JP2015025581A - 風呂装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】眠気を誘い、安眠を確保することができる風呂装置を提供する。【解決手段】入浴者の入浴直前の深部体温よりも低く、且つ入浴者の入浴直前における身体各部の体表面温度のうちで最も低い体表面温度以上の温度であって、入浴者が冷たいと感じない初期温度STに調整された湯に入浴し、前記初期温度STの湯に所定の入浴時間A以上入浴した後、入浴したままの状態で浴槽に張られた湯の温度を昇温させて摂氏41度未満の最終温度ETに至らしめ、その後に入浴を終えることができる風呂装置が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、寝付きを良くし、睡眠の質を向上させる効果のある風呂装置に関するものである。
入浴は、わが国の文化に深く根づいている習慣であり、身体を清潔に保つだけでなく、心を落ちつかせる効果がある。
欧米諸国では、入浴の習慣を持つ民族は少なく、代わって、シャワーを浴びる習慣がある。わが国においても、シャワーは広く普及している。
また特許文献1には、所定の温度の湯を浴槽に落とし込む機能と、追い焚き機能を備えた風呂装置が開示されている。
特開2007−183051号公報
ところでわが国の夏は、気温が高く、且つ湿度も高い。そのため夏期には体調不良を来す者が増える。
本出願人が実施したアンケートによると、夏期の体調不良として、「睡眠不足」や「寝付きの悪さ」をあげる人が多く見受けられた。
ここで心地よい睡眠を得るために、就寝前に入浴する方法がある。しかしながら夏期においては、就寝前に入浴すると、体温が上昇して汗をかき、その汗が引くまで寝づらいという問題がある。
本発明は、上記した問題を解決することを目的とするものであり、眠気を誘い、安眠を確保することができる風呂装置の開発を課題とするものである。
本発明者らが調査したところによると、眠気を催し易い条件として、深部体温が低下することと、副交感神経が優位になることがあげられる。
そこで本発明者らは、深部体温をスムーズに低下させることができ、且つ副交感神経が優位となる様な入浴方法を検討した。
ここで深部体温を低下させる方策として、ぬるい湯に入浴することを考えた。即ち、ぬるい湯に一定時間以上つかると深部体温を低下させることができる。
ここで冷水シャワーや冷水浴を行えば、深部体温が低下すると思われがちであるが、これは誤りであり、入浴者が冷水シャワーを浴びると深部体温は却って上昇する場合がある。
即ち身体の深部の熱は、血流によって体表面の毛細血管に移動し、毛細血管を流れる血液から外部に放熱される。ここで冷水シャワーや冷水浴を行うと、体表面の温度が低下して毛細血管が収縮し、体表面を流れる血流が減少して深部の熱が表面側に移動せず、深部の熱を放散することができなくなってしまう。
これに対してぬるい湯に入浴すると、毛細血管を収縮させにくいので、深部の熱を体表面近傍に移動させることができ、深部の熱を体表面から発散することができる。深部体温を低下させるのに最適な湯の温度は、入浴者の皮膚温度よりも高く、入浴者の深部体温よりも低い温度である。即ち湯の温度が入浴者の皮膚温度よりも高いと、毛細血管が収縮せず、深部の熱を体表面の近傍に移動させやすい。また湯の温度が入浴者の深部体温よりも低いと、体の深部の熱が湯側に移動し、深部体温を低下させることができる。
入浴者の体感を基準として考えると、「冷たい」と感じる場合には毛細血管が収縮し、その様に感じない場合には毛細血管が収縮しない。
また経験的に、温い湯につかると、交感神経が優位となる。一方、過度に熱くない湯につかると、心がやすらぎ、副交感神経が優位になる。
副交感神経が優位になるか否かは入浴者が受ける受熱量に依存し、適度に受熱すると副交感神経が優位となり、過度に受熱すると交感神経が優位となる。
また人体は、周囲の環境(温度環境)に順応しやすい。そのため副交感神経を優位にするためには、同じ温度の湯につかり続けるよりも、湯の温度を徐々に上昇させていく方が望ましい。
しかしながら、湯の温度が過度に高くなると、身体に対する刺激が強くなり、交感神経が優位になってしまう。
ここで健康な人の深部体温は、摂氏37度程度である。深部体温が39度になると相当の疲労を感じ、深部体温が摂氏40度に至ると重度の熱中症状態となって体が動かなくなってしまう。
従って摂氏37度に近い温度の湯につかると副交感神経が優位となる。体表面温度と深部体温の間には、摂氏4度程度の開きがあるから、摂氏41未満の湯につかれば深部体温を上昇させにくく、副交感神経が優位になる。摂氏41度以上の湯につかると、交感神経が優位になりやすい。
そこで、入浴者の入浴直前の深部体温よりも低く、且つ入浴者の入浴直前における身体各部の体表面温度のうちで最も低い体表面温度以上の温度であって、入浴者が冷たいと感じない初期温度STに調整された湯に入浴し、前記初期温度STの湯に所定の入浴時間A以上入浴した後、入浴したままの状態で浴槽内の湯水の温度を昇温させて摂氏41度未満の最終温度ETに至らしめ、その後に入浴を終えると、眠気を誘い易く、安眠を確保することができると考えた。
この入浴方法によると、初期温度STの湯に所定の入浴時間A以上入浴することによって深部体温を低下させることができる。
即ち初期温度STは、前記した様に、入浴者の皮膚温度と同程度又はそれよりも高い。そのため入浴者は冷たさを感じず、毛細血管の過度の収縮はない。即ち毛細血管が収縮するか否かは、個人差が大きいが、入浴する湯の温度が、入浴者の入浴直前における身体各部の体表面温度のうちで最も低い体表面温度以上の温度である場合は、少なくとも毛細血管が過度に収縮することはない。そのため身体の深部の血液は、身体表面の毛細血管にも流れ、深部の熱が身体表面に移動する。
また初期温度STは、入浴者の深部体温よりも低い温度であるから、深部の熱を湯側に逃がすことができる。即ち本発明によると、入浴者の毛細血管を過度に収縮させることなく入浴を行うことができ、深部の熱を湯側に逃がして深部体温を低下させることができる。
本方法では、これに続いて浴槽内の湯水の温度を昇温させる。ここで湯の温度は、摂氏41度未満の最終温度ETであり、入浴者は、副交感神経が優位な状態となる。
この様に入浴を行うと、入浴者は深部体温が低下し、且つ副交感神経が優位となるので眠くなる。
また具体的には、初期温度STは、摂氏32度以上摂氏36.5度未満であり、入浴時間Aは、5分以上であり、最終温度ETは摂氏40度以下であることが推奨される。
健康な人の深部体温は、環境による変化が少なく、概ね摂氏37度程度で安定している。
一方、皮膚温度は部位によって異なり、且つ外部環境によって大きく変化する。皮膚温度が比較的高いのは体幹部の心臓部等であり、皮膚温度が変化し易いのは手先、足先である。体幹部の皮膚温度が比較的高い部位の温度は、摂氏33.5度から摂氏34度程度である。一方、手先、足先等の皮膚温度が比較的変化し易い部位の温度は、夏場等の季節では、摂氏32度から摂氏33度程度である。
これらの事実に基づき、初期温度STは、摂氏32度以上摂氏36.5度未満であることが望ましい。また最終温度ETは、摂氏37度以上摂氏40度以下であることが望ましい。
また摂氏32度以上摂氏36.5度未満の初期温度STに調整された湯に入浴し、前記初期温度STの湯に所定の入浴時間A以上入浴した後、入浴したままの状態で浴槽内の湯水の温度を摂氏3度以上昇温させて摂氏40度以下の最終温度ETに至らしめ、その後に入浴を終えることが望ましい。
本入浴方法によると、入浴者は深部体温が低下し、且つ副交感神経が優位となるので眠くなる。
上記した入浴方法を実現する請求項1に記載の風呂装置の発明は、浴槽内の湯水の温度を調整する湯温調整機能を備えた風呂装置において、クールダウン浴モードによる運転が可能であり、前記クールダウン浴モードにおいては、浴槽内の湯水を入浴者の入浴直前の深部体温よりも低く、且つ入浴者の入浴直前における身体各部の体表面温度のうちで最も低い体表面温度以上の初期温度STに調節し、入浴開始から一定時間が経過した後に浴槽内の湯水の温度を昇温させて摂氏41度未満の最終温度ETに至らしめることを特徴とする。
本発明の風呂装置は、前記した入浴方法を実現するための装置である。本発明の風呂装置を使用して入浴すると、深部体温が低下し、且つ副交感神経が優位となるのでよく眠ることができる。
請求項2に記載の発明は、浴槽内の湯水の温度を調整する湯温調整機能を備えた風呂装置において、クールダウン浴モードによる運転が可能であり、
前記クールダウン浴モードにおいては、浴槽内の湯水を摂氏32度以上摂氏36.5度未満の初期温度STに調節し、入浴開始から一定時間が経過した後に浴槽内の湯水の温度を昇温させて摂氏36度以上摂氏41度未満の最終温度ETに至らしめることを特徴とする風呂装置である。
本発明の風呂装置も、前記した入浴方法を実現するための装置である。本発明の風呂装置を使用して入浴すると、深部体温が低下し、且つ副交感神経が優位となるので良く眠ることができる。
請求項3に記載の発明は、入浴者が入浴したことを検知する入浴検知手段を有し、入浴者が入浴したことを前記入浴検知手段が検知してから一定時間が経過した後に浴槽内の湯水の温度を昇温させて最終温度ETに至らしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の風呂装置である。
本発明の風呂装置では、入浴検知手段によって入浴の開始時間がわかる。そして入浴検知手段が検知したことを契機として一定時間が経過した後に浴槽内の湯水の温度を自動的に昇温させ、最終温度ETに至らしめる。
浴槽内に気泡を噴射する気泡噴射機能を備えることが望ましい(請求項4)。
本発明によると、湯水の入浴者に対する接触機会が増加し、体表面からの放熱効果の増進が期待できる。また気泡による精神の安定作用が期待できる。
請求項5に記載の発明は、外気温度を検知する外気温検知手段を有し、最終温度ETは自動的に設定され、外気温度が高い場合には、外気温度が低い場合に比べて最終温度ETが低く設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の風呂装置である。
夏期等の外気温度が高い場合、入浴を終えても汗が引きにくい。そこで本発明では、外気温度が高い場合には、外気温度が低い場合に比べて最終温度ETを低く設定し、入浴後に汗をかきにくいようにした。
請求項6に記載の発明は、入浴者の性別を入力する性別入力手段を有し、初期温度ST及び最終温度ETは自動的に設定され、入浴者が男性である場合は、入浴者が女性である場合に比べて初期温度ST及び最終温度ETが低く設定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の風呂装置である。
女性には冷え性の人が多く、男性に比べて熱い湯が好まれる。逆に男性は、ぬるい湯を好む場合が多い。そこで本発明では、入浴者の性別によって最終温度ETを補正することとした。
請求項7に記載の発明は、前記一定時間は自動的に設定され、初期温度STが低い場合は、初期温度STが高い場合に比べて前記一定時間が短く設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の風呂装置である。
初期温度STが低い場合は、深部体温を低下させる機能が高いから、長い時間入浴する必要はない。そのため本発明では、初期温度STが低い場合は、初期温度STが高い場合に比べて前記一定時間が短く設定されることとした。
請求項8に記載の発明は、入浴者の体型に関する情報を入力する体型情報入力手段、又は入浴者の体型に関する情報を取得する体型情報取得手段を有し、前記一定時間は自動的に設定され、入浴者が大きい人である場合は、入浴者が小さい人である場合に比べて前記一定時間が長く設定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の風呂装置である。
体が大きい人は熱容量が大きいので、深部体温を低下させるのに時間がかかる。そこで本発明では、入浴者が大きい人である場合は、入浴者が小さい人である場合に比べて入浴時間を長く設定することとした。
本発明の風呂装置を使用すると、眠気が誘われ、入浴後によく眠ることができる。
望ましい入浴方法のタイムチャートである。 本発明の実施形態の風呂装置の作動原理図である。 本発明の実施形態の風呂装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態の風呂装置の動作を示すフローチャートである。 実施例で行った実験の手順を示す説明図である。 前室と後室の室温の測定結果を示すグラフである。 浴室の室温の測定結果を示すグラフである。 湯温の測定結果を示すグラフである。 睡眠時間の評価結果を示すグラフである。 深部体温の測定結果を示すグラフである。 自律神経の評価結果を示すグラフである。 全身の温冷感の評価結果を示すグラフである。 リラックス感の評価結果を示すグラフである。 汗による快不快感の評価結果を示すグラフである。
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
安眠を確保することができる入浴方法は、最初にぬるい湯につかり、その後に湯を追い焚きして浴槽内の湯を昇温することを特徴とする。
即ち、浴槽に初期温度STに調整された湯を満たし、この湯に入浴する。
初期温度STは、入浴者の入浴前の皮膚温度の内でもっとも低い温度以上であって、入浴者の入浴前の深部体温よりも低い温度である。官能的に説明すると、初期温度STは、入浴者がぬるいと感じるが冷たいとは感じない温度であり、毛細血管を過度に縮小させない程度の温度である。
初期温度STは、具体的には摂氏32度以上であって摂氏36.5度未満の温度である。より望ましい初期温度STは、摂氏33度以上であって摂氏36度未満の温度である。初期温度STの最適温度には男女差があり、男性の最適温度は摂氏33度である。一方、女性の最適温度は摂氏34度である。
即ち健康な人の深部体温は、摂氏37度程度であり、環境による変化は軽微である。言い換えると、暑い日であっても寒い日であっても、健康な人であれば深部体温の変動は少ない。
従って摂氏36.5度未満であるならば、健康な人の深部体温よりも低いものとなる。
一方、皮膚温度は、周りの環境によって大きく変化し、暑い日であれば、皮膚温度が上昇し、寒い日であれば皮膚温度は低下する。通常の環境下においては、手の平部分の皮膚温度は、概ね摂氏34度である。腕の部位はやや低く、摂氏33度台である。足首部分は低めであり、摂氏32度程度である。
初期温度STの下限は、特定しにくいが、摂氏32度以上であって摂氏36.5度未満の温度であると言える。
前記した様に、通常の環境下においては、皮膚温度が最も高いのは体幹部であり、この温度は、概ね摂氏34度である。従って、摂氏34度という温度は、健康な人の入浴者の入浴直前の深部体温よりも低く、且つ入浴者の入浴直前における身体各部の体表面温度のうちで最も低い体表面温度以上という条件を必ず満たす。
従って初期温度STは、男性の最適温度から外れるものの摂氏34度以上であることが望ましい。また冷却効果を考慮すると、初期温度STは、摂氏36度以下であることが望ましい。
本実施形態では、図1のタイムチャートの様に、初期温度STに調整された湯に入浴する。本実施形態では、初期温度STを摂氏34度に設定している。そして入浴開始から一定時間の間は、湯の温度を初期温度STに保つ。
この時間(入浴時間A)は、5分以上であることが望ましく、10分以上であることがさらに望ましい。ただし20分を越えることは推奨されない。
前記した様に、初期温度STは、入浴者の入浴前の皮膚温度以上であるから、入浴者は冷たく感じない。そのため毛細血管は、過度に縮小しない。その一方で、初期温度STは、入浴者の入浴前の深部体温よりも低い温度であるから、体の深部を流れる血流の温度よりも低い。そのため血流と浴槽の湯との間で熱交換され、熱は、体内から湯に向かって流れる。その結果、入浴者の深部体温が低下する。
ここで、深部体温を十分に低下させるには、ある程度の時間が必要であり、前記した様に5分以上、入浴することが望ましい。より望ましくは、10分以上の入浴を行う。
ただし、入浴時間が20分を過ぎると、体が過度に冷えてしまう。そこで本実施形態では、11分の間入浴することとしている(入浴時間A=11分)。
本実施形態では、初期温度STの湯に11分の間、入浴することにより、体の深部から熱が奪われ、深部体温が幾分低下した状態となっている。
その一方で、深部体温よりもぬるい湯につかることによって交感神経が優位となっているから、このままの状態では寝付きが悪い。
そこで本実施形態では、入浴開始から11分を経過すると、図1のタイムチャートの様に、浴槽内の湯の温度を上昇させてゆく。
例えば、浴槽内の湯を追い焚きすることにより、浴槽内の湯の温度を上昇させる。
湯温の上昇は、ゆるやかであることが望ましい。即ち最終温度ETとなるまでに2分から6分程度を要する程度の温度勾配で昇温させる。
本実施形態では、最終温度ETが深部体温と同等の摂氏37度であり、昇温に要する時間Bは4分である。本実施形態では、追い焚き温度Cがプラス摂氏3度であり、最終温度ETは初期温度STより摂氏3度高い。
入浴者は、ややぬるめの湯に一定時間の間つかることにより、リラックスし、且つ皮膚温度が上昇して副交感神経が優位になる。
なお、湯温を上昇させる際には、図1のように直線的に上昇させることが望ましい。即ち温度上昇カーブがなだらかになると、体がその温度に慣れてしまい、副交感神経を活性化する作用が減少する。
この本実施形態では、4分が経過し、湯の温度が最終温度ETたる摂氏37度となったところで入浴を終える。
その結果、深部体温が低下した状態であって、且つ皮膚温度が上昇し、副交感神経が優位となっているので、寝付きがよい。また深い眠りにつくことができる。
また副交感神経を優位にするためには、入浴者の体に一定以上の熱を供給する必要があるから、初期温度STよりも高い温度の湯に一定時間以上、つからなければならない。これらの点を勘案すると、2分から6分程度をかけて湯の温度を直線的に上昇させ、一定の温度に至ったところで、直ちに入浴を止めることが望ましい。
また予定時間よりも早く湯の温度が最終温度ETに至ってしまった場合には、最終温度ETに至った後も数分の間、浴槽に入っていることが望ましい。しかしながら、前記した様に、副交感神経が優位になるか否かは入浴者が受ける受熱量に依存し、最終温度ETに至った後は、単位時間あたりの受熱量が多くなるので、予定時間よりも早く湯の温度が最終温度ETに至ってしまった場合には、予定の時間の経過を待たず、やや早めに入浴を終えることが推奨される。
次に、上記した入浴方法を実現することができる風呂装置1について説明する。
本実施形態の風呂装置1は、浴槽2と、循環金具3及び給湯・追い焚き装置6によって構成されている。
給湯・追い焚き装置6は、浴槽2に対して湯を落とし込む落とし込み機能と、浴槽2内の湯を昇温する追い焚き機能を備えている。また本実施形態で採用する給湯・追い焚き装置6は、足し水を行って浴槽2内の湯の温度を低下させることもできる。
給湯・追い焚き装置6の機械的構成は、公知のそれと同一であり、内部にバーナ8を備え、給湯回路10と、追い焚き回路11とを内蔵する装置である。
給湯回路10は、給湯用熱交換器12を通過する水路であり、外部の図示しない給水源から水を導入して給湯用熱交換器12に至る入水路13と、熱交換器12から排出された湯水を外部に供給する出湯流路15を有している。また入水路13と出湯流路15とをつなぐバイバス流路16がある。
追い焚き回路11は、浴槽2及び追い焚き用熱交換器20を繋ぐ循環回路である。そして浴槽2から追い焚き用熱交換器20に湯を戻す流路に、ポンプ21、水位センサー22、及び湯温検知センサー23が設けられている。
水位センサー22は、圧力センサーであり、浴槽2内の水位を検知するものである。本実施形態では、水位センサー22は入浴センサーを兼ねている。即ち浴槽2に対する注水等が無いにも係わらず、水位センサー22が浴槽2内の水位の上昇を検知した場合、入浴者が浴槽2に入ったと判断する。
本実施形態では、給湯回路10の出湯流路15と追い焚き回路11とは、落とし込み流路30で接続されている。また落とし込み流路30には電磁弁31が設けられている。
本実施形態では、電磁弁31を開くことにより、所定の温度に調整された湯が落とし込み流路30を経て追い焚き回路11に導入される。
循環金具3は、浴槽2の側壁に取り付けられるものであり、浴槽2内と、追い焚き回路11とを接続する金具である。
本実施形態では、循環金具3に空気導入口25が設けられており、空気を吸引して湯水に混入することができる。即ち本実施形態の風呂装置1は、マイクロバブル機能と称される機能を備えたものであり、給湯・追い焚き装置6から浴槽2に導入される湯に微細な気泡を混入し、循環金具3から浴槽2内に噴射することができる。
本実施形態では、循環金具3によって浴槽2内と、追い焚き回路11とが接続されており、ポンプ21を起動することによって、浴槽2内の湯が追い焚き用熱交換器20を通過して循環し、浴槽2内の湯の温度を昇温させることができる。
また浴槽2内に湯が無い場合や、不足する場合は、給湯回路10から落とし込み流路30及び追い焚き回路11を経て湯が落とし込まれる。さらに浴槽2内の湯の温度が高い場合には、給湯回路10から落とし込み流路30及び追い焚き回路11を経て冷水が供給され、浴槽2内の湯の温度を低下させることができる。
また本実施形態で採用する給湯・追い焚き装置6は、外気温度を検出する温度センサー5を備えている。
さらに給湯・追い焚き装置6は入力・報知手段としてリモコン7を備えている。リモコン7は、浴室に設置されており、湯の温度の設定や、湯量の設定を行うことができる。また本実施形態に特有の構成として、クールダウン浴モード開始スイッチ(図示せず)と、条件入力スイッチ(図示せず)が設けられている。条件入力スイッチは、入浴者の性別、体重、年齢の各情報を入力するスイッチである。
次に、風呂装置1の機能について説明する。本実施形態で採用する風呂装置1は、クールダウン浴モードによる運転を実行することができる。また好みや性別等に合わせて、設定値を微調整する機能を備えている。最初に、クールダウン浴モードの主な動作について説明し、その後に、設定値を微調整する機能について説明する。
クールダウン浴モードの主な動作は、図3の様なフローチャートに従う動作である。クールダウン浴モードの動作は、浴槽2にぬるい湯を満たし、入浴者が入浴したことを確認した後、一定時間の経過を待ち、その後に湯を追い焚きして浴槽2内の湯を昇温する一連のコースである。
即ちクールダウン浴モードが選択されてステップ1がYESになると、ステップ2に進んで低温湯張りが開始される。ここで低温湯張りは、浴槽2に初期温度STに調整された湯を満たす動作である。仮に浴槽2内に湯が無いならば、浴槽2内に初期温度STに調整された湯が落とし込まれる。また浴槽2内に冷めてしまった湯水が残っている場合には、浴槽2内の湯水の温度が初期温度STになるまで追い焚きされる。さらに浴槽2内に既に湯があり、且つその温度が初期温度STよりも高い場合には、足し水がされて浴槽2内の湯の温度を初期温度STに低下させる。
ステップ3で低温湯張りが完了したことが確認された場合は、ステップ4に進み、入浴者の入浴を待つ。そして入浴センサーがONとなり、人が入浴したことが確認されると、ステップ5で入浴タイマーの計時が開始される。
これは、初期温度STの湯につかっておくべき入浴時間Aを計時するものであり、本実施形態では、11分が経過するとステップ6がYESとなり、次のステップ7に進む。そしてステップ7で追い焚きが開始される。追い焚きは、4分を目安に完了し、浴槽2内の湯の温度が最終温度ETに至る様にバーナ8の火力が調節される。
浴槽2内の湯の温度が上昇して最終温度ETに至り、追い焚きが終了すると、ステップ8がYESとなり、次のステップ9に進んで所定のコースが終了したことを入浴者に報知する。即ち一連のコースが終了したことを知らせ、浴槽2から出ることを促す。
次に、設定値を微調整する機能について説明する。本実施形態では、前記した初期温度STの設定値、入浴時間A及び最終温度ETを自動的に設定する機能を備えている。
また設定するための条件として、入浴者の性別、体重、年齢の各情報を入力することができ、この条件に基づいて、初期温度ST、入浴時間A及び最終温度ETが自動的に設定される。またこれらの条件を入力しない場合には、標準的な設定値に自動設定される。標準的な設定値は、初期温度STが摂氏34度、入浴時間Aが11分、最終温度ETが摂氏37度である。
そして仮に入浴者の性別が男性である場合は、初期温度STが摂氏34度から僅かに下方に補正される。即ち初期温度STが摂氏33度に補正される。
また初期温度STの補正と連動して入浴時間Aが補正される。即ち初期温度STが低い場合は、初期温度STが高い場合に比べて入浴時間Aが短く設定される。
また入浴者の体重が例えば80キログラムを越える様な大きな値である場合は、入浴時間Aが長めに補正される。一方、入浴者の体重が例えば40キログラム未満というような小さな値である場合は、入浴時間Aが短めに補正される。
また入浴者の年齢が80歳を越える様な高齢である場合には、入浴時間Aが短めに補正される。即ち、高齢者は、一般に血圧が高く、また血管や内蔵が弱く、長時間の入浴を避けるべきである。そこで本実施形態では、入浴者の年齢が高い場合に入浴時間Aが短めに補正される。なお、入浴者の年齢を、老人、壮年、青年、子供、幼児、のように複数段階に分けて設定可能な構成としてもよい。
また上記した実施形態では、給湯・追い焚き装置6に外気温度を検出する温度センサー5が設けられており、温度センサー5を利用して最終温度ETが補正される。即ち外気温度が高い場合には最終温度ETが下方に補正される。逆に外気温度が低い場合は、最終温度ETが上方に補正される。
以上説明した実施形態では、追い焚きの完了を優先し、追い焚きが終了すると、所定のコースが終了したことを入浴者に報知することとした。しかしながら、本実施形態は、この構成に限定されるものではなく、追い焚きが開始された後の時間経過を優先して所定のコースが終了したことを入浴者に報知することとしてもよい。
例えば、図4に示すフローチャートの様に、追い焚き開始と共に第2タイマーをスタートさせる(ステップ8)。ここで第2タイマーは、副交感神経を優位にさせることができる入浴時間を計時するものであり、例えば4分を計時する。
そしてステップ9で追い焚き完了を待ち、さらにステップ10で第2タイマーが計時を終えるのを待つ。そして追い焚き完了し、さらに副交感神経を優位にさせることができる入浴時間が確保されたことが確認されたことを条件として所定のコースが終了したことを入浴者に報知する。
上記した実施形態では、水位センサー22の検知水位によって入浴者が入浴したか否かを判定することとしたが、光電センサー等の他のセンサーによって入浴者が入浴したか否かを判定してもよい。
また入浴者が自身の手でスイッチを操作することにより、入浴したことを風呂装置1に知らせてもよい。即ち入浴したことを知らせる入浴確認スイッチを設け、入浴確認スイッチがオンされてから一定時間が経過した後に浴槽に張られた湯の温度を昇温させて最終温度ETに至らしめてもよい。
上記した実施形態では、入浴者の体重を入力者自らの手で入力したが、水位センサー22の水位上昇の具合から、入浴者の体格を推定し、入浴者が大きい人であるか小柄であるかによって入浴時間Aを補正してもよい。
また本実施形態の風呂装置1は、マイクロバブル機能を備えており、浴槽2内に微細な気泡を噴射することができる。
上記したクールダウン浴モードで風呂装置1を運転する際に、マイクロバブル機能を発揮させるか否かは任意であるが、深部体温を低下させる効果は、マイクロバブル機能を発揮させる場合の方が高い。即ちマイクロバブル機能は、浴槽2内に微細な気泡を噴射するものであるから、入浴者の体に対する湯の衝突機会が増加し、深部体温を低下させやすい。また、体表面で気泡が潰れる感覚が心地よく、リラックス効果がある。
同様の理由から追い焚きの際にもマイクロバブル機能を発揮させることが推奨される。
次に、本発明の効果を確認するために実施した実験について説明する。
1.推奨される入浴方法
入浴開始から11分間は風呂の設定温度を摂氏33度とし、その後は風呂の設定温度を摂氏36度として追い焚きをかけた状態で4分間の入浴を行った(合計15分間の入浴)。即ち、図1のタイムチャートにおいて、入浴時間A=11分、初期温度ST=摂氏33度、最終温度ET=摂氏36度、昇温に要する時間B=4分、追い焚き温度C=プラス摂氏3度、の条件で実験を行った。なお、ここでの追い焚きについては、出浴直後の寒気抑制や、温熱効果による副交感神経刺激などを目的として行った。入浴中の追い焚きなどの操作については験者側が行った。
入浴中の姿勢は長座位で上体を後傾させ、肩甲部や背中が浴槽内壁面に接する姿勢で、水位は概ね肩峰付近とした。なお、先行の研究においては半身浴で30分間のクールダウン浴によって十分な深部体温の低下が見られたことと、今回の入浴では全身浴となるため、入浴時間を短縮し15分間とした。
2.比較例の入浴方法(シャワー浴)
季節の変化により選択される入浴の方法は様々であるが、特に夏期において選択される可能性が高くなる入浴方法として、シャワー浴が知られている。過去の調査により、夏期におけるシャワーの使用時間について浴槽浴の際は6分間、シャワー浴の際には8分間であるとの結果がある。このことから、浴槽浴の際の6分間は洗髪や洗体のために使用されたものと推測される。今回の実験における入浴方法では洗髪や洗体を実施しないものとしたため、シャワー浴の際の8分間から6分間を引いた残りの2分間が純粋にシャワー浴のために使用された時間と推測した。また、2分のうち1分間は汗を流すことを目的とし設定温度摂氏39度のお湯を浴び、残りの1分は暑熱感を抑えるために夏季の常温の水(摂氏30度)を浴びることとした。お湯から水に切り替わる途中の1分間はシャワーを浴びないように指示した。これにより、浴室での滞在時間は合計で3分間とした。
シャワー浴中の姿勢は立位とし、頭部を水で濡らさないようにし、背中側から第七頚椎付近にシャワーが当たるようにした。
3.実験参加者
実験参加者は、健常女性12名(平均年齢30.3±7.1歳、身長159.3±5.2cm、体重51.0±6.7kg)を対象とした。
実験参加者には実験の目的、手順および危険性について十分説明し、書面による同意を得た上で実験を行った。また、実験参加者には、前日と当日に強い負荷の運動や労働を行わないことや、アルコール摂取や喫煙なども控えるよう指示した。
4.実験環境及び入浴条件
前室環境は、夏期の日中を想定し室温は摂氏33度設定とし、湿度を70%とした。浴室環境は、夏期の浴室を想定し室温は摂氏30度となるように設定した。空調の作動音による影響が実験参加者の心身に及ぶのを避けるために、実験参加者の脱衣開始時に空調を停止させて浴室室温は成り行きとした。後室環境は摂氏29度、湿度を70%とした。
入浴条件としては、実施例では入浴時間を15分間、比較例では3分間とした。実施例では、11分間経過した時点で追い焚きを行った。また、入浴中の姿勢は比較例(シャワー浴)では立位とし、実施例では長座位とした。
比較例では湯温の設定を最初の1分目は摂氏39度とし、3分目は摂氏30度とした。湯温が変化している2分目はシャワーを浴びないようにした。流量は11.4L/分とした。
実施例では入浴開始から11分間までは湯温の設定を摂氏33度とし、その後は設定を摂氏36度として追い焚きをかけた状態で4分間の入浴を行った。
5.実験手順
実験手順を図5に示す。実験参加者は、前室ではスウェット生地の長袖と長丈ズボンを着用し、前室に設置したエアロバイクにより運動を行った。8分間の運動と2分間の休息を1セットとし、計3セット繰り返した。参加者ごとに運動量の差が出ないように、回転速度に合わせてペダル負荷を自動で変更する機能を用いた。目標の運動量は40Wに設定した。その後、脱衣室に移動し脱衣を行った後に浴室内に移動した。その後に入浴を行った。浴後は、水分のふき取りを行った後にTシャツとハーフパンツを着用した。その後、後室に移動し、計測機器を取り付けた後に40分間の椅座位安静を行った。安静開始後は雑誌を読んでいてもらい、眠気などが生じた以降は自由に睡眠を取ってもらった。安静開始直後からの閉眼安静については行わないように説明を行った。
6.計測項目
(1)環境温
実験中の温熱環境について、入浴前の室温である前室室温(前室内エアロバイクに着座した実験参加者の傍ら、床上高さ1m)、入浴中の浴室内の室温である浴室室温(入浴した実験参加者の頭部側の傍ら、洗い場上の床上高さ80cm)、比較例ではシャワーヘッドとホースの接続部分の湯の温度である湯温、実施例では浴槽内の湯の温度を同じく湯温、入浴後の安静中の室温である後室室温についてそれぞれ計測を行った。
室温と湯温については、データロガ(日機装サーモ、N542R )とサーミスタ(室温:日機装サーモ、44032 、シャワー温度、浴槽水温度:日機装サーモ、44036 )を用いた。前室と後室の室温については、1秒間隔で計測したものを3分間隔で平均値を取りこれを代表値として扱った。入浴中の室温と湯温については、1秒間隔で計測したものを1分間隔で平均値を取りこれを代表値として扱った。
(2)睡眠時間
実験参加者への計測による負担の軽減なども踏まえて、入浴後の後室での安静中の睡眠状態を判断するために、Actiwatch (Mini Mitter 、AW-L)を用いて計測を行った。計測は、後室での安静開始から40分間連続して行った。これにより得られたデータをActiware(Mini Mitter 、Actiware)により解析を行った。睡眠/覚醒判定閾値についてはMediumに設定した。
(3)深部体温
深部体温として直腸温を計測した。計測は実験開始時から実験終了まで連続して行った。計測機器についてはデータロガ(日機装サーモ、N542R )とサーミスタ(日機装サーモ、44033 )を用い、1秒間隔で計測したものを3分間隔で平均値を取りこれを代表値として扱った。
(4)自律神経評価
入浴後の後室での安静中の自律神経活動を評価するために心電図を計測した。導出はCM5誘導にて行い、生体アンプ(日本光電、AB-601G )にて増幅を行い1000HzでA/ D変換を行った。心電図からRRIを得てFFTによる周波数解析を行い、パワースペクトル値を得た。0.04〜0.15Hzまでの積分値をLF成分、0.15〜0.5HzまでをHF成分とした。この積分値からLF/HFを得て自律神経活動の評価を行った。出浴後安静開始1分間以降の5分おきデータを得た。
(5)主観評価
SD法による7段階の評価を用いたアンケートを作成し、実験参加者から回答を得た。入浴前運動開始28分後、出浴後安静開始前、出浴後安静開始40分後において実験参加者にアンケート票を手渡して記入させた。評価項目としては全身の温冷感・リラックス感・汗による快不快感についてである。
全身の温冷感については「とても暑い:7」、「暑い:6」、「暖かい:5」、「どちらでもない:4」、「涼しい:3」、「寒い:2」、「とても寒い:1」までの7段階で実験参加者に評価をさせた。
リラックス感については「とても緊張:1」、「緊張:2」、「やや緊張:3」、「どちらでもない:4」、「ややリラックス:5」、「リラックス:6」、「とてもリラックス:7」までの7段階で実験参加者に評価をさせた。
汗による快不快感については「とても快適:7」、「快適:6」、「やや快適:5」、「どちらでもない:4」、「やや不快:3」、「不快:2」、「とても不快:1」までの7段階で実験参加者に評価をさせた。
7.統計解析
各条件において有効なデータが得られた実験参加者は12名であった。統計解析については、この12名に対して行った。
前室と後室の室温については、正規性と等分散が確認できたので二元配置分散分析を行った。
浴室室温については、実施例と比較例とで重複している3分間に対して正規性と等分散が確認できたので二元配置分散分析を行った。
湯温については、等分散が確認できなかったので実施例と比較例とで重複している3分間に対してウィルコクソンの符号順位和検定を行った。
睡眠時間については、正規性と等分散が確認できたので対応のあるt検定を行った。
深部体温・自律神経評価については、正規性と等分散が確認できたので対応のある二元配置分散分析を行った上で、Bonferroni法を用い多重比較を行った。
主観評価については、ウィルコクソンの符号順位和検定を行った。
p<0.05を有意とした。
8.結果
(1)環境温
前室と後室の室温について交互作用は認められなかった(F(24,550)=0.0752, n.s.)。経時的な測定点の違いにおいて有意な主効果が認められた(F(24,550)=757.5233, p<0.01)。これは、前室と後室の室温の設定がそれぞれ摂氏33度と摂氏29度としていたためである。入浴条件の違いにおいては有意な主効果は認められなかった(F(1,550)= 0.2671, n.s.)(図6)。
浴室室温について交互作用が認められ(F(2,66)=16.3693, p<0.01 )、経時的な測定点の違いにおいて有意な主効果が認められた(F(2,66)=18.1657, p<0.01 )。また、入浴条件の違いにおいても有意な主効果が認められた(F(1,66)= 153.9981, p<0.01 )(図7)。これは、浴室内に熱を持った湯が存在していたことと、その湯がシャワーにより広く散布されたことで、湯から浴室空間に対して熱の移動が促進された影響と思われる。
湯温の入浴条件の違いについてウィルコクソンの符号順位和検定を行ったところ、1分(p<0.01)と3分(p<0.01)において有意な差が認められた(図8)。
(2)睡眠時間
出浴後安静中において睡眠中であると判断できた時間について図9に示す。条件間に対してt検定を行ったところ、比較例に対して実施例での睡眠時間が有意に長いことが認められた(p<0.05)。
また、比較例においては、安静中に睡眠の判定が0であった人数が4人であったのに対して、実施例では1人のみであった。
(3)深部体温
深部体温の経時的変化について図10に示す。入浴前後の深部体温を統計解析の対象とした。二元配置分散分析の結果、交互作用が認められた(F(24,528)=7.4378, p<0.01. )。このことよりBonferroni法を用いて多重比較を行った結果、出浴3分後から出浴30分後において、比較例に対して実施例の深部体温が有意に低くなっていることが認められた(p<0.01)。また、出浴33分後において、比較例に対して実施例の深部体温が低くなっている傾向が認められた(p<0.05)。
(4)自律神経評価
出浴後安静中の自律神経指標であるLF/HFの経時的変化について図11に示す。二元配置分散分析の結果、交互作用は認められなかった(F(6,132)=1.1169, n.s. )。測定点の違いにおいて有意な主効果が認められた(F(6,132)=4.23, p<0.01.)。このことより、Bonferroni法を用いて多重比較を行った結果、比較例では、出浴後安静開始6分に対して26分と36分においてLF/HFが有意に低い値となっていることが認められた(p<0.01)。実施例では、出浴後安静開始6分に対してそれ以降31分までの全ての測定点においてLF/HFが有意に低い値となっていることが認められた(p<0.01)。また、出浴後安静開始6分に対して36分においてLF/HFが低くなっている傾向が認められた(p<0.05)。
(5)主観評価
全身の温冷感については、ウィルコクソンの符号順位和検定を行ったところ、いずれの測定点においても有意な差は認められなかった(図12)。
リラックス感については、ウィルコクソンの符号順位和検定を行ったところ、出浴後安静開始前において、比較例に対して実施例がリラックスできている傾向が認められた(p<0.05)(図13)。
汗による快不快感については、ウィルコクソンの符号順位和検定を行ったところ、出浴後安静開始前において、実施例に対して比較例が有意に汗によって不快であることが認められた(p<0.01)(図14)。
9.考察
睡眠時間の結果から、出浴後安静中での睡眠時間は実施例が有意に長くなっており、実施例の方法が睡眠を得るための入浴方法として優れていることが示唆された。本実験ではこのような差が生じる要因となったものを捉えることができた。
1つは深部体温であり、出浴後の安静開始から33分後まで有意に低い値を取り続けたことから、実施例の方法が深部体温を低下させる入浴方法として優れていることが示唆された。深部体温の低下が睡眠に対して影響を及ぼしたものと考えられる。
もう1つは自律神経活動であり、LF/HFが出浴後安静開始6分に対して有意に低い値となったのが、シャワー浴では26分と36分においてである一方で、実施例では11分以降36分まで継続していた。実施例において出浴後安静の早い段階で副交感神経活動が優位になっていたことが、睡眠時間に対して影響を及ぼしたものと考えられる。
また、主観評価においても、リラックス感は出浴後安静開始前での申告において実施例が有意に高い値を得ていた。全身の温冷感ではいずれの測定点においても有意な差は見られず、当初想定していた追い焚きによる出浴後の寒気抑制の効果が得られていたものと思われる。汗による快不快感では出浴後安静開始前において比較例が有意に不快側となっていた。これらのことから、実施例の方法が実験参加者に対して負荷が少ない条件であったことが示唆され、自律神経活動やリラックス感に対して影響を及ぼしたものと考えられる。また、自律神経活動やリラックス感に対して影響を及ぼしたものとして、追い焚きによる温熱効果が考えられる。なお、温熱効果は、直接副交感神経に対して影響を及ぼしたり、血管が拡張することによって交感神経活動が抑制されたりすることが知られている。
1 風呂装置
5 温度センサー(外気温検知手段)
22 水位センサー(入浴検知手段)

Claims (8)

  1. 浴槽内の湯水の温度を調整する湯温調整機能を備えた風呂装置において、
    クールダウン浴モードによる運転が可能であり、
    前記クールダウン浴モードにおいては、浴槽内の湯水を入浴者の入浴直前の深部体温よりも低く、且つ入浴者の入浴直前における身体各部の体表面温度のうちで最も低い体表面温度以上の初期温度STに調節し、入浴開始から一定時間が経過した後に浴槽内の湯水の温度を昇温させて摂氏41度未満の最終温度ETに至らしめることを特徴とする風呂装置。
  2. 浴槽内の湯水の温度を調整する湯温調整機能を備えた風呂装置において、
    クールダウン浴モードによる運転が可能であり、
    前記クールダウン浴モードにおいては、浴槽内の湯水を摂氏32度以上摂氏36.5度未満の初期温度STに調節し、入浴開始から一定時間が経過した後に浴槽内の湯水の温度を昇温させて摂氏36度以上摂氏41度未満の最終温度ETに至らしめることを特徴とする風呂装置。
  3. 入浴者が入浴したことを検知する入浴検知手段を有し、入浴者が入浴したことを前記入浴検知手段が検知してから一定時間が経過した後に浴槽内の湯水の温度を昇温させて最終温度ETに至らしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の風呂装置。
  4. 浴槽内に気泡を噴射する気泡噴射機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の風呂装置。
  5. 外気温度を検知する外気温検知手段を有し、最終温度ETは自動的に設定され、外気温度が高い場合には、外気温度が低い場合に比べて最終温度ETが低く設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の風呂装置。
  6. 入浴者の性別を入力する性別入力手段を有し、初期温度ST及び最終温度ETは自動的に設定され、入浴者が男性である場合は、入浴者が女性である場合に比べて初期温度ST及び最終温度ETが低く設定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の風呂装置。
  7. 前記一定時間は自動的に設定され、初期温度STが低い場合は、初期温度STが高い場合に比べて前記一定時間が短く設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の風呂装置。
  8. 入浴者の体型に関する情報を入力する体型情報入力手段、又は入浴者の体型に関する情報を取得する体型情報取得手段を有し、前記一定時間は自動的に設定され、入浴者が大きい人である場合は、入浴者が小さい人である場合に比べて前記一定時間が長く設定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の風呂装置。
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