図1は、本発明の一実施形態に係る風呂装置の模式図である。この風呂装置は、風呂追い焚き機能を有する給湯装置1と、該給湯装置1の各種運転操作を行うためのコントローラとしての台所リモコン51及びふろリモコン52とを備えている。台所リモコン51は台所K(図2参照)に設置され、ふろリモコン52は浴槽6が設置された浴室Yに設置されている。これら各リモコン51,52は、これらとは別の場所に設置された給湯装置1の制御部5と通信可能に接続され、各リモコン51,52からの操作信号等や、逆に制御部5からの表示信号又は動作信号等が送出可能となっている。
給湯装置1は、給湯機能を実現する給湯回路2、追い焚き機能を実現する追焚回路3、給湯回路2から追焚回路3へ湯張り等のために湯又は水を供給する注水・注湯回路4、及び、これらの作動制御を行う制御部5を備えている。なお、図例のものは1缶2水タイプのものを図示しているが、これに限らず、2缶2水タイプのものでも本発明を実施することができる。又、図例のものは、熱交換器として、燃焼ガスの顕熱を吸熱する一次熱交換器に加え燃焼排ガスからの潜熱を回収する二次熱交換器を組み合わせた潜熱回収型に構成されたものを図示しているが、これに限らず、二次熱交換器を有しないものでも本発明を実施することができ、潜熱回収型であることは必須ではない。以下の説明では、一次熱交換器及び二次熱交換器を組み合わせたものを、単に給湯用熱交換器22又は追焚用熱交換器32と表示する。
給湯回路2は、水道水等の給水を給水路21を介して給湯用熱交換器22に導き、給湯用熱交換器22において燃焼バーナ23で生じる燃焼熱との熱交換加熱により加熱した湯を給湯路24に出湯させ、この湯を台所や洗面所等の各所の給湯栓25まで給湯するようになっている。給水路21と給湯路24との間には、給湯用熱交換器22をバイパスして給水路21からの給水を給湯路24に流入させるバイパス路26が設けられ、バイパス弁26aを開にすれば連通するようになっている。給水路21には流量センサ27や給水温度を検出する給水温度センサ28が介装され、給湯路24には給湯用熱交換器22で加熱された直後の出湯の温度を検出する缶体出口温度センサ29が介装されている。
追焚回路3は、追い焚き機能を実現するために、浴槽6の循環アダプタ61と追焚用熱交換器32との間に配管された戻り路30a及び往き路30bから主構成される循環回路により構成され、浴槽6内に湯張りされた浴槽湯水を所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。すなわち、循環ポンプ31の作動により浴槽6から戻り路30aを通して追焚用熱交換器32に浴槽湯水が供給され、かかる浴槽湯水が燃焼バーナ33で発生する燃焼熱により追焚用熱交換器32で熱交換加熱されて追い焚きされ、追い焚き後の浴槽湯水が往き路30bを通して浴槽6に戻されるよう構成され、戻り路30aを通過する浴槽湯水の温度が所定の目標温度となるまで追い焚きされるようになっている。循環ポンプ31は戻り路30a及び往き路30bのいずれか一方(図例では戻り路30a)に介装されている。戻り路30aには流れを検知して後述の制御部5に出力する水流スイッチ34や戻り路30aにより戻される浴槽6内の浴槽湯水の温度(浴槽湯温)を検出する戻り温度センサ35が介装され、又、往き路30bには追い焚き後の浴槽湯水の温度を検出する往き温度センサ36が介装されている。なお、図1中の符号37は、前記の給湯用燃焼バーナ23や追焚用燃焼バーナ33に燃料ガスを供給するためのガス供給系である。
注水・注湯回路4は、給湯路24の途中から分岐して追い焚き循環路30の戻り路30aに連通接続される注湯路41を備えており、この注湯路41を通して給湯路24の湯水が戻り路30aに流入され、これが両側に分流して戻り路30a及び往き路30bのそれぞれを通す両搬送形式で浴槽6に注湯(又は注水)されるようになっている。注湯路41には、給湯路24の側である上流側から順に流量センサ42,注湯電磁弁43,逆流防止用の一対の逆止弁44,上流側での負圧発生時に逆流発生を防止する縁切り弁45がそれぞれ介装され、加えて、追焚循環路30との合流点近傍には浴槽6内の水位を検出する圧力式の水位センサ46が介装されている。
なお、図1中の符号7は外気温センサであり、この外気温センサ7はケース内の雰囲気温度を検出することにより外気温を検出するようになっている。又、符号8はドレン処理装置であり、このドレン処理装置8は、給湯用熱交換器22や追焚用熱交換器32に含まれる二次熱交換器において燃焼排ガスが潜熱回収のための熱交換により冷やされて凝縮することにより生じたドレンを集水路82を介して集水し、中和槽81で中和処理した上で排水路83から排水させるために設置されたものである。
以上の給湯回路2,追焚回路3及び注水・注湯回路4等は、マイコンにより主構成される制御部5によって、給湯運転、追焚運転、注水・注湯による湯張り運転、又は、湯張り・追焚・保温までを自動制御するふろ自動運転等の各種の運転制御や、出浴お知らせモード等の安心入浴をサポートするための入浴サポート制御が、台所リモコン51及びふろリモコン52からの指令並びに上記の各種センサの検出値等に基づいて行われるようになっている。
台所リモコン51及びふろリモコン52は、従来公知の構成を有し、操作ボタン又はタッチパネルの操作によって、ふろ自動運転制御時の入浴時の浴槽湯温の設定温度を、例えば33℃〜48℃の範囲内で1℃刻みで設定可能に構成されている。いずれか一方のリモコンにおける設定内容は他方のリモコン並びに給湯装置1の制御部5にも送信されて記憶保持される。
ふろリモコン52は浴室Yの壁面に設置され、特に本実施形態では、赤外線センサにより構成される人感センサ53がふろリモコン52に設けられて、人感センサ53の検出信号に基づいて入浴中であるか否かを判定する入浴判定手段として機能するよう構成されている。人感センサ53は、浴槽6内に人が入ったことを確実に検出し得るように向きや設置位置が設定されている。このため、浴室Yに浴室テレビ62が設置されている場合には、ふろリモコン52に代えて、又はふろリモコン52に加えて、人感センサを浴室テレビ62に設けることができる。なお、浴室Y内に人が入ったことを検出するように人感センサが設けられる場合、浴室内に人が入ることをもって「入浴中」と判定することとなるが、浴室Yへの入室後浴槽6に入るまでの間に入浴時間の積算が開始されてしまうことを回避するため、入室後所定時間の経過をもって「入浴中」であると判定させることが可能である。さらに、この場合には、後述の水位検出を併用することにより、入浴中か否かの判定を確実に行うことができる。
なお、ふろリモコン52に例えば入浴開始スイッチを設け、入浴者が浴槽6に入浴する際に入浴開始スイッチをオン操作させるようにしている場合、つまり、入浴者が入浴サポート制御による安心入浴を積極的に受けることを希望している場合には、その入浴開始スイッチのオン信号の出力をもって「入浴中」(入浴開始)と判定することができる。
また、前記のようにふろリモコン52(又は浴室テレビ62)を入浴判定手段として機能させるのではなく、水位センサ46の検出水位を監視する給湯装置1の制御部5を入浴判定手段として機能させることもできる。すなわち、水位センサ46の検出水位が急激に所定量増加した場合に、その後検出水位が急激に所定量低下するまでの間、「入浴中」であると判定し、検出水位が急激に所定量低下してから急激に所定量増加するまでの間は「入浴していない」と判定するよう制御部5を構成することができる。また、上記の人感センサ53によって「入室」を判定し、入室中であると判定されているときに水位センサ46の検出水位が急激に増加すると「入浴中」であると判定するよう構成することもできる。入浴中か否かの判定の基準及び方法はどのようなものであってもよく、適宜変更できる。
浴槽6内の水位検出を行う水位検出手段としては、前記の水位センサ46による他、例えば浴槽6に設置した水位センサにより構成することができ、又、例えば天井壁に設置し浴槽6内の水面に対し上から真下に向けて超音波パルスを発し超音波反射パルス方式により水面位置を検出する超音波パルスの送受波器を用いて構成することもできる。
制御部5によるふろ自動運転制御について詳細に説明すると、ふろ自動運転制御は、リモコン51,52のふろ自動スイッチをユーザーがON操作することで開始され、まず、ふろ自動運転開始指令、並びに、湯はり量(又は湯張り水位)及び目標温度(予め記憶されている設定温度又はユーザーが入力設定した設定温度)に関する情報が、リモコン51,52から制御部5に送信される。これにより、制御部5は、注水・注湯回路4及び追焚循環路30を通して給湯回路2からの湯を浴槽6に注湯する。この際の注湯量は水位センサ46又は注湯流量センサ42の積分等により把握・特定されて、浴槽6内には所定水位まで湯張りされることになる。次に、追焚回路3の追焚用燃焼バーナ33及びガス供給系37からなる追焚燃焼系や循環ポンプ31が作動制御され、追焚用燃焼バーナ33の燃焼熱を受けて追焚用熱交換器32を通る浴槽6内の湯水が熱交換加熱され、リモコン51,52から指示された目標温度まで追焚加熱されることになる。追焚加熱が終了すれば、引き続いて、浴槽6内の湯水温度を目標温度に維持させるために間欠的に追焚制御を実行する保温運転を設定時間(例えばふろ自動スイッチONから4時間)が経過するまで、又は、ユーザーによりふろ自動スイッチがOFFされるまで行う。
そして、本実施形態では、ふろ自動スイッチがON操作されると、あるいは、湯張り又は追焚加熱が完了すると、入浴判定手段により入浴中か否かの判定が開始され、入浴中と判定されると制御部5で入浴タイマーによる入浴時間の積算が開始されて、入浴サポート制御が開始される。リモコン51,52に、出浴お知らせモード又は出浴お知らせモードを含む入浴サポート制御をオンにするかオフにするかを選択し得る安心入浴スイッチが設けられている場合には、かかる安心入浴スイッチがオン操作されることで、前記の入浴判定手段による判定や、入浴タイマーによる積算等を開始させて入浴サポート制御を開始させることができる。
なお、ふろリモコン52が入浴中であるか否かを判定する場合には、かかる判定結果に応じてふろリモコン52が入浴時間の積算等の以下説明する入浴サポート制御を実行するように構成することができる。また、制御部5が入浴中であるか否かを判定する場合には、かかる判定結果に基づいて制御部5が前記入浴サポート制御を実行するように構成することができる。従って、制御部5及び/又はリモコン51,52が、出浴お知らせモードを含む入浴サポート制御を実行するための入浴サポート手段として機能する。
図3は、入浴サポート制御の基本制御内容を示すフローチャートである。まず、前記の入浴判定手段により入浴中と判定されると(ステップS1でYES)、入浴の経過時間である入浴時間の計測、すなわち、入浴タイマーによる入浴時間の積算を開始する(ステップS2)。そして、計測された入浴時間が設定時間に達すると(ステップS3でYES)、出浴お知らせを実行する(ステップS4)。出浴お知らせは、入浴者に出浴を促すための報知であり、報知部としてのふろリモコン52を用いて、その表示部にその旨のテキスト文字等による案内の表示、音声案内によるその旨のアナウンス、メロディー又は警報の吹鳴等から選択したいずれか又は組み合わせによって行うことができる。
かかる出浴お知らせを実行したとしても出浴が確認されない場合には、出浴が確認されるまで所定の時間間隔毎に繰り返し出浴お知らせを実行する、あるいは、出浴お知らせを行っても出浴が確認されない旨又は入浴が継続している旨の入浴状況に係る情報を台所リモコン51により報知(表示、音声又は警報)する、等の入浴サポートモードを付加することができる。出浴の確認は、入浴判定手段による判定が入浴中から入浴中ではなくなったことで確認することができる他、水位センサ46による検出水位が急低下することでも確認することができる。又、安心入浴スイッチが設けられている場合には、その安心入浴スイッチのオフ操作に基づく信号出力をもって、出浴の確認とすることができる。
又、入浴中と判定されてから、又は、入浴中との判定から一定時間経過後から、前記の出浴確認までの間、台所リモコン51に対し現在入浴中である旨の入浴状況案内に係る報知(案内表示やランプ点灯)を追加して行うことができる。なお、出浴お知らせを含め、前述の出浴が確認されない場合のサポートモードや、入浴状況案内等について、リモコン51,52の操作ボタン又はタッチパネルの操作によって、選択的に個別解除可能に、もしくは、一括して解除可能に構成することができる。
前記の設定時間の時間値の設定は、浴槽湯温(設定温度)と浴槽水位とに基づいて行う。なお、設定時間の時間値については入浴サポート手段による自動設定処理に加えて、リモコン51,52を用いてユーザー自ら所望の時間値を入力設定し得るように構成することができる。例えば、リモコン51,52を、操作ボタン又はタッチパネルの操作によって、入浴開始から出浴お知らせまでの希望時間値を例えば分刻みで設定可能に構成することができる。
図4に示す第1の設定手法では、リモコン51,52に対し設定時間の時間値が入力設定されているか否かを確認し(ステップS11)、もしも、入力設定されていれば(ステップS11でNO)、その入力設定された時間値を設定時間として設定する(ステップS15)。入力設定されていなければ(ステップS11でYES)、ステップS12以降の処理で時間値を設定する。まず、浴槽湯温を取得し(ステップS12)、浴槽水位を取得する(ステップS13)。
浴槽湯温は、リモコン51,52に設定されたふろ自動運転制御における目標温度(設定温度)を用いる。保温運転実行中であれば、戻り温度センサ35や往き温度センサ36の検出温度を浴槽湯温として用いることもできる。又、追焚運転中もしくは保温運転中ではなくても、ふろ自動運転で行われた前回の追焚運転もしくは保温運転で得た前記検出温度を記憶しておき、これを浴槽湯温として用いるようにすることができる。
一方、浴槽水位は、追焚運転時又は保温運転時に水位センサ46により検出される浴槽水位を用いる他、水位センサ46以外に、前記の水位検出手段を用いることができる。なお、浴槽水位を、ユーザーがリモコン51,52に予め設定し、ふろ自動運転制御において取得された湯はり量(又は湯張り水位)に基づいて取得することもできる。この場合は、例えば浴槽水位/湯張り量(例えば2cm/10L)に係る換算式を用いて、湯張り量から演算により浴槽水位を取得することができる。つまり、ここで用いる浴槽水位は入浴者が入浴する前の浴槽内の水位であり、この浴槽水位として、現実にセンサ等で検出される検出水位の他に、予めユーザー等が入力設定した設定水位を用いることもできる。この場合、リモコン51,52が浴槽水位を設定するための設定手段を構成する。
そして、取得した浴槽湯温と浴槽水位とに基づいて設定時間の時間値を設定する(ステップS14,S15)。この設定は次に示すように、まず浴槽湯温に基づいて推奨時間値を決定し、次いで、この決定された推奨時間値を浴槽水位に基づいて修正する。すなわち、浴槽湯温(設定温度)が標準温度(例えば41℃)でかつ浴槽水位が標準水位(例えば40cm)のときを標準ケース(標準の全身浴)として定め、これに対する基準の推奨時間値(設定時間値)として例えば10分間を定める(図5の〇印参照)。そして、まず、取得された浴槽湯温がそれ以上の高温域(すなわち41℃を超える高温域)であれば熱中症予防の観点から推奨時間値をより短く変更する(図5の関係線X参照)。次に、浴槽湯温がそれ未満(41℃未満)の低温域であれば、ユーザーがゆったりと入浴する安心浴やクールダウン浴を意図していると判定して推奨時間値をより長く(長湯を許容)変更する。かかる浴槽湯温に基づいて変更される設定時間として、演算により求める場合は、浴槽湯温が後述の基準温度T(α=36℃)以上の範囲において、例えば次の関係式(1)により演算することができる。なお、後述の関係式(2),(3)を含め、関係式(1)〜(3)はいずれも論理式ではなくて近似式である。
設定時間値(分)=(2530/浴槽湯温)−51 …(1)
一方、以上は熱中症予防の観点から定めたものであり、浴槽湯温が基準温度T未満の特定低温域である場合には、深部体温の低下しすぎの予防という観点から、前記の低温域の場合とは異なるものが定められている。すなわち、前記の低温域であっても、その取得された浴槽湯温が体温に基づき設定した基準温度Tよりもさらに低温側の領域(特定低温域)である場合には、その浴槽湯温が低温になるに従い、より短い推奨時間値を設定時間として設定する。「体温」とは人体の深部温度、すなわち、深部体温のことである。そして、この深部体温の低下し過ぎに起因する弊害発生を回避して入浴者が通常状態を維持し得るように、浴槽湯温と推奨時間値との組み合わせが定められる。
基準温度Tは深部体温に基づき次のように定めることができる。例えば、入浴者が通常状態を維持するための深部体温の下限値(例えば37.0℃又は37.0〜36.5℃の範囲)を定める。次に、この深部体温の下限値から所定温度値(例えば1.0℃)を減じることで、前記深部体温の下限値に対応する浴槽湯温(例えば36.0℃)を定め、これを基準温度T(図5参照)と定める。そして、浴槽湯温が基準温度T未満の特定低温域における浴槽湯温と推奨時間値との組み合わせを、深部体温の低下しすぎを予防する観点から定める。なお、深部体温の下限値について予め定めておく他、入浴者自身の例えば体表面温度等の計測結果に基づいて個別に設定することができる。例えば入浴者の赤外線熱画像より上半身又は前額部の温度を計測し、この計測温度から深部体温を推定することで、平均的な深部体温又は前記下限値を修正することができる。
具体的には、入浴者が前記下限値以上の深部体温を維持し得るように、あるいは、下限値よりも若干低下したとしても出浴すれば復帰し得るように、前記推奨時間値として、基準温度T以上の温度域の場合とは逆に、浴槽湯温が低温になるに従い、より短い時間値となるようにしている(図5の関係線Xc参照)。かかる深部体温の低下しすぎを予防するための設定時間として、演算により求める場合は、例えば次の関係式(2)により演算することができる。
設定時間値(分)=(3.3×浴槽湯温)−100 …(2)
次に、浴槽湯温に基づいて決定された推奨時間値を浴槽水位に応じて修正する。この修正は、取得された浴槽水位が標準水位(40cm)に比して低ければ、その浴槽水位が低いほど推奨時間値をより長めに変更する。標準水位は腋の下を含む上半身が浴湯に浸かったときの浴槽水位を想定しており、その標準水位から半身浴に対応する低水位領域(例えば25cmまでの水位領域)であれば、腋の下を通る腋下動脈が浴湯よりも上に露出しているため、よりリラックスして入浴を楽しみたいというユーザーの意図を優先させることができる。このため、設定時間として長めの時間値とすることで、出浴お知らせに煩わされることなく、リラックスして長湯を楽しむことができるようにさせ得る。
図6の例は、浴槽湯温が標準温度(41℃)の場合の標準水位Hbと半身浴に相当する浴槽水位Haとの間の水位範囲における浴槽水位と、設定時間の時間値(推奨時間値)との関係を示すグラフである。このようなグラフが浴槽湯温毎に設定され、制御部5及び/又はふろリモコン52は、かかるグラフに示される関係に基づいて推奨時間値を浴槽水位に応じて変更し得るよう構成できる。なお、当該関係としては、図6の例の如く直線状にリニアに変化するものの他に、曲線状に変化するもの、あるいは、階段状に変化するものを用いることができる。さらに、当該関係は、数式の形態で実装されていてもよく、各浴槽湯温毎の浴槽水位に対応して関連づけられた設定時間値の関係テーブルの形態で実装されていてもよい。
図7は第2の設定手法を示すものである。この第2設定手法では、浴槽湯温に基づいて決定した設定時間値(推奨時間値)を第1設定手法の如く浴槽水位の如何に応じて変更するのではなくて、浴槽水位が全身浴に相当する標準水位のときと、半身浴に相当する水位のときとの2段階に分けて設定時間値(推奨時間値)を変更するものである。なお、浴槽湯温の取得法や、浴槽水位の取得法は第1の設定手法で説明したものと同じである。
すなわち、リモコン51,52に対し設定時間の時間値が入力設定されているか否かを確認し(ステップS21)、もしも、入力設定されていれば(ステップS21でNO)、その入力設定された時間値を設定時間として設定する(ステップS22)。入力設定されていなければ(ステップS21でYES)、浴槽湯温を取得して(ステップS23)、取得した浴槽湯温に基づいて推奨時間値を決定する(ステップS24)。このステップS24で決定される設定時間値は、浴槽湯温が基準温度T(例えば36℃)以上の温度域(熱中症予防を主観点とする温度域)では関係線X(図5参照)、基準温度T(36℃)未満の温度域(深部体温の低下しすぎの予防を主観点とする特定低温域)では関係線Xc(同図参照)により得られる時間値であり、第1の設定手法と同じである。
次に、浴槽水位を取得し(ステップS25)、その浴槽水位が半身浴に対応する低水位領域(例えば25cmを中心とする一定範囲の水位)にあるか否かを判定する(ステップS26)。浴槽水位が半身浴に対応する水位値であれば(ステップS26でYES)、ステップS24で得られた推奨時間値にプラスαの時間値(例えば5分間)を追加して設定時間として設定する(ステップS27)。すなわち、図5の関係線Z(浴槽湯温が基準温度T以上の場合)及び関係線Zc(浴槽湯温が基準温度T未満の場合)により得られる設定時間の時間値を設定する。関係線Zは次の関係式(3)により表すことができる。
設定時間値(分)=(2530/浴槽湯温)−46 …(3)
一方、浴槽水位が半身浴に対応する低水位領域ではなければ、例えば標準水位(40cm)を中心とする一定範囲の水位値であれば、ステップS24で得られた推奨時間値を設定時間として設定する(ステップS28)。
以上の実施形態の場合、入浴者の腋を含む上半身が浴湯に浸かっているか、あるいは、浴湯よりも上に露出した半身浴状態であるか、というように浴槽水位の如何によって、出浴を促すための出浴お知らせのタイミングを適切に変更することができ、しかも、浴槽湯温が基準温度T未満の特定低温域にある場合には、深部体温の低下しすぎを予防するために浴槽湯温が低くなるに従い出浴お知らせタイミングをより早期になるように変更することができ、入浴者に対しより安心にかつ快適に入浴を行わせることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、図5に示した浴槽湯温と設定時間との関係は例示であり、又、設定時間を他の関係に基づいて定めることができる。例えば、近似式(1)〜(3)又は図5に示した関係線で表される浴槽湯温と設定時間との関係以外に、例えば浴槽湯温を複数段階に分けて各段階毎に設定時間の時間値(推奨時間値)を設定したり、基準温度Tの浴槽湯温における変曲部を階段状になるように浴槽湯温と設定時間との関係を設定したり、することができる。
又、例示した各種の入浴サポートも、ユーザーの好みや各種センサの検出誤差等を考慮して、手動で設定変更できるように構成しておくこともできる。例えば、入浴サポート手段が自動で設定した設定時間の時間値をリモコン51,52に表示させ、その表示された設定時間を、長めもしくは短めという変更ボタンを押圧操作することで例えば1分刻みに手動で変更可能に構成することができる。
前記実施形態では、浴槽湯温に基づいて設定時間を設定しているが、例えば、浴槽湯温の代わりに浴室Yの温度(浴室温度)に基づいて、あるいは、浴槽湯温に浴室温度も併用して、設定時間の設定を行うことができる。浴室温度は、例えばふろリモコン52に搭載した温度センサや、バス乾燥機63(図2参照)に搭載した温度センサにより得ることができる。
前記実施形態では、入浴判定手段により入浴中と判定されて制御部5での入浴タイマーによる入浴時間の積算が開始されるように構成しているが、これに限らず、入浴者自身が例えばリモコン52を用いて入浴開始のスイッチ操作を行うことで前記入浴タイマーによる入浴時間の積算が開始されるようにすることができる。
さらに、制御部5及び/又はリモコン51,52がクールダウン浴モードによる運転が可能であり、リモコン51,52への入力操作等によりクールダウン浴モードによる運転が選択される場合には、クールダウン浴用に予め設定されている目標の設定温度(浴槽湯温)や浴槽水位に基づいて、入浴サポート手段での出浴お知らせ時間として予め設定された時間値を設定するようにすることができる。クールダウン浴モードとしては、浴槽湯温を、図5におけるクールダウン浴領域(設定温度又は浴槽湯温が37.5℃未満の領域)の温度であって、体温よりもやや低めの予め設定された温度(例えば33〜34℃)に制御し、かつ、浴槽水位を、予め設定された所定水位(例えば、半身浴に相当する水位か、あるいは、全身浴と半身浴との間の水位か)に制御するモードとすることができる。なお、このクールダウン浴モードにおける設定時間(クールダウン浴用の時間値)として、図5における関係線Xcや関係線Zcにより定まる時間値以外の時間値を設定することもできる。