JP6904083B2 - ポリアミド樹脂組成物及びそれを用いた離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、フィルムにした場合の離型性を改善したポリアミド樹脂組成物及びそれを用いた離型フィルムに関する。
テニスやバドミントンのラケットのフレーム、ゴルフシャフト、釣り竿などは、軽量化の目的で、内部が空洞になっている。内部が空洞になっている管状構造物を製造する方法としては、内圧成型法が知られている。内圧成型法では、例えば、チューブ状のフィルムの周りにプリプレグを捲回し、チューブ内部に高い圧力をかけながら周囲のプリプレグを成型した後、チューブを取り外すことで、内部が空洞になっている管状構造物が得られる。チューブ状のフィルムとしては、ポリアミドフィルムが用いられる。
特許文献1には、繊維強化プラスチック層の内側に熱可塑性フィルムを有する管状体において、熱可塑性フィルムの厚さが5μm以上30μm以下であることを特徴とする繊維強化プラスチック製管状体が記載されている。また、特許文献2には、金型成形により繊維強化樹脂からなる中空のラケットフレームを製造するラケットフレームの製造方法であって、金型内において加熱成形時に用いる内圧充填用の可撓性チューブの表面にシリコーンポリマー又はフッ素系ポリマーからなる離型層を形成しておき、該可撓性チューブを成形後にフレームから抜き取ることを特徴とするラケットフレームの製造方法が記載されている。
特開2000−238152号公報 特開平11−244424公報
しかし、ポリアミドフィルムからなるチューブを成型後の管状構造物から取り外そうとすると破れてしまうことがあり、離型性の改善が求められていた。
そこで、本発明は、フィルムにした場合の離型性を改善したポリアミド樹脂組成物及びそれを用いた離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、ポリアミド樹脂と、変性ポリプロピレンワックスとを含むポリアミド樹脂組成物であって、
前記ポリアミド樹脂が、ホモポリアミドとコポリアミドとからなり、
前記変性ポリプロピレンワックスの含有量が、0.01〜3質量%である
離型フィルムを形成するための
ポリアミド樹脂組成物、及びそれを含む離型フィルムである。
本発明によれば、フィルムにした場合の離型性を改善したポリアミド樹脂組成物及びそれを用いた離型フィルムを提供することができる。
<ポリアミド樹脂>
本発明において使用されるポリアミド樹脂は、ラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を原料として、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法で重合又は共重合することにより得られる。
ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどが挙げられる。アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、ナイロン塩を構成するジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−/1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
一方、ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明では、ポリアミド樹脂として、ホモポリアミドとコポリアミドの両方を用いる。ポリアミド樹脂の構成成分としては、これらラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩から誘導される単一重合体(ホモポリアミド)及び共重合体(コポリアミド)を各々単独又は混合物の形で用いることができる。
本発明において使用されるポリアミド樹脂の構成成分の具体例としては、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカンラクタム(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)(以上、ホモポリアミド)や、これらの原料モノマーを用いたポリアミド共重合体(コポリアミド)などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
得られるフィルムの耐熱性、機械的強度、透明性、経済性、入手の容易さ等を考慮して、ポリアミド樹脂は、カプロラクタムから誘導される単位(カプロラクタム単位)、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から誘導される単位(ヘキサメチレンアジパミド単位)、及びドデカンラクタムから誘導される単位(ドデカラクタム単位)よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される単独重合体あるいは共重合体であることが好ましい。具体的には、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド6とポリアミド66の共重合体、以下、共重合体は同様に記載)、ポリアミド6/69共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6/611共重合体、ポリアミド6/612共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド66/6T共重合体、ポリアミド66/6I共重合体、ポリアミド6T/6I共重合体、ポリアミド66/6T/6I共重合体、ポリアミドMXD6からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ポリアミド6、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
ポリアミド樹脂の構成成分であるホモポリアミドとコポリアミドの配合割合に関しては、ホモポリアミド/コポリアミド(重量比)が20/80〜98/2であることが好ましく、30/70〜95/5であることがより好ましく、40/60〜90/10であることがさらに好ましい。
JIS K−6920に準じて測定したポリアミド樹脂の相対粘度は、2.0〜5.0であることが好ましく、2.5〜4.5であることがより好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度が前記の下限値以上であれば、得られるポリアミドフィルムの機械的性質が良好になる。一方、ポリアミド樹脂の相対粘度が前記の上限値以下であれば、溶融時の粘度が低くなり、フィルムの成形が容易となる。
該ポリアミド樹脂は、前記ポリアミド樹脂の原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合する事により製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、フィルム製膜時の溶融安定性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
上記アミン類としてはモノアミン、ジアミン、ポリアミンなどが挙げられる。また、アミン類の他に、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸等のカルボン酸類を添加しても良い。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加しても良い。また、下記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β−フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N−メチル−N−エチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−メチル−N−ドデシルアミン、N−メチル−N−オクタデシルアミン、N−エチル−N−ヘキサデシルアミン、N−エチル−N−オクタデシルアミン、N−プロピル−N−ヘキサデシルアミン、N−プロピル−N−ベンジルアミン等の混成第二アミンなどが挙げられる。
添加するジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。
添加するポリアミンは、一級アミノ基(−NH)及び/又は二級アミノ基(−NH−)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどが挙げられる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミンやプロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物などが挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等の炭素数2〜8アルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。さらに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は、特に制限はないが、4〜3,000であることが好ましく、8〜1,500であることがより好ましく、11〜500であることがさらに好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100〜20,000であることが好ましく、200〜10,000であることがより好ましく、500〜8,000であることがさらに好ましい。
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカ二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカ二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4−/2,4,4−トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m−/p−キシリレンジカルボン酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
従って、ポリアミド樹脂製造時の生産性を落とさずに、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することがより好ましい。
また、ポリアミド樹脂の各構成成分は、末端基濃度の異なる2種類以上のポリアミド樹脂の混合物でも構わない。この場合、ポリアミド樹脂混合物の末端アミノ基濃度、末端基カルボキシル濃度は、混合物を構成するポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度及びその配合割合により決まる。
ポリアミド樹脂については、さらに、JIS K−6920に規定する低分子量物の含有量の測定方法に準じて測定した水抽出量は1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。水抽出量が前記の値を超えると、ダイ付近へのオリゴマー成分の付着が著しく、これら付着物によるダイラインやフィッシュアイの発生により外観不良が生じ易い。さらに、ポリアミド樹脂は、オレフィン樹脂と比較して吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると、原料を溶融押出しする際、加水分解が起こるためオリゴマーが発生し、フィルム製造が困難となるので事前に乾燥し、水分含有率が0.1質量%以下とすることが好ましい。
<変性ポリプロピレンワックス>
本発明において使用される変性ポリプロピレンワックスとは、未変性ポリプロピレンワックスを変性したものであり、融点が50〜170℃であり、融点より10℃高い温度における粘度が10Pa・s以下と低いものをいう。なお、未変性ポリプロピレンワックスとしては、プロピレン単独重合体からなるものでもよく、プロピレン−α−オレフィン共重合体からなるものでもよい。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数3〜20のα−オレフィンなどが挙げられる。プロピレン−α−オレフィン共重合体ワックスにおけるプロピレン単位の含有量は、50モル%を超えることが好ましい。
変性ポリプロピレンワックスとしては、ビニルエステル変性ポリプロピレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
ビニルエステル変性ポリプロピレンワックスは、ポリプロピレンワックスを構成するモノマーと、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合により得ることができる。
酸変性ポリプロピレンワックスは、ポリプロピレンワックスを不飽和カルボン酸又はその酸無水物等により酸変性することで得ることができる。不飽和カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸などが挙げられるが、無水マレイン酸が好ましい。不飽和カルボン酸無水物の代わりに、酸アミド、酸エステル等の誘導体を用いることもできる。無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックスとしては、クラリアントケミカルズ社製のLicocene(登録商標)PP MA 1332、同PP MA 6252、同PP MA 6452、同PP MA 7452などが挙げられる。
酸化ポリプロピレンワックスは、ポリプロピレンワックスを酸化処理することで得ることができる。
<未変性ポリプロピレン樹脂>
本発明において好適に使用される未変性ポリプロピレン樹脂は、変性されていないポリプロピレンを主成分とするものである。ポリプロピレンは、プロピレン単独重合体でもよく、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体でもよい。プロピレン以外のオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等の炭素数2〜8のオレフィン(ただしプロピレンを除く)などが挙げられる。中でも、エチレンが好ましい。すなわち、ポリプロピレンとしては、アイソタクチックポリプロピレン等のプロピレン単独重合体;プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体等のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体;プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合等のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体;プロピレン−エチレン−ブテン共重合体等のプロピレン含有三元系共重合体などが挙げられる。また、ポリプロピレンは、1種でもよく2種以上でもよい。立体規則性(タクティシティー)については、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック構造等があり、特に限定されない。剛性等の観点からアイソタクチックが好ましい。
未変性ポリプロピレン樹脂は、変性されていないポリプロピレンのみからなることが好ましいが、その特性を損なわない限りにおいて、他の成分を少量含有してもよい。未変性ポリプロピレン樹脂中の変性されていないポリプロピレンの含有量は95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
未変性ポリプロピレン樹脂は、ASTM D1238に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR:230℃、2160g)が、0.1〜80g/10分であることが好ましく、1〜75g/10分であることがより好ましい。
<ポリアミド樹脂組成物>
本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、変性ポリプロピレンワックスとを含む。本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、さらに、未変性ポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
変性ポリプロピレンワックスの含有量は、ポリアミド樹脂組成物に対して0.01〜3質量%とする。この含有量であれば、フィルムにした場合の離型性を改善することができる。変性ポリプロピレンワックスの含有量は、ポリアミド樹脂組成物に対して0.05〜2質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
未変性ポリプロピレン樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂組成物に対して0.1〜10質量%とすることが好ましい。この含有量であれば、フィルムにした場合の離型性を改善することができる。未変性ポリプロピレン樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂組成物に対して0.5〜8質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、通常配合される各種の添加剤及び改質剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、フィラー、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、発泡剤、着色剤(顔料、染料等)、耐屈曲疲労性改良材等を添加することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、特に、アンチブロッキング剤及び/又は酸化防止剤を含有することが好ましい。
アンチブロッキング剤とは、フィルムにした際に表面に凹凸性を付与することで、フィルム同士の密着を抑制するために添加される物質である。アンチブロッキング剤としては、表面突起が表面に形成され、滑り性に優れたポリアミドフィルムが得られさえすれば、その形状は特に制限されず、粉末状、粒子状、フレーク状、板状、繊維状、針状、クロス状、マット状、その他如何なる形状のものであってもよいが、粒子状、板状のものが好ましい。アンチブロッキング剤の平均粒径は、0.5〜10μmであることが好ましい。10μm以上の粒径を有する粒子を実質的に含まないことが望ましい。10μm以上の粒径を有する粒子を多量に含有すると、フッシュアイゲルが発生しフィルム外観を損ねる場合がある。また、滑り性改良効果は発現するとしても、フィルムの透明性が悪くなる場合がある。一方、平均粒径が0.5μm未満であると、二次凝集し易くなり、逆にフッシュアイゲルを発生させる場合がある。また、凝集を防止できたとしても、フィルム表面の凹凸効果を得ることが難しく、滑り性が改良されない場合がある。よって、アンチブロッキング剤の粒径が本発明に適合しない場合、予め粉砕処理や分級を行うことが望ましい。
これらのアンチブロッキング剤の具体例として、ゲルタイプシリカ、沈降タイプシリカ、球状シリカ等のシリカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカが易分散性の点から好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
特に、アンチブロッキング剤としてシリカであることが、得られるフィルムは透明性、滑り性に優れることから、より好ましい。シリカは、SiO・nHOで表される二酸化ケイ素を主成分とするものであり、その製造方法により大別して、湿式法シリカと乾式法シリカの2つに分けられるが、いずれも用いることができる。特にシリカの平均粒径は、0.1〜20μmであることが好ましく、0.3〜15μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。また、一次粒子は、いわゆるサブミクロン・オーダーで、これらの一次粒子が凝集して二次粒子あるいは三次粒子を形成したソフトシリカと、一次粒子の大きさが既に1μm以上のハードシリカがあるが、フィルムの延伸を実施する場合は、ソフトシリカであることがさらに好ましい。
表面処理をしていないシリカを使用することも可能であるが、表面処理シリカを使用することも可能である。シラン系やチタニウム系の表面処理剤で処理したアンチブロッキング剤を使用した場合は、分散性が一層良好であり、また、得られるフィルムの透明性も一層改良される。表面処理の方法については、特に制限されず、例えば、特開昭63−251460号公報に記載の方法で、微細シリカに加熱攪拌下水で希釈したシランカップリング剤を加えて処理する方法を適用することが出来る。
アンチブロッキング剤の含有量は、ポリアミド樹脂組成物に対して0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.05〜3質量%とすることがより好ましく、0.1〜1質量%とすることがさらに好ましい。
酸化防止剤とは、各成分の酸化を抑制するために添加される物質である。酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤、アミド系酸化防止剤、ハロゲン化カリウム、銅化合物などが挙げられる。これらの中でも、ヨウ化カリウム及び/又は臭素化カリウムと、ヨウ化銅とを併用することが好ましい。なお、これらは1種又は2種以上を用いることができる。酸化防止剤の含有量は、ポリアミド樹脂組成物に対して0.001〜5質量%とすることが好ましく、0.003〜3質量%とすることがより好ましく、0.005〜1質量%とすることがさらに好ましい。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物は、変性ポリプロピレンワックス以外の変性ポリオレフィンワックスを含んでいてもよい。変性ポリプロピレンワックス以外の変性ポリオレフィンワックスとは、対応する未変性ポリオレフィンワックス(例えば、エチレンを主成分として構成される未変性ポリエチレンワックス)を変性したものであり、融点が50〜170℃であり、融点より10℃高い温度における粘度が10Pa・s以下と低いものをいう。なお、未変性ポリエチレンワックスとしては、エチレン単独重合体からなるものでもよく、エチレン−α−オレフィン共重合体からなるものでもよい。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数3〜20のα−オレフィンなどが挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体ワックスにおけるエチレン単位の含有量は、50モル%を超えることが好ましい。
変性ポリプロピレンワックス以外の変性ポリオレフィンワックスとしては、ビニルエステル変性ポリオレフィンワックス(ビニルエステル変性ポリプロピレンワックスを除く。)、酸変性ポリオレフィンワックス(酸変性ポリプロピレンワックスを除く。)、酸化ポリオレフィンワックス(酸化ポリプロピレンワックスを除く。)などが挙げられる。
ビニルエステル変性ポリオレフィンワックス(ビニルエステル変性ポリプロピレンワックスを除く。)は、対応する未変性ポリオレフィンワックスを構成するモノマーと、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合により得ることができる。酢酸ビニル変性ポリエチレンワックスとしては、クラリアントケミカルズ社製のLicowax(登録商標)371FPなどが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンワックス(酸変性ポリプロピレンワックスを除く。)は、対応する未変性ポリオレフィンワックスを不飽和カルボン酸又はその酸無水物等により酸変性することで得ることができる。不飽和カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸などが挙げられるが、無水マレイン酸が好ましい。不飽和カルボン酸無水物の代わりに、酸アミド、酸エステル等の誘導体を用いることもできる。無水マレイン酸変性ポリエチレンワックスとしては、クラリアントケミカルズ社製のLicocene(登録商標)PE MA 4221、同PE MA 4351などが挙げられる。
酸化ポリオレフィンワックス(酸変性ポリプロピレンワックスを除く。)は、対応する未変性ポリオレフィンワックスを酸化処理することで得ることができる。酸化ポリエチレンワックスとしては、クラリアントケミカルズ社製のLicowax(登録商標)PED521、同PED522、同PED121;Ceridust(登録商標)3715などが挙げられる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物は、未変性又は変性ポリエチレン樹脂を含んでいてもよい。変性ポリエチレン樹脂は、未変性のポリエチレン樹脂をポリマー合成時又は合成後に変性することで得られる。未変性ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。
変性ポリエチレン樹脂としては、ビニルエステル変性ポリエチレン樹脂、酸変性ポリエチレン樹脂、酸化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。ビニルエステル変性ポリエチレン樹脂は、エチレンと、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合により得ることができる。酸変性ポリエチレン樹脂は、ポリエチレン樹脂を不飽和カルボン酸又はその酸無水物等により酸変性することで得ることができる。不飽和カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸などが挙げられるが、無水マレイン酸が好ましい。不飽和カルボン酸無水物の代わりに、酸アミド、酸エステル等の誘導体を用いることもできる。酸化ポリエチレン樹脂は、ポリエチレン樹脂を酸化処理することで得ることができる。無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂としては、宇部丸善ポリエチレン社製の商品名F3000、三井化学製の商品名アドマーNF528Tなどが挙げられる。
変性ポリエチレン樹脂は、ASTM D1238に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR:190℃、2160g)が、0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.5〜30g/10分であることがより好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、フィルムにした場合の離型性が良好であることから、離型フィルムを形成するために用いることが好ましい。
<離型フィルム>
本発明に係る離型フィルム(以下、単に「フィルム」と称することがある。)は、上記のポリアミド樹脂組成物を含むものである。
フィルムは、公知のフィルム製造方法により製膜することにより得ることができる。例えば、原料ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイ又はコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷又は水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。製造されたフィルムは実質的に無配向の未延伸の状態でもよく、延伸された状態でも構わない。
未延伸フィルムを延伸する場合には、従来から知られている工業的方法を利用することができる。例えば、キャスティング法によって製造された未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する同時二軸延伸法、Tダイより溶融押出しした未延伸シートをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸法、環状ダイより成形したチューブ状シートを気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法などが挙げられる。延伸工程はフィルムの製造に引続き、連続して実施してもよいし、製造されたフィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施してもよい。
フィルムの厚みは、用途により適宜決定すればよく、特に制限されない。例えば、フィルムの厚みが厚ければフィルム強度は向上するが、透明性や耐屈曲疲労性は低下するので、これらを勘案してフィルムの厚みを決定することができる。単層フィルムの場合、フィルムの厚みは5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
表1に示す成分を配合したポリアミド樹脂組成物を調製し、単軸のTダイフィルム成形機にて、270℃、50rpmにて押し出すことで、50μm厚みの離型フィルムを得た。なお、単位が「質量ppm」と記載されている成分の配合量は、単位が「質量部」と記載されている成分の合計100質量部に対して添加した量である(以下、同様)。また、ポリアミド樹脂の構成成分であるホモポリアミドとしてはポリアミド6(PA6、宇部興産社製、商品名:1030B)を用い、ポリアミド樹脂の構成成分であるコポリアミドとしてはポリアミド6/66(PA6/66、宇部興産社製、商品名:5034B)を用い、未変性ポリプロピレン樹脂としてはポリプロピレンホモポリマー(アイソタクチックPP、プライムポリマー社製、商品名:J108M、メルトフローレート:45g/10分、230℃)を用い、変性ポリプロピレンワックスとしては無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(MAH−PP−wax、クラリアントケミカルズ社製、商品名:Licocene(登録商標)PP MA 6452)を用い、アンチブロッキング剤(AB)としては表面処理をしていないゲルタイプシリカ(平均粒径が1〜4μmのもの)を用い、酸化防止剤(AO)としてはヨウ化銅およびヨウ化カリウムを用いた。
<実施例2〜7>
各成分の配合比を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、離型フィルムを得た。
<比較例1〜4>
変性ポリプロピレンワックスを用いずに、各成分の配合比を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、離型フィルムを得た。
<比較例5>
ホモポリアミド及び変性ポリプロピレンワックスを用いずに、各成分の配合比を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、離型フィルムを得た。
<比較例6>
ポリアミド樹脂の構成成分であるコポリアミドとしてポリアミド6/66(PA6/66、宇部興産社製、商品名:5033B)を用い、ホモポリアミド及び変性ポリプロピレンワックスを用いずに、各成分の配合比を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、離型フィルムを得た。
<比較例7>
ポリアミド樹脂の構成成分であるコポリアミドとしてポリアミド6/66(PA6/66、宇部興産社製、商品名:5033B)を用い、ホモポリアミドを用いずに、各成分の配合比を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、離型フィルムを得た。
<外観(Appearance)>
得られた離型フィルムの外観を目視にて観察し、以下の規準で判定した。
◎:極めて良好
○:良好
×:一部未相溶部位が見られる
××:未相溶部位に加えてフィルムスジも見られる
<剥離性試験(Peel Test)>
CFRPプリプレグを上記で得られた離型フィルムで挟み、オートクレーブ内にて加圧下、160℃、2時間熱硬化を行い、冷却後取り出したサンプルから、離型フィルムを引きはがして、離型性を評価した。
◎:極めて良好
○:良好
×:破損
Figure 0006904083
Figure 0006904083
以上のように、ホモポリアミドとコポリアミドとからなるポリアミド樹脂と、変性ポリプロピレンワックスとを含むポリアミド樹脂組成物は、フィルムにした場合の離型性が改善されることが分かる(実施例1〜7)。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂と、変性ポリプロピレンワックスとを含むポリアミド樹脂組成物であって、
    前記ポリアミド樹脂が、ホモポリアミドとコポリアミドとからなり、
    前記変性ポリプロピレンワックスの含有量が、0.01〜3質量%である
    離型フィルムを形成するための
    ポリアミド樹脂組成物。
  2. さらに、未変性ポリプロピレン樹脂を含む
    請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. さらに、アンチブロッキング剤を含む
    請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. さらに、酸化防止剤を含む
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む離型フィルム。
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