JP6903988B2 - 水性顔料分散組成物、水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 - Google Patents
水性顔料分散組成物、水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6903988B2 JP6903988B2 JP2017058951A JP2017058951A JP6903988B2 JP 6903988 B2 JP6903988 B2 JP 6903988B2 JP 2017058951 A JP2017058951 A JP 2017058951A JP 2017058951 A JP2017058951 A JP 2017058951A JP 6903988 B2 JP6903988 B2 JP 6903988B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- structural unit
- mass
- pigment
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Description
しかし、メタクリル酸又はアクリル酸を用いる共重合体の中和物のpHは8.5から9.5のアルカリ性になり、pHが8.5以下の中性乃至弱アルカリ性領域では、顔料の分散が不安定になりやすく、顔料分散液の増粘や凝集の発生に対して懸念がある。一方、pHが9.5以上の強アルカリ性領域では顔料分散液中に含まれる各種成分が加水分解等により劣化する場合がある。
一方、界面活性剤を用いた顔料分散液の分散性は中性領域でも安定である。しかし、水系顔料分散液を用いたインクや塗料において、水の蒸発による顔料分散液の固化を防ぐ目的で高沸点の水溶性有機溶媒を顔料分散液に含有させることが多い。しかし、水溶性有機溶媒を多量に顔料分散液に含有させた場合、顔料の分散が不安定になり、顔料分散液の増粘や凝集の発生を引き起こす場合があった。
即ち、<1>に係る発明は、
下記一般式(1)で表される構造単位とポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位とを有する重合体である顔料分散剤。
一般式(1)で表される構造単位が、(メタ)アクリレート化合物由来の構造単位を含む<1>に記載の顔料分散剤。
一般式(1)で表される構造単位が、(メタ)アクリル酸多量体由来の構造単位を含む<1>に記載の顔料分散剤。
一般式(1)における前記2価の連結基が、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、複素環基、−CO−、−O−、−NH−若しくは−S−又はこれらの組み合わせで表される<1>に記載の顔料分散剤。
一般式(1)におけるR1の結合する炭素原子とカルボキシ基との間に介在する原子の数が、1以上16以下であり、前記原子が、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子及びリン原子からなる群より選択される少なくとも1種である<1>に記載の顔料分散剤。
前記ポリスチレンマクロモノマーの数平均分子量が、1000以上10000以下である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の顔料分散剤。
前記一般式(1)で表される構造単位の割合が、5質量%以上50質量%以下である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の顔料分散剤。
前記ポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位の割合が、10質量%以上80質量%以下である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の顔料分散剤。
顔料、水及び<1>〜<8>のいずれか1項に記載の顔料分散剤を含有する水性顔料分散組成物。
さらに、水溶性有機溶媒を含有する<9>に記載の水性顔料分散組成物。
前記水溶性有機溶媒の含有量が、1質量%以上60質量%以下である<10>に記載の水性顔料分散組成物。
前記顔料が、キナクリドン系顔料を含む<9>〜<11>のいずれか1項に記載の水性顔料分散組成物。
顔料、水、水溶性有機溶媒及び<1>〜<8>のいずれか1項に記載の顔料分散剤を含有する水性インク。
前記水溶性有機溶媒の含有量が、1質量%以上60質量%以下である<13>に記載の水性インク。
前記顔料が、キナクリドン系顔料を含む<13>又は<14>に記載の水性インク。
<13>〜<15>のいずれか1項に記載の水性インクを収容したインクカートリッジ。
<13>〜<15>のいずれか1項に記載の水性インクを記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置。
<13>〜<15>のいずれか1項に記載の水性インクを記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法。
<9>〜<12>に係る発明によれば、メタクリル酸又はアクリル酸を用いる共重合体に比較して、有機溶媒を含む水系媒体における中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性に優れる顔料分散剤を含有する水性顔料分散組成物が提供される。
<13>〜<15>に係る発明によれば、メタクリル酸又はアクリル酸を用いる共重合体に比較して、有機溶媒を含む水系媒体における中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性に優れる顔料分散剤を含有する水性インクが提供される。
<16>に係る発明によれば、メタクリル酸又はアクリル酸を用いる共重合体に比較して、有機溶媒を含む水系媒体における中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性に優れる顔料分散剤を含有する水性インクを収容したインクカートリッジが提供される。
<17>に係る発明によれば、メタクリル酸又はアクリル酸を用いる共重合体に比較して、有機溶媒を含む水系媒体における中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性に優れる顔料分散剤を含有する水性インクを用いる記録装置が提供される。
<18>に係る発明によれば、メタクリル酸又はアクリル酸を用いる共重合体に比較して、有機溶媒を含む水系媒体における中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性に優れる顔料分散剤を含有する水性インクを用いる記録方法が提供される。
本実施形態に係る顔料分散剤は、下記一般式(1)で表される構造単位とポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位とを有する重合体である。本実施形態に係る顔料分散剤は、一般式(1)で表される構造単位及びポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位以外のその他の構造単位を含んでもよい。
また、本実施形態に係る顔料分散剤は一般式(1)で表される構造単位を含む。一般式(1)で表される構造単位では、2価の連結基であるX1を介してカルボキシ基が共重合体の主鎖骨格に結合する。カルボキシ基が共重合体の主鎖骨格と2価の連結基を介して結合することで、カルボキシ基の中和物のpKaが、アクリル酸又はメタクリル酸由来の構造単位におけるカルボキシ基の中和物のpKaに比較して中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性に適した値となりやすい。そのため、中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性が向上すると考えられる。
以上の理由から、本実施形態に係る顔料分散剤は、メタクリル酸又はアクリル酸由来の構造単位を有する共重合体に比較して、有機溶媒を含む水系媒体における中性乃至弱アルカリ性領域での顔料の保管安定性に優れると推察される。
一般式(1)で表される構造単位は特に限定されるものではなく、カルボキシ基と共重合体の主鎖骨格との間に2価の連結基が介在しているものであれば特に限定されない。
カルボキシ基と共重合体の主鎖骨格との間に2価の連結基が介在することは即ち、一般式(1)で表される構造単位の元となる単量体が、アクリル酸及びメタクリル酸ではないことを意味する。
X1で示される2価の連結基としては、例えば、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、複素環、−CO−、−O−、−NH−若しくは−S−又はこれらの組み合わせで表されるものが挙げられる。
介在する原子の数は、1以上12以下であることが好ましく、1以上8以下であることがより好ましい。
R1の結合する炭素原子とカルボキシ基との間に介在する原子の数は、原子の数に基づくカルボキシ基と共重合体の主鎖骨格との間の距離に相当する。当該原子の数が多くなるにつれて、カルボキシ基が共重合体の主鎖骨格から離れていることを意味する。
X1に芳香環、脂環式アルキル基等の環状構造が含まれている場合、R1の結合する炭素原子とカルボキシ基との間に介在する原子の数は、当該原子の数が最小の数となるように数える。
一般式(1)で表される構造単位の元となる(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本実施形態において(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルオキシはアクリロイルオキシ又はメタクリロイルオキシを意味し、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
水酸基に付加される酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水フタル酸、無水3−メチルフタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
ポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位の元となるポリスチレンマクロモノマーは、片末端に重合性二重結合を有するスチレンの単独又はその他のモノマーとの共重合体であることが好ましい。ポリスチレンマクロモノマーとしては、ポリスチレンの分子末端の一方に(メタ)アクリロイル基が結合したオリゴマーを挙げることができる。その他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。
ポリスチレンマクロモノマーに占めるスチレン由来の構造単位の質量基準の割合は、95質量%以上であることが好ましい。
ポリスチレンマクロモノマーの具体例としては、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6000、商品名:AS−6、東亞合成株式会社製)、片末端メタクリロイル化スチレンアクリロニトリルオリゴマー(Mn=6000、商品名:AN−6S、東亞合成株式会社製)等が挙げられる。ポリスチレンマクロモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
その他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド等のアクリルアミド化合物;スチレン、アルキル置換スチレン、ハロゲン置換スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン置換エチレン化合物;エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、ピネン等のエチレン性不飽和化合物;などが挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの中でも、重合のし易さ、及び顔料が分散された顔料分散液の保管安定性の低下をより抑制する点で、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等)等の(メタ)アクリロイル骨格を有する化合物が好ましい。
ポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位の割合が10質量%以上であれば、顔料分散剤の顔料への吸着性が向上し、水系媒体に有機溶媒を含有させた際の顔料の分散安定性が向上する。ポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位の割合が80質量%以下であれば、顔料分散剤の付着した顔料の親水性の低下が抑制され、低pHでの分散安定性が向上する。
また、一般式(1)で表される構造単位の割合は、後述する顔料分散剤の酸価に鑑みて適宜設定してもよい。
本実施形態に係る顔料分散剤は、例えば、一般式(1)で表される構造単位の元となるモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、必要に応じて用いられるその他のモノマー等のラジカル重合性の化合物の単量体を用いて、ラジカル重合により重合することで得られる。
具体的には、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など種々の重合方法を採用することができる。例えば、溶液重合法では、通常、モノマー、ラジカル重合開始剤等の試薬を均一に溶解させる溶媒を用いて行う。溶媒は、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、カルボン酸、ニトリル、エステル、ケトン、スルホキシド、水等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、ハロゲン化炭化水素としてはクロロホルム、四塩化炭素、アルコールとしてはエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、カルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、ニトリルとしてはアセトニトリル、エステルとしては酢酸エチル、酢酸ブチル、ケトンとしてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、スルホキシドとしてはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る顔料分散剤を用いて顔料を分散させた水性の顔料分散液は、例えば、水性塗料の顔料分散液、又は水性インクの顔料分散液として適用され得る。
本実施形態に係る水性顔料分散組成物は、本実施形態に係る顔料分散剤と、顔料と、水とを含む。また、必要に応じて、水溶性有機溶媒を含む。
ただし、水性顔料分散組成物の保管安定性の低下がより抑制される点で、水性顔料分散組成物中に含まれる本実施形態に係る顔料分散剤は、水性顔料分散組成物中に含まれる顔料分散剤の全量に対して、90質量%以上であることがよく、100質量%であることが好ましい。
顔料としては、特に制限されないが、例えば、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水溶性有機溶媒は、例えば、水性顔料分散組成物の保管時の乾燥抑制、及び水性顔料分散組成物による塗膜を乾燥させるときの造膜性の改善を目的に使用される。
水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、水性顔料分散組成物の保管安定性の低下がより抑制される点で、水性顔料分散組成物の調整直後(保管前)の粘度と、保管後(例えば、80℃、6日間保管後)との粘度の差が、0mP・s以上1.0mP・s以下(好ましくは0mPa・s以上0.5mPa・s以下)であることがよい。
粘度は、粘度粘弾性測定機(HAAKE社製、型番:MARS)を測定装置として用い、直径35mmのコーンプレートを用いて、粘度測定モードで、測定温度23℃、せん断速度100rpmで測定する。
体積平均粒子径の測定方法としては、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所社製、LB−500)を用い、25℃で測定を行う。
次に、水性インクについて説明する。
水性インク(以下、単に「インク」とも称する)は、本実施形態に係る顔料分散剤、顔料、水、及び水溶性有機溶媒を含む。
ただし、水性インクの保管安定性の低下がより抑制される点で、水性インク中に含まれる本実施形態に係る顔料分散剤は、水性インク中に含まれる顔料分散剤の全量に対して、90質量%以上であることがよく、100質量%であることが好ましい。
水性インクには、その他添加剤を含んでもよい。その他添加剤としては、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
また、水性インクの保管安定性の低下がより抑制される点で、水性インクの調製直後(保管前)と、保管後(例えば、80℃、6日間保管後)との粘度の差が、0mP・s以上1.0mP・s以下(好ましくは0mPa・s以上0.5mPa・s以下)であることがよい。
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用する。
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係る水性インクを記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置である。本実施形態に係る記録装置によれば、本実施形態に係る水性インクを記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法が実現される。
また吐出ヘッド30としては、目的に応じて、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの吐出ヘッドが搬送方向に沿ってアレイ状に配置されている形態、ブラック(K)に対応した一つの吐出ヘッド30を配置した形態、他の中間色を加えた4色以上のそれぞれに対応した4つ以上の吐出ヘッド30を配置した形態等が挙げられる。
なお、図1に示す記録装置12は、吐出ヘッド30によってインクの液滴を用紙Pの表面に直接吐出する方式であるが、これに限られず、例えば中間転写体にインクの液滴を吐出した後に、中間転写体上のインクの液滴を用紙Pに転写する方式であってもよい。
記録装置12では、乾燥装置を備えていない記録装置について説明したが、記録媒体上に吐出された水性インクを乾燥する乾燥装置を更に備えた記録装置でもあってもよい。
(顔料分散剤1の合成)
反応容器にメチルエチルケトン200部を仕込んで窒素気流下78℃に加熱した。β−カルボキシエチルアクリレート(CEA:SIPOMER β−CEA J;ソルベイ日華株式会社製)90部、エチルメタクリレート(EMA)240部、ポリスチレンマクロモノマー(AS−6、東亞合成株式会社製)270部、メチルエチルケトン200部、V−601(重合開始剤、和光純薬工業株式会社製)12部の混合物を3時間かけて滴化し、さらに80℃で3時間反応させた。メチルエチルケトンを減圧留去することで顔料分散剤1を白色粉体として得た。CEA、EMA及びAS−6の質量基準の比率CEA/EMA/AS−6は15/40/45とした。
顔料分散剤1の酸価は51mgKOH/gであり、Mwは43000であった。
CEA、EMA及びAS−6の質量基準の比率CEA/EMA/AS−6を15/20/65とした以外は顔料分散剤1の合成と同様にして顔料分散剤2を合成した。
顔料分散剤2の酸価は51mgKOH/gであり、Mwは51000であった。
EMAに替えてブチルアクリレート(BA)を用い、CEA、BA及びAS−6の質量基準の比率を15/50/35とした以外は顔料分散剤1の合成と同様にして顔料分散剤3を合成した。
顔料分散剤3の酸価は51mgKOH/gであり、Mwは38000であった。
CEA、EMA及びAS−6の質量基準の比率CEA/EMA/AS−6を30/25/45とした以外は顔料分散剤1の合成と同様にして顔料分散剤4を合成した。
顔料分散剤4の酸価は103mgKOH/gであり、Mwは43000であった。
CEAに替えて2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(SEMA)を用い、SEMA、EMA及びAS−6の質量基準の比率を20/35/45とした以外は顔料分散剤1の合成と同様にして顔料分散剤5を合成した。
顔料分散剤5の酸価は49mgKOH/gであり、Mwは41000であった。
AS−6に替えてAN−6S(東亞合成株式会社製)を用いた以外は顔料分散剤1の合成と同様にして顔料分散剤6を合成した。
顔料分散剤6の酸価は51mgKOH/gであり、Mwは55000であった。
CEAに替えてメタクリル酸(MAA)を用い、AS−6に替えてスチレン(St)を用い、MAA、EMA及びStの質量基準の比率を15/40/45とした以外は顔料分散剤1の合成と同様にして比較顔料分散剤1を合成した。
比較顔料分散剤1の酸価は100mgKOH/gであり、Mwは33000であった。
CEAに替えてメタクリル酸(MAA)を用い、MAA、EMA及びAS−6の質量基準の比率を8/47/45とした以外は顔料分散剤1の合成と同様にして比較顔料分散剤2を合成した。
比較顔料分散剤2の酸価は52mgKOH/gであり、Mwは46000であった。
(水性顔料分散組成物及び水性インクの調製)
各顔料3.0部、各顔料分散剤0.9部、25%水酸化ナトリウム水溶液を各顔料分散剤に含まれるカルボキシ基と等モルの水酸化ナトリウムとなる量及び水を混合し、超音波分散機で60分間分散して顔料の濃度が15%の水性顔料分散組成物を得た。用いた顔料及び顔料分散剤は、表1又は表2のとおりとした。なお、比較例4では、顔料分散剤に替えて界面活性剤(テイカパワーBN2060(商品名)、テイカ株式会社製)0.3部を加えた。
さらに、得られた水性顔料分散組成物に表1又は表2に記載の水溶性有機溶媒を表1又は表2に記載の量添加し、さらに顔料の濃度が5.0%となるように水を加えて水性インクを得た。
得られた水性インクに3%硝酸又は10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを7.5及び9.5に調整した。動的光散乱式粒径分布測定装置(LB−500(堀場製作所社製))を用いてpH調整前の水性インク中の顔料の体積平均粒子径及びpH調整して30℃で7日経過後の水性インク中の顔料の体積平均粒子径を測定した。pH調整前後での目視による沈降物の有無及び体積平均粒子径の変化率に基づいて分散安定性を下記基準に従い評価した。得られた結果を表1又は表2に示す。
A:体積平均粒子径の変化率が10%未満、かつ沈降物なし
B:体積平均粒子径の変化率が10%以上、かつ沈降物なし
C:沈降物あり
PG :プロピレングリコール
EG :エチレングリコール
DPM :ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
PR122 :C.I.Pigment Red−122
PB15:3 :C.I.Pigment Blue−15:3
PY74 :C.I.Pigment Yellow−74
14 筐体
16 給紙容器
18 取り出しロール
20 搬送ローラ対
24 駆動ロール
26 従動ロール
28 搬送ベルト
30 吐出ヘッド
32 帯電ロール
34 剥離板
36 排出経路
38 排出ローラ対
40 排紙容器
P 用紙
Claims (24)
- 一般式(1)で表される構造単位が、(メタ)アクリレート化合物由来の構造単位を含む請求項1に記載の水性顔料分散組成物。
- 一般式(1)で表される構造単位が、(メタ)アクリル酸多量体由来の構造単位を含む請求項1に記載の水性顔料分散組成物。
- 一般式(1)における前記2価の連結基が、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、複素環基、−CO−、−O−、−NH−若しくは−S−又はこれらの組み合わせで表される請求項1に記載の水性顔料分散組成物。
- 一般式(1)におけるR1の結合する炭素原子とカルボキシ基との間に介在する原子の数が、1以上16以下であり、前記原子が、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子及びリン原子からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の水性顔料分散組成物。
- 前記ポリスチレンマクロモノマーの数平均分子量が、1000以上10000以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水性顔料分散組成物。
- 前記一般式(1)で表される構造単位の割合が、5質量%以上50質量%以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水性顔料分散組成物。
- 前記ポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位の割合が、10質量%以上80質量%以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の水性顔料分散組成物。
- さらに、水溶性有機溶媒を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の水性顔料分散組成物。
- 前記水溶性有機溶媒の含有量が、1質量%以上60質量%以下である請求項9に記載の水性顔料分散組成物。
- 前記顔料が、キナクリドン系顔料を含む請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の水性顔料分散組成物。
- 一般式(1)で表される構造単位が、(メタ)アクリレート化合物由来の構造単位を含む請求項12に記載の水性インク。
- 一般式(1)で表される構造単位が、(メタ)アクリル酸多量体由来の構造単位を含む請求項12に記載の水性インク。
- 一般式(1)における前記2価の連結基が、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、複素環基、−CO−、−O−、−NH−若しくは−S−又はこれらの組み合わせで表される請求項12に記載の水性インク。
- 一般式(1)におけるR 1 の結合する炭素原子とカルボキシ基との間に介在する原子の数が、1以上16以下であり、前記原子が、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子及びリン原子からなる群より選択される少なくとも1種である請求項12に記載の水性インク。
- 前記ポリスチレンマクロモノマーの数平均分子量が、1000以上10000以下である請求項12〜請求項16のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記一般式(1)で表される構造単位の割合が、5質量%以上50質量%以下である請求項12〜請求項17のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記ポリスチレンマクロモノマー由来の構造単位の割合が、10質量%以上80質量%以下である請求項12〜請求項18のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記水溶性有機溶媒の含有量が、1質量%以上60質量%以下である請求項12〜請求項19のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記顔料が、キナクリドン系顔料を含む請求項12〜請求項20のいずれか1項に記載の水性インク。
- 請求項12〜請求項21のいずれか1項に記載の水性インクを収容したインクカートリッジ。
- 請求項12〜請求項21のいずれか1項に記載の水性インクを記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置。
- 請求項12〜請求項21のいずれか1項に記載の水性インクを記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017058951A JP6903988B2 (ja) | 2017-03-24 | 2017-03-24 | 水性顔料分散組成物、水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 |
US15/808,068 US20180273761A1 (en) | 2017-03-24 | 2017-11-09 | Pigment dispersant, aqueous pigment dispersion composition, and aqueous ink |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017058951A JP6903988B2 (ja) | 2017-03-24 | 2017-03-24 | 水性顔料分散組成物、水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018162343A JP2018162343A (ja) | 2018-10-18 |
JP6903988B2 true JP6903988B2 (ja) | 2021-07-14 |
Family
ID=63860802
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017058951A Active JP6903988B2 (ja) | 2017-03-24 | 2017-03-24 | 水性顔料分散組成物、水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6903988B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021090762A1 (ja) * | 2019-11-08 | 2021-05-14 | 株式会社Dnpファインケミカル | 色材分散液、分散剤、感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4107036B2 (ja) * | 2002-09-30 | 2008-06-25 | 東亞合成株式会社 | 顔料分散剤及び水性インク |
JP4758652B2 (ja) * | 2004-01-19 | 2011-08-31 | 大日精化工業株式会社 | 優れた顔料分散性を有するグラフトコポリマーの製造方法、該グラフトコポリマー類を利用するエマルジョン類の製造方法、及び該グラフトコポリマー類またはエマルジョン類を利用している顔料分散液類 |
JP3790537B2 (ja) * | 2004-10-29 | 2006-06-28 | 花王株式会社 | インクジェット記録用水系インク |
JP4801896B2 (ja) * | 2004-11-05 | 2011-10-26 | 花王株式会社 | 水系インク用分散体 |
JP4662762B2 (ja) * | 2004-12-28 | 2011-03-30 | 富士フイルム株式会社 | インクジェット記録用インク及びこれを用いた平版印刷版 |
JP5165191B2 (ja) * | 2005-06-28 | 2013-03-21 | 共栄社化学株式会社 | (メタ)アクリル系共重合物およびそれを含む分散剤 |
JP4875903B2 (ja) * | 2006-02-08 | 2012-02-15 | 富士フイルム株式会社 | 顔料分散組成物および着色感光性組成物 |
US7973097B2 (en) * | 2007-04-24 | 2011-07-05 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet pigment ink and ink set |
JP2010095591A (ja) * | 2008-10-15 | 2010-04-30 | Seiko Pmc Corp | 水性インク用顔料分散剤及び水性インク組成物 |
JP2011105865A (ja) * | 2009-11-18 | 2011-06-02 | Fujifilm Corp | インクセットおよび画像形成方法 |
JP5642485B2 (ja) * | 2010-09-30 | 2014-12-17 | 富士フイルム株式会社 | 着色組成物、着色硬化性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子、及び液晶表示装置 |
-
2017
- 2017-03-24 JP JP2017058951A patent/JP6903988B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018162343A (ja) | 2018-10-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8820908B2 (en) | Ink composition, ink set and image forming method | |
US20180273761A1 (en) | Pigment dispersant, aqueous pigment dispersion composition, and aqueous ink | |
JP4517591B2 (ja) | インクジェット用インクセット、及びインクジェット記録方法 | |
JP4544174B2 (ja) | インクジェット用液体組成物、インクジェット用インクセット、インクジェット用液体組成物タンク、インクジェット用インクタンク、インクジェット記録方法、並びに、インクジェット記録装置 | |
JP2008018664A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2006015725A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP4665523B2 (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP2006241279A (ja) | インクジェット用インク、インクジェット用インクセット、インクジェット用インクタンク、インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置 | |
JP6032127B2 (ja) | 紫外線硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 | |
JP2006247965A (ja) | 画像記録装置 | |
JP2007217472A (ja) | インクジェット用液体組成物、インクジェット用インクセット、インクジェット用インクタンク、インクジェット記録方法、並びに、インクジェット記録装置 | |
WO2008047592A1 (fr) | Agent de revêtement aqueux | |
JP2016030337A (ja) | 記録装置及び記録方法 | |
JP2014237760A (ja) | 紫外線硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 | |
JP2006116934A (ja) | インクジェット用インクセット、インクジェット用インクタンク、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 | |
US7314510B2 (en) | Ink jet liquid composition and ink jet recording method | |
JP2016147998A (ja) | 光硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 | |
JP4609020B2 (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP6903988B2 (ja) | 水性顔料分散組成物、水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 | |
JP2006035689A (ja) | インクジェット用液体組成物、インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、並びに、インクジェット記録装置 | |
JP4329642B2 (ja) | インクジェット用液体組成物、インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 | |
JP2017155116A (ja) | 顔料分散剤、水性顔料分散組成物、水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 | |
JP2010090191A (ja) | インクジェット用水性インク、インクタンク、記録ユニット、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、インクジェット用水性インクの製造方法 | |
JP2000318300A (ja) | インクジェット記録方法 | |
JP6187324B2 (ja) | 紫外線硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200228 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201023 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201027 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201216 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210525 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210607 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6903988 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |