以下、本発明の実施形態を図1〜図14を用いて説明する。本説明では、画像形成装置として複合機100を例に挙げて説明する。複合機100は、用紙を搬送して印刷する。以下、本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
(複合機100)
まず、図1を用いて、実施形態に係る複合機100の一例を説明する。図1は実施形態に係る複合機100の一例を示す説明図である。
図1に示すように、複合機100は制御部1と記憶部2を含む。制御部1は複合機100の各部を制御する。制御部1は、制御回路10と画像処理回路11を含む。制御回路10は、例えば、CPUである。制御回路10は制御に関する演算、処理を行う。画像処理回路11は、画像データの処理を行う。記憶部2はROM、RAM、HDDのような記憶装置を含む。記憶部2は制御用プログラムや各種データを記憶する。
複合機100は画像読取部3を含む。画像読取部3はセットされた原稿を読み取る。画像読取部3は、原稿の画像データを生成する。原稿の画像データは、印刷用画像データとして利用される。
複合機100は操作パネル4を含む。制御部1は操作パネル4と通信可能に接続される。操作パネル4は、表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43(例えば、スタートキー)を含む。制御部1は表示パネル41の表示を制御する。制御部1は、画面、画像を表示パネル41に表示させる。例えば、制御部1は操作用画像を表示させる。操作用画像は、例えば、ソフトキーやボタンである。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。また、制御部1は操作されたハードキー43を認識する。このように、操作パネル4は使用者の操作を受け付ける。制御部1は、操作パネル4でなされた設定操作の内容を認識する。また、操作された操作用画像やハードキー43に応じ、制御部1は表示内容の切替を表示パネル41に行わせる。制御部1は設定どおりに動作するように複合機100を制御する。
また、複合機100は印刷部5を含む。印刷部5は、給紙部5a、用紙搬送部6、画像形成部5b、定着部7を含む。印刷ジョブのとき、制御部1は用紙を1枚ずつ給紙部5aに供給させる。制御部1は用紙搬送部6に用紙を搬送させる。制御部1は、トナーを用いて、画像形成部5bに印刷用画像データに基づくトナー像を形成させる。制御部1は、搬送用紙へのトナー像の転写を画像形成部5bに行わせる。制御部1はトナー像の用紙への定着を定着部7に行わせる。用紙搬送部6は、印刷済用紙を排出トレイに排出する。
複合機100は通信部13を含む。通信部13はコンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。通信部13は通信用のコネクタや通信回路を含む。通信部13は、コンピューター200とデータを送受信できる。
(用紙搬送)
次ら、図2、図3を用いて、実施形態に係る複合機100での用紙搬送に関する部分の一例を説明する。図2、図3は、実施形態に係る複合機100での用紙搬送に関する部分の一例を示す図である。
複合機100は、給紙部5a、用紙搬送部6を含む。図2に示すように、給紙部5aは用紙カセット51、給紙モーター52、給紙用回転体53(ピックアップローラー)を含む。用紙カセット51は用紙束を収容する。給紙用回転体53は収容される用紙と接する。給紙モーター52の駆動により、給紙用回転体53が回転する。給紙用回転体53の回転により、用紙カセット51から用紙が送り出される。印刷ジョブのとき、制御部1は、給紙モーター52を回転させる。複数枚の用紙を連続して印刷するとき、制御部1は、給紙モーター52の回転、一時停止を繰り返し、用紙間に所定の紙間を設ける。
給紙部5aから送り出された用紙は、用紙搬送部6に進入する。図3に示すように、用紙搬送部6は、搬送ローラー対61(搬送用回転体対に相当)と搬送ガイド64を含む。搬送ローラー対61は回転し、用紙を搬送する。搬送ガイド64は、搬送用紙を案内する。図3は、用紙搬送部6のうち、下方(給紙部5a)から上方(画像形成部5b)に向けて搬送する部分の一例を示す。図3のうち、下方の搬送ローラー対61は中間ローラー対62である。図3のうち、上方の搬送ローラー対61は、レジストローラー対63である。レジストローラー対63は、画像形成部5bに向けて用紙を送り出す。
用紙搬送部6は1又は複数の搬送モーター60を含む。搬送モーター60は、搬送モーター60の駆動により、1又は複数の搬送ローラー対61が回転する。搬送ローラー対61の回転により、用紙が搬送される。用紙は搬送ガイド64による用紙搬送経路を通る。印刷ジョブのとき、制御部1は搬送モーター60を回転させる。
(厚さ検知部8)
次に、図2〜図4を用いて、実施形態に係る複合機100が含む厚さ検知部8の一例を説明する。図4は、実施形態に係る信号処理回路84の一例を示す図である。
厚さ検知部8は、超音波センサー81、信号処理回路84を含む。超音波センサー81は、送信部82、受信部83を含む。送信部82、受信部83は、それぞれ、圧電素子を含む。重送検知を行うとき、制御部1は、所定の周期(周波数)のパルスを送信部82に入力する。例えば、数十キロHz程度のパルスが送信部82に入力される。電圧(パルス)印加によって、圧電素子が変形する。その結果、送信部82は、入力されたパルスの周波数の超音波を発信する。
受信部83は、送信部82から放射された超音波を受ける。受信部83の圧電素子は、超音波の圧力の強さ(音圧)に応じた電荷(電圧)を出力する。なお、受信部83は圧電素子の出力を増幅する増幅回路を含んでもよい。言い換えると、受信部83は、圧電素子の出力を増幅した電圧(電荷)を出力してもよい。
図3に示すように、送信部82と受信部83は搬送用紙を挟むように設けられる。送信部82の超音波発信面と受信部83の超音波受信面が向かい合う。送信部82と受信部83の間を用紙が通過する。送信部82と受信部83は、用紙搬送経路を挟み、かつ、間に用紙が搬送されるように設けられる。画像形成部5bよりも用紙搬送方向上流側に超音波センサー81が設けられる。図3は、用紙の搬送経路のうち、給紙部5aと画像形成部5bの間に超音波センサー81を設ける例を示す。
信号処理回路84は、受信部83の出力(電荷)をチャージし、検知用電圧V1を生成する回路である。図4に示すように、信号処理回路84は、例えば、ダイオードD1、コンデンサーC1、抵抗R1を含む。受信部83の出力はダイオードD1の入力端子(アノード)に入力される。ダイオードD1の出力端子(カソード)からの出力電圧がコンデンサーC1の一端と抵抗R1の一端に入力される。コンデンサーC1の他端と抵抗R1の他端は、グランドと接続される。コンデンサーC1は、受信部83から出力された電荷を蓄える(充電する)。例えば、コンデンサーC1の端子間電圧が厚さ検知部8の出力(検知用電圧V1)として出力される。検知用電圧V1は制御部1に入力される。
制御部1は、A/D変換回路12を含む(図1参照)。制御部1は、入力された検知用電圧V1をA/D変換する。そして、制御部1は、検知用電圧V1の大きさを認識する。なお、A/D変換回路12を厚さ検知部8に設け、A/D変換回路12が検知用電圧V1の大きさを示すディジタルデータを生成してもよい。この場合、A/D変換回路12が生成したディジタルデータが制御部1に入力される。制御部1は、入力されたディジタルデータに基づき、検知用電圧V1の大きさを認識する。
受信した超音波の強度が大きいほど、検知用電圧V1の大きさは大きくなる。受信した超音波の強度が小さいほど、検知用電圧V1の大きさは小さくなる。厚さ検知部8は、受信部83が受信した超音波に応じた大きさの検知用電圧V1を出力する。
(用紙の厚さの判定)
次に、図5、図6を用いて、実施形態に係る厚さ検知部8を用いた用紙の厚さの判定の一例を説明する。図5は、実施形態に係る厚さ検知部8を用いた用紙の厚さの判定の一例を示す図である。図6は実施形態に係る厚さ判定用データD1の一例を示す。
操作パネル4では、印刷に使用する(用紙カセット51に収容された)用紙の厚さ(厚さレベル)を設定することができる。例えば、操作パネル4は、厚紙、普通紙、薄紙のような複数のレベルの中から、用紙の厚さの選択を受け付ける。制御部1は、選択された用紙の厚さを記憶部2に不揮発的に記憶させる。記憶部2の記憶内容に基づき、制御部1は、設定されている用紙の厚さを認識できる。
しかし、操作パネル4で設定された用紙の厚さと、実際に用紙カセット51に収容される用紙の厚さが異なってしまうことがある。例えば、用紙カセット51の用紙を厚さの異なる用紙に変更したものの、操作パネル4での用紙の厚さの再設定を忘れることがある。例えば、以前に操作パネル4で設定された厚さが普通紙であり、新たに厚紙をセットしたが、操作パネル4で用紙の厚さの再設定をしわすれた場合、操作パネル4で設定された用紙の厚さと、実際に搬送される用紙の厚さがずれる。
そこで、制御部1は、印刷時、用紙の厚さ(厚さレベル)の判定を行う。制御部1は、搬送される用紙1枚ごとに用紙の厚さの判定処理を行う。なお、制御部1は、複数枚の用紙のうち1枚のみについて用紙の厚さの判定を行ってもよい。言い換えると、複数枚に1度、制御部1は、用紙の厚さの判定処理を行ってもよい。
図5のスタートは、用紙の給紙を開始した時点である。複数枚の用紙を連続して印刷するとき、制御部1は、1枚の用紙の給紙開始ごとに、図5のフローチャートを実行する。
まず、制御部1は、超音波の発信を送信部82に開始させる(ステップ♯11)。制御部1は、用紙の先端が送信部82と受信部83の間に到達する前から超音波を送信部82に発信させてもよい。送信部82からの超音波の発信のため、制御部1は、所定の発信周波数のパルス信号を送信部82に入力する。例えば、発信周波数は、2万数千Hz以上である。
そして、制御部1は、厚さ検知期間T1の開始を認識する(ステップ♯12)。厚さ検知期間T1は予め定められる。厚さ検知期間T1では、制御部1は、予め定められたサンプリング周期で所定回数、検知用電圧V1を取得する。そのため、厚さ検知期間T1は、所定回数にサンプリング周期を乗じた時間とできる。従って、厚さ検知期間T1>サンプリング周期の関係となる。
厚さ検知期間T1の開始時点は、用紙の先端の送信部82と受信部83の間への到達以後に設定される。また、送信部82と受信部83の間から用紙が通過するまでに厚さ検知期間T1の終わるように、厚さ検知期間T1の開始時点が設定される。
送信部82と受信部83の間に用紙が到達すると、検知用電圧V1は小さくなる。給紙モーター52の回転開始後、所定値以上の検知用電圧V1の下降があったとき、制御部1は、用紙の先端が送信部82と受信部83の間に到達したと認識してもよい。この場合、制御部1は、用紙の先端が送信部82と受信部83の間に到達したと認識した時点を厚さ検知期間T1の開始時点としてもよい。
また、制御部1は、給紙開始(給紙モーター52の回転開始)から経過した時間に基づき、厚さ検知期間T1の開始を認識してもよい。この場合、制御部1は、給紙開始からの経過時間を測る。例えば、制御回路10が経過時間を測る。給紙開始から送信部82と受信部83の間に用紙の先端が到達するまでの所要時間は、予め求めておくことができる。例えば、用紙カセット51にセットされた用紙の搬送方向下流側の先端位置から送信部82と受信部83の間までの距離を仕様上の用紙搬送速度で除すことにより、所要時間を定めることができる。この場合、制御部1は、経過時間が所要時間になった時点、又は、経過時間が所要時間に予め定められたマージンを加えた時間となった時点を厚さ検知期間T1の開始時点と認識する。
そして、制御部1は、予め定められたサンプリング周期で、所定回数、検知用電圧V1の電圧値を取得する(ステップ♯13)。制御部1は、厚さ検知部8が出力したアナログ電圧をA/D変換する。A/D変換のため、制御部1は、A/D変換回路12を含む(図1参照)。このように、制御部1は、所定回数、ディジタル化された検知用電圧V1の電圧値を取得する。制御部1は、サンプリングにより得られた電圧値(ディジタル値)は、記憶部2に記憶させる。
例えば、所定回数が25回の場合を説明する。厚さ検知期間T1を10ミリ秒とする場合、10ミリ秒÷25=0.4ミリ秒となる。周期が0.4ミリ秒なので、周波数は、2.5キロヘルツ(1÷0.4ミリ)となる。この場合、サンプリング周波数は2.5kHzとなる。用いる所定回数、厚さ検知期間T1に基づき、サンプリング周波数が設定される。
所定回数のサンプリングにより、厚さ検知期間T1の検知用電圧V1の振幅の変動を示す情報を得ることができる。言い換えると、所定回数のサンプリングにより、制御部1は、厚さ検知部8の出力電圧の包絡線検波を行う。
そして、制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得した複数の電圧値のうち除外電圧値を判定する(ステップ♯14)。除外電圧値は、ノイズが混入している電圧値である。言い換えると、除外電圧値は、受信部83の出力にノイズが混入したときの検知用電圧V1に対応する電圧値である。除外電圧値の判定の詳細は後述する。
次に、制御部1は電圧値の平均値を求める(ステップ♯15)。このとき、制御部1は、厚さ検知期間T1に取得した電圧値のうち、除外電圧値を除く。平均値を求めるとき、制御部1は除外電圧値を求めない。例えば、10番目に取得された(サンプリングされた)電圧値を除外電圧値と判定したとき、制御部1は、10番目以外の電圧値の平均値を求める。そして、制御部1は、平均値と厚さ判定用データD1に基づき、搬送される用紙の厚さを判定する(ステップ♯16)。そして、本フローは終了する(エンド)。
厚さ判定用データD1は、用紙の厚さ(厚さレベル)ごとに対応する平均値の範囲を定義したデータである。記憶部2は、厚さ判定用データD1を不揮発的に記憶する。ステップ♯16のとき、制御部1は、厚さ判定用データD1を参照する。
図6は、厚さ判定用データD1の一例を示す。図6は用紙の厚さが3種類である場合の厚さ判定用データD1を示す。図6のうち、Xは実際に求められた平均値を意味する。図6のうち、X1、X2、X3は、用紙の厚さを判定するための境界値である。用紙が厚いほど用紙を透過し、受信部83に到達する超音波が少なくなる。反対に、用紙が薄いほど用紙を透過し、受信部83に到達する超音波が多くなる。従って、X1、X2、X3の大小関係は、X1<X2<X3となる。なお、用紙の厚さは3段階よりも多くてもよい。厚さ(段階、レベル)ごとに対応する平均値の範囲が厚さ判定用データD1で定義される。
(除外電圧値の判定)
次に、図7、図8を用いて、実施形態に係る除外電圧値の判定の一例を説明する。図7は、実施形態に係る検知用電圧V1の電圧値の波形の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る除外電圧値の判定の流れの一例を示す図である。
図7の横軸は時間を示す。図7の縦軸は、検知用電圧V1の電圧値の振幅を示す。図7のグラフの上側に付された数字は、厚さ検知期間T1で電圧値を取得する時点の順番を示す。言い換えると、グラフの上側に付された数字は、サンプリングされた電圧の順番を示す。図7のうち、5番目にサンプリングされた電圧値は、他の電圧値に比べ、ずっと大きい。また、18番目にサンプリングされた電圧値は、他の電圧値に比べ、ずっと小さい。ノイズが検知用電圧V1の大きさを急激に変化させることがある。ノイズの影響を受けた検知用電圧V1の電圧値を用いて用紙の厚さを判定した場合、誤判定のおそれがある。
そこで、制御部1は、検知用電圧V1の電圧値のうち、ノイズにより大きく変化した電圧値を除外電圧値と判定する。制御部1は、それぞれの電圧値が除外電圧値か否かの判定を行う。以下の説明でのnは正の整数である。また、nは所定回数以下の数字である。
図8を用いて、図5のステップ♯14の詳細を説明する。図8のスタートは、図5のステップ♯13(所定回数の検知用電圧V1の電圧値を取得)が完了した時点である。
まず、制御部1はnに1を代入する(ステップ♯21)。そして、制御部1は、n番目の電圧値が除外判定値か否かを判定する(ステップ♯22)。次に、制御部1は、nの最大値(所定回数)に到達したか否かを確認する(ステップ♯23)。言い換えると、制御部1は、全ての電圧値について、除外判定値か否かの判定を行ったか否かを確認する。全ての電圧値の判定を終えていないとき(ステップ♯23のNo)、制御部1は、nに1を加算する(ステップ♯24)。そして、フローはステップ♯22に戻る。一方、全ての電圧値の判定を終えたとき(ステップ♯23のYes)、制御部1は、本フローを終了させる。
ここで、制御部1は、n番目の電圧値と順番が前後する電圧値を比較することにより、除外電圧値か否かを判定する。
最初にサンプリング(取得)された電圧値(n=1の電圧値)については、サンプリングの順番が前の電圧値はない。そこで、制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得したn番目(1番目)の電圧値と(n+1)番目の電圧値の差の絶対値を求める。絶対値が予め定められた許容値D2を超えているとき、制御部1は、n=1番目の電圧値を除外電圧値と判定する。
最後にサンプリング(取得)された電圧値(n=所定回数の電圧値)については、サンプリングの順番が後の電圧値はない。そこで、制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得したn番目(最後)の電圧値と(n−1)番目の電圧値の差の絶対値を求める。絶対値が予め定められた許容値D2を超えているとき、制御部1は、n番目(最後)の電圧値を除外電圧値と判定する。
サンプリングされた順番が2番目から最後の1つ前の電圧値については、サンプリングの順番が前の電圧値と後の電圧値が存在する。そこで、n=2〜(所定回数−1)のとき、制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得したn番目の前記電圧値と(n−1)番目の電圧値の差の絶対値である第1絶対値を求める。また、制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得したn番目の電圧値と(n+1)番目の電圧値の差の絶対値である第2絶対値を求める。そして、制御部1は、第1絶対値と第2絶対値の両方が許容値D2を超えているとき、n番目の電圧値を除外電圧値と判定する。また、制御部1は、第1絶対値と第2絶対値の一方又は両方が、許容値D2未満のとき、n番目の電圧値は除外電圧値ではないと判定する。
なお、n=2〜(所定回数−1)の場合でも、制御部1は、n番目の電圧値と(n+1)番目の電圧値の差の絶対値が許容値D2を超えているとき、n番目の電圧値を除外電圧値と判定してもよい。あるいは、制御部1は、n番目の電圧値と(n−1)番目の電圧値の差の絶対値が許容値D2を超えているとき、n番目の電圧値を除外電圧値と判定してもよい。
許容値D2は予め定められる。例えば、複数の用紙を搬送し、ノイズが無いときの用紙搬送中の検知用電圧V1の変化幅を測る。そして、測定で得られた変化幅の最大値を許容値D2と定めることができる。記憶部2は、許容値D2を不揮発的に記憶する(図1参照)。制御部1は、記憶部2に記憶された許容値D2を参照して判定を行う。
(重送の判定)
次に、図9、図10を用いて、実施形態に係る実施形態に係る厚さ検知部8を用いた用紙の重送の判定の一例を説明する。図9は、実施形態に係る厚さ検知部8を用いた用紙の重送の判定の一例を示す図である。図10は、重送時の検知用電圧V1の電圧値の波形の一例を示す図である。
重送(複数枚の用紙が重なった搬送)が生ずる場合がある。例えば、先行する用紙の一部に次の用紙の一部が重なって搬送されることがある。また、場合によっては、ほぼ完全に2枚の用紙が重なって搬送されることもある。
重送が原因で用紙の詰まりが生ずることがある。また、重送状態のまま画像形成部5bに用紙が到達すると、複数枚の用紙に跨がって1ページの内容が印刷されることもある。詰まりや無駄な印刷を避けるため、重送発生時、用紙搬送を速やかに停止すべきである。複合機100では、厚さ検知部8を重送の検知に利用できる。
ここで、厚さ検知期間T1は、例えば、10ミリ秒程度とできる。複合機100では、例えば、印刷可能な用紙の最小サイズはA6である。A6用紙のサイズは、105×148mmである。用紙搬送速度が300mm/秒の場合、A6の用紙の先端が送信部82と受信部83に到達してから通過するまでの時間は、約0.5秒である。約0.5秒の間に、制御部1は10ミリ秒の厚さ検知期間T1を設定する。送信部82と受信部83の出力に基づき、制御部1から用紙の先端到達を認識してから厚さ検知期間T1を設定しても、用紙先端の超音波センサー81への到達後、直ぐに重送の発生を検知することができる。
重送状態では、用紙を透過し、受信部83が受信する超音波は、厚紙搬送時よりも少なくなる。そして、重送時、厚さ検知期間T1の間に、検知用電圧V1の急激なドロップが繰り返される場合がある。制御部1は、急激な電圧値低下の繰り返しに基づき、重送が発生したか否かを判定する。
図9のスタートは、図5のステップ♯13(所定回数の検知用電圧V1の電圧値を取得)が完了した時点である。まず、制御部1は、厚さ検知期間T1において、異常値D3以上から異常値D3未満への電圧値の変化があったか否かを確認する(ステップ♯31)。言い換えると、制御部1は、検知用電圧V1の電圧値が異常値D3を下回ったか否かを確認する。
異常値D3は予め定められる。例えば、重送発生時の受信部83の出力(検知用電圧V1)に基づき、異常値D3を定めることができる。例えば、実験により重送状態の用紙を搬送したときの検知用電圧V1の電圧値の平均値を異常値D3とすることができる。記憶部2は、異常値D3を不揮発的に記憶する(図1参照)。制御部1は、記憶部2に記憶された異常値D3を参照して確認を行う。
異常値D3以上から異常値D3未満への電圧値の変化がなかったとき(ステップ♯31のNo)、制御部1は、本フローに関する処理を終了する(エンド)。異常値D3以上から異常値D3未満への電圧値の変化があったとき(ステップ♯31のYes)、制御部1は、異常値D3未満である期間のうち、重送基準時間T2以上の期間があるか否かを確認する(ステップ♯32)。ノイズによって瞬間的に電圧値が下降することがある。重送発生の誤検知しないように、制御部1は、異常値D3未満の期間の長さを確認する。
重送基準時間T2以上の期間がないとき(ステップ♯32のNo)、制御部1は、本フローに関する処理を終了する(エンド)。重送基準時間T2以上の期間があるとき(ステップ♯32のYes)、制御部1は、重送基準時間T2以上の期間が複数あるか否かを確認する(ステップ♯33)。
重送基準時間T2は予め定められる。重送基準時間T2は、例えば、検知用電圧V1のサンプリング周期の2個分以上の長さとできる。記憶部2は、重送基準時間T2を不揮発的に記憶する(図1参照)。制御部1は、記憶部2に記憶された重送基準時間T2を参照して確認を行う。
重送基準時間T2以上の期間が複数ないとき(ステップ♯33のNo)、制御部1は、本フローに関する処理を終了する(エンド)。重送基準時間T2以上の期間が複数あるとき(ステップ♯33のYes)、制御部1は用紙の重送発生と判定する(ステップ♯34)。
重送発生と判定したとき、制御部1は、印刷部5(給紙部5a、用紙搬送部6、印刷部5、定着部7)に用紙搬送を停止させる。また、制御部1は、メッセージを表示パネル41に表示させる。このメッセージは、例えば、重送が発生したことを知らせる。また、メッセージは、用紙搬送の停止により複合機100の内部に残る用紙の除去作業をすべきことを知らせる内容でもよい。
図10は、重送発生と判定される場合の検知用電圧V1の推移の一例を示す。図10の例では、検知用電圧V1の異常値D3未満への1回目の下降の後、一時的に検知用電圧V1が回復している。しかし、検知用電圧V1が再度、異常値D3未満に下降している。言い換えると、図10の例では、検知用電圧V1の異常値D3未満への下降が2回繰り返されている。また、図10の例では、2つの異常値D3未満の期間は何れも重送基準時間T2以上である。
(判定した用紙の厚さに基づく制御)
次に、図11〜図14を用いて、実施形態に係る複合機100での判定した用紙の厚さに基づく制御の一例を説明する。図11は、実施形態に係る定着部7とニップ圧調整部9の一例を示す図である。図12は、実施形態に係る定着温度データD4の一例を示す図である。図13は、実施形態に係るニップ圧データD5の一例を示す図である。図14は、実施形態に係る複合機100での用紙の厚さに応じた制御の一例を示す図である。
まず、複合機100は定着部7を含む。図11に示すように、定着部7は、加熱回転体71、加圧回転体72、ヒーター73、定着モーター74を含む。加熱回転体71と加圧回転体72は、例えば、ローラーである。加熱回転体71の周面と加圧回転体72の周面が接する。加圧回転体72は加熱回転体71に押しつけられる。加熱回転体71の周面と加圧回転体72の周面はニップを形成する。ヒーター73は、加熱回転体71を熱する。定着モーター74は、加熱回転体71の周面と加圧回転体72の何れか一方、又は両方を回転させる。印刷中、制御部1は、定着モーター74を回転させる。トナー像が転写された用紙はニップを通過する。用紙の面のうち、未定着のトナー像が転写された面が加熱回転体71と接する。用紙は、加熱、加圧されつつ、搬送される。加熱回転体71と加圧回転体72は、搬送用回転体対としても機能する。
また、加熱回転体71の温度を検知するための温度センサー75が設けられる。温度センサー75は、加熱回転体71の温度に応じた電圧を出力する。温度センサー75の出力は制御部1に入力される。温度センサー75の出力に基づき、制御部1は加熱回転体71の温度を認識する。加熱回転体71(認識される温度)が定着制御温度で維持されるように、制御部1は、ヒーター73のON/OFF(電力供給)を制御する。
そして、記憶部2は定着温度データD4を不揮発的に記憶する。定着温度データD4は用紙の厚さ(厚さレベル)ごとに対応する加熱用回転体の温度である定着制御温度を定義したデータである。印刷開始時、制御部1は、加熱用回転体を加熱する。例えば、制御部1は、操作パネル4で選択された用紙の厚さに対応する定着制御温度を認識する。認識した定着制御温度への温度到達を検知したとき、制御部1は、給紙部5aに印刷を開始させる。
図12は定着温度データD4の一例を示す。図12において、Y1、Y2、Y3の値は、温度であり、画像形成装置の機種ごとに異なる。複合機100では、用紙が厚いほど定着制御温度が高く設定される。従って、大小関係は、Y1>Y2>Y3となる。
また、複合機100は回転して用紙を搬送する搬送用回転体対を含む。定着部7の加熱回転体71と加圧回転体72も搬送用回転体対の一種である。用紙搬送部6に設けられる搬送ローラー対61も搬送用回転体対の一種である。一対の各搬送用回転体の周面同士が接する。制御部1は、各搬送用回転体を回転させる。周面同士のニップに用紙が進入する。各搬送用回転体の回転により、用紙が搬送される。
そして、複合機100は搬送用回転体対のニップ圧を調整するニップ圧調整部9を含む。ニップ圧調整部9は、加圧機構91、圧調整機構92を含む。加圧機構91は、例えば、一方の搬送用回転体を他方の搬送用回転体に押しつける押圧部材を含む。圧調整機構92は、ニップ圧調整モーターや偏心カムを含む。カムは押圧部材と接する。ニップ圧調整モーター(偏心カム)の回転角度により、押圧部材が押しつける力が変化する。制御部1は、ニップ圧調整モーター(偏心カム)の回転角度を制御し、ニップ圧を調整できる。
ニップ圧調整部9は、全ての搬送用回転体対に対して設けられてもよい。また、用紙搬送経路上に設けられた搬送用回転体対のうち、一部の搬送用回転体対に対し、加圧機構91、圧調整機構92が設けられてもよい。例えば、定着部7の搬送用回転体対(加熱回転体71と加圧回転体72)に対してのみ、ニップ圧調整部9が設けられてもよい。
そして、記憶部2はニップ圧データD5を不揮発的に記憶する。ニップ圧データD5は用紙の厚さ(厚さレベル)ごとに対応する搬送用回転体のニップ圧を定義したデータである。印刷開始時、制御部1は、ニップ圧をニップ圧調整部9に調整させる。例えば、制御部1は、操作パネル4で選択された用紙の厚さに対応するニップ圧への調整をニップ圧調整部9に行わせる。調整後、制御部1は給紙部5aに印刷を開始させる。
図13はニップ圧データD5の一例を示す。図13において、Z1、Z2、Z3の値は、ニップ圧であり、画像形成装置の機種ごとに異なる。複合機100では、用紙が厚いほどニップ圧が小さくされる。従って、大小関係は、Z1<Z2<Z3となる。
そして、図14のスタートは、図5のフローチャートに基づき、用紙の厚さの判定がなされた時点である。まず、制御部1は、定着温度データD4を参照し、定着制御温度を判定した用紙の厚さに対応する温度に設定する(ステップ♯41)。以後、制御部1は、加熱回転体71が定着制御温度で維持されるように、ヒーター73のON/OFFを制御する。操作パネル4で設定された用紙の厚さと、搬送中の用紙の厚さ(判定した用紙の厚さ)が異なっていても、定着制御温度を搬送中の用紙の厚さに応じた温度とすることができる。
次に、制御部1は、ニップ圧データD5を参照し、判定した厚さに対応したニップ圧への調整をニップ圧調整部9に行わせる(ステップ♯42)。操作パネル4で設定された用紙の厚さと、搬送中の用紙の厚さ(判定した用紙の厚さ)が異なっていても、1又は複数の搬送用回転体対のニップ圧を用紙のサイズに応じた大きさとすることができる。
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、用紙搬送部6、厚さ検知部8、制御部1、記憶部2を備える。用紙搬送部6は用紙を搬送する。厚さ検知部8は送信部82と受信部83を含む。厚さ検知部8は、受信部83が受信した超音波に応じた大きさの検知用電圧V1を出力する。制御部1は、検知用電圧V1が入力される。記憶部2は、用紙の厚さを判定するための厚さ判定用データD1を記憶する。送信部82と受信部83は、用紙搬送経路を挟み、かつ、間に用紙が搬送されるように設けられる。制御部1は、予め定められた厚さ検知期間T1の間、受信部83に向けて超音波を送信部82に発信させる。制御部1は、予め定められ、厚さ検知期間T1よりも短いサンプリング周期で検知用電圧V1の電圧値を取得する。制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得した複数の電圧値のうち、ノイズが混入した電圧値である除外電圧値を判定する。制御部1は、厚さ検知期間T1に取得した電圧値のうち、除外電圧値を除く電圧値の平均値を求める。制御部1は、平均値と厚さ判定用データD1に基づき、搬送される用紙の厚さを判定する。判定用データは、用紙の厚さごとに対応する平均値の範囲を定義したデータである。
この構成によれば、厚さ判定をするための演算の基準となる数値(電圧値)から、ノイズが混入した(ノイズの影響を受けた)数値を除外することができる。用紙の厚さの判定に用いる情報から、判定の誤りの原因となる情報を除外することができる。従って、用紙の厚さを正確に判定することができる。
制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得したn番目の電圧値と(n−1)番目又は(n+1)番目の電圧値の差の絶対値を求める。絶対値が予め定められた許容値D2を超えているとき、制御部1は、n番目の電圧値を除外電圧値と判定する。(n−1)の時点でサンプリングされた電圧値又は(n+1)の時点でのサンプリングにより取得された電圧値との比較に基づき、n番目の電圧値が、異常か否かを判定することができる。n番目のサンプリングで取得された電圧値にノイズが混入しているか否かを判定することができる。1つ前又は1つ後の時点でのサンプリングにより取得された電圧値に対し、異常に差がある電圧値を、判定に用いる数値から外すことができる。従って、用紙の厚さを正確に判定することができる。
制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得したn番目の電圧値と(n−1)番目の電圧値の差の絶対値である第1絶対値を求める。また、制御部1は、厚さ検知期間T1のサンプリングで取得したn番目の電圧値と(n+1)番目の電圧値の差の絶対値である第2絶対値を求める。制御部1は、第1絶対値と第2絶対値の両方が、予め定められた許容値D2を超えているとき、n番目の電圧値を除外電圧値と判定する。第1絶対値と第2絶対値の一方又は両方が、許容値D2未満のとき、制御部1は、n番目の電圧値は除外電圧値ではないと判定する。(n−1)の時点でサンプリングされた電圧値及び(n+1)の時点でのサンプリングにより取得された電圧値と比較に基づき、n番目の電圧値が、異常か否かを判定することができる。n番目にサンプリングされた電圧値にノイズが混入しているか否かを正確に判定することができる。ノイズが混入している検知用電圧V1に対応する電圧値を、判定に用いる数値から外すことができる。従って、用紙の厚さを正確に判定することができる。
制御部1は、厚さ検知期間T1内に、予め定められた異常値D3以上から異常値D3未満への電圧値の変化があったか否かを確認する。異常値D3以上から異常値D3未満への電圧値の変化があるとき、制御部1は、異常値D3未満の期間のうち、予め定められた重送基準時間T2以上の期間があるか否かを確認する。重送基準時間T2以上の期間があるとき、制御部1は、重送基準時間T2以上の期間が複数あるか否かを確認する。重送基準時間T2以上の期間が複数あるとき、用紙の重送発生と判定する。検知用電圧V1の電圧値が異常な降下、上昇を繰り返している場合、用紙の重送が発生していると判定することができる。
複合機100(画像形成装置)は、画像形成部5bと定着部7を含む。画像形成部5bはトナー像を形成し、搬送される用紙に形成したトナー像を転写する。定着部7は、加熱回転体71と加熱回転体71を熱するヒーター73を含む。定着部7は、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像の定着を行う。記憶部2は、用紙の厚さごとに対応する加熱回転体71の温度である定着制御温度を定義した定着温度データD4を記憶する。印刷のとき、制御部1は、定着温度データD4を参照して、加熱回転体71の温度を、判定した用紙の厚さに対応した定着制御温度とする。加熱回転体71の温度を、用紙の厚さに適した温度とすることができる。加熱回転体71の温度を印刷に適した温度で保つことができる。
複合機100(画像形成装置)は、回転して用紙を搬送する一対の搬送用回転体(例えば、加熱回転体71と加圧回転体72、搬送ローラー対61)を含む。また、複合機100は、一対の搬送用回転体同士のニップ圧を調整するニップ圧調整部9を含む。記憶部2は、用紙の厚さごとに対応する搬送用回転体のニップ圧を定義したニップ圧データD5を記憶する。印刷のとき、制御部1は、ニップ圧データを参照して、判定した用紙の厚さに対応したニップ圧への調整をニップ圧調整部9に行わせる。搬送用回転体のニップ圧を、搬送用紙の厚さに適したニップ圧とすることができる。印刷時、ニップ圧を適切な圧力で保つことができる。用紙の詰まり、折れなどが生じないように、ニップ圧を調整することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。