JP2023060625A - エステル化セルロースナノファイバー及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

エステル化セルロースナノファイバー及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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沙紀 長谷川
Saki Hasegawa
利博 大門
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Abstract

【課題】高セルロース純度のセルロースナノファイバーであっても、置換基が均一に分布していることでセルロース分子本来の優れた補強効果を保持しながら樹脂中に均一に微分散できるエステル化セルロースナノファイバー及びその製造方法、並びに当該エステル化セルロースナノファイバーを含み、外観、平滑性及び機械特性(特に引張強度及び引張伸度)に優れた成形体を与える樹脂組成物及びその製造方法の提供。【解決手段】セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する解繊工程とを含む、エステル化セルロースナノファイバーの製造方法であって、当該DSpとエステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが下記式:0.2≦DSn/DSp≦0.9の関係を満たす、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、エステル化セルロースナノファイバー及び樹脂組成物の製造方法、等に関する。
熱可塑性樹脂は、軽く、加工特性に優れるため、自動車部材、電気・電子部材、事務機器ハウジング、精密部品等の多方面に広く使用されているが、樹脂単体では、機械特性、寸法安定性等が不十分である場合が多いことから、樹脂と各種フィラーとをコンポジットしたものが一般的に用いられている。近年、このようなフィラーとして、セルロース繊維等の有機繊維を使用することが検討されている。セルロースは、環境への負荷が少ない素材であること、低比重であること、及び樹脂組成物に対して優れた物性向上効果を有し得ることから、環境調和型の樹脂組成物のフィラーとして有望である。特に、セルロースナノファイバーは、その微細構造に起因して少量でも樹脂組成物に対する優れた補強効果を示し得ることから、近年、樹脂組成物用のフィラーとしての利用が検討されている。しかし、セルロースナノファイバーはセルロース分子間の水素結合等によって極めて凝集しやすく、樹脂中への均一分散が必ずしも容易ではない。
セルロースナノファイバーに優れた補強効果を発現させつつ、当該セルロースナノファイバーを樹脂中に良好に分散させるために、従来、セルロースナノファイバーを化学修飾により疎水化した後に樹脂と混合する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1は、化学修飾セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂の溶解パラメータに対する化学修飾セルロースナノファイバーの溶解パラメータの比率が0.87~1.88の範囲であり、化学修飾セルロースナノファイバーの結晶化度が42.7%以上である繊維強化樹脂組成物を記載する。
特開2016-176052号公報
特許文献1に記載される技術は、化学修飾セルロースナノファイバーと当該化学修飾セルロースナノファイバーが分散されやすい樹脂との良好な複合化によって物性を改良しようとするものであるが、例えば、機械特性に優れる点で有利である高セルロース純度のセルロースナノファイバーを用いた場合にも、セルロース分子本来の優れた補強効果が保持されたままセルロースナノファイバーを樹脂中に均一に微分散させるという点では未だ改善の余地があった。
本発明は上記の課題を解決し、高セルロース純度のセルロースナノファイバーであっても、置換基が均一に分布していることでセルロース分子本来の優れた補強効果を保持しながら樹脂中に均一に微分散できるエステル化セルロースナノファイバー及びその製造方法、並びに当該エステル化セルロースナノファイバーを含み、外観、平滑性及び機械特性(特に引張強度及び引張伸度)に優れた成形体を与える樹脂組成物及びその製造方法の提供を目的とする。
本開示は以下の態様を包含する。
[1] セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
前記エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する解繊工程と、
を含む、エステル化セルロースナノファイバーの製造方法であって、
前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、
前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)と前記エステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが下記式:
0.2≦DSn/DSp≦0.9
の関係を満たす、方法。
[2] 前記エステル化に供される前記パルプのセルロースI型の結晶化度が60%以上である、上記態様1に記載の方法。
[3] 前記エステル化パルプの平均繊維径が5μm~30μmであり、
前記エステル化セルロースナノファイバーの平均繊維径が50nm~1000nmである、上記態様1又は2に記載の方法。
[4] 前記解繊工程において、解繊度合を調整してエステル化セルロースナノファイバーの露出面のエステル化度を調整することによって前記DSnを調整する、上記態様1~3のいずれかに記載の方法。
[5] 前記解繊工程において、解繊開始前に前記エステル化パルプ中の高エステル化度成分を除去することによって、前記DSnを調整する、上記態様1~3のいずれかに記載の方法。
[6] ケトン、エステル、含窒素化合物、含硫黄化合物、エーテル及びハロゲン化炭化水素からなる群から選択される1種以上を含む溶媒に前記エステル化パルプを浸漬することによって、前記高エステル化度成分を除去する、上記態様5に記載の方法。
[7] エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物の製造方法であって、
セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
前記エステル化パルプを解繊しながら樹脂と混合することによって、エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物を生成する解繊混合工程と、
を含み、
前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、
前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)と前記エステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが、下記式:
0.2≦DSn/DSp≦0.9
の関係を満たす、方法。
[8] エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物の製造方法であって、
セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
前記エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する解繊工程と、
前記解繊工程で得た前記エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを混合する混合工程と、
を含み、
前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、
前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)と前記エステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが、下記式:
0.2≦DSn/DSp≦0.9
の関係を満たす、方法。
[9] 繊維径方向断面において、表面エステル化度指標(Rs)と中心エステル化度指標(Rc)とが、下記式:
1.3<Rs/Rc<10
の関係を満たす、エステル化セルロースパルプ。
[10] 前記中心エステル化度指標(Rc)が0.1~1.5である、上記態様9に記載のエステル化セルロースパルプ。
[11] 繊維径方向断面において、表面エステル化度指標(Rs)、中心エステル化度指標(Rc)、及び中心から繊維半径×50%の位置の中間エステル化度指標(Rm)が、下記式:
s/Rm>1
0.8≦Rm/Rc≦1.5
の関係を満たす、上記態様9又は10に記載のエステル化セルロースパルプ。
[12] セルロースI型の結晶化度が60%以上である、上記態様9~11のいずれかに記載のエステル化セルロースパルプ。
[13] 全体エステル化度(DSn)が、0.4~1.0であり、
表面エステル化度指標(Rns)と前記全体エステル化度(DSn)とが、下記式:
0.8≦Rns/DSn≦1.4
の関係を満たす、エステル化セルロースナノファイバー。
[14] セルロースI型の結晶化度が60%以上である、上記態様13に記載のエステル化セルロースナノファイバー。
本発明の一態様によれば、高セルロース純度のセルロースナノファイバーであっても、置換基が均一に分布していることでセルロース分子本来の優れた補強効果を保持しながら樹脂中に均一に微分散できるエステル化セルロースナノファイバー及びその製造方法、並びに当該エステル化セルロースナノファイバーを含み、外観、平滑性及び機械特性(特に引張強度及び引張伸度)に優れた成形体を与える樹脂組成物及びその製造方法が提供され得る。
以下、本発明の例示の実施の形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について説明するが、本発明はこれら実施形態に何ら限定されない。なお本開示の特性値は、特記がない限り、本開示の[実施例]の項に記載される方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される値である。
セルロースナノファイバーのエステル化は、当該セルロースナノファイバーの樹脂中への分散性を向上させるのに有用である一方、セルロース中の水酸基の置換による水素結合性低下、及びセルロースの結晶化度の低下をもたらし得ることから、水素結合及び機械特性の寄与による樹脂組成物及び成形体への補強効果はエステル化によって低下し得る。したがって、エステル化セルロースナノファイバーを含む樹脂組成物及び成形体において、所望の補強効果と分散性とを両立するためには、エステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(以下、単にDSともいう。)を適切に制御することが望まれる。
しかし本発明者らは、エステル化セルロースナノファイバーのDS自体を適切な範囲に制御しても、補強効果と分散性との所望の両立を実現できない場合があることを見出した。本発明者らは、従来提案されているエステル化セルロースナノファイバーが一般に広いDS分布を有しており、特に、過度に高度にエステル化された部分を相当量含んでいることに着目して種々の検討を行った結果、DS及びDS分布がそれぞれ特定範囲に制御されたエステル化セルロースナノファイバー、DS分布が特定範囲に制御されたエステル化パルプから得られるエステル化セルロースナノファイバー、又は、DSが特定範囲に制御されたエステル化パルプを用い且つ当該エステル化パルプのDSとエステル化セルロースナノファイバーのDSとが特定の関係を満たすように解繊を行うこと、によって上記目的が達成され得ることを見出した。
≪エステル化セルロースナノファイバーの製造方法≫
本発明の一態様は、
セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
該エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する解繊工程と、
を含む、エステル化セルロースナノファイバーの製造方法であって、
エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、
エステル化パルプのエステル化度(DSp)とエステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが下記式:
0.2≦DSn/DSp≦0.9
の関係を満たす、エステル化セルロースナノファイバーの製造方法を提供する。
<変性工程>
本工程では、セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを得る。パルプとしては、木材種(広葉樹又は針葉樹)から得られる木材パルプ、非木材種(竹、麻系繊維、バガス、ケナフ、リンター等)から得られる非木材パルプ、及びこれらの精製パルプ(精製リンター等)等が使用できる。非木材パルプとしては、コットンリンターパルプを含むコットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、ワラ由来パルプ等を使用できる。コットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、及びワラ由来パルプは各々、コットンリント、コットンリンター、麻系のアバカ(例えば、エクアドル産又はフィリピン産のもの)、ザイサル、バガス、ケナフ、竹、ワラ等の原料から、蒸解処理による脱リグニン等の精製工程、漂白工程等を経て得られる精製パルプであってよい。パルプは、結晶化度が高く、機械特性に優れるエステル化セルロースナノファイバーを生成できる点で、好ましくはコットンリンター由来パルプである。
エステル化は、エステル化剤の存在下、溶媒中で行ってよい。エステル化で用いる溶媒(本開示で、エステル化溶媒ともいう。)としては、非プロトン性溶媒、例えば、アルキルスルホキシド類、アルキルアミド類、ピロリドン類等を、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
アルキルスルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのジC1-4アルキルスルホキシドなどが挙げられる。
アルキルアミド類としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミドなどのN,N-ジC1-4アルキルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミドなどのN,N-ジC1-4アルキルアセトアミドなどが挙げられる。
ピロリドン類としては、例えば、2-ピロリドン、3-ピロリドンなどのピロリドン;N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などのN-C1-4アルキルピロリドンなどが挙げられる。
エステル化溶媒としては、良好なエステル化効率を得る観点から、ジメチルスルホキシド(DMSO)が特に好ましい。
エステル化剤としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、及びカルボン酸ビニルエステルが好ましく、エステル化効率の観点からカルボン酸ビニルエステルが特に好ましい。特に好ましい態様において、エステル化はアセチル化である。
酸ハロゲン化物は、下記式で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種であってよい。
1-C(=O)-X
(式中、R1は炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数3~24のシクロアルキル基、又は炭素数6~24のアリール基を表し、XはCl、Br又はIである。)
酸ハロゲン化物の具体例としては、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、ヨウ化プロピオニル、塩化ブチリル、臭化ブチリル、ヨウ化ブチリル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、ヨウ化ベンゾイル等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、酸塩化物は反応性と取り扱い性の点から好適に採用できる。尚、酸ハロゲン化物の反応においては、触媒として働くと同時に副生物である酸性物質を中和する目的で、アルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。アルカリ性化合物としては、具体的には:トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物;及びピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物;が挙げられるが、これに限定されない。
酸無水物としては、任意の適切な酸無水物類を用いることができる。例えば、
酢酸、プロピオン酸、(イソ)酪酸、吉草酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸無水物;(メタ)アクリル酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸無水物;
シクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロ安息香酸等の脂環族モノカルボン酸無水物;
安息香酸、4-メチル安息香酸等の芳香族モノカルボン酸無水物;
二塩基カルボン酸無水物として、例えば、無水コハク酸、アジピン酸等の無水飽和脂肪族ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、無水1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の無水脂環族ジカルボン酸、及び、無水フタル酸、無水ナフタル酸等の無水芳香族ジカルボン酸無水物等;
3塩基以上の多塩基カルボン酸無水物類として、例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の(無水)ポリカルボン酸等が挙げられる。
尚、酸無水物の反応においては、触媒として、硫酸、塩酸、燐酸等の酸性化合物、又はルイス酸、(例えば、MYnで表されるルイス酸化合物であって、MはB、As,Ge等の半金属元素、又はAl、Bi、In等の卑金属元素、又はTi、Zn、Cu等の遷移金属元素、又はランタノイド元素を表し、nはMの原子価に相当する整数であり、2又は3を表し、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF3、ClO4、SbF6、PF6又はOSO2CF3(OTf)を表す。)、又はトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。
カルボン酸ビニルエステルとしては、下記式:
R-COO-CH=CH2
{式中、Rは、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数3~16のシクロアルキル基、又は炭素数6~24のアリール基のいずれかである。}で表されるカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルアジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、安息香酸ビニル、及び桂皮酸ビニルからなる群より選択された少なくとも1種であることがより好ましい。カルボン酸ビニルエステルによるエステル化反応のとき、触媒として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、1~3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上を添加しても良い。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等が挙げられる。
1~3級アミンとは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのことであり、具体例としては、エチレンジアミン、ジエチルアミン、プロリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
イミダゾール及びその誘導体としては、1-メチルイミダゾール、3-アミノプロピルイミダゾール、カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。
ピリジン及びその誘導体としては、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、ピコリン等が挙げられる。
アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-t-ブトキシド等が挙げられる。
カルボン酸としては、下記式で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
R-COOH
(式中、Rは、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数3~16のシクロアルキル基、又は炭素数6~16のアリール基を表す。)
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、シクロヘキサンカルボン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、メタクリル酸、クロトン酸、ピバリン酸、オクチル酸、安息香酸、及び桂皮酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
これらカルボン酸の中でも、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸からなる群から選択される少なくとも一種、特に酢酸が、反応効率の観点から好ましい。
尚、カルボン酸の反応においては、触媒として、硫酸、塩酸、燐酸等の酸性化合物、又はルイス酸、(例えば、MYnで表されるルイス酸化合物であって、MはB、As,Ge等の半金属元素、又はAl、Bi、In等の卑金属元素、又はTi、Zn、Cu等の遷移金属元素、又はランタノイド元素を表し、nはMの原子価に相当する整数であり、2又は3を表し、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF3、ClO4、SbF6、PF6又はOSO2CF3(OTf)を表す。)、又はトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。
エステル化剤としては、特に、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、及び酢酸からなる群から選択された少なくとも一種、中でも無水酢酸及び酢酸ビニルが、反応効率の観点から好ましい。
[エステル化パルプの特性]
一態様において、エステル化工程で得られるエステル化パルプは、下記のような特性を有することができ、本発明の一態様はまた、下記に列挙する特性の1つ以上を有するエステル化パルプを提供する。
一態様において、エステル化パルプは、繊維径方向断面において、表面エステル化度指標(Rs)と中心エステル化度指標(Rc)とが、下記式:
1.3<Rs/Rc<10
の関係を満たす。RsがRcよりも大きいエステル化パルプを解繊することで、パルプ内部由来の低DSセルロース分子が露出したナノファイバーと、パルプ表面由来の高DSセルロース分子が露出したナノファイバーとが生成する。前者は主として低DSセルロース分子で構成されているため良好な補強効果を示す一方、後者は主として高DSセルロース分子で構成されているため補強効果が小さい。しかし後者は、その高い疎水性に起因して、パルプ内部由来のナノファイバーの樹脂中への分散性を向上させる分散剤として機能する場合がある。このような場合には、パルプ内部由来のナノファイバーによる優れた補強効果と、パルプ表面由来のナノファイバーによる分散剤効果との両方の発現という特異な利点が得られる。
s/Rc比は、パルプ内部のDSを低く抑えることで補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、好ましくは、1.3超、又は1.5以上、又は1.8以上、又は2以上であり、エステル化パルプの製造容易性の観点から、好ましくは、10未満、又は8以下、又は5以下である。
一態様においては、繊維径方向断面において、表面エステル化度指標(Rs)、中心エステル化度指標(Rc)、及び中心から繊維半径×50%の位置の中間エステル化度(Rm)が、下記式:
s/Rm>1
0.8≦Rm/Rc≦1.5
の関係を満たす。Rs/Rmが1よりも大きいことは、高DSの領域が表面近傍に限られるようにエステル化が進行したことを意味する。このようなエステル化パルプを解繊することで、パルプ内部由来の低DSの(すなわち補強効果に優れる)ナノファイバーが多量に生成する一方、パルプ表面由来の高DSのナノファイバーが少量生成する。このような多量の低DSナノファイバーと少量の高DSナノファイバーとの組合せは、補強効果と分散性向上効果とのバランスの点で特に有利である。
s/Rmは、低DSセルロース分子が露出したナノファイバーを多量に生成する観点から、好ましくは、1超、又は1.5以上、又は2以上であり、エステル化パルプの製造容易性の観点から、好ましくは、8以下、又は6以下、又は4以下である。
一方、Rm/Rcは、1に近い(すなわちRmとRcとが近接している)ことが好ましい。この場合、低DS且つ狭DS分布のナノファイバーが多量に生成することで、良好な補強効果が得られる。Rm/Rcは、好ましくは、0.8以上、又は0.9以上、又は1.0以上であり、好ましくは、1.5以下、又は1.4以下、又は1.3以下である。
エステル化パルプの全体エステル化度(DSp)(すなわちエステル化パルプの平均DS)は、樹脂への分散性、耐熱性等に優れるエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、一態様において、0.4以上、又は0.6以上、又は0.8以上であり、良好な補強効果を得る観点から、一態様において、2.2以下、又は1.9以下、又は1.6以下である。
エステル化パルプの表面エステル化度(Rs)は、パルプ内部においてもエステル化をある程度進行させることによって、樹脂への分散性、耐熱性等に優れるエステル化セルロースナノファイバーを容易に生成する観点から、好ましくは、0.3以上、又は0.4以上、又は0.5以上であり、補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーを生成する観点から、好ましくは、5以下、又は4以下、又は3以下である。
エステル化パルプの中心エステル化度(Rc)は、樹脂への分散性、耐熱性等に優れるエステル化セルロースナノファイバーを生成する観点から、好ましくは、0.1以上、又は0.2以上、又は0.3以上であり、補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーを生成する観点から、好ましくは、3以下、又は2以下、又は1.5以下である。
エステル化パルプの中間エステル化度(Rm)は、樹脂への分散性、耐熱性等に優れるエステル化セルロースナノファイバーを生成する観点から、好ましくは、0.1以上、又は0.2以上、又は0.3以上であり、補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーを生成する観点から、好ましくは、3以下、又は2以下、又は1以下である。
本開示のエステル化度(DS)は、赤外分光法(IR)を用いて、繊維の表面(又は径方向断面にて測定される値である。IRによれば測定試料の表層部分(一態様では表面から深さ数μm)のDSが求められる。具体的には、エステル化パルプ又はエステル化セルロースナノファイバーの反射型赤外吸収スペクトルから、アシル基由来のピークとセルロース骨格由来のピークとのピーク強度比に基づいて算出することができる。アシル基に基づくC=Oの吸収バンドのピークは1730cm-1に出現し、セルロース骨格鎖に基づくC-Oの吸収バンドのピークは1030cm-1に出現する。エステル化パルプ又はエステル化セルロースナノファイバーのDSは、後述する固体NMR測定から得られるDSと、セルロース骨格鎖C-Oの吸収バンドのピーク強度に対するアシル基に基づくC=Oの吸収バンドのピーク強度の比率で定義される修飾化率(IRインデックス1030)との相関グラフを作製し、相関グラフから算出された検量線
置換度DS = 4.13 × IRインデックス(1030)
を使用することで求めることができる。
なお、上記反射型赤外吸収スペクトルで適切な測定が困難である場合には、固体NMRを用いる。固体NMRによるDSの算出方法は、凍結粉砕したエステル化パルプ又はエステル化セルロースナノファイバーについて13C固体NMR測定を行い、50ppmから110ppmの範囲に現れるセルロースのピラノース環由来の炭素C1-C6に帰属されるシグナルの合計面積強度(Inp)に対する修飾基由来の1つの炭素原子に帰属されるシグナルの面積強度(Inf)より下記式で求めることができる。
DS=(Inf)×6/(Inp)
たとえば、修飾基がアセチル基の場合、-CH3に帰属される23ppmのシグナルを用いれば良い。
用いる13C固体NMR測定の条件は例えば以下の通りである。
装置 :Bruker Biospin Avance500WB
周波数 :125.77MHz
測定方法 :DD/MAS法
待ち時間 :75sec
NMR試料管 :4mmφ
積算回数 :640回(約14Hr)
MAS :14,500Hz
化学シフト基準:グリシン(外部基準:176.03ppm)
セルロースの結晶形としては、I型、II型、III型、IV型などが知られている。I型及びII型は汎用されており、III型及びIV型は工業スケールでは汎用されていない。エステル化パルプの結晶形は、構造上の可動性が高い点、線膨張係数が低く、引張強度、曲げ強度及び曲げ伸度が高い点で、好ましくはI型又はII型、より好ましくはI型である。
エステル化に供するパルプの結晶化度は、補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、一態様において、60%以上、又は70%以上、又は80%以上であり、樹脂への分散性に優れるエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、一態様において、98%以下、又は90%以下、又は85%以下であってよい。上記結晶化度は、一態様においてセルロースI型の結晶化度である。
エステル化パルプの結晶化度は、補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、一態様において、60%以上、又は70%以上、又は80%以上であり、樹脂への分散性に優れるエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、一態様において、98%以下、又は90%以下、又は85%以下であってよい。上記結晶化度は、一態様においてセルロースI型の結晶化度である。
本開示で、結晶化度は、セルロースがセルロースI型結晶(天然セルロース由来)である場合には、サンプルを広角X線回折により測定した際の回折パターン(2θ/deg.が10~30)からSegal法により、以下の式で求められる。
結晶化度(%)=([2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]-[2θ/deg.=18の非晶質に起因する回折強度])/[2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]×100
また結晶化度は、セルロースがセルロースII型結晶(再生セルロース由来)である場合には、広角X線回折において、セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=12.6°における絶対ピーク強度h0 とこの面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1 とから、下記式によって求められる。
結晶化度(%) =h1 /h0 ×100
<解繊工程>
本工程では、エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する。一態様においては、上述のエステル化パルプを、解繊溶媒中、典型的にはスラリー形態で、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル等の粉砕法により解繊してエステル化セルロースナノファイバーを得る。
エステル化パルプのエステル化度(DSp)と、本工程を経て得られるエステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とは、下記式:
0.2≦DSn/DSp≦0.9
の関係を満たす。すなわち本工程では、パルプからナノファイバーへの解繊の際に、エステル化度を解繊前の0.2倍~0.9倍に低減する。エステル化度を上記特定の割合で低減して得られるエステル化セルロースナノファイバーは、比較的低い範囲にあり且つ均一な(すなわち分布が狭い)DSを有し得ることから、補強効果及び樹脂への分散性の両立において有利である。DSn/DSp比は、樹脂への分散性に優れるエステルセルロースナノファイバーを得る観点から、一態様において、0.2以上、又は0.3以上、又は0.4以上であり、補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、一態様において、0.9以下、又は0.8以下、又は0.7以下である。
エステル化度を上記特定の割合で低減する方法としては、これらに限定されないが例えば以下が挙げられる。
[エステル化度低減方法-1]
本方法では、解繊工程における解繊度合を調整してエステル化セルロースナノファイバーの露出面のエステル化度を調整することによって、DSn、又はDSn/DSp比を調整する。例えば、表面に内部と比べて高DSの領域を有するエステル化パルプを解繊すると、パルプ表面由来の高DSセルロース分子が露出したナノファイバーと、パルプ内部由来の低DSセルロース分子が露出したナノファイバーとを含むナノファイバー群が生成する。パルプ表面由来のナノファイバーが少量、パルプ内部由来のナノファイバーが多量であることで、ナノファイバー群のエステル化度(DSn)はDSpと比べて低い値となる。
解繊度合を調整する具体的な手順としては、解繊工程におけるスラリー形態での高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイタイザー、ボールミル等を用いた粉砕時に、処理時間を含む条件を変えることによってエステル化セルロースナノファイバーの繊維径を調節することが挙げられる。また、樹脂混練時の混練条件を変えることでエステル化セルロースナノファイバーの繊維径を調節することによっても解繊度合を調整できる。
一態様においては、エステル化パルプの平均繊維径が5μm~30μmであり、且つエステル化セルロースナノファイバーの平均繊維径が50nm~1000nmであることによって、DS/DS比が制御されてよい。
エステル化に供するパルプの平均繊維径は、好ましくは、5μm以上、又は15μm以上、又は20μm以上であり、好ましくは、30μm以下、又は25μm以下、又は20μm以下である。
エステル化パルプの平均繊維径は、好ましくは、5μm以上、又は15μm以上、又は20μm以上であり、好ましくは、30μm以下、又は25μm以下、又は20μm以下である。
エステル化セルロースナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは、50nm以上、又は80nm以上、又は100nm以上であり、好ましくは、1000nm以下、又は500nm以下、又は200nm以下である。
[エステル化度低減方法-2]
本方法では、解繊工程において、解繊開始前にエステル化パルプ中の高エステル化度成分(本開示で、高DS成分ともいう。)の少なくとも一部を除去することによって、DSnを調整する。高DS成分のエステル化度は、一態様において、1.5以上、又は1.6以上、又は1.7以上であり、一態様において、3.0以下、又は2.9以下、又は2.8以下である。高DS成分を除去することによって、DSが比較的低い範囲にあり且つ均一である(すなわちDS分布が狭い)ことで補強効果に優れるエステル化セルロースナノファイバーが得られる。
一態様においては、高DS成分を精製溶媒に溶解させて除去することによって精製を行う。精製溶媒に溶解させた高DS成分を、例えば濾過によってエステル化パルプから分離してよい。高DS成分を溶解させる溶媒(本開示で、高DS成分溶解性溶媒ともいう。)を用いる方法は、パルプ表面に付着した高DS成分を高効率で除去できる点で好ましい。高DS成分溶解性溶媒を用いる場合、精製のタイミングとしては、精製効率の観点から、解繊前又は解繊後が好ましい。
高DS成分溶解性溶媒は、解繊溶媒と同種又は異種であってよい。例えば、解繊前に高DS成分溶解性溶媒中に高DS成分を溶解除去した後、解繊溶媒に溶媒置換して解繊を行ってよく、解繊溶媒中での解繊後、高DS成分溶解性溶媒に溶媒置換して高DS成分を溶解除去してもよく、解繊溶媒中での解繊後、高DS成分溶解性溶媒を加えて、混合溶媒で高DS成分を溶解除去してもよい。
高DS成分溶解性溶媒は、好ましくは、ケトン、エステル、含窒素化合物、含硫黄化合物、エーテル、及びハロゲン化炭化水素からなる群から選択される1種以上を含む。このような溶媒にエステル化パルプを浸漬することによって、高DS成分を除去してよい。高DS成分の溶解性を有する範囲においては、これら以外の溶媒を含んでもよい。
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等が挙げられる。
エステルとしては、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、炭酸プロピレン等が挙げられる。
含窒素化合物としては、ニトロメタン、アセトニトリル、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
エーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジオキソラン等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。
[高DS成分の分散剤としての作用]
一方、一態様においては、エステル化パルプ中の高DS成分の存在が好ましい場合がある。高DS成分は、その疎水性に起因して、エステル化セルロースナノファイバーの樹脂への分散性を向上させる分散剤として機能できる。したがって、高DS成分を含むエステル化パルプの解繊によって得られるエステル化セルロースナノファイバーによれば、高DS成分による分散性向上効果と、高DS成分以外による補強効果とが両立され得る。但し、補強効果を良好に維持する観点から、高DS成分の量は少量であることが好ましい。
例えば、上記[エステル化度低減方法-1]によれば、エステル化パルプ表面由来のエステル化セルロースナノファイバーが所望の分散剤効果を有し得る。また、上記[エステル化度低減方法-2]によれば、高DS成分の一部のみを除去し、所望量を残存させたエステル化パルプの表面由来のエステル化セルロースナノファイバーが所望の分散剤効果を有し得る。エステル化度低減方法、及びエステル化パルプ中に残存させる高DS成分の量は、目的に応じて選択され得る。
≪エステル化セルロースナノファイバー≫
本発明の一態様は、
全体エステル化度(DSn)が、0.4~1.0であり、
表面エステル化度指標(Rns)と全体エステル化度(DSn)とが、下記式:
0.8≦Rns/DSn≦1.4
の関係を満たす、エステル化セルロースナノファイバーを提供する。当該エステル化セルロースナノファイバーは、比較的低く且つ狭分布のDSを有することにより、補強効果と樹脂への分散性とを高度に両立し得る。当該エステル化セルロースナノファイバーは、一態様において、本実施形態のエステル化セルロースナノファイバーの製造方法によって製造できる。
エステル化セルロースナノファイバーの全体エステル化度(DSn)は、樹脂への分散性、耐熱性等が良好である点で、好ましくは、0.4以上、又は0.6以上、又は0.8以上であり、補強効果が良好である点で、好ましくは、1.0以下、又は0.95以下、又は0.90以下である。
エステル化セルロースナノファイバーの表面エステル化度指標(Rns)は、樹脂への分散性、耐熱性等が良好である点で、好ましくは、0.1以上、又は0.2以上、又は0.3以上であり、補強効果が良好である点で、好ましくは、1.5以下、又は1.3以下、又は1.0以下である。
ns/DSn比は、DS分布が狭く補強効果及び樹脂への分散性が安定して得られる点で、好ましくは、0.8~1.4、又は0.85~1.3、又は0.9~1.2である。
エステル化セルロースナノファイバーの平均繊維径は、一態様において、2~1000nmであり、好ましくは4nm以上、又は5nm以上、又は10nm以上、又は15nm以上、又は20nm以上、又は50nm以上、又は100nm以上であり、好ましくは500nm以下、又は450nm以下、又は400nm以下、又は350nm以下、又は300nm以下、又は250nm以下、又は200nm以下である。
一態様において、エステル化セルロースナノファイバーの繊維径(D)、繊維長(L)、及びL/D比は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて以下の手順で測定される値である。セルロースの水分散液をtert-ブタノールで置換し、0.001~0.1質量%まで希釈し、高剪断ホモジナイザー(例えばIKA製、商品名「ウルトラタラックスT18」)を用い、処理条件:回転数15,000rpm×3分間で分散させ、オスミウム蒸着したシリコン基板上にキャストし、風乾したものを測定サンプルとし、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で計測して求める。具体的には、少なくとも100本の繊維状物質が観測されるように倍率が調整された観察視野にて、無作為に選んだ100本の繊維状物質の繊維長(L)及び繊維径(D)を計測し、比(L/D)を算出する。セルロースについて、繊維長(L)の数平均値、繊維径(D)の数平均値、及び比(L/D)の数平均値を算出する。
エステル化セルロースナノファイバーの結晶化度は、耐熱性、機械強度及び寸法安定性に優れる樹脂組成物を得る観点から、好ましくは、55%以上、又は60%以上、又は70%以上、又は80%以上である。結晶化度がこの範囲にあると、セルロース自体の力学物性(耐熱性、強度、寸法安定性)が高いため、セルロースを樹脂に分散した際に、樹脂組成物の耐熱性、強度、寸法安定性が高い傾向にある。結晶化度は高い方が好ましいが、生産上の観点から好ましい上限は99%である。上記結晶化度は、一態様においてセルロースI型の結晶化度である。
エステル化セルロースナノファイバーの重合度は、機械的特性発現の観点から、好ましくは、100以上、又は150以上、又は200以上、又は300以上、又は400以上であり、加工性の観点から、好ましくは、3500以下、又は3300以下、又は3200以下、又は3100以下、又は3000以下である。
セルロースの重合度は、「第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)」の確認試験(3)に記載の銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従って測定される平均重合度を意味する。
一態様において、エステル化セルロースナノファイバーの重量平均分子量(Mw)は100000以上であり、より好ましくは200000以上である。重量平均分子量と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は6以下であり、好ましくは5.4以下である。重量平均分子量が大きいほどセルロース分子の末端基の数は少ないことを意味する。また、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は分子量分布の幅を表すものであることから、Mw/Mnが小さいほどセルロース分子の末端の数は少ないことを意味する。セルロース分子の末端は熱分解の起点となるため、セルロース分子の重量平均分子量が大きいだけでなく、重量平均分子量が大きいと同時に分子量分布の幅が狭い場合に、特に高耐熱性のセルロース、及びセルロースと樹脂とを含む樹脂組成物が得られる。エステル化セルロースナノファイバーの重量平均分子量(Mw)は、セルロース原料の入手容易性の観点から、例えば600000以下、又は500000以下であってよい。重量平均分子量と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)はエステル化セルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、例えば1.5以上、又は2以上であってよい。Mwは、目的に応じたMwを有するセルロース原料を選択すること、セルロース原料に対して物理的処理及び/又は化学的処理を適度な範囲で適切に行うこと、等によって上記範囲に制御できる。Mw/Mnもまた、目的に応じたMw/Mnを有するセルロース原料を選択すること、セルロース原料に対して物理的処理及び/又は化学的処理を適度な範囲で適切に行うこと、等によって上記範囲に制御できる。Mwの制御、及びMw/Mnの制御の両者において、上記物理的処理としては、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル等の乾式粉砕若しくは湿式粉砕、擂潰機、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波装置等による衝撃、剪断、ずり、摩擦等の機械的な力を加える物理的処理を例示でき、上記化学的処理としては、蒸解、漂白、酸処理、再生セルロース化等を例示できる。
ここでいうエステル化セルロースナノファイバーの重量平均分子量及び数平均分子量とは、エステル化セルロースナノファイバーを塩化リチウムが添加されたN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させたうえで、N,N-ジメチルアセトアミドを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィによって求めた値である。
エステル化セルロースナノファイバーの重合度(すなわち平均重合度)又は分子量を制御する方法としては、解繊工程後の加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロース、リグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、後記の混合工程中等の、セルロースに機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。
一態様において、エステル化セルロースナノファイバーは、アルカリ可溶多糖類を含み得る。アルカリ可溶多糖類は、ヘミセルロースのほか、β-セルロース及びγ-セルロースも包含する。アルカリ可溶多糖類とは、植物(例えば木材)を溶媒抽出及び塩素処理して得られるホロセルロースのうちのアルカリ可溶部として得られる成分(すなわちホロセルロースからα-セルロースを除いた成分)として当業者に理解される。アルカリ可溶多糖類は、水酸基を含む多糖であり、エステル化セルロースナノファイバーの耐熱性低下、物性低下、変色、樹脂への分散性低下等の原因となり得ることから、エステル化セルロースナノファイバー中のアルカリ可溶多糖類含有量は少ない方が好ましい。
一態様において、エステル化パルプ中及びエステル化セルロースナノファイバー中の各々のアルカリ可溶多糖類平均含有率は、エステル化パルプ及びエステル化セルロースナノファイバーの良好な機能を維持する観点から、エステル化パルプ又はエステル化セルロースナノファイバー100質量%に対して、好ましくは、20質量%以下、又は18質量%以下、又は15質量%以下、又は12質量%以下、又は11質量%以下、又は8質量%以下である。上記含有率は、エステル化パルプ及びエステル化セルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は6質量%以上であってもよい。一態様において、セルロース原料中のアルカリ可溶多糖類平均含有率は、13質量%以下、又は12質量%以下、又は11質量%以下、又は8質量%以下であってよく、最も好ましくは0質量%であるが、セルロース原料の入手容易性の観点から、例えば3質量%以上、又は6質量%以上であってもよい。
アルカリ可溶多糖類平均含有率は、非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92~97頁、2000年)に記載の手法より求めることができ、ホロセルロース含有率(Wise法)からαセルロース含有率を差し引くことで求められる。なおこの方法は当業界においてヘミセルロース量の測定方法として理解されている。1つのサンプルにつき3回アルカリ可溶多糖類含有率を算出し、算出したアルカリ可溶多糖類含有率の数平均をアルカリ可溶多糖類平均含有率とする。
一態様において、エステル化セルロースナノファイバー中の酸不溶成分平均含有率は、セルロースの耐熱性低下及びそれに伴う変色を回避する観点から、エステル化セルロースナノファイバー100質量%に対して、好ましくは、10質量%以下、又は5質量%以下、又は3質量%以下である。上記含有率は、エステル化セルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってもよい。
酸不溶成分平均含有率は、非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92~97頁、2000年)に記載のクラーソン法を用いた酸不溶成分の定量として行う。なおこの方法は当業界においてリグニン量の測定方法として理解されている。硫酸溶液中でサンプルを撹拌してセルロース及びヘミセルロース等を溶解させた後、ガラスファイバーろ紙で濾過し、得られた残渣が酸不溶成分に該当する。この酸不溶成分重量より酸不溶成分含有率を算出し、そして、3サンプルについて算出した酸不溶成分含有率の数平均を酸不溶成分平均含有率とする。
一態様においては、高セルロース純度のエステル化セルロースナノファイバーを得る観点から、エステル化セルロースナノファイバーのアルカリ可溶多糖類平均含有率及び/又は酸不溶成分平均含有率は、アルカリ可溶多糖類平均含有率及び/又は酸不溶成分平均含有率が低いエステル化パルプを用いることによって低減されていてよい。例えば、アルカリ可溶多糖類平均含有率が低い点で、エステル化パルプの好適例はエステル化リンターである。
高セルロース純度のエステル化パルプは、機械特性に優れるエステル化セルロースナノファイバーを与えることができる一方、エステル化の制御、特に均一なエステル化が難しい傾向がある。本実施形態に係るエステル化パルプ及びエステル化セルロースナノファイバーは、高セルロース純度でありながら均一にエステル化されていることができ、外観、平滑性及び機械特性に優れる成形体の形成に寄与する。
一態様において、エステル化パルプ及びエステル化セルロースナノファイバーのセルロース純度は、50質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上である。セルロース純度は、好ましい一態様においては100質量%であるが、エステル化パルプ及びエステル化セルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、一態様においては、98質量%以下、又は95質量%以下、又は93質量%以下である。本開示のセルロース純度は、上記構成糖分析におけるグルコース含有率から測定される値である。
≪樹脂組成物の製造方法≫
本発明の一態様はまた、エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物の製造方法を提供する。
樹脂組成物全体100質量%に対するエステル化セルロースナノファイバーの量は、エステル化セルロースナノファイバーによる良好な補強効果を得る観点から、好ましくは、0.1質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1質量%以上、又は3質量%以上であり、樹脂本来の特性を良好に保持する観点から、好ましくは、30質量%以下、又は25質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下である。
樹脂組成物全体100質量%に対する樹脂の量は、樹脂本来の特性を良好に保持する観点から、好ましくは、20質量%以上、又は30質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上であり、樹脂以外の所望の成分を適宜含有させる観点から、好ましくは、99.9質量%以下、又は99.5質量%以下、又は99質量%以下、又は97質量%以下、又は95質量%以下、又は90質量%以下である。
<樹脂>
樹脂は、樹脂組成物の使用目的に応じて適宜選択され、例えば、100℃~350℃の範囲内に融点を有する結晶性熱可塑性樹脂、100~250℃の範囲内にガラス転移温度を有する非晶性熱可塑性樹脂等であってよい。樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂及びこれらの2種以上の混合物を例示でき、取り扱い性及びコストの観点から、好ましくはポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂等が挙げられ、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリアセタール系樹脂はより好ましく、ポリアミド系樹脂及びポリアセタール系樹脂は特に好ましい。熱可塑性樹脂(特に結晶性樹脂)の融点は、樹脂組成物の耐熱性を高める観点から、好ましくは、140℃以上、又は150℃以上、又は160℃以上、又は170℃以上、又は180℃以上、又は190℃以上、又は200℃以上、又は210℃以上、220℃以上、又は230℃以上、又は240℃以上、又は245℃以上、又は250℃以上である。
熱可塑性樹脂の融点としては、例えば比較的低融点の樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂)について、150℃~190℃、又は160℃~180℃、また例えば比較的高融点の樹脂(例えばポリアミド系樹脂)について、220℃~350℃、又は230℃~320℃、を例示できる。
本開示で、樹脂の融点とは、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて、23℃から10℃/分の昇温速度で昇温した際に現れる吸熱ピークのピークトップ温度を指し、吸熱ピークが2つ以上現れる場合は、最も高温側の吸熱ピークのピークトップ温度を指す。
本開示で、樹脂のガラス転移温度とは、動的粘弾性測定装置を用いて、23℃から2℃/分の昇温速度で昇温しながら、印加周波数10Hzで測定した際に、貯蔵弾性率が大きく低下し、損失弾性率が最大となるピークのピークトップの温度をいう。損失弾性率のピークが2つ以上現れる場合は、最も高温側のピークのピークトップ温度を指す。
熱可塑性樹脂として好ましいポリオレフィン系樹脂は、オレフィン類(例えばα-オレフィン類)やアルケン類をモノマー単位として重合して得られる高分子である。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(例えば線状低密度ポリエチレン)、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等に例示されるエチレン系(共)重合体、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体等に例示されるポリプロピレン系(共)重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等に代表されるエチレン等α-オレフィンの共重合体等が挙げられる。
ここで最も好ましいポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンが挙げられる。特に、ISO1133に準拠して230℃、荷重21.2Nで測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が、3g/10分以上30g/10分以下であるポリプロピレンが好ましい。MFRの下限値は、より好ましくは5g/10分であり、さらにより好ましくは6g/10分であり、最も好ましくは8g/10分である。また、上限値は、より好ましくは25g/10分であり、さらにより好ましくは20g/10分であり、最も好ましくは18g/10分である。MFRは、組成物の靱性向上の観点から上記上限値を超えないことが望ましく、組成物の流動性の観点から上記下限値を超えないことが望ましい。
また、セルロースとの親和性を高めるため、酸変性されたポリオレフィン系樹脂も好適に使用可能である。この際の酸としては、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、フタル酸及び、これらの無水物、並びにクエン酸等のポリカルボン酸から、適宜選択可能である。これらの中でも好ましいのは、変性率の高めやすさから、マレイン酸又はその無水物である。変性方法については特に制限はないが、過酸化物の存在下又は非存在下で融点以上に加熱して溶融混練する方法が一般的である。酸変性するポリオレフィン樹脂としては前出のポリオレフィン系樹脂はすべて使用可能であるが、ポリプロピレンが中でも好適に使用可能である。酸変性されたポリプロピレンは、単独で用いても構わないが、樹脂全体としての変性率を調整するため、変性されていないポリプロピレンと混合して使用することがより好ましい。この際のすべてのポリプロピレンに対する酸変性されたポリプロピレンの割合は、0.5質量%~50質量%である。より好ましい下限は、1質量%であり、更に好ましくは2質量%、更により好ましくは3質量%、特に好ましくは4質量%、最も好ましくは5質量%である。また、より好ましい上限は、45質量%であり、更に好ましくは40質量%、更により好ましくは35質量%、特に好ましくは30質量%、最も好ましくは20質量%である。樹脂とセルロースとの界面強度を維持するためには、下限以上が好ましく、樹脂としての延性を維持するためには、上限以下が好ましい。
酸変性されたポリプロピレンのISO1133に準拠して230℃、荷重21.2Nで測定されたメルトマスフローレイト(MFR)は、セルロース界面との親和性を高めるため、50g/10分以上であることが好ましい。より好ましい下限は100g/10分であり、更により好ましくは150g/10分、最も好ましくは200g/10分である。上限は特にないが、機械的強度の維持から500g/10分である。MFRをこの範囲内とすることにより、セルロースと樹脂との界面に存在しやすくなるという利点を享受できる。
ポリアミド系樹脂としては、ラクタム類の重縮合反応により得られるポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12や、1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、2-メチル-1-6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,7-ヘプタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、m-キシリレンジアミン等のジアミン類と、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ベンゼン-1,2-ジカルボン酸、ベンゼン-1,3-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4ジカルボン酸等、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸等のジカルボン酸類との共重合体として得られるポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,11、ポリアミド6,12、ポリアミド6,T、ポリアミド6,I、ポリアミド9,T、ポリアミド10,T、ポリアミド2M5,T、ポリアミドMXD,6、ポリアミド6、C、ポリアミド2M5,C及び、これらがそれぞれ共重合された共重合体、一例としてポリアミド6,T/6,I等の共重合体が挙げられる。
これらポリアミド系樹脂の中でも、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,11、ポリアミド6,12といった脂肪族ポリアミドや、ポリアミド6,C、ポリアミド2M5,Cといった脂環式ポリアミドがより好ましい。
ポリアミド系樹脂の末端カルボキシル基濃度には特に制限はないが、好ましくは、20μモル/g以上、又は25μモル/g以上であってよく、好ましくは、150μモル/g以下、又は100μモル/g以下であってよい。
ポリアミド系樹脂の末端アミノ基濃度は、好ましくは、20μモル/g以上、又は30μモル/g以上であってよく、好ましくは、150μモル/g以下、又は100μモル/g以下であってよい。
ポリアミド系樹脂の末端アミノ基と末端カルボキシル基との合計濃度に特に制限はないが、好ましくは、10μモル/g以上、又は50μモル/g以上、又は100μモル/g以上、又は135μモル/g以上であってよく、樹脂が過度に低分子量になることによる粘度低下を防止して成形時のバリ発生等を抑制する観点から、好ましくは、500μモル/g以下、又は300μモル/g以下、又は135μモル/g以下、又は100μモル/g以下であってよい。
ポリアミド系樹脂の、カルボキシル末端基に対するアミノ末端基比率([NH2]/[COOH])は、好ましくは、1.00超、又は1.01以上、又は1.05以上、又は1.10以上である。アミノ末端基比率上限には特に制限はないが、樹脂組成物の色調を良好に維持する観点からは、好ましくは、10000以下、又は1000以下、又は100以下、又は10以下であってよい。
ポリアミド系樹脂の末端基濃度の調整方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリアミドの重合時に所定の末端基濃度となるように、ジアミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル、モノアルコール等の末端基と反応する末端調整剤を重合液に添加する方法が挙げられる。
ポリアミド系樹脂のアミノ末端基及びカルボキシル末端基の濃度は、1H-NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値から求めることができる。具体的には、特開平7-228775号公報に記載された方法が推奨される。
ポリアミド系樹脂は、濃硫酸中30℃の条件下で測定した固有粘度[η]が、0.6~2.0dL/gであることが好ましく、0.7~1.4dL/gであることがより好ましく、0.7~1.2dL/gであることが更に好ましく、0.7~1.0dL/gであることが特に好ましい。上記範囲の固有粘度を有するポリアミドを使用すると、樹脂組成物の射出成形時の金型内流動性を高め、成形片の外観を向上させるという利点が得られる。
本開示において、「固有粘度」とは、一般的に極限粘度と呼ばれている粘度と同義であり、例えば、Polymer Process Engineering(Prentice-Hall,Inc 1994)の291ページ~294ページ等に記載される方法で測定できる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。ポリエステル系樹脂としては、より好ましくは、PET、PBS、PBSA、PBT、PENが挙げられ、更に好ましくは、PBS、PBSA、PBTが挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂は、重合時のモノマー比率や末端安定化剤の添加の有無や量によって、末端基を自由に変えることが可能であるが、該ポリエステル系樹脂の全末端基に対するカルボキシル末端基比率([COOH]/[全末端基])が、0.30~0.95であることがより好ましい。カルボキシル末端基比率下限は、より好ましくは0.35であり、さらにより好ましくは、0.40であり、最も好ましくは0.45である。また、カルボキシル末端基比率上限は、より好ましくは0.90であり、さらにより好ましくは、0.85であり、最も好ましくは0.80である。上記カルボキシル末端基比率は、セルロースの組成物中への分散性の観点から0.30以上とすることが望ましく、得られる組成物の色調の観点から0.95以下とすることが望ましい。
ポリアセタール系樹脂としては、ホルムアルデヒドを原料とするホモポリアセタールと、トリオキサンを主モノマーとし、1,3-ジオキソランをコモノマー成分として含むコポリアセタールが一般的であり、両者とも使用可能であるが、加工時の熱安定性の観点から、コポリアセタールが好ましく使用できる。特に、コモノマー成分(例えば1,3-ジオキソラン)由来構造の量としては0.01~4モル%の範囲内がより好ましい。コモノマー成分由来構造の量の好ましい下限量は、0.05モル%であり、より好ましくは0.1モル%であり、さらにより好ましくは0.2モル%である。また好ましい上限量は、3.5モル%であり、さらに好ましくは3.0モル%であり、さらにより好ましくは2.5モル%、最も好ましくは2.3モル%である。
押出加工や成形加工時の熱安定性の観点から、下限は上述の範囲内とすることが望ましく、機械的強度の観点より、上限は上述の範囲内とすることが望ましい。
樹脂としては、セルロースとの親和性の観点から、親水性基(例えば、水酸基、アミノ基及びカルボキシ基から選ばれる1種以上)を有する樹脂が特に好ましい。親水性基を有する樹脂の好適例は、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上である。中でもポリアミド系樹脂及びマレイン化ポリプロピレンが好ましい。
<追加の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、その性能を向上させるために、必要に応じて追加の成分をさらに含んでも良い。追加の成分としては、分散剤;セルロース以外のフィラー成分;相溶化剤;可塑剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;ゼオライト、セラミックス、タルク、シリカ、金属酸化物、金属粉末等の無機化合物;着色剤;香料;顔料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;酸化防止剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;紫外線分散剤;消臭剤等が挙げられる。任意の追加の成分の樹脂組成物中の含有割合は、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で適宜選択されるが、例えば0.01~50質量%、又は0.1~30質量%であってよい。
分散剤としては、セルロースの水酸基と反応又は水素結合し得る化合物が好ましい。分散剤の好適例は、セルロース誘導体、ポリアルキレンオキシド、アミド及びアミンからなる群から選択される1種以上である。中でも、セルロース誘導体は、セルロース系物質であることからセルロースとの親和性が高い一方で、熱可塑性樹脂でもあることから、樹脂組成物中でのセルロースの分散安定性向上効果が高く好ましい。分散剤としては、水より高い沸点を有するものが好ましい。なお、水よりも高い沸点とは、水の蒸気圧曲線における各圧力における沸点(例えば、1気圧下では100℃)よりも高い沸点を指す。
樹脂組成物中、セルロース100質量部に対する分散剤の量は、セルロースの良好な分散及びネットワーク形成の観点から、好ましくは、1質量部以上、又は5質量部以上、又は10質量部以上、又は20質量部以上であり、樹脂組成物の性能のばらつき低減の観点から、好ましくは、500質量部以下、又は300質量部以下、又は200質量部以下である。
以下、樹脂組成物の製造方法の工程例について説明する。
[方法1]
一態様において、樹脂組成物の製造方法は、
セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
エステル化パルプを解繊しながら樹脂と混合することによって、エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物を生成する解繊混合工程と、
を含む。
変性工程は、前述の≪エステル化セルロースナノファイバーの製造方法≫における<変性工程>と同様に行ってよい。したがって、エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、エステル化パルプのエステル化度(DSp)とエステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが、下記式:0.2≦DSn/DSp≦0.9 の関係を満たしてよい。
解繊混合工程では、エステル化パルプを樹脂と混合するとともに解繊する。具体的には、上述のエステル化パルプを、熱可塑性樹脂と共に、ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサ又は押出機等の混練手段により解繊することができる。
[方法2]
一態様において、樹脂組成物の製造方法は、
セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する解繊工程と、
解繊工程で得たエステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを混合する混合工程と、
を含む。
変性工程は、前述の≪エステル化セルロースナノファイバーの製造方法≫における<変性工程>と同様に行ってよい。したがって、エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、エステル化パルプのエステル化度(DSp)とエステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが、下記式:0.2≦DSn/DSp≦0.9 の関係を満たしてよい。
解繊工程は、前述の≪エステル化セルロースナノファイバーの製造方法≫における<解繊工程>と同様に行ってよい。
混合工程では、解繊工程で得たエステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを混合して樹脂組成物を生成する。エステル化セルロースナノファイバーは、乾燥体又はスラリー(例えば水分散体)の形態で、樹脂と溶融混練してよい。溶融混練時の加熱温度は、使用する樹脂に合わせて調整することができ、樹脂の融点以上であるが当該融点を大幅に上回らない温度が好ましい。加熱温度は、好ましくは、樹脂の融点以上、又は当該融点+20℃以上、又は当該融点+30℃以上、又は当該融点+40℃以上であり、樹脂組成物の熱劣化抑制の観点から、好ましくは、当該融点+90℃以下、又は当該融点+80℃以下、又は当該融点+70℃以下である。上記融点は、樹脂組成物が複数種の熱可塑性樹脂を含む場合には最も高温側の融点を意味する。なお、熱可塑性樹脂供給業者が推奨する最低加工温度は、ナイロン66では255~270℃、ナイロン6では225~240℃、ポリアセタール樹脂では170℃~190℃、ポリプロピレンでは160~180℃である。加熱設定温度は、これらの推奨最低加工温度より20℃高い温度の範囲であってよい。
溶融混練に供される混合物の水分率は、好ましくは、0.2質量%以下、又は0.1質量%以下、又は0.07質量%以下である。上記水分率は、工程管理容易性の観点から、例えば、0.001質量%以上であってよい。
溶融混練には、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用できるが、二軸押出機がセルロースの分散性を制御する上で好ましい。押出機のシリンダー長(L)をスクリュー径(D)で除したL/Dは、40以上が好ましく、特に好ましくは50以上である。また、混練時のスクリュー回転数は、100~800rpmの範囲が好ましく、より好ましくは150~600rpmの範囲内である。これらはスクリューのデザインにより、変化する。樹脂組成物の熱劣化を抑制する観点から、弱練り(すなわち、小剪断力下での混練)が好適である。弱練りは、例えば、押出機のスクリュー構成において搬送ゾーンを多く設けること、スクリューの回転数を小さくすること等によって実現できる。押出機のシリンダー内の各スクリューは、楕円形の二翼のねじ形状のフルフライトスクリュー、ニーディングディスクと呼ばれる混練エレメント、等を組み合わせて最適化される。
≪樹脂組成物の形状≫
本実施形態の樹脂組成物は、種々の形状での提供が可能である。具体的には、樹脂ペレット状、シート状、繊維状、板状、棒状等が挙げられるが、樹脂ペレット形状が、後加工の容易性及び運搬の容易性から好ましい。好ましい樹脂ペレット形状としては、丸型、楕円型、円柱型などが挙げられ、形状は押出加工時のカット方式により異なってよい。例えば、アンダーウォーターカットと呼ばれるカット方法で切断されたペレットは、丸型になることが多く、ホットカットと呼ばれるカット方法で切断されたペレットは丸型又は楕円型になることが多く、ストランドカットと呼ばれるカット方法で切断されたペレットは円柱状になることが多い。丸型ペレットの好ましいペレット直径は、1mm以上3mm以下である。円柱状ペレットの好ましい直径は、1mm以上3mm以下であり、好ましい長さは、2mm以上10mm以下である。上記の直径及び長さは、押出時の運転安定性の観点から、下限以上とすることが望ましく、後加工での成形機への噛み込み性の観点から、上限以下とすることが望ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、種々の樹脂成形体として利用可能である。樹脂成形体の製造方法に特に制限はないが、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、インフレーション成形法、発泡成形法などが使用可能である。これらの中では射出成形法がデザイン性及びコストの観点から特に好ましい。
≪樹脂組成物の用途≫
本実施形態の方法で得られる樹脂組成物は、鋼板、繊維強化プラスチック(例えば炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック等)、無機フィラーを含む樹脂コンポジット、等の代替品として有用である。樹脂組成物の好適な用途としては、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両・船舶・航空宇宙関連部品、電子・電気部品、建築・土木材料、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材、容器・包装部材、等を例示できる。
≪樹脂組成物の特性≫
<引張降伏強度>
本実施形態の樹脂組成物の引張降伏強度は、一態様において、70MPa以上、又は80MPa以上、又は90MPa以上であってよく、一態様において、130MPa以下、又は120MPa以下、又は110MPa以下であってよい。
<引張破断伸度>
本実施形態の樹脂組成物の引張破断伸度は、一態様において、2%以上、又は3%以上、又は 4%以上であってよく、一態様において、10%以下、又は 8%以下、又は6%以下であってよい。
引張降伏強度及び引張破断伸度は、ISO294-3に準拠した多目的試験片についてJIS K6920-2に準拠した条件で測定される値である。
以下、本発明の例示の態様について実施例を挙げて更に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
≪評価方法≫
<エステル化パルプ及びエステル化セルロースナノファイバーの平均繊維径及びL/D>
ウェットケーキをtert-ブタノールで0.01質量%まで希釈し、高剪断ホモジナイザー(IKA製、商品名「ウルトラタラックスT18」)を用い、処理条件:回転数25,000rpm×5分間で分散させ、マイカ上にキャストし、風乾したものを、高分解能走査型顕微鏡で測定した。測定は、少なくとも100本のセルロースが観測されるように倍率を調整して行い、無作為に選んだ100本のセルロースの長さ(L)、長径(D)及びこれらの比を求め、100本のセルロースの加算平均を算出した。
<エステル化パルプ及びエステル化セルロースナノファイバーの結晶化度>
[多孔質シートの作製]
まず、ウェットケーキをtert-ブタノール中に添加し、さらにミキサー等で凝集物が無い状態まで分散処理を行った。セルロース固形分重量0.5gに対し、濃度が0.5質量%となるように調整した。得られたtert-ブタノール分散液100gをろ紙上で濾過し、150℃にて乾燥させた後、ろ紙を剥離してシートを得た。このシートの透気抵抗度がシート目付10g/m2あたり100sec/100ml以下のものを多孔質シートとし、測定サンプルとして使用した。
23℃、50%RHの環境で1日静置したサンプルの目付W(g/m2)を測定した後、王研式透気抵抗試験機(旭精工(株)製、型式EG01)を用いて透気抵抗度R(sec/100ml)を測定した。この時、下記式に従い、10g/m2目付あたりの値を算出した。
目付10g/m2あたり透気抵抗度(sec/100ml)=R/W×10
[測定]
上記多孔質シートについて、X線回折測定を行い、下記式より結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=[I(200)-I(amorphous)]/I(200)×100
(200):セルロースI型結晶における200面(2θ=22.5°)による回折ピーク強度
(amorphous):セルロースI型結晶におけるアモルファスによるハローピーク強度であって、200面の回折角度より4.5°低角度側(2θ=18.0°)のピーク強度
(X線回折測定条件)
装置 MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 2θ/θ
線源 CuKα
測定方法 連続式
電圧 40kV
電流 15mA
開始角度 2θ=5°
終了角度 2θ=30°
サンプリング幅 0.020°
スキャン速度 2.0°/min
サンプル:試料ホルダー上に多孔質シートを貼り付け
<エステル化度(DS)>
[エステル化パルプの全体エステル化度(DSp)、エステル化セルロースナノファイバーの全体エステル化度(DSn)]
前述の多孔質シートの5か所のATR-IR法による赤外分光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(JASCO社製 FT/IR-6200)で測定した。赤外分光スペクトル測定は以下の条件で行った。
積算回数:64回、
波数分解能:4cm-1
測定波数範囲:4000~600cm-1
ATR結晶:ダイヤモンド、
入射角度:45°
得られたIRスペクトルよりIRインデックスを、下記式:
IRインデックス= H1730/H1030
に従って算出した。式中、H1730及びH1030は1730cm-1、1030cm-1(セルロース骨格鎖C-O伸縮振動の吸収バンド)における吸光度である。ただし、それぞれ1900cm-1と1500cm-1を結ぶ線と800cm-1と1500cm-1を結ぶ線をベースラインとして、このベースラインを吸光度0とした時の吸光度を意味する。
そして、各測定場所の平均置換度をIRインデックスより下記式(2)に従って算出し、その平均値をDSとした。
DS=4.13×IRインデックス・・・(2)
[エステル化パルプの表面エステル化度指標(Rs)、中心エステル化度指標(Rc)、中間エステル化度指標(Rm)]
エステル化パルプ断面のラマン分光分析を次の通り行った。まず、エステル化パルプをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームにて、パルプの繊維軸方向に対して垂直に切削し、パルプ断面試料を得た。パルプ断面試料に対して、顕微ラマン分光装置(Renishaw社inVia Qontor)にて、下記条件で共焦点測定を行った。
励起光波長:532nm
測定位置での励起光強度:1.5mW
対物レンズ:100倍(NA0.95)
回折格子:1800gr/mm
スキャン方式:点走査マッピング
測定間隔:300nm
露光時間:10秒
積算:2回
上記測定から得られるラマンスペクトルでは、エステル基によるピークが1700~1770cm-1に1本、セルロースによるピークが420~470cm-1に2本観測される。1700~1770cm-1に直線のベースラインを引き、ベースラインより正の領域の面積をエステル基の信号強度IntEstとし、420~470cm-1に直線のベースラインを引き、ベースラインより正の領域の面積をセルロースの信号強度IntCellとして、エステル化度指標をIntEst/IntCellによって得た。
上記から得られるエステル化度指標を測定パルプ断面距離(μm)でマッピングし、右端と左端のエステル化度指標の内、数値が大きい方を表面エステル化度指標(nRs)、繊維径方向のパルプ中心の位置でのエステル化度指標の数値を中心エステル化度指標(nRc)、当該パルプ中心からの繊維半径(μm)×50%の位置のエステル化度指標を中間エステル化度指標(nRm)とした。同サンプル中のパルプ3本を各々測定し、平均した値をエステル化度指標(Rs、Rc、Rm)として使用した。
[エステル化セルロースナノファイバーの表面エステル化度指標(Rns)]
エステル化セルロースナノファイバー断面のラマン分光分析を次の通り行った。まず、エステル化セルロースナノファイバーをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームにて、セルロースナノファイバーの繊維軸方向に対して垂直に切削し、セルロースナノファイバー断面試料を得た。セルロースナノファイバー断面試料に対して、顕微ラマン分光装置(Renishaw社inVia Qontor)にて、下記条件で共焦点測定を行った。
励起光波長:532nm
測定位置での励起光強度:1.5mW
対物レンズ:100倍(NA0.95)
回折格子:1800gr/mm
スキャン方式:点走査マッピング
測定間隔:300nm
露光時間:10秒
積算:2回
上記測定から得られるラマンスペクトルでは、エステル基によるピークが1700~1770cm-1に1本、セルロースによるピークが420~470cm-1に2本観測される。1700~1770cm-1に直線のベースラインを引き、ベースラインより正の領域の面積をエステル基の信号強度IntEstとし、420~470cm-1に直線のベースラインを引き、ベースラインより正の領域の面積をセルロースの信号強度IntCellとして、エステル化度指標をIntEst/IntCellによって得た。
上記から得られるエステル化度指標を測定パルプ断面距離(μm)でマッピングし、パルプ断面距離(μm)全体通じての平均エステル化度指標を計算した。同サンプル中のパルプ3本を各々測定し、平均して得たエステル化度指標をエステル化セルロースナノファイバーの表面エステル化度指標(Rns)として使用した。
<樹脂組成物の引張降伏強度及び引張破断伸度>
樹脂組成物ペレットから、射出成形機を用いISO294-3に準拠した多目的試験片を成形し、JIS K6920-2に準拠した条件でn=10で実施した。引張降伏強度が110MPa以上のものを◎、110MPa未満100MPa以上のものを〇、100MPa未満を×とした。
<成形片外観>
上記多目的試験片の外観を目視で観察した。褐色及び黒色のものを×、それ以外のものを〇とした。
<表面の平滑性>
上記多目的試験片の外観を目視で観察し、表面の凹凸が観察されないものを〇、凹凸が観察されるがその数が多目的試験片の両表面全体の合計で30未満であるものを△、凹凸が観察されその数が多目的試験片の両表面全体の合計で30以上であるものを×とした。
<総合判定>
成形片の引張降伏強度、成形片外観、及び表面平滑性を総合的に判断して、三項目すべてが〇又は◎であり、かつ◎が一個以上あるものを◎とし、三項目すべて〇、又は◎、〇、△が各1個であるものを〇とし、上記以外は×とした。
≪使用材料≫
<樹脂>
ポリアミド6(以下、単にPA6と称す。)
UBEナイロン 1013B(宇部興産株式会社製)
<パルプ>
コットンリンターパルプ(日本紙パルプ商事株式会社より入手)
針葉樹由来漂白クラフトパルプ(NBKP)(日本紙パルプ商事株式会社より入手)
<実施例1>
[アセチル化パルプの製造]
ジャケット付きの40L反応釜に、ジメチルスルホキシド(DMSO)(30kg)を加え、触媒の炭酸カリウム(0.48kg)と、原料パルプとしてのコットンリンターパルプ(1.5kg)を投入して撹拌した。ジャケットに温水を流して、液温45℃まで加温した。反応釜内部を窒素で置換して、酢酸ビニル(1.4kg)を投入した。1時間反応を行い、純水(10kg)を加えて反応を停止した。100Lヌッチェフィルタに濾布(PP9B、中尾フィルター工業社から入手可能)をセットして、純水(50kg)と反応液を投入して室温にて加圧濾過を行った(1回目濾過)。さらに室温にて純水(50kg)による加圧濾過を3回繰り返し(2~4回目濾過)、合計4回の加圧濾過を行い、アセチル化パルプとして得た。得られたアセチル化パルプの各種特性を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
[アセチル化セルロースナノファイバー分散液の製造]
上記で調製したアセチル化パルプを、固形分率が1.5質量%になるように純水中に加え、相川鉄工株式会社製ラボディスクリファイナー(以下、DR)を用いた叩解処理により高度にフィブリル化させた後、そのままの濃度で高圧ホモジナイザー(以下、NS)(操作圧:85MPaにて10回処理)により解繊することで、アセチル化セルロースナノファイバーの分散液を得た。得られたアセチル化セルロースナノファイバーの各種特性を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
[乾燥体の製造]
上記の分散液を濾過して固形分率20質量%のウェットケーク状態とし、上記のアセチル化セルロースナノファイバー(乾燥質量で100質量部)に対して、三洋化成工業株式会社製サンニックスGL-3000(40質量部)を加え、50℃で減圧乾燥して粉体状の混合物を調製した。
[樹脂組成物の製造]
上記で製造した粉体状の混合物と、熱可塑性樹脂(宇部興産株式会社製 UBEナイロン 1013B)とを、セルロース繊維が樹脂組成物中の10質量%となる割合で配合し、下記手順で樹脂組成物を製造した。
(樹脂混練方法)
小型混練機(Xplore instruments社製、製品名「Xplore」)を用いて、260℃、100rpm(シアレート1570(1/s))で5分間循環混練してトルクを確認した。エステル化セルロースナノファイバーの熱可塑性樹脂中での分散性に優れるほど、溶融粘度が高くなる。続いて、ダイスを経てφ1mmの樹脂組成物のストランドを得た。当該ストランドを長さ1cmにカットして得た樹脂組成物ペレットを用い、前述の評価方法に従って引張降伏強度及び引張破断伸度を測定した。降伏に至る前に破断した成形片については、その最大強度を引張降伏強度として代用した。
なお、ポリアミド樹脂は、吸湿による変化が起きるため、成形直後にアルミ防湿袋に保管し、吸湿を抑制した。結果を表2に示す。
<実施例2>
木材パルプを原料パルプとした以外は実施例1と同様の方法で、アセチル化ナノファイバー及び樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例3>
高圧ホモジナイザーでの解繊を行わずにディスクリファイナーによる解繊を行った以外は実施例1と同様の方法で、アセチル化ナノファイバー及び樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例4>
ディスクリファイナー及び高圧ホモジナイザーによる解繊を行わずに乾燥体を作製し、樹脂混練を行うことによってアセチル化パルプの解繊を行った以外は実施例1と同様の方法で、アセチル化ナノファイバー及び樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例5>
アセチル化パルプの調製において、上記「合計4回の加圧濾過」の後、さらに室温にてアセトン(30kg)を加えて加圧濾過を2回繰り返す(アセトンを高DS成分溶解性溶媒として用いる精製)ことで高DS成分を除去し、濾物(すなわち、高DS成分の少なくとも一部が除去されているアセチル化パルプ)をアセチル化パルプとして得た以外は実施例1と同様の方法で、アセチル化ナノファイバー及び樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
木材パルプを原料パルプとし、DMSOに代えてN-メチルピロリドン(NMP)を用い、酢酸ビニルに代えて無水酢酸を用いた以外は実施例4と同様の方法で、アセチル化ナノファイバー及び樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
DMSOに代えてN,N-ジメチルアセトアミドを12kg及び塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムを18kg用い、酢酸ビニルに代えて無水酢酸を用い、液温を90℃に上昇させた以外は実施例1と同様の方法で、アセチル化ナノファイバー及び樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
アセチル化パルプ調製時の反応時間を1時間から30分に変更した以外は実施例1と同様の方法で、アセチル化ナノファイバー及び樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、比較例1及び2では、過剰な化学修飾によってアセチル化がパルプ内部まで均一に進行しており、引張降伏強度及び引張破断伸度が低く、成形片の着色が強く、樹脂組成物の補強効果が低い傾向であった。比較例3では、アセチル化パルプの表面のみの化学修飾となり、未修飾部分が多く存在する為、成形片の着色が強く、樹脂組成物の補強効果が低い傾向であった。一方、実施例1~5では、パルプ断面方向の適度な深さまで化学修飾が進行しており、引張降伏強度及び引張破断伸度が高く、成形片の着色が弱く、樹脂組成物の補強効果が高い傾向であった。
Figure 2023060625000001
Figure 2023060625000002
本開示のエステル化セルロースナノファイバーを含む樹脂組成物は、優れた引張伸度及び剛性を有する成形体を形成し得る得ることから、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両・船舶・航空宇宙関連部品、電子・電気部品、建築・土木材料、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材、容器・包装部材、等の広範な用途に好適に適用され得る。

Claims (14)

  1. セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
    前記エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する解繊工程と、
    を含む、エステル化セルロースナノファイバーの製造方法であって、
    前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、
    前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)と前記エステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが下記式:
    0.2≦DSn/DSp≦0.9
    の関係を満たす、方法。
  2. 前記エステル化に供される前記パルプのセルロースI型の結晶化度が60%以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記エステル化パルプの平均繊維径が5μm~30μmであり、
    前記エステル化セルロースナノファイバーの平均繊維径が50nm~1000nmである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記解繊工程において、解繊度合を調整してエステル化セルロースナノファイバーの露出面のエステル化度を調整することによって前記DSnを調整する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記解繊工程において、解繊開始前に前記エステル化パルプ中の高エステル化度成分を除去することによって、前記DSnを調整する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  6. ケトン、エステル、含窒素化合物、含硫黄化合物、エーテル及びハロゲン化炭化水素からなる群から選択される1種以上を含む溶媒に前記エステル化パルプを浸漬することによって、前記高エステル化度成分を除去する、請求項5に記載の方法。
  7. エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物の製造方法であって、
    セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
    前記エステル化パルプを解繊しながら樹脂と混合することによって、エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物を生成する解繊混合工程と、
    を含み、
    前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、
    前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)と前記エステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが、下記式:
    0.2≦DSn/DSp≦0.9
    の関係を満たす、方法。
  8. エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを含む樹脂組成物の製造方法であって、
    セルロースを含むパルプをエステル化してエステル化パルプを生成する変性工程と、
    前記エステル化パルプを解繊してエステル化セルロースナノファイバーを生成する解繊工程と、
    前記解繊工程で得た前記エステル化セルロースナノファイバーと樹脂とを混合する混合工程と、
    を含み、
    前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)が0.4~2.2であり、
    前記エステル化パルプのエステル化度(DSp)と前記エステル化セルロースナノファイバーのエステル化度(DSn)とが、下記式:
    0.2≦DSn/DSp≦0.9
    の関係を満たす、方法。
  9. 繊維径方向断面において、表面エステル化度指標(Rs)と中心エステル化度指標(Rc)とが、下記式:
    1.3<Rs/Rc<10
    の関係を満たす、エステル化セルロースパルプ。
  10. 前記中心エステル化度指標(Rc)が0.1~1.5である、請求項9に記載のエステル化セルロースパルプ。
  11. 繊維径方向断面において、表面エステル化度指標(Rs)、中心エステル化度指標(Rc)、及び中心から繊維半径×50%の位置の中間エステル化度指標(Rm)が、下記式:
    s/Rm>1
    0.8≦Rm/Rc≦1.5
    の関係を満たす、請求項9又は10に記載のエステル化セルロースパルプ。
  12. セルロースI型の結晶化度が60%以上である、請求項9~11のいずれか一項に記載のエステル化セルロースパルプ。
  13. 全体エステル化度(DSn)が、0.4~1.0であり、
    表面エステル化度指標(Rns)と前記全体エステル化度(DSn)とが、下記式:
    0.8≦Rns/DSn≦1.4
    の関係を満たす、エステル化セルロースナノファイバー。
  14. セルロースI型の結晶化度が60%以上である、請求項13に記載のエステル化セルロースナノファイバー。
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