JP6898142B2 - 容器詰焙煎穀物飲料及び焙煎穀物の製造方法 - Google Patents

容器詰焙煎穀物飲料及び焙煎穀物の製造方法 Download PDF

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本発明は、焙煎された穀物(「焙煎穀物」とも称する)の製造方法、並びに、当該焙煎穀物を用いて得られる容器詰焙煎穀物飲料の製造方法に関する。
容器詰飲料、すなわち各種容器に充填してなる飲料であって、長期に亘って保存が可能な飲料は、消費者ニーズの多様化も相俟って様々な種類や形態で提供されている。
この種の容器詰飲料は、止渇性飲料と嗜好性飲料の二種類に大別することができる。
嗜好性飲料とは、飲料の味や香りそのものを楽しむことを目的として飲用する飲料であり、例えば果実飲料、炭酸飲料、コーヒーや紅茶などを挙げることができる。嗜好性飲料は、その目的からして糖分などの副原料を併用することが多いものの、所謂ブラックコーヒーやストレートティー等の副原料を添加しないタイプの嗜好性飲料も存在する。
他方、止渇性飲料とは、喉の渇きを癒すことを目的として飲用する飲料であり、例えば水や茶などを挙げることができる。止渇性飲料は、その目的からして糖分を含まない飲料が多く、中では所謂スポーツドリンクなどのようにエネルギー摂取も兼ね備えたタイプの飲料も存在する。
昨今、消費者の嗜好が多様化するにつれて、従来は提供されていなかった新しいタイプの飲料が求められている。その一例として、止渇性飲料を嗜好性飲料のように飲用するタイプの飲料を挙げることができる。具体的には、緑茶飲料や麦茶飲料等の止渇性飲料を温めて飲用するタイプの飲料を挙げることができる。
また、消費者における近年の健康志向が高まるに伴い、特定の成分(例えばカフェイン)や添加物を極力避けるような要請も高まっており、ブラックコーヒーやストレートティーのような嗜好性飲料でありながら、カフェインや甘味料等を含有してない新たな「高嗜好性ノンカフェイン飲料」が求められている。
上述のとおり、止渇性飲料には様々なタイプの飲料が存在する。その中で、穀物を焙煎して得た焙煎穀物を熱水で抽出して得た焙煎穀物抽出液を容器に充填した“容器詰焙煎穀物飲料”は、従来、止渇性飲料の代表例であった。しかし、消費者の生活スタイルの変化、とりわけ仕事や勉強をしながら少しずつ当該飲料を少量ずつ摂取する方法(所謂「ちびダラ飲み」)が定着するにつれて、容器詰焙煎穀物飲料に対しても嗜好性が求められるようになってきている。
焙煎穀物飲料の製法に関する従来技術として、以下の製法を挙げることができる。
例えば特許文献1(特開2014−18181号公報)においては、焙煎された大麦を抽出してなる大麦抽出液に、強い香味を有する大麦エキス、例えば焙煎された大麦を水蒸気蒸留して得られる抽出液と、焙煎された大麦を熱水抽出して得られる抽出液との混合物を添加する方法が開示されている。
特許文献2(特公昭62−40991号公報)においては、原料大麦を熱風式焙煎機に投入し、該焙煎機の設定温度が160℃を越えない状態で5分以上の低温域焙煎処理を施した後、引き続いて設定温度を180〜280℃まで昇温して高温域焙煎処理を施すことによって、麦茶独特のこく味のある風味を獲得するとともに、前記低温域での焙煎処理中の適宜の時期に水滴あるいは水蒸気を麦粒に噴霧することによって甘味を獲得する旨の方法が開示されている。
特許文献3(特開2000−245411号公報)においては、原料大麦を、蒸気噴霧時間5〜60秒、蒸気流量20〜60kg/hの条件下で蒸気噴霧処理した後、焙煎温度230〜280℃、60秒〜120秒の一次焙煎を行なった後、引き続いて焙煎温度250〜300℃、60秒〜120秒の二次焙煎を行なうことを特徴とする麦茶用麦の製造方法が開示されている。
特許文献4(再表2009−142081号公報)においては、少なくとも、一次焙煎工程と二次焙煎工程との間に麦の品温を5秒以内に60℃〜130℃の温度差で急冷する急冷工程を含む焙煎穀物の製造方法が開示されている。
特開2014−18181号公報 特公昭62−40991号公報 特開2000−245411号公報 再表2009−142081号公報
従来、止渇性飲料の代表例であった容器詰焙煎穀物飲料は、夏場を中心に、止渇を目的に飲用されてきた。最近では、焙煎穀物飲料の健康性が受け入れられて、冬場でも加温されて飲用されるようになってきており、加温タイプの容器詰焙煎穀物飲料が注目されている。
しかし、止渇性焙煎穀物飲料をベースとした従来の加温タイプの容器詰焙煎穀物飲料は、嗜好性飲料としての消費者ニーズを十分に満たした香味を備えていなかった。とりわけ、ブラックコーヒーの代替となり得る嗜好性飲料の実現には至っていない。そのため、ブラックコーヒーの代替として飲用可能であり、且つカフェインや甘味料等を含まない、新たな高嗜好性焙煎穀物飲料が求められている。
焙煎穀物飲料に関しては、原料穀物の焙煎条件を調整することによりその風味を調整することができる。かかる観点から、ブラックコーヒーの代替飲料を調製するためには、原料穀物の焙煎を比較的高温度で行う所謂“ヘビーロースト”することが考えられる。しかし、原料穀物を単にヘビーローストしたのでは、焙煎香と苦味を十分に飲料に付与することができる反面、焦げ臭が際立ってしまって、かえって焙煎穀物飲料の嗜好性を損なうことになってしまう。
そこで本発明の目的は、ヘビーローストする原料穀物を用いつつ、それでいて焦げ臭が際立つことがない「香り」と、甘みが主に寄与する「先味」と、飲用後期の口内に残る「後味」とを感じることができる新たな高嗜好性焙煎穀物飲料を得ることにある。
本発明は、下記原料穀物A、B及びCからなる群から選ばれる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持するように焙煎して焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)と、得られた混合焙煎穀物を溶媒で抽出して焙煎穀物抽出液を得る工程(「工程(3)」と称する)と、得られた焙煎穀物抽出液を容器に充填する工程(「工程(4)」と称する)と、を備えた容器詰焙煎穀物飲料の製造方法を提案する。
(A)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が1.20以上1.65未満である原料穀物A
(B)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.70以上1.20未満である原料穀物B
(C)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.30以上0.70未満である原料穀物C
本発明はまた、上記原料穀物A、B及びCからなる群から選ばれる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持するように焙煎して焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)と、得られた混合焙煎穀物を溶媒で抽出して焙煎穀物抽出液を得る工程(「工程(3)」と称する)と、得られた焙煎穀物抽出液を容器に充填する工程(「工程(4)」と称する)と、を備えた容器詰焙煎穀物飲料の抽出効率向上方法を提案する。
本発明はまた、上記原料穀物A、B及びCからなる群から選ばれる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持するように焙煎して焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)と、を備えた焙煎穀物の製造方法を提案する。
本発明はまた、上記原料穀物A、B及びCからなる群から選ばれる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持するように焙煎して焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)と、を備えた焙煎穀物の抽出効率向上方法を提案する。
本発明が提案する焙煎穀物の製造方法、焙煎穀物の抽出効率向上方法、容器詰焙煎穀物飲料の製造方法並びに容器詰焙煎穀物飲料の抽出効率向上方法は、タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が互いに異なる原料穀物(A、B及びC)をそれぞれ焙煎して得られる2種類以上の焙煎穀物を組み合わせることにより、ヘビーローストする原料穀物を用いつつ、それでいて止渇性飲料の嗜好性を向上させることができる。より具体的には、焦げ臭が際立つことがない「香り」と、甘みが主に寄与する「先味」と、飲用後期の口内に残る「後味」とを感じることができる新たな高嗜好性焙煎穀物飲料及びその飲料のための焙煎穀物を得ることができる。
次に、実施の形態に基づいて本発明を説明する。但し、本発明は該実施形態に限定されるものではない。
<用語の説明>
本発明における「焙煎穀物飲料」とは、穀物原料を焙煎したものを水、有機溶媒等の溶媒で抽出した抽出液を含有する飲料であり、「容器詰焙煎穀物飲料」とは、当該抽出液をそのまま、若しくは希釈又は濃縮して、若しくは当該抽出液に他の成分を添加して、容器に充填して密封した形態の飲料をいう。
この際、前記溶媒が有機溶媒である場合、アルコール類であることが好ましく、前記アルコール類はメタノール、エタノールおよび2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記他の成分としては、乳化剤や酸化防止剤等の各種添加物を挙げることができる。
また、「穀物の焙煎」とは、原料となる穀物を加熱により焙じて煎る加工処理をいう。
本発明において「焙煎穀物の抽出効率向上方法」及び「容器詰焙煎穀物飲料の抽出効率向上方法」とは、焙煎穀物又は容器詰焙煎穀物飲料の香味(先味、後味及び香り)を本発明が目的とする範囲としつつ、且つ抽出効率を向上させることができる方法の意味である。
本発明において、焙煎穀物飲料の「先味」とは、ライトロースト様の飲用前半に感じる甘味からなる味の濃度を示し、「後味」とは、ヘビーロースト様の飲用後半の口内に残る苦味を示している。
本発明における「穀物」とは、植物から得られる澱粉質を主体とする種子をいい、そのまま可食なもの、及び、可食ではなく且つ抽出物として飲用が可能なものを含む。具体的には、禾穀類、菽穀類である麦類、米類、豆類等を例示することができる。但し、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されるものではない。
また、「2種類以上の穀物」は、各々が所定条件を満たすものであれば、植物の品種として2種類以上であってよい。原料調達等の入手容易性に鑑みると、2種類以上の穀物は同種であって異なる条件を満たすものであることが好ましい。
本発明において「麦類」とは、例えば小麦、大麦、ライムギ、エンバク、はと麦、はだか麦、からす麦などのイネ科穀物を含むものである。
また、「大麦」とは、例えばハインドマーシュ、メトカルフ、スコープ、コマンダー、ほうしゅん、ミカモゴールデン、レガシー、シュンライ、ファイバースノウ、カシマムギなどを含むものである。
本発明において「アラビノキシラン(「Ax」と記載することもある。)」とは、多糖類に分類される水不溶食物繊維質のうち、セルロース以外の繊維分の総称である「ヘミセルロース」の一種の意味である。
「アラビノキシラン」とは、イネ科植物の細胞壁を構成する成分であり、植物の細胞骨格を形成する役割を有する成分である。
本発明における穀物のアラビノキシランン含有量は4.0〜10.0質量%であるのが好ましい。
原料穀物におけるアラビノキシラン含有量が多いと、それを用いて焙煎穀物飲料を製造した際、「先味」が強くなり、「後味」が弱くなる傾向がある。その一方で、アラビノキシラン含有量が少ないと、「先味」が弱くなり、「後味」が強くなる傾向がある。
かかる観点から、本発明における穀物のアラビノキシランン含有量は4.0〜10.0質量%であるのが好ましく、中でも4.5質量%以上或いは9.5質量%以下、その中でも5.0質量%以上或いは9.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
穀物におけるアラビノキシラン含有質量は、穀物の品種や、収穫時期や給水量などの栽培条件によって調整することができる。例えば、アラビノキシラン含有量は栽培初期の段階では少なく、栽培中期以降に増加する傾向がある。また、アラビノキシラン含有量は栽培期間中の給水量によっても調整することができ、例えば給水量を増加させるとアラビノキシラン含有量が増加する傾向がある。品種の観点からいえば、大麦の場合、例えばハインドマーシュ、メトカルフ、スコープ、コマンダー、ほうしゅん、ミカモゴールデン等の二条麦品種は、アラビノキシラン含有量が高い傾向があり、他方、レガシー、シュンライ、ファイバースノウ、カシマムギ等のなどの六条麦品種は、アラビノキシラン含有量が低い傾向がある。
なお、アラビノキシラン含有量の分析及び測定方法は、当業者に公知の手法を採用することができ、例えばJ.Agri.Food Chem.2014,62,8319−8324に記載の直接酸加水分解法を用いて算出することができる。
本発明において、「穀物のタンパク質」とは、穀物原料由来のタンパク質を意味しており、小麦に多く含まれるものであって粘りの要因となるグルテンの他、大麦に含まれるホルデイン等を含んでいる。
この際、タンパク質とは、上記タンパク質の他、鎖数が少ない所謂ペプチドや遊離アミノ酸量をも含めたものとする。
本発明の穀物におけるタンパク質含有量は6.0〜12.5質量%であることが好ましい。
原料穀物におけるタンパク質が多いと、それを用いて焙煎穀物飲料を製造した際、「先味」が弱くなり、「後味」及び「香り」が強くなる傾向がある。その一方で、タンパク質が少ないと、「先味」が強くなり、「後味」及び「香り」が弱くなる傾向がある。
かかる観点から、本発明の穀物におけるタンパク質含有量は6.0〜12.5質量%であることが好ましく、中でも6.2質量%以上或いは12.0質量%以下、その中でも6.4質量%以上或いは11.9質量%以下であるのがさらに好ましい。
穀物におけるタンパク質含有量は、穀物の品種よって調整することができる。例えば穀物が大麦である場合、ハインドマーシュ、メトカルフ、スコープ、コマンダー、ほうしゅん、ミカモゴールデン等の二条麦品種は、タンパク質含有量が低い傾向があり、レガシー、シュンライ、ファイバースノウ、カシマムギ等の六条麦品種は、タンパク含有量が高い傾向がある。
なお、タンパク質の分析及び算出方法は、当業者に公知の手法を採用することができ、例えばケルダール法により全窒素を定量し、タンパク質係数を乗じることでタンパク質として算出することができる。
本発明の穀物における(Ax/タンパク質)は0.30〜1.70質量%であることが好ましい。
(Ax/タンパク質)がこの範囲である2種類以上の異なる原料穀物を焙煎し、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合することによって、本発明の効果を奏する焙煎穀物を得ることができる。また、(Ax/タンパク質)が高い穀物は、本発明における「先味」を強く感じ、「後味」及び「香り」を弱く感じる傾向がある。一方、(Ax/タンパク質)が低い穀物は、本発明における「先味」を弱く感じ、「後味」及び「香り」を強く感じる傾向がある。
かかる観点から、本発明の穀物における(Ax/タンパク質)は0.30〜1.70質量%であることが好ましく、中でも0.32質量%以上或いは1.60質量%以下、その中でも0.48質量%以上或いは1.41質量%以下であるのがさらに好ましい。
穀物の(Ax/タンパク質)は、原料となる穀物の栽培方法や品種によって調整することができる。具体的には、収穫時期や給水量といった栽培条件、或いはハインドマーシュやレガシーといった品種等によって調整することが好ましい。例えば、穀物におけるアラビノキシラン含有量を栽培方法によって増加させることで、(Ax/タンパク質)の値も増加させることができる。穀物におけるアラビノキシラン含有量を栽培方法によって減少させることで、(Ax/タンパク質)の値も減少させることができる。また、穀物におけるタンパク質含有量を品種の選別によって増加させることで、(Ax/タンパク質)の値を減少させることができ、穀物におけるタンパク質含有量を品種の選別によって減少させることで、(Ax/タンパク質)の値を増加させることができる。
なお、(Ax/タンパク質)の算出方法は、アラビノキシラン含有量をタンパク質含有量で除すことで算出できる。
本発明において、「嵩比」とは、単位重量あたりの体積を表すものであって、原料穀物、或いは原料穀物を焙煎した焙煎穀物100g当たりの体積(mL)をいう。
穀物の嵩比は、原料となる穀物の栽培方法や品種によって調整することができる。具体的には、単位面積当たりの播種量や畦間隔、栄養源としての窒素量によって調整することが好ましい。例えば、穀物の単位面積当たりの播種量を少なくしたり、畦間隔を広げたりすることで、穀物の嵩比を大きく調整することができる。また窒素量を肥料等で多く与えることでも嵩比を大きく調整することができる。
なお、嵩比は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、穀物或いは焙煎穀物を100g測りとり、1000mlメスシリンダー(東京硝子器機社製)にて体積を測定・算出するといった方法を挙げることができる。
本発明における「膨化率」とは、焙煎工程前後の穀物の膨化度合いを表す指標であって、原料穀物と焙煎原料穀物の嵩比を測定することで、高温短時間焙煎によって穀物の体積がどの程度膨張したかを表す指標である。
具体的には下記式1により算出されたものである。膨化率が大きいほど、焙煎前の嵩比に比べ焙煎後の嵩比が大きくなることを示している。
式1:膨化率(%)=焙煎穀物嵩比(ml)/原料穀物嵩比(ml)×100
なお、膨化率は、原料となる穀物の水分量や焙煎工程の焙煎条件によって調整することができ、穀物の水分量が多い場合や、焙煎条件を高温とした場合に膨化率は上昇する傾向にある。
本発明において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
[本焙煎穀物の製造方法]
本発明の実施形態に係る焙煎穀物の製造方法(「本焙煎穀物の製造方法」と称する)は、原料として用いる2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持するように焙煎して2種類以上の焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)とを備えた焙煎穀物の製造方法である。
本焙煎穀物の製造方法は、上記工程(1)及び(2)を備えていれば、その他の工程又は処理を追加することは任意である。
<原料穀物>
本焙煎穀物の製造方法では、下記原料穀物A、B及びCからなる群から選ばれる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に焙煎して2種類以上の焙煎穀物を得、当該2種類以上の焙煎穀物を組み合わせて混合するのが好ましい。
(A)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が1.20以上1.65未満に調整された原料穀物A
(B)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.70以上1.20未満に調整された原料穀物B
(C)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.30以上0.70未満に調整された原料穀物C
本焙煎穀物の製造方法によれば、Ax/タンパク質がそれぞれ所定範囲内にある2種類以上の原料穀物を用いて、2種類以上の原料穀物それぞれを所定のヘビーローストをして2種類以上の焙煎穀物を得、当該2種類以上の焙煎穀物を組み合わせて混合することにより、ヘビーローストする原料穀物を用いつつ、それでいて止渇性飲料の嗜好性を向上させることができる。より具体的には、焦げ臭が際立つことがない「香り」と、甘みが主に寄与する「先味」と、飲用後期の口内に残る「後味」とを感じることができる高嗜好性焙煎穀物飲料を製造することができる焙煎穀物を得ることができる。
また、本焙煎穀物の製造方法によれば、得られる焙煎穀物の抽出効率を向上させることができるから、上記本焙煎穀物の製造方法は焙煎穀物の抽出効率向上方法ということもできる。
<原料穀物A>
原料穀物Aは、タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が1.20以上1.65未満であるのが好ましい。
原料穀物Aにおける(Ax/タンパク質)が1.20以上であれば、所定の高温短時間焙煎によって「先味」が弱くなるのを抑えることができる一方、原料穀物Aにおける(Ax/タンパク質)が1.65未満であれば、高温短時間焙煎を行っても過度の「先味」が生じるのを抑えることができ、更に「香り」が弱くなるのを抑えることができる。
また、原料穀物Aの(Ax/タンパク質)が上記範囲にあれば、所定の高温短時間の焙煎により原料穀物Aが十分に膨化し、さらに後述する高温短時間の抽出によって、より一層嗜好性の高い飲料抽出液を得ることができる。
かかる観点、特に容器詰焙煎穀物飲料の特徴である「先味」を原料穀物Aによって演出するという観点から、原料穀物Aの(Ax/タンパク質)は1.20以上1.65未満であるのが好ましく、中でも1.25以上或いは1.55未満、その中でも1.30以上或いは1.50未満であるのがさらに好ましい。
原料穀物Aは、例えば禾穀類、菽穀類である麦類、米類、豆類等から、(Ax/タンパク質)が上記範囲にあるものを選択して用いることができる。例えば小麦、大麦、ライムギ、エンバク、はと麦、はだか麦、からす麦などのイネ科穀物の中から、(Ax/タンパク質)が上記範囲にあるものを選択して用いるのが好ましい。大麦である場合には、二条麦及び六条麦から選択するのが好ましい。
原料穀物Aとして二条麦を選択する場合、選択する品種としては、例えばハインドマーシュ、メトカルフ、スコープ、コマンダー、ほうしゅん、ミカモゴールデン等の品種を挙げることができる。
他方、原料穀物Aとして六条麦を選択する場合、選択する品種としては、例えばレガシー、シュンライ、ファイバースノウ、カシマムギ等の品種を挙げることができる。
中でも、原料穀物Aは、主に焙煎穀物飲料の飲用前半の甘味からなる味の濃度の強さである「先味」に寄与する観点、また、(Ax/タンパク質)を原料穀物B及びCに比べて高く調整するという観点から、麦類の中でも、特に(Ax/タンパク質)を上記所定範囲に調整した二条麦を使用することが好ましい。
原料穀物Aのアラビノキシラン含有量は8.0〜10.0質量%であることが好ましい。
原料穀物Aのアラビノキシラン含有量がこの範囲であれば、所定の高温短時間焙煎によって、より一層適切な「先味」を得ることができる。
かかる観点から、原料穀物Aにおけるアラビノキシラン含有量は8.0〜10.0質量%であることが好ましく、中でも9.9質量%以下、中でも8.3質量%以上或いは9.5質量%以下、その中でも8.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、同様の観点から、原料穀物Aのタンパク質含有量は6.0〜6.6質量%であるのが好ましく、中でも6.2質量%以上或いは6.5質量%以下、その中でも6.3質量%以下或いは6.4質量%以下であるのがさらに好ましい。
原料穀物Aのβグルカン含有量は2.0〜2.8質量%であることが好ましい。
原料穀物Aのβグルカン含有量がこの範囲であれば、アラビノキシランと相まって焙煎穀物飲料の「先味」を強めることができる。
かかる観点から、原料穀物Aのβグルカン含有量は、2.0〜2.8質量%であることが好ましく、中でも2.1質量%以上或いは2.7質量%以下、その中でも2.2質量%以上或いは2.6質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、βグルカンは当業者に公知の手法で測定することができ、例えば市販のβグルカン定量用キットによって測定することができる。
原料穀物Aにおけるβグルカン含有量に対するアラビノキシラン含有量の比率(Ax/βグルカン)は2.80〜5.00であることが好ましい。
原料穀物Aの(Ax/βグルカン)がこの範囲であれば、焙煎穀物飲料の「先味」をより一層好ましい強さにすることができる。
かかる観点から、原料穀物Aの比率(Ax/βグルカン)は2.80〜5.00であることが好ましく、中でも2.72以上或いは4.95以下、その中でも3.00以上或いは4.00以下であるのがさらに好ましい。
なお、(Ax/βグルカン)はアラビノキシラン含有量をβグルカン含有量で除した値である。
原料穀物Aはさらに、嵩比が100〜200ml/100gであることが好ましい(この嵩比を有する原料穀物Aを「原料穀物D」とも称する)。
原料穀物Aにおける嵩比がこの範囲であれば、高温短時間焙煎により、適度に膨化することで「先味」を演出するのに適した抽出効率の焙煎穀物とすることができる。
かかる観点から、原料穀物Aの嵩比は100〜200ml/100gであることが好ましく、中でも130ml/100g以上或いは180ml/100g以下、その中でも120ml/100g以上或いは170ml/100g以下であることがさらに好ましい。
原料穀物Aの嵩比を調整するには、原料となる穀物の栽培方法や品種を調整すればよく、具体的には単位面積当たりの播種量や畦間隔、栄養源としての窒素量によって調整することが好ましい。例えば、穀物の単位面積当たりの播種量を少なくしたり、畦間隔を広げたりすることで、原料穀物Aの嵩比を大きく調整することができる。また窒素量を肥料等で多く与えることでも嵩比を大きく調整することができる。特に穀物原料Aの嵩比を所定範囲に調整することで、焙煎工程により所定範囲の膨化率に調整され易くなり、抽出工程により容器詰焙煎穀物飲料の「先味」が良好となる観点から、二条麦及び/又は六条麦の嵩比を調整することで所定範囲とすることが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
また、原料穀物A又はDの嵩比は、原料穀物B又はEよりも10ml/100g以上大きく、原料穀物C又はFよりも20ml/100g以上小さいことが好ましい。更に原料穀物B又はEよりも20ml/100g以上大きく、原料穀物C又はFよりも30ml/100g以上小さいことがより好ましい。
原料穀物A又はDの嵩比をこの範囲とすることで、焙煎工程により所定範囲の膨化率に調整され易くなり、抽出工程により容器詰焙煎穀物飲料の「先味」を、「後味」や「香り」とのバランスの点でより一層良好なものとすることができる。
<原料穀物B>
原料穀物Bは、タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.70以上1.20未満であるのが好ましい。
原料穀物Bにおける(Ax/タンパク質)が0.70以上であれば、所定の高温短時間焙煎によって「後味」が弱くなるのを抑えることができ、更に「先味」及び「香り」が弱くなるのを抑えることができ、焙煎穀物飲料としての香味のベースとして好適に用いることができる。他方、原料穀物Bにおける(Ax/タンパク質)が1.20未満であれば、所定の高温短時間焙煎により過度の「後味」が生じるのを抑えることができ、且つ「先味」及び「香り」も過度になるのを抑制することができ、ライトロースト様の焙煎香を確保することができる。
また、原料穀物Bの(Ax/タンパク質)が上記範囲にあれば、所定の高温短時間の焙煎により原料穀物Bが十分に膨化し、さらに後述する高温短時間の抽出によって、より一層嗜好性の高い飲料抽出液を得ることができる。
かかる観点、特に容器詰焙煎穀物飲料の特徴である「後味」を原料穀物Bによって演出するという観点から、原料穀物Bは、前記(Ax/タンパク質)が0.70以上1.20未満であるのが好ましく、中でも0.71以上或いは1.18未満、その中でも0.80以上或いは1.00未満、その中でも0.75以上或いは0.95未満であるのがさらに好ましい。
原料穀物Bは、例えば禾穀類、菽穀類である麦類、米類、豆類等から、(Ax/タンパク質)が上記範囲にあるものを選択して用いることができる。例えば小麦、大麦、ライムギ、エンバク、はと麦、はだか麦、からす麦などのイネ科穀物の中から、(Ax/タンパク質)が上記範囲にあるものを選択して用いるのが好ましい。大麦である場合には、二条麦及び六条麦から選択するのが好ましい。
原料穀物Bとして二条麦を選択する場合、選択する品種としては、例えばハインドマーシュ、メトカルフ、スコープ、コマンダー、ほうしゅん、ミカモゴールデン等の品種を挙げることができる。
他方、原料穀物Bとして六条麦を選択する場合、選択する品種としては、例えばレガシー、シュンライ、ファイバースノウ、カシマムギ等の品種を挙げることができる。
中でも、原料穀物Bは、焙煎穀物飲料の飲用後半の苦味からなる「後味」に寄与する観点、また、原料穀物Aに比べて(Ax/タンパク質)を低く調整し、原料穀物Cに比べて(Ax/タンパク質)を高く調整するという観点から、麦類の中でも、特に(Ax/タンパク質)を上記所定範囲に調整した二条麦及び/又は六条麦を使用することが好ましい。
原料穀物Bにおけるアラビノキシラン含有量は6.5〜7.9質量%であることが好ましい。
原料穀物Bにおけるアラビノキシラン含有量がこの範囲であれば、所定の高温短時間焙煎によって適した「後味」を得ることができる。
かかる観点から、原料穀物Bにおけるアラビノキシラン含有量は6.5〜7.9質量%であることが好ましく、中でも6.7質量%以上或いは7.7質量%以下、その中でも6.9質量%以上或いは7.5質量%以下、その中でも7.0質量%以上或いは7.4質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、同様の観点から、原料穀物Bにおけるタンパク質含有量は6.7〜9.3質量%であるのが好ましく、中でも7.0質量%以上或いは9.0質量%以下、その中でも7.5質量%以上或いは8.5質量%以下であることがさらに好ましい。
原料穀物Bにおけるβグルカン含有量は2.9〜3.8質量%であることが好ましい。
原料穀物Bにおけるβグルカン含有量がこの範囲であれば、βグルカンがアラビノキシランと相まって焙煎穀物飲料の「先味」を維持することができる。
かかる観点から、原料穀物Bにおけるβグルカン含有量は2.9〜3.8質量%であることが好ましく、中でも3.0質量%以上或いは3.6質量%以下、その中でも3.1質量%以上或いは3.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、βグルカンは当業者に公知の手法で測定することができ、例えば市販のβグルカン定量用キットによって測定することができる。
原料穀物Bにおける(Ax/βグルカン)は2.00〜2.75であることが好ましい。
原料穀物Bにおける(Ax/βグルカン)がこの範囲であれば、焙煎穀物飲料の「後味」を好ましい強さにすることができる。
かかる観点から、原料穀物Bにおける(Ax/βグルカン)は2.00〜2.75であることが好ましく、中でも2.17以上或いは2.72以下、その中でも2.20以上或いは2.50以下であるのがさらに好ましい。
なお、(Ax/βグルカン)はアラビノキシラン含有量をβグルカン含有量で除した値である。
原料穀物Bはさらに、嵩比が90〜180ml/100gであることが好ましい(この嵩比を有する原料穀物Bを「原料穀物E」とも称する)。
原料穀物Bにおける嵩比がこの範囲であれば、高温短時間焙煎により、適度に膨化することで「後味」を演出するのに適した抽出効率の焙煎穀物とすることができる。
かかる観点から、原料穀物Bの嵩比は90〜180ml/100gであるのが好ましく、中でも110ml/100g以上或いは170ml/100g以下、その中でも120ml/100g以上或いは160ml/100g以下であることがさらに好ましい。
原料穀物Bの嵩比を調整するには、原料となる穀物の栽培方法や品種を調整すればよく、具体的には単位面積当たりの播種量や畦間隔、栄養源としての窒素量によって調整することが好ましい。例えば、穀物の単位面積当たりの播種量を少なくしたり、畦間隔を広げたりすることで、原料穀物Bの嵩比を大きく調整することができる。また窒素量を肥料等で多く与えることでも嵩比を大きく調整することができる。特に穀物原料Bの嵩比を所定範囲に調整することで、焙煎工程により所定範囲の膨化率に調整され易くなり、抽出工程により容器詰焙煎穀物飲料の「後味」が良好となる観点から、二条麦及び/又は六条麦の嵩比を調整することで所定範囲とすることが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
また、原料穀物B又はEの嵩比は、原料穀物A又はDよりも10ml/100g以上小さく、原料穀物C又はFよりも20ml/100g以上小さいことが好ましい。更に原料穀物A又はDよりも20ml/100g以上小さく、原料穀物C又はFよりも30ml/100g以上小さいことがより好ましい。
原料穀物B又はEの嵩比をこの範囲とすることで、焙煎工程により所定範囲の膨化率に調整され易くなり、抽出工程により容器詰焙煎穀物飲料の「後味」を、「先味」や「香り」とのバランスの点でより一層良好なものとすることができる。
<原料穀物C>
原料穀物Cは、タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.30以上0.70未満であるのが好ましい。
原料穀物Cにおける(Ax/タンパク質)が0.30以上であれば、所定の高温短時間焙煎によって「焙煎香」が過度になることがなく、焦臭が生じるのを抑えることができる一方、原料穀物Cにおける(Ax/タンパク質)が0.70未満であれば、所定の高温短時間焙煎によって焙煎穀物飲料におけるヘビーロースト様の強い「香り」を演出することができる。
また、原料穀物Cの(Ax/タンパク質)が上記範囲にあれば、所定の高温短時間の焙煎により原料穀物Cが十分に膨化し、さらに後述する高温短時間の抽出によって、より一層嗜好性の高い飲料抽出液を得ることができる。
かかる観点、特に容器詰焙煎穀物飲料の特徴である「香り」を原料穀物Cによって演出するという観点から、原料穀物Cの前記(Ax/タンパク質)は0.30以上0.70未満であるのが好ましく、中でも0.32以上或いは0.68未満、その中でも0.35以上或いは0.65未満、その中でも0.40以上或いは0.60未満であるのがさらに好ましい。
原料穀物Cは、例えば禾穀類、菽穀類である麦類、米類、豆類等から、(Ax/タンパク質)が上記範囲にあるものを選択して用いることができる。例えば小麦、大麦、ライムギ、エンバク、はと麦、はだか麦、からす麦などのイネ科穀物の中から、(Ax/タンパク質)が上記範囲にあるものを選択して用いるのが好ましい。大麦である場合には、二条麦及び六条麦から選択するのが好ましい。
原料穀物Cとして二条麦を選択する場合、選択する品種としては、例えばハインドマーシュ、メトカルフ、スコープ、コマンダー、ほうしゅん、ミカモゴールデン等の品種を挙げることができる。
他方、原料穀物Cとして六条麦を選択する場合、選択する品種としては、例えばレガシー、シュンライ、ファイバースノウ、カシマムギ等の品種を挙げることができる。
中でも、原料穀物Cは、焙煎穀物飲料の焙煎香からなる「香り」に寄与する観点、また(Ax/タンパク質)を原料穀物A及びBに比べ低く調整するという観点から、麦類の中でも特に(Ax/タンパク質)を上記所定範囲に調整した六条麦を使用することが好ましい。
原料穀物Cにおけるアラビノキシラン含有量は4.0〜6.4質量%であることが好ましい。
原料穀物Cにおけるアラビノキシラン含有量はこの範囲であれば、所定の高温短時間焙煎によって適した「香り」を得ることができる。
かかる観点から、原料穀物Cにおけるアラビノキシラン含有量は4.0〜6.4質量%であるのが好ましく、中でも4.2質量%以上或いは6.0質量%以下、その中でも4.6質量%以上或いは5.7質量%以下、その中でも5.0質量%以上或いは5.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、同様の観点から、原料穀物Cにおけるタンパク質含有量は9.4〜12.5質量%であるのが好ましく、中でも9.7質量%以上或いは12.0質量%以下、その中でも10.0質量%以上或いは11.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
原料穀物Cにおけるβグルカン含有量は4.5〜5.0質量%であることが好ましい。
原料穀物Cにおけるβグルカン含有量がこの範囲であれば、βグルカンがアラビノキシランと相まって焙煎穀物飲料の「先味」を維持することができる。
かかる観点から、原料穀物Cにおけるβグルカン含有量は4.5〜5.0質量%であることが好ましく、中でも4.6質量%以上或いは4.9質量%以下、その中でも4.7質量%以上或いは4.8質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、βグルカンは当業者に公知の手法で測定することができ、例えば市販のβグルカン定量用キットによって測定することができる。
原料穀物Cにおける(Ax/βグルカン)は0.75〜1.90であることが好ましい。
原料穀物Cにおける(Ax/βグルカン)がこの範囲であれば、焙煎穀物飲料の「先味」を好ましい強さにすることができる。
原料穀物Cにおける(Ax/βグルカン)は0.75〜1.90であることが好ましく、中でも0.80以上或いは1.42以下、その中でも1.00以上或いは1.30以下であるのがさらに好ましい。
なお、(Ax/βグルカン)はアラビノキシラン含有量をβグルカン含有量で除した値である。
原料穀物Cはさらに、嵩比が110〜190ml/100gであることが好ましい(この嵩比を有する原料穀物Cを「原料穀物F」とも称する)。
原料穀物Cにおける嵩比がこの範囲であれば、所定の高温短時間焙煎により、適度に膨化することで「香り」を演出するのに適した抽出効率の焙煎穀物とすることができる。
かかる観点から、原料穀物Cの嵩比は110〜190ml/100gであることが好ましく、中でも120ml/100g以上或いは180ml/100g以下、その中でも170ml/100g以下であることがさらに好ましい。
原料穀物Cの嵩比を調整するには、原料となる穀物の栽培方法や品種を調整すればよく、具体的には単位面積当たりの播種量や畦間隔、栄養源としての窒素量によって調整することが好ましい。例えば、穀物の単位面積当たりの播種量を少なくしたり、畦間隔を広げたりすることで、原料穀物Cの嵩比を大きく調整することができる。また窒素量を肥料等で多く与えることでも嵩比を大きく調整することができる。特に穀物原料Cの嵩比が所定範囲に調整されることで、焙煎工程により所定範囲の膨化率に調整され易くなり、抽出工程により容器詰焙煎穀物飲料の「香り」が良好となる観点から、六条麦の嵩比を調整することで所定範囲とすることが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
また、原料穀物C又はFの嵩比は、原料穀物A又はDよりも10ml/100g以上大きく、原料穀物B又はEよりも20ml/100g以上大きいことが好ましい。更に原料穀物A又はDよりも20ml/100g以上大きく、原料穀物B又はEよりも30ml/100g以上大きいことがより好ましい。
原料穀物C又はFの嵩比をこの範囲とすることで、焙煎工程により所定範囲の膨化率に調整され易くなり、抽出工程により容器詰焙煎穀物飲料の「香り」を、「先味」や「後味」とのバランスの点でより一層良好なものとすることができる。
<焙煎>
上記のようにAx/タンパク質がそれぞれ所定範囲内にある原料穀物A、B及びCの中から2種類以上の原料穀物を得、それぞれの原料穀物をそれぞれ所定の高温短時間焙煎(ヘビーロースト)して2種類以上の焙煎穀物を得、当該2種類以上の焙煎穀物を組み合わせて混合するのが好ましい。
このようにすることにより、ヘビーローストする原料穀物を用いつつ、それでいて止渇性飲料の嗜好性を向上させることができる。より具体的には、焦げ臭が際立つことがない「香り」と、甘みが主に寄与する「先味」と、飲用後期の口内に残る「後味」とを感じることができる高嗜好性焙煎穀物飲料を製造することができる焙煎穀物を得ることができる。
原料穀物A、B及びCの焙煎方法としては、当業者に公知の手法を用いることができ、例えば熱風焙煎、砂炒焙煎を含む媒体焙煎、遠赤外線焙煎、開放釜焙煎、回転ドラム式焙煎などの方法を例示することができる。
中でも、媒体焙煎によって原料穀物A、B及びCを焙煎するのが好ましく、その中でも、高温短時間の焙煎が可能で、所望する香味及び抽出性を得ることができるという観点から、媒体焙煎により高温短時間焙煎、所謂ヘビーローストするのが好ましい。
媒体焙煎を採用することにより、従来の熱風焙煎と比べて、同程度の焙煎温度であっても、L値、膨化度、嵩比、抽出性などを高めることができる。
なお、「媒体焙煎」とは、加熱した砂等の媒体と穀物原料を混合させながら流動させる焙煎であって、穀物原料の焙煎と膨化を同時/又は個別に行うことができるものである。媒体としては珪砂やカルシウム粒、セラミック粒等を挙げることができる。
原料穀物A、B及びCの焙煎条件としては、穀物の品温を260〜400℃で10〜100秒間維持するように焙煎するのが好ましい。
このように高温短時間の焙煎条件とすることで、容器詰焙煎穀物飲料の「先味」、「後味」及び「香り」を、適した香味バランスで溶出可能な焙煎穀物を得ることができる。
なお、本発明の効果が損なわれない限りにおいて、媒体焙煎後に色づけ、香味付けのために再度、焙煎穀物を焙煎してもよく、焙煎方法は熱風焙煎、媒体焙煎等の当業者に公知の方法を挙げることができる。
更に、焙煎前の処理として、原料穀物を水、或は蒸気と接触させ、原料穀物が水分を含有した状態とする膨化処理を行うのが好ましい。このように膨化処理を行えば、水分を含有した原料穀物を高温で焙煎することにより、膨化して割れるようになり、抽出効率をさらに向上させることができる。かかる観点から、膨化処理後の原料穀物の水分量(%)は10〜40%が好ましく、中でも12%以上或いは35%以下、その中でも14以上或いは30%以下であるのがさらに好ましい。
膨化処理の方法としては、上述の通り、原料穀物を水と接触させる方法を挙げることができる。例えば、穀物を水に浸漬したり、直接水を散布したり、蒸気噴霧により水と接触させる方法等を例示することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
なお、焙煎穀物の品質劣化を防ぐ観点から、焙煎した穀物は、焙煎後に冷却することが好ましい。冷却方法は特に限定されるものではない。例えば放冷、送風冷却、水冷却などを例示することができる。
(原料穀物Aの焙煎)
原料穀物A或いは原料穀物Dは、品温を300〜400℃で10〜60秒間維持するように焙煎して焙煎穀物Gを得るのが好ましい。
原料穀物A或いは原料穀物Dをこのような条件で焙煎して焙煎穀物Gを得、この焙煎穀物Gを配合して焙煎穀物飲料を製造すれば、原料穀物Aのアラビノキシラン含有量が多いため、飲料の「先味」を強調することができる一方、原料穀物Aのタンパク質含有量が少ないため、飲料の「香り」、即ち焙煎香を感じ難くすることができる。
より詳しく言うならば、300℃×10秒間以上のカロリーで焙煎することにより、十分に膨化させることができ、抽出効率を上昇させることができ、焙煎穀物飲料の「先味」を十分に得ることができる。また、400℃×60秒間以下のカロリーで焙煎をすることにより、過剰な膨化が抑制することができ、過抽出となって焙煎穀物飲料の「先味」が過剰になるのを防ぐことができ、焦げ臭を抑えることもできる。
かかる観点から、原料穀物A或いは原料穀物Dの焙煎条件は、品温を300〜400℃で10〜96秒間維持するように焙煎するのが好ましく、中でも320〜4000℃で15秒〜50秒間、その中でも330〜390℃で20秒〜40秒間、その中でも340〜380℃で25〜35秒間維持するように焙煎することがさらに好ましい。
また、「先味」「後味」及び「香り」おいて適した香味バランスを得る観点から、原料穀物A或いは原料穀物Dの焙煎温度は、原料穀物B或いは原料穀物Eの焙煎温度と比較すると、品温が5〜100℃高い温度とすることが好ましく、中でも10℃以上或いは60℃以下高い温度、その中でも15℃以上或いは25℃以下高い温度とすることが特に好ましい。
同様の観点から、原料穀物A或いは原料穀物Dの焙煎温度は、原料穀物C或いは原料穀物Fの焙煎温度と比較すると、品温が10〜120℃高い温度とすることが好ましく、中でも15℃以上或いは80℃以下高い、中でも20℃以上或いは40℃以下高い温度とすることが特に好ましい。
原料穀物A或いは原料穀物Dは、これを焙煎して得られる焙煎穀物Gの膨化率(焙煎穀物Gの嵩比/原料穀物A又はDの嵩比×100)が200〜260%となるように焙煎するのが好ましい。
焙煎穀物Gの膨化率が200%以上であれば、抽出工程において抽出効率を上昇させることができ、焙煎穀物飲料の「先味」を高めることができる。一方、当該膨化率が260%以下であれば、過抽出となって焙煎穀物飲料の「先味」が過剰になることを抑えることができ、抽出液に雑味が溶出するのを抑えることができる。
かかる観点から、原料穀物A或いは原料穀物Dは、焙煎穀物Gの膨化率が200〜260%となるように焙煎するのが好ましく、中でも210%以上或いは255%以下、その中でも230%以上或いは250%以下、その中でも235%以上或いは245%以下となるように焙煎するのがさらに好ましい。
また、適した香味バランスを飲料抽出液に溶出させる観点から、焙煎穀物Gの膨張率は、後述する焙煎穀物Hよりも差として5〜50%低いことが好ましく、5〜40%低いことがより好ましく、5〜15%低いことが特に好ましい。
同様の観点から、焙煎穀物Gの膨張率は、後述する焙煎穀物Iよりも差として5〜60%低いことが好ましく、5〜50%低いことがより好ましく、5〜15%低いことが特に好ましい。
焙煎穀物Gの膨張率は、焙煎工程における焙煎条件や膨化処理における原料穀物の水分量によって調整することができ、膨張率を大きくする場合は、焙煎条件をより高温にしたり、原料穀物の水分量を増やしたりすることによって調整することができる。但し、この方法に限定するものではない。焙煎穀物H及びIの膨張率の調整方法も同様である。
焙煎穀物GのL値(明度)は25〜39であるのが好ましい。
焙煎穀物GのL値(明度)が25以上であれば、焙煎穀物飲料において焦げ臭を抑えることができ、当該L値(明度)が39以下であれば、焙煎穀物飲料において「香り」が弱くなるのを抑えることができる。
かかる観点から、焙煎穀物GのL値(明度)は25〜39であるのが好ましく、中でも26以上或いは38以下、その中でも27以上或いは37以下、その中でも28以上或いは35以下であるのがさらに好ましい。
なお、L値は当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば色差計(日本電色SE−2000、日本電色工業社製)による測定方法を挙げることができる。
焙煎穀物IのL値(明度)を調整するには、焙煎工程における焙煎条件を調整すればよく、焙煎温度を上げたり、焙煎時間を延ばしたりすることでL値を下げることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、焙煎穀物の色の調整や香味の微調整のために、再度焙煎工程を行ってもよい。但し、かかる方法に限定するものではない。焙煎穀物H及びIのL値(明度)の調整方法も同様である。
(原料穀物Bの焙煎)
原料穀物B或いは原料穀物Eは、品温を280〜380℃で15〜80秒間維持するように焙煎して焙煎穀物Hを得るのが好ましい。
原料穀物B或いは原料穀物Eをこのような条件で焙煎して焙煎穀物Hを得、この焙煎穀物Gを配合して焙煎穀物飲料を製造すれば、原料穀物Bのアラビノキシラン含有量及びタンパク質含有量が中程度であるため、飲料の「後味」を強調することができ、且つ若干の「先味」と「香り」を飲料に与えることができ、焙煎穀物茶飲料の香味バランスのベースとなる焙煎穀物を得ることができる。
より詳しく言うならば、280℃×15秒間以上のカロリーで焙煎することにより、十分に膨化させることができ、抽出効率を上昇させることができ、焙煎穀物飲料の「後味」を十分に得ることができる。また、380℃×80秒間以下のカロリーで焙煎することにより、過剰な膨化を抑制することができ、過抽出となって焙煎穀物飲料の「後味」が過剰になるのを防ぐことができ、焦げ臭を抑えることもできる。
かかる観点から、原料穀物B或いは原料穀物Eの焙煎条件、品温を280〜380℃で15〜80秒間維持するように焙煎するのが好ましく、中でも300〜380℃を30〜70秒間、中でも310〜360℃を20〜40秒間、その中でも330〜350℃を25〜35秒間維持するように焙煎するのがさらに好ましい。
「先味」、「後味」及び「香り」おいて適した香味バランスを得る観点から、焙煎穀物Hを得る焙煎条件は、後述する焙煎穀物Iを得る焙煎条件よりも品温が5〜100℃高いことが好ましい。
また、同様の観点から、焙煎穀物Hを得る焙煎条件よりも10〜60℃高いことがより好ましく、15〜25℃高いことが特に好ましい。
なお、焙煎穀物Gとの好ましい差は前述の通りである。
原料穀物B或いは原料穀物Eは、これを焙煎して得られる焙煎穀物Hの膨化率(焙煎穀物Hの嵩比/原料穀物B又はEの嵩比×100)が210〜270%となるように焙煎するのが好ましい。
焙煎穀物Hの膨化率が230%以上であれば、抽出工程において抽出効率を上昇させることができ、焙煎穀物飲料の「後味」を高めることができる。一方、焙煎穀物Hの膨化率が270%以下であれば、過抽出となって焙煎穀物飲料の「後味」が過剰になるのを抑えることができ、抽出液に雑味が溶出するのを抑えることができる。
かかる観点から、原料穀物B或いは原料穀物Eは、焙煎穀物Hの膨化率が210〜270%となるように焙煎するのが好ましく、中でも235%以上或いは265%以下、その中でも225%以上或いは262%以下、その中でも230%以上或いは260%以下となるように焙煎するのがさらに好ましい。
また、適した香味バランスを飲料抽出液に溶出させる観点から、焙煎穀物Hの膨張率は後述する焙煎穀物Iよりも差として5〜50%低いことが好ましく、5〜40%低いことがより好ましく、5〜15%低いことが特に好ましい。
同様の観点から、焙煎穀物Gの膨張率は、後述する焙煎穀物Iよりも差として5〜60%低いことが好ましく、5〜50%低いことがより好ましく、5〜15%低いことが特に好ましい。
なお、焙煎穀物Gとの好ましい差は前述の通りである。
焙煎穀物HのL値(明度)は26〜39であることが好ましい。
焙煎穀物HのL値(明度)が26以上であれば、焙煎穀物飲料において焦げ臭を抑えることができる、当該L値(明度)が39以下であれば、焙煎穀物飲料において「香り」が弱くなるのを抑えることができる。
かかる観点から、焙煎穀物HのL値(明度)は26〜39であることが好ましく、中でも27以上或いは38以下、その中でも28以下或いは37以下、その中でも29以上或いは35以下であるのがさらに好ましい。
なお、L値は当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば色差計(日本電色SE−2000、日本電色工業社製)による測定方法を挙げることができる。
(原料穀物Cの焙煎)
原料穀物C或いは原料穀物Fは、品温を260〜360℃で20〜90秒間維持するように焙煎して焙煎穀物Iを得るのが好ましい。
原料穀物C或いは原料穀物Fをこのような条件で焙煎して焙煎穀物Iを得、この焙煎穀物Iを配合して焙煎穀物飲料を製造すれば、原料穀物Cのアラビノキシラン含有量及びタンパク質含有量が低いため、飲料の「香り」を強調させることができる一方、飲料の「先味」を感じ難くすることができる。
より詳しく言うならば、260℃×20秒間以上のカロリーで焙煎することにより、十分に膨化させることができ、抽出効率を上昇させることができ、焙煎穀物飲料の「香り」を十分に得ることができる。また、360℃×90秒間以下のカロリーで焙煎することにより、過剰な膨化を抑制することができ、過抽出となって焙煎穀物飲料の「香り」が過剰になるのを防ぐことができ、強い焦げ臭を抑えることができる。
かかる観点から、原料穀物C或いは原料穀物Fは、品温を260〜360℃で20〜90秒間維持するように焙煎するのが好ましく、中でも280〜340℃で25〜80秒間、その中でも300〜335℃を30〜70秒間、その中でも310〜330℃で35〜65秒間維持するように焙煎するのがさらに好ましい。
原料穀物C或いは原料穀物Fは、これを焙煎して得られる焙煎穀物Iの膨化率(焙煎穀物Iの嵩比/原料穀物C又はFの嵩比×100)が220〜280%となるように焙煎するのが好ましい。
焙煎穀物Iの膨化率が220%以上であれば、抽出工程において抽出効率を上昇させることができ、焙煎穀物飲料の「香り」を高めることができる。その一方、焙煎穀物Iの膨化率が280%以下であれば、過抽出となって焙煎穀物飲料の「香り」が過剰になるのを抑えることができ、苦味を抑制することもできる。
かかる観点から、原料穀物C或いは原料穀物Fは、焙煎穀物Iの膨化率が220〜280%となるように焙煎するのが好ましく、中でも230%以上或いは278%以下、その中でも240%以上或いは275%以下、その中でも245%以上或いは270%以下となるように焙煎するのがさらに好ましい。
なお、焙煎穀物Iと焙煎穀物G又はHとの焙煎温度の差、膨張率の好ましい差は前述した通りである。
焙煎穀物IのL値(明度)は26〜39であるのが好ましい。
焙煎穀物IのL値(明度)は26以上であれば、焙煎穀物飲料において焦げ臭を抑えることができ、当該L値(明度)が39以下であれば、焙煎穀物飲料において「香り」が弱くなるのを抑えることができる。
かかる観点から、焙煎穀物IのL値(明度)は26〜39であるのが好ましく、中でも27以上或いは38以下、その中でも28以上或いは37以下、その中でも29以上或いは35以下であるのがさらに好ましい。
なお、L値は当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば色差計(日本電色SE−2000、日本電色工業社製)による測定方法を挙げることができる。
<焙煎穀物の混合>
上記のようにして得られる焙煎穀物G、H及びIからなる群から選択される2種又は3種の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得るのが好ましい。
この際、当該混合焙煎穀物における(Ax/タンパク質)が0.30〜1.20となるように混合することが好ましい。
混合焙煎穀物における(Ax/タンパク質)が0.30以上であれば本発明の容器詰焙煎穀物飲料において、際立つ「先味」の中にも十分な「香り」を感じることができ、1.20以下であれば際立つ「香り」の中にも十分な「先味」を感じることができるからである。
かかる観点から、混合焙煎穀物における(Ax/タンパク質)が0.30〜1.20となるように焙煎穀物を混合することが好ましく、中でも0.34以上或いは1.14以下、その中でも0.43以上或いは1.04以下となるように混合することがさらに好ましい。
焙煎穀物G及びHを混合して混合焙煎穀物を得る場合は、焙煎穀物Gを20〜80質量%、焙煎穀物Hを20〜80質量%の割合で混合することが好ましく、焙煎穀物Gを20〜50質量%、焙煎穀物Hを50〜80質量%で混合することがより好ましい。
この配合割合で焙煎穀物GとHを混合することで、容器詰焙煎穀物飲料の「先味」、「後味」及び「香り」を有しながらも、やや「先味」を際立たせた焙煎穀物飲料とすることができる。
焙煎穀物G及びIを混合して混合焙煎穀物を得る場合は、焙煎穀物Gを20〜80質量%、焙煎穀物Iを20〜80質量%で混合することが好ましく、焙煎穀物Gを40〜60質量%、焙煎穀物Iを40〜60質量%で混合することがより好ましい。
この配合割合で焙煎穀物GとIを混合することで、容器詰焙煎穀物飲料の「先味」、「後味」及び「香り」を有しながらも、やや「後味」が弱く、すっきりさせた焙煎穀物飲料とすることができる。
焙煎穀物H及びIを混合して混合焙煎穀物を得る場合は、焙煎穀物Hを20〜80質量%、焙煎穀物Iを20〜80質量%で混合することが好ましく、焙煎穀物Hを50〜80質量%質量、焙煎穀物Hを20〜50質量%で混合することがより好ましい。
この配合割合で焙煎穀物HとIを混合することで、容器詰焙煎穀物飲料の「先味」、「後味」及び「香り」を有しながらも、やや「香り」を際立たせた焙煎穀物飲料とすることができる。
また、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iの3種を混合する場合は、焙煎穀物Gを20〜80質量%、焙煎穀物Hを20〜80質量%、焙煎穀物Iを20〜80質量%の割合で混合することが好ましく、中でも焙煎穀物Gを20〜50質量%、焙煎穀物Hを50〜80質量%、焙煎穀物Iを20〜50質量%の割合で混合することがより好ましい。
この配合割合で3種を混合することで、本発明の容器詰焙煎穀物飲料の「先味」、「後味」及び「香り」のバランスとすることができる。
なお、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iの3種を混合する場合、焙煎穀物Gを比較的多く配合することで「先味」がやや強い傾向となり、焙煎穀物Hを比較的多く配合することで「後味」がやや強くなる傾向となり、焙煎穀物Iを比較的多く配合することで「香り」がやや強くなる傾向となる。
中でも、容器詰焙煎穀物飲料の香味バランスを重視して、55℃の加温時にも最適な味わいとする観点からすると、3種の焙煎穀物を混合する場合、焙煎穀物Hを40質量%以上配合することが好ましく、中でも50質量%以上或いは80質量%以下の割案で配合することがより好ましい。
また、容器詰焙煎穀物飲料の香味を有し、且つ焙煎穀物G、焙煎穀物H及び/又は焙煎穀物Iの特徴を保持する観点からすると、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び/又は焙煎穀物Iの合計配合割合が90質量%を超えることが好ましい。更に焙煎穀物G、焙煎穀物H及び/又は焙煎穀物Iのそれぞれ配合割合が11質量%以上であることが好ましく、中でも15質量%以上、その中でも20質量%以上であることがさらに好ましい。
また、抽出効率を向上させつつ、且つ適した香味バランスを飲料抽出液に溶出させる観点からすると、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iから選択された2種以上を混合した混合焙煎穀物における嵩比が300〜400ml/100gであるのが好ましく、中でも320ml/100g以上或いは390ml/100g以下、その中でも325ml/100g以上或いは386ml/100g以下、その中でも330ml/100g以上或いは380ml/100g以下であるのがさらに好ましい。
なお、混合焙煎穀物における嵩比は混合する焙煎穀物の混合割合や焙煎穀物の嵩比によって調整することができる。但し、この方法に限定するものではない。
混合焙煎穀物においては、容器詰焙煎穀物飲料における香味バランスの観点から、焙煎穀物Hを含むことが好ましく、中でも焙煎穀物Hを主原料、すなわち50量%以上配合することがより好ましい。更に当該焙煎穀物Hに加えて、焙煎穀物G/又は焙煎穀物Iのどちらか一方を含む2種の混合焙煎穀物とすることが特に好ましい。これは、焙煎原料穀物Bの「後味」本発明の焙煎穀物飲料の香味バランスのベースとなり、特に加温し、温かい温度で飲用する場合に適しているからである。
また、上記混合焙煎穀物には、容器詰焙煎穀物飲料の香味を実現する観点から、焙煎穀物G、H及びI以外の焙煎穀物は極力含有させないことが好ましい。
但し、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び/又は焙煎穀物Iからなる混合焙煎穀物の香味を保持でき、本発明の効果を損なわない限りにおいて、一部「他の穀物」を混合してもよい。
この際、当該「他の穀物」としては、穀物や焙煎穀物であってもよいし、それ以外、例えば穀物エキス、焙煎穀物エキスなどの抽出物等であってもよい。
また、上記「他の穀物」の混合割合は、原料質量換算で焙煎穀物G、焙煎穀物H及び/又は焙煎穀物Iの各混合割合よりも少なく、且つ、全体の20質量%未満であることが好ましく、中でも15質量%以下、その中でも10質量%以下、その中でも5質量%未満であることがさらに好ましい。
[本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法]
本発明の実施形態に係る容器詰焙煎穀物飲料の製造方法(「本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法」と称する)は、上記で説明した原料穀物A、B及びCからなる群から選ばれる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持するように焙煎して焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)と、得られた混合焙煎穀物を溶媒で抽出して焙煎穀物抽出液を得る工程(「工程(3)」と称する)と、得られた焙煎穀物抽出液を容器に充填して容器詰焙煎穀物飲料(「本容器詰焙煎穀物飲料」と称する)を得る工程(「工程(4)」と称する)と、を備えた容器詰焙煎穀物飲料の製造方法である。
本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法は、上記工程(1)〜(4)を備えていれば、その他の工程又は処理を追加することは任意である。
本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法によれば、タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が互いに異なる2種類以上の原料穀物(A、B及びC)をそれぞれ焙煎して得られる2種類以上の焙煎穀物を混合することにより、ヘビーローストする原料穀物を用いつつ、それでいて止渇性飲料の嗜好性を向上させることができる。より具体的には、焦げ臭が際立つことがない「香り」と、甘みが主に寄与する「先味」と、飲用後期の口内に残る「後味」とを感じることができる高嗜好性焙煎穀物飲料を得ることができる。
また、本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法によれば、得られる焙煎穀物の抽出効率を向上させることができるから、上記本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法は容器詰焙煎穀物飲料の抽出効率向上方法ということもできる。
工程(1)及び工程(2)は、上記本焙煎穀物の製造方法と同様であり、原料穀物及び焙煎穀物についても上記本焙煎穀物の製造方法と同様である。
よって、工程(3)の抽出工程及び工程(4)の充填工程について次に説明する。
<抽出工程>
本発明における焙煎穀物G、焙煎穀物H及び/又は焙煎穀物Iを含有する混合焙煎穀物の抽出方法は、浸漬抽出、ドリップ抽出、シャワーリングによる抽出など、公知の方法を採用すればよい。但し、本容器詰焙煎穀物飲料を得るためには、従来の焙煎穀物飲料に比べて強い「先味」、「後味」及び「香り」を溶出させるのが好ましい。
従来の焙煎穀物飲料は、一般的に中温長時間〜高温長時間の抽出により、口に残らず一度に多量に飲用できる所謂止渇性飲料として最適な香味となるように抽出されている。これに対し、本容器詰焙煎穀物飲料を得るために、強い抽出条件で抽出するのが好ましい。
かかる観点から、本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法においては、高温短時間の抽出条件であるのが好ましく、具体的には75〜120℃で10〜40分間の抽出が好ましく、中でも85〜115℃で15〜35分間、その中でも90〜100℃で20〜30分間の抽出がさらに好ましい。
このような範囲よりも弱い抽出条件では、ヘビーロースト様の焙煎香が十分に抽出液中に溶出されず、このような範囲よりも強い抽出条件では、焙煎穀物由来の香味が過度に溶出され、「先味」、「後味」及び「香り」を過度に感じる焙煎穀物飲料となってしまうからである。
なお、上記抽出温度は抽出溶媒の温度の意味である。
抽出溶媒としては、例えば純水、水道水、蒸留水、脱塩水、アルカリイオン水、海洋深層水、イオン交換水、脱酸素水、天然水、水素水或いは水溶性の有機化合物(例えば、アルコール類)や無機塩類を含む水などを用いることができる。
更に、混合焙煎穀物の抽出において、30分間抽出したときの抽出効率が20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。
また、抽出効率が30%以上となるまでの抽出時間が30分間未満であることが好ましく、抽出効率が40%以上となるまでの抽出時間が40分間未満であることが好ましい。
抽出条件を上記範囲とすることで、本容器詰焙煎穀物飲料における「先味」、「後味」及び「香り」を効率的に溶出させながらも、焦げ臭や雑味の溶出を極力抑えることができる。
また、混合焙煎穀物の抽出において、90℃の水を溶媒として用いて、可溶成分合計量に対する抽出物の割合すなわち抽出効率が20%以上であることが好ましく、中でも50%以下、その中でも21%以上或いは45%以下、その中でも22%以上あるは40%以下であることがさらに好ましい。
中でも、当該抽出効率が20%以上となるまでの抽出時間が30分未満となるように抽出を行うことが好ましい。
なお、抽出効率とは、可溶性固形分(Brix(%))、配合焙煎穀物質量(g)及び抽出液量(g)から下記式2によって算出される。
抽出効率=可溶性固形分(%)× 抽出液量 / 原料使用量(g)・・式2
本容器詰焙煎穀物飲料の製造方法によれば、抽出効率を高めることができ、上記抽出効率を実現することができる。中でも、90℃以上の溶媒を用いて、常圧以上の圧力で抽出することにより抽出効率をさらに高めることができる。
上記のように混合焙煎穀物を溶媒で抽出して得られた穀物抽出液は、ただちに急冷し、その後ろ過するのが好ましい。急冷することにより、濁り原因物質の沈殿乃至懸濁を一層促進させることができ、最終製品としての穀物茶飲料の懸濁及び沈殿の発生をより一層確実に防止できるばかりか、製造時間の短縮を図ることもできる。
急冷方法は、特に限定されない。冷却効率等を鑑みれば、例えばプレート式熱交換機などを用いて約5〜30℃程度に急冷するのがよい。
また、上記ろ過の方法としては、遠心分離ろ過と形状選別ろ過とを組合せて行うのが好ましく、特に形状選別ろ過を行うことが効果的である。
<充填工程>
上記のように抽出して得られた穀物抽出液は、そのまま或いは、必要に応じて希釈し、必要に応じて通常飲料で用いる各種成分を添加し、必要に応じてpHを調整した後、常法によって殺菌乃至容器詰めするのが好ましい。
充填容器としては、金属製の缶、紙製パック、プラスチックボトルなどを挙げることができる。例えばプラスチック容器を用いる場合は、25℃、湿度55%RHにおける容器の酸素透過量(cc/Day/500mLボトル)が、0.01〜0.1であるのが好ましく、中でも0.015以上或いは0.08以下、その中でも0.02以上或いは0.06以下であるのが更に好ましい。これにより、保管中に飲料と酸素が反応し、甘みを引き出すことができる。
殺菌及び充填に関しては、具体的には、例えば缶詰飲料であれば、容器充填後に加熱殺菌例えばレトルト殺菌を行えばよいし、PETボトル詰飲料であればUHT殺菌後に容器充填を行うようにすればよい。
(可溶性固形分(Brix))
本容器詰焙煎穀物飲料のBrixは、飲用濃度換算で0.20〜0.60であることが好ましく、中でも0.30以上或いは0.50以下、その中でも0.32以上或いは0.48以下であることがさらに好ましい。
なお、Brixは、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、市販の光学屈折率計を用いて測定することができる。
(pH)
本容器詰焙煎穀物飲料のpHは5.00〜7.20であることが好ましく、中でも5.20以上或いは7.00以下、その中でも5.50以上或いは6.80以下であることがさらに好ましい。
なお、pHは、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば市販のpHメーターにて測定する方法を挙げることができる。
以下、原料穀物としての原料麦を使用した場合を例として、本発明の実施例を説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
<試験1>
以下の原料穀物としての原料麦から焙煎穀物としての焙煎麦及び容器詰焙煎穀物飲料を作製し、以下に示す成分分析を行った。
(原料穀物の選択)
原料穀物(原料麦)として、タンパク質に対するアラビノキシランの比率(Ax/タンパク質)及び嵩比を、栽培方法によって調整した大麦(レガシー、シュンライ、ファイバースノウ、カシマムギ、ハインドマーシュ、メトカルフ、スコープ、ほうしゅん)から、(Ax/タンパク質)及び嵩比が夫々下記表1となるように原料穀物1〜11を選択した。
なお、原料穀物Aにおいては、(アラビノキシラン/タンパク質)を高く調整する必要があるため、栽培時期を遅めに調整し、水量も多く調整した。各原料穀物における成分値を測定した結果を合わせて表1に示す。
原料穀物Bにおいては、(Ax/タンパク質)を中程度に調整する必要があるため、栽培時期を中旬に調整し、水量も中程度に調整した。各原料穀物における成分値を測定した結果を合わせて表1に示す。
原料穀物Cにおいては、(Ax/タンパク質)を高く調整する必要があるため、栽培時期を遅めに調整し、水量も多く調整した。各原料穀物における成分値を測定した結果を合わせて表1に示す。
(焙煎穀物の調製)
上記、原料穀物1〜8を、各1kgずつ蒸気噴霧処理を施して含有水分量が約25重量%になるように調整し、媒体としてカルシウム粒を用いた回転ドラム式媒体焙煎釜に投入し、次の条件で焙煎を行った。焙煎条件の変更によって、上記原料麦1乃至8から焙煎穀物1乃至44を得た。
焙煎穀物の焙煎条件は夫々以下の通りである。
1. 焙煎穀物1:原料穀物1の品温を200℃で1500秒間維持した。
2. 焙煎穀物2:原料穀物1の品温を280℃で30秒間維持した。
3. 焙煎穀物3:原料穀物1の品温を300℃で35秒間維持した。
4. 焙煎穀物4:原料穀物1の品温を320℃で40秒間維持した。
5. 焙煎穀物5:原料穀物2の品温を200℃で1500秒間維持した。
6. 焙煎穀物6:原料穀物2の品温を360℃で10秒間維持した。
7. 焙煎穀物7:原料穀物2の品温を380℃で15秒間維持した。
8. 焙煎穀物8:原料穀物2の品温を400℃で20秒間維持した。
9. 焙煎穀物9:原料穀物3の品温を200℃で1500秒間維持した。
10. 焙煎穀物10:原料穀物3の品温を320℃で20秒間維持した。
11. 焙煎穀物11:原料穀物3の品温を340℃で25秒間維持した。
12. 焙煎穀物12:原料穀物3の品温を360℃で30秒間維持した。
13. 焙煎穀物13:原料穀物4の品温を200℃で1500秒間維持した。
14. 焙煎穀物14:原料穀物4の品温を280℃で30秒間維持した。
15. 焙煎穀物15:原料穀物4の品温を300℃で35秒間維持した。
16. 焙煎穀物16:原料穀物4の品温を320℃で40秒間維持した。
17. 焙煎穀物17:原料穀物5の品温を200℃で1500秒間維持した。
18. 焙煎穀物18:原料穀物5の品温を340℃で20秒間維持した。
19. 焙煎穀物19:原料穀物5の品温を360℃で25秒間維持した。
20. 焙煎穀物20:原料穀物5の品温を380℃で30秒間維持した。
21. 焙煎穀物21:原料穀物6の品温を200℃で1500秒間維持した。
22. 焙煎穀物22:原料穀物6の品温を300℃で30秒間維持した。
23. 焙煎穀物23:原料穀物6の品温を320℃で35秒間維持した。
24. 焙煎穀物24:原料穀物6の品温を340℃で40秒間維持した。
25. 焙煎穀物25:原料穀物7の品温を200℃で1500秒間維持した。
26. 焙煎穀物26:原料穀物7の品温を260℃で40秒間維持した。
27. 焙煎穀物27:原料穀物7の品温を280℃で45秒間維持した。
28. 焙煎穀物28:原料穀物7の品温を300℃で50秒間維持した。
29. 焙煎穀物29:原料穀物8の品温を200℃で1500秒間維持した。
30. 焙煎穀物30:原料穀物8の品温を320℃で30秒間維持した。
31. 焙煎穀物31:原料穀物8の品温を340℃で35秒間維持した。
32. 焙煎穀物32:原料穀物8の品温を360℃で40秒間維持した。
33. 焙煎穀物33:原料穀物9の品温を200℃で1500秒間維持した。
34. 焙煎穀物34:原料穀物9の品温を280℃で40秒間維持した。
36. 焙煎穀物36:原料穀物9の品温を320℃で50秒間維持した。
37. 焙煎穀物37:原料穀物10の品温を200℃で1500秒間維持した。
38. 焙煎穀物38:原料穀物10の品温を240℃で50秒間維持した。
39. 焙煎穀物39:原料穀物10の品温を260℃で55秒間維持した。
40. 焙煎穀物40:原料穀物10の品温を280℃で60秒間維持した。
41. 焙煎穀物41:原料穀物11の品温を200℃で1500秒間維持した。
42. 焙煎穀物42:原料穀物11の品温を240℃で50秒間維持した。
43. 焙煎穀物43:原料穀物11の品温を260℃で55秒間維持した。
44. 焙煎穀物44:原料穀物11の品温を280℃で60秒間維持した。
上述の条件で焙煎した後、上記焙煎穀物1〜44を冷却装置のコンベアに移し、焙煎穀物の品温80〜140℃の温度域に50秒間滞留するように冷却ファン及びコンベアの速度を調整して緩慢冷却をすることで、原料穀物1〜11に対応する焙煎穀物1〜44を得た。
得られた各焙煎穀物1〜44における成分値及び物性値の測定結果を表1に示す。
(抽出工程)
上記の焙煎穀物1〜44をそれぞれ200gずつ測りとり、ステンレス製ドリップ抽出容器(内径150mm×高さ150mm、容積約3120cm3)に高さが均一になるように投入した。なお、該抽出容器には、内容液を排出可能なコックと、内容液を濾過する80メッシュの金網が備えられている。この容器内に、95℃の熱水2Lを注ぎ、20分間保持後、コックを開き、内容液を排出した。この内容液を、25℃に冷却し、ステンレスメッシュ(235メッシュ)で濾過し、更にネルで濾過した。この濾液にイオン交換水を加えて4Lに定容し、焙煎穀物1〜44のそれぞれの飲料濃度の抽出液を得た。
(原料穀物及び焙煎穀物の成分分析)
上記の原料穀物1〜11及び焙煎穀物1〜44について、以下の方法で分析・測定し、各成分値及び各物性値を算出した。その結果を合わせて下記表1に示す。
(アラビノキシラン)
アラビノキシラン含有量は、穀物粉の直接酸加水分解法にて算出した。
先ず10mgの穀物粉試料を2mLスクリューキャップ管に正確に秤量し、1M HCl 1mLを各管に添加した。加水分解は、チューブを加熱ブロック(90℃)で60分間インキュベートすることにより行った。加水分解の後、サンプルにNaOHを添加することによって中和し、放出されたアラビノースおよびキシロースの量をHPAECによって決定し、アラビノースとキシロースの和としてアラビノキシラン量を算出した。
なお、加水分解における水の取り込みを補正するために0.88を掛けた値とした。
(タンパク質)
タンパク質含有量は、ケルダール法により全窒素を定量し、タンパク質係数を乗じることでタンパク質を定量した。
なお、タンパク質係数は消食表代139号栄養成分等の分析法に従った。各焙煎穀物をそれぞれ分解フラスコに0.5g入れた後、分解促進剤(ケルテック用試薬、フォス・ジャパン社製)を1粒加えた。次いで濃硫酸(関東化学社製)8mlを加え振り混ぜた後、過酸化水素(和光純薬工業社製)3mlを加え振り混ぜ、分解用加熱装置(フォス・ジャパン Digestor2020)で加熱した。
分解フラスコの内溶液が透明になってから、更に1時間加熱を続け、分解を完了させた後、冷却した。冷却後に純水を10ml加え、内溶液を均一化した。その後、自動滴定装置(フォス・ジャパン Kjeltec2400)を用いて全窒素量を求めた。求めた全窒素量にタンパク質係数を乗じてタンパク質含有量を測定した。なお、滴定用にはブロモクレゾールグリーン−メチルレッド・エタノール溶液を使用した。
(βグルカン)
βグルカン含有量は、βグルカン定量用キット(Megazyme社製、βグルカン測定キット)を用いた。
先ず、サンプル、実施例及び比較例をそれぞれ0.1gに50%エタノール(和光純薬工業社製)5mlを加え、沸騰水浴中で5分間加熱した後、50%エタノールを5ml加え、振盪した。更に遠心分離(8000rpm、10分、20℃)を行った後、上澄み液を取り除き、得られた沈殿物に50%エタノールを10ml加え振盪し、再び遠心分離(8000rpm、10分、20℃)を行い、上澄み液を取り除いた。遠心分離とエタノールによる洗浄を3回繰り返し行い、低糖分子を完全に除去した。
次いで、20mMリン酸緩衝液(pH6.5)4.8mlを加え、沸騰水浴中で5分間静置し、放冷後、リケナーゼ0.2mlを加え50℃水浴中で1時間静置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分、20℃)を行い、上澄み液を15mlのチューブに0.1mlずつ回収し、2本にβ−グルコシダーゼ0.1mlを入れ試料用サンプルとし、残り1本に50mM酢酸緩衝液を0.1ml加えブランクとし、50℃水浴中で10分間静置した。
これにグルコース定量用試薬(GOPOD Reagent)をそれぞれ3mlずつ加え50℃水浴中で20分間静置した後、510nmで吸光度を測定し、次式3により吸光度差ΔAを求めた。
ΔA=A(検体用サンプル)−A(ブランク)・・式3
更に吸光度差ΔAより、次式4により試料溶液に含まれるβグルカン量を算出した。
βグルカン量(g/100g)=ΔA×F×0.9×5ml/初期サンプル量(g)・・式4
但し、F=100/A(グルコース標準液)
ここで、グルコース標準液は、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(0.1mL)、1.0mg/mLグルコース水溶液(0.1mL)、グルコース定量用試薬GOPOD(3.0mL)を混合することにより得た。なお、サンプル2本の測定結果の平均値を以てβグルカン含有量とした。
(L値)
L値は色差計(日本電色SE−2000、日本電色工業社製)にて、各焙煎穀物の表面色を測定した値を採用した。
(嵩比)
各穀物又は各焙煎穀物を電子天秤にて100g測りとり、1000mlのメスシリンダー(東京硝子器機社製)を用いて各原料穀物又は各焙煎穀物の全体積を測定した。
(膨化率)
膨化率は上述の式1と同様、下記式で算出した。
膨化率(%)=焙煎穀物嵩比(ml)/原料穀物嵩比(ml)×100・・式
(抽出効率)
抽出効率は下記式5より、算出した。
抽出効率=可溶性固形分(%)× 抽出液量 / 原料使用量(g)・・式5
なお、可溶性固形分(Brix、(%))は、示差濃度計「DD−7」(アタゴ社製)で測定した。
Figure 0006898142
<考察>
上記、表1に記載の成分値及び物性値の測定結果から、(Ax/タンパク質)を0.30〜1.65に調整した原料穀物を、品温280〜400℃で20〜60秒間という高温短時間のヘビーローストで焙煎することにより、膨化率が200%以上となることが確認された(焙煎穀物8、12、16、20、24、28、32、36及び40)。
<試験2>
試験1で得られた結果に基づいて、容器詰焙煎穀物飲料における焙煎強度の膨化率の影響を検証するため試験2を実施した。
上記試験1で確認された傾向に基づいて、試験1で製造した焙煎穀物1〜44から下記表2に記載の焙煎穀物を選択・混合、抽出し、実施例1〜3及び比較例1〜17の容器詰焙煎穀物飲料を製造し、成分分析及び官能評価試験を行った。
飲料への加工方法に関しては、試験1と同様に各抽出液を得た後、各抽出液にアスコルビン酸を300ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、調合液とした。この調合液を135℃、30秒のUHT殺菌の後、25℃に冷却し、ペットボトルに無菌環境で充填し、プラスチックキャップにて巻き締め、密封を行い、実施例1〜3及び比較例1〜25の容器詰焙煎穀物飲料を得た。
<官能評価試験>
上記のとおり製造した実施例1〜3及び比較例1〜25の容器詰焙煎穀物飲料について、以下のとおり5℃及び55℃の飲用温度にて官能評価を行った。
なお、参考例として、止渇性焙煎穀物飲料に代表される市販品容器詰穀物茶飲料(コールド製品及びホット製品共に伊藤園社製)を用いて、本官能評価項目について評価し、結果を合わせて表2に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜25の容器詰焙煎穀物飲料について、7人のパネラーが食後30分以内に以下の評価方法に基づいて実施し、合議の結果、最も多かった評価を採用することとし、総合評価についても合議による結果を採用した。
この際、「香り」については、焙煎穀物の焙煎香の強さを評価し、「先味」については、飲用前半の甘味からなる味の濃度の強さを評価し、「後味」については、飲用後半に口中に残る苦味の強さを評価した。
なお、それぞれの官能評価における評価項目は以下の通りである。
<評価基準>
高嗜好性焙煎穀物飲料としての香りの強さ(焙煎穀物の焙煎香):
5:香りが強く、焦げ臭を感じてしまう
4:香りがやや強く、わずかに焦げ臭を感じる
3:止渇性焙煎穀物飲料よりも強く、焦げ臭も感じず良好である
2:止渇性焙煎穀物飲料よりもやや強く感じるが、まだ不十分である
1:止渇性焙煎穀物飲料と同程度であり、弱く感じる
高嗜好性焙煎穀物飲料としての先味の強さ(飲用前半の甘味の濃度):
5:甘味が強く、過度な厚みを感じる
4:甘味がやや強く、わずかに厚みを感じる
3:止渇性焙煎穀物飲料よりも強く、過度な厚みも感じず良好である
2:止渇性焙煎穀物飲料よりもやや強く感じるが、まだ不十分である
1:止渇性焙煎穀物飲料と同程度であり、弱く感じる
高嗜好性焙煎穀物飲料としての後味の強さ(飲用後半の苦味):
5:苦味が強く、舌に残る
4:苦味がやや強く、わずかに舌に残る
3:止渇性焙煎穀物飲料よりも強く、苦味も感じず良好である
2:止渇性焙煎穀物飲料よりもやや強く感じるが、まだ不十分である
1:止渇性焙煎穀物飲料と同程度であり、弱く感じる
総合評価:下記表に記載のとおり判断した
◎:上記3項目のうち2つ以上が3の評価であり、且つ1及び/又は5の評価がない。
○:上記3項目のうち1つが3の評価であり、且つ1及び/又は5の評価がない。
△:上記3項目において、1及び/又は5の評価がないが、3の評価もない。
×:1及び/又は5の評価が1つ以上ある。
(分析測定)
試験2についても、抽出液について試験1と同様の成分値及び物性値の測定を行った。その結果を下記表2に示す。
Figure 0006898142
<考察>
上記、試験2の官能評価、成分値及び物性値の測定結果から、(Ax/タンパク質)を1.20以上1.65未満に調整した原料穀物と、(Ax/タンパク質)を0.70以上1.20未満に調整した原料穀物と、(Ax/タンパク質)を0.30以上0.70未満に調整した原料穀物を高温短時間のヘビーローストに供した焙煎原料穀物A、B及びCから2種を選択、混合し、高温短時間の抽出工程によって得られた容器詰焙煎穀物飲料は、冷やした状態でも温めた状態でも良好な「香り」、「先味」及び「後味」を感じるものであった。
よって、本実施形態によって得られる容器詰焙煎穀物飲料は、従来の生活性飲料とは異なる容器詰焙煎穀物飲料であることが示された。
また、参考例として官能評価を行った、従来の止渇性焙煎穀物飲料は、嗜好性飲料として十分な香味を有していなかった。
また、焙煎穀物G、焙煎穀物H又は焙煎穀物Iを単独で抽出し、容器詰焙煎穀物飲料とした場合には、高嗜好性焙煎穀物飲料の香味として不十分であり、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iから2種を選択、混合し、高温短時間の抽出工程を行うことが、本発明の容器詰焙煎穀物飲料の香味を実現するためには好ましいことが示された。
<試験3>
試験2で得られた焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iから2種を選択した混合焙煎穀物における抽出条件を検証するため試験3を実施した。
上記試験1及び2で確認された傾向に基づいて、試験1で製造した焙煎穀物9、18及び27を下記表3に記載の配合割合で混合し、下記表3に記載した抽出条件にて容器詰焙煎穀物飲料とし、実施例4〜9及び比較例26〜31の容器詰焙煎穀物飲料を製造した。また120℃の抽出条件においては密封容器内で加圧(2.0気圧)して抽出した。
なお、試験2と同様に官能評価試験、成分値及び物性値の測定を行った。成分毎の測定条件等は、<試験1>と同様であり、官能評価試験の項目は<試験2>と同様である。分析結果についても合わせて表3に示した。
Figure 0006898142
<考察>
上記試験3の官能評価、成分値及び物性値の測定結果から、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iをそれぞれ高温短時間のヘビーローストした焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iから選択される2種を混合した混合焙煎穀物は、80〜120℃で15〜30分間の高温短時間抽出を行うことで、容器詰焙煎穀物飲料としての最適な香味を得られることが示された。
一方で、原料穀物A、原料穀物B及び原料穀物Cをそれぞれ高温短時間のヘビーローストした焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iから選択される2種を混合した混合焙煎穀物であっても、低温長時間抽出では十分な「香り」、「先味」及び「後味」を得られず、また高温長時間の抽出条件では、過抽出により過度な「香り」、「先味」及び「後味」が感じられた。
焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物ICから選択される2種を混合した場合には、高温短時間の抽出条件によって抽出することが、本発明の容器詰焙煎穀物飲料を得るために好ましいことが示された。
<試験4>
上記、試験1〜3の結果に基づいて、焙煎穀物1〜44を下記表4〜表6に記載の配合割合で混合、抽出し、実施例10〜72の容器詰焙煎穀物飲料を製造し、試験2及び3と同様に官能評価試験、成分値及び物性値の測定を行った。
なお、成分毎の測定条件等は、<試験1>と同様であり、官能評価試験の項目は<試験2>及び<試験3>と同様である。分析結果についても合わせて表4〜表6に示した。
Figure 0006898142
Figure 0006898142
Figure 0006898142
<考察>
上記試験4の官能評価、成分値及び物性値の測定結果から、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iから選択される2種以上を混合した混合焙煎穀物は、高温短時間の抽出条件によって、良好な「香り」、「先味」及び「後味」を感じることができる容器詰焙煎穀物飲料であった。特に焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iから選択される2種以上をそれぞれ20:80〜80:20の割合で混合した混合焙煎穀物は、高温短時間の抽出条件によって、冷やした状態でも温めた状態でも良好な「香り」、「先味」及び「後味」を感じることができる容器詰焙煎穀物飲料であることが示された。
特に原料穀物Bを高温短時間焙煎した焙煎穀物Hが配合された容器詰焙煎穀物飲料は高嗜好性焙煎穀物飲料としての香味がより良好な結果であった。
<試験5>
上記試験1で製造した焙煎穀物1〜33を下記表7に記載の配合割合で混合、抽出し、実施例73〜84の容器詰焙煎穀物飲料を製造し、試験1〜4と同様に官能評価試験、成分値及び物性値の測定を行った。
なお、成分毎の測定条件等は、<試験1>と同様であり、官能評価試験の項目は<試験2>〜<試験4>と同様である。
分析結果についても合わせて表5に示した。
Figure 0006898142
<考察>
上記試験5の官能評価、成分値及び物性値の測定結果から、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iの3種を混合した混合焙煎穀物は、高温短時間の抽出条件によって、冷やした状態でも温めた状態でも良好な「香り」、「先味」及び「後味」を感じることができる高嗜好性焙煎穀物飲料であることが示された。
特に原料穀物Bを高温短時間焙煎した焙煎穀物Hが配合され焙煎穀物飲料は高嗜好性焙煎穀物飲料としての香味がより良好な結果であった。
また、焙煎穀物G、焙煎穀物H及び焙煎穀物Iの3種のうちいずれかの配合割合を90%未満とすることで、高嗜好性焙煎穀物飲料の香味をより好ましいものとすることができることが分かった。

Claims (7)

  1. 下記原料穀物A、B及びCからなる3種の中から異なる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持し、L値が25〜39となるように焙煎して、原料穀物Aを焙煎して得られる、膨化率が200〜260%である焙煎穀物Gと、原料穀物Bを焙煎して得られる、膨化率が210〜270%である焙煎穀物Hと、原料穀物Cを焙煎して得られる、膨化率が220〜280%である焙煎穀物Iとからなる3種の中から異なる2種以上の焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)と、得られた混合焙煎穀物を溶媒で、75〜120℃で10〜40分間の抽出して焙煎穀物抽出液を得る工程(「工程(3)」と称する)と、得られた焙煎穀物抽出液を容器に充填する工程(「工程(4)」と称する)と、を備えた容器詰焙煎穀物飲料の製造方法。
    (A)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が1.20以上1.65未満である原料穀物A
    (B)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.70以上1.20未満である原料穀物B
    (C)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.30以上0.70未満である原料穀物C
  2. 前記原料穀物として、下記原料穀物D、E及びFからなる3種の中から異なる2種以上の穀物を得ることを特徴とする請求項1に記載の容器詰焙煎穀物飲料の製造方法。
    (D)前記(A)を満たし、且つ嵩比が100〜200ml/100gである原料穀物D
    (E)前記(B)を満たし、且つ嵩比が90〜180ml/100gである原料穀物E
    (F)前記(C)を満たし、且つ嵩比が110〜190ml/100gである原料穀物F
  3. 工程(2)で得られる混合焙煎穀物の嵩比が300〜400ml/100gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰焙煎穀物飲料の製造方法。
  4. 工程(3)における抽出は、90℃の水を溶媒として用いて、可溶成分合計量に対する抽出物の割合すなわち抽出効率が20%以上となるまでの抽出時間が30分未満となるように行うことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の容器詰穀物茶飲料の製造方法。
  5. 下記原料穀物A、B及びCからなる3種の中から異なる2種以上の原料穀物を得、得られた2種類以上の原料穀物をそれぞれ別々に、品温260〜400℃を10〜100秒間維持し、L値が25〜39となるように焙煎して、原料穀物Aを焙煎して得られる、膨化率が200〜260%である焙煎穀物Gと、原料穀物Bを焙煎して得られる、膨化率が210〜270%である焙煎穀物Hと、原料穀物Cを焙煎して得られる、膨化率が220〜280%である焙煎穀物Iとからなる3種の中から異なる2種以上の焙煎穀物を得る工程(「工程(1)」と称する)と、得られた2種類以上の焙煎穀物を混合して混合焙煎穀物を得る工程(「工程(2)」と称する)と、を備えた混合焙煎穀物の製造方法。
    (A)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が1.20以上1.65未満である原料穀物A
    (B)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.70以上1.20未満である原料穀物B
    (C)タンパク質の含有質量に対するアラビノキシランの含有質量の比率(Ax/タンパク質)が0.30以上0.70未満である原料穀物C
  6. 前記原料穀物として、下記原料穀物D、E及びFからなる3種の中から異なる2種以上の穀物を得ることを特徴とする請求項に記載の混合焙煎穀物の製造方法。
    (D)前記(A)を満たし、且つ嵩比が100〜200ml/100gである原料穀物D
    (E)前記(B)を満たし、且つ嵩比が90〜180ml/100gである原料穀物E
    (F)前記(C)を満たし、且つ嵩比が110〜190ml/100gである原料穀物F
  7. 工程(2)で得られる混合焙煎穀物の嵩比が300〜400ml/100gであることを特徴とする請求項5又は6に記載の混合焙煎穀物の製造方法。
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