JP6079453B2 - インクセット及び記録装置 - Google Patents
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Description
光重合性化合物と酸と水と水溶性有機溶剤と界面活性剤とを含む処理液と、着色剤と光重合開始剤と水と水溶性有機溶剤と界面活性剤とを含む水性インクと、を有するインクセットであって、
前記光重合性化合物は前記処理液にのみ含まれ、前記光重合開始剤は前記水性インクにのみ含まれ、
水及び炭素数6以下で環構造を持たないアルコール系化合物を除いて、前記処理液に含まれる少なくとも1種の成分と前記水性インクに含まれる少なくとも1種の成分とが共通骨格を有し、
前記処理液に含まれる成分と前記水性インクに含まれる成分とが、下記(I)〜(III)からなる群より選ばれる少なくとも一つの態様を満たすインクセットである。
(I)処理液に含まれる水溶性有機溶剤の少なくとも1種と水性インクに含まれる水溶性有機溶剤の少なくとも1種とが、フタル酸骨格又はモルホリン骨格を共通骨格として有する態様
(II)処理液に含まれる光重合性化合物の少なくとも1種と水性インクに含まれる水溶性有機溶剤の少なくとも1種とが、フタル酸骨格又はモルホリン骨格を共通骨格として有する態様
(III)処理液に含まれる界面活性剤の少なくとも1種と水性インクに含まれる界面活性剤の少なくとも1種とが、アセチレングリコール骨格又はポリオキシエチレン骨格を共通骨格として有する態様
前記前記(I)の態様は、
前記処理液に含まれる水溶性有機溶剤が、フタル酸メチル及びフタル酸エチルの少なくとも一方を含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤が、フタル酸メチル及びフタル酸エチルの少なくとも一方を含む態様、又は
前記処理液に含まれる水溶性有機溶剤が、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン及び4−エチルモルホリンの少なくとも一方を含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤が、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン及び4−エチルモルホリンの少なくとも一方を含む態様である請求項1に記載のインクセットである。
前記(II)の態様は、
前記処理液に含まれる光重合性化合物が、フタル酸系ポリエステルアクリレートを含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤がフタル酸エチルを含む態様、又は
前記処理液に含まれる光重合性化合物が、アクリロイルモルホリンを含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤が、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンを含む態様
である請求項1又は請求項2に記載のインクセットである。
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクセットを用い、前記水性インク及び前記処理液を記録媒体表面に吐出する吐出装置を備え、前記記録媒体表面に、前記水性インク及び前記処理液を互いに接触するように前記吐出装置から吐出することにより画像を形成する記録装置である。
請求項4に係る発明によれば、共通骨格を有する処理液に含まれる界面活性剤と水性インクに含まれる界面活性剤とのHLB値の差が5を超える場合に比べ、高速での画像形成を実現するインクセットが得られる。
請求項5に係る発明によれば、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクセットを適用しない場合に比べ、高速での画像形成を実現する記録装置が得られる。
ここで、インクジェット方式で画像を形成する材料として、着色剤を含むインクと該インクを硬化する処理液とを併用する、二液式のインクセットが知られている。
このような硬化型の二液式のインクセットの中でも、光(例えば、紫外線)硬化性インクと光硬化性処理液とを用いた、光で硬化する二液式インクは、特に硬化性が高いことから、例えば、インクを凝集させて滲みを抑制する、インクを硬化させて光沢性や耐擦性を向上する、又は、非浸透記録媒体への印字を実現する、といった傾向にあると考えられている。
しかし、このようなインクセットの場合、インク等を吐出する吐出ヘッド内で硬化反応が進む結果、吐出ヘッドが詰まり易くなる傾向にある。
そのため、吐出ヘッド内での硬化を抑制する目的で、光重合開始剤を処理液に含め、重合性化合物をインクに含め、画像を形成するときにインクと処理液とを混合することにより、画像形成前のインクの硬化が起こり難いように設計した二液式インクがある。その一方で、処理液を吐出した打滴領域に対してインクを吐出した場合、直後には処理液とインクとの混合が十分では無く、処理液とインクとの界面に光重合開始剤が集まっているわけではないことから、紫外線を照射してもラジカル発生反応が進み難く、その結果、形成された画像の硬化反応が迅速に進まない傾向にある。
これは、本実施形態に係るインクセットの共通骨格を有する上記二成分に起因して、処理液と水性インクとの相溶性が向上すると考えられるためである。
つまり、本実施形態に係るインクセットは、処理液と水性インクとの混合性の向上により、これらに含まれる光硬化開始剤及び光重合性化合物の混合性も向上し、硬化に要する時間が短縮されるため、画像の形成に要する時間の短縮を実現すると考えられる。
これにより、吐出ヘッド内での硬化が抑制され、吐出ヘッド内での処理液によるインクの硬化が抑制されるため、水性インクの保存性が向上する。
本実施形態に係るインクセットは、光重合性化合物と酸と水とを含む処理液と、着色剤と光重合開始剤と水とを含む水性インクと、を有し、水及び炭素数6以下で環構造を持たないアルコール系化合物を除いて、処理液に含まれる少なくとも1種の成分と水性インクに含まれる少なくとも1種の成分とが共通骨格を有するインクセットである。
なお、環構造を持たないアルコール系化合物とは、非環式の構造を有するアルコール系化合物を示す。
水性インクは、光硬化型の水性インクであり、その代表的なものとして紫外線硬化型の水性インクが挙げられる。なお、水性インクは、紫外線(紫外光)以外の活性エネルギー線(活性エネルギー光)硬化型の水性インクであってもよい。
着色剤としては、顔料が挙げられる。顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
着色剤として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。
なお、これらの単量体は、塩構造を有していてもよい。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340 (Leeds&Northrup社製)により行う。その測定は、インク4mlを測定セルに入れて行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は着色剤の密度とした。
光重合開始剤としては、水溶性の光重合開始剤であってもよいし、非水溶性の光重合開始剤であってもよい。なお、光重合開始剤において、水溶性とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が0.1質量部以上であることを意味する。一方、非水溶性とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が0.1質量部未満であることを意味する。
増感剤の含有量は、例えば、インクに対して0.01質量%以上20質量%以下がよい。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、その他、フタル酸モノエステル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
なお、水溶性有機溶剤において、水溶性とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が1質量部以上であることを意味する。
アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
ここで、Rm2が示すアルキレン基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、炭素数1以上5以下(望ましくは1以上3以下)のアルキレン基が挙げられる。直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基等が挙げられる。分岐状のアルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられる。
Rm2が示すアルキレン基に置換し得る置換基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルコキシアルコールとしては、2−(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)エタノール、ジエチレングルコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルコキシエステルとしては、酢酸2―(2−N−ブトキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤である。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等がよい。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物がよい。
その他添加剤としては、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度及び保湿性調製剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
水性インクの表面張力は、例えば20mN/m以上45mN/m以下の範囲が挙げられる。
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
処理液は、光重合性化合物と、酸と、水と、を含む。処理液は、必要に応じて、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及びその他の添加剤を含んでもよい。
光重合性化合物としては、紫外線によってラジカル重合する重合性基を有する化合物等が挙げられ、モノマー、オリゴマー、又はこれらを含む混合物であってもよい。この重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する基が挙げられ、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタン基、無水マレイン酸基、N−置換マレイミド基等が挙げられる。なお、光重合性化合物は、カチオン重合性化合物であってもよい。
水溶性の光重合性モノマーとしては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールから誘導されるグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーも挙げられる。
水溶性の光重合性化合物としては、水溶性の光重合性モノマーが目的とする重合度で重合したオリゴマーも挙げられる。
非水溶性の光重合性化合物としては、非水溶性の光重合性モノマーが目的とする重合度で重合したオリゴマー;エポキシ骨格、ウレタン骨格、ポリエステル骨格又はポリエーテル骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基の付加したアクリレート(エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート、フタル酸系ポリエステルアクリレート等)のオリゴマー;も挙げられる。
本実施形態における処理液は、インク構成成分を凝集又は不溶化させるため、酸を含む。 酸としては特に限定されず、例えば、有機酸及び無機酸が挙げられるが、有機酸が望ましい。
これらのうち、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、これらの化合物の誘導体、又はこれらの塩が望ましく、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、これらの化合物の誘導体又はこれらの塩がより望ましい。
処理液に含む水としては、上述した水性インクに含まれる水と同様のものが挙げられる。
処理系に含んでもよい水溶性有機溶剤、界面活性剤、及びその他添加剤としては、上述した水性インクに含んでもよい、水溶性有機溶剤、界面活性剤及びその他添加剤と同様のものが挙げられる。
本実施形態に係るインクセットとしては、例えば、以下の(I)〜(VII)の態様が挙げられる。
但し、これらの態様において、共通骨格を有する成分としては、水及び炭素数6以下で環構造を持たないアルコール系化合物が除かれる。
なお、炭素数6以下で環構造を持たないアルコール系化合物とは、例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エタノール、n−ブタノールが挙げられる。
(II)処理液に含まれる光重合性化合物と水性インクに含まれる水溶性有機溶剤とが共通骨格を有する態様。
(III)処理液に含まれる界面活性剤と水性インクに含まれる界面活性剤とが共通骨格を有する態様(但し、この態様(III)の場合、水性インク及び処理液の混合性を高める観点から、これらの界面活性剤におけるHydrophile−Lipophile Balance(HLB)値の差が5以内であることが望ましい。)
(I)処理液に含まれる水溶性有機溶剤と水性インクに含まれる水溶性有機溶剤とが共通骨格を有する態様においては、共通骨格として、フタル酸骨格、モルホリン骨格が挙げられる。
モルホリン骨格を有する水溶性有機溶剤としては、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4-エチルモルホリンが挙げられる。
異なる水溶性有機溶剤である場合、フタル酸メチル及びフタル酸エチル、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン及び4-エチルモルホリンの組合せが望ましい。
(II)処理液に含まれる光重合性化合物と水性インクに含まれる水溶性有機溶剤とが共通骨格を有する態様における共通骨格としては、フタル酸骨格、モルホリン骨格が挙げられる。
モルホリン骨格を有する水溶性有機溶剤としては、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4-エチルモルホリンが挙げられる。
モルホリン骨格を有する光重合性化合物としては、アクリロイルモルホリン(ACMO)が挙げられる。
(III)処理液に含まれる界面活性剤と水性インクに含まれる界面活性剤とが共通骨格を有する態様における共通骨格としては、アセチレングリコール骨格、ポリオキシエチレンアルキルエーテル骨格が挙げられる。
なお、界面活性剤としては、処理液におけるpH変化の影響が抑制される観点から、ノニオン系界面活性剤が望ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル骨格を有する界面活性剤としては、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70が挙げられる。
界面活性剤として具体的には、例えば、オルフィンE1010及びサーフィノール485、エマルゲン1108及びエマルゲン1118S−70の組合せが望ましい。
なお、HLB値とは、界面活性剤の水と油への親和性のバランスを表す指標であり、化学構造や物性などの数値を基に計算する方法(例えば、グリフィン法)により求められる数値であって、小さいほど親油性が高く、大きいほど親水性が高いことを示す。
ここで、本実施形態においては、HLB値の差とは、各界面活性剤のHLB値の中央値における差を示す。
本実施形態に係る記録装置は、本実施例に係るインクセットを用い、水性インク及び処理液を記録媒体表面に吐出する吐出装置を備え、記録媒体表面に、インク及び処理液を互いに接触するように記録吐出装置から吐出することにより画像を形成する記録装置である。
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係るインクセットを適用することにより、高速での画像形成を実現すると考えられる。
図1は、本実施形態に係る記録装置を示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る記録装置における記録ヘッド周辺を示す部分平面図である。
また、吐出ヘッド31は、処理液が、処理液カートリッジ31Aと供給管(不図示)を通じて連結され、処理液カートリッジ31Aにより、処理液が吐出ヘッド31へ供給される。
なお、記録ヘッド30は、これに限られず、用紙Pの幅よりも短尺状の記録ヘッドであって、用紙Pの幅方向に移動してインクを吐出する方式(所謂キャリッジ方式)の記録ヘッドであってもよい。
吐出ヘッド31の構成については、上記記録ヘッド30と同様であるため、説明を省略する。
なお、紫外線照射装置50は、これに限られず、記録ヘッド30による記録領域の幅よりも短尺状の紫外線照射装置であって、記録ヘッド30による記録領域の幅方向に移動して紫外線を照射する方式(所謂キャリッジ方式)の紫外線照射装置であってもよい。
これらの中でも、紫外線照射装置50の光源としては、インクを硬化させるときの状態の変動(その水分量や温度の変動)が少ない、つまり硬化条件の変動が少なく、照射エネルギー密度を高められる発光ダイオード(LED)か半導体レーザ(LD、VCSEL)がよい。
本実施形態に係る記録装置12では、用紙Pは、給紙容器16から取り出しロール18で1枚ずつ取り出され、搬入経路22を経由して搬送ベルト28へ搬送される。
次に、用紙Pは、帯電ロール32により搬送ベルト28に静電吸着され、搬送ベルト28の回転により記録ヘッド30の下方へ搬送される。
次に、用紙Pは、吐出ヘッド31により、処理液が吐出される。これら処理液は、用紙Pのインクの付着領域(画像形成領域)に吐出する。
次に、用紙Pは、記録ヘッド30により、処理液が付着した領域にインクが吐出され、目的とする画像が記録される。
このインクと処理液とが接触することでインクに含まれる着色剤が凝集する。
具体的には、紫外線照射条件としては、例えば、波長領域(中心波長)が375nm以上450nm以下、照射強度が10W/cm2以上5000W/cm2以下(望ましくは50W/cm2以上500W/cm2以下)、照射時間が0.1ミリ秒以上10秒以下(望ましくは10ミリ秒以上100ミリ秒以下)であることがよい。
(インクセット1)
−処理液1−
ピロリドンカルボン酸 10質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
ウレタンアクリレート(荒川化学工業株式会社製) 20質量部
ジエチレングリコール 4質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより処理液1を得た。
カーボンブラック 10質量部
スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸塩共重合体(スチレン:アクリル酸エステル:アクリル酸塩=40:30:30) 1質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)5質量部
グリセリン 15質量部
ジエチレングリコール 9質量部
IHI−PI TPO−L(コンストゥルーケミカル社製) 1質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより水性インク1を得た。
−処理液2−
マレイン酸 6質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
フタル酸系ポリエステルアクリレート(共栄社化学株式会社製) 20質量部
ジエチレングリコール 9質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより処理液2を得た。
ピグメントブルー15:4 10質量部
スチレン−メタクリル酸エチル−メタクリル酸塩共重合体(スチレン:メタクリル酸エステル:メタクリル酸塩=50:30:20) 1質量部
オルフィンE1004(日信化学工業株式会社製、HLB値7以上9以下) 4質量部
グリセリン 15質量部
フタル酸エチル 8質量部
IHI−PI TPO−L(コンストゥルーケミカル社製) 1質量部
純水 62質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより水性インク2を得た。
−処理液3−
マロン酸 5質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
エポキシアクリレート(共栄社化学株式会社製) 20質量部
グリセリン 9質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより処理液3を得た。
ピグメントレッド122 10質量部
ブタジエン−アクリル酸メチル−アクリル酸塩共重合体 1質量部
サーフィノール485(日信化学工業株式会社製、HLB値17) 4質量部
グリセリン 15質量部
ジエチレングリコール(コンストゥルーケミカル社製) 10質量部
IHI−PI TPO−L 1質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより水性インク3を得た。
−処理液4−
クエン酸 5質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
ウレタンアクリレート 20質量部
ジエチレングリコール 9質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより処理液4を得た。
ピグメントイエロー74 10質量部
スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸塩共重合体 1質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
グリセリン 15質量部
サーフィノール485(日信化学工業株式会社製、HLB値17) 4質量部
イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1質量部
純水 66質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより水性インク4を得た。
−処理液5−
ピロリドンカルボン酸 10質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
ウレタンアクリレート 20質量部
ジエチレングリコール 4質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより処理液5を得た。
ピグメントレッド122 10質量部
スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸塩共重合体 1質量部
オルフィンE1004(日信化学工業株式会社製、HLB値7以上9以下) 4質量部
グリセリン 15質量部
ジエチレングリコール 10質量部
IHI−PI TPO−L(コンストゥルーケミカル社製) 1質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより水性インク5を得た。
−処理液6−
マロン酸 5質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
ウレタンアクリレート(荒川化学工業株式会社製) 20質量部
ジエチレングリコール 4質量部
4-エチルモルホリン 5質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより処理液6を得た。
カーボンブラック 10質量部
スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸塩共重合体(スチレン:アクリル酸エステル:アクリル酸塩=40:30:30) 1質量部
オルフィンE1004(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)5質量部
グリセリン 10質量部
ジエチレングリコール 9質量部
4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン 5質量部
イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより水性インク6を得た。
−比較処理液1−
ピロリドンカルボン酸 10質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
グリセリン 20質量部
ジエチレングリコール 2質量部
IHI−PI TPO−L(コンストゥルーケミカル社製) 1質量部
純水 62質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより比較処理液1を得た。
カーボンブラック 10質量部
スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸塩共重合体 1質量部
ウレタンアクリレート 20質量部
オルフィンE1004(日信化学工業株式会社製、HLB値7以上9以下) 2質量部
グリセリン 4質量部
純水 63質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより比較水性インク1を得た。
−比較処理液2−
ピロリドンカルボン酸 10質量部
水酸化リチウム 2質量部
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)2質量部
グリセリン 20質量部
ジエチレングリコール 2質量部
純水 64質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより比較処理液2を得た。
カーボンブラック 10質量部
スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸塩共重合体 1質量部
ウレタンアクリレート 20質量部
オルフィンE1004(日信化学工業株式会社製、HLB値7以上9以下) 4質量部
グリセリン 4質量部
4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン(上記MO−1) 4質量部
IHI−PI TPO−L(コンストゥルーケミカル社製) 1質量部
純水 57質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより比較水性インク2を得た。
−比較処理液3−
オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、HLB値13以上14以下)4質量部
ウレタンアクリレート 20質量部
ジエチレングリコール 16質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、1μmフィルターで濾過することにより比較処理液3を得た。
カーボンブラック 10質量部
スチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸塩共重合体 1質量部
オルフィンE1004(日信化学工業株式会社製、HLB値7以上9以下) 4質量部
グリセリン 15質量部
ジエチレングリコール 10質量部
IHI−PI TPO−L(コンストゥルーケミカル社製) 1質量部
純水 60質量部
上記組成を混合した後、5μmフィルターで濾過することにより比較水性インク3を得た。
インクセット1を用いて、以下の評価を行った。
(保存性の評価)
インクセット1を遮光しないラボ環境下で2ヶ月間保存し、保存後の水性インクをヘッドに充填し印字可能か確認した。
評価基準は以下のようにした。
OK:保存後の水性インクをヘッドに充填して印字可能だった
NG:保存後の水性インクが硬化してヘッドに充填できず、印字不能だった
インクセット1を記録装置に適用し、普通紙とPETシート(ポリエチレンテレフタレートシート)に対して解像度600dpi(dot per inch)のピエゾヘッドを用いて画像形成を行い、画質と指擦過性とを確認することにより、画像の硬化速度を評価した。UV照射は、UVLED(395nm)で行った。
形成した画像の滲みの有無を、目視(拡大鏡及び顕微鏡)で観察した。
画質の評価基準は、以下のようにした。
OK:画像に滲みがない
NG:画像に滲みがある
形成した画像を、ラテックス手袋をした状態で触れて、インクが手袋に付着するかを確認した。
指擦過性の評価基準は、以下のようにした。
A:インクが手袋に付着しない
B:一部のインクが手袋に付着する
C:インクが手袋に付着し、画像が剥がれる
表1に従って、インクセットを適用し、実施例1と同様にして評価を行った。
なお、表中における、※を付した「界面活性剤のHLB値の差」は、「処理液中の界面活性剤のHLB値と水性インク中の界面活性剤のHLB値との差」を示す。
14 筐体
16 給紙容器
18 ロール
20 搬入ローラ対
22 搬入経路
24 駆動ロール
26 従動ロール
28 搬送ベルト
30 記録ヘッド
30A インクカートリッジ
31 吐出ヘッド
31A 処理液カートリッジ
32 帯電ロール
34 剥離板
36 排出経路
38 排出ローラ対
40 排紙容器
50 紫外線照射装置
Claims (5)
- 光重合性化合物と酸と水と水溶性有機溶剤と界面活性剤とを含む処理液と、着色剤と光重合開始剤と水と水溶性有機溶剤と界面活性剤とを含む水性インクと、を有するインクセットであって、
前記光重合性化合物は前記処理液にのみ含まれ、前記光重合開始剤は前記水性インクにのみ含まれ、
水及び炭素数6以下で環構造を持たないアルコール系化合物を除いて、前記処理液に含まれる少なくとも1種の成分と前記水性インクに含まれる少なくとも1種の成分とが共通骨格を有し、
前記処理液に含まれる成分と前記水性インクに含まれる成分とが、下記(I)〜(III)からなる群より選ばれる少なくとも一つの態様を満たすインクセット。
(I)処理液に含まれる水溶性有機溶剤の少なくとも1種と水性インクに含まれる水溶性有機溶剤の少なくとも1種とが、フタル酸骨格又はモルホリン骨格を共通骨格として有する態様
(II)処理液に含まれる光重合性化合物の少なくとも1種と水性インクに含まれる水溶性有機溶剤の少なくとも1種とが、フタル酸骨格又はモルホリン骨格を共通骨格として有する態様
(III)処理液に含まれる界面活性剤の少なくとも1種と水性インクに含まれる界面活性剤の少なくとも1種とが、アセチレングリコール骨格又はポリオキシエチレン骨格を共通骨格として有する態様 - 前記(I)の態様は、
前記処理液に含まれる水溶性有機溶剤が、フタル酸メチル及びフタル酸エチルの少なくとも一方を含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤が、フタル酸メチル及びフタル酸エチルの少なくとも一方を含む態様、又は
前記処理液に含まれる水溶性有機溶剤が、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン及び4−エチルモルホリンの少なくとも一方を含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤が、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン及び4−エチルモルホリンの少なくとも一方を含む態様
である請求項1に記載のインクセット。 - 前記(II)の態様は、
前記処理液に含まれる光重合性化合物が、フタル酸系ポリエステルアクリレートを含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤がフタル酸エチルを含む態様、又は
前記処理液に含まれる光重合性化合物が、アクリロイルモルホリンを含み、前記水性インクに含まれる水溶性有機溶剤が、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンを含む態様
である請求項1又は請求項2に記載のインクセット。 - 前記処理液に含まれる界面活性剤と前記水性インクに含まれる界面活性剤とのHydrophile−Lipophile Balance(HLB)値の差が5以内である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクセット。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクセットを用い、前記水性インク及び前記処理液を記録媒体表面に吐出する吐出装置を備え、前記記録媒体表面に、前記水性インク及び前記処理液を互いに接触するように前記吐出装置から吐出することにより画像を形成する記録装置。
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