JP2009507926A - セルロース脂肪酸エステルを組み込んだパーソナルケア製品 - Google Patents

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Abstract

セルロースエステル化合物、および親油性溶媒に溶解したこのようなセルロースエステル化合物を含む組成物である。

Description

本発明は、セルロースエステル化合物およびこのようなセルロースエステル化合物を含む組成物に関する。より詳細には、本発明は、親油性溶媒中に溶解する能力を有するセルロースエステル化合物を含む組成物に関する。
セルロースエステル化合物は、直列に結合してセルロースポリマー骨格を形成する1,4’−Ο−β−結合した無水グルコースモノマーユニットの側鎖の1つ以上のヒドロキシルについて置換されたエステル部分を有するセルロース分子である。これらは、例えば、組成物中の膜形成成分または増粘剤として使用して組成物に所望の物理特性を与えることができる。油系または油相を有する化粧品およびパーソナルケア製品の、唇または皮膚の上での耐久性は制限されている。例えば、カラー化粧品は、汚れまたは染みを受けた際、特に汗が付いた際、限定された量の時間の後に徐々に消える。スキンケア製品は、例えばサンスクリーンの場合、着衣または水泳中の洗い流しによって接触した際に擦れ落ちる。このような組成物の耐久性および耐水性を改善するためには、これらが、油溶性膜形成要素を含むことが望ましい。カラー化粧品、防臭剤、スキンケアクリームおよびローション、ならびにヘア剤等の組成物は、スティック形状でこれらを適用できるように、または手の中に注ぎそして手の中に封じ込んで指で適用できるように、増粘されることが必要である。増粘はまた、組成物が意図した素地から流れ去りまたは滴り去るのではなく置かれた場所に留まるために有利である。塗布の容易性を付与するために、またはスプレーされた際に微細な液滴さらには分布を与えるために、増粘された組成物はシェアシニング(shear thinning)であることが好ましい。従って、良好な性能、長持続性、好適な質感および適用容易性を有するパーソナルケア品に対する要求が存在する。油系の化粧品中およびパーソナルケア組成物中に、増粘および膜形成等の有利な物理特性を与えるのに適切な濃度で溶解可能なセルロースエステル化合物に対する要求もまた存在する。
当該分野における該課題は、従前に実現可能なものよりも高濃度で親油性溶媒中に溶解するセルロースエステル化合物を提供することにより解決される。幾つかの態様において、該濃度は、室温および標準圧力で、10質量%、20質量%、またはさらに50質量%よりも高い。これらのより高い濃度により、増粘、および膜形成等の望ましい物理特性を有する化粧品およびパーソナルケア組成物の作製が可能になる。幾つかのパーソナルケア製品における改善された膜形成は、耐染み性(smudge resistance)、耐転移性、耐久性、耐水性、湿気バリア性等の製品特性のような、他成分のための担体としての製品機能、ならびに添加剤、活性化剤および/または顔料のための担体としての製品機能を改善できる。
本発明は、本発明の1種以上のセルロースエステル化合物を1種以上の親油性溶媒とともに含む組成物、およびこのような組成物のパーソナルケアおよび化粧品の用途における使用をさらに提供する。
本発明は、本発明の組成物を含むパーソナルケア製品をさらに提供する。
定義
本明細書全体で用いる「セルロース」は、任意の天然または人工の起源に由来する任意のセルロースを意味するものとする。化学的には、セルロースは、例えば、1,4’−Ο−β−グリコシド結合により直列に共有結合した無水グルコースモノマーユニットの繰返し系を含むポリマーと表される。有用なセルロース起源の例としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、コットンリンター、バクテリアセルロース、および再生セルロースが包含される。他の化合物を含む起源物質(例えばヘミセルロース)もまた使用できる。
本明細書全体で用いる用語「セルロース化合物」は、セルロース、および天然に産するセルロース上に存在するヒドロキシル基のうち1つ以上の他の部分による置換を伴うセルロースを基にする任意の化合物を含むものとする。該置換は、任意の部分(例えば、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル(スルフィド)、ヒドロキシル、ホスフェート、カーボネート、アミン、イミン、アミド、ナイトレート、ニトリル、ウレタン(カルバメートエステル)、ウレア、チオウレア、シラン、スルフェート、スルホン酸、アゾール、フェノール、ピリジンもしくはピリミジン部位または連結、またはこれらの任意の組合せ)によることができる。
本明細書全体で用いる用語「セルロースエステル化合物」は、天然に産するセルロース上に生じる遊離ヒドロキシル部分の1つ以上について置換された1つ以上のエステル部分を持つ任意のセルロース化合物を意味するものとする。該置換は、ヒドロキシル部分中の酸素がエステル部分の(単結合)酸素で置き換えられるものである。この説明に合致する任意の化合物が本定義の範囲内となる。よって、セルロースエステル化合物は、非変性セルロースのエステル化、既に変性されているセルロース化合物(セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート等、自身がセルロースエステルであるセルロース化合物等)のエステル化、または変性セルロースおよび非変性セルロースの組合せのエステル化の反応生成物であってもよい。結果として、セルロースエステル化合物は、2種以上の置換または誘導体化、例えば同一モノマーの幾つかの上に生じる2種以上を有することができる。さらに、セルロースエステル化合物は、カルボン酸、酸クロリド、または両者、の混合物を用いたエステル化反応の反応生成物等、2つ以上の異なる種類のエステル部分によるエステル化の反応生成物であってもよい。本明細書全体で使用するように、分子についていう、特定の反応物質の「反応生成物」は、分子の構造を説明するための簡便な手段として与えられ、特定の方法によりまたは特定の反応物質を使用して形成される分子への限定として与えられるものではない。よって、反応生成物の言及によって説明されるが他の方法によりまたは他の反応物質から得られる分子構造を有する任意の分子が、本明細書全体で「反応生成物」の用語を使用する際の意味に含まれることになる。エステル化反応のタイミング、順番、および性質は、このような反応が同時に生じるか否かと同様、臨界的ではない。1種以上のエステル部分を有する任意のセルロース化合物が本定義の範囲内であるからである。セルロース化合物をエステル化するためのプロセスの幾つかの例は:脂肪酸を用いた酸触媒エステル交換;脂肪酸を用いた塩基触媒エステル交換;脂肪酸無水物を用いた酸触媒直接エステル化;脂肪酸クロリドを用いた酸触媒直接エステル化;および脂肪酸混合無水物を用いた酸触媒直接エステル化である。セルロースエステル化合物を作製するために用いるプロセスおよび手順は、Gedon,S.;Fengl,R.“Cellulose Esters,”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4th Ed.,vol.5,John Wiley & Sons,New York,1993,pp.496−529においてより詳細に記載されている。
セルロースエステル化合物の例としては、セルロースヘキサノエート、セルロースノナノエート、セルロースラウレート、セルロースパルミテート、セルロースステアレート、セルロースベヘネート、セルロース2−エチルブチレート、セルロース2−エチルヘキサノエート、セルロースイソブチレート、セルロースイソバレレート(セルロースイソペンタノエート)、セルロースイソノナノエート、セルロースイソデカノエート、セルロースイソステアレート、セルロースピバレート(セルロースネオペンタノエート)、セルロースネオヘプタノエート、セルロースネオデカノエート、セルロースネオウンデカノエート、セルロースネオドデカノエート、セルロースネオステアレート、セルロースオレエート(セルロースオクタデセノエート)、セルロースリノレエート(セルロースオクタデカジエノエート)、セルロースリノレネート(セルロースオクタデカトリエノエート);セルロースアセテートヘキサノエート、セルロースアセテートノナノエート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートパルミテート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベヘネート、セルロースアセテート2−エチルブチレート、セルロースアセテート2−エチルヘキサノエート、セルロースアセテートイソブチレート、セルロースアセテートイソバレレート(セルロースアセテートイソペンタノエート)、セルロースアセテートイソノナノエート、セルロースアセテートイソデカノエート、セルロースアセテートイソステアレート、セルロースアセテートピバレート(セルロースアセテートネオペンタノエート)セルロースアセテートネオヘプタノエート、セルロースアセテートネオデカノエート、セルロースアセテートネオウンデカノエート、セルロースアセテートネオドデカノエート、セルロースアセテートネオステアレート、セルロースアセテートオレエート(セルロースアセテートオクタデセノエート)、セルロースアセテートリノレエート(セルロースアセテートオクタデカジエノエート)、セルロースアセテートリノレネート(セルロースアセテートオクタデカトリエノエート)、セルロースプロピオネートヘキサノエート、セルロースプロピオネートノナノエート、セルロースプロピオネートラウレート、セルロースプロピオネートパルミテート、セルロースプロピオネートステアレート、セルロースプロピオネートベヘネート、セルロースプロピオネート2−エチルブチレート、セルロースプロピオネート2−エチルヘキサノエート、セルロースプロピオネートイソブチレート、セルロースプロピオネートイソバレレート(セルロースプロピオネートイソペンタノエート)、セルロースプロピオネートイソノナノエート、セルロースプロピオネートイソデカノエート、セルロースプロピオネートイソステアレート、セルロースプロピオネートピバレート(セルロースプロピオネートネオペンタノエート)、セルロースプロピオネートネオヘプタノエート、セルロースプロピオネートネオデカノエート、セルロースプロピオネートネオウンデカノエート、セルロースプロピオネートネオドデカノエート、セルロースプロピオネートネオステアレート、セルロースプロピオネートオレエート(セルロースプロピオネートオクタデセノエート)、セルロースプロピオネートリノレエート(セルロースプロピオネートオクタデカジエノエート)、セルロースプロピオネートリノレネート(セルロースプロピオネートオクタデカトリエノエート);セルロースブチレートヘキサノエート、セルロースブチレートノナノエート、セルロースブチレートラウレート、セルロースブチレートパルミテート、セルロースブチレートステアレート、セルロースブチレートベヘネート、セルロースブチレート2−エチルブチレート、セルロースブチレート2−エチルヘキサノエート、セルロースブチレートイソブチレート、セルロースブチレートイソバレレート(セルロースブチレートイソペンタノエート)、セルロースブチレートイソノナノエート、セルロースブチレートイソデカノエート、セルロースブチレートイソステアレート、セルロースブチレートピバレート(セルロースブチレートネオペンタノエート)、セルロースブチレートネオヘプタノエート、セルロースブチレートネオデカノエート、セルロースブチレートネオウンデカノエート、セルロースブチレートネオドデカノエート、セルロースブチレートネオステアレート、セルロースブチレートオレエート(セルロースブチレートオクタデセノエート)、セルロースブチレートリノレエート(セルロースブチレートオクタデカジエノエート)、セルロースブチレートリノレネート(セルロースブチレートオクタデカトリエノエート);セルロースアセテートプロピオネートヘキサノエート、セルロースアセテートプロピオネートノナノエート、セルロースアセテートプロピオネートラウレート、セルロースアセテートプロピオネートパルミテート、セルロースアセテートプロピオネートステアレート、セルロースアセテートプロピオネートベヘネート、セルロースアセテートプロピオネート2−エチルブチレート、セルロースアセテートプロピオネート2−エチルヘキサノエート、セルロースアセテートプロピオネートイソブチレート、セルロースアセテートプロピオネートイソバレレート(セルロースアセテートプロピオネートイソペンタノエート)、セルロースアセテートプロピオネートイソノナノエート、セルロースアセテートプロピオネートイソデカノエート、セルロースアセテートプロピオネートイソステアレート、セルロースアセテートプロピオネートピバレート(セルロースアセテートプロピオネートネオペンタノエート)、セルロースアセテートプロピオネートネオヘプタノエート、セルロースアセテートプロピオネートネオデカノエート、セルロースアセテートプロピオネートネオウンデカノエート、セルロースアセテートプロピオネートネオドデカノエート、セルロースアセテートプロピオネートネオステアレート、セルロースアセテートプロピオネートオレエート(セルロースアセテートプロピオネートオクタデセノエート)、セルロースアセテートプロピオネートリノレエート(セルロースアセテートプロピオネートオクタデカジエノエート)、セルロースアセテートプロピオネートリノレネート(セルロースアセテートプロピオネートオクタデカトリエノエート);セルロースアセテートブチレートヘキサノエート、セルロースアセテートブチレートノナノエート、セルロースアセテートブチレートラウレート、セルロースアセテートブチレートパルミテート、セルロースアセテートブチレートステアレート、セルロースアセテートブチレートベヘネート、セルロースアセテートブチレート2−エチルブチレート、セルロースアセテートブチレート2−エチルヘキサノエート、セルロースアセテートブチレートイソブチレート、セルロースアセテートブチレートイソバレレート(セルロースアセテートブチレートイソペンタノエート)、セルロースアセテートブチレートイソノナノエート、セルロースアセテートブチレートイソデカノエート、セルロースアセテートブチレートイソステアレート、セルロースアセテートブチレートピバレート (セルロースアセテートブチレートネオペンタノエート)、セルロースアセテートブチレートネオヘプタノエート、セルロースアセテートブチレートネオデカノエート、セルロースアセテートブチレートネオウンデカノエート、セルロースアセテートブチレートネオドデカノエート、セルロースアセテートブチレートネオステアレート、セルロースアセテートブチレートオレエート(セルロースアセテートブチレートオクタデセノエート)、セルロースアセテートブチレートリノレエート(セルロースアセテートブチレートオクタデカジエノエート)、セルロースアセテートブチレートリノレネート(セルロースアセテートブチレートオクタデカトリエノエート)等が挙げられる。エステル部分に加えて他の部分により誘導体化されたセルロースエステル化合物(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース等)もまた挙げられる。
本明細書全体で使用する用語「エステル基」または「エステル部分」は、セルロース化合物上の遊離ヒドロキシル基について置換された基を説明するために使用し、炭素に二重結合していない酸素がセルロース化合物の無水グルコース残基の炭素の1つに結合している構造−O(C=O)−Rを有する任意の基または部分を含むものとする。Rは任意の種類の有機基であることができ、任意サイズの、飽和もしくは不飽和、分岐鎖もしくは直鎖のアルキル基もしくは環状基、またはこれらの組合せが挙げられる。Rとしては、さらに、炭素および水素以外の原子を含む芳香族基および任意の他の種類の置換または他の構造を挙げることができる。このような原子の一般的な例としては、窒素、酸素、アルミニウム、珪素および硫黄が挙げられる。よって、Rは、例示としてのみであるが、1以上の、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル(スルフィド)、ヒドロキシル、ホスフェート、カーボネート、アミン、イミン、アミド、ナイトレート、ニトリル、ウレタン(カルバメートエステル)、ウレア、チオウレア、シラン、スルフェート、スルホン酸、アゾール、フェノール、ピリジンもしくはピリミジンの部分または結合、またはこれらの任意の組合せを含んでもよい。
本明細書全体で使用する用語「親油性溶媒」は、「難溶性」(sparingly soluble)範囲であるかまたはこれより低い水中の溶解性を有する溶媒を意味する(「水中で難溶性」である化合物について、1グラムの化合物を溶解させるのに必要な水の量は、30mLから始まり100mLに終わる範囲になることを当業者は理解するであろう)。「難溶性」よりも水中の溶解性が低い(すなわち「僅かに可溶(slightly soluble)」「極めて僅かに可溶」または「事実上不溶」)化合物は、化合物を溶解させるのにより大きい体積の水を必要とすることになる。
好適な親油性溶媒の例としては、炭化水素、アルキルエステル、脂肪および油、脂肪酸、脂肪族アルコール、およびシリコーンオイルが挙げられる。炭化水素の例としては、イソパラフィン、水素化ポリ(イソブテン)、イソドデカン、イソエイコサン、イソヘキサデカン、イソペンタン、マイクロクリスタリンワックス、ミネラルオイル、ミネラルスピリット、パラフィン、ペトロラタム、スクアレン、ポリエチレン、天然ワックス,例えばカルナバワックスおよびカンデリラワックス、CTFA International Cosmetic Ingredient Handbook,Tenth Edition 2004の第2136および2137頁で説明される炭化水素、ならびにこれらのいずれかの2つ以上の混合物が挙げられる。好適なアルキルエステルの例は、本発明のセルロースエステルが、好ましくはアルキル部分が少なくとも8個の炭素原子を有する場合で、可溶なものである。これらとしては、アルキルアセテート、アルキルベヘネート、アルキルラクテート、アルキルベンゾエート、アルキルサリチレート、典型的なアルキル脂肪酸エステル,例えばアルキルステアレート、アルキルパルミテート、アルキルミリステートおよびアルキルラウレート、ならびにこれらの混合物が挙げられる。脂肪酸のグリセリルエステル(トリグリセリド)としてさらに定義される脂肪および油の例としてはまた、グリセリンと脂肪酸との人工的に調製されたエステルが挙げられる。例としては、大豆油、コーン油、なたね油、オリーブ油、ヒマワリ油、トリオレイン、トリステアリン、カプリルトリグリセリド/カプリントリグリセリド、およびこれらの混合物が挙げられる。脂肪酸の例としては、吉草酸、ヘプチル酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、およびパルミチン酸、ベヘン酸、カプリン酸、カプロン酸、ココナッツ酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、およびこれらの混合物が挙げられる。好適な脂肪族アルコールの例としては、分岐鎖および直鎖のC9−C30アルコールが挙げられる。これらとしては、例えば、ラウリルアルコール、イソラウリルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オクチルテトラデカノール、ドデシルヘキサデカノール、ヘキサデシルエイコサノール、およびこれらの混合物が挙げられる。好適なシリコーンオイルの例としては、セルロースエステルの油系溶液と相溶性であるものが挙げられ、揮発性および非揮発性のシリコーンオイル、線状および環状のものが挙げられる。例としては、ジメチコーン、ヘキサデシルメチコーン、ステアリルジメチコーン、シクロメチコーン、シクロペンタシロキサン、フェニルトリメチコーン、およびこれらの混合物が挙げられる。
本明細書全体で使用する「対照溶媒」または「対照親油性溶媒」は、イソドデカン,CAS No.31807−55−3を意味するものとする。
本明細書全体で使用する用語「置換度」「DS」および「DS/AGU」は各々、セルロース化合物の無水グルコース環当たりの、エステル部分によって置換された遊離ヒドロキシル基の平均数を意味する。理論上の最大DSは3である。これが無置換セルロース上の無水グルコース環当たりの遊離ヒドロキシル基の数であるからである。DSは、プロトンNMRにより、ジメチルスルホキシド−d6[(CD32SO;DMSO−d6]、テトラヒドロフラン−d8[C48O;THF−d8]、クロロホルム−d[CDCl3]またはテトラクロロエタン−d(TCE−d)(もしくは同等の溶媒)に数滴のトリフルオロ酢酸[TFA]を含有させた中で測定できる。例えば、プロトンNMRを用い、DSは、1HNMRにより、ジメチルスルホキシド−d6[(CD32SO;DMSO−d6]またはテトラヒドロフラン−d8[C48O;THF−d8]に数滴のトリフルオロ酢酸を含有させた中で任意の遊離ヒドロキシルプロトンを低磁場側にシフトさせることにより測定できる。「置換度」およびその同義語は、特定の単一部分(例えば、ネオヘプタノエートについてのDS)による置換の数、一群の部分(例えば、分岐飽和アルキル鎖を伴う全エステルについてのDS)による置換の数、またはセルロースエステル化合物上の置換の総数(すなわち「総DS」)を説明するために使用できる。
エステルの総DSを測定する際、NMR結果が残存反応物質のモル数をエステルのモル数の一部として含まない可能性を最小化するために、手順は必要に応じて代替される。例えば、エステル化をカルボン酸で行う場合、手順は、遊離酸のモル数を、遊離酸およびエステルの値の両者を含む酸全体のモル数の値から減算することが可能になるように是正する。この手順では、セルロースエステル化合物の試料を乾燥させて溶媒および水を本質的に含まないようにする。20ミリグラムのセルロースエステル化合物を、約1ミリリットルのTCE−d中に溶解させ、必要であれば撹拌しながら80℃まで加熱してセルロースエステルを溶解させる。次いで溶液を室温まで冷却させて、少なくとも0.1mlのトリクロロアセチルイソシアネートを溶液に添加し、次いで少なくとも5分間撹拌する。次いで、ノーマルのプロトンNMRパラメータを用い、しかし64スキャンで、調製の数時間以内に試料をプロトンNMRスペクトルに(80℃で)供する。得られるNMRデータは、存在する遊離酸についてのピークおよび酸全体(組合さった酸およびエステル)についてのピークを与える。両ピークを積分して遊離酸についてのピークを酸全体のピークから差し引き、エステル化された酸全体についての値を得る。この値を用いてDSを算出する。この方法では、セルロースの反応したヒドロキシルのモル数(ヒドロキシルピークを用いる)を比較することにより内部チェックが可能である。誘導体化剤は、セルロースのエステル化されていないヒドロキシルおよびエステル化されていない酸の両者と反応するためである。ヒドロキシルのモル数を算出し、骨格のモル数で除して、無水グルコース当たりの残存ヒドロキシル基の数の値を得る。値3.00 マイナス このヒドロキシル値は、エステル化された酸について、他の方法を用いて算出されるのと同じDS値を与えることになる。
本明細書全体で使用する用語「重合度」および「DP」および「DPV」は各々、以下の方法を用いて固有粘度(Intrinsic viscosity)(IV)に基づいて算出した場合の、所定ポリマー鎖中のモノマーの数を意味するものとする。Rheotek USA Inc.,LaGrange,KYから入手可能なRPV−1 Polymer Viscometer、または任意の同等の装置を用いてIVをまず測定する。該Rheotekの機器は、その算出を行うために試料湿度値を必要とする。セルロースエステル化合物での湿度試験は、乾燥前と乾燥後との質量を比較することによって行う。乾燥は、4.0から5.0グラムの化合物の試料を105℃のオーブン中に少なくとも4時間入れて乾燥させることによって行う。再計量前に、デシケータ中で試料を少なくとも1時間冷却させる。質量の変化に基づき、試料中の湿度パーセントを算出する。IVを算出するために、約0.25グラムの試料を50mLの水とともに容器内に入れ、必要に応じて1から5分間磁気的に撹拌して試料を水で分散および湿潤させる。次いで、窒素パージ下で50mLの銅エチレンジアミン水酸化物(Cuene)を容器内に分注して少なくとも1分間撹拌し、次いで試料を直ちにキャップして、試料が完全に溶解するまで撹拌する。Rheotek Viscometerによって試料を試験し、25.0℃の恒温ミネラルオイルバスを用いてフロータイムを測定する。2つの最も近い再現に基づく平均フロータイムを用い、Rheotekにより提供されるソフトウエアによりIVを算出する。Rheotekの機器は平均フロータイムについて各試料を試験し、そして関連ソフトウエアはパーソナルコンピュータ上でIVを算出する。以上と同等の精密な方法もまた使用できる。
IVが既知になれば、以下の式によってDPVまたは重合度値を算出する。
Figure 2009507926
式中、ηは、Rheotek機器によってグラム当たりのデシリットル単位で報告される、測定されたIVであるが、与えられた等式を満足させるためにグラム当たりのミリリットルに変換される。
特記がない限り、本明細書全体で使用する用語「包含する(include)」およびこの単語の他の形(例えば「including」)は、事項の列挙または範疇の説明を表すために用いる場合、該列挙または説明は例示を与えることを意図せずそして限定的または排他的な意図ではないことを意味するものとする。
本明細書全体で使用する「室温および標準圧力」は、摂氏25度の温度および1気圧の圧力を意味するものとする。
セルロースエステル化合物
本発明のセルロースエステル化合物は、これらの有利に高濃度で親油性溶媒中に溶解する能力という理由で有用である。この特性は、室温および標準圧力において特定の質量濃度でセルロースエステル化合物がイソドデカン対照溶媒中に溶解するか否かを述べることによりここに表される。よって幾つかの態様において、セルロースエステル化合物は、室温および標準圧力でイソドデカン中に少なくとも5質量%の濃度で溶解する。幾つかの態様において、セルロースエステル化合物は、室温および標準圧力でイソドデカン中に少なくとも10質量%の濃度で溶解する。幾つかの態様において、セルロースエステル化合物は、室温および標準圧力でイソドデカン中に少なくとも15質量%の濃度で溶解する。幾つかの態様において、セルロースエステル化合物は、室温および標準圧力でイソドデカン中に少なくとも20質量%の濃度で溶解する等である。よって、セルロースエステル化合物が、室温および標準圧力で、より高い質量濃度、例えば少なくとも25質量%、少なくとも30質量%、少なくとも35質量%、少なくとも40質量%、少なくとも45質量%、または少なくとも50質量%でイソドデカン中に溶解する態様を説明できる。本明細書全体で「質量濃度」は、セルロースエステル化合物の質量を全試料(化合物、溶媒、および任意の他の成分)の総質量で除して100%を乗じたものと定義する。
優れた溶解特性を有するセルロースエステル化合物が、少なくとも6個の炭素原子(エステル基の一部である炭素を含む)を有する1つ以上のエステル部分によるヒドロキシル基の置換についての総DSが2.5以上であるセルロースを用いて得られることを見出した。幾つかの態様において、エステル基は少なくとも7個の炭素原子、または少なくとも8個の炭素原子を有する。セルロース化合物上のカルボン酸エステルは、全て同じ構造または2以上の異なる構造を有することができる。
しかし、本発明は特定のDS範囲に限定されるものではない。幾つかの態様においては、セルロースエステル化合物の総DSが0.5から3.0の範囲である。所望の溶解性を実現する最適DSまたは最小DSは、種々のDS値でセルロースエステル化合物を単純に製造して各DS値の対照溶媒中での溶解性を試験するルーチン試験で容易に測定できる。よって、セルロースエステル化合物は、特定の最小値、例えば以下:0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,または2.9の少なくともいずれかを超えるDS値を有するものとして説明できる。これに代えて、セルロースエステル化合物は、特定範囲内、例えば以下:0.5−0.6,0.6−0.7,0.7−0.8,0.8−0.9,0.9−1.0,1.0−1.1,1.1−1.2,1.2−1.3,1.3−1.4,1.41−1.5,1.5−1.6,1.6−1.7,1.7−1.8,1.8−1.9,1.9−2.0,2.0−2.1,2.1−2.2,2.2−2.3,2.3−2.4,2.4−2.5,2.5−2.6,2.6−2.7,2.7−2.8,2.8−2.9または2.9−3.0の少なくともいずれかのDS値を有するものとして説明できる。上記の範囲のいずれかを組合せるより広い範囲、例えば、0.5−1.0,1.0−1.5,1.0−2.0,1.5−2.0,2.0−3.0,2.0−2.5もしくは2.5−3.0、または1.5−1.8,1.6−1.8,1.7−2.0,1.8−2.2,2.0−2.2,2.2−2.6,2.3−2.5,2.4−2.6,2.5−2.7,2.4−2.8等の範囲もまた使用できる。上記DS値の各々は、所定の部分もしくは部分群についてのDS、またはセルロースエステル化合物についての総DSであることができる。
上記のセルロースエステル化合物は、このような化合物上のエステル部分が分岐および飽和、非分岐および飽和、または分岐および不飽和である場合、親油性溶媒中で特に有利な溶解性を有することをさらに見出した。分岐エステル部分の例としては:任意の鎖(主鎖または側鎖)上にtert−ブチル末端を有するエステル(4級炭素末端ともいうことができる);飽和イソアルキル基を有するエステルで、さらなる分岐を有するか有さないもの;およびアルファ炭素(カルボン酸基中の炭素に直接結合している炭素)で分岐しているアルキル構造を有するエステルが挙げられる。tert−ブチル基を有するエステル部分の幾つかの例としては、ネオヘプタノエート、ネオデカノエート、ネオウンデカノエート、ネオドデカノエートおよびネオステアレートが挙げられる。ネオ酸の混合物とのエステル化の残基である混合エステル部分を有するセルロースエステル化合物もまた本発明の範囲内である。ネオ酸を含むこのような混合物の例としては、Neo 910 Acid ExxonMobil Chemical,Neo 913(ExxonMobil Chemical)、およびC9−C28ネオ系誘導体の市販で入手可能なブレンドが挙げられる。飽和イソアルキル基を有するエステルの幾つかの例としては、イソオクタノエート、イソデカノエート、3,5,5−トリメチルヘキサノエート、およびイソステアレートが挙げられる。アルファ炭素で分岐したアルキル構造を有するエステルの幾つかの例としては、2−メチルペンタノエート(2−メチルバレレート)、2−メチルヘキサノエート、2−メチルオクタノエート、2−メチルデカノエート、2−メチルステアレート、2−エチルブチレート、2−エチルペンタノエート(2−エチルバレレート)、2−エチルヘキサノエート、2−エチルオクタノエート、2−エチルデカノエート、2−エチルステアレート、2,2−ジメチルブチレート、2−エチル−2−メチルブチレート、2,2−ジエチルブチレート、2,2−ジメチルバレレート(2,2−ジメチルペンタノエート)、2−エチル−2−メチルバレレート(2−エチル−2−メチルペンタノエート)、2,2−ジエチルバレレート(2,2−ジエチルペンタノエート)、2,2−ジメチルヘキサノエート、2,2−ジエチルヘキサノエート、2,2−ジメチルオクタノエート、2−エチル−2,5−ジメチルヘキサノエート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパノエートが挙げられる。分岐酸の混合物とのエステル化の反応生成物である混合エステル部分を有するセルロースエステル化合物もまた本発明の範囲内である。不飽和アルキル基を有するエステル部分の幾つかの例としては、ミリストオレエート(9−テトラデセノエート)、パルミトオレエート(9−ヘキサデセノエート)、オレエート(シス−9−オクタデセノエート)、エライデート(トランス−9−オクタデセノエート)、エルケート(シス−13−ドコセノエート)、リノレエート(9,12−オクタデセノエート)、リノレネート(9,12,15−オクタデカトリエノエート)等が挙げられる。不飽和酸の混合物とのエステル化の残基である混合エステル部分を有するセルロースエステル化合物もまた本発明の範囲内である。
セルロースエステル化合物はまた、種々の種類のエステル部分を有するセルロースエステル化合物をもたらす化合物の混合物を含むエステル化反応の生成物であってもよい。これは、脂肪酸とのエステル化により与えられる幾つかの態様において用いられる。多くの市販の脂肪酸製品は天然起源に由来し、よって種々の酸の混合物および潜在的に他の化合物を含むからである。例えば、ノナン酸(ペラルゴン酸ともいう)は無色から黄色がかった油で、例えばノニルアルコール、ノニルアルデヒド、またはオレイン酸の酸化に由来することができる。よって、ノナノエートエステル部分を持つセルロースエステル化合物は、例えば、96%のノナン酸生成物および4%の2−メチルオクタンのものを含む市販製品(例えばAldrich;Catalog # N29902)を用いたエステル化により生成でき、2つの部分を有するセルロースエステル生成物をもたらすものと思われる。同様に、様々な誘導体の合成において用いられるイソステアリン酸製品として販売される多くの製品が、実際に市販の起源であって異性体のC18脂肪酸(例えば、A&E Connock,Perfumery and Cosmetics,LTD)の混合物を含むものである。
本発明はセルロースエステル化合物の構造に関し、エステルの調製に使用するプロセスも反応物質も本発明に対して臨界的でないことが理解できよう。よって、例えば、カルボン酸エステル化反応の残基または反応生成物としてのエステル部分の説明は、構造を説明するための便宜的な方法としてのみ用いられ、カルボン酸を含む反応によって実際に調製される化合物に本発明を限定するものではない。(例えば)カルボン酸との反応、酸クロリドとの反応、無水物との反応、または任意の他の手段によって生成されるか否かに関わらず、構造的な説明に合致する任意の化合物が本発明の範囲内である。
幾つかの態様において、セルロースエステル化合物のDPvは、親油性溶媒中での溶解性に有利である範囲である。幾つかの態様において、DPvは4000未満である。幾つかの態様において、DPvは3500未満である。DPvが3000未満、2500未満、2000未満、1500未満、1000未満、または500未満である態様もまた存在する。DSについては、このような態様における理想的な範囲はルーチン実験により容易に測定できる。無論DPは分子量を決定する。よって、幾つかの態様において、本発明のセルロースエステル化合物は、典型的には、ゲル浸透クロマトグラフィによって、THF中、ポリスチレン標準に対して測定した場合の重量平均分子量(Mw)、ポリスチレン標準に対して20,000から8,000,000ダルトンを有する。
幾つかの態様において、本発明のセルロース化合物は、分岐または不飽和の基に加え、その上に他のエステル基を有する混合エステル化合物である。他のエステル基の例としては、アセテート、プロピオネート、ブチレート、およびペンタノエートが挙げられる。混合エステルを含む幾つかの態様においては、分岐および/または不飽和のエステル部分についてのDSが2.5未満、例えば少なくとも0.8、少なくとも1.0、少なくとも1.5、または少なくとも2.0であっても、高い溶解性を達成できる。
アセテート部分および他のより長鎖のエステル部分の両者を含むセルロースエステル化合物の幾つかの態様において、他の部分についてのDSを所定閾値未満に維持することにより溶解性が顕著に改善されることも見出した。幾つかの態様においては、セルロースエステル化合物のアセチル置換度が1.0未満である。幾つかの態様においては、アセチル置換度が0.5未満である。アセチルについてのDSが0.8未満、0.6未満、0.4未満、0.3未満、または0.2未満である態様もまた存在する。
上記の値は、幾つかの態様において有用な例であり、本発明は、上記で列挙した値(例えば、DPV、DS、アセチル等の他のエステルのDS)のいずれかならびにこれらの任意の組合せを有するセルロースエステル化合物を、これらが対照溶媒中での標準圧力および室温での所望程度の溶解性を実現する限りにおいて包含することが理解できよう。所定のセルロースエステル化合物について、理想的なパラメータは、ルーチン実験によって、例えばDPVおよびDSの両者を変化させることによって、および最適値に到達するように各々についての溶解性を決定することによって、容易に決定される。
セルロース化合物を含む組成物
本発明の組成物は、本発明の1種以上のセルロースエステル化合物、および1種以上の親油性溶媒を、1種または複数種のセルロースエステル化合物の少なくとも幾らかかが該溶媒中に溶解した状態で含む。幾つかの態様において、セルロースエステル化合物は、室温および標準圧力で所定濃度以上で溶解している。例としては、以下の(質量)パーセント:5%,10%,15%,20%,25%,30%,35%,40%,45%,または50%の少なくともいずれかの濃度で溶解したセルロースエステル化合物が挙げられる。溶液は任意の有効な手段により調製できる。幾つかの態様において、適切な温度への成分の加熱は適切な温度で撹拌(stirring)しながらまたは他のかき混ぜ(agitation)を行いながら行うことができる。含まれる化合物および用途によってはより高温が必要または有用である場合があるが、多くの場合これは90℃まで加熱することにより達成できる。
組成物は、油系(oil-based)化粧製品または化粧品もしくはパーソナルケア製品において用いられるエマルション中の油相の一部として有用である。このようなものとして、組成物は、任意の他の好適な含有成分を含んでもよい。パーソナルケア製品において好適な含有成分の例としては、例えば、クレンジング剤、エモリエント剤、保湿剤、パール顔料等の顔料、着色剤、芳香剤、殺生物剤、防腐剤、酸化防止剤、制汗剤、オーラルケア剤、ピーリング剤(exfoliant)、ホルモン、酵素、医薬化合物、ビタミン、紫外光吸収剤、ジヒドロキシアセトン、皮膚漂白剤、にきび防止剤、植物抽出物、シリコーンオイル、有機オイル、ワックス、接着促進剤、可塑剤、膜形成剤、例えば毛髪固定剤、増粘剤、フィラーおよびバインダー、アルコールおよび他の有機溶媒、ならびに推進剤が挙げられる。エマルションを含む組成物は、水中油エマルション、油中水エマルション、および多相エマルション、例えば油中水中油エマルションおよび水中油中水エマルション等を含むことができる。このようなエマルションは、乳化剤または界面活性剤、例えば、ある相が連続相、一方他がミセル形状で連続相中に懸濁できる不連続相となるように、1つまたは複数の油相および1つまたは複数の水相の混合を可能にするものを含んでもよい。このようなエマルションにおいては、油相は、任意選択的に他の含有成分とともに、セルロースエステル化合物を含んでもよく、一方水相または水性相は、任意選択的に他の含有成分を含んでもよい。例えば幾つかのスキンケア製品においては、水性相化合物は、グリコール、糖類等の湿度保持剤を含んでもよい。好適なグリコールの例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびグリセリンが挙げられる。糖類の例としては、グルコース、フルクトース、イノシトールおよびスクロースが挙げられる。他の水溶性含有成分としては、水溶性または膨潤性のゴム、および水溶性ポリマー、例えばアクリル酸およびそのエステルのポリマー等のゲル化剤が挙げられる。
パーソナルケアおよび化粧品において有用な組成物を以上で議論するが、本発明はこのような組成物および用途には限定されない。本発明の範囲内の他の組成物および用途の例としては、:ポリマー添加剤(核形成、清浄化、耐衝撃性改質、等)として有用な組成物;接着剤;塗料および他のコーティング;インク;潤滑剤;エレクトロニクス;ディスプレイ;偏光フィルム;補償フィルム;不動化組成物(例えば、バイオリアクター中の有機体および酵素を不動化するための組成物);レオロジー調整剤または増粘剤;内部が可塑化された形状の物品;食物、食用油、または食物ベースの食品、物質の経皮デリバリー;種々の用途の膜が挙げられる。
組成物の用途
本発明の組成物の任意の用途が本発明の範囲内である。1つの例はパーソナルケア製品である。このような製品の例としては、防臭剤、制汗剤、複合制汗防臭剤、シェービング製品、スキンローション、保湿剤、トナー、バス製品、クレンジング製品、ヘアケア製品、シャンプー、コンディショナー、ムース、スタイリングジェル、ヘアスプレー、ヘアダイ、ヘアカラーリング製品、ヘアブリーチ、ヘアウエービング製品、ヘアストレート剤、マニキュア製品、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュ除去剤、ネイルクリーム、ネイルローション、キューティクルソフトナー、保護クリーム、サンスクリーン製品、防虫剤、アンチエイジング製品、カラー化粧品、リップスティック、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、メイクアップ品、マスカラ、セルロース成分が従来添加されてきたパーソナルケア配合品、および皮膚に適用されることになる医薬組成物の局所適用のためのドラッグデリバリーシステム、が挙げられる。以上で述べたようにこのような用途は限定的ではなく任意の用途が本発明の範囲内である。
以下に示す具体的な例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの例は、例示的な態様であって本発明を限定することを意図せず、むしろ特許請求の範囲の範囲および内容の範囲内に広く解釈すべきであることを理解すべきである。例中の全ての部およびパーセントは特記がない限り質量基準である。

例1(比較例)
C.J.MalmらによるIndustrial and Engineering Chemistry,vol 43,第684−688頁,1951に記載されるのと同様のピリジン−酸クロリド法により、セルロースアセテートからセルロースアセテートノナノエートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサ/蒸留カラムを備える1リットルの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:500mLのN−メチルピロリジノン−(C59NO),(NMP);17mLのピリジン−(C55N);アセチル量が31.0から33.0質量%の間、ピリジン中の固有粘度が約0.88dL/g、かつ、N−メチルピロリジノン中、サイズ排除クロマトグラフィで測定される重量平均分子量(Mw)が約47,500ダルトンである、30グラムのオーブン乾燥したセルロースアセテートセルロースアセテート。セルロースアセテートは、Gedon,S.;Fengl,R.“Cellulose Esters,”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4th Ed.,vol.5,John Wiley&Sons,New York,1993,pp.496−529に記載されるのと同様の方法で調製した。セルロースアセテートが溶解するまでこの混合物を室温で撹拌した。この混合物に、27mLの96%ノナノイルクロリド(C917ClO)(Aldrich;Catalog No.156833)を持続撹拌しながら約30分かけて滴下にて添加した。次いで、混合物全体を90〜91℃に加温し、この温度で24時間撹拌した。次いで35mLの脱イオン水を反応混合物に添加して任意の残存ノナノイルクロリドの分解を確保した。反応混合物をメタノール中に入れて撹拌することにより、得られたセルロースエステル生成物を沈殿させた。メタノールを数回交換して生成物が溶媒を含まないように洗浄した後、生成物をフィルターバッグに移し、脱イオン水で1晩洗浄した。減圧オーブン中窒素パージ下で、50℃で24時間およびさらに80℃で24時間生成物を乾燥させた。得られた乾燥生成物をNMRで分析し、DSアセチルの1.7、およびDSノナノイルの1.5を有することが分かった。重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン中で用いるゲル浸透クロマトグラフィを用い、ポリスチレン標準に対して1.09×105ダルトンと測定された。
溶解性測定:種々の溶媒中での溶解性を測定するために、ポリマーの1%充填または8%充填の別個のバイアルを準備した(「充填」は、溶解した場合には1%または8%の溶液となる量を各々所定のバイアル内に入れたことを意味する)。次いでバイアルを目視で検査し、ポリマーが溶解(いずれの視認可能な固体も溶媒中に存在しないことによって示される)したかを評価した。固体が観察された場合は、溶媒を加熱および撹拌して溶解の可能性を最大限にした。加熱しても視認可能な固体が観察された場合は、該ポリマーが与えられた濃度では可溶性でないと考えた。生成物はアセトン可溶性であり、かつイソヘキサデカン(Creasil IH(商標))中、またはイソドデカン(Creasil ID(商標))中では1%または8%で可溶性でなかった(Creasil IH(商標)およびCreasil ID(商標)は、Optima Specialty Chemical LLCの商標名である)。溶解性は、溶媒を収容した別個のバイアル内に各ポリマーの該量を入れることにより試験した。
例2(比較例)
ピリジン−酸クロリド法によりセルロースアセテートからセルロースアセテートノナノエートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサ/蒸留カラムを備える1リットルの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:292mLのN−メチルピロリドン;28mLのピリジン;アセチル量が17.0から19.0質量%の間、N−メチルピロリジノン中、サイズ排除クロマトグラフィで測定される重量平均分子量(Mw)が約20,000ダルトン、上記の例1(比較例)で記載するのと同様の方法で準備したものである、30グラムのオーブン乾燥したセルロースアセテート。セルロースアセテートが溶解するまでこの混合物を室温で撹拌した。セルロースエステルが溶解した後、18mLの溶媒を留去していずれの残存水も反応から確実に除去した。この混合物に、73mLの96%ノナノイルクロリド;(C917ClO)(Aldrich;Catalog No.156833)を持続撹拌しながら約30分かけて滴下にて添加した。ノナノイルクロリドの添加後、混合物を95℃に加温し、この温度で24時間撹拌した。次いで脱イオン水(35mL)を反応混合物に添加して任意の残存ノナノイルクロリドの分解を確保した。反応混合物を50/50の脱イオン水/メタノール混合物中に入れて撹拌することにより、得られた生成物セルロースエステルを沈殿させた。メタノールを数回交換して生成物が溶媒を含まないように洗浄した後、生成物をフィルターバッグに移し、脱イオン水で1晩洗浄した。上記の手順で生成物をアセトン中に溶解させ、沈殿させ、そして洗浄して、小さい粒子沈殿物を生成した。減圧オーブン中窒素パージ下で、50℃で24時間およびさらに80℃で24時間生成物を乾燥させた。得られた乾燥生成物をNMRで分析し、DSアセチルの0.7、およびDSノナノイルの2.4を有することが分かった。総測定DSは3.0より大きく、生成物が遊離酸の不純物を含むと思われるためと考えられる。重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン中でゲル浸透クロマトグラフィにより測定し、ポリスチレン標準に対して6.5×104ダルトンと分かった。特定の溶媒について例1(比較例)による溶解性測定手順を用いた。生成物は8%でアセトン可溶性であり、8%でトルエン可溶性であったが、イソヘキサデカン中、またはイソドデカン中では1%または8%で不溶性で、膨潤したが溶解しなかった固体を形成した。
例3(比較例)
ピリジン−酸クロリド法によりセルロースアセテートブチレートからセルロースアセテートブチレートノナノエートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサ/蒸留カラムを備える1リットルの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:438mLのN−メチルピロリジノン;46mLのピリジン;アセチル量の約4.01質量%、ブチリル量の約28.37質量%およびヒドロキシル量の約1.30質量%、N−メチルピロリジノン中、サイズ排除クロマトグラフィで測定される重量平均分子量の約40,600ダルトンを有する、30グラムのオーブン乾燥したセルロースアセテートブチレート(CAB)。CABは、Gedon,S.;Fengl,R.“Cellulose Esters,”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4th Ed.,vol.5,John Wiley&Sons,New York,1993,pp.496−529に記載されるのと同様の方法で調製した。CABが溶解するまで混合物を室温で撹拌した。CABが溶解した後、30mLの溶媒を反応混合物から留去した。この混合物に、81mLの96%ノナノイルクロリド(C917ClO)(Aldrich;Catalog No.156833)を持続撹拌しながら約45分かけて滴下にて添加した。ノナノイルクロリドの添加後、混合物全体を95℃に加温し、この温度で24時間撹拌した。次いで35mLの脱イオン水を反応混合物に添加して任意の残存ノナノイルクロリドの分解を確保した。反応生成物は反応フラスコ内でゲル化した塊で、50/50の脱イオン水/メタノール混合物中に投入することにより沈殿し、そこで、沈殿液体中に置かれたままの場合には塊に再形成される傾向がある柔らかい沈殿物を形成した。溶解、沈殿および洗浄のサイクルを3回繰り返した後、生成物は粒子沈殿物を生成した。メタノールを数回交換して生成物が溶媒を含まないように洗浄した後、生成物をフィルターバッグに移し、脱イオン水で1晩洗浄した。減圧オーブン中窒素パージ下で、50℃で24時間生成物を乾燥させた。得られた乾燥生成物は、ノナノイルの範囲内でのブチリルのシグナルからの干渉が原因でNMRで分析するのが困難であった。重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン中でゲル浸透クロマトグラフィにより測定し、ポリスチレン標準に対して1.4×105ダルトンと分かった。特定の溶媒について例1(比較例)による溶解性測定手順を用いた。生成物は8%でもアセトン可溶性であり、8%でもトルエン可溶性であり、そして、イソヘキサデカン中、またはイソドデカン中では1%または8%で可溶性でなかった。
例4(比較例)
ピリジン−酸クロリド法によりセルロースアセテートからセルロースアセテートラウレートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサ/蒸留カラムを備える1リットルの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:324mLのピリジン、および、アセチル量が31.0から33.0質量%、ピリジン中での固有粘度が約0.88dL/g、かつ重量平均分子量(Mw)が約47,500ダルトンである、30グラムのオーブン乾燥したセルロースアセテート。セルロースアセテートが溶解するまでこの混合物を室温で撹拌した。セルロースアセテートが溶解した後、20mLの溶媒を反応混合物から留去した。この混合物に、43mLの98%;ラウロイルクロリド(C1223ClO)(Aldrich;Catalog No.156930)を持続撹拌しながら約30分かけて滴下にて添加した。ラウロイルクロリドの添加後、混合物全体を90〜91℃に加温し、この温度で24時間撹拌した。次いで25mLの脱イオン水を反応混合物に添加して任意の残存ラウロイルクロリドの分解を確保した。反応混合物を脱イオン水中に撹拌しながら投入することによって、得られたセルロースエステル生成物を沈殿させ、メタノールを数回交換して生成物が溶媒を含まないように洗浄した後、生成物をフィルターバッグに移して脱イオン水で1晩洗浄した。減圧オーブン中窒素パージ下で、80℃で24時間生成物を乾燥させた。得られた生成物をNMRにより分析し、DSアセチルの1.92、およびDSラウレートの1.42を有することが分かった。総測定DSは3.0より大きく、生成物が遊離酸の不純物を含むと思われるためと考えられる。重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン中でゲル浸透クロマトグラフィにより測定し、ポリスチレン標準に対して9.2×104ダルトンであることが分かった。特定の溶媒について例1(比較例)による溶解性測定手順を用いた。生成物はアセトン中、ジクロロメタン中、およびn−プロピルアセテート中に1%および8%で可溶性であり、トルエン中に一部可溶であり、そしてイソヘキサデカン中またはイソドデカン中、酢酸中またはイソプロパノール中には1%または8%で可溶性でなかった。
例5(比較例)
ピリジン−酸クロリド法によりセルロースアセテートからセルロースアセテートパルミテートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサ/蒸留カラムを備える1リットルの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:307mLのピリジン;21mLのN−メチルピロリドン;アセチル量が31.0から33.0質量%の間、ピリジン中での固有粘度が約0.88dL/g、かつ、N−メチルピロリジノン中、サイズ排除クロマトグラフィで測定される重量平均分子量(Mw)が約47,500ダルトンである、30グラムのオーブン乾燥したセルロースアセテート。セルロースアセテートが溶解するまでこの混合物を室温で撹拌した。セルロースアセテートが溶解した後、31mLの溶媒を反応混合物から留去した。この混合物に、56mLの98%パルミトイルクロリド(C1631ClO)(Aldrich;Catalog No.P78)を持続撹拌しながら約30分かけて滴下にて添加した。パルミトイルクロリドの添加後、混合物全体を95℃に加温し、この温度で24時間撹拌した。次いで脱イオン水(25mL)を反応混合物に添加して任意の残存パルミトイルクロリドの分解を確保した。反応混合物を脱イオン水中に入れて撹拌することにより、得られた生成物セルロースエステルを沈殿させ、アセトン溶液から再沈殿させた。数回のメタノール洗浄で生成物が溶媒を含まないように洗浄した後、生成物をフィルターバッグに移し、脱イオン水で1晩洗浄した。生成物をメタノールで12時間ソックスレー(Soxhlet)抽出し、減圧オーブン中窒素パージ下で、80℃で24時間乾燥させた。重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン中でゲル浸透クロマトグラフィにより測定し、ポリスチレン標準に対して1.10×105ダルトンであることが分かった。特定の溶媒について例1(比較例)による溶解性測定手順を用いた。この例による生成物は溶解性でなく、イソヘキサデカン中またはイソドデカン中、酢酸中またはイソプロパノール中で、1%および8%で若干膨潤したのみであった。
例6(比較例)
Morooka,T.,Norimot,M.,Yamada,T.,Jour.Applied Polymer Science,1984,29,3981に記載されるトリフルオロ酢酸無水物、ステアリン酸法を採用して、α−セルロース量が94質量%超である針葉樹パルプからセルロースステアレートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサ/蒸留カラムを備える1リットルの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:78.4mL(117g)のトリフルオロ酢酸無水物(Aldrich;Catalog No.106232)およびステアリン酸を含む194グラムの組成物(J.T.Baker,VWR Internationalを通じて入手可能,Catalog No.JT0340−07;Triple Pressed;N.F.;少なくとも8〜10%のより低い炭素量の2種の脂肪酸およびより高い炭素量の1種を含むと考えられるもの)。ステアリン酸が溶解して混合無水物溶液が形成されるまで混合物を50℃で撹拌した。この溶液に、撹拌しながら10グラムの木材パルプセルロースを添加し、持続撹拌しながら反応混合物を50℃で1晩保持した。約200mLのトルエンを添加して混合物を希釈した。この希釈混合物の半分をメタノール中に沈殿させた。
該混合物の他の半分に硫酸(0.1グラム)を添加した。この混合物を50℃で約3時間撹拌した。硫酸を酢酸マグネシウム四水和物で中和した。次いでこの反応混合物をメタノール中に沈殿させた。
この実験の両部分を、まず脱イオン水中、次いでメタノール中で洗浄した。両半分からの生成物エステルの重量平均分子量は、テトラヒドロフラン中でゲル浸透クロマトグラフィによりポリスチレン標準に対して測定した場合に約3.5×106ダルトンであった。特定の溶媒について例1(比較例)による溶解性測定手順を用いた。両半分からの生成物エステルは、イソドデカン中、1および8%の両方で濁ったゲルを形成し、そしてイソヘキサデカン中、1および8%の両方で濁った分散体を形成した。
例7(実施例)
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサ/蒸留カラムを備える1リットルの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:34.3mL(51g)のトリフルオロ酢酸無水物(Aldrich;Catalog No.106232)およびステアリン酸を含む93グラムの組成物(J.T.Baker,VWR Internationalを通じて入手可能,Catalog No.JT0340−07;Triple Pressed;N.F.;少なくとも8〜10%のより低い炭素量の2種の脂肪酸およびより高い炭素量の1種を含むと考えられるもの)を、ステアリン酸が溶解して混合無水物溶液が形成されるまで50℃で撹拌した。この溶液に、アセチル量が17.0から19.0質量%の間であり、N−メチルピロリジノン中でサイズ排除クロマトグラフィにより測定される重量平均分子量(Mw)が約20,000ダルトンである、10グラムのオーブン乾燥されたセルロースアセテートを添加した。撹拌を継続し、反応混合物を50℃で保持して5時間反応させた。得られた生成物を、メタノール(5X 体積/体積)中への沈殿によって単離した。沈殿したセルロースアセテートステアレート生成物をメタノールで洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、次いで再びメタノールで洗浄した。減圧オーブン中、窒素パージ状態で35℃で生成物を乾燥させた。生成物はDSステアレートの2.3、およびDSアセテートの0.8を有し、かつ、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中の両者で、1および8%の両者で可溶性であった。総測定DSは3.0より大きく、生成物が遊離酸の不純物を含むと思われるためと考えられる。生成物の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィによりテトラヒドロフラン中で測定し、ポリスチレン標準に対して6.5×104ダルトンであることが分かった。
例8(実施例)
トリフルオロ酢酸無水物、ノナン酸法を用いて木材パルプからセルロースノナノエートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサを備える500mLの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:44グラムの96%ノナン酸(Aldrich;Catalog No.N29902;残りの4%は2−メチルオクタン酸と考えられる)および49グラムのトリフルオロ酢酸無水物(Aldrich;Catalog No.106232)。混合物を50℃で1時間加熱して混合無水物を形成した。この溶液に、撹拌しながらα−セルロース量が95質量%超である5グラムの針葉樹パルプを添加した。反応混合物を50℃で1晩、持続撹拌しながら保持した。次いで、この反応混合物をメタノール中に沈殿させ、まず脱イオン水中、次いでメタノール中で洗浄した。次いで、生成物を50℃で減圧下で乾燥させた。得られたセルロースノナノエートエステルは、DSノナノエートの3.0を有し、かつイソドデカン中に1%で可溶性、8%で不溶性であり;そしてイソヘキサデカン中に1および8%の両者で不溶性であった。生成物の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィによりテトラヒドロフラン中で測定し、ポリスチレン標準に対して6.3×105ダルトンであることが分かった。
例9(比較例)
トリフルオロ酢酸無水物 ノナン酸法を用いてセルロースアセテートからセルロースアセテートノナノエートを調製した。
以下の反応物質を以下の順で、機械攪拌器および冷水コンデンサを備える500mLの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:44グラムの96%ノナン酸(Aldrich;Catalog No.N29902;残りの4%は2−メチルオクタン酸と考えられる)および49グラムのトリフルオロ酢酸無水物(Aldrich;Catalog No.106232)。混合物を50℃で1時間加熱して混合無水物を形成した。この溶液に、アセチル量が17.0から19.0質量%の間で、サイズ排除クロマトグラフィによりN−メチルピロリジノン中で測定される重量平均分子量(Mw)が約20,000ダルトンである5グラムのセルロースアセテートを撹拌しながら添加し、反応混合物を50℃で1晩、持続撹拌しながら保持した。次いで、この反応混合物をメタノール中に沈殿させ、まず脱イオン水中、次いでメタノール中で洗浄した。沈殿および洗浄した生成物を50℃で減圧下で乾燥させた。得られたセルロースアセテートノナノエートエステルは、DSノナノエートの2.48、およびDSアセテートの0.6を有し、イソドデカン中およびイソヘキサデカン中で、1および8%の両者で不溶性であった。総測定DSは3.0より大きく、生成物が遊離酸の不純物を含むと思われるためと考えられる。生成物の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィによりテトラヒドロフラン中で測定し、ポリスチレン標準に対して3.9×104ダルトンであることが分かった。
例10−23(実施例)
混合エステルを含む本発明の組成物を、トリフルオロ酢酸無水物カルボン酸法を用いてコットンリンターから調製した。
変性セルロース化合物は、以下の表1に示す量の試薬を用いて調製した。500mLの3首丸底フラスコは機械攪拌器および冷水冷却減圧蒸留装置を備え、これをシリコーンオイルバス中に設置した。例のバッチの各々について適切な量および種類の1種または複数種のカルボン酸をフラスコに添加した。エステル部分の複数種の混合物を有するセルロース化合物(例えば、セルロースアセテートノナノエート)が所望される場合には、適切な量の2種のカルボン酸を添加した。1種または複数種のカルボン酸の添加後、特定量のトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(Aldrich;Catalog No.106232)を撹拌しながら滴下により添加した。撹拌を継続しながら、混合物を50℃に加熱し、この温度で30から45分間保持して、1種または複数種の混合無水物を形成させた。この溶液に、特定量のコットンリンターセルロース(市販コットンボールから単離された高純度溶解グレードセルロース;Buckeye Technologies,Inc.,から入手可能、出発セルロースについて固有粘度により測定したときの平均重合度が3900超)を添加し、反応が完了するまで反応混合物を50から52℃で3から4時間持続撹拌しながら保持した。滑らかな溶液を生成するために、または生成物のゲル化が生じた場合に、反応混合物をその体積の4倍にテトラヒドロフランまたはN−メチルピロリドンで希釈した。残存する1種または複数種の無水物を分解するのに十分であるがセルロースエステル生成物の沈殿の原因になるには不十分である量で、メタノール/水の50/50 w/w混合物を、素早く撹拌しながら滴下により添加した。次いで溶液を環境温度まで冷却し、「ドープ」といわれる粘稠で滑らかな混合物を形成した。変性されたセルロース化合物生成物を分離するために、ドープを分液漏斗に移した。一部ドープに溶媒の混合物(ヘプタン:塩化メチレン;9:1(w/w))を添加し、完全に混合してドープとした。次いでメタノールを添加し、相分離が生じるまで極僅かにドープと混合した。メタノール添加の間には混合物を置いておいた。液体リッチな相を排出した。少量のメタノールの添加によって生成物の沈殿が始まるまでメタノール添加および相分離を繰り返した。この抽出プロセスから得られたドープを過剰メタノール中に撹拌しながら入れて生成物を沈殿させた。ろ過によって沈殿液から生成物を分離し、メタノールで数回洗浄し、次いで1晩減圧下で若干の窒素パージ状態にて50℃で乾燥させた。得られたセルロースエステルのDS、分子量および熱転移は、それぞれNMR、GPCおよびDSCにより測定した。これらを表2に示す。表2中、LCEは「長鎖エステル」(すなわち、ノナノエート、イソステアレート、ステアレート)を意味する。
Figure 2009507926
Figure 2009507926
表3は、本発明の変性されたセルロース化合物(例10−12による試料の等量を組合せたセルロースノナノエート)を美容上許容可能な特定の溶媒と1,2および4質量%の濃度で混合することにより得られる混合物の説明を与える。各混合物について、溶媒および変性されたセルロース化合物を小バイアル内に計り入れた。バイアルをキャップし、1晩約65℃で回転させた。室温で1から3ヶ月間放置した後に混合物を観察した。
表3−8中、以下の用語および略語は以下の意味を有する:
“cl hi−vis liq”は、明澄な高粘度の液体を意味する。
“cl med−vis liq”は、明澄な中粘度の液体を意味する。
“cl lo−vis liq”は、明澄な低粘度の液体を意味する。
「濁った(hazy)」は濁り(haziness)を意味するが固形物の存在は意味しない。濁り(ヘイズ)(haze)が溶液またはサスペンションを意味するかは明確でないが、沈殿または固形物は観察されなかった。
「不溶性(insoluble)」は、何らかの種類の固形物が観察されたこと、溶媒で種々の程度に膨潤するが溶媒の全ては吸収しなかった粒子または溶媒による作用を受けなかった粒子のいずれかを意味する。
「ゲル」は、重力で動かない均一なゲル(すなわち、固体粒子または分かれた液相を有さないもの)の形成を意味する。試料は、上下逆さまにすることができ、物質は数時間の間流れ去らない。一方、高粘度液体は重力によって流れるが極めて遅くにである。
粘度は、せん断速度1から5rad/秒を用い、500センチポアズ未満と定義される「低粘度」;500から2000センチポアズの間と定義される「中粘度」;および2000センチポアズ超と定義される「高粘度」で測定した。
Figure 2009507926
表4は、本発明の変性されたセルロース化合物(例13−15による試料の等量の組合せによるセルロースアセテートノナノエート)を美容上許容可能な特定の溶媒と1,2および4質量%の濃度で混合することにより得られる混合物の説明を与える。各混合物について、溶媒および変性されたセルロース化合物を小バイアル内に計り入れた。バイアルをキャップし、1晩約65℃で回転させた。セルロースアセテートノナノエートはDSノナノエートの2.6およびDSアセテートの0.42を有した。室温で少なくとも1ヶ月間で3ヶ月間以下放置した後に混合物を観察した。
Figure 2009507926
表5は、本発明の変性されたセルロース化合物(例16および17による試料の等量を組合せることにより形成したセルロースイソステアレート)を美容上許容可能な特定の溶媒と1,2および4質量%の濃度で混合することにより得られる混合物の説明を与える。各混合物について、溶媒および変性されたセルロース化合物を小バイアル内に計り入れた。バイアルをキャップし、1晩約65℃で回転させた。室温で1から3ヶ月間放置した後に混合物を観察した。
Figure 2009507926
表6は、本発明の変性されたセルロース化合物(例19によるセルロースアセテートイソステアレート試料)を美容上許容可能な特定の溶媒と1,2および4質量%の濃度で混合することにより得られる混合物の説明を与える。各混合物について、溶媒および変性されたセルロース化合物を小バイアル内に計り入れた。バイアルをキャップし、1晩約65℃で回転させた。室温で1から3ヶ月間放置した後に混合物を観察した。
Figure 2009507926
表7は、本発明の変性されたセルロース化合物(例20−22による試料の等量を組合せることにより形成したセルロースステアレート)を美容上許容可能な特定の溶媒と1および4質量%の濃度で混合することにより得られる混合物の説明を与える。各混合物について、溶媒および変性されたセルロース化合物を小バイアル内に計り入れた。バイアルをキャップし、1晩約65℃で回転させた。室温で1から3ヶ月間放置した後に混合物を観察した。
Figure 2009507926
表8は、本発明の変性されたセルロース化合物(例23によるセルロースアセテートステアレート試料)を美容上許容可能な特定の溶媒と1,2および4質量%の濃度で混合することにより得られる混合物の説明を与える。各混合物について、溶媒および変性されたセルロース化合物を小バイアル内に計り入れた。バイアルをキャップし、1晩約65℃で回転させた。室温で1から3ヶ月間放置した後に混合物を観察した。
Figure 2009507926
例24(比較例)
イソステアロイルクロリドの調製
80.1グラムのイソステアリン酸(A&E Connock,Perfumery and Cosmetics,LTDより)(メチル分岐および直鎖のC18脂肪酸の複合混合物)を、コンデンサ型蒸留ヘッド、機械攪拌器、およびサーモスタット制御オイルバスを備えた丸底フラスコに添加した。バスの初期温度は約25℃であった。50分間かけて、塩化チオニル(39グラム、0.33モル)(REAGENTPLUS,Aldrich Catalog No.230464)を、持続撹拌しながら滴下によりイソステアリン酸に添加した。添加を通じたほぼ中間で、オイルバス温度を35℃に上げて反応物をさらに2時間撹拌した。蒸留カラムに減圧を適用(90mmHg)してオイルバス温度を50℃に上昇させた。生成物から未反応塩化チオニル(4.5グラム)を留去して85グラムのイソステアロイルクロリドを生じさせ、さらなる精製なしでこれを用いた。
イソステアリルエステル基を有するセルロースアセテートブチレートの種は、PCT国際特許出願第PCT/FR2004/001202号(公開番号第WO2005/013926号)の例1に記載される手順に従って調製を試みた。バッチサイズは、WO2005/013926号公報の例1に記載されるものの25%であった。試薬を、以下の順で、室温の、機械攪拌器、無水硫酸カルシウムが充填された乾燥管へ抜ける冷水冷却コンデンサ、乾燥窒素入口管を備えた1000mLの3首丸底フラスコに添加し、シリコーンオイルバス中に設置した:
225グラムのトルエン(Burdick and Jackson−−B&J High Purity Solventグレード);および
225グラムのメチルエチルケトン(Mallinckrodt−分析試薬グレード)。
素早く撹拌しながら、ゆっくり、25グラムのセルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical Company CAB−553−0.4,46.43質量%ブチリル)を添加し、継続撹拌しながら1時間50℃に加熱することにより溶解させた。混合物を室温まで冷却し、5.0グラムのトリエチルアミン(REAGENTPLUS,Aldrich Catalog No.90340)を該混合物に添加する。継続撹拌しながら、乾燥窒素雰囲気下で、フラスコを氷浴中で+5℃まで冷却した。混合物が+5℃に到達したときに、上記で調製した14.22グラムのイソステアロイルクロリド(25グラムのトルエンおよび25グラムのメチルエチルケトン中に溶解したもの)を、添加漏斗から1時間30分かけて滴下により添加した。添加の間、手持式の電子温度計で温度を数回測定した。反応混合物中で到達した最高温度は7.1℃であった。氷浴から反応混合物を取出して室温(22℃)に戻し、持続的な低速撹拌をしながら18時間保持した。トリエチルアミン塩酸塩であると考えられる結晶が反応混合物を曇らせたがフラスコの側には見られなかった。
得られた混合物を、媒体フリットガラス漏斗(medium fritted glass funnel)および次いでフィルター紙でろ過した。反応混合物の部分を個別にメタノール中、エタノール中およびイソプロパノール中に撹拌しながら入れた。ろ過性沈殿物なしで形成される濁った黄色溶液または乳状溶液のみを形成するろ過性沈殿物はなかった。反応混合物の残部をメタノール/水,50/50,w/w中に撹拌しながら入れて乳状溶液を形成し、そして少量の沈殿物を含むグリース状黄色液相が形成された。回収した沈殿物は、沈殿プロセスの間の水による未反応イソステアロイルクロリドの分解により得られるイソステアリン酸であることが分かり、よって固化したポリマーの試料は単離されなかった。従って、セルロースアセテートブチレートイソステアレートの予期した固体沈殿物は、この方法ではうまく生成されなかった。
例24A(実施例)
生成物がアルコールに代えてヘプタン中に沈殿された他は、国際特許出願第PCT/FR2004/001202号(公開番号第WO2005/013926号)の例1に記載される手順により、セルロースアセテートブチレートイソステアレートの種を調製した。2バッチを準備した:各バッチサイズはWO2005/013926号公報の例1に記載されるものの25%であった。試薬は、以下の順で、攪拌器、無水硫酸カルシウムが充填された乾燥管に抜ける冷水冷却コンデンサ、および乾燥窒素入口を備えた2つの1000mL3首丸底フラスコの各々に添加してシリコーンオイルバス中に設置した:
フラスコ毎に225グラムのトルエン−−Burdick and Jackson−−B&J High Purity Solventグレード)
フラスコ毎に225グラムのメチルエチルケトン−−Mallinckrodt−分析試薬グレード)。
素早く撹拌しながら、25グラムのセルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical Company CAB−553−0.4−46.43質量%ブチリル)を各フラスコにゆっくり添加し、継続撹拌しながら1時間50℃に加熱することにより溶解させた。混合物を室温まで冷却し、7.5グラムのトリエチルアミン(REAGENTPLUS,Aldrich Catalog No.90340)を各フラスコに添加した(生成物エステルのHCL分解を防ぐための過剰のトリエチルアミン)。継続撹拌しながら、乾燥窒素雰囲気下で、フラスコを氷浴中+5℃まで冷却した。
混合物が+5℃に到達したときに、上記で調製した20.00グラムのイソステアロイルクロリド(25グラムのトルエンおよび25グラムのメチルエチルケトン中に溶解したもの)を、添加漏斗から各フラスコに約1時間30分かけて滴下により添加した。添加の間、手持式の電子温度計を用いてフラスコの温度を数回測定した。反応混合物中で到達した最高温度は7.6℃であった。氷浴から反応混合物を取出して室温(22℃)に戻し、持続的な低速撹拌をしながら18時間保持した。トリエチルアミン塩酸塩であると考えられる結晶が反応混合物を曇らせたがフラスコの側には見られなかった。
両フラスコからの得られた混合物を組合せ、まず媒体フリットガラス漏斗を用いてろ過し、次いでフィルター紙を通してろ過し、そしてヘプタン中に沈殿させた。混合物は、沈殿液体からろ別するのに十分な大きく固く白いフレーク状沈殿物を形成した。沈殿物をヘプタン中で2度洗浄し、窒素および減圧下で55℃で一定質量まで乾燥させた。回収した沈殿物は、質量が46.96グラムであり、イソステアレートについてのDSが、NMRスペクトル分析により0.17であった。生成物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィによりポリスチレン標準に対して測定した場合に、3.2×104ダルトンであった。生成物は、イソドデカン中およびイソヘキサデカン中で不溶性であった。
例25−27(実施例)
溶液を水位低下させ乾燥させて膜を生成する意図で、種々の溶媒を調べ、いずれがセルロースノナノエート(CN),セルロースアセテートノナノエート(CAN),およびセルロースイソステアレート(CIS)を最も高い濃度で溶解させるかを評価した。用いたCNは例10−12による生成物の等量の混合物であった。用いたCANは例13−15による生成物の等量の混合物であった。用いたCISは、例16および17による生成物の等量の混合物であった。
試験した溶媒は、酢酸メチル、酢酸ブチル、n−メチルピロリドン、ミネラルスピリット、シクロヘキサノン、イソホロン、メタノール、およびAromatic 100炭化水素流体(ExxonMobil)である。Aromatic 100炭化水素流体が最適であり全3種の変性セルロース化合物を15質量%で溶解させることが分かった。他の溶媒は変性セルロース化合物を10質量%超の濃度では溶解させない。規定の変性セルロース化合物の溶液をAromatic 100流体中15質量%で調製した。溶液の水位低下は、金属板およびLenetaチャート紙に形成した。膜を室温で乾燥させた。得られた膜は明澄で平均厚さ約2milを有していた。膜は、振り子硬度(Pendulum hardness)(ASTM D4366−87)、Tukon硬度(Tukon hardness)(ASTM D 1474)、光沢、および屈曲棒試験(flex bar test)および触感評価による可撓性について試験した。結果が以下の表9で与えられる。各試験結果は3測定の平均である。
Figure 2009507926
*1は最も柔らかく可撓性が最も高いものであり、3は最も堅く可撓性が最も低いものである。全3つの膜は良好な光沢を有していた。そしてこれらは所望の場合パーソナルケア製品に光沢を付与できる。
例28−31(実施例)
以下の例の各々では、好適に美容上許容可能な溶媒中に溶解したCN,CAN,またはCISを用いてパーソナルケア製品(マスカラ)を作製した。CN,CAN,およびCISは、上記で例25−27について記載されたのと同じ混合生成物であった。規定量のワックス、ステアリン酸、エチルへキシルパルミテート、および変性セルロース化合物をビーカー内に計り入れて80℃に加熱した。含有成分を溶融時に混合して均一な混合物を得た。アラビアゴムを水に添加して1晩室温で加水分解した。ヒドロキシエチルセルロース、次いでトリエタノールアミンをゆっくり添加する間、水/ゴム混合物を撹拌しながら50℃に加熱した。水性相を80℃に加熱し、次いで混合中にワックス相を水性相にゆっくり添加した。混合物を40℃に冷却して防腐剤を添加した。ブレンドされるまで混合を継続した。結果を以下の表10に示す。
Figure 2009507926
CNの例はクリーム状の稠度を有した。まつ毛に適用する際これは分かれてまつ毛を規定する。比較例として与えられる、CANを有する配合物は、該CANが溶融ワックス相含有成分中に溶解しないために完成しなかった。CISを有する第1の例は、マスカラとして使用するには好適でない固体を形成した。ワックス相濃度が低減された、CISを有する第2の配合物は、クリーム状の稠度を有する。まつ毛に適用する場合これは分かれてまつ毛を規定する。この例の配合物はまた、皮膚上に適用および塗布した。これは容易に広がり、塗布されると滑らかに感じられ、そして耐水性の膜を皮膚上に残した。当該分野で公知であるように、上記の配合物に顔料を添加してもよい。
例32(実施例)
以下の例では、好適に美容上許容可能な溶媒中でCIS(例16および17による生成物の等量の混合物)を用いてパーソナルケア製品(リップスティック)を作製した。含有成分を瓶内に計り入れて95℃のオーブン内に設置した。全含有成分が溶融したとき、均一になるまでこれらを混合した。混合物が冷却されたときにこれをリップスティック型内に注ぎ入れた。得られたリップスティックは、皮膚に適用することによって評価した。規定量および含有成分を以下の表11に示す。
Figure 2009507926
スティックは滑りが乏しかったが色の乗りは良好であった。適用から数分後これは乾燥して感じられグリース状でなかった。色は良好に密着しており擦れ落ちてはいなかった。
例33−35
以下の例では、ヘアスタイリング製品を作製した。髪束は、International Hair Importers&Products,Inc.,Floram Park,NYから購入したもので、以下の詳細に形成したものである:バージン,ミディアムのブラウンの髪;束当たりの髪2.2グラム;長さ20cm。試験前に全ての束をペグボードに繋ぎ留めて正確に6−1/2インチ(ペグボード上の26ユニットマーク)にカットした。次いで、梳き、濡らしそして過剰の水を除去することにより束を作製した。溶液またはゲルを髪に指でなじませることによって、イソドデカン中4%のCN,CANおよびCIS(上記で例25−27について記載されるのと同じ混合物から)の各溶液またはゲルの等量(0.2g)を質量約2.8gの髪束に適用した。溶液またはゲルの適用後に束を梳いて1晩空気乾燥させた。乾燥後、カーリングアイロンを用いて髪束をカールさせ、90%RHで2時間の処理の後でペグボード上に繋ぎ留めた。次いで、カールの長さを髪束と比較した。未処理の髪束と比べ、変性セルロース化合物処理された束は、より容易に梳くことができ、より輝きがあり、そして90%相対湿度22℃でより良好なカール保持力を有した。CNおよびCISは、CANと比べてより一層の光沢およびより良好な保持力を与えた。CNがより堅い保持力を与える一方でCISは可撓性の保持力を与えた。適用後、束をシャンプーで洗浄した。変性セルロース化合物は髪から洗うのが困難であった。残存した変性セルロース化合物は、髪を乾燥させた後に髪上に白点として見られた。
洗い落とし性に乏しいことにより示されるように、変性セルロース化合物が髪に対して良好な実体性を有し、従って一時性ヘアダイとしての有用性を有することが明らかである。ヘアダイは変性セルロース化合物のイソドデカン溶液中に組み込まれて髪に適用される。
低−VOC規則に合致する低−VOC製品を生成するために、イソドデカンに代えてイソヘキサデカンを用いた。束は乾燥により長い時間を要し、そしてこれらの油質の触感が室温での数時間後に残った。しかし、熱を伴う処理、例えばヘアドライヤーまたはカーリングアイロンによるものでは、イソヘキサデカン溶媒が迅速に除去され、光沢仕上げ、良好な扱い易さおよびカール保持力が残った。
例36(実施例)
以下の表12に規定する組成を有するサンプロテクション製品を作製した。CNは例10−12による生成物の等量のブレンドであった。
Figure 2009507926
油相の含有成分および水相の含有成分を別個に80℃で混合し、次いで組合せ、高せん断ミキサーで10分間混合した。得られた低粘度エマルションは、皮膚に適用した際に滑らかな質感を有し、耐水性の膜を残した。
例37(実施例)および例38(比較例)
以下の表13に規定する組成(質量%)を有する制汗剤製品を作製した。含有成分は、アルミニウム/ジルコニウムテトラクロロハイドレックス−Gly(AAZG−7167,Summit Research Lab)を除き、ビーカー内に計り入れて撹拌しながら85℃に加熱した。混合物が均一になったと思われたときに、テトラクロロハイドレックス−Glyを添加し、高速分散器を用いて分散させた。配合物を10分間82℃で混合し、次いで冷却した。温度が60℃に到達したときに、混合物を制汗剤スティック容器に注ぎ入れた。1晩室温で放置した後、制汗剤スティックを評価した。両者を組立てて白い不透明なスティックを形成した。皮膚に適用した際、両者は滑らかな質感を有する。CISは例16および17による生成物の等量のブレンドであった。
Figure 2009507926
例37では例38(比較例)よりも皮膚上により多くの物質の堆積が観察された。乾燥後、CIS配合物はより快適な質感を皮膚上で与え、皮膚を引き締める感覚がなかった。極めて厳しい擦れで、例37は皮膚からめくれ落ちて膜が残っていたことを示し、一方CISを有さない試料はこの効果を有さなかった。
例39−42(実施例)についての一般的議論
混合エステルを含む本発明の組成物を、トリフルオロ酢酸無水物カルボン酸法を用いてコットンリンターから調製した。
以下で与えられる詳細な準備を経て変性セルロース化合物を調製した。例のバッチの各々について適切な量および種類の1種または複数種のカルボン酸をフラスコに添加した。エステル部分の種類の混合を有するセルロース化合物(例えば、セルロースアセテートノナノエート)が所望される場合には、適切な量の2種のカルボン酸を添加した。溶液の形成後、規定量のコットンリンターセルロース(Buckeye Technologies,Inc.から入手可能な市販コットンボールから単離された高純度溶解グレードのセルロース;平均重合度DPが、固有粘度により測定された場合に1300超のもの)を規定温度で反応混合物に添加し、徐々に50から55℃へ引き上げ、そしてこの点で持続撹拌をしながら反応が完了するまで保持した。反応が完了したら、得られた滑らかな混合物(「ドープ」ともいう)を沈殿により100%メタノール中に高せん断条件下で分離した。例39−42についての分析および溶解性の結果を表14−19に与える。
例39(実施例)
セルロースステアレートの合成および精製
混合ステアリン酸/トリフルオロ酢酸無水物の調製
減圧用途用に設計された撹拌器ベアリング/機械攪拌シャフト、引抜ナットを有するPTFEストッパー(24/40スタンダードテーパージョイント)、および以下に取付けられた2つのClaisenアダプター:a)還流コンデンサ;b)計測栓を有する125mL添加漏斗、c)内部の温度計/熱電対、を備える火力乾燥したアルゴンパージした1000mL4首丸底フラスコに、ステアリン酸(166.75g,0.5862モル)(J.T.Baker;Catalog No.JT0340−07;Lot # B0336;Triple Pressed;N.F;90−100%;ステアリン酸;Liquid Chromatographyより,物質は、少なくとも8〜10%のより低い炭素量の2種の脂肪酸およびより高い炭素量の1種を含むと考えられる)を添加した。まだ室温の間に、そして脂肪酸を完全に溶解させるために、150mLのn−ヘプタン(Burdick&Jackson;Catalog No.207−4)および50mLのジクロロメタン(Burdick&Jackson;Catalog No.300−4)を撹拌しながら添加して均一な溶液が得られるまで混合した。混合無水物の色を最小化するために、溶液を10〜15℃に冷却して30分間保持した。トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(111.92g,0.5329モル;74.07mL)(Aldrich;Catalog No.106232)を、微調整計測栓を備える125mLの添加漏斗に迅速に添加した。ガラスストッパーを添加漏斗に戻し;そして反応器を通って流れる正圧が可能な最低レベル(シリコーンオイルが充填されたオイルバブラーにおける可能な最遅の泡速度)になることを確実にした。冷却された溶液に中程度の速度(添加の速度は、反応混合物の内温を15℃未満に維持するようなものであった)でTFAAを添加した。トリフルオロ酢酸無水物を完全に添加した後、冷却浴を除去し、室温の水道水を収容する浴に置き換えた。25〜30分後(または、フラスコの内温が25℃に戻った時点で)、混合物をさらに30分間撹拌して、混合無水物の形成を確保した。この時点で、反応混合物は均一で極めて淡い金−黄の色相になった。
セルロースと、ステアリン酸およびトリフルオロ酢酸の混合無水物との反応
リンターグレードセルロースの裂片(サイズ約15mmx15mm;Buckeye Technologies,Inc.から入手可能)を、55℃で、減圧オーブン中、<25インチHg、で24時間以上予乾燥した。この時間の後、冷却のためにセルロースを迅速に湿度0%のデシケータに移し、そして使用するまで保存した。PTFEストッパーを除去して、15.16g(0.0935モル)の乾燥手裂片を、可能な限り迅速に反応混合物に広口粉末漏斗を介して添加した−反応容器からの蒸気の放出を最小化するために、この操作を行う際に系を通って流れる最小限の正アルゴン圧の存在を確保した。セルロースを完全に添加した後、ストッパーを戻し、そして、温度制御されたオイルバスを用いて反応混合物を追加で加熱し、次の2時間にわたって最終内部溶液温度50℃を実現させた。この混合物をこれらの条件で持続撹拌をしながら5時間保持した。この時、混合物は完全に反応して、淡い金−茶の色相の半透明のドープを生じた。混合物の加熱はこの時間の後停止させた。
中和
持続撹拌されたドープを内温30℃まで冷却した後、メタノール/ミリポア(Millipore)水(3.80gおよび/または4.80mL MeOHおよび2.14g H2O)の50:50(w/w)混合物(過剰TFAAに対するモル基準)を、90分間かけてゆっくり滴下して添加することで残存トリフルオロ酢酸無水物を中和した。この場合、内温は最高の41.5℃に上昇(11.5℃の上昇)した。−重要:添加の速度は内温を50℃またはこれ未満に維持するようなものとし、セルロースの考えられる分解を最小化するのがよい。内温が30〜35℃に戻った後、中和が本質的に完了したと評価した。次いで、蒸留のために反応容器を準備した。
蒸留
蒸留前に、両方のClaisenアダプター、熱電対/温度計アダプター、添加漏斗およびコンデンサを除去して、DOW Corning High Vacuum Greaseで潤滑させたガラスストッパーで置き換えた。4首1000mL丸底フラスコの開口首に90°ホース接続アダプターを加えて、高減圧ホースおよびSchlenkマニホールドを介して2つの500mL減圧トラップに直列に接続した。両方のトラップは液体窒素で極低温に冷却した。混合物の内温を30℃に維持しながら、ゆっくり/徐々に増加させて、60mmHgの最終減圧度に到達するまで減圧を導入した。この圧力で平衡に達した後、粗混合物の加熱によって、残存するトリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸メチルエステル、水およびメタノールの蒸留を開始した−熱は、安定な蒸留を誘導/維持するようにゆっくり上昇させた。加熱は、内温が最高の50℃に到達するまで継続させた。持続撹拌しながら、フルバキュームを50℃で60分間維持した。この時、より低級(lower)の沸騰している混入物の大部分およびジクロロメタンおよびn−ヘプタンの両者の蒸留物のかなりの部分が除去された。加熱を停止し、減圧を終了させ、そして系をアルゴンで充填し直した。得られた混合物は、明らかにより暗い琥珀色の極めて粘稠なドープであった。
沈殿/単離
沈殿用の準備のために、30mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog No.372145;無水物)を添加して、得られたドープ中に30分間撹拌しながら入れた。ドープをもとの反応器から分液漏斗に移し、次いでこれを用いて、激しく撹拌した/高度にかき混ぜた100%メタノール(Burdick&Jackson;Catalog No.230−4;99.9+%)溶液中に粗ドープをゆっくり計り入れた−ドープを有効に沈殿させるのに必要なメタノールの総量についての比は、約20〜25:1[(v/v);MeOH/ドープ]であった。沈殿が完了した後、オフホワイトの柔毛状の沈殿物を残して、物質を硬質化するために沈殿容器中でさらに60〜120分間ゆっくり撹拌した。粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により沈殿物を捕捉した。適切なサイズのフラスコに固形分を直ちに移して2000mLのメタノールでスラリー化した。得られたスラリーをさらに1時間撹拌し、放置して沈降させ、そして12時間以上の間さらに硬質化した。単離されたポリマーを、粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により捕捉し;空気乾燥をなお適用して少なくとも60分間減圧しながら漏斗内に放置し;そしてさらなる乾燥の準備として乾燥皿に移した。空気乾燥された物質を減圧オーブン中、<25インチHg、50℃で24時間以上さらに乾燥させた。物質を減圧オーブンから取出し、解析的分析および/または溶解性試験のための試料を得る前にポリマーを冷却するためにデシケータに移した。セルロースステアレート(および/またはセルローストリ−Ο−ステアレート)を生成するための反応で、オフホワイトから淡クリーム色の81.54g(収率90.7%,単離)のワックス状固体を得た。
NMR手順および関連する算出は、NMR結果が残存反応物質のモル数をエステルのモル数の部分として含まない可能性を最小化するような方法で行った。次いで溶液を室温まで冷却し、少なくとも0.1mlのトリクロロアセチルイソシアネートを溶液に添加し、続いて少なくとも5分間撹拌する。次いで、ノーマルプロトンNMRパラメータを用いるが64スキャンで、試料をプロトンNMRスペクトル(80℃にて)に数時間以内の準備でかける。得られたNMRデータは、存在する遊離酸のピークおよび酸全体(組合さった酸およびエステル)のピークを与える。両ピークを積分し、酸全体のピークから遊離酸のピークを差し引いてエステル化された酸全体の値を与える。この値を用いてDSを算出する。誘導体化剤はセルロースのエステル化されていないヒドロキシルおよびエステル化されていない酸の両者と反応するため、この方法では、セルロースの反応したヒドロキシルについてのモル数(ヒドロキシルピークを用いて)を比較することにより内部チェックが可能である。ヒドロキシルのモル数を算出して骨格のモル数で除し、無水グルコース当たりの残存ヒドロキシル基の数についての値を得る。値3.00マイナスこのヒドロキシル値は、エステル化された酸について、他の方法を用いて算出されるのと同じDS値を与えることになる。1HNMRにより、物質がステアレートDSの2.81を有することが分かった。ポリマーは、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中の両者で可溶性であった。例1(比較例)にて上記される溶解性評価の手順を、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中、以下に記載する表中の濃度で実施した。2つの1ヶ月に至る期間後に結果を記録した。表は、詳細な分析および溶解性の結果を与える。
例40(実施例)
セルロースネオデカノエートの合成および精製
混合ネオデカン酸/トリフルオロ酢酸無水物の調製
減圧用途用に設計された撹拌器ベアリング/機械撹拌シャフト、引抜ナットを有するPTFEストッパー(24/40スタンダードテーパージョイント)、および以下に取付けられた2つのClaisenアダプター:a)還流コンデンサ;b)計測栓を有する125mL添加漏斗、c)内部の温度計/熱電対、を備える火力乾燥したアルゴンパージした1000mL4首丸底フラスコに、100.97gのNeo−Decanoic Acid Prime,CAS# 26896−20−8,室温/室圧で明澄、無色の液体,ExxonMobil Chemical Companyから入手可能(1HNMR、13CNMR、および液体クロマトグラフィ(LC)は、6を超える化合物からなる多成分混合物の徴候を与える)を添加した。混合無水物の色を最小化するために、溶液を0℃に冷却して60分間保持した。トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(111.92g,0.5329モル;74.07mL)(Aldrich;Catalog No.106232)を、微調整計測栓を備える125mLの添加漏斗に迅速に添加した。ガラスストッパーを添加漏斗に戻し、そして反応器を通って流れる正圧が可能な最低レベル(シリコーンオイルで充填されたオイルバブラーにおける可能な最遅の泡速度)になることを確実にした。冷却された溶液に中程度の速度で120〜150分間(2.0〜2.5時間)にわたってTFAAを添加した−添加の速度は、反応混合物の内温を5℃未満に維持するようなものであった。興味深いことに、TFAAの添加の間、溶液はピンクがかった紫から赤みがかった紫の色相を呈し始めた。トリフルオロ酢酸無水物を完全に添加した後、冷却浴を除去し、室温の水道水を収容する浴に置き換えた。25〜30分後(または、フラスコの内温が25℃に戻った時点で)、混合物をさらに60分間室温で撹拌して、混合無水物の形成を確保した。この時点で、反応混合物は均一で極めて鮮やかな赤みがかった紫の色相になった。
セルロースとネオデカン酸およびトリフルオロ酢酸の混合無水物との反応
リンターグレードセルロースの裂片(サイズ約15mmx15mm;Buckeye Technologies,Inc.から入手可能)を、55℃で、減圧オーブン中、<25インチHg、で24時間以上予乾燥して、湿度0%のデシケータ中で使用するまで保存した。PTFEストッパーを除去して、リンターグレードセルロース(15.16g,0.0935モル)の乾燥手裂片を、可能な限り迅速に反応混合物に広口粉末漏斗を介して添加した−反応容器からの蒸気の放出を最小化するために、この操作を行う際に系を通って流れる最小限の正アルゴン圧の存在を確保した。セルロースを完全に添加した後、ストッパーを戻し、そして、温度制御されたオイルバスを用いて反応混合物を追加で加熱し、次の2時間にわたって最終内部溶液温度50℃を実現させた。この混合物をこれらの条件下で持続撹拌をしながら18時間保持した。混合物の加熱はこの時間の後停止した。
中和
持続撹拌されたドープを内温30℃に冷却した後、ドープの粘度の低減、およびまた中和混合物の溶解における補助の両者のために、35mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog No.372145;無水物)を添加した。メタノール/ミリポア水(4.18gおよび/または5.28mL MeOHおよび2.35g H2O)の50:50(w/w)混合物(過剰TFAAに対して10%のモル過剰)を90分間かけてゆっくり滴下添加することで残存トリフルオロ酢酸無水物を中和した。この場合、内温は最高の42.5℃に上昇(12.5℃の上昇)した。添加の速度は内温を50℃またはこれ未満に維持するように維持し、セルロースの考えられる分解を最小化した。内温が30〜35℃に戻った後、中和が本質的に完了したと評価した。次いで、蒸留のために反応容器を準備した。
蒸留
蒸留前に、両方のClaisenアダプター、熱電対/温度計アダプター、添加漏斗およびコンデンサを除去して、DOW Corning High Vacuum Greaseで潤滑させたガラスストッパーで置き換えた。4首1000mL丸底フラスコの開口首に90°ホース接続アダプターを加えて、高減圧ホースおよびSchlenkマニホールドを介して2つの500mL減圧トラップに直列に接続した。両方のトラップは液体窒素で極低温に冷却した。混合物の内温を30℃に維持しながら、ゆっくり/徐々に増加させて、60mmHgの最終減圧度に到達するまで減圧を導入した。この圧力で平衡に達した後、粗混合物の加熱によって、残存するトリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸メチルエステル、水およびメタノールの蒸留を開始した−熱は、安定な蒸留を誘導/維持するようにゆっくり上昇させた。加熱は、内温が最高の50℃に到達するまで継続させた。持続撹拌しながら、フルバキュームを50℃で60分間維持した。この時点で、より低級(lower)の沸騰している混入物の大部分およびトリクロロエチレンのかなりの部分の蒸留物が除去された。加熱を停止し、減圧を終了させ、そして系をアルゴンで充填し直した。得られた混合物は、明らかにより暗い茶−赤色の極めて粘稠なドープであった。
沈殿/単離
沈殿用の準備のために、50mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog No.372145;無水物)を添加して、得られたドープ中に30分間撹拌しながら入れた−トリクロロエチレンは、溶液粘度に関してシニング剤として作用するのみでなく、残存/未反応の脂肪酸の効率的な除去における補助もする。ドープをもとの反応器から適切なサイズの分液漏斗に移した。次いで分液漏斗を用いて、激しく撹拌した/高度にかき混ぜた100%メタノール(Burdick&Jackson;Catalog No.230−4)溶液中に粗ドープをゆっくり計り入れた−ドープを有効に沈殿させるのに必要なメタノールの総量についての比は、約20〜25:1[(v/v);MeOH/ドープ]であった。沈殿が完了した後、オフホワイトの微細沈殿物を残して、物質を硬質化するために沈殿容器中でさらに60〜120分間ゆっくり撹拌した。撹拌の終了時には、極めて微細な砂状粒子の形状の物質の全てが即時に沈殿容器の底部に落ちて一様な薄いパテに凝固し、精製された物質が事実上極めて濃厚であることを示唆した。沈殿物を、粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により捕捉した。適切なサイズのフラスコに固形分を直ちに移して2000mLのメタノールでスラリー化した。得られたスラリーをさらに1時間撹拌して放置して沈降させ、そして12時間以上の間さらに硬質化した。単離されたポリマーを、粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により捕捉し;空気乾燥をなお適用して少なくとも60分間減圧しながら漏斗内に放置し;乳鉢および乳棒で粗粒の(grainy)粒子サイズに砕き;そして溶媒および水のさらなる除去の準備として乾燥皿に移した。空気乾燥された物質を減圧オーブン中、<25インチHg、50℃で24時間以上さらに乾燥させた。物質を減圧オーブンから取出し、解析的分析および/または溶解性試験のための試料を得る前にポリマーを冷却するためにデシケータに移した。加工を完了させるために、乾燥させた物質の粒子サイズを、1.0mmスクリーンフィルターを取付けた小スケールハンマーミル(Hammermill)の通過により低減させた。セルロースネオデカノエート(および/またはセルローストリ−Ο−ネオデカノエート)を生成するための反応で、49.35g(収率84.4%,単離)の黄がかった白色の微細に粉末化された粗粒の固体を得た。NMR手順および関連する算出は、例39にて上記した手順を用いて行い、NMR結果が残存反応物質のモル数をエステルのモル数の部分として含まない可能性を最小化した。1HNMRにより、物質がネオデカノエートDSの2.53を有することが分かり;ポリマーは、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中の両者で可溶性であった。例1(比較例)にて上記される溶解性評価の手順を、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中、以下に記載する表中の濃度で実施した。2つの1ヶ月に至る期間後に結果を記録した。詳細な分析および溶解性の結果についての続表(以下)を参照されたい。
例41(実施例)
セルロースネオデカノエートの合成および精製
混合ネオデカン酸/トリフルオロ酢酸無水物の調製
減圧用途用に設計された撹拌器ベアリング/機械攪拌シャフト、引抜ナットを有するPTFEストッパー(24/40スタンダードテーパージョイント)、および以下に取付けられた2つのClaisenアダプター:a)還流コンデンサ;b)計測栓を有する125mL添加漏斗、c)内部の温度計/熱電対、を備える火力乾燥したアルゴンパージした1000mL4首丸底フラスコに、100.97gのNeo−Decanoic Acid Prime,CAS# 26896−20−8,ExxonMobil Chemical Companyから入手可能,ネオデカン酸製品(室温/室圧で明澄、無色の液体,1HNMR、13CNMR、および液体クロマトグラフィ(LC)は、6を超える化合物からなる多成分混合物の徴候を与える)を添加した。混合無水物の色を最小化するために、溶液を0℃に冷却して60分間保持した。トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(111.92g,0.5329モル;74.07mL)(Aldrich;Catalog No.106232)を、微調整計測栓を備える125mLの添加漏斗に迅速に添加した。ガラスストッパーを添加漏斗に戻し、そして反応器を通って流れる正圧が可能な最低レベル(シリコーンオイルで充填されたオイルバブラーにおける可能な最遅の泡速度)になることを確実にした。冷却された溶液に中程度の速度で120〜150分間(2.0〜2.5時間)にわたってTFAAを添加した−添加の速度は、反応混合物の内温を5℃未満に維持するようなものであった。TFAAの添加の間、溶液はピンクがかった紫から赤みがかった紫の色相を呈し始めた。トリフルオロ酢酸無水物を完全に添加した後、冷却浴を除去し、室温の水道水を収容する浴に置き換えた。25〜30分後(または、フラスコの内温が25℃に戻った時点で)、混合物をさらに60分間室温で撹拌して、混合無水物の形成を確保した。この時点で、反応混合物は均一で極めて鮮やかな赤みがかった紫の色相になった。
セルロースとネオデカン酸およびトリフルオロ酢酸の混合無水物との反応
リンターグレードセルロースの裂片(サイズ約15mmx15mm;Buckeye Technologies,Inc.から入手可能)を、55℃で、減圧オーブン中、<25インチHg、で24時間以上予乾燥して、湿度0%のデシケータ中で使用するまで保存した。PTFEストッパーを除去して、リンターグレードセルロース(15.16g,0.0935モル)の乾燥手裂片を、可能な限り迅速に反応混合物に広口粉末漏斗を介して添加した−反応容器からの蒸気の放出を最小化するために、この操作を行う際に系を通って流れる最小限の正アルゴン圧の存在を確保した。セルロースを完全に添加した後、ストッパーを戻し;そして、温度制御されたオイルバスを用いて反応混合物を追加で加熱し、次の5時間にわたって最終内部溶液温度53.5℃を実現させた。この混合物をこれらの条件下で持続撹拌をしながら29時間保持した。この時点で、混合物は反応して、暗いワイン色の色相で、全体の色において少量の淡茶色のハイライトを含む半透明のざらざらしたドープが得られた。トリエステルに向かう反応平衡を促進する目的で、40mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog No.372145)を添加した;オイルバスの温度を45°まで下げた;そして反応をさらに9.5時間継続させた。しかし、ドープの物理的外観および稠度により、エステルについての置換度は、例40において生成されるようなポリマーで得られるものよりもおそらく低いことが明らかであった。それでもこの時間(全反応時間38.5時間)の後、混合物の加熱を停止させた。
中和
冷却後、メタノール/ミリポア水(4.18gおよび/または5.28mL MeOHおよび2.35g H2O)の50:50(w/w)混合物(過剰TFAAに対して10%のモル過剰)を、90分間かけてゆっくり滴下で添加して、残存トリフルオロ酢酸無水物を中和した。この場合、内温は最高の42.5℃に上昇(12.5℃の上昇)した。添加の速度は内温を50℃またはこれ未満に維持するように維持し、セルロースの考えられる分解を最小化した。内温が30〜35℃に戻った後、中和が本質的に完了したと評価した。次いで、蒸留のために反応容器を準備した。
蒸留
蒸留前に、両方のClaisenアダプター、熱電対/温度計アダプター、添加漏斗およびコンデンサを除去して、DOW Corning High Vacuum Greaseで潤滑させたガラスストッパーで置き換えた。4首1000mL丸底フラスコの開口首に90°ホース接続アダプターを加えて、高減圧ホースおよびSchlenkマニホールドを介して2つの500mL減圧トラップに直列に接続した。両方のトラップは液体窒素で極低温に冷却した。混合物の内温を30℃に維持しながら、ゆっくり/徐々に増加させて、60mmHgの最終減圧度に到達するまで減圧を導入した。この圧力で平衡に達した後、粗混合物の加熱によって、残存するトリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸メチルエステル、水およびメタノールの蒸留を開始した−熱は、安定な蒸留を誘導/維持するようにゆっくり上昇させた。加熱は、内温が最高の50℃に到達するまで継続させた。持続撹拌しながら、フルバキュームを50℃で60分間維持した。この時点で、より低級(lower)の沸騰している混入物の大部分およびトリクロロエチレンのかなりの部分の蒸留物が除去された。加熱を停止し、減圧を終了させ、そして系をアルゴンで充填し直した。得られた混合物は、明らかにより暗い茶−赤色の極めて粘稠なざらざらしたドープであった。
沈殿/単離
沈殿用の準備のために、60mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog No.372145)を添加し、得られたドープ中に30分間撹拌しながら入れた。ドープをもとの反応器から適切なサイズの分液漏斗に移した。次いで、分液漏斗を用いて、激しく撹拌した/高度にかき混ぜた100%メタノール(Burdick&Jackson;Catalog No.230−4)溶液中に粗ドープをゆっくり計り入れた−ドープを有効に沈殿させるのに必要なメタノールの総量についての比は、約20〜25:1[(v/v);MeOH/ドープ]であった。沈殿が完了した後、オフホワイトの微細沈殿物を残して、物質を硬質化するために沈殿容器中でさらに60〜120分間ゆっくり撹拌した。撹拌の終了時には、極めて微細な砂状粒子の形状の物質の全てが即時に沈殿容器の底部に落ちて一様な薄いパテに凝固し、精製された物質が事実上極めて濃厚であることを示唆した。沈殿物を、粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により捕捉した。適切なサイズのフラスコに固形分を直ちに移して2000mLのメタノールでスラリー化した。得られたスラリーをさらに1時間撹拌して放置して沈降させ、そして12時間以上の間さらに硬質化した。単離されたポリマーを、粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により捕捉し;空気乾燥を適用したまま少なくとも60分間減圧しながら漏斗内に放置し;乳鉢および乳棒で粗粒の(grainy)粒子サイズに砕き;そして溶媒および水のさらなる除去の準備として乾燥皿に移した。空気乾燥された物質を減圧オーブン中、<25インチHg、50℃で24時間以上さらに乾燥させた。物質を減圧オーブンから取出し、解析的分析および/または溶解性試験のための試料を得る前にポリマーを冷却するためにデシケータに移した。加工を完了させるために、乾燥させた物質の粒子サイズを、1.0mmスクリーンフィルターを取付けた小スケールハンマーミル(Hammermill)の通過により低減させた。セルロースネオデカノエート(および/またはセルローストリ−Ο−ネオデカノエート)を生成するための反応で、41.97g(収率71.8%,単離)の黄がかった白色の微細に粉末化された粗粒の固体を得た。NMR手順および関連する算出は、例39にて上記した手順を用いて行い、NMR結果が残存反応物質のモル数をエステルのモル数の部分として含まない可能性を最小化した。1HNMRにより、物質がネオデカノエートDSの2.35を有することが分かった。例1(比較例)にて上記される溶解性評価の手順を、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中、以下に記載する表中の濃度で実施した。2つの1ヶ月に至る期間後に結果を記録した。詳細な分析および溶解性の結果についての続表(以下)を参照されたい。例40の同じ脂肪酸生成物から調製されたDS2.53の物質との著しい対照において、ポリマーは、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中で極めて乏しい溶解性を有した。
例42(実施例)
セルロースネオヘプタノエートの合成および精製
混合ネオヘプタン酸/トリフルオロ酢酸無水物の調製
減圧用途用に設計された撹拌器ベアリング/機械攪拌シャフト、引抜ナットを有するPTFEストッパー(24/40スタンダードテーパージョイント)、および以下に取付けられた2つのClaisenアダプター:a)還流コンデンサ;b)計測栓を有する125mL添加漏斗、c)内部の温度計/熱電対、を備える火力乾燥したアルゴンパージした1000mL4首丸底フラスコに、76.31gのNeo−Heptanoic Acid Prime,CAS#95823−36−2;ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なネオヘプタン酸製品(室温/室圧で明澄、無色の液体;1HNMR、13CNMR、および液体クロマトグラフィ(LC)は、少なくとも3〜4種の異なる化合物からなる多成分混合物の徴候を与える)を添加した。混合無水物の色を最小化するために、溶液を0℃に冷却して60分間保持した。トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(111.92g,0.5329モル;74.07mL)(Aldrich;Catalog No.106232)を、微調整計測栓を備える125mLの添加漏斗に迅速に添加した。ガラスストッパーを添加漏斗に戻し、そして反応器を通って流れる正圧が可能な最低レベル(シリコーンオイルで充填されたオイルバブラーにおける可能な最遅の泡速度)になることを確実にした。冷却された溶液に中程度の速度で120〜150分間(2.0〜2.5時間)の間にわたってTFAAを添加した(添加の速度は、反応混合物の内温を5℃未満に維持するようなものであった)。TFAAの添加の間、溶液は若干淡いピンクの色相を呈し始めた。トリフルオロ酢酸無水物を完全に添加した後、冷却浴を除去し、室温の水道水を収容する浴に置き換えた。25〜30分後(または、フラスコの内温が25℃に戻った時点で)、混合物をさらに60分間室温で撹拌して、混合無水物の形成を確保した。この時点で、反応混合物は均一であり、そして普及的な淡いピンクがかったローズの色相になった。
セルロースとネオヘプタン酸およびトリフルオロ酢酸の混合無水物との反応
リンターグレードセルロースの裂片(サイズ約15mmx15mm;Buckeye Technologies,Inc.から入手可能)を、55℃で、減圧オーブン中、<25インチHg、で24時間以上予乾燥して、湿度0%のデシケータ中で使用するまで保存した。PTFEストッパーを除去して、リンターグレードセルロースの乾燥手裂片(15.17g,0.0936モル)を、可能な限り迅速に反応混合物に広口粉末漏斗を介して添加した−反応容器からの蒸気の放出を最小化するために、この操作を行う際に系を通って流れる最小限の正アルゴン圧の存在を確保した。セルロースを完全に添加した後、ストッパーを戻し;そして、温度制御されたオイルバスを用いて反応混合物を追加で加熱し、次の5時間にわたって最終内部溶液温度53.5℃を実現させた。この時点で、撹拌された混合物はクリーム色からアーモンド色であり、その稠度に関してカルナバワックスに極めて類似して見えた。この混合物をこれらの条件下で持続撹拌をしながら20時間保持した。この時、混合物は反応して淡い金茶色の半透明のドープが得られた。ドープの内温30℃を実現するためにオイルバス温度を低下させた。中和のための調製において粘稠な混合物を薄くするために、60mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog No.372145)を添加した。
中和
冷却後、メタノール/ミリポア水(4.18gおよび/または5.28mL MeOHおよび2.35g H2O)の50:50(w/w)混合物(過剰TFAAに対して10%のモル過剰)を、90分間かけてゆっくり滴下で添加して、残存トリフルオロ酢酸無水物を中和した。この場合、内温は最高の41.5℃に上昇(11.5℃の上昇)した。添加の速度は内温を50℃またはこれ未満に維持するように維持し、セルロースの考えられる分解を最小化した。内温が30〜35℃に戻った後、中和が本質的に完了したと評価した。次いで、蒸留のために反応容器を準備した。
蒸留
蒸留前に、両方のClaisenアダプター、熱電対/温度計アダプター、添加漏斗およびコンデンサを除去して、DOW Corning High Vacuum Greaseで潤滑させたガラスストッパーで置き換えた。4首1000mL丸底フラスコの開口首に90°ホース接続アダプターを加えて、高減圧ホースおよびSchlenkマニホールドを介して2つの500mL減圧トラップに直列に接続した。両方のトラップは液体窒素で極低温に冷却した。混合物の内温を30℃に維持しながら、ゆっくり/徐々に増加させて、60mmHgの最終減圧度に到達するまで減圧を導入した。この圧力で平衡に達した後、粗混合物の加熱によって、残存するトリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸メチルエステル、水およびメタノールの蒸留を開始した−熱は、安定な蒸留を誘導/維持するようにゆっくり上昇させた。加熱は、内温が最高の45℃に到達するまで継続させた。持続撹拌しながら、フルバキュームを45℃で60分間維持した。この時、より低級(lower)の沸騰している混入物の大部分およびトリクロロエチレンのかなりの部分の蒸留物が除去された。加熱を停止し、減圧を終了させ、そして系をアルゴンで充填し直した。得られた混合物は、明らかにより暗い茶がかった金色の極めて粘稠なドープであった。
沈殿/単離
沈殿用の準備のために、60mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog No.372145)を添加して、得られたドープ中に30分間撹拌しながら入れた−トリクロロエチレンは、溶液粘度に関してシニング剤として作用するのみでなく残存/未反応の脂肪酸の効率的な除去の補助もする。ドープをもとの反応器から適切なサイズの分液漏斗に移した。次いで、分液漏斗を用いて、激しく撹拌した/高度にかき混ぜた100%メタノール(Burdick&Jackson;Catalog No.230−4)溶液中に粗ドープをゆっくり計り入れた−ドープを有効に沈殿させるのに必要なメタノールの総量についての比は、約20〜25:1[(v/v);MeOH/ドープ]であった。沈殿が完了した後、白い粉末状沈殿物を残して、物質を硬質化するために沈殿容器中でさらに60〜120分間ゆっくり撹拌した。撹拌の終了時には、極めてふわふわとした(fluffy)膨潤した白色粒子の形状の物質の全てが、沈殿容器の底部にゆっくり滝状に落ち始め、厚い凝集沈殿物に凝固した。粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により沈殿物を捕捉した。適切なサイズのフラスコに固形分を直ちに移して2000mLのメタノールでスラリー化した。得られたスラリーをさらに1時間撹拌して放置して沈降させ、そして12時間以上の間さらに硬質化した。12時間おいた後でも、ポリマーの主要な塊の上に沈殿物の約5〜10%がフリーに懸濁して残存しており、沈殿容器の底部に落ちた。単離されたポリマーを、粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により捕捉し、そして空気乾燥をなお適用して少なくとも60分間減圧しながら漏斗内に放置した。空気乾燥された物質を減圧オーブン中、<25インチHg、50℃で24時間以上さらに乾燥させた。物質を減圧オーブンから取出し、解析的分析および/または溶解性試験のための試料を得る前にポリマーを冷却するためにデシケータに移した。セルロースネオヘプタノエート(および/またはセルローストリ−Ο−ネオヘプタノエート)を生成するための反応で、鮮やかな白色の44.77g(収率95.9%,単離)のふわふわとした(fluffy)ものから羽様(feathery)の固体を得た。NMR手順および関連する算出は、例39にて上記される手順を用いて行い、NMR結果が残存反応物質のモル数をエステルのモル数の一部として含まない可能性を最小化した。1HNMRにより、物質がネオヘプタノエートDSの2.85を有することが分かり、ポリマーは、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中の両者に可溶性であった。例1(比較例)にて上記される溶解性評価の手順を、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中、以下に記載する表中の濃度で実施した。2つの1ヶ月に至る期間後に結果を記録した。詳細な分析および溶解性の結果についての続表(以下)を参照されたい。
例43(実施例)
セルロース(2−エチルヘキサノエート)の合成および精製
混合2−エチルへキサン酸/トリフルオロ酢酸無水物の調製
減圧用途用に設計された撹拌器ベアリング/機械攪拌シャフト、引抜ナットを有するPTFEストッパー(24/40スタンダードテーパージョイント)、ならびに以下に取付けられた2つのClaisenアダプター:a)還流コンデンサ;b)計測栓を有する125mL添加漏斗、およびc)内部の温度計/熱電対、を備える火力乾燥したアルゴンパージした1000mL4首丸底フラスコに、84.53gの2−エチルへキサン酸(Aldrich Catalog No.538701,Eastman Chemical Company製)を添加した。全ての細かくしたガラスジョイントにPTFEスリーブを取付けて、グリースとトリフルオロ酢酸無水物との反応を防止した。Claisenアダプターに直列に接続された反応容器の排出口は、350mLの重炭酸ナトリウム(NaHCO3)飽和水溶液を収容した500mLDreschelガス洗浄瓶に管を介して接続した。洗浄瓶を利用して反応中に抜けるトリフルオロ酢酸をよく洗浄した。溶液を0℃に冷却して60分間保持した。次いで、111.92g(74.07mL)のトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(Aldrich;Catalog#106232;入手状態で使用)を、微調整計測栓を備える125mL添加漏斗に迅速に添加した。ガラスストッパーを添加漏斗に戻し、次いで、シリコーンオイルが充填されたオイルバブラーにおける可能な最遅の泡速度を得るように試みることによって、反応器を通って流れる正圧を低く維持することを確保するように注意した。反応混合物の内温を5℃未満に維持した状態で、冷却された溶液に、中程度の速度で120〜150分間(2.0〜2.5時間)の間をかけてTFAAを添加した。トリフルオロ酢酸無水物を完全に添加した後、冷却浴を除去し、室温の水道水を収容する浴に置き換えた。フラスコの内温が25℃に戻った時点で、混合物をさらに60分間室温で撹拌して、混合無水物の形成を確保した。
セルロースと、2−エチルへキサン酸およびトリフルオロ酢酸の混合無水物との反応:
反応前に、裂片(サイズ約15mmx15mm)のリンターグレードセルロース(Buckeye Technologies,Inc.から入手可能)を、55℃で、減圧オーブン中、<25インチHg、で24時間以上予乾燥し、次いで、迅速に湿度0%のデシケータに移して使用するまで保存した。PTFEストッパーを除去し、系を通って流れる最小限の正アルゴン圧を維持しながら、15.43gの裂片を迅速に反応混合物に広口粉末漏斗を介して添加した。セルロースを完全に添加した後、ストッパーを戻し、そして、温度制御されたオイルバスを用いて反応混合物を追加で加熱し、次の2.5時間にわたって最終内部溶液温度50.0℃を実現させた。セルロースの極小片1つのみ明白に溶液状態になかった。この混合物をこれらの条件下で持続撹拌しながら6時間保持した。内温35℃が実現されるようにオイルバス温度を低下させた。次いで、35mLのトリクロロエチレン(Aldrich; Catalog#372145,入手状態で使用)を添加した。
中和
冷却後、メタノール/ミリポア水(4.18g MeOHおよび2.35g H2O)の混合物(過剰TFAAに対して10%のモル過剰)を、50分間かけてゆっくり滴下で添加して、残存トリフルオロ酢酸無水物を中和した。添加の速度は内温を50℃またはこれ未満に維持するように制御し、そして内温は最高40.5℃まで上昇した。内温が30〜35℃に戻った後、次いで蒸留のために反応容器を準備した。
蒸留
蒸留前に、両方のClaisenアダプター、熱電対/温度計アダプター、添加漏斗およびコンデンサを除去して、高減圧グリースで潤滑させたガラスストッパーで置き換えた。4首1000mL丸底フラスコの開口首に90°ホース接続アダプターを加えて、高減圧ホースおよびSchlenkマニホールドを介して2つの500mL減圧トラップに直列に接続した。混合物の内温を30℃に維持しながら、両方のトラップを液体窒素で極低温に冷却した。58〜61mmHgの最終減圧度に到達するまで減圧をゆっくり/徐々に増加させて導入した。この圧力で平衡に達した後、粗混合物の加熱によって、残存するトリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸メチルエステル、水およびメタノールの蒸留を開始した。熱は、安定な蒸留を誘導/維持するようにゆっくり上昇させた。加熱は、内温が最高の45.6℃に到達するまで継続させた。持続的にかき混ぜながら、フルバキューム(54mmHg)を45.6℃で60分間維持した。加熱を停止し、減圧を終了させ、そして系をアルゴンで充填し直した。得られた混合物は、明らかにより暗い茶がかった金色の極めて粘稠なドープであった。
沈殿/単離
40mLのトリクロロエチレン(Aldrich;Catalog ♯372145,入手状態で使用)を添加し、得られたドープ中に30分間撹拌しながら入れて粘度を低減させ、残存/未反応の脂肪酸の効率的な除去を補助した。ドープをもとの反応器から適切なサイズの分液漏斗に移した。次いで、分液漏斗を用いて、激しく撹拌した/高度にかき混ぜた100%メタノール(Burdick&Jackson;Cat.♯230−4;GCにより99.9+%)溶液中に粗ドープをゆっくり計り入れた。ドープを有効に沈殿させるのに必要なメタノールの総量についての比は、約20〜25:1[(v/v);MeOH/ドープ]であった。沈殿が完了した後、白い粉末状沈殿物を残して、物質を硬質化するために沈殿容器中でさらに60〜120分間ゆっくり撹拌した。撹拌の終了時には、極めてふわふわとした(fluffy)膨潤した白色粒子の形状の物質の全てが、沈殿容器の底部にゆっくり滝状に落ち始め、厚い凝集沈殿物に凝固した。粗いガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により沈殿物を捕捉した。適切なサイズのフラスコに固形分を直ちに移して2000mLのメタノールでスラリー化した。得られたスラリーをさらに1時間撹拌して放置して沈降させ、そして12時間以上の間さらに硬質化した。単離されたポリマーをガラスフリット漏斗を通して減圧ろ過により捕捉し、そして空気乾燥をなお適用して少なくとも60分間減圧しながら漏斗内に放置した。空気乾燥された物質を減圧オーブン中、<25インチHg、50℃で24時間以上さらに乾燥させた。物質を減圧オーブンから取出し、解析的分析および/または溶解性試験のための試料を得る前にデシケータに移した。反応収率48.36g(収率95.6%,単離)で、黄ばんだ白色からオフホワイト色のふわふわとした(fluffy)ものから羽様(feathery)の固体を得た。1HNMRにより、物質が2−エチルヘキサノエートDSの2.93を有することが分かり;ポリマーは、イソヘキサデカン中およびイソドデカン中の両者に極めて高度に可溶性であった。詳細な分析および溶解性の結果を表14,15,および20に示す。
Figure 2009507926
Figure 2009507926
以下の表中、「可溶性」は、(明澄性または濁りにかかわらず全ての場合で)消滅した溶媒を有するかまたは有さない、液体、小さいゲルを伴う液体、またはゲルの形成を意味し;一方「可溶性でない」は、相分離が生じるかまたはセルロースエステル化合物の固体粒子が残存することを意味する。
Figure 2009507926
Figure 2009507926
Figure 2009507926
Figure 2009507926
Figure 2009507926
本発明を詳細に説明してきたが、ここに開示および説明される本発明の範囲および精神から逸脱することなく本発明の種々の側面への変更が可能であることを当業者は理解するであろう。従って、示されそして説明された特定の態様に本発明の範囲を限定することは意図されず、むしろ本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等物により決定されることが意図される。

Claims (19)

  1. 少なくとも6個の炭素原子を有する少なくとも1つのエステル部分によって少なくとも幾らかかの遊離ヒドロキシル基が置換されている少なくとも1種のセルロース化合物、および
    少なくとも1種の親油性溶媒
    を含み;
    該少なくとも1種のセルロース化合物上のエステル部分についての総置換度が、少なくとも2.5であり、かつ、該少なくとも1種のセルロース化合物の少なくとも幾らかかが該少なくとも1種の親油性溶媒中に溶解している、組成物。
  2. 少なくとも1つのエステル部分が、飽和分岐エステル部分、飽和非分岐エステル部分、分岐不飽和エステル部分およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 少なくとも1つのエステル部分が、飽和および不飽和の分岐エステル部分ならびにこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
  4. 少なくとも1つのエステル部分が、tert−ブチル末端を有するエステル部分、飽和イソアルキル基を有するエステル、アルファ炭素で分岐したアルキル構造を有するエステル、およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
  5. 少なくとも1つのエステル部分が、不飽和エステル部分およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
  6. 少なくとも1種のセルロース化合物が、室温および標準圧力で少なくとも5質量%の濃度でイソドデカン中に溶解する、請求項1に記載の組成物。
  7. 少なくとも1種のセルロース化合物が、室温および標準圧力で少なくとも30質量%の濃度でイソドデカン中に溶解する、請求項1に記載の組成物。
  8. 防臭剤、制汗剤、シェービング製品、スキンローション、保湿製品、スキントナー、クレンジング製品、ヘアケア製品、マニキュア製品、保護クリーム、サンスクリーン製品、防虫剤、アンチエイジング製品、カラー化粧品、リップスティック、化粧ファンデーション、フェースパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、マスカラ、皮膚への薬剤の局所適用のための系、またはこれらの2つ以上の組合せである、請求項1に記載の組成物。
  9. セルロース化合物が、木材パルプまたはコットンリンターに由来する、請求項1に記載の組成物。
  10. 少なくとも6個の炭素原子を有する少なくとも1つの第1のエステル部分によって少なくとも幾らかかの遊離ヒドロキシル基が置換され、少なくとも幾らかかの追加の遊離ヒドロキシル基が少なくとも1つの第2のエステル部分によって置換されている、少なくとも1種のセルロース化合物、および
    少なくとも1種の親油性溶媒
    を含み;
    該少なくとも1種のセルロース化合物上の第1のエステル部分についての総置換度が、少なくとも0.8であり、かつ、該少なくとも1種のセルロース化合物の少なくとも幾らかかが少なくとも1種の親油性溶媒中に溶解している、組成物。
  11. 少なくとも1種のセルロース化合物上の第1のエステル部分についての総置換度が、少なくとも1.0である、請求項10に記載の組成物。
  12. 少なくとも1種のセルロース化合物上の少なくとも1つの第1のエステル部分についての総置換度が、少なくとも1.5である、請求項10に記載の組成物。
  13. 少なくとも第1の1つのエステル部分が、飽和分岐エステル部分、飽和非分岐部分、分岐不飽和部分およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項10に記載の組成物。
  14. 少なくとも1つの第1のエステル部分が、飽和および不飽和の分岐エステル部分ならびにこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項10に記載の組成物。
  15. 少なくとも1つの第1のエステル部分が、tert−ブチル末端を有するエステル部分、飽和イソアルキル基を有するエステル、アルファ炭素で分岐したアルキル構造を有するエステル、およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項10に記載の組成物。
  16. 少なくとも1つの第1のエステル部分が、不飽和エステル部分およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項10に記載の組成物。
  17. 少なくとも1つの第2のエステル部分が、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ペンタノエート、およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項10に記載の組成物。
  18. 防臭剤、制汗剤、シェービング製品、スキンローション、保湿製品、スキントナー、クレンジング製品、ヘアケア製品、マニキュア製品、保護クリーム、サンスクリーン製品、防虫剤、アンチエイジング製品、カラー化粧品、リップスティック、化粧ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、マスカラ、皮膚への薬剤の局所適用のための系、またはこれらの2つ以上の組合せである、請求項10に記載の組成物。
  19. 少なくとも6個の炭素原子を有する少なくとも1つのエステル部分によって少なくとも幾らかかの遊離ヒドロキシル基が置換されており、飽和分岐エステル部分、飽和非分岐エステル部分、分岐不飽和エステル部分およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、少なくとも1種のセルロース化合物、および
    少なくとも1種の親油性溶媒
    を含み;
    該少なくとも1種のセルロース化合物の少なくとも幾らかかが該少なくとも1種の親油性溶媒中に溶解している、組成物。
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