS-108」、日本エマルジョン(株)製)10重量部を混合してクレンジング化粧料(1)を得た。得られたクレンジング化粧料(1)の25℃、せん断速度10s-1における粘度は、4500mPa・sであった。
実施例2〜4、比較例1〜2
下記表に示す処方(単位は重量部)に変更した以外は実施例1と同様にしてクレンジング化粧料を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られたクレンジング化粧料を、口径2.5mm、吐出量が1.5mLのノズル吐出口がついたポンプ式容器に充填し、20名の女性パネラーが2週間使用して、ポンプ式容器による使用性(吐出口の液だれや、吐出時の飛び散りを防止できるか)、クレンジング化粧料の使用感(手に取った時に指の間からたれ落ちないか、展延性がよいか)、水洗のしやすさについて5段階(+2:非常に良い、+1:良い、0:普通、−1:悪い、−2:非常に悪い)で評価し、その評価点の平均値から、下記基準に従ってクレンジング化粧料を総合的に評価した。
<評価基準>
◎:1.0点以上
○:0点以上、1.0点未満
×:0点未満
Figure 2018186261
増粘剤(1):調製例1で得られた増粘剤を使用した。
増粘剤(2):調製例2で得られた増粘剤を使用した。
増粘剤(3):ジブチルラウロイルグルタミド、商品名「GP-1」、味の素(株)製
増粘剤(4):ステアリン酸イヌリン、商品名「レオパール ISK2」、千葉製粉(株)製
本発明のクレンジング化粧料は適度な粘性を有するため、ポンプ方式の容器に充填して使用する場合の使用性、及び使用感において優れていた。また、水で容易に洗い流すことができた。一方、比較例1、2で得られたクレンジング化粧料は、ヒステリシスのある固体ゲル状であった。そのため、ポンプ方式の容器に充填して使用した場合に、吐出性が悪かった。また、展延性が悪く、水洗では容易に洗い流すことができなかった。
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記しておく。
[1]増粘剤(A)と油剤(B)と界面活性剤(C)とを含むクレンジング化粧料であって、前記増粘剤(A)として、下記式(1-1)で表される基及び/又は下記式(1-2)で表される基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーを、油剤(B)100重量部に対して0.1〜10.0重量部含有するクレンジング化粧料。
Figure 2018186261
(式中、R1は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。mは10〜100の整数を示し、m個のR2は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を示す。R3は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す)
[2]25℃、せん断速度10s-1における粘度が300〜6000mPa・sであり、その上限は5800mPa・s、下限は500mPa・s、1000mPa・s、1500mPa・s、2000mPa・s、3000mPa・s、又は4000mPa・sである、[1]に記載のクレンジング化粧料。
[3]R1における脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜30、3〜30、5〜25、10〜20、又は15〜20である、[1]又は[2]に記載のクレンジング化粧料。
[4]R1における脂肪族炭化水素基が飽和脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、ステアリル基からなる群より選択される直鎖状又は分岐鎖状アルキル基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[5]R1における脂肪族炭化水素基が不飽和脂肪族炭化水素基であり、少なくとも1個の不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基であり、二重結合及び三重結合から選択される少なくとも1個の不飽和結合を有し、不飽和結合の数は少なくとも1個、2個以上、1〜6個又は1〜3個から選択され、不飽和結合の数の上限は6個又は3個である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[6]R1における不飽和脂肪族炭化水素基が、少なくとも1個の二重結合を有する脂肪族炭化水素基、二重結合を1〜6個又は1〜3個有する直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基であり、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基、11−ドデセニル基、オレイル基からなる群より選択される、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[7]R1が、二重結合を1〜6個又は1〜3個有し、炭素数1〜30、3〜30、5〜25、10〜20、又は15〜20の直鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素基である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[8]R2における炭素数2〜4のアルキレン基が、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基からなる群より選択される直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[9]mは10〜100の整数を示し、mの下限値は15、20、25、又は30であり、mの上限値は80、70、60、又は50である、[1]〜[8]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[10]R3における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基からなる群より選択される基を含む炭素数1〜20、1〜10、又は1〜3のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基からなる群より選択される基を含む炭素数2〜20、2〜10、又は2〜3のアルケニル基;エチニル基又はプロピニル基から選択される基を含む炭素数2〜20、2〜10、又は2〜3のアルキニル基である、[1]〜[9]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[11]R3における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基である、[1]〜[10]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[12]変性セルロースファイバーにおける上記式(1-1)で表される基及び上記式(1-2)で表される基の平均の総置換度(上記式(1-1)で表される基の平均置換度及び上記式(1-2)で表される基の平均置換度の合計)が、0.05〜3.0であり、総置換度の上限は、2.8、2.7、又は2.6であり、総置換度の下限は、0.1、0.3、0.5、1.0、又は1.5である、[1]〜[11]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[13]油剤が、流動パラフィン、スクワランを含む炭化水素;ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、アーモンド油、小麦胚芽油、米胚芽油、オリーブ油、ホホバ油、月見草油、ヤシ油、山茶花油、ローズヒップ油を含む天然油;イソノナン酸2−エチルへキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソパルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オクタン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンを含むエステル類;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンを含むシリコーン油;ラウリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸を含む高級脂肪酸;ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコールを含む高級アルコールの1種又は2種以上の組み合わせである、[1]〜[12]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[14]界面活性剤が、エステル型、エーテル型、エーテル・エステル型化合物を含む非イオン性界面活性剤である、[1]〜[13]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
[15]エステル型化合物が、ジグリセリンモノステアレートを含むグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(7)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油を含むポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレン(3)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(6)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(8)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(10)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(20)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(30)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(10)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(20)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(30)グリセリルトリイソステアレート、ポリオキシエチレン(40)グリセリルトリイソステアレートを含むポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタンを含むソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含むポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(8)トリメチロールプロパントリミリステート、ポリオキシエチレン(20)トリメチロールプロパントリミリステート、ポリオキシエチレン(30)トリメチロールプロパントリミリステートを含むポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(30)ソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン(40)ソルビトールテトラオレエートを含むポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(6)ジイソステアレート、ポリオキシエチレン(12)ジイソステアレートを含むポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群より選択される、[14]に記載のクレンジング化粧料。
[16]エーテル型化合物が、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを含むポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選択される[14]又は[15]に記載のクレンジング化粧料。
[17]エーテル・エステル型化合物が、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルステアレート又はポリオキシエチレン(10)セチルエーテルステアレートからなる群より選択される、[14]〜[16]のいずれか1つに記載のクレンジング化粧料。
本発明のクレンジング化粧料は、変性セルロースファイバーによって油剤が増粘されることにより適度な粘性を有し、その粘性が経時安定的に保持されるため、手に取ったときに指の間からたれ落ちにくく、且つ展延性に優れる。また、ポンプ方式の容器に充填した際は吐出性に優れ、容器の吐出口から液だれしにくい。その上、本発明のクレンジング化粧料は油性汚れの洗浄力に優れ、皮膚の汚れやメイク汚れと容易に馴染み、水で濯ぐことによりすっきりと洗い流すことができる。従って、本発明のクレンジング化粧料は、ポンプ方式の容器に充填して使用する、皮膚の油性汚れやメイク汚れ用のクレンジング剤として好適である。

Claims (2)

  1. 増粘剤(A)と油剤(B)と界面活性剤(C)とを含むクレンジング化粧料であって、前記増粘剤(A)として、下記式(1-1)で表される基及び/又は下記式(1-2)で表される基が、セルロースファイバーを構成するピラノース環に結合した構造を有する変性セルロースファイバーを、油剤(B)100重量部に対して0.1〜10.0重量部含有するクレンジング化粧料。
    Figure 2018186261
    (式中、R1は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。mは10〜100の整数を示し、m個のR2は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を示す。R3は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す)
  2. 25℃、せん断速度10s-1における粘度が300〜6000mPa・sである、請求項1に記載のクレンジング化粧料。
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