JP6895902B2 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、それらの硬化物およびこれを有するプリント配線板に関し、詳しくは、伸び率に優れた硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、それらの硬化物およびこれを有するプリント配線板に関する。
半導体部品の急速な進歩により、電子機器は小型軽量化、高性能化、多機能化される傾向にある。この傾向に追従して、プリント配線板においても、高密度化、部品の表面実装化が進みつつある。高密度プリント配線板の製造においては一般にフォトソルダーレジスト組成物が採用されており、ドライフィルム型フォトソルダーレジスト組成物や液状フォトソルダーレジスト組成物が開発されている。これらの中でも、環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物が主流になっており、従来、幾つかの組成系が提案されている(例えば特許文献1)。
近年、プリント配線板の高性能化に伴い、ソルダーレジストに高い伸び率を付与することが求められている。例えば、電子機器の長期信頼性評価の一つである熱衝撃試験において、硬化塗膜の低伸び率が、クラック発生の一因として挙げられる(例えば特許文献2)。また、可撓性が要求されるフレキシブルプリント配線板用のソルダーレジストにも、高い伸び率が要求される。
特開昭61−243869号(特許請求の範囲等) 特開2002−293882号(段落[0006]等)
そこで本発明は、伸び率に優れた硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、それらの硬化物およびこれを有するプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するカルボキシル基含有樹脂と、ブロック共重合体と、熱硬化性樹脂と、フィラーとを組み合わせることによって、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂、(B)ブロック共重合体、(C)熱硬化性樹脂、および(D)フィラーを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記(B)ブロック共重合体が、下記式(I)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X−Y−X (I)
(式(I)中、Xは、ガラス転移点Tgが0℃以上のポリマー単位であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Yは、ガラス転移点Tgが0℃未満のポリマー単位である。)
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂が、イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記(C)熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに(E)光重合開始剤を含むことが好ましい。
本発明のドライフィルムは、前記硬化性樹脂組成物を、フィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物、または前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とするものである。
本発明のプリント配線板は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、伸び率に優れた硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、それらの硬化物およびこれを有するプリント配線板を提供することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂、(B)ブロック共重合体、(C)熱硬化性樹脂、および、(D)フィラーを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物である。本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂と(C)熱硬化性樹脂とを加熱によって付加反応させることによって硬化物を得ることが可能となる樹脂組成物である。
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、上記のとおり、伸び率に優れた硬化物を得ることができる。従来、硬化物の伸び率の改善方法として、硬化性樹脂組成物にバインダーポリマーを配合することが知られているが、その場合、硬化物のTg(ガラス転移温度)が低下し、高温でのB−HAST耐性が低下してしまうという問題があった。しかしながら、本発明の硬化性樹脂組成物においては、(B)ブロック共重合体を配合することによって、伸び率を改善しつつも、硬化物のTgの低下が起こらない、または、少ないという予想だにし得ない効果もあることがわかった。
上記のような効果が得られる理由は、硬化物中で(A)カルボキシル基含有樹脂と(B)ブロック共重合体とが互いに連結した共連続構造を形成しているためではないかと考えられる。実際、(A)カルボキシル基含有樹脂と(B)ブロック共重合体との組合せを含まない硬化性樹脂組成物においては、硬化物中で共連続構造とならず、海島構造を形成し、伸び率が小さくなったり、Tgの低下が起こってしまう。
[(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂]
(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂としては、(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂と、(A2)イミド構造を有しアミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂と、(A3)アミド構造を有しイミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂とが挙げられる。本発明では、(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂が、(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂であることが好ましい。また、(A)カルボキシル基含有樹脂が脂肪族構造、すなわち、脂肪鎖構造および脂環構造のうちのいずれか一方を含むことが好ましい。(A)カルボキシル基含有樹脂が脂肪族構造を含むことにより、弱アルカリ水溶液による現像性、深部解像性および屈曲性を有するものとすることができる。
((A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂)
(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂は、ポリアミドイミド樹脂であることが好ましく、エーテル結合を有するジアミンおよびカルボキシル基含有ジアミンを含むジアミンと、少なくとも3個のカルボキシル基を有しそれらのうち2個が無水化している酸無水物を含む酸無水物(a1)とを反応させてイミド化物を得た後、得られたイミド化物とジイソシアネート化合物とを含む反応原料を反応させて得ることができる。上記反応原料には、後述するように、上記イミド化物およびジイソシアネート化合物に加えてさらに、少なくとも3個のカルボキシル基を有し、それらのうち2個が無水化している酸無水物(a2)を、含有させることが好ましい。
(ジアミン)
エーテル結合を有するジアミンとしては、ポリオキシエチレンジアミンや、ポリオキシプロピレンジアミン、その他、炭素鎖数の異なるオキシアルキレン基を含むポリオキシアルキレンジアミンなどが挙げられる。
エーテル結合を有するジアミンの分子量は、200〜3,000であることが好ましく、400〜2,000であることがより好ましい。
ポリオキシアルキレンジアミン類としては、米ハンツマン社製のジェファーミンED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、HK−511などのポリオキシエチレンジアミンや、ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000などのポリオキシプロピレンジアミンや、ジェファーミンXTJ−542、XTJ533、XTJ536などのポリテトラメチレンエチレン基を有するものなどが挙げられる。また、エーテル結合を有するジアミンとして、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを使用してもよい。
カルボキシル基含有ジアミンとしては、例えば、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸類、3,5−ビス(3−アミノフェノキシ)安息香酸、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸等のアミノフェノキシ安息香酸類、3,3’−メチレンビス(6−アミノ安息香酸)、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル化合物等を挙げることができ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて使用することができる。
本発明においては、ジアミンとして、エーテル結合を有するジアミンおよびカルボキシル基含有ジアミンを用いることが好ましいが、それ以外のジアミンを併用してもよい。併用可能な他のジアミンとしては、汎用の脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどを、単独でまたは適宜組み合わせて使用することができる。具体的には、他のジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミン、ベンゼン核1つのジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどの芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。
また、アミノ変性シリコーンとして、東レ・ダウコーニング社製のBY16−205、FZ−3760、BY16−871、BY16−853Uなどが挙げられる。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性と、得られる硬化物の機械特性等とのバランスを良好にする観点から、ポリオキシアルキレンジアミンのアミン当量は、100〜1,500g/eqであることが好ましく、200〜1,000g/eqであることがより好ましい。
(酸無水物(a1)および酸無水物(a2))
酸無水物(a1)および酸無水物(a2)は夫々、少なくとも3個のカルボキシル基を有し、それらのうち2個が無水化している酸無水物を含む。かかる酸無水物としては、芳香族環および脂肪族環のうちの少なくともいずか一方を有するものが挙げられ、芳香族環を有するものとして無水トリメリット酸(トリメリット酸無水物)(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸1,2−無水物,TMA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物等、脂肪族環を有するものとして水素添加トリメリット酸無水物(シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物,H−TMA)等を好適に挙げることができる。これらの酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、上記酸無水物を用いることが好ましいが、カルボン酸二無水物を併用してもよい。カルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの、テトラカルボン酸無水物等が挙げられる。また、両末端型カルボン酸無水物変性シリコーンなどが挙げられる。
(ジイソシアネート化合物)
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネートおよびその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類およびその異性体などのジイソシアネートや、その他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらのジイソシアネート化合物は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートおよびその異性体、多量体、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの脂肪族ジイソシアネート類、あるいは、上記芳香族ジイソシアネートを水添した脂環式ジイソシアネート類および異性体、もしくはその他汎用のジイソシアネート類が挙げられる。
上述したように、ポリアミドイミド樹脂を得るための反応原料には、上記イミド化物およびジイソシアネート化合物に加えて、イミド化物を得る際に用いたのと同様の酸無水物(a2)を、さらに含有させてもよい。この場合の反応原料中の酸無水物(a2)の含有量については、特に限定されない。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性と、得られる硬化物の機械特性等とのバランスを良好にする観点からは、反応原料中のイミド化物を得るために使用したジアミンの量に対する、反応原料中の酸無水物(a2)の量のモル比率は、0.25〜4であることが好ましく、0.5〜2であることがより好ましく、0.6〜1.5であることが特に好ましい。
反応原料中のジイソシアネート化合物の含有量についても、特に限定されない。ポリアミドイミド樹脂のアルカリ溶解性と、得られる硬化物の機械特性等とのバランスを良好にする観点からは、反応原料中のジイソシアネート化合物の量は、反応原料中のイミド化物を得るために使用したジアミンの量と必要に応じ反応原料に含有させる酸無水物(a2)の量の総和に対するモル比率として、0.3〜1.0とすることが好ましく、0.4〜0.95とすることがより好ましく、0.50〜0.90とすることが特に好ましい。
本発明においては、特に、エーテル結合を有するジアミンと、脂環構造を有するトリカルボン酸、例えば脂環式のトリメリット酸であるH−TMAとを用いることで、得られるポリアミドイミド樹脂において、アルカリ溶解性が高まり、現像性が向上するものとなるため、好ましい。また、同じ理由から、2段階目の反応において脂肪族のジイソシアネート化合物を用いることも好ましい。ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂はイミド環と芳香環とが規則的に配列し平面構造をとるため耐熱性や機械特性に優れる一方で、溶剤やアルカリ水溶液への溶解性が低い特徴があるが、本発明のように脂肪鎖や脂環構造を有効に構造内に取り込むことで、特性を大きく低下させることなくアルカリ溶解性を高めることが可能になった。
本発明において、上記(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂は、脂肪族構造およびエーテル結合を有することが好ましい。この場合の脂肪族構造としては、直鎖状のヘキサンまたは環状のシクロヘキサンが挙げられる。また、上記エーテル結合は、分子量が200以上であるポリエーテル構造であることが好ましい。イミド系樹脂の多くは強アルカリ/溶剤現像性を有するが、脂肪族構造やエーテル結合、特にはポリエーテル構造を導入することで、上記(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂が、弱アルカリ水溶液による現像性、深部解像性および屈曲性を有するものとすることができる。上記脂肪族構造は、例えば、脂肪族環を有する酸無水物を用いるか、脂肪族構造を有するイソシアネートを用いることで導入することができ、上記エーテル結合は、例えば、エーテル結合を有するジアミンを用いることで、導入することができる。
また、上記(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂のアミド結合は、イソシアネートとカルボン酸とを反応させて得られるものであってもよく、それ以外の反応によるものであってもよい。上記(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂は、さらにその他の付加および縮合からなる結合を有していてもよい。
本発明において、上記(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂を得る際の各成分の配合比としては、上記ジアミン1モルに対して、上記酸無水物が、好適には2.0〜2.4モル、より好適には2.0〜2.2モルである。ジアミンと酸無水物とを反応させ、脱水閉環によりイミド化する際の反応温度については特に限定されないが、140〜200℃の範囲内であることが好ましい。上記ジアミンと上記酸無水物とを反応させて得られるイミド化物とジイソシアネート化合物との反応温度は特に限定されないが、130〜200℃の範囲内であることが好ましい。
上記(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂は、アルカリ現像工程に対応するために、その酸価が50mgKOH/g以上であることが好ましく、50〜200mgKOH/gであることがより好ましく、70〜130mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が50mgKOH/g以上であると、アルカリに対する溶解性が増大し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。一方、酸価が200mgKOH/g以下であると、正確なパターンの描画が容易となる。
また、(A1)イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量Mwが10,000以下であることが好ましく、1,000〜8,000がより好ましく、2,000〜6,000がさらに好ましい。分子量が10,000以下であると、未露光部のアルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。一方、分子量が1,000以上であると、露光部において、十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。
((A2)イミド構造を有しアミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂)
本発明において、(A2)イミド構造を有しアミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基と、イミド環とを有する樹脂であれば特に限定されない。(A2)イミド構造を有しアミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂の合成には、カルボキシル基含有樹脂にイミド環の導入する公知慣用の手法を用いることができる。例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分および/またはイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。イミド化は熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して製造することができる。
ここで、カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミン、カルボン酸を有するジアミン、フェノール性水酸基を有するジアミンなどを用いることができるが、これらのアミンに限定されるものではない。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネートおよびその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類およびその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
(A2)イミド構造を有しアミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂は、フォトリソグラフィー工程に対応するために、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には60〜150mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が20mgKOH/g以上の場合、アルカリに対する溶解性が増加し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価が200mgKOH/g以下の場合には、特に、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
また、(A2)イミド構造を有しアミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、さらに2,000〜50,000がより好ましい。この分子量が1,000以上の場合、露光・PEB後に十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。また、分子量が100,000以下の場合、アルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。
((A3)アミド構造を有しイミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂)
本発明において(A3)アミド構造を有しイミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基と、アミド結合とを有する樹脂であれば特に限定されない。
なお、(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂は、さらフェノール性水酸基を有していてもよい。
[(B)ブロック共重合体]
ブロック共重合体とは、一般的に性質の異なる二種類以上のポリマー単位が、共有結合で繋がり長い連鎖になった分子構造の共重合体を意味する。
本発明において用いられるブロック共重合体は、X−Y型またはX−Y−X型ブロック共重合体が好ましく、X−Y−X型ブロック共重合体がより好ましい。X−Y−X型ブロック共重合体におけるXは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、X−Y型またはX−Y−X型ブロック共重合体のうち、Xがガラス転移点Tgが0℃以上のポリマー単位であることが好ましい。より好ましくはガラス転移点Tgが50℃以上のポリマー単位である。また、Yはガラス転移点Tgが0℃未満のポリマー単位であることが好ましい。より好ましくはガラス転移点Tgが−20℃以下のポリマー単位である。ガラス転移点Tgは示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
ブロック共重合体は、更に20〜30℃で固体であることが好ましい(この範囲内において固体であればよく、この範囲外の温度においても固体であってもよい)。上記温度範囲において固体であることによって、ドライフィルム化したときや基板に塗布し仮乾燥したときのタック性に優れる。
また、X−Y−X型ブロック共重合体のうち、Xが(C)熱硬化性樹脂との相溶性が高いものが好ましく、Yが(C)熱硬化性樹脂との相溶性が低いものが好ましい。このように、両端のブロックがマトリックスに相溶であり、中央のブロックがマトリックスに不相溶であるブロック共重合体とすることで、マトリックス中において特異的な構造を示しやすくなると考えられる。
ポリマー単位Xとしてはポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)などが好ましく、ポリマー単位Yとしてはポリn−ブチル(メタ)アクリレート(PBA)、ポリブタジエン(PB)などが好ましい。また、ポリマー単位Xの一部にスチレンユニット、水酸基含有ユニット、カルボキシル基含有ユニット、エポキシ含有ユニット、N置換アクリルアミドユニット等に代表される前述に記載した(A)カルボキシル基含有樹脂と相溶性に優れた親水性ユニットを導入すると、更に相溶性を向上させることが可能となる。ポリマー単位Xの一部にエポキシ含有ユニットを導入することが特に好ましい。上記の中でもポリマー単位Xはポリスチレン、ポリグリシジルメタアクリレート、もしくはN置換ポリアクリルアミド、ポリメチル(メタ)アクリレートまたはそのカルボン酸変性物もしくは親水基変性物であることが好ましい。また、Yはポリn−ブチル(メタ)アクリレートまたはポリブタジエンなどであることが好ましい。XおよびYは、それぞれ1種類のポリマー単位から構成されていてもよく、2種以上の成分によるポリマー単位から構成されていてもよい。
ブロック共重合体の製造方法としては、例えば、特願2005−515281号、特願2007−516326号に記載の方法が挙げられる。
X−Y−X型ブロック共重合体の市販品としては、アルケマ社製のリビング重合を用いて製造されるアクリル系トリブロックコポリマーが挙げられる。具体例としては、ポリメチルメタアクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタアクリレートに代表されるMAMタイプ(例えば、M51、M52、M53、M22等)、カルボン酸変性されたMAM Aタイプ(例えばSM4032XM10等)や、親水基変性処理されたMAM Nタイプ(例えば52N、22N、M65N等)やクラレ社製のKURARITY LA2140e、LA2330、LA2250、LA4285などが挙げられる。
また、ブロック共重合体の質量平均分子量(Mw)が20,000〜400,000であり、30,000〜300,000の範囲にあるものが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が3以下であることが好ましい。
質量平均分子量が20,000以上であると、強靭性、柔軟性の効果が良好となり、タック性も良好となる。一方、質量平均分子量が400,000以下であると、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、印刷性、現像性が低下しにくい。
ブロック共重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ブロック共重合体の配合量は、好ましくは(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部、特に好ましくは3〜15質量部である。1質量部以上であると、塗膜の伸び率及び強度が向上する。30質量部以下であると、現像性が向上する。
[(C)熱硬化性樹脂]
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。本発明の樹脂組成物を熱硬化することにより、硬化物の耐熱性、絶縁信頼性等の特性を向上させることができる。
熱硬化性樹脂としては、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、特にエポキシ樹脂が好ましく用いられる。エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する公知慣用の多官能エポキシ樹脂が使用できる。エポキシ樹脂は、液状であってもよく、固形または半固形であってもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、三菱化学社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、NC−3000、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299、新日鐵化学社製のYDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5、YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704、YDCN−704A、DIC社製のエピクロンN−680、N−690、N−695(いずれも商品名)等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製jER807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER604、東都化成社製のエポトートYH−434、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL−931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日油社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日油社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して好ましくは10〜50質量部、より好ましくは10〜45質量部、特に好ましくは10〜40質量部である。10〜50質量部であると、塗膜の強度が向上する。50質量部以下であると、現像性が良好となる。
[(D)フィラー]
本発明の硬化性樹脂組成物は、密着性、硬度、耐熱性等の特性を上げる目的で、無機フィラーおよび有機フィラーよりなる群から選ばれた少なくとも1種のフィラーを含有する。無機フィラーとしては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、ハイドロタルサイト、ノイブルグ珪土粒子、雲母粉等が挙げられ、有機フィラーとしては、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等が挙げられる。さらに、白色の外観や難燃性を得るために酸化チタンや金属酸化物、水酸化アルミなどの金属水酸化物を体質顔料フィラーとしても使用することができる。上記フィラーの中でも、低吸湿性、低体積膨張性に特に優れるのは、シリカである。シリカは溶融、結晶性を問わず、これらの混合物であってもかまわないが、特にカップリング剤等で表面処理したシリカの場合、電気絶縁性を向上させることができるので好ましい。そのほか、上記フィラーとしては、有機ベントナイト、モンモリロナイト、ガラス繊維、炭素繊維、窒化ホウ素繊維等の繊維強化材等が挙げられる。
フィラーの平均粒径(D50)は、好ましくは25μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは3μm以下であることが望ましい。ここで、D50とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる体積累積50%における粒径のことである。より具体的には、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、微粒子の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、微粒子を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製LA−500等を使用することができる。
フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フィラーの配合量は、前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部当たり、300質量部以下が適当であり、好ましくは5〜150質量部の割合である。フィラーの配合量が300質量部以下であると、硬化皮膜の耐折性が低下しにくい。
[(E)光重合開始剤]
光重合開始剤としては、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を好適に使用することができる。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
Figure 0006895902
(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、結合か、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルで表し、nは0か1の整数である。)
特に、前記一般式中、X、Yが、それぞれメチル基又はエチル基であり、Zはメチル基又はフェニル基であり、nは0であり、Arは、結合か、フェニレン、ナフチレン、チオフェン又はチエニレンであることが好ましい。
このようなオキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上であると、銅上での光硬化性が良好となり、塗膜が剥離しにくく、耐薬品性などの塗膜特性が向上する。一方、5質量部以下であると、塗膜表面での光吸収が抑えられ、深部硬化性が向上する傾向がある。より好ましくは、0.5〜3質量部である。
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のルシリンTPO、イルガキュアー819などが挙げられる。
これらα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましい。0.01質量部以上であると、銅上での光硬化性が良好となり、塗膜が剥離しにくく、耐薬品性などの塗膜特性が向上する。一方、15質量部以下であると、アウトガスの低減効果が得られ、さらに塗膜表面での光吸収が抑えられ、深部硬化性が向上する傾向がある。より好ましくは0.5〜10質量部である。
ここで、用いる光重合開始剤としては上記オキシムエステル系開始剤が添加量も少なく、アウトガスが抑えられるため、PCT耐性やクラック耐性に効果があり好ましい。また、オキシムエステル系開始剤に加えてアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を併用すると、解像性の良好な形状が得られるため特に好ましい。
これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、前記イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有する(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部以下であると、これらの光吸収が抑えられ、深部硬化性が向上する傾向にある。
本発明の硬化性樹脂組成物に好適に用いることができる光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤としては、他にベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、及び3級アミン化合物等を挙げることができる。
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等である。
アントラキノン化合物としては、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
ケタール化合物としては、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
3級アミン化合物としては、エタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)等のジアルキルアミノベンゾフェノン;7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物;4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアー(登録商標)EPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol507)等のジアルキルアミノ安息香酸エステルが挙げられる。特に、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物が好ましい。ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な硬化性樹脂組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色硬化膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
このような化合物の中でも、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。本発明の組成物には、チオキサントン化合物が含まれることが深部硬化性の面から好ましく、中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物が好ましい。
チオキサントン化合物の配合量としては、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量部以下であると、厚膜硬化性が良好となり、製品のコストアップが抑えられる。より好ましくは10質量部以下である。
3級アミン化合物の配合量としては、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.1質量部以上であると、十分な増感効果が得られる傾向にある。一方、20質量部以下であると、3級アミン化合物による乾燥塗膜の表面での光吸収が抑えられ、深部硬化性が向上する傾向がある。より好ましくは0.1〜10質量部である。これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部以下であると、これらの光吸収が抑えられ、深部硬化性が向上する傾向にある。
(E)光重合開始剤は、光照射により塩基を発生する光塩基発生剤であってもよい。光塩基発生剤は、紫外線や可視光線の光照射により分子構造が変化するか、または分子が開裂することにより、(A)カルボキシル基含有樹脂と(C)熱硬化性樹脂との反応触媒として機能しうる1種類以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質としては、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
(E)光重合開始剤が光照射により塩基を発生する場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、下記光重合性モノマーを含む必要がなく、引っ張り伸び率の高い硬化物を得ることができる。
光照射により塩基を発生する光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系光重合開始剤やα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤などが挙げられる。光照射により塩基を発生する光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光照射により塩基を発生する光重合開始剤の配合量は、好ましくは熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜50質量部である。
(他のカルボキシル基含有樹脂)
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂以外の樹脂、すなわち公知慣用のイミド構造およびアミド構造のいずれも有さないカルボキシル基含有樹脂を含んでもよい。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面からより好ましい。そして、その不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸又はそれらの誘導体由来のものが好ましい。尚、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。
イミド構造およびアミド構造のいずれも有さないカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)を好適に使用できる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(4)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(5)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(6)2官能又はそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで前記エポキシ樹脂は、固形であることが好ましい。
(7)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで前記エポキシ樹脂は、固形であることが好ましい。
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上記(1)〜(10)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
前記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、前記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であるとアルカリ現像が容易となり、一方、200mgKOH/g以下であると現像液による露光部の溶解が進みにくく、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまうことを抑制し、良好にレジストパターンを描画できる。
また、前記カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000以上であると、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時に膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、重量平均分子量が150,000以下であると、現像性が良好であり、貯蔵安定性に優れる。
このようなカルボキシル基含有樹脂の配合量は、全組成物中に、20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%の範囲が適当である。カルボキシル基含有樹脂の配合量が20質量%以上の場合、皮膜強度が良好となる。一方、60質量%以下の場合、組成物の粘性が高くなりすぎず、塗布性等が良好となる。
これらカルボキシル基含有樹脂は、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類でも複数種混合しても使用することができる。特に前記カルボキシル基含有樹脂の中で芳香環を有している樹脂が屈折率が高く、解像性に優れるので好ましく、さらにノボラック構造を有しているものが解像性だけでなく、PCTやクラック耐性に優れているので好ましい。
(光重合性モノマー)
本発明の硬化性樹脂組成物は、公知慣用の光重合性モノマーを含んでもよい。光重合性モノマーは、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。エチレン性不飽和基は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸またはそれらの誘導体由来のものが好ましい。光重合性モノマーは、活性エネルギー線照射により、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂の光硬化を助けるものである。
前記光重合性モノマーとして用いられる化合物としては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか一種などが挙げられる。
中でも芳香環を有する光重合性モノマーを用いることにより、反りの低下の面から好ましい。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを光反応性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
光重合性モノマーの配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、例えば5〜100質量部、好ましくは、5〜70質量部の割合である。5質量部以上の場合、光硬化性が向上し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が容易となる。一方、100質量部以下の場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が良好となり、塗膜強度が向上する。
(着色剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。
着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
着色剤の配合割合に特に制限はないが、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の割合で使用される。着色剤が白色の場合、白色着色剤の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、300質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは、250質量部以下である。
(バインダーポリマー)
本発明の樹脂組成物には、得られる硬化物の可撓性および指触乾燥性の向上を目的として、慣用公知のバインダーポリマーを使用することができる。
バインダーポリマーとしては、セルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマーが好ましく用いられる。
セルロース系ポリマーとしては、イーストマン社製セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)シリーズが、ポリエステル系ポリマーとしては東洋紡社製バイロンシリーズが、フェノキシ樹脂系ポリマーとしてはビスフェノールA、ビスフェノールFおよびそれらの水添化合物のフェノキシ樹脂が好ましい。
バインダーポリマーの配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは、5〜30質量部である。バインダーポリマーの配合量が、50質量部以下の場合、硬化性樹脂組成物のアルカリ現像性が良好となり、現像可能な可使時間が短くなりすぎないので好ましくない。
(エラストマー)
本発明の硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物に対する柔軟性の付与、硬化物の脆さの改善などを目的にエラストマーを配合することができる。
エラストマーとしては、例えばポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマーが挙げられる。
この他、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部または全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴムで変性した樹脂なども使用できる。
更にはエポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有イソプレン系エラストマー等も使用することができる。
エラストマーは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上の混合物として使用してもよい。
(熱硬化触媒)
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化触媒を含むことが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩の商品名)等が挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、イミダゾール又はイミダゾール誘導体とメラミンとを組み合わせることにより、引っ張り強度が向上する。一方、リン化合物とメラミンとを組み合わせることにより、引っ張り伸び率が向上する。
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えば(C)熱硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
(密着促進剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には層間の密着性、または感光性樹脂層と基材との密着性を向上させるために密着促進剤を用いることができる。
密着促進剤としては、例えば、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアゾール−2−チオン、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などを挙げることができる。
(酸化防止剤)
高分子材料の多くは、一度酸化が始まると、次々と連鎖的に酸化劣化が起き、高分子素材の機能低下をもたらすことになる。本発明の硬化性樹脂組成物には、(1)発生したラジカルを無効化するようなラジカル補足剤および(2)発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤などの酸化防止剤の少なくとも何れか1種を添加することができる。
ラジカル補足剤の具体例としては、ヒドロキノン、4−tert−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジーt−ブチルーp−クレゾール、2,2−メチレンービスー(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等のフェノール系、メタキノン、ベンゾキノン等のキノン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、フェノチアジン等のアミン系化合物等などが挙げられる。
ラジカル補足剤は市販のものであってもよく、例えば、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−330、アデカスタブAO−20、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−87(以上、ADEKA社製、商品名)、IRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、TINUVIN 111FDL、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100(以上、BASFジャパン社製、商品名)などが挙げられる。
過酸化物分解剤として働く酸化防止剤としては、具体的な化合物としてトリフェニルフォスファイト等のリン系化合物、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系化合物などが挙げられる。
過酸化物分解剤は市販のものであってもよく、例えば、アデカスタブTPP(ADEKA社製、商品名)、マークAO−412S(ADEKA社製、商品名)、スミライザーTPS(住友化学社製、商品名)などが挙げられる。
酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(紫外線吸収剤)
高分子材料は光を吸収し、それにより分解・劣化を起こすことから、本発明の硬化性樹脂組成物は紫外線に対する安定化対策を行うために、酸化防止剤の他に、紫外線吸収剤を使用することができる。
紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シンナメート誘導体、アントラニレート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体などが挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンおよび2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾエート誘導体の具体例としては、2−エチルヘキシルサリチレート、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートおよびヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール誘導体の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)エンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
トリアジン誘導体の具体例としては、ヒドロキシフェニルトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては市販のものであってもよく、例えば、TINUVIN PS、TINUVIN 99−2、TINUVIN 109、TINUVIN 384−2、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 1130、TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 479(以上、BASFジャパン社製、商品名)などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤と併用することで本発明の硬化性樹脂組成物より得られる成形物の安定化が図れる。
(その他の添加剤)
本発明の硬化性樹脂組成物において、さらに必要に応じて、熱重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤等の添加剤を用いることができる。
増粘剤としては、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどが挙げられる。
消泡剤およびレベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系、高分子系などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系などが挙げられる。
熱重合禁止剤は、樹脂組成物の不本意な熱的な重合または経時的な重合を防止するために用いることができる。
熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキルまたはアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、およびフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレートなどが挙げられる。
(有機溶剤)
更に、本発明においては、有機溶剤を使用することができる。有機溶媒は、(A)カルボキシル基含有樹脂の合成、成分(A)〜(C)、場合により成分(D)および他の添加剤の混合、および得られた硬化性樹脂組成物を基板やキャリアフィルムに塗布する際の、粘度調整のために使用される。
有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。
より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などを挙げることができる。
このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、キャリアフィルム(支持体)と、該キャリアフィルム上に形成された硬化性樹脂組成物からなる樹脂層とを備えたドライフィルムの形態とすることもできる。
ドライフィルム化に際しては、本発明の硬化性樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、5〜150μm、好ましくは10〜60μmの範囲で適宜選択される。
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることが好ましい。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を使用して樹脂層を形成した後、さらに、樹脂層の表面への塵の付着防止等の目的で、樹脂層の表面に剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。
剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムの剥離を考慮して、膜とキャリアフィルムとの接着力よりも、膜とカバーフィルムとの接着力が小さくなるようにする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布し、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの乾燥塗膜を形成できる。また、硬化性樹脂組成物をキャリアフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に張り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成できる。
基材としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR−4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
本発明では、硬化性樹脂組成物が(D)光重合開始剤を含む場合、上記乾燥塗膜または樹脂層に対し、光照射を行う。ここで、(D)光重合開始剤が塩基を発生する場合、光照射部から塩基が発生する。その発生した塩基により、(A)カルボキシル基含有樹脂と(C)熱硬化性樹脂とが反応し、必要に応じて低温加熱することにより硬化する。
光照射方法としては、例えば、乾燥後の硬化性樹脂組成物またはドライフィルムに対し、パターンを形成したフォトマスクを通して、接触式または非接触方式により活性エネルギー線による露光を行うことができる。このほか、硬化性樹脂組成物またはドライフィルムに対して、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光することにより、露光部分を光硬化させることができる。
上記いずれの方法においても、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像して、硬化物パターンを形成することができる。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよい。
さらに、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のレーザー光源としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーどちらでもよい。
画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20〜800mJ/cm、好ましくは20〜600mJ/cmの範囲内とすることができる。
現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
更に、硬化物パターンに例えば500〜2000mJ/cmで活性エネルギー線を照射し、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(C)熱硬化性樹脂がさらに反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化物パターンを形成することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物が光重合性モノマーおよび光重合開始剤を含まない熱硬化性樹脂組成物の場合も、上記のようにして基材上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布および乾燥し乾燥塗膜を得る。または、基材上に本発明のドライフィルムの樹脂層をラミネートする。
その後、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、硬化物を得る。そして、硬化物にCOレーザーやUV−YAGレーザー等の半導体レーザーを照射して開口部を形成することで硬化物パターンを得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、(A)カルボキシル基含有樹脂と(B)ブロック共重合体とが互いに連結した共連続構造を有するので、伸び率に優れ、Tgを比較的高く維持することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、プリント配線板用として好適であり、特に永久被膜として好適であり、中でもソルダーレジスト、カバーレイ、層間絶縁材料として好適である。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、ソルダーダムとして使用することもできる。
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。実施例において、各成分の配合量の「部」および「%」は、特に別段の記載がない限り、質量基準によるものとする。
(イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂の合成)
(合成例1:イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂(A−1))
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.8g、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを6.98g、ジェファーミンXTJ−542(ハンツマン社製、分子量1025.64)を8.21g、γ−ブチロラクトンを86.49g、室温で仕込み、溶解した。
次いで、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物17.84gおよびトリメリット酸無水物2.88gを仕込み、室温で30分間保持した。次いで、トルエンを30g加え、160℃まで昇温して、トルエンおよび水を留去しながら3時間撹拌した後、室温まで冷却し、イミド化物溶液を得た。
得られたイミド化物溶液に、トリメリット酸無水物9.61gおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート17.45gを仕込み、温度160℃で32時間撹拌した。こうしてカルボキシル基を有するポリアミドイミド樹脂溶液(A−1)を得た。得られた樹脂溶液(A−1)の固形分は40.1質量%、固形分の酸価は88.1mgKOHであった。
(合成例2:イミド構造を有しアミド構造を有さないカルボキシル基含有樹脂(A−2))
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン22.4g、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’−オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いでトルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエンおよび水を留去しながら4時間撹拌してイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂溶液(A−2)を得た。
得られた樹脂溶液(A−2)の固形分は35.7質量%、固形分酸価は18mgKOH、Mwは10,000、水酸基当量は390であった。
(ブロック共重合体の調製)
(調製例1)
親水性処理されたX−Y−X型ブロック共重合体(アルケマ社製Nanostrength M52N)50gにカルビトールアセテート50gを加え、攪拌し、85℃にて加熱することにより溶解させた。これをワニスB−1とする。Xは、ポリメチルメタアクリレート構造を含み、Yは、ポリブチルアクリレート構造を含む。
(調製例2)
親水性処理されたX−Y−X型ブロック共重合体(アルケマ社製Nanostrength M65N)50gにカルビトールアセテート50gを加え、攪拌し、85℃にて加熱することにより溶解させた。これをワニスB−2とする。Xは、ポリメチルメタアクリレート構造を含み、Yは、ポリブチルアクリレート構造を含む。
(調製例3)
X−Y−X型ブロック共重合体(クラレ社製KURARITY 2250)50gにカルビトールアセテート50gを加え、攪拌し、85℃にて加熱することにより溶解させた。これをワニスB−3とする。Xは、ポリメチルメタアクリレート構造を含み、Yは、ポリブチルアクリレート構造を含む。
(バインダーポリマーワニスの調整例)
(比較調整例)
ポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製ダイヤナールBR−83)50gにカルビトールアセテート50gを加え、攪拌し、85℃にて加熱することにより溶解させた。これをPMMAワニスとする。
(イミド構造およびアミド構造のいずれも有さないカルボキシル基含有樹脂(R−1)の調整)
(合成例)
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置及び撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショーノールCRG951」、昭和高分子(株)製、OH当量:119.4)119.4部、水酸化カリウム1.19部及びトルエン119.4部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cmで16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部及びトルエン252.9部を、撹拌機、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部及びトリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、不揮発分65%、固形物の酸価87.7mgKOH/gのカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液(以下、R−1と略称する)を得た。
(実施例1〜14、参考例15〜18、比較例1〜4)
下記表1に記載した組成にて、各成分をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合し、次いで3本ロールミルにて混錬し、硬化性樹脂組成物を調製した。
Figure 0006895902
Figure 0006895902
*1:PMMA(ポリメチルメタアクリレート)ワニス
*2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製jER828)
*3:球状シリカ(アドマテックス社製SO−E2)
*4:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−1−(O−アセチルオキシム) (BASFジャパン社製イルガキュアーOXE02)
*5:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
*6:C.I.Pigment Blue 15:3
*7:C.I.Pigment Yellow 147
*8:メラミン(日産化学工業社製)
*9:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製)
*10:イミダゾール(四国化成社製2E4MZ)
性能評価:
<クラック耐性>
(実施例1〜10及び比較例1〜4)
銅厚15μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してから、前記実施例および比較例の硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。乾燥後、乾燥塗膜に対し高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて後述する方法で測定した最適露光量で露光した。その後30℃の1wt%NaCO水溶液をスプレー圧2kg/cmの条件で120秒間現像を行い、硬化物パターンを得た。この硬化物パターンに対し、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、160℃で60分加熱して硬化した。硬化性樹脂組成物の硬化物パターンは、プリント配線板の回路を形成する銅上に、80μmの開口を有する形態で形成した。次に得られたプリント配線板を−65℃で30分間、150℃で30分間を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、光学顕微鏡観察によって硬化物パターンにおけるクラック発生の有無を確認し、下記基準に従って評価した。
(実施例11〜14)
銅厚15μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してから、前記実施例11〜14の硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。乾燥後、乾燥塗膜に対し高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて後述する方法で測定した最適露光量で露光した。その後90℃の乾燥炉にて30分間加熱し、その後30℃の1wt%NaCO水溶液をスプレー圧2kg/cmの条件で120秒間現像を行い、硬化物パターンを得た。この硬化物パターンに対し、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、160℃で60分加熱して硬化した。硬化性樹脂組成物の硬化物パターンは、プリント配線板の回路を形成する銅上に、80μmの開口を有する形態で形成した。次に得られたプリント配線板を−65℃で30分間、150℃で30分間を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、光学顕微鏡観察によって硬化物パターンにおけるクラック発生の有無を確認し、下記基準に従って評価した。
参考例15〜18)
銅厚15μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してから、前記参考例15〜18の硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。その後、160℃で60分加熱して硬化した。硬化性樹脂組成物の硬化物パターンは、プリント配線板の回路を形成する銅上に、80μmの開口を有する形態になる様日立ビアメカニクス社製のCOレーザーで形成した後、デスミア処理を行った。次に得られたプリント配線板を−65℃で30分間、150℃で30分間を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、光学顕微鏡観察によって硬化物パターンにおけるクラック発生の有無を確認し、下記基準に従って評価した。
◎:クラック発生率20%未満
○:クラック発生率20%以上30%未満
△:クラック発生率30%以上50%未満
×:クラック発生率50%以上
(最適露光量)
銅貼り積層基板をバフロール研磨後、水洗、乾燥した後、実施例1〜14および比較例1〜4の硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分乾燥させた。乾燥後、フォトマスク(イーストマン・コダック社製、ステップタブレットNo.2)を介して、高圧水銀灯露光装置を用いて露光した。照射したものをテストピースとし、スプレー圧2kg/cmの現像液(30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液)にて60秒間の現像を行った後、残存塗膜の段数を目視判定した。残存塗膜の段数が10段になる露光量を最適露光量とした。
<ガラス転移温度>
前記実施例、参考例および比較例の硬化性樹脂組成物を用い、前記クラック耐性試験での硬化処理と同様の処理をして5mm×10mmのサイズの硬化塗膜を得た。この硬化塗膜に対し、EXTER6000(セイコーインスツル社製)にて一定の昇温速度で−50℃〜260℃の温度範囲で動的粘弾性測定を行い、ガラス転移温度を測定した。
<引っ張り試験>
前記実施例、参考例および比較例の硬化性樹脂組成物を用い、前記クラック耐性試験での硬化処理と同様の処理をして10mm×40mmのサイズの硬化塗膜を得た。この硬化塗膜に対し、引っ張り強度試験機(島津製作所社製Autograph AG−X)にて引っ張り強度及び引っ張り伸び率を測定した。
<B−HAST耐性>
ライン/スペース=15/15μmのクシ型電極パターン上に、前記クラック耐性試験での硬化処理と同様の処理をして硬化物パターンを有する評価基板を作製し、電気特性(絶縁信頼性、電極腐食性)の評価を行った。
評価方法は、このクシ型電極を121℃、97%R.H.の加温加湿条件下でDC5Vのバイアス電圧を印加し、絶縁劣化に至るまでの時間を測定した。ここで、電気抵抗値が1×10−6Ωを下回った時点で絶縁劣化と判定した。評価基準は以下の通りである。
○:絶縁劣化に至るまでの時間が200時間以上
△:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間超200時間未満
×:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間以下
Figure 0006895902


Figure 0006895902
(実施例19、比較例5)
<ドライフィルム作製>
実施例1および比較例1の硬化性脂組成物をそれぞれメチルエチルケトンで適宜希釈した後、アプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が30μmになるようにPETフィルム(東レ社製FB−50:16μm)に塗布し、40〜100℃で乾燥させドライフィルムを得た。得られたドライフィルムをそれぞれ実施例19、比較例5とした。
<評価基板の作製>
回路形成された基板をバフ研磨した後、上記方法にて作製したドライフィルムを真空ラミネーター(名機製作所社製MVLP−500)を用いて加圧度:0.8MPa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、未露光の樹脂層を有する基板(未露光の基板)を得た。得られた基板上の乾燥塗膜に対し、前記評価方法と同様にして、クラック耐性、ガラス転移温度、引っ張り試験、B―HAST耐性に関する評価を行った。尚、PETフィルムは露光後に剥離した。評価結果を表5に示す。
Figure 0006895902
上記各試験の結果を考察すると、本発明の硬化性樹脂組成物を用いることによって、伸び率に優れた硬化物を得られることがわかる。また、本発明の硬化性樹脂組成物から得られた硬化物は、クラック耐性、ガラス転移温度、引っ張り強度、B−HAST耐性においても満足な結果が示されている。

Claims (5)

  1. (A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂、
    (B)ブロック共重合体、
    (C)熱硬化性樹脂、
    (D)フィラー、および、
    (E)光重合開始剤を含む硬化性樹脂組成物であって、
    前記(A)カルボキシル基含有樹脂は、少なくともイミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂であり、
    前記(B)ブロック共重合体は、下記式(I)で表されるアクリル系トリブロックコポリマーであり、
    X−Y−X (I)
    (式(I)中、Xは、ガラス転移点Tgが0℃以上のポリマー単位であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Yは、ガラス転移点Tgが0℃未満のポリマー単位である。)
    前記(C)熱硬化性樹脂の配合量は、前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して10〜50質量部であり、
    前記(C)熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)イミド構造およびアミド構造の少なくとも何れか一方を有するカルボキシル基含有樹脂が、イミド構造およびアミド構造を有するカルボキシル基含有樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物を、フィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  4. 請求項1または2のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、または請求項3に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  5. 請求項4に記載の硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
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