JP6912299B2 - 冷凍すり身の製造方法および冷凍すり身の添加剤 - Google Patents

冷凍すり身の製造方法および冷凍すり身の添加剤 Download PDF

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Description

本発明は、冷凍すり身の製造方法および冷凍すり身の添加剤に関する。
冷凍すり身の製造方法として、各種類の添加剤を添加する方法が知られている(特許文献1〜4)参照。
特許文献1〜3には、糖類を添加する冷凍すり身の製造方法が記載されている。
特許文献1には、冷凍魚肉すり身の製造に際し、天然セルロースを原料魚肉に対して0.01〜5%添加する冷凍魚肉すり身の製造方法が記載されている。
特許文献2には、低分子化処理ガラクトマンナンを含む食品または食品素材の冷凍変性防止方法が記載されている。
特許文献3には、重合リン酸塩及びスクラロースを含有する魚肉すり身を加工した冷凍食品であって、重合リン酸塩を冷凍食品100質量部中0.05〜0.5質量部含み、スクラロースを重合リン酸塩1質量部に対して0.005〜0.05質量部を含む魚肉すり身を加工した冷凍食品が記載されている。
一方、特許文献4には、糖類を添加しない冷凍すり身の製造方法が記載されている。具体的には、特許文献4には、魚肉を原料とした、添加剤として糖、ソルビトールおよびグルコン酸ナトリウム、ならびに食塩のいずれも添加しない練り製品の製造方法が記載されている。
特開昭59−205963号公報 特許第5416882号 特許第3782360号 特許第4621834号
特許文献4には、クエン酸塩が魚肉由来の筋肉タンパク質の熱変性や凍結変性に優れた効果を有することが記載されている。そして、クエン酸塩を添加して魚肉の冷凍すり身を製造することにより魚肉が生来有する自然な味を引き出した、弾力性に富んだ練り製品を製造することが可能となると記載されている。
魚肉の冷凍すり身を製造する場合、長期間の冷凍貯蔵にも適応でき、かつ、加熱ゲル化して得られる練り製品の破断強度および破断距離が優れることが好ましい。
本発明者が特許文献4を参照し、クエン酸塩を添加して魚肉の冷凍すり身を製造し、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製したところ、従来の糖類を添加剤として魚肉の冷凍すり身を製造する方法に比べ、加熱ゲルの破断強度および破断距離が大きく劣ることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られる冷凍すり身の製造方法、および、冷凍すり身の添加剤を提供することである。
本発明者らが鋭意検討を進めたところ、魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを添加するか、魚肉に対してアミノ酸以外のカルボン酸を4質量%以上添加することによって、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られることを見出すに至った。
上記の課題を解決するための具体的な手段である本発明と本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
[1] 下記工程(A)または下記工程(B)を含む、冷凍すり身の製造方法;
工程(A)魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを添加する;
工程(B)魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸を4質量%以上添加する;
ただし、アミノ酸以外のカルボン酸はその塩および多量体も含み、アミノ酸はその塩および多量体も含む。
[2] 工程(A)を含む、[1]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[3] 魚肉に対するアミノ酸以外のカルボン酸の添加量が0.7〜4質量%であり、
魚肉に対するアミノ酸の添加量が2〜3質量%である、[2]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[4] アミノ酸以外のカルボン酸が、クエン酸Naおよびグルコン酸Naのうち少なくとも一方である、[2]または[3]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[5] 魚肉に対するクエン酸Naの添加量が0.7〜2質量%であり、
魚肉に対するグルコン酸Naの添加量が2〜3質量%である、[4]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[6] アミノ酸が、グルタミン酸Naおよびアスパラギン酸Naのうち少なくとも一方である、[2]〜[5]のいずれか一つに記載の冷凍すり身の製造方法。
[7] 魚肉に対するグルタミン酸Naまたはアスパラギン酸Naの添加量が2〜3質量%である、[6]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[8] 工程(B)を含む、[1]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[9] 魚肉に対するアミノ酸以外のカルボン酸の添加量が4〜6質量%である、[8]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[10] アミノ酸以外のカルボン酸がグルコン酸Naである、[8]または[9]に記載の冷凍すり身の製造方法。
[11] さらに、魚肉に対して、重合リン酸塩を0.2〜0.3質量%添加する、[1]〜[10]のいずれか一つに記載の冷凍すり身の製造方法。
[12] さらに、魚肉に対して、リン酸三Naを0.05〜0.1質量%添加する、[1]〜[11]のいずれか一つに記載の冷凍すり身の製造方法。
[13] 魚肉に対して、糖質を添加しない、[1]〜[12]のいずれか一つに記載の冷凍すり身の製造方法。
[14] アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを含む、冷凍すり身の添加剤;
ただし、アミノ酸以外のカルボン酸はその塩および多量体も含み、アミノ酸はその塩および多量体も含む。
[15] アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸との質量混合比が67:33〜22:78である、[14]に記載の冷凍すり身の添加剤。
[16] 冷凍すり身を加熱した後の破断強度および破断距離の改善剤である、[14]または[15]に記載の冷凍すり身の添加剤。
本発明によれば、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られる冷凍すり身の製造方法、および、冷凍すり身の添加剤を提供できる。
図1は、本発明の冷凍すり身の製造方法の一例を示したフローチャートである。 図2は、原料から冷凍すり身を経由して練り製品を製造し、練り製品の物性測定をする一例を示したフローチャートである。
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特定の数値範囲は、食品分野において許容され得る誤差(例えば±30%、好ましくは±20%、より好ましくは±10%)を含んでいてもよい。例えば、1〜2質量%の数値範囲は、0.7質量%〜2.6質量%まで誤差として許容されてもよい。
[冷凍すり身の製造方法、冷凍すり身の添加剤]
本発明の冷凍すり身の製造方法は、下記工程(A)または下記工程(B)を含む;
工程(A)魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを添加する。
工程(B)魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸を4質量%以上添加する。
本発明の冷凍すり身の添加剤は、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを含む。本発明の冷凍すり身の添加剤は、工程(A)に用いられることが好ましい。
ただし、アミノ酸以外のカルボン酸はその塩および多量体も含み、アミノ酸はその塩および多量体も含む。
これらの構成により、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られる。
魚肉の冷凍すり身を製造する場合、長期間の冷凍貯蔵にも適応でき、かつ、加熱ゲル化して得られる練り製品の破断強度および破断距離が優れることが好ましい。冷凍すり身の製造方法に用いられる添加剤は、冷凍変性防止効果(特にミオシンの冷凍変性防止効果)および加熱ゲル形成能の2つに影響し、加熱ゲル化された練り製品の破断強度および破断距離はこれら2つの影響が反映されて変化する。特許第4621834号には、クエン酸Naの添加によって練り製品の破断強度および破断距離が改善されることを示すデータは無く、加熱ゲル形成能に関するデータも無い。さらに、特許第4621834号には、実際に冷凍すり身を長期間の冷凍貯蔵したデータも無く、クエン酸Naの添加によって冷凍変性防止効果がどの程度あるかについての示唆も無かった。
カルボン酸(アミノ酸以外のカルボン酸、アミノ酸、それらの塩を含む)によって、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られる作用には、水和力が大きく影響すると推測される。
カルボン酸(カルボン酸塩)は自由水に溶けてイオン化し、自由水の構造を安定化させる。一部はタンパク質と結合し、結合水の構造にも影響する。このため、水和力の強弱と添加濃度がタンパク質の変性(凍結および加熱)に大きく影響する。
カルボン酸の水和力はHoffmeisterの順列に従い、代表的なカルボン酸塩の水和力は、クエン酸Na>グルコン酸Na>グルタミン酸Naの順に強い。
なお、本発明は以上の代表的なカルボン酸塩に限定されるものではなく、その他のアミノ酸以外のカルボン酸とアミノ酸を用いる場合であっても、上述の作用機序に基づいて、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルを得るように調整できる。
以下、本発明の好ましい態様について説明する。
冷凍すり身の製造工程を、適宜、図面を参照して説明する。
以下において図面に示した態様を代表例として説明するときがあるが、本発明は図面に示した態様に限定されるものではない。
図1は、本発明の冷凍すり身の製造方法の一例を示したフローチャートである。
図2は、原料から冷凍すり身を経由して練り製品を製造し、練り製品の物性測定をする一例を示したフローチャートである。図2の原料から冷凍すり身を製造するまでの工程に、本発明の冷凍すり身の製造方法を用いることができる。
<魚肉の調製>
(魚種)
すり身の原料である魚種は通常、すり身として使用されているものであれば特に限定されない。
すり身の原料である魚種は、北方系すり身の原料である魚種と、南方系すり身の原料である魚種に大きくわけることができる。
北方系すり身の原料である魚種として、スケトウダラ、ミナミダラ、ノーザンブルーホワイティング、パシフィックホワイティング、ホキ、ホッケ、ニシン(コノシロを含む)、アジなどが挙げられる。
南方系すり身の原料である魚種として、イトヨリ、グチ、キントキダイ、ヒメジ、ママカリ、レンコダイ、エソ、タチウオ、ハモ、シイラなどが挙げられる。
原料魚は、慣用の方法により、原料処理し、晒し身を得ることができる。
原料処理としては、例えば、水洗(洗浄、うろこ取り)をする工程、頭部、内蔵、骨、皮などを除去する工程、再び水洗する工程、採肉して落とし身とする工程、落とし身を水に晒して晒し身にする工程を挙げることができる。
原料魚肉を、晒し身にした魚肉に対して、本発明の添加剤を添加することが好ましい。本発明では、魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを添加するタイミングは、特に制限はない。図2に示したフローチャートでは、晒し身に添加剤を添加する例を示してあるが、晒し身を裏ごしし、脱水したものに対して、本発明の添加剤を添加することが好ましい。
<添加剤の添加>
魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸を添加するタイミングと、アミノ酸を添加するタイミングの関係も、特に制限はない。
添加剤は、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを含む冷凍すり身の本発明の添加剤を調製した後に、魚肉に対して添加してもよい。
一方、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸を、別々のタイミングで魚肉に対して添加してもよい。この場合、アミノ酸以外のカルボン酸を先に魚肉に対して添加してもよいし、アミノ酸を先に魚肉に対して添加してもよい。
本発明では、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを含む冷凍すり身の本発明の添加剤を調製した後に、魚肉に対して添加することが製造工程を簡略化する観点から好ましい。
(アミノ酸以外のカルボン酸)
アミノ酸以外のカルボン酸ならびにその塩および多量体としては、特に制限はない。
アミノ酸以外のカルボン酸ならびにその塩および多量体の中でも、アミノ酸以外のカルボン酸塩が好ましい。
野口ら(冷凍、63(723)、57−65(1988))のアクトミオシンを使用したモデル試験等により、アミノ酸のグルタミン酸Naやアスパラギン酸Na、カルボン酸塩のクエン酸Naやグルコン酸Naなどは冷凍変性防止効果のあることが報告されている。本発明者は、これらの添加剤を魚肉の晒し身に添加して冷凍すり身を調製し、その加熱ゲル物性を測定して冷凍変性防止効果を検討した。しかしながら、魚肉に対してそれぞれの添加剤の単独添加では(特に魚肉に対して1〜3質量%の低濃度では)十分な効果がなかった。
ここで、アミノ酸以外のカルボン酸ならびにその塩および多量体の冷凍変性防止効果は、−COOH基および−OH基の数と立体配座に関係する。そのため、本発明でもカルボン酸塩として、野口ら(冷凍、63(723)、57−65(1988))に記載のカルボン酸塩を用いることができる。
具体的には、カルボン酸塩としては、マロン酸、メチルマロン酸、マレイン酸、グルタル酸、乳酸、L−リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、γ−アミノ酪酸、DL−リンゴ酸、アジピン酸、フマール酸、コハク酸、シュウ酸およびビメリン酸からなる群に含まれるカルボン酸のNa塩が好ましい。カルボン酸塩としては、マロン酸、メチルマロン酸、マレイン酸、グルタル酸、乳酸、L−リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、γ−アミノ酪酸、DL−リンゴ酸およびアジピン酸からなる群に含まれるカルボン酸のNa塩がより好ましい。カルボン酸塩としては、マロン酸、メチルマロン酸、マレイン酸、グルタル酸、乳酸、L−リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸およびγ−アミノ酪酸からなる群に含まれるカルボン酸のNa塩が特に好ましい。冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、カルボン酸塩としては、クエン酸Naおよびグルコン酸Naのうち少なくとも一方であることがより特に好ましい。
一方、冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、カルボン酸塩としては、グルコン酸Naであることがより特に好ましい。
アミノ酸以外のカルボン酸は、1種類のみを添加してもよく、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
一方、坐り加熱で破断強度および破断距離が高くなる理由は、ミオシンヘビーチェーン(MHC)の多量体化(重合)反応に起因する。グルコン酸Naの添加量が低濃度であると、MHCの減少およびMHC多量体の生成の抑制がされにくく、坐り加熱で加熱ゲル化された練り製品の破断強度および破断距離を高くしやすい。
冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、魚肉に対するアミノ酸以外のカルボン酸の添加量が0.7〜4質量%であることが好ましく、1〜3質量%であることがより好ましい。冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、魚肉に対するクエン酸Naの添加量が0.7〜2質量%であることが特に好ましく、1質量%であることがより特に好ましい。冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、魚肉に対するグルコン酸Naの添加量が2〜3質量%であることが特に好ましく、3質量%であることがより特に好ましい。冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、クエン酸Naとグルコン酸Naを併用する場合は、それぞれの添加量の好ましい範囲は上述のとおりであり、合計の添加量が魚肉に対して4質量%以下であることが好ましい。
冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、魚肉に対するアミノ酸以外のカルボン酸の添加量は4質量%以上であり、4〜6質量%であることが好ましく、5〜6質量%であることがより好ましく、5質量%であることが特に好ましい。
(アミノ酸)
アミノ酸ならびにその塩および多量体としては、特に制限はない。
アミノ酸ならびにその塩および多量体の中でも、アミノ酸塩が好ましい。
アミノ酸ならびにその塩および多量体の冷凍変性防止効果は、アミノ酸以外のカルボン酸ならびにその塩および多量体の冷凍変性防止効果と同様の理由で、−COOH基および−OH基の数と立体配座に関係する。そのため、本発明でもアミノ酸塩として、野口ら(冷凍、63(723)、57−65(1988))に記載のアミノ酸塩を用いることができる。
具体的には、アミノ酸塩としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、グルタチオン、リジン、ヒスチジン、セリン、アラニン、オキシプロリン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、トレオニン、グルタミン、アスパラギンおよびオルニチンからなる群に含まれるアミノ酸のNa塩が好ましい。アミノ酸塩としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、グルタチオン、リジン、ヒスチジン、セリン、アラニンおよびオキシプロリンからなる群に含まれるアミノ酸のNa塩がより好ましい。アミノ酸塩としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびグルタチオンからなる群に含まれるアミノ酸のNa塩が特に好ましい。アミノ酸塩としては、グルタミン酸Naおよびアスパラギン酸Naのうち少なくとも一方であることがより特に好ましく、グルタミン酸Naがさらにより特に好ましい。
アミノ酸は、1種類のみを添加してもよく、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
魚肉に対するアミノ酸の添加量は、練り製品の調味への影響を抑制する観点から、3質量%以下とすることが好ましい。冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、魚肉に対するアミノ酸の添加量は、1〜3質量%であることがより好ましく、冷凍変性防止効果を十分に得られる観点から2〜3質量%であることが特に好ましい。
冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、魚肉に対するアミノ酸の添加量は冷凍変性防止効果を十分に得られる観点から2質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることが特に好ましく、0質量%とすることがより特に好ましい。
(リン酸類)
さらに、魚肉に対して、リン酸類ならびにその塩および多量体を添加してもよい。
リン酸類は、pH調整剤として使用してもよい。リン酸類は、魚肉の冷凍変性防止効果を奏するものおよび/または加熱ゲル形成能を増強させるものがより好ましい。
リン酸類ならびにその塩および多量体としては特に制限はない。例えば、重合リン酸塩(ピロリン酸Na、トリポリリン酸Na)、リン酸三Naなどを挙げることができる。
リン酸類は、1種類のみを添加してもよく、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
本発明では、魚肉に対して、重合リン酸塩を添加することが好ましく、重合リン酸塩を0.1〜0.3質量%添加することがより好ましく、重合リン酸塩を0.2〜0.3質量%添加することが特に好ましい。魚肉に対して、重合リン酸塩を添加することで、冷凍変性防止効果としなやかさが得られる。
冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸との併用に、さらにリン酸三Naを添加することで、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離をいずれも高くできる。冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、魚肉に対して4質量%以上のアミノ酸以外のカルボン酸に、さらにリン酸三Naを添加することで、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離をいずれも高くできる。特に、リン酸三Naを添加することで、坐り加熱ゲルの弾力が大きく増強される。
ただし、イトヨリなど南方系すり身の原料である魚種の場合、元来、スケトウダラなどの北方系すり身の原料である魚種と比べて冷凍耐性がある。そのため、イトヨリなど南方系すり身の原料である魚種の魚肉を用いる場合は、リン酸三Naを必ずしも添加しなくてもよい。一方、スケトウダラなどの北方系すり身の原料である魚種を用いる場合は、リン酸三Naを添加することが好ましい。
本発明では、魚肉に対して、リン酸三Naを添加することが好ましく、リン酸三Naを0.05〜0.2質量%添加することがより好ましく、リン酸三Naを0.05〜0.1質量%添加することが特に好ましい。
(添加剤の組み合わせ)
以上の各種類の添加剤を組み合わせて用いることができる。
本発明では、冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸を併用し、両者が協調的に作用して相乗効果が発揮されることが好ましい。さらに、低濃度のアミノ酸以外のカルボン酸と、低濃度のアミノ酸を併用し、両者が協調的に作用して相乗効果が発揮されることがより好ましい。さらに北方系すり身の場合は必要に応じてリン酸三Naを添加することで、糖類を含む従来の冷凍すり身と同等の物性にすることが特に好ましい。
冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸0.7〜4質量%(より好ましくは1〜4質量%)、アミノ酸1〜3質量%、リン酸三Na0〜0.1質量%、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%を添加することが、好ましい。冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸0.7〜3質量%(より好ましくは1〜3質量%)、アミノ酸2〜3質量%、リン酸三Na0.05〜0.1質量%、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%を添加することが、より好ましい。
冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸4〜6質量%、アミノ酸0〜2質量%、リン酸三Na0〜0.1質量%、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%を添加することが、好ましい。冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸5〜6質量%(特に好ましくは5質量%)、アミノ酸0〜1質量%、リン酸三Na0〜0.1質量%、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%を添加することが、より好ましい。
北方系すり身の場合、冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、以下の組み合わせが好ましい。
(1−1)クエン酸Na1〜2質量%(より好ましくは1質量%)、グルタミン酸2〜3質量%、リン酸三Na0.05〜0.1質量%(好ましくは0.1質量%)、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%。
(1−2)グルコン酸Na2〜3質量%(より好ましくは3質量%)、グルタミン酸2〜3質量%、リン酸三Na0.05〜0.1質量%(好ましくは0.1質量%)、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%。
北方系すり身の場合、冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、以下の組み合わせが好ましい。
(1−B)グルコン酸Na4〜6質量%(より好ましくは5〜6質量%、特に好ましくは5質量%)、リン酸三Na0.05〜0.1質量%(好ましくは0.1質量%)、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%。
南方系すり身の場合、冷凍すり身の製造方法が工程(A)を含む場合、以下の組み合わせが好ましい。
(2−1)クエン酸Na1質量%、グルタミン酸Na2〜3質量%、リン酸三Na0〜0.05質量%(より好ましくは0.05質量%)、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%。
(2−2)グルコン酸Na2〜3質量%(より好ましくは3質量%)、グルタミン酸Na2〜3質量%、リン酸三Na0〜0.05質量%(より好ましくは0.05質量%)、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%。
南方系すり身の場合、冷凍すり身の製造方法が工程(B)を含む場合、以下の組み合わせが好ましい。
(2−B)グルコン酸Na4〜6質量%(より好ましくは5〜6質量%、特に好ましくは5質量%)、リン酸三Na0〜0.05質量%(より好ましくは0.05質量%)、重合リン酸塩0.2〜0.3質量%。
(水)
前述の添加剤を使用したすり身は糖類を含む通常のすり身に比べて破断強度が高くなることから、水を添加する(加水する)ことで、ゲルの質を改善できる。すなわち、魚肉に対して、水を添加する(加水する)ことにより、加熱ゲルを調製した場合に破断強度はやや低くなるが、破断距離は同じか高くなり、しなやかなゲルになる。
所望の物性に制御する必要がある場合は、魚肉に対して、水を0〜10質量%添加することが好ましく、3〜7質量%添加することがより好ましい。
(糖質)
本発明の冷凍すり身の製造方法では、糖類を添加しないことが好ましく、糖質を添加しないことがより好ましい。
本明細書中、「糖質」とは、炭水化物から食物繊維を除いたもののことを言う。「糖類」とは、「単糖類および二糖類」のことを言う。「糖質」から「多糖類および糖アルコールなど」を除いたものが、「糖類」となる。
本発明の添加剤は、糖類を含まないことが好ましく、糖質を含まないことがより好ましい。
(冷凍すり身の添加剤)
本発明では、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを含む、本発明の冷凍すり身の添加剤を用いて、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを同時に添加することが好ましい。
本発明の冷凍すり身の添加剤は、加熱ゲル形成能を向上(破断強度および破断距離の改善)させるものが好ましい。すなわち、本発明の冷凍すり身の添加剤は、冷凍すり身を加熱した後の破断強度および破断距離の改善剤であることが好ましい。
本発明の冷凍すり身の添加剤には、さらに、上述した各添加剤も含有させることが好ましい。
本発明の冷凍すり身の添加剤の好ましい組成の質量比率は、上述の各添加剤の魚肉に対する添加量の質量比率と同じである。
例えば、本発明の冷凍すり身の添加剤は、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸との質量混合比が67:33〜22:78であることが好ましく、60:40〜25:75であることがより好ましく、50:50〜25:75であることが特に好ましく、40:60〜25:75であることがより特に好ましい。
<混合および冷凍>
本発明の添加剤を添加された魚肉は、混合し、冷凍して冷凍すり身とすることが好ましい。
本発明の製造方法で得られた冷凍すり身は、冷凍保管することができる。
冷凍は、慣用の方法を用いることができる。例えば、本発明の添加剤を添加された魚肉の混合物を袋詰め等して、急速に冷凍(凍結)することが好ましい。
<冷凍すり身>
本発明の冷凍すり身の製造方法の好ましい態様で得られた冷凍すり身は、糖類ゼロ冷凍すり身であることが好ましく、糖質ゼロ冷凍すり身であることがより好ましい。
冷凍すり身は、用途によって、異なる加熱ゲル化をされることがある。
坐り加熱製品の用途では、冷凍すり身は、予備加熱(坐り加熱とも言われる)とそれよりも高温での加熱(本加熱とも言われる)を含む二段階で加熱された加熱ゲル(坐り加熱ゲル)の破断強度および破断距離が高いことが好ましい。
また、直加熱製品の用途では、冷凍すり身は、予備加熱せずに高温で加熱された加熱ゲル(直加熱ゲル)の破断強度および破断距離が高いことが好ましい。
本発明では、冷凍すり身は、直加熱ゲル、坐り加熱ゲルのいずれにおいても、破断強度および破断距離が高いことがより好ましい。
<練り製品>
本発明の冷凍すり身から練り製品を製造することができる。
練り製品には、さつま揚げ、はんぺん、つみれ等に代表される直加熱製品と、蒲鉾、竹輪に代表される坐り加熱製品がある。
本発明の冷凍すり身は、特に坐り加熱製品の製造に有用である。
本発明の冷凍すり身から練り製品を製造する方法として、例えば図2に示した方法が挙げられる。具体的には、冷凍すり身を解凍(または半解凍)する工程、解凍されたすり身に食塩等を添加して混合して塩ずり身を得る工程(塩ずり、擂潰などとも言われる)、塩ずり身をケーシング等に充填して成型する工程、予備加熱する工程、加熱する工程などを行う方法が挙げられる。
塩ずり(擂潰)されて得られた塩ずり身は、肉糊とも言われる。
なお、本発明の冷凍すり身の添加剤は、解凍されたすり身に食塩等を添加して混合する工程において、食塩等を添加するタイミングと同時またはその前後に添加してもよい。この場合、すでに解凍されているために冷凍変性防止効果は得られないが、加熱ゲル形成能に影響を与えることができるため、解凍されたすり身から加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られる。
必要に応じて、上述のリン酸類(好ましくはリン酸三Na)を、食塩等を添加するタイミングと同時またはその前後に添加してもよい。
以下に実施例と比較例(なお比較例は公知技術というわけではない)と参考例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1〜5、11〜15、21〜25、参考例1、比較例1〜4]
<添加剤の調製>
魚肉に対する添加量が下記表1に記載の量となるように、下記表1に記載の各成分を混合して、各実施例、参考例および比較例の添加剤を調製した。なお、参考例1の添加剤は、従来の糖質を含む添加剤である。
<冷凍すり身の製造>
各試験区に、水晒し、裏ごし後、脱水したスケトウダラの魚肉(晒し身)を準備した。
魚肉に対し、各実施例、参考例および比較例の添加剤を添加し、混合した。
混合物をポリ塩化ビニール袋に詰め、コンタクトフリーザーで急速凍結して、冷凍すり身を得た。得られた冷凍すり身を、各実施例および比較例の冷凍すり身とした。
その後、各実施例、参考例および比較例の冷凍すり身を、−25℃で、0.5ヶ月冷凍貯蔵して、後述の評価に用いた。
[実施例101、参考例101および比較例101〜103]
魚肉に対する添加量が下記表2に記載の量となるように、下記表2に記載の各成分を混合して、実施例101、参考例101および比較例101〜103の添加剤を調製した。なお、参考例101の添加剤は、従来の糖質を含む添加剤である。
添加剤として実施例101、参考例101および比較例101〜103の添加剤を用いた以外は実施例1と同様にして、冷凍すり身を得た。得られた冷凍すり身を、実施例101、参考例101および比較例101〜103の冷凍すり身とした。
その後、各実施例、参考例および比較例の冷凍すり身を、−25℃で、0.5ヶ月冷凍貯蔵して、後述の評価に用いた。
[実施例201、202および参考例201]
魚肉に対する添加量が下記表3に記載の量となるように、下記表3に記載の各成分を混合して、実施例201、202および参考例201の添加剤を調製した。なお、参考例201の添加剤は、従来の糖質を含む添加剤である。
スケトウダラの魚肉の代わりに、水晒し、裏ごしおよび脱水したイトヨリの魚肉(晒し身)を用い、添加剤として実施例201、202および参考例201の添加剤を用いた以外は実施例1と同様にして、冷凍すり身を得た。得られた冷凍すり身を、実施例201、202および参考例201の冷凍すり身とした。
その後、各実施例、参考例および比較例の冷凍すり身を、−25℃で、1ヶ月冷凍貯蔵して、後述の評価に用いた。
[実施例301〜303および参考例301]
魚肉に対する添加量が下記表4に記載の量となるように、下記表4に記載の各成分を混合して、実施例301〜303および参考例301の添加剤を調製した。なお、参考例301の添加剤は、従来の糖質を含む添加剤である。
添加剤として実施例301〜303および参考例301の添加剤を用いた以外は実施例1と同様にして、冷凍すり身を得た。得られた冷凍すり身を、実施例301〜303および参考例301の冷凍すり身とした。
その後、各実施例、参考例の冷凍すり身を、−25℃で、1ヶ月冷凍貯蔵して、後述の評価に用いた。
[実施例401〜403]
魚肉に対する添加量が下記表5に記載の量となるように、下記表5に記載の各成分を混合して、実施例401〜403の添加剤を調製した。
添加剤として実施例401〜403の添加剤を用いた以外は実施例1と同様にして、冷凍すり身を得た。得られた冷凍すり身を、実施例401〜403の冷凍すり身とした。
その後、各実施例の冷凍すり身を、−25℃で、1ヶ月程度冷凍貯蔵して、後述の評価に用いた。
[実施例501〜504]
魚肉に対する添加量が下記表6に記載の量となるように、下記表6に記載の各成分を混合して、実施例501〜504の添加剤を調製した。
添加剤として実施例501〜504の添加剤を用いた以外は実施例1と同様にして、冷凍すり身を得た。得られた冷凍すり身を、実施例501〜504の冷凍すり身とした。
その後、各実施例の冷凍すり身を、−25℃で、1ヶ月程度冷凍貯蔵して、後述の評価に用いた。なお、実施例401および501では同じ製造方法で製造した冷凍すり身を用いたが、それぞれの評価日(ゲル調製日)が少し異なる。
[評価]
<加熱ゲルの調製>
冷凍すり身を解凍(半解凍)して、ステファンカッターUM−5で空摺りした。
その後、魚肉に対して2.5質量%の食塩を添加し、混合物の温度がスケトウダラすり身の場合は8〜9℃、イトヨリすり身の場合は9〜10℃になるまで真空攪拌して、塩ずり身を調製した。塩ずり身を折径48mmの塩化ビニリデン製のケーシングに充填し、成型した。
スケトウダラすり身を用いる場合は、ケーシングに充填した塩ずり身を以下の3通りの方法で予備加熱および/または加熱を行い、加熱ゲルを調製した。
(1)予備加熱時間0分間とし、90℃で30分間加熱した加熱ゲル(直加熱ゲル)。
(2)30℃で20分間予備加熱を行い、さらに90℃で30分間加熱した加熱ゲル(20分間坐り加熱ゲル)。
(3)30℃で40分間予備加熱を行い、さらに90℃で30分間加熱した加熱ゲル(40分間坐り加熱ゲル)。
イトヨリすり身を用いる場合は、ケーシングに充填した塩ずり身を以下の3通りの方法で予備加熱および/または加熱を行い、加熱ゲルを調製した。
(I)予備加熱時間0分間とし、90℃で30分間加熱した加熱ゲル(直加熱ゲル)。
(II)35℃で30分間の予備加熱を行い、さらに90℃で30分間加熱した加熱ゲル(30分間坐り加熱ゲル)。
(III)35℃で60分間予備加熱を行い、さらに90℃で30分間加熱した加熱ゲル(60分間坐り加熱ゲル)。
得られた加熱ゲルは急冷し、一晩冷蔵保管した後、破断強度および破断距離の測定に供した。
<破断強度および破断距離の測定>
得られた加熱ゲル(練り製品)について、以下の方法で破断強度および破断距離を測定した。
得られた加熱ゲルを試料厚25mmに切断して、試料を調製した。
サン科学社製のレオメーターCR−200Dを使用し、直径5mmの球状プランジャーを、進入速度(テーブルスピード)60mm/分で、試料に押し込んで破断させ、破断強度(単位:g)および破断距離(単位:mm)を求めた。測定温度は25℃とした。
破断強度および破断距離の測定の結果を下記表1〜3に示す。
破断強度は試料が破断するのに必要な力であり、破断距離は試料が破断するまでの距離を表す。なお、本明細書中、破断強度および破断距離は、いずれも押し込み破断強度および押し込み破断距離を意味する。
予備加熱時間が長くなるにしたがって、破断強度が高まっていく場合、坐り加熱ゲルが生成されたと理解することができる。
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上記表1〜6より、本発明の冷凍すり身の製造方法で得られた冷凍すり身は、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られることがわかった。従来の糖質を含む添加剤を添加する参考例1、101、201および301と各実施例の冷凍すり身の製造方法を比較すると、本発明によれば、いずれも従来に近い程度の破断強度および破断距離の加熱ゲルが得られることがわかった。
魚肉に対して4質量%以上のアミノ酸以外のカルボン酸をアミノ酸と組み合わせずに用いた場合も、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られることがわかった(実施例302、401および501など)。実施例301〜303より、魚肉に対して5質量%の添加では、アミノ酸以外のカルボン酸をアミノ酸と組み合わせずに用いた場合(グルコン酸Na 5質量%)は、アミノ酸以外のカルボン酸とアミノ酸を併用した時(グルコン酸Na 3質量%+グルタミン酸Na 2質量%)と同等の効果が得られた。
クエン酸Naとグルタミン酸Naを併用する場合、クエン酸Naの添加量は2質量%以下であることが好ましく、クエン酸Naと併用するグルタミン酸Naの添加量は3質量%である方が2質量%であるよりも好ましいことがわかった。
3質量%のグルタミン酸Naと1質量%のカルボン酸Naを併用する場合、カルボン酸Naはクエン酸Naである方がグルコン酸Naであるよりも好ましいことがわかった。
アミノ酸以外のカルボン酸とアミノ酸を併用する場合、アミノ酸以外のカルボン酸は比較的高濃度で添加できるグルコン酸Naが好ましいことがわかった(「グルコン酸Na 3質量%+グルタミン酸Na 2質量%」>「グルコン酸Na 3質量%+グルタミン酸Na 3質量%」>「クエン酸Na 1質量%+グルタミン酸Na 3質量%」>「クエン酸Na 1質量%+グルタミン酸Na 2質量%」の順で破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られる)。
グルコン酸Naとグルタミン酸Naを併用する場合、添加量が合計5質量%〜6質量%の時、最も破断強度および破断距離が良好な加熱ゲルが得られることがわかった。グルコン酸Naの添加量は魚肉に対して2〜4質量%が好ましく、2〜3質量%がより好ましく、3質量%が特に好ましいことがわかった。
一方、比較例1〜4より、魚肉に対して4質量%未満のアミノ酸以外のカルボン酸を、アミノ酸と組み合わせずに用いた場合は、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が劣ることがわかった。特に比較例1より、特許第4621834号に記載のクエン酸Naを魚肉に対して1質量%で、アミノ酸と組み合わせずに用いた場合、本発明の冷凍すり身の製造方法で得られた冷凍すり身よりも、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が劣ることがわかった。また、このクエン酸Naをアミノ酸と組み合わせた場合でも、クエン酸Naの添加量が多くなると(北方系すり身の場合3%以上、南方系すり身の場合2%以上)、加熱ゲル形成能に影響することが判明した。
一方、比較例101〜103より、アミノ酸を、アミノ酸以外のカルボン酸と組み合わせずに用いた場合は、冷凍保管した後に解凍して加熱ゲルを調製した場合に破断強度および破断距離が劣ることがわかった。
本発明は冷凍すり身の製造に際して、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを含む冷凍すり身の添加剤を添加することにより、冷凍すり身を製造後直ちに使用する場合のみならず、長期間冷凍貯蔵した冷凍すり身を使用して製造された肉糊のゲル化の際に、破断強度および破断距離を著しく改善できる。本発明は冷凍すり身の製造に際して、魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸を添加し、前記魚肉に対する前記アミノ酸以外のカルボン酸の添加量が4〜6質量%であることにより、冷凍すり身を製造後直ちに使用する場合のみならず、長期間冷凍貯蔵した冷凍すり身を使用して製造された肉糊のゲル化の際に、破断強度および破断距離を著しく改善できる。本発明は冷凍すり身を原料とする練り製品の製造に際して、加熱ゲルの破断強度および破断距離を改善するための添加剤として広く応用できる。
本発明の冷凍すり身の製造方法の特に好ましい態様によれば、従来の糖質を含む添加剤を添加しないため、従来と同等以上の破断強度および破断距離の加熱ゲルが得られる「糖質ゼロ冷凍すり身」を製造することができる。近年は糖質ゼロである食品が、糖質制限による生活習慣病の予防や疾病予防の観点から求められてきている。そのため、破断強度および破断距離が従来に近い程度であっても本発明の産業上の利用性は非常に高く、破断強度および破断距離が従来と同等以上であれば更に本発明の産業上の利用性は非常に高い。

Claims (15)

  1. 下記工程(A)または下記工程(B)を含む、冷凍すり身の製造方法;
    工程(A)魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを添加し、
    前記魚肉に対する前記アミノ酸以外のカルボン酸の添加量が0.7〜4質量%であり、
    前記魚肉に対する前記アミノ酸の添加量が2〜3質量%である;
    工程(B)魚肉に対して、アミノ酸以外のカルボン酸を4質量%以上添加し、
    前記アミノ酸以外のカルボン酸がグルコン酸Naであり、
    前記魚肉に対するアミノ酸の添加量が2質量%以下である;
    ただし、前記アミノ酸以外のカルボン酸はその塩および多量体も含み、前記アミノ酸はその塩および多量体も含む
    ただし、前記工程(B)を含む場合は、冷凍すり身を加熱した後の破断強度および破断距離の改善をする用途である
  2. 前記工程(A)を含む、請求項1に記載の冷凍すり身の製造方法。
  3. 前記アミノ酸以外のカルボン酸が、クエン酸Naおよびグルコン酸Naのうち少なくとも一方である、請求項2に記載の冷凍すり身の製造方法。
  4. 前記魚肉に対する前記クエン酸Naの添加量が0.7〜2質量%であり、
    前記魚肉に対する前記グルコン酸Naの添加量が2〜3質量%である、請求項3に記載の冷凍すり身の製造方法。
  5. 前記アミノ酸が、グルタミン酸Naおよびアスパラギン酸Naのうち少なくとも一方である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の冷凍すり身の製造方法。
  6. 前記魚肉に対する前記グルタミン酸Naまたは前記アスパラギン酸Naの添加量が2〜3質量%である、請求項5に記載の冷凍すり身の製造方法。
  7. 前記工程(B)を含む、請求項1に記載の冷凍すり身の製造方法。
  8. 前記魚肉に対する前記アミノ酸以外のカルボン酸の添加量が4〜6質量%である、請求項7に記載の冷凍すり身の製造方法。
  9. さらに、前記魚肉に対して、重合リン酸塩を0.2〜0.3質量%添加する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の冷凍すり身の製造方法。
  10. さらに、前記魚肉に対して、リン酸三Naを0.05〜0.1質量%添加する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の冷凍すり身の製造方法。
  11. 前記魚肉に対して、糖質を添加しない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の冷凍すり身の製造方法。
  12. 前記工程(B)を含む場合は、前記魚肉に対するアミノ酸の添加量が0質量%の場合を除く、請求項1〜11のいずれか一項に記載の冷凍すり身の製造方法。
  13. アミノ酸以外のカルボン酸と、アミノ酸とを含む、冷凍すり身の添加剤であって、
    魚肉に対して下記(A)または下記(B)を満たすように添加する用途である、冷凍すり身の添加剤;
    (A)前記魚肉に対する前記アミノ酸以外のカルボン酸の添加量が0.7〜4質量%であり、
    前記魚肉に対する前記アミノ酸の添加量が2〜3質量%である;
    (B)前記魚肉に対するアミノ酸以外のカルボン酸の添加量が4質量%以上であり、
    前記アミノ酸以外のカルボン酸がグルコン酸Naであり、
    前記魚肉に対するアミノ酸の添加量が2質量%以下である;
    ただし、前記アミノ酸以外のカルボン酸はその塩および多量体も含み、前記アミノ酸はその塩および多量体も含む
    ただし、前記(B)を満たす場合は、冷凍すり身を加熱した後の破断強度および破断距離の改善剤である
  14. 前記アミノ酸以外のカルボン酸と、前記アミノ酸との質量混合比が67:33〜22:78である、請求項13に記載の冷凍すり身の添加剤。
  15. 冷凍すり身を加熱した後の破断強度および破断距離の改善剤である、請求項13または14に記載の冷凍すり身の添加剤。
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