JP2016147998A - 光硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 - Google Patents

光硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 Download PDF

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大輔 中島
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Hiroyuki Ueki
弘之 植木
真実 畠中
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真実 畠中
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Abstract

【課題】硬化性に優れる光硬化型水性インクを提供すること。【解決手段】水(A)と、前記水(A)中に分散する、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)により形成され該親水部を外側とし該疎水部を内側としたミセル(B)と、前記ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)と、前記ミセル(B)の外側で前記水(A)中に存在する光重合性化合物(D)と、前記ミセル(B)の外側で前記水(A)中に存在する光重合開始剤(E)と、を含有する光硬化型水性インク。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法に関する。
特許文献1には、「油相及び水相からなるエマルジョンインクにおいて、油相又は水相に少なくとも着色剤と水性紫外線硬化性化合物とを含有してなることを特徴とするエマルジョンインク」が開示されている。
特許文献2には、「油相および水相を有する油中水(W/O)型エマルションインキにおいて、前記水相中に水不溶性着色剤を含み、前記油相中に紫外線硬化型樹脂を含むことを特徴とする紫外線硬化型孔版印刷用エマルションインキ」が開示されている。
また、特許文献3、4には、ラジカル重合性基を有する化合物及び光ラジカル重合開始剤が、ウレタン(メタ)アクリレート及び架橋ウレタン(メタ)アクリレートのうち少なくともいずれかにより水中に乳化分散されたインクジェット用インク組成物が開示されている。
特開平9−020876号公報 特開平10−120960号公報 特開2012−149228号公報 特開2013−155274号公報
本発明の課題は、水不溶性の光重合開始剤を内包した光重合性化合物によるミセルの外側に、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有しない場合に比べて、硬化性に優れる光硬化型水性インクを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
水(A)と、
前記水(A)中に分散する、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)により形成され該親水部を外側とし該疎水部を内側としたミセル(B)と、
前記ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)と、
前記ミセル(B)の外側で前記水(A)中に存在する光重合性化合物(D)と、
前記ミセル(B)の外側で前記水(A)中に存在する光重合開始剤(E)と、
を含有する光硬化型水性インクである。
請求項2に係る発明は、
前記ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)が、アシルホスフィン光重合開始剤である請求項1に記載の光硬化型水性インクである。
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の光硬化型水性インクを収容したインクカートリッジである。
請求項4に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の光硬化型水性インクを吐出する吐出装置と、
吐出された前記光硬化型水性インクに対して、活性光線を照射する活性光線照射装置と、
を備える記録装置である。
請求項5に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の光硬化型水性インクを吐出する工程と、
吐出された前記光硬化型水性インクに対して、活性光線を照射する工程と、
を有する記録方法である。
請求項1、請求項2に係る発明によれば、水不溶性の光重合開始剤を内包した光重合性化合物によるミセルの外側に、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有しない場合に比べて、硬化性に優れる光硬化型水性インクが提供される。
請求項3に係る発明によれば、水不溶性の光重合開始剤を内包した光重合性化合物によるミセルの外側に、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有しない場合に比べて、硬化性に優れる光硬化型水性インクを収容したインクカートリッジが提供される。
請求項4、又は請求項5に係る発明によれば、水不溶性の光重合開始剤を内包した光重合性化合物によるミセルの外側に、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有しない光硬化型水性インクを用いた場合に比べて、強度に優れた画像を形成する記録装置、又は記録方法が提供される。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略構成図である。 図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置における記録ヘッド周辺を示す部分平面図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<光硬化型水性インク>
本実施形態に係る光硬化型水性インクは、水(A)と、水(A)中に分散する、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)により形成され親水部を外側とし疎水部を内側としたミセル(B)と、ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)と、ミセル(B)の外側で水(A)中に存在する光重合性化合物(D)と、ミセル(B)の外側で水(A)中に存在する光重合開始剤(E)と、を含有する。
つまり、本実施形態に係る光硬化型水性インクは、水(A)を主溶媒として用いた水性インクであって、光重合性化合物を異なる存在形態(ミセルを形成するもの及びミセルの外側に存在するもの)で少なくとも2種含有し、光重合開始剤も異なる存在形態(ミセルに内包するもの及びミセルの外側に存在するもの)で2種以上含有する。
ここで、光硬化型インクは、光重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、紫外線に代表される活性光線の照射により硬化するインクであって、通常、活性光線の照射で光重合開始剤が開裂し、それに伴い重合性化合物の重合反応が起き、光硬化型インクの硬化、造膜がなされる。
光硬化型インクによる硬化膜にて画像が記録されるため、画像の耐擦性が向上する、また、光硬化型インクの浸透性が低い記録媒体に対しても画像を記録しうる、といった利点を有する。
一方、光硬化型インクについては、環境への配慮から、水を主溶媒とする水性インク(つまり、光硬化型水性インク)が提案されている。活性光線の照射で開裂する光重合開始剤は、その構造上、水に不溶又は難溶の化合物であることが多く、光硬化型水性インクの硬化に十分な量を含有させることは難しい。例えば、光重合開始剤を水溶性有機溶媒や光重合性化合物に溶解させる方法を採用した光硬化型水性インクが知られているが、光硬化型インク中の水の比率が多い場合(例えば、光重合性化合物100質量部と光重合開始剤5質量部との混合物に対して水100質量部を添加した場合)、光重合開始剤は経時により析出してしまうことがある。光重合開始剤が光硬化型インク中で析出すると、特にインクジェット記録方法に適用した際には、吐出ヘッドの目詰まり等を引き起こし、吐出安定性が低下してしまうことがある。
以上のことから、光硬化型水性インクにおいて、光重合開始剤の析出を抑制しつつ、高い硬化性を確保する技術が望まれているのが現状である。
これに対して、本実施形態に係る光硬化型水性インクによれば、高い硬化性が得られる。
この理由は定かではないが、次に示す作用によるものと推察される。
本実施形態に係る光硬化型水性インクは、水(A)を主溶媒として用いた水性インクであって、水不溶性の光重合開始剤(C)を、光重合性化合物(b)による親水部を外側とし疎水部を内側としたミセル(B)に内包させている。
この構成とすることで、ミセル(B)を構成する光重合性化合物(b)とミセル(B)に内包される水不溶性の光重合開始剤(C)との物理的距離も小さいことから、活性光線の照射された際の重合速度(硬化速度)も高まり、硬化性も向上するものと考えられる。また、水不溶性の光重合開始剤(C)は、ミセル(B)の内部に保持されることになり、経時による析出が抑制されると考えられる。
一方、本実施形態に係る光硬化型水性インクは、ミセル(B)及び水不溶性の光重合開始剤(C)とは別に、ミセル(B)の外側で水(A)中に存在する、光重合性化合物(D)と光重合開始剤(E)とを含有する。
この構成とすることで、光重合性化合物(D)と光重合開始剤(E)との物理的距離も小さいことから、活性光線の照射された際の重合速度(硬化速度)も高まり、硬化性も向上するものと考えられる。また、光重合開始剤(E)が水不溶性の光重合開始剤であっても、光重合性化合物(D)が溶剤のように機能し、水不溶性の光重合開始剤の溶解を補助することで、光重合開始剤(E)を析出させ難く、光硬化型水性インク中に含有させうるものと考えられる。
以上のことから、本実施形態に係る光硬化型水性インクは、高い硬化性が得られ、更に、光重合開始剤の析出を抑制しうるものと推察される。
また、このような光硬化型水性インクを用いたインクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法では、高い硬化性による強度に優れた画像が形成されることに加え、吐出ヘッドの目詰まり等が起き難く、吐出安定性に優れるものと推察される。
以下、本実施形態に係る光硬化型水性インク(以下、適宜、単に「インク」と称する)について詳細に説明する。
本実施形態に係るインクは、水(A)と、光重合性化合物による親水部を外側とし疎水部を内側としたミセル(B)と、ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)と、水(A)中に存在する水溶性の光重合性化合物(D)と、水中(A)に存在する光重合開始剤(E)と、を含有し、必要に応じて、その他の成分(F)、例えば、水溶性有機溶媒、着色剤、界面活性剤、及びその他の添加剤を含んでもよい。
なお、本実施形態において、特に断らない限り、「水溶性」とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が5質量部以上(望ましくは10質量部)であることを意味する。一方、「水不溶性」とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が5質量部未満であることを意味する。
[水(A)]
本実施形態に係るインクは、水(A)を主溶媒として含有する。
この水(A)としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水の含有量は、例えば、インクに対して50質量%以上90質量%以下が好ましく、60質量%以上80質量%以下がより好ましい。
[親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)により形成され親水部を外側とし疎水部を内側としたミセル(B)]
本実施形態に係るインクは、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)により形成され親水部を外側とし疎水部を内側としたミセル(B)を含有する。
このミセル(B)を形成する親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)は、ミセルを形成し、自己分散しうる光重合性化合物である。
親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)としては、活性光線によってラジカル重合する重合性基を有する疎水部となる化合物に、親水部を導入した化合物が挙げられる。
重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する基が挙げられ、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、無水マレイン酸基、N−置換マレイミド基等が挙げられる。
親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)として、具体的には、例えば、ラジカル重合性モノマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等)を目的とする重合度で重合したオリゴマーに、ポリオキシアルキル基等の親水性基を有する親水部を導入した化合物が挙げられる。
また、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)として、具体的には、例えば、エポキシ骨格、ウレタン骨格、ポリエステル骨格、又はポリエーテル骨格に、アクリロイル基又はメタクリロイル基を付加したアクリレート(エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等)のオリゴマーに、ポリオキシアルキル基等の親水性基を有する親水部を導入した化合物も挙げられる。
特に、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)として好適には、下記一般式(UA)で表されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、単に「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」とも称する)が挙げられる。
一般式(UA): A−O−(CONH−B−NHCOO−C−O)−CONH−B−NH−COO−D
一般式(UA)中、nは1以上30以下の自然数を表し、Aは水酸基を有する(メタ)アクリレート(以下「水酸基含有(メタ)アクリレート」と称する)の残基を表す。Bは、ジイソシアネートの残基を表し、Cは、ジオールの残基を表し、Dはポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルの残基を表す。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートと、ジイソシアネートと、ジオールと、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、を反応させることで得られる。
具体的には、例えば、ジイソシアネートとジオールとを反応させ、ウレタン結合を持つ第1反応生成物を得る。次に、第1反応生成物とポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させ、第2反応生成物を得る。次に、第2反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させ、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得る。
ここで、水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を1個以上有し、且つ水酸基を1個有する化合物が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、一分子内に反応性のイソシアネート基を2個有する化合物が挙げられる。
ジオールとしては、例えば、炭素数6以上20以下の直鎖、分岐状若しくは環状の脂肪族又は芳香族ジオールが挙げられる。
ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、ポリオキシアルキレングリコールの1つの水酸基をアルキル基で封鎖した化合物(HO−(CHCHO)−R:但し、Rはアルキル基であり、mは9以上90以下の自然数を表す。)が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、分散性の点から、1,000以上10,000以下であることが好ましく、2,000以上8,000以下がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布を測定することによって算出する。本明細書における重量平均分子量とは、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量のことであり、GPC(HLC−8220〔商品名〕、東ソー社(TOSOH CORPORATION)製)に、カラム:TSK−gel SuperHZM−M(排除限界分子量:4×10、分子量分画範囲:266以上4×10以下、理論段数:16,000段/本、充填剤材質:スチレン系共重合体、充填剤粒径:3μm)を3本直列として用いることにより測定される。
ミセル(B)を形成する親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
ミセル(B)(ミセル(B)を形成する親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b))の含有量(濃度)は、例えば、インクに対して5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましく、15質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。
ミセル(B)は、水性エマルションとしてインクに含有されることが好ましい。
つまり、本実施形態に係るインクには、ミセル(B)を含有するエマルションが含まれていることが好ましい。
ミセル(B)を含有するエマルションとしては、前述した親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)を機械乳化することで得てもよいし、転相乳化法等により作製してもよい。
親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)としてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いた転相乳化法について、具体的に説明する。
まず、有機溶媒(例えばTHF)に、凍結乾燥したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを溶解する。この溶液を湯浴で温度制御し、撹拌しながら一定速度で水を滴下し、油中水滴(W/O)型から水中油滴(O/W)型へと転相を行う。転相が始まると、混合液の色が無色から、乳白色を基調とした色に変化する。その後、減圧により有機溶媒を除去する。
なお、有機溶媒への溶解の際、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに加え、水不溶性の光重合開始剤を用いれば、上記の乳化転相法により、水不溶性の光重合開始剤(C)を内包したミセル(B)を含有するエマルションが得られる。
ミセル(B)を含有するエマルションとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、ダイセル・オルネクス社製のUCECOAT−7571、UCECOAT−7849、荒川化学工業社製のビームセットEM−92等が挙げられる。
なお、ダイセル・オルネクス社製のUCECOAT−7571及びUCECOAT−7849は、前記したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーにより形成されたミセルを含有するエマルションである。
[ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)]
本実施形態に係るインクは、ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)を含有する。
ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)としては、ベンゾイン化合物(ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等)、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキサイド化合物、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等)、アントラキノン化合物(エチルアントラキノン等)等の周知の水不溶性の光重合開始剤が挙げられる。
中でも、アシルホスフィンオキサイド化合物、即ちアシルホスフィン光重合開始剤が好ましい。アシルホスフィン光重合開始剤は、エネルギー効率の良い可視域に近い長波長側の波長領域(375nm以上450nm以下の波長領域)の光に対して感度に優れ、増感剤の併用を必要としない、といった利点を有する。
ミセル(B)に内包される水不溶性の光重合開始剤(C)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アシルホスフィン光重合開始剤としては、例えば、下記一般式(AP)で示されるアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
一般式(AP)中、Rap、Rap、及びRapは、各々独立に、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のベンゾイル基、又はこれら基とエステル基とが結合した基を示す。
一般式(AP)中、Rap、Rap、及びRapが示すアルコキシ基は、アルキル部位が直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、アルキル部位の炭素数が1以上10以下(好ましくは1以上8以下、より好ましくは1以上5以下)のアルコキシ基が挙げられる。直鎖状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基等が挙げられる。分岐状のアルコキシ基としては、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
Rap、Rap、及びRapが示すアルコキシ基に置換し得る置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基、カルボニル基等が挙げられる。
Rap、Rap、及びRapが示すフェニル基に置換し得る置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基、カルボニル基等が挙げられる。
Rap、Rap、及びRapが示すベンゾイル基に置換し得る置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基、カルボニル基等が挙げられる。
アシルホスフィン光重合開始剤(一般式(AP)で示されるアシルホスフィンオキサイド化合物)の具体例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、エチルフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィネート等が挙げられる。
ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)の含有量は、ミセル(B)の含有量に応じて選択され、ミセルの安定性の点から、ミセル(B)の固形分質量(光重合性化合物(b)の質量)に対して、15質量%以上45質量%以下が好ましく、19質量%以上43質量%以下がより好ましく、24質量%以上40質量%以下が更に好ましい。
水不溶性の光重合開始剤(C)を、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)によるミセル(B)に内包する方法としては、以下の方法が挙げられる。
まず、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)によるミセル(B)を含有するエマルションを準備する。そして、このミセル(B)を含有するエマルションと、水不溶性の光重合開始剤(C)と、を混合して機械乳化を行う。
親水部を外側とし疎水部を内側としたミセル(B)内側の疎水部と、水不溶性の光重合開始剤(C)との間に親和性を有することから、上記のような機械乳化を行うことで、水不溶性の光重合開始剤(C)がミセル(B)の内部へと選択的に組み込まれる。
その結果、水不溶性の光重合開始剤(C)が、親水部を外側とし疎水部を内側としたミセル(B)に内包されることとなる。
[ミセル(B)の外側で水(A)中に存在する光重合性化合物(D)]
本実施形態に係るインクは、ミセル(B)の外側で水(A)中に存在する光重合性化合物(D)を含有する。
ミセル(B)の外側に存在する光重合性化合物(D)としては、周知の光重合性化合物が用いられるが、ミセル(B)の外側で可溶化していることが好ましい。そのため、水溶性の光重合性化合物が好ましいものとして挙げられる。
水溶性の光重合性化合物としては、親水性基として、ヒドロキシ基、ポリオキシアルキレン基等を有するものであることが好ましい。
水溶性の光重合性化合物として具体的には、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、アクリロイルモロフォリン(ACMO)、ダイアセトンアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−ホルムアミド、ビニルナフタレンスルホン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、無水琥珀酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル、オルソ無水フタル酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル等のラジカル重合性モノマーが挙げられる。
水溶性の光重合性化合物としては、多価アルコール(例えばポリエチレングリコール)の(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールから誘導されるグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーも挙げられる。
水溶性の光重合性化合物としては、また、水溶性の光重合性モノマーが目的とする重合度で重合したオリゴマーであってもよい。
中でも、光重合開始剤(E)の溶解性(特に、アシルホスフィン光重合開始剤の溶解性)と光重合性化合物(D)自身の水溶性と両立の点から、親水性基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、親水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
光重合性化合物(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なお、後述する光重合開始剤(E)が、水不溶性の光重合開始剤である場合には、光重合性化合物(D)により、水不溶性の光重合開始剤の溶解を補助することが好ましい。その際に好適な光重合性化合物(D)としては、低分子量(例えば分子量1000以下)のラジカル重合性モノマーが好ましく、具体的には、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、ポリエチレングリコールのアクリル酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販品:新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)が好ましいものとして挙げられる。
ミセル(B)の外側に存在する水溶性の光重合性化合物(D)の含有量は、硬化性を高める点から、インクの全質量に対して、0.01質量%以上12質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましく、4質量%以上8質量%以下が更に好ましい。
[ミセル(B)の外側で水(A)中に存在する光重合開始剤(E)]
本実施形態に係るインクは、ミセル(B)の外側で水中(A)に存在する光重合開始剤(E)を含有する。
ミセル(B)の外側に存在する光重合開始剤(E)としては、水溶性及び水不溶性のいずれであってもよく、周知の光重合開始剤が挙げられる。
水溶性の光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン類(1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン等)、アミノアセトフェノン類(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等)、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等が挙げられる。
また、水不溶性の光重合開始剤としては、前述した、ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)として挙げられた水不溶性の光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤(E)として、水不溶性の光重合開始剤を用いた場合、併存する光重合性化合物(D)が溶剤のように機能し、水不溶性の光重合開始剤の溶解を補助して、水不溶性の光重合開始剤が可溶化される。
ミセル(B)の外側に存在する光重合開始剤(E)は、ミセル(B)に内包された光重合開始剤(C)と同じであってもよい。
光重合開始剤(E)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
ミセル(B)の外側に存在する光重合開始剤(E)の含有量は、経時による析出を抑制し、且つ、硬化性を高める点から、水(A)中に存在する水溶性の光重合性化合物(D)に対して、0.1質量%以上4質量%以下が好ましく、1質量%以上3.5質量%以下がより好ましく、2質量%以上3質量%以下が更に好ましい。
[その他の成分(F)]
(水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコール誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。なお、水溶性有機溶媒における水溶性とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が1質量部以上であることを意味する。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール;キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類;等が挙げられる。
多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒は、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。
水溶性有機溶媒の含有量は、水(A)に対して1質量%以上60質量%以下が好ましく、1質量%以上40質量%以下がより好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、顔料が挙げられる。
顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
黒色顔料の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上オリオンエンジニアドカーボンズ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、着色剤として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが好ましい。使用可能な顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用できる。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いることができる。
親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
高分子分散剤として好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
高分子分散剤の重量平均分子量としては、例えば、2000以上50000以下がよい。
これら高分子分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。高分子分散剤の含有量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、顔料に対し、0.1質量%以上100質量%以下であることがよい。
顔料としては、水に自己分散可能な顔料(以下自己分散型顔料と称する)も挙げられる。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
自己分散型顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、Cab−o−jet−400、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−260M,Cab−o−jet−270Y,Cab−o−jet−450C,Cab−o−jet−465M,Cab−o−jet−470Y,Cab−o−jet−480M,オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も挙げられる。
自己分散型顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが好ましい。より好ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
ここで、顔料としては、樹脂により被覆された顔料等も挙げられる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、DIC社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料がある。なお、市販のマイクロカプセル顔料に限られず、目的に応じて作製したマイクロカプセル顔料を使用してもよい。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤としては、顔料の他、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下であることが挙げられる。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340 (Leeds&Northrup社製)により行う。その測定は、インク4mlを測定セルに入れて行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は着色剤の密度とした。
着色剤の含有量(濃度)は、例えば、インクに対して0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等がよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物がよい。
ノニオン性界面活性剤としては、その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素界面活性剤;スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント;等も挙げられる。
界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると例えば3以上20以下の範囲がよい。
界面活性剤は、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、インクに対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
その他の添加剤としては、増感剤、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の周知の添加剤が挙げられる。
(インクの物性)
本実施形態に係るインクの表面張力は、例えば、20mN/m以上45mN/m以下の範囲が挙げられる。
ここで、インクの表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用する。
本実施形態に係るインクの粘度は、例えば、1.5mPa・s以上30mPa・s以下の範囲が挙げられる。
ここで、インクの粘度としては、TV−20(東機産業製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は750s−1の条件で測定した値を採用する。
(インクの製造方法)
本実施形態に係るインクは、次に示す製造方法により作製する。
例えば、まず、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)によるミセル(B)を含むエマルションと、水不溶性の光重合開始剤(C)と、水(A)と、を混合し、撹拌して機械乳化を行う。なお、機械乳化の際、混合液が加熱されてしまう場合には、この熱による影響を抑えるため、必要に応じて、冷却を行いながら行うことが好ましい。
一方で、水溶性の光重合性化合物(D)、光重合開始剤(E)、及び着色剤以外のその他の成分(F)を混合しておき、ここに、予め調製しておいた顔料分散液と水(A)とを添加して撹拌混合し、混合液を調製する。
そして、調製された混合液に対して、機械乳化で得られたエマルションを添加し、撹拌混合して、インクを得る。
上記機械乳化には、周知の機械乳化方法が適用されるが、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が好ましく用いられる。
この機械乳化により、ミセル(B)に、水不溶性の光重合開始剤(C)が内包される。
なお、ミセル(B)に水不溶性の光重合開始剤(C)が内包された状態であるかの判断は、水不溶性の光重合開始剤(C)の沈降の有無を確認すること、また、機械分散の前に比べ機械分散の後で、乳化粒子の径が大きくなることを確認することで行うことができる。
[記録装置/記録方法]
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係るインク(光硬化型水性インク)を吐出する吐出装置と、吐出されたインクに対して活性光線を照射する活性光線照射装置と、を備える。
また、本実施形態に係る記録装置では、本実施形態に係るインク(光硬化型水性インク)を吐出する工程と、吐出されたインクに対して活性光線を照射する工程と、を有する記録方法が実施される。
経時による析出物の発生が抑制され、硬化性に優れた本実施形態に係るインクを用いることで、本実施形態に係る記録装置、記録方法は、吐出安定性に優れ、強度に優れた画像を形成しうる。
本実施形態に係る記録装置、記録方法において、インクに照射される活性光線は、紫外線が好ましいが、使用するインクの種類に応じて、選択されればよい。つまり、本実施形態に係る記録装置における活性光線照射装置としては、紫外線照射装置の他、他の活性光線を照射する照射装置を備えた形態であってもよい。
以降、活性光線照射装置として、紫外線照射装置を備え、紫外線を照射する例について説明する。
本実施形態に係る記録装置には、本実施形態に係るインク(光硬化型水性インク)を収容し、当該記録装置に着脱されるようカートリッジ化されたインクカートリッジを備えていてもよい。
以下、本実施形態に係る記録装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置における記録ヘッド周辺を示す部分平面図である。
本実施形態に係るインクジェット記録装置12は、例えば、図1に示すように、筐体14内の下部に、給紙容器16が備えられており、給紙容器16内に積層された用紙P(記録媒体の一例)を取り出しロール18で1枚ずつ取り出す機構を有している。取り出された用紙Pは、搬入経路22を構成する複数の搬入ローラ対20で搬送される。
給紙容器16の上方には、駆動ロール24及び従動ロール26に張力を付与されつつ支持された無端状の搬送ベルト28が配置されている。搬送ベルト28の上方には記録ヘッド30(吐出装置の一例)が配置されており、搬送ベルト28における平坦部分に対向している。この記録ヘッド30が搬送ベルト28の平坦部分に対向した領域が、記録ヘッド30から用紙Pにインクの液滴が吐出される吐出領域となっている。搬入ローラ対20を搬送された用紙Pは、搬送ベルト28で保持されてこの吐出領域に至り、記録ヘッド30に対向した状態となり、記録ヘッド30から画像情報に応じて吐出されたインクの液滴が用紙Pの表面に付着する。
ここで、各色の記録ヘッド30は、それぞれ、インクジェット記録装置12に着脱される各色のインクカートリッジ30Aと供給管(不図示)を通じて連結され、インクカートリッジ30Aにより、各色のインクがそれぞれ記録ヘッド30へ供給される。
記録ヘッド30は、例えば、図2に示すように、有効な記録領域(インクを吐出するノズルの配置領域)が用紙Pの幅(用紙Pの搬送方向と交差(例えば直交)する方向の長さ)以上とされた長尺状の記録ヘッドである。
なお、記録ヘッド30は、これに限られず、用紙Pの幅よりも短尺状の記録ヘッドであって、用紙Pの幅方向に移動してインクを吐出する方式(所謂キャリッジ方式)の記録ヘッドであってもよい。
記録ヘッド30は、インクの液滴を熱により吐出する、所謂サーマル方式であってもよいし、インクの液滴を圧力により吐出する、所謂圧電方式等、公知のものが適用される。
記録ヘッド30としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの記録ヘッドが搬送方向に沿ってアレイ状に配置されている。無論、記録ヘッド30は、上記4色のそれぞれに対応した4つの記録ヘッド30を配置する形態に限られず、目的に応じて、ブラック(K)に対応した一つの記録ヘッド30を配置した形態であってよいし、他の中間色を加えた4色以上のそれぞれに対応した4つ以上の記録ヘッド30を配置した形態であってもよい。
記録ヘッド30の上流側(用紙Pの搬送方向上流側)には、帯電ロール32が配置されている。帯電ロール32は、従動ロール26との間で搬送ベルト28及び用紙Pを挟みつつ従動し、接地された従動ロール26との間に電位差を生じさせ、用紙Pに電荷を与えて搬送ベルト28に静電吸着させる。
記録ヘッド30の下流側(用紙Pの搬送方向下流側)には、搬送ベルト28の上方に、紫外線照射装置50が配置されている。
紫外線照射装置50は、搬送ベルト28の上の用紙Pに付着したインクに対して、紫外線を照射する。
紫外線照射装置50は、例えば、図2に示すように、有効な紫外線照射領域(紫外線する光源の配置領域)が記録ヘッド30による記録可能領域の幅(用紙Pの搬送方向と交差(例えば直交)する方向)以上とされた長尺状の紫外線照射装置である。
なお、紫外線照射装置50は、これに限られず、記録ヘッド30による記録可能領域の幅よりも短尺状の紫外線照射装置であって、記録ヘッド30による記録領域の幅方向に移動して紫外線を照射する方式(所謂キャリッジ方式)の紫外線照射装置であってもよい。
紫外線照射装置50の光源としては、エネルギー効率の良い可視域に近い長波長側の波長領域(375nm以上450nm以下の波長領域)の紫外線を照射する光源が適用される。具体的には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD、VCSEL)、レーザ波長変換光源等が挙げられる。
これらの中でも、紫外線照射装置50の光源としては、紫外線発光ダイオード(Ultraviolet Light Emitting Diode;「UV−LED」)がよい。
紫外線照射装置50の下流側(用紙Pの搬送方向下流側)には、剥離板34が配置されており、用紙Pを搬送ベルト28から剥離させる。剥離された用紙Pは、剥離板34の下流側(用紙Pの搬送方向下流側)で排出経路36を構成する複数の排出ローラ対38で搬送され、筐体14の上部に設けられた排紙容器40に排出される。
次に、本実施形態に係る記録装置12の動作について説明する。
本実施形態に係る記録装置12では、用紙Pは、給紙容器16から取り出しロール18で1枚ずつ取り出され、搬入経路22を経由して搬送ベルト28へ搬送される。
次に、用紙Pは、帯電ロール32により搬送ベルト28に静電吸着され、搬送ベルト28の回転により記録ヘッド30の下方へ搬送される。
次に、用紙Pは、記録ヘッド30により、インクが吐出され、目的とする画像が記録される。
次に、用紙Pに付着したインクに対して、紫外線照射装置50により紫外線が照射され、インク中の光重合性化合物の硬化反応(重合反応)が進行し、インク(インクによる画像)が硬化して用紙Pに固定化する。
ここで、紫外線照射装置50の紫外線照射条件としては、インク中に含まれる光重合性化合物の種類等により変わるが、例えば、用紙P上に吐出されたインク中の光重合性化合物の硬化反応(重合反応)が進行して硬化する条件であることがよい。
具体的には、紫外線照射条件としては、例えば、波長領域(中心波長)が375nm以上450nm以下、照射強度が10mW/cm以上5000mW/cm以下(好ましくは50mW/cm以上500mW/cm以下)、照射時間が0.1ミリ秒以上10秒以下(好ましくは10ミリ秒以上100ミリ秒以下)であることがよい。
次に、インク(インクによる画像)が固定化(形成)された用紙Pは、排出経路36を経由し、排紙容器40に排出される。
このようにして、本実施形態に係る記録装置12では、インク(インクによる画像)が固定化(形成)された用紙Pが得られる。
なお、本実施形態に係る記録装置12では、記録ヘッド30によってインクの液滴を用紙Pの表面に直接吐出する方式について説明したが、これに限られず、例えば中間転写体にインクの液滴を吐出した後に、中間転写体上のインクの液滴を用紙Pに転写する方式であってもよい。
また、本実施形態に係る記録装置12では、用紙Pとして枚葉紙にインク(インクによる画像)を固定化(形成)する方式について説明したが、連帳機を用いて、用紙Pとしてロール紙にインク(インクによる画像)を固定化(形成)する方式であってもよい。
また、本実施形態は、限定的に解釈されるものではなく、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは、言うまでもない。
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例により特に制限されるものではない。
なお、特に断らない限り、「部」及び「%」は、いずれも質量基準である。
<エマルションの調製>
−エマルションAの調製−
ウレタンアクリレートオリゴマー水性エマルション(UCECOAT−7849、ダイセル・オルネクス社製、固形分:35質量%、重量平均分子量:10,000):35.73部に、アシルホスフィン光重合開始剤(TPO−L、コンストゥルーケミカル社製):5部と水:12.5部とを混合して混合液を調製した。続いて、この混合液に対して、超音波ホモジナイザー(US600T、日本精機製作所社製)により、混合液を水冷しながら、電流設定値200μA、10分の条件で機械乳化を行った。
これにより、アシルホスフィン光重合開始剤を内包したウレタンアクリレートオリゴマーによるミセルを含有するエマルションAを得た。
ここで、上記混合液は、超音波ホモジナイザーによる超音波照射前は、アシルホスフィン光重合開始剤が沈降していたが、超音波照射後は沈降物の存在が確認されなかった。
また、超音波照射前の混合液中の乳化粒子(ウレタンアクリレートオリゴマーによるミセル)の粒径は39.8nmであり、超音波照射後の混合液中の乳化粒子(アシルホスフィン光重合開始剤を内包したウレタンアクリレートオリゴマーによるミセル)の粒径は48.3nmであった。
−エマルションBの調製−
エマルションAの調製において、ウレタンアクリレートオリゴマー水性エマルション(UCECOAT−7849)の代わりに、ウレタンアクリレートオリゴマー水性エマルション(UCECOAT−7571、ダイセル・オルネクス社製、固形分:35質量%、重量平均分子量:10,000)を用いた以外は同様にして、エマルションBを得た。
ここで、上記混合液は、超音波ホモジナイザーによる超音波照射前は、アシルホスフィン光重合開始剤が沈降していたが、超音波照射後は沈降物の存在が確認されなかった。
また、超音波照射前の混合液中の乳化粒子(ウレタンアクリレートオリゴマーによるミセル)の粒径は36.1nmであり、超音波照射後の混合液中の乳化粒子(アシルホスフィン光重合開始剤を内包したウレタンアクリレートオリゴマーによるミセル)の粒径は45.2nmであった。
−エマルションCの調製−
エマルションAの調製において、アシルホスフィン光重合開始剤の添加量を3部に変えた混合液を用いた以外は同様にして、エマルションCを得た。
ここで、上記混合液は、超音波ホモジナイザーによる超音波照射前は、アシルホスフィン光重合開始剤が沈降していたが、超音波照射後は沈降物の存在が確認されなかった。
また、超音波照射前の混合液中の乳化粒子(ウレタンアクリレートオリゴマーによるミセル)の粒径は39.8nmであり、超音波照射後の混合液中の乳化粒子(アシルホスフィン光重合開始剤を内包したウレタンアクリレートオリゴマーによるミセル)の粒径は44.9nmであった。
[実施例1]
−インクの成分−
・エマルションA:53.23部
・シアン顔料水分散液:20.02部
(Cabot社製、顔料濃度9.99%)
・水溶性の光重合性化合物:5部
(新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)
・水不溶性の光重合開始剤(アシルホスフィン光重合開始剤):0.15部
(TPO−L、コンストゥルーケミカル社製)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、エマルションA、シアン顔料水分散液、及び純水以外の成分を混合し、そこへ、上記シアン顔料水分散液及び純水を添加し、スターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記エマルションAを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、シアン色の光硬化型水性インクを得た。
[実施例2]
−インクの成分−
・エマルションA:53.23部
・マゼンタ顔料水分散液:19.96部
(Cabot社製、顔料濃度10.02%)
・水溶性の光重合性化合物:5部
(新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)
・水溶性の光重合開始剤:0.15部
(BASF社製、IRGACURE 2959、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、エマルションA、マゼンタ顔料水分散液、及び純水以外の成分を混合し、そこへ、上記マゼンタ顔料水分散液及び純水を添加し、スターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記エマルションAを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、マゼンタ色の光硬化型水性インクを得た。
[実施例3]
−インクの成分−
・エマルションB:53.23部
・イエロー顔料水分散液:19.67部
(Cabot社製、顔料濃度10.17%)
・水溶性の光重合性化合物:5部
(興人社製:HEAA、ヒドロキシエチルアクリルアミド)
・水不溶性の光重合開始剤(アシルホスフィン光重合開始剤):0.15部
(TPO−L、コンストゥルーケミカル社製)
・界面活性剤:2質量部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、エマルションB、イエロー顔料水分散液、及び純水以外の成分を混合し、そこへ、上記イエロー顔料水分散液及び純水を添加し、スターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記エマルションBを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、イエロー色の光硬化型水性インクを得た。
[実施例4]
−インクの成分−
・エマルションA:53.23部
・ブラック顔料水分散液:10.03部
(Cabot社製、顔料濃度19.95%)
・水溶性の光重合性化合物:2.5部
(新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)
・水不溶性の光重合開始剤(アシルホスフィン光重合開始剤):0.15部
(TPO−L、コンストゥルーケミカル社製)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、エマルションA、ブラック顔料水分散液、及び純水以外の成分を混合し、そこへ、上記ブラック顔料水分散液及び純水を添加し、スターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記エマルションAを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、ブラック色の光硬化型水性インクを得た。
[実施例5]
−インクの成分−
・エマルションA:42.58部
・シアン顔料水分散液:20.02部
(Cabot社製、顔料濃度9.99%)
・水溶性の光重合性化合物:5部
(新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)
・水不溶性の光重合開始剤(アシルホスフィン光重合開始剤):0.15部
(TPO−L、コンストゥルーケミカル社製)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、エマルションA、シアン顔料水分散液、及び純水以外の成分を混合し、そこへ、上記シアン顔料水分散液及び純水を添加し、スターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記エマルションAを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、シアン色の光硬化型水性インクを得た。
[実施例6]
−インクの成分−
・エマルションC:51.23部
・シアン顔料水分散液:20.02部
(Cabot社製、顔料濃度9.99%)
・水溶性の光重合性化合物:5部
(新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)
・水不溶性の光重合開始剤(アシルホスフィン光重合開始剤):0.15部
(TPO−L、コンストゥルーケミカル社製)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、エマルションC、シアン顔料水分散液、及び純水以外の成分を混合し、そこへ、上記シアン顔料水分散液及び純水を添加し、スターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記エマルションCを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、シアン色の光硬化型水性インクを得た。
[比較例1]
−インクの成分−
・シアン顔料水分散液:20.02部
(Cabot社製、顔料濃度9.99%)
・水溶性の光重合性化合物:7.5部
(新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)
・水溶性の光重合性化合物:12部
(興人社製:HEAA、ヒドロキシエチルアクリルアミド)
・水不溶性の光重合開始剤(アシルホスフィン光重合開始剤):5.15部
(TPO−L、コンストゥルーケミカル社製)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
上記組成の材料をマグネチックスターラーで混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、シアン色の光硬化型水性インクを得た。
[比較例2]
−インクの成分−
・エマルションA:53.23部
・マゼンタ顔料水分散液:19.96部
(Cabot社製、顔料濃度10.02%)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、マゼンタ顔料水分散液、界面活性剤、及び純水をスターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記エマルションAを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、マゼンタ色の光硬化型水性インクを得た。
[比較例3]
−インクの調製−
・ウレタンアクリレートオリゴマー水性エマルション:35.73部
(UCECOAT−7849、ダイセル・オルネクス社製、固形分:35質量%、重量平均分子量:10,000)
・ブラック顔料水分散液:10.03部
(Cabot社製、顔料濃度19.95%)
・水溶性の光重合性化合物:2.5部
(新中村化学工業社製:A−600、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)
・水溶性の光重合性化合物:5部
(興人社製:HEAA、ヒドロキシエチルアクリルアミド)
・水溶性の光重合開始剤:5.15部
(BASF社製、IRGACURE 2959、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)
・界面活性剤:2部
(日信化学社製、オルフィンE1010)
・純水:残部(インク全量で100部となる場合の残部)
まず、上記の成分のうち、ウレタンアクリレートオリゴマー水性エマルション、ブラック顔料水分散液、及び純水以外の成分を混合し、そこへ、上記ブラック顔料水分散液及び純水を添加し、スターラーを用いて撹拌混合して、混合液を得た。
得られた混合液に上記ウレタンアクリレートオリゴマー水性エマルションを添加し、スターラーを用いて撹拌混合した後、5μmのフィルターでろ過を行い、ブラック色の光硬化型水性インクを得た。
[評価]
各例で得られた光硬化型水性インクについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
−析出物の観察−
各例で得られた光硬化型水性インクを、40℃で1週間保存した。
調製直後と保存後の光硬化型水性インクの粘度を測定し、その変化量を求めた。
保存後の光硬化型水性インクについて、析出物の有無を目視にて確認した。
評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G1(○):保存後の光硬化型水性インクに析出物(沈降物)の発生なし
G2(×):保存後のインクに、析出物(沈降物)の発生が見られた
−硬化性の評価−
各例で得られた光硬化型水性インクを、バーコータにより普通紙(NIJ−70、ニチエ社製)又はPETシート(レーザープリンタ用OHP透明フィルム、東洋紡社製)上に、硬化後の厚さが18μmとなるように塗布した後、UVオーブン(光源:395nmの発光波長を有するUV−LEDランプ)にて、積算光量10J/cm条件で紫外線を照射し、塗膜を硬化させた。
硬化後の硬化膜(画像)に対し、ラテックス手袋をした状態で触れて、硬化膜の状態を観察した。
評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G1(○):硬化膜に手袋の跡がつかない
G2(△):硬化膜に手袋の跡がつくが、30分後までに元に戻り、跡が見えなくなる
G3(×):硬化膜に手袋の跡がつき、30分経過しても跡が消えない
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、硬化性の評価について優れた結果が得られたことがわかる。
また、本実施例は、析出物(沈降物)が見られず、インクの保存安定性に優れることも分かる。
12 インクジェット記録装置
14 筐体
16 給紙容器
18 取り出しロール
20 搬入ローラ対
22 搬入経路
24 駆動ロール
26 従動ロール
28 搬送ベルト
30 記録ヘッド
30A インクカートリッジ
32 帯電ロール
34 剥離板
36 排出経路
38 排出ローラ対
40 排紙容器
50 紫外線照射装置
P 用紙

Claims (5)

  1. 水(A)と、
    前記水(A)中に分散する、親水部と疎水部とを有する光重合性化合物(b)により形成され該親水部を外側とし該疎水部を内側としたミセル(B)と、
    前記ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)と、
    前記ミセル(B)の外側で前記水(A)中に存在する光重合性化合物(D)と、
    前記ミセル(B)の外側で前記水(A)中に存在する光重合開始剤(E)と、
    を含有する光硬化型水性インク。
  2. 前記ミセル(B)に内包された水不溶性の光重合開始剤(C)が、アシルホスフィン光重合開始剤である請求項1に記載の光硬化型水性インク。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光硬化型水性インクを収容したインクカートリッジ。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の光硬化型水性インクを吐出する吐出装置と、
    吐出された前記光硬化型水性インクに対して、活性光線を照射する活性光線照射装置と、
    を備える記録装置。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の光硬化型水性インクを吐出する工程と、
    吐出された前記光硬化型水性インクに対して、活性光線を照射する工程と、
    を有する記録方法。
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