JP6901882B2 - 加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、板状物の裏面に膜が成膜され、複数の分断予定ラインが設定された被加工物の加工方法に関する。
金属膜や樹脂膜等、特に延性を有する膜を備える板状物を切削ブレードで切削すると、切削ブレードに膜による目詰まりが生じる。そこで、切削加工を施す前に、予め上記膜をレーザビームで除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−42526号公報
しかし、レーザビームで膜を除去するとデブリが発生する上、一般的に高価なレーザ加工装置を利用して加工することになるため製造コストも嵩むという問題がある。
よって、成膜された板状の被加工物を加工する場合には、切削ブレードに目詰まりを発生させることなく、かつ、レーザ加工装置を利用せずとも被加工物を加工できるようにするという課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、板状物の裏面に膜が成膜され、複数の分断予定ラインが設定された被加工物の加工方法であって、被加工物の表面から該分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、該溝形成ステップを実施した後に被加工物の表面にエキスパンドシートを貼着し、さらに、エキスパンドシートを環状フレームに貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、該エキスパンドシート貼着ステップを実施した後、該エキスパンドシートを拡張する拡張ステップと、該拡張ステップを実施した後、加熱手段によって、該エキスパンドシートの該環状フレームの内周縁と被加工物の外周縁との間の環状領域を加熱する加熱ステップと、加熱ステップを実施した後、被加工物の該溝が写った撮像画像を形成して、該撮像画像から該溝の座標位置を検出し、さらに、検出した該溝に沿って直線状に被加工物の該膜に噴射物を噴射して該膜を該溝上から1ラインずつ除去する噴射ステップと、を備えた加工方法である。
本発明に係る加工方法は、前記拡張ステップを実施する前に、被加工物の前記膜に対して噴射物を噴射する第一噴射ステップを備えると好ましい。
前記噴射物は、固体の二酸化炭素粒子を含むものとすると好ましい。
本発明に係る加工方法は、被加工物の表面から分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、溝形成ステップを実施した後に被加工物の表面にエキスパンドシートを貼着し、さらに、エキスパンドシートを環状フレームに貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、エキスパンドシート貼着ステップを実施した後、エキスパンドシートを拡張する拡張ステップと、拡張ステップを実施した後、加熱手段によって、エキスパンドシートの環状フレームの内周縁と被加工物の外周縁との間の環状領域を加熱する加熱ステップと、加熱ステップを実施した後、被加工物の溝が写った撮像画像を形成して、撮像画像から溝の座標位置を検出し、さらに、検出した溝に沿って直線状に被加工物の膜に噴射物を噴射して膜を溝上から1ラインずつ除去する噴射ステップと、を備えているため、レーザ加工装置を利用せず、また、切削ブレードに膜による目詰まりを発生させることもなく、膜を分断しかつ膜の溝に沿った領域、即ち、膜のうちチップからはみ出す部分を除去して被加工物からチップを作製することができる。また、エキスパンドすることで予め膜を部分的または全体的に分断した後、噴射物で膜のうちチップからはみ出す部分を除去するため、効率的にこのはみ出し部分をチップから除去することができる。また、加熱ステップを噴射ステップの前に実施することで、エキスパンドシートの環状領域は、例えば拡張前の大きさまで径方向内側に向かって収縮し、隣接する各チップの間隔を拡張後の大きさで維持でき、噴射ステップにおいてチップからはみ出した部分の膜に噴射物が当てやすくなっており、該部分の膜を除去しやすくすることができる。そして、噴射ステップでは、溝の座標位置を検出し、さらに、検出した該溝に沿って直線状に被加工物の膜に噴射物を噴射して加熱ステップを実施することで噴射物が当てやすくなった溝上の膜を1ラインずつ除去していくことで、溝に対応していない膜には噴射物を噴射していないため分割後のチップの膜が損傷しているといった事態を発生させることがない。さらに、例えば被加工物の膜全面に噴射物を噴射する場合に比べて、短時間かつ噴射物の噴射量を抑えることが可能となる。
また、本発明に係る加工方法においては、拡張ステップを実施する前に、被加工物の膜に対して噴射物を噴射する第一噴射ステップを備えるものとすることで、噴射物で部分的又は全体的に膜を分断した後、エキスパンドして溝の間隔を拡張し、その後、噴射物で膜のうちチップからはみ出す部分を除去するため、このはみ出し部分をより効率的に除去して被加工物からチップを作製することができる。
さらに、噴射物を固体の二酸化炭素粒子を含むものとすることで、噴射物の噴射による膜の分断や膜のうちチップからはみ出す部分の除去をより容易に行うことができる。
被加工物の一例を示す側面図である。 切削装置を用いて被加工物に溝を形成している状態を示す断面図である。 被加工物に形成された溝の一例を拡大して示す断面図である。 被加工物に溝を形成するためのプラズマエッチング装置の一例を示す断面図である。 エキスパンドシートが表面側に貼着された状態の被加工物の一部を示す断面図である。 エキスパンド装置に、エキスパンドシートに貼着されリングフレームで支持された被加工物をセットした状態を示す断面図である。 エキスパンド装置によってエキスパンドシートを拡張している状態を示す断面図である。 エキスパンドシートが拡張された後の被加工物の一部を拡大して示す断面図である。 噴射装置を用いて被加工物の膜に対して噴射物を噴射している状態を示す断面図である。 噴射物が噴射された後の被加工物の一部を拡大して示す断面図である。 第一噴射ステップにおいて、噴射装置を用いて被加工物の膜に対して噴射物を噴射している状態を示す断面図である。 第一噴射ステップにおいて噴射物が噴射された後の被加工物の一部を拡大して示す断面図である。 エキスパンド装置に、第一噴射ステップにおいて噴射物が噴射された後の被加工物をセットした状態を示す断面図である。 エキスパンド装置によって、エキスパンドシートを拡張して被加工物の溝の間隔を拡張している状態を示す断面図である。 噴射装置を用いて、被加工物の膜の溝に沿って膜のうちチップからはみ出す部分に対して噴射物を噴射している状態を示す断面図である。
図1に示す被加工物Wは、例えば、シリコンからなる板状物W1を備える円形状の半導体ウエーハであり、板状物W1の表面、すなわち、被加工物Wの表面W1aには複数の分断予定ラインSがそれぞれ直交するように設定されている。そして、分断予定ラインSによって区画された格子状の領域には、デバイスDがそれぞれ形成されている。図1において−Z方向側に向いている板状物W1の裏面W1bには、銅及びニッケル等の金属からなり電極として働く一様な厚さ(例えば、0.5μm〜10μm)の膜W2が形成されている。膜W2の露出面は、被加工物Wの裏面W2bとなる。なお、被加工物Wの構成は本実施形態に示す例に限定されるものではない。例えば、板状物W1はシリコン以外にサファイア、ガリウム又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよく、また、膜W2は、金属膜ではなく、例えばDAF(Die Attach Film)やDBF(Die Backside Film)等の厚さ5μm〜30μm程度の樹脂膜であってもよい。
(実施形態1)
以下に、本発明に係る加工方法を実施して図1に示す被加工物WからデバイスDを備えるチップを作製する場合の、加工方法の各ステップについて説明していく。
(1−1)切削装置を用いる溝形成ステップ
まず、図1に示す被加工物Wの表面W1aから分断予定ラインSに沿って溝を形成する溝形成ステップを実施する。本溝形成ステップにおいては、例えば、図2に示す切削装置1を用いて溝形成を行う。
図2に示す被加工物Wは、その裏面W2bに被加工物Wよりも大径のダイシングテープT1が貼着されており、ダイシングテープT1の粘着面の外周部は、環状フレームF1に貼着された状態になっている。表面W1aが上方に向かって露出した状態の被加工物Wは、ダイシングテープT1を介して環状フレームF1に支持されることで、環状フレームF1によるハンドリングが可能な状態になっている。
図2に示す切削装置1は、例えば、被加工物Wを吸引保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して回転する切削ブレード110で切削加工を施す切削手段11と、を少なくとも備えている。
チャックテーブル10は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなる保持面10a上で被加工物Wを吸引保持する。チャックテーブル10は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心周りに回転可能であるとともに、図示しない切削送り手段によってX軸方向に往復移動可能となっている。チャックテーブル10の外周部には、例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)の固定クランプ100が環状フレームF1を固定するために均等に配設されている。
切削手段11は、軸方向が被加工物Wの移動方向(X軸方向)に対し水平方向に直交する方向(Y軸方向)であるスピンドル111を備えており、スピンドル111の先端には円環状の切削ブレード110が固定されている。
まず、図2に示すように、環状フレームF1によって支持されている被加工物Wが、表面W1aが上側を向いた状態でチャックテーブル10により吸引保持される。また、各固定クランプ100によって環状フレームF1が挟持固定される。次いで、図示しないアライメント手段により、切削ブレード110を切り込ませるべき分断予定ラインSのY軸方向の座標位置が検出される。分断予定ラインSが検出されるのに伴って、切削手段11がY軸方向に割り出し送りされ、切削すべき分断予定ラインSと切削ブレード110とのY軸方向における位置合わせが行われる。
図示しないモータがスピンドル111を回転駆動することに伴って、切削ブレード110が例えば−Y方向側から見て時計回り方向に高速回転する。さらに、切削手段11が−Z方向に向かって切り込み送りされ、切削ブレード110の最下端が板状物W1を完全に切断しかつ膜W2に切り込まない高さ位置に切削手段11が位置付けられる。なお、例えば、切削ブレード110が板状物W1を完全に切断しない高さ位置、すなわち、切削ブレード110の最下端が板状物W1の裏面W1bよりも僅かに上方となる高さ位置に、切削手段11を位置付けるものとしてもよい。
被加工物Wを保持するチャックテーブル10が所定の切削送り速度で−X方向側(紙面奥側)に送り出されることで、回転する切削ブレード110が分断予定ラインSに沿って被加工物Wの表面W1a側から板状物W1に切り込んでいき、図2、3に示す膜W2に到らない溝M1が形成されていく。図3に示すように、例えば溝M1の溝底には、膜W2の表面W2aが露出した状態になる。なお、板状物W1の切り残し部分が溝M1の底として僅かな厚みで残存するように溝M1が形成されてもよい。
切削ブレード110が一本の分断予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りが一度停止され、切削ブレード110が被加工物Wから離間し、次いで、被加工物Wが+X方向に移動し原点位置に戻る。そして、隣り合う分断予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード110を+Y方向に割り出し送りしながら順次同様の切削を行うことにより、X軸方向の全ての分断予定ラインSに沿って膜W2に到らない深さの溝M1を被加工物Wに形成する。さらに、被加工物Wを90度回転させてから同様の切削加工を行うことで、全ての分断予定ラインSに沿って図3に示す膜W2に到らない深さの溝M1を形成することができる。
(1−2)プラズマエッチング装置を用いる溝形成ステップ
溝形成ステップは、図2に示す切削装置1を用いて上記のように実施する代わりに、図4に示すプラズマエッチング装置9を用いて実施してもよい。
図4に示すプラズマエッチング装置9は、被加工物Wを保持する静電チャック90と、ガスを噴出するガス噴出ヘッド91と、静電チャック90及びガス噴出ヘッド91を内部に収容したチャンバ92とを備えている。
例えば、アルミナ等のセラミック又は酸化チタン等の誘電体で形成される静電チャック90は、支持部材900によって下方から支持されている。静電チャック90の内部には、電圧が印加されることにより電荷を発生する電極(金属板)901が静電チャック90の保持面90aと平行に配設されており、この電極901は、整合器94a及びバイアス高周波電源95aに接続されている。なお、例えば、静電チャック90は、本実施形態のような単極型の静電チャックに限定されるものではなく、いわゆる双極型の静電チャックであってもよい。
チャンバ92の上部に軸受け919を介して昇降自在に配設されたガス噴出ヘッド91の内部には、ガス拡散空間910が設けられており、ガス拡散空間910の上部にはガス導入口911が連通し、ガス拡散空間910の下部にはガス吐出口912が複数連通している。各ガス吐出口912の下端は、静電チャック90の保持面90aに向かって開口している。
ガス導入口911には、ガス供給部93が接続されている。ガス供給部93は、例えばSF、CF、C、C等のフッ素系ガスをエッチングガスとして蓄えている。
ガス噴出ヘッド91には、整合器94を介して高周波電源95が接続されている。高周波電源95から整合器94を介してガス噴出ヘッド91に高周波電力を供給することにより、ガス吐出口912から吐出されたエッチングガスをプラズマ化することができる。プラズマエッチング装置9は、図示しない制御部を備えており、制御部による制御の下で、ガスの吐出量や時間、高周波電力等の条件がコントロールされる。
チャンバ92の底には排気口96が形成されており、この排気口96には排気装置97が接続されている。この排気装置97を作動させることにより、チャンバ92の内部を所定の真空度まで減圧することができる。
チャンバ92の側部には、被加工物Wの搬入出を行うための搬入出口920と、この搬入出口920を開閉するゲートバルブ921とが設けられている。
被加工物Wはプラズマエッチングが施され溝が形成されるにあたり、各デバイスD(図4においては不図示)がレジスト膜Rによって保護された状態になる。すなわち、例えば、ポジ型レジスト液が被加工物Wの表面W1aに塗布され一様な厚さのレジスト膜が表面W1a上に形成された後、分断予定ラインSにのみ紫外光が照射され、露光後の被加工物Wが現像されることで、分断予定ラインSが露出しかつデバイスDがレジスト膜Rにより保護された状態となる。
また、被加工物Wの裏面W2bにはテープ又はハードプレートが保護部材T2として貼着され、裏面W2bは保護部材T2によって保護された状態になる。
溝の形成においては、まず、ゲートバルブ921を開け、搬入出口920から被加工物Wをチャンバ92内に搬入し、表面W1a側を上に向けて被加工物Wを静電チャック90の保持面90a上に載置する。ゲートバルブ921を閉じ、排気装置97によってチャンバ92内を排気し、チャンバ92内を所定の圧力の密閉空間とする。
ガス噴出ヘッド91を所定の高さ位置まで下降させ、その状態でガス供給部93から例えばSFを主体とするエッチングガスをガス拡散空間910に供給し、ガス吐出口912から下方に噴出させる。また、高周波電源95からガス噴出ヘッド91に高周波電力を印加して、ガス噴出ヘッド91と静電チャック90との間に高周波電界を生じさせ、エッチングガスをプラズマ化させる。これに並行して、電極901にバイアス高周波電源95aから電圧を印加することで、静電チャック90の保持面90aと被加工物Wとの間に誘電分極現象を発生させ、電荷の分極による静電吸着力によって被加工物Wを保持面90a上に吸着保持する。
プラズマ化したエッチングガスは、レジスト膜Rで被覆されている各デバイスDはエッチングせずに、分断予定ラインS上を−Z方向に向かって異方性エッチングしていく。そのため、図3に示す分断予定ラインSに沿った格子状の溝M1が板状物W1に形成されていく。
プラズマ化したエッチングガスは、金属からなる膜W2をエッチングしない。そのため、図3に示すように、溝M1の底が膜W2内に到らず、かつ、溝M1の底に膜W2の表面W2aが露出するまでプラズマエッチングを行った後、プラズマエッチングを終了させる。すなわち、図4に示すチャンバ92内へのエッチングガス等の導入及びガス噴出ヘッド91への高周波電力の供給を停止し、また、チャンバ92内のエッチングガスを排気口96から排気装置97に排気し、チャンバ92内部にエッチングガスが存在しない状態とする。
なお、図3に示す溝M1の底に板状物W1がエッチング残し部分として僅かな厚みで残存した状態となるまでプラズマエッチングを行ってもよい。
次いで、図4に示す被加工物Wの表面W1a上からレジスト膜Rを除去する。レジスト膜Rの除去は、例えば、所定薬剤を用いたウェット処理、又はプラズマエッチング装置9によるレジスト膜Rのアッシング(灰化)によって行う。
(2)エキスパンドシート貼着ステップ
上記のように(1−1)切削装置1を用いる溝形成ステップ、又は(1−2)プラズマエッチング装置9を用いる溝形成ステップのいずれかを実施した後に、図5に示す被加工物Wの表面W1aにエキスパンドシートT3を貼着する。エキスパンドシートT3は、例えば、被加工物Wの外径よりも大きい外径を有する円盤状のシートであり、機械的外力に対する適度な伸縮性を備えている。被加工物Wの表面W1aにエキスパンドシートT3の粘着面T3aが押し付けられて貼着され、また、被加工物Wの裏面W2bから図2に示すダイシングテープT1又は図4に示す保護部材T2が剥離される。
さらに、図6に示すように、エキスパンドシートT3の粘着面T3aの外周領域は、リングフレームF2に貼着される。そして、裏面W2bが上方に露出した状態の被加工物Wは、リングフレームF2によりハンドリングが可能な状態になる。
(3)拡張ステップ
図6に示すように、エキスパンドシートT3を介してリングフレームF2によって支持された状態の被加工物Wをエキスパンド装置5に搬送する。エキスパンド装置5は、例えば、エキスパンドシートT3の外径よりも大きな外径を備える環状テーブル50を具備しており、環状テーブル50の開口50cの直径はエキスパンドシートT3の外径よりも小さく形成されている。環状テーブル50の外周部には、例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)の固定クランプ52が均等に配設されている。固定クランプ52は、図示しないバネ等によって回転軸52cを軸に回動可能となっており、環状テーブル50の保持面50aと固定クランプ52の下面との間にリングフレームF2及びエキスパンドシートT3を挟み込むことができる。
環状テーブル50の開口50c内には、円筒状の拡張ドラム53が高さ位置を固定して配設されており、環状テーブル50の中心と拡張ドラム53の中心とは略合致している。この拡張ドラム53の外径は、エキスパンドシートT3の外径より小さく、かつ、被加工物Wの外径よりも大きく形成されている。
環状テーブル50は、例えば、環状テーブル昇降手段55によって上下動可能となっている。環状テーブル昇降手段55は、例えばエアシリンダであり、内部に図示しないピストンを備える有底円筒状のシリンダチューブ550と、シリンダチューブ550に挿入され一端がピストンに取り付けられたピストンロッド551とを備える。ピストンロッド551のもう一端は、環状テーブル50の下面に固定されている。シリンダチューブ550にエアが供給(または、排出)されシリンダチューブ550の内部圧力が変化することで、ピストンロッド551がZ軸方向に移動し、環状テーブル50がZ軸方向に移動する。
まず、基準高さ位置に位置付けられた環状テーブル50の保持面50aに、エキスパンドシートT3を介してリングフレームF2が載置される。次いで、固定クランプ52を回動させ、リングフレームF2及びエキスパンドシートT3が固定クランプ52と環状テーブル50の保持面50aとの間に挟持固定された状態にする。この状態においては、環状テーブル50の保持面50aと拡張ドラム53の環状の上端面とは同一の高さ位置にあり、拡張ドラム53の上端面が、エキスパンドシートT3のリングフレームF2の内周縁と被加工物Wの外周縁との間の領域に、エキスパンドシートT3の基材面側(図6における下面側)から当接する。
図7に示すように、環状テーブル昇降手段55が、固定クランプ52との間にリングフレームF2及びエキスパンドシートT3を挟み込んだ状態の環状テーブル50を下降させることで、環状テーブル50の保持面50aを拡張ドラム53の上端面より下方のシート拡張位置に位置付ける。その結果、拡張ドラム53は固定クランプ52に対して相対的に上昇し、エキスパンドシートT3は、拡張ドラム53の上端面で押し上げられて径方向外側に向かって拡張され、これに伴って膜W2の溝M1に沿った領域、即ち溝M1に対応した領域の膜W2に拡張力が集中的に加わる。
環状テーブル50の保持面50aの下降位置を制御することで、エキスパンドシートT3を介して膜W2に付与する拡張力の大きさを調整して、例えば、図7、8に示すように、膜W2に溝M1に沿って部分的に膜W2が切れた状態の分断起点W2dを形成する。また、エキスパンドシートT3上のチップ間の間隔も拡張される。なお、膜W2に溝M1に沿った分断起点W2dを形成する以外にも、膜W2を溝M1に沿って完全に分断してもよく、また、膜W2の溝M1に沿った領域が引き延ばされて薄くなり分断されやすくなった状態にしてもよい。
なお、エキスパンドシートT3を拡張後、所定の加熱手段によって、エキスパンドシートT3の環状フレームFの内周縁と被加工物Wの外周縁との間の環状領域を加熱すると好ましい。例えば、エキスパンドシートT3のうち被加工物Wが貼着された円形領域を図示しない保持テーブルで吸引保持した状態で、本加熱は行う。なお、上記吸引保持を行うための機構をエキスパンド装置5に備えるものとしてもよい。加熱手段は、例えば、赤外線を放射可能な赤外線ヒータであり、エキスパンドシートT3の環状フレームFの内周縁と被加工物Wの外周縁との間の環状領域を上方から非接触で加熱する。なお、加熱手段は、接触式のものでもよく、また、熱風をノズルから噴射可能な熱風ヒータであってもよい。加熱手段によって加熱された環状領域は、例えば拡張前の大きさまで径方向内側に向かって収縮する。
加熱手段による加熱は、エキスパンドシートT3の環状フレームFの内周縁と被加工物Wの外周縁との間の環状領域に対してのみ行われるため、隣接する各チップの間隔を拡張後の大きさで維持できる。そして、先に行ったエキスパンドで膜W2を完全に分断している場合には、エキスパンド前よりもチップ間に間隔がある状態が維持されているため、後述する噴射ステップにおいてチップからはみ出した部分の膜W2が除去されやすくなっている(噴射物が当たりやすくなっている)状態を維持できる。先に行ったエキスパンドで膜W2を完全に分断していない場合においても、チップ間の膜W2が引き延ばされて薄くなり分断されやすくなった状態は保たれているため、後述する噴射ステップにおいて噴射物が当てやすくなった状態を維持できる。
(4)噴射ステップ
拡張ステップを実施した後、図9に示すように、被加工物Wの膜W2に噴射物を噴射するために、エキスパンドシートT3を介してリングフレームF2によって支持された状態の被加工物Wを噴射装置3に搬送する。噴射装置3は、例えば、被加工物Wを保持する保持テーブル30と、保持テーブル30を回転させる回転手段32と、上端側に円形の開口を備えた有底円筒状のケーシング34とを備えている。
保持テーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり吸引源に連通する保持面30aを備えている。保持テーブル30の周囲には、リングフレームF2を固定する固定クランプ301が例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)均等に配設されている。保持テーブル30は上下動可能となっており、被加工物Wが載置される際には、上昇して被加工物Wの搬入・搬出高さ位置に位置付けられ、また、吸引保持した被加工物Wに噴射物が噴射される際には、ケーシング34内における噴射高さ位置に位置付けられる。
保持テーブル30の下側に配設された回転手段32は、保持テーブル30の底面側に上端が固定され鉛直方向の軸心周りに回転可能なスピンドル320と、モータ等で構成されスピンドル320の下端側に連結する回転駆動源321とを少なくとも備えている。回転駆動源321がスピンドル320を回転させることで、スピンドル320に固定された保持テーブル30も回転する。
保持テーブル30は、ケーシング34の内部空間に収容されている。ケーシング34は、保持テーブル30を囲繞する外側壁340と、外側壁340の下部に一体的に連接し中央にスピンドル320が挿通される開口を有する底板341と、底板341の開口の内周縁から立設する内側壁342とから構成されており、底板341に一端が固定された脚部343により支持されている。保持テーブル30の下面とケーシング34の内側壁342の上端面との間には、スピンドル320に挿嵌されスピンドル320と底板341の開口との隙間に異物を入り込ませないようにする円形状のカバー部材344が配設されている。
ケーシング34内には、保持面30aで吸引保持された被加工物Wの膜W2に、例えば粉末状のドライアイス(固体の二酸化炭素粒子)をエア圧力で噴射することができる噴射ノズル35が配設されている。噴射ノズル35は、ケーシング34の底板341から立設しており、外形が側面視略L字状となっており、先端部分に形成された噴射口350が保持テーブル30の保持面30aに向かって開口している。噴射ノズル35は、Z軸方向の軸心周りに旋回可能となっており、保持テーブル30の上方から退避位置まで噴射口350を移動することができる。
噴射ノズル35は、配管36a及び図示しないロータリージョイント等を介して、液体の二酸化炭素が蓄えられた二酸化炭素供給源36に接続されている。また、噴射ノズル35は、配管37a及び図示しないロータリージョイント等を介して、圧縮されたエア(圧縮エア)を蓄えたエア供給源37に接続されている。
被加工物Wの膜W2に噴射物を噴射する際には、まず、搬入高さ位置に位置付けられた保持テーブル30の保持面30a上に、被加工物Wが膜W2を上側に向けて載置される。そして、吸引源が生み出す吸引力が保持面30aに伝達されることにより、被加工物Wが保持テーブル30によって吸引保持された状態になる。また、各固定クランプ301によってリングフレームF2が挟持固定される。次いで、被加工物Wを保持した保持テーブル30がケーシング34内における作業高さ位置まで下降する。また、噴射ノズル35が旋回移動し、その噴射口350が被加工物Wの膜W2の中央上方に位置付けられる。
二酸化炭素供給源36から液体の二酸化炭素を噴射ノズル35に供給すると共に、エア供給源37からエアを噴射ノズル35に供給する。二酸化炭素供給源36から供給された液体の二酸化炭素とエア供給源37から供給されたエアとが噴射ノズル35内で高圧で混合され、噴射ノズル35の噴射口350から下方に向かって噴射物Pとして大気中に噴射されると、断熱膨張によって液体の二酸化炭素の温度が凝固点を下回り、極めて微細な粉末状のドライアイス(固体の二酸化炭素粒子)P1が発生する。この粉末状のドライアイスP1を含む噴射物Pが被加工物Wの膜W2に衝突すると、ドライアイスP1は変形、破砕して、二酸化炭素ガスへと昇華する。
また、噴射物Pを噴射する噴射ノズル35が、被加工物Wの上方をZ軸方向の軸心周りに所定角度で往復するように旋回移動する。さらに、回転駆動源321がスピンドル320を+Z方向側から見て例えば反時計周り方向に向かって回転させることによって、保持テーブル30が同方向に回転し、被加工物Wの膜W2の全面に噴射ノズル35の噴射口350からドライアイスP1を含む噴射物Pが噴射される。膜W2の溝M1に沿った領域、即ち、膜W2のうちチップからはみ出す部分は、溝M1に沿った分断起点W2dが形成されているために外力によって板状物W1から離れやすくなっている。そのため、膜W2の溝M1に沿った領域に衝突したドライアイスP1の気化膨張によって、膜W2の溝M1に沿った領域が溝M1上から吹き飛ばされて除去される。
なお、例えば、膜W2が溝M1に沿って分断されている場合、又は膜W2の溝M1に沿った領域が引き延ばされて薄くなり分断されやすくなっている場合においても同様に、ドライアイスP1の昇華で発生する膨張のエネルギーによって、膜W2の溝M1に沿った領域が溝M1上から除去される。
さらに、膜W2の除去された部分は、保持テーブル30の回転により径方向外側に向かって飛ばされて排除されていく。被加工物Wの膜W2に対する噴射物Pの噴射を所定時間行うことで、図10に示すように、被加工物WをデバイスD及び膜W2を備えた個々のチップCに分割することができる。
なお、被加工物Wの膜W2に噴射物Pを噴射する際には、例えば、被加工物Wの各溝M1が写った撮像画像を形成して、この撮像画像から被加工物Wの各溝M1の座標位置を検出し、さらに、検出した各溝M1に沿って直線状に噴射物Pを膜W2に向かって噴射することで、膜W2の溝M1に沿った領域を溝M1上から1ラインずつ除去するものとしてもよい。
また、図9に示す噴射ノズル35は、固体の二酸化炭素粒子P1を含む噴射物Pを噴射するのではなく、高圧水を噴射できる構成となっていてもよい。すなわち、噴射ノズル35は、配管36aを介して、二酸化炭素供給源36の代わりに水(例えば、純水)を蓄えた水供給源に接続されている。この場合には、板状物W1が破損したりチップCが飛散したりしない圧力(例えば、100MPa〜300MPa)で噴射口350から被加工物Wの膜W2に向かって高圧水を噴射させ、この高圧水で膜W2の溝M1に沿った領域を溝M1上から除去することができる。
上記のように、本発明に係る加工方法は、被加工物Wの表面W1aから分断予定ラインSに沿って溝M1を形成する溝形成ステップと、溝形成ステップを実施した後に被加工物Wの表面W1aにエキスパンドシートT3を貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、エキスパンドシート貼着ステップを実施した後、エキスパンドシートT3を拡張する拡張ステップと、拡張ステップを実施した後、被加工物Wの膜W2に噴射物Pを噴射する噴射ステップと、を備えているため、レーザ加工装置を利用せず、また、切削ブレード110に膜W2による目詰まりを発生させることもなく、膜W2を分断しかつ膜W2のうちチップCからはみ出す部分を除去して被加工物WからチップCを作製することができる。また、エキスパンドすることで、予め膜W2を溝M1に沿って部分的若しくは全体的に分断した後、又は膜W2の溝M1に沿った領域を引き延ばして薄くした後、噴射物Pで隣接するチップC間の膜W2(チップCからのはみ出し部分)を除去するため、効率的に隣接するチップC間の膜W2をチップCから除去することができる。
さらに、噴射物Pを固体の二酸化炭素粒子P1を含むものとすることで、噴射物Pの噴射による膜W2の分断や膜W2のうちチップCからはみ出す部分の除去をより容易に行うことができる。
(実施形態2)
以下に、本発明に係る加工方法を実施して図1に示す被加工物WからデバイスDを備えるチップを作製する場合の、加工方法の各ステップについて説明していく。本発明に係る加工方法の本実施形態2においては、本発明に係る加工方法の実施形態1と同様に、まず、(1−1)切削装置を用いる溝形成ステップ、又は(1−2)プラズマエッチング装置を用いる溝形成ステップのいずれかを実施して、図3に示すように、全ての分断予定ラインSに沿って溝M1を被加工物Wに形成する。
次いで、加工方法の実施形態1と同様に、(2)エキスパンドシート貼着ステップを実施して、図5に示すように、被加工物Wの表面W1aにエキスパンドシートT3を貼着する。また、被加工物Wの裏面W2bから、図2に示すダイシングテープT1又は図4に示す保護部材T2を剥離する。
(3)第一噴射ステップ
エキスパンドシート貼着ステップを実施した後、被加工物Wの膜W2に対して噴射物を噴射する第一噴射ステップを実施する。図11に示すように、噴射装置3の保持テーブル30の保持面30a上に、エキスパンドシートT3を介してリングフレームF2によって支持された状態の被加工物Wを膜W2が上側を向くようにして載置する。保持テーブル30は、被加工物Wを吸引保持した後、ケーシング34内における噴射高さ位置まで下降する。
噴射ノズル35が旋回移動し、噴射ノズル35の噴射口350が被加工物Wの膜W2の中央上方に位置付けられる。次いで、二酸化炭素供給源36から液体の二酸化炭素を噴射ノズル35に供給すると共に、エア供給源37からエアを噴射ノズル35に供給する。液体の二酸化炭素とエアとは噴射ノズル35内で高圧で混合され、噴射口350から下方に向かって噴射物Pとして大気中に噴射される。さらに、噴射物Pを噴射する噴射ノズル35が、被加工物Wの上方をZ軸方向の軸心周りに所定角度で往復するように旋回移動する。また、保持テーブル30が+Z方向側から見て例えば反時計周り方向に向かって回転することで、被加工物Wの膜W2の全面に噴射ノズル35の噴射口350からドライアイスP1を含む噴射物Pが噴射される。
膜W2の溝M1に沿った領域は、下方から板状物W1で支えられていないため、噴射物Pに含まれるドライアイスP1の昇華で発生する膨張のエネルギーを受けて、例えば図12に示すように分断される。なお、噴射物Pの噴射によって、膜W2は、溝M1に沿って部分的に膜W2が切れた状態の分断起点が形成された状態になってもよく、また、膜W2の溝M1に沿った領域が引き延ばされて薄くなり分断されやすくなった状態となってもよい。
なお、被加工物Wの膜W2に噴射物を噴射する際には、例えば、被加工物Wの各溝M1が写った撮像画像の画像処理を伴う各溝M1の座標位置検出、又は被加工物Wのノッチと予め記憶している被加工物Wのパターン設計値とに基づく各溝M1の座標位置検出を実施して、この検出した各溝M1に沿って直線状に噴射物を膜W2に向かって噴射することで、膜W2の溝M1に沿った領域を1ラインずつ分断するものとしてもよい。
また、図11に示す噴射ノズル35は、固体の二酸化炭素粒子P1を含む噴射物Pを噴射するのではなく、高圧水を噴射できる構成となっていてもよい。この場合には、板状物W1が破損したりチップCが飛散したりしない圧力(例えば、100MPa〜300MPa)で噴射口350から被加工物Wの膜W2に向かって水を噴射させ、この高圧水で膜W2の溝M1に沿った領域を分断することができる。
(4)拡張ステップ
第一噴射ステップを実施した後、被加工物Wが、図13に示すエキスパンド装置5に搬送され、基準高さ位置に位置付けられた環状テーブル50の保持面50aに、エキスパンドシートT3を介してリングフレームF2が載置される。次いで、リングフレームF2及びエキスパンドシートT3が固定クランプ52と環状テーブル50の保持面50aとの間に挟持固定される。
図14に示すように、環状テーブル昇降手段55が、固定クランプ52との間にリングフレームF2及びエキスパンドシートT3を挟み込んだ状態の環状テーブル50を下降させることで、エキスパンドシートT3は、拡張ドラム53の上端面で押し上げられて径方向外側に向かって拡張される。そして、環状テーブル50の保持面50aの下降位置を制御することで、エキスパンドシートT3の拡張の度合いを調整して各チップC間の溝M1の間隔を所定の大きさまで広げる。
なお、各チップC間の溝M1の間隔を所定の大きさまで広げた後、所定の加熱手段によって、エキスパンドシートT3のリングフレームF2の内周縁と被加工物Wの外周縁との間の環状領域を加熱すると好ましい。例えば、エキスパンドシートT3のうち被加工物Wが貼着された円形領域を図示しない保持テーブルで吸引保持した状態で、本加熱は行う。なお、上記吸引保持を行うための機構をエキスパンド装置5に備えるものとしてもよい。加熱手段によって加熱された環状領域は、例えば拡張前の大きさまで径方向内側に向かって収縮する。
加熱手段による加熱は、エキスパンドシートT3のリングフレームF2の内周縁と被加工物Wの外周縁との間の環状領域に対してのみ行われるため、隣接する各チップCの間隔を拡張後の大きさで維持できる。そのため、後述する噴射ステップにおいて膜W2のうちチップCからはみ出した部分が除去されやすくなっている(噴射物が当たりやすくなっている)状態を維持できる。
(5)噴射ステップ
図15に示すように、溝M1が拡張された被加工物Wが噴射装置3に搬送され、被加工物Wは保持テーブル30上に吸引保持される。保持テーブル30が噴射高さ位置まで下降した後、噴射ノズル35の噴射口350が被加工物Wの膜W2の中央上方に位置付けられる。次いで、二酸化炭素供給源36から液体の二酸化炭素を噴射ノズル35に供給すると共に、エア供給源37からエアを噴射ノズル35に供給することで、噴射口350から下方に向かってドライアイスP1を含む噴射物Pが大気中に噴射される。さらに、噴射物Pを噴射する噴射ノズル35が、被加工物Wの上方をZ軸方向の軸心周りに所定角度で往復するように旋回移動する。また、保持テーブル30が+Z方向側から見て例えば反時計周り方向に向かって回転することで、被加工物Wの膜W2の全面に噴射物Pが噴射される。
分断された膜W2の溝M1に沿った領域、即ち、膜W2のうちチップからはみ出した部分にドライアイスP1を含む噴射物Pが衝突することで、ドライアイスP1の気化膨張によりこのはみ出し部分が溝M1上から吹き飛ばされてチップCから除去される。また、膜W2のうち除去された部分は、保持テーブル30の回転により径方向外側に向かって飛ばされて排除されていく。噴射物Pの被加工物Wの膜W2への噴射を所定時間行うことで、被加工物WをデバイスD及び膜W2を備えた個々のチップCに分割することができる。
なお、被加工物Wの膜W2に噴射物を噴射する際に、例えば、被加工物Wの各溝M1が写った撮像画像から被加工物Wの各溝M1の座標位置を検出し、検出した各溝M1に沿って直線状に噴射物を膜W2に向かって噴射することで、膜W2のうちチップCからはみ出す部分を溝M1上から1ラインずつ除去するものとしてもよい。
また、図15に示す噴射ノズル35は、固体の二酸化炭素粒子P1を含む噴射物Pを噴射するのではなく、高圧水を噴射できる構成となっていてもよい。この場合には、板状物W1が破損したりチップCが飛散したりしない圧力(例えば、100MPa〜300MPa)で噴射口350から被加工物Wの膜W2に向かって水を噴射させ、この高圧水で膜W2のうちチップからはみ出す部分を除去することができる。
上記のように、本発明に係る加工方法は、エキスパンドシート貼着ステップを実施した後、拡張ステップを実施する前に、被加工物Wの膜W2に対して噴射物Pを噴射する第一噴射ステップを実施することで、噴射物Pで部分的又は全体的に膜W2を分断した後、エキスパンドして溝M1の間隔を拡張し、その後、噴射物Pで膜W2の溝M1に沿った領域を除去するため、短時間で効率よく膜W2のうちチップCからはみ出す部分を除去して被加工物WからチップCを作製することができる。
W:被加工物 W1:板状物 W1a:被加工物の表面 S:分断予定ライン D:デバイス W1b:板状物の裏面 W2:膜 W2a:膜の表面 W2b:被加工物の裏面
T1:ダイシングテープ F1:環状フレーム M1:溝
1:切削装置 10:チャックテーブル 10a:保持面 100:固定クランプ
11:切削手段 110:切削ブレード 111:スピンドル
9:プラズマエッチング装置
90:静電チャック 90a:静電チャックの保持面 900:支持部材 901:電極
91:ガス噴出ヘッド 910:ガス拡散空間 911:ガス導入口
912:ガス吐出口
92:チャンバ 920:搬入出口 921:ゲートバルブ
93:ガス供給部 94,94a:整合器 95,95a:高周波電源,バイアス高周波電源 96:排気口 97:排気装置
R:レジスト膜 T2:保護部材
5:エキスパンド装置 50:環状テーブル 50a:環状テーブルの保持面 50c:環状テーブルの開口 52:固定クランプ 53:拡張ドラム
55:環状テーブル昇降手段 550:シリンダチューブ 551:ピストンロッド
T3:エキスパンドシート F2:リングフレーム
3:噴射装置 30:保持テーブル 30a:保持面 301:固定クランプ
32:回転手段 320:スピンドル 321:回転駆動源
34:ケーシング 340:外側壁 341:底板 342:内側壁 343:脚部
344:カバー部材 35:噴射ノズル 350:噴射口 36:二酸化炭素供給源
37:エア供給源 P:噴射物 P1:固体の二酸化炭素粒子

Claims (3)

  1. 板状物の裏面に膜が成膜され、複数の分断予定ラインが設定された被加工物の加工方法であって、
    被加工物の表面から該分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、
    該溝形成ステップを実施した後に被加工物の表面にエキスパンドシートを貼着し、さらに、エキスパンドシートを環状フレームに貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、
    該エキスパンドシート貼着ステップを実施した後、該エキスパンドシートを拡張する拡張ステップと、
    該拡張ステップを実施した後、加熱手段によって、該エキスパンドシートの該環状フレームの内周縁と被加工物の外周縁との間の環状領域を加熱する加熱ステップと、
    加熱ステップを実施した後、被加工物の該溝が写った撮像画像を形成して、該撮像画像から該溝の座標位置を検出し、さらに、検出した該溝に沿って直線状に被加工物の該膜に噴射物を噴射して該膜を該溝上から1ラインずつ除去する噴射ステップと、を備えた加工方法。
  2. 前記拡張ステップを実施する前に、被加工物の前記膜に対して噴射物を噴射する第一噴射ステップを備えた、請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記噴射物は、固体の二酸化炭素粒子を含む、請求項1または2に記載の加工方法。
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