JP6895614B2 - 排水栓装置 - Google Patents

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Description

本発明は、浴槽や洗面ボウル、シンク等の槽体に形成された排水口の開閉を行う排水栓装置に関するものである。
従来から、槽体に形成された排水口の開閉を行うための排水栓装置として、特許文献1に記載の構成が知られている。
特許文献1には、操作装置に対する操作によって弁体を操作し、槽体底部に形成された排水口の開閉を行う排水栓装置が記載されている。
上記排水栓装置の操作装置は2つの操作部から成り、一方は使用者が直接押動による手動操作に基づいて弁体を昇降させる手動操作部であって、他方は電気信号に基づいて弁体を昇降させる電動操作部である。
手動操作部は上記押動操作に伴い進退する操作軸と、操作軸の進退を弁体へと伝達するレリースワイヤと、弁体の上昇状態を保持するロック機構が連結されており、操作軸の進退によって弁体の昇降を生じさせるとともに、押動操作の都度弁体の上昇状態と下降状態を切り替えることが可能となる。
一方、電動操作は駆動部としてのモータを備え、当該モータの回動を直線運動へと変換するとともに、当該直線運動を、動作伝達部を介して手動操作部へと伝達する。
特開2003−247254号公報
ここで、上記特許文献1は動作伝達部が駆動部に連結されている。従って、操作装置の組み立ての際には駆動部の取り付けと動作伝達部の配置を同時に行う必要があり、大変煩雑であった。
又、上記特許文献1に記載の排水栓装置において、手動操作部は電動操作部の動作に従動する様構成されており、電動操作部による操作が行われた場合、動作伝達部によって手動操作部の操作軸が押し下げられることによって弁体の昇降を生じさせる。
即ち、手動操作部(操作軸)は手動作動部単体の動作だけで排水口を開閉するのに対し、電動操作部は、手動作動部に干渉することによって、排水口を開閉する。従って、電動操作部が作動中に故障し、その動作が停止してしまった場合、動作伝達部が手動操作部に干渉した状態のままとなってしまい、手動操作も行うことが不可能となるという問題を有していた。
尚、上記問題が生じた場合には、槽体のエプロン部を取り外し、ユニット化された電動操作部を取り外す必要があるが、当該作業は一般の使用者には困難であった。
本発明は上記問題に鑑み発明されたものであって、複数の操作部を有する排水栓装置に関し、操作装置の組み立てを容易にすると共に、一方の操作部が故障しても、他方の操作部によって弁体の昇降操作が可能となる排水栓装置の提供を目的とする。
請求項1に記載の本発明は、槽体に形成された排水口と、
排水口の開閉を行う弁体と、
弁体の操作を行う操作装置から成る排水栓装置において、
前記操作装置は解除機構及び動作伝達部と複数の操作部を備え、
少なくとも1つの操作部はその進退によって弁体の昇降を生じさせる操作軸を有する操作部であって、
前記解除機構は操作軸に対して回動操作を加えることによって前記他の操作部の動作に対する操作軸の従動を解除し、
動作伝達部は他の操作部の動作時に操作軸を従動させるとともに、
動作伝達部は操作軸と他の操作部に着脱可能であることを特徴とする排水栓装置である。
請求項2に記載の本発明は、槽体に形成された排水口と、
排水口の開閉を行う弁体と、
弁体の操作を行う操作装置から成る排水栓装置において、
前記操作装置は動作伝達部と複数の操作部を備え、
少なくとも1つの操作部はその進退によって弁体の昇降を生じさせる操作軸を有する操作部であって、
動作伝達部は他の操作部の動作時に操作軸を従動させるとともに、
動作伝達部は開放部を有し、開放部から操作軸に取り付け可能であって、
操作装置は解除機構を備え、
当該解除機構は操作軸に対して回動操作を加えることによって前記他の操作部の動作に対する操作軸の従動が解除されることを特徴とする排水栓装置である。
請求項3に記載の本発明は、前記操作軸はケーシング内に配置され、
操作軸はケーシングと動作伝達部によって挟まれることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
請求項4に記載の本発明は、前記動作伝達部は操作軸と係止する係止部を有し、
操作軸に対して回動操作を加えた際、操作軸が係止部を乗り越えることで前記他の操作部の動作に対する操作軸の従動が解除されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水栓装置。
である。
請求項5に記載の本発明は、前記他の操作部は電気信号に基づいて排水口の開閉を行う電動操作部であって、
電気信号に基づいて作動する駆動部と、
駆動部の回転運動を直線運動に変換するギア部を有し、
動作伝達部はギア部によって操作軸の軸方向に進退するとともに、操作軸に駆動部の動作を伝達することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
請求項1に記載の本発明によれば、動作伝達部は操作軸と他の操作部に対して着脱可能であることから、施工が容易となる。
請求項1に記載の本発明によれば、操作装置は操作軸に対して回動操作を加えることにより他の操作部の動作に対する操作軸の従動を解除する解除機構を備えており、他の操作部が故障した場合でも操作軸を有する操作部によって排水口の開閉操作が可能となる。
請求項2に記載の本発明によれば、動作伝達部を開放部から操作軸に取り付けることが可能となるため、施工が容易になる。又、操作装置は操作軸に対して回動操作を加えることにより他の操作部の動作に対する操作軸の従動を解除する解除機構を備えており、他の操作部が故障した場合でも操作軸を有する操作部によって排水口の開閉操作が可能となる。尚、動作伝達部は開放部を有することから撓み易く構成されており、上記回動操作による解除操作の作動時において、操作軸の回動が容易となる。
請求項3に記載の本発明によれば、操作軸はケーシングと動作伝達部によって挟まれる構造となっている。従って、動作伝達部が操作軸に対して側方より取り付けられる構造であっても、動作伝達部が操作軸より外れることや、操作軸のガタつき等を防ぐことが可能となる。
請求項4に記載の本発明によれば、動作伝達部が操作軸と係止する係止部を有することにより、過度に解除機構を回動させてしまったり、回動方向を間違えたり、といった操作ミスによる部材の破損を未然に防ぐことが可能となる。
請求項5に記載の本発明によれば、他の操作部の構成を明確とすることができる。
本発明の排水栓装置の施工状態を示す断面図である。 図1のA−A’断面図である。 図1のB−B’断面図である。 本発明の操作軸、把持部、動作伝達部を示す分解斜視図である。 操作軸の平面図である。 (a)図3のA矢視図(b)図3のB矢視図である。 動作伝達部を示す(a)正面図(b)背面図である。 動作伝達部を示す平面図である。 図1のB−B’断面における分解図である。 手動操作部を作動させた状態を示す断面図である。 電動作動部を作動させた状態を示す断面図である。 (a)手動操作部が従動している状態における操作装置の要部を示す断面図である。(b)手動操作部の従動が解除された状態における操作装置の要部を示す断面図である。 解除機構を作動させた状態を示す断面図である。 解除機構が作動し、手動操作部の従動が解除された状態を示す断面図である。
以下に、本発明の排水栓装置を、図面を参照しつつ説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするものであって、これによって本発明が制限して理解されるものではない。又、以下の実施形態においては、特に断りの無い限り図1に示す施工状態を基準として上下左右を説明する。
本実施形態の排水栓装置は図1乃至図14に示すように、槽体1の排水口を開閉する弁体4と、弁体4の昇降を操作する操作装置5、及び当該弁体4の昇降状態を保持するロック機構45を有している。
槽体1は上方が開放された箱状の浴槽であり、底部には円形の孔部が開口され、当該底部の孔部には円筒状の排水栓2が取り付けられている。又、槽体1の縁部には弁体4を遠隔的に操作するための操作装置5が取り付けられている。
排水栓2は槽体1の底面の孔部に配置された略円筒状の部材であって、軸方向に開口された貫通孔によって排水流路が形成されている。排水栓2の外周には雄螺子が螺刻されており、上端において外側に向けて鍔部が形成されている。又、排水栓2は内周において、ワイヤ受け3が嵌合されているとともに、当該ワイヤ受け3にはレリースワイヤ50の端部が保持されている。尚、上記貫通孔は排水栓2が槽体1の底面に取り付けられた際、槽体1内の湯水を排出するための排水口として機能する。
ロック機構45は内部にギアを備えており、操作装置5に加えられた操作によって弁体4が上昇した際、上記ギアの噛合により当該弁体4の上昇状態を保持するものであり、更にもう一度操作装置5に操作が加えられると、上記ギアの噛合が解除されてスプリングにより弁体4が下降し排水口を閉塞するよう構成されている。尚、ロック機構45は上方に向けて延設されたロッド部46を有し、当該ロッド部46が押し下げられることによって作動する。
レリースワイヤ50は中空の筒状である樹脂製のアウターチューブと、金属の撚り線であるインナーワイヤから成り、操作装置5に操作が加えられるとインナーワイヤがアウターチューブ内部を摺動することで操作装置5の操作を弁体4へと伝達する。即ち、インナーワイヤが弁体4側へ向けて摺動した際には弁体4を上昇させ、逆に、インナーワイヤが操作装置5側へ向けて摺動した際には弁体4を下降させる。尚、レリースワイヤ50は弁体4側端部において弁軸40を備えている。弁軸40は外筒と内筒からなる二重の筒状であり、外筒はワイヤ受け3に固定されており、内筒はインナーワイヤの手動に基づいて上方へと突出可能となっている。
弁体4は外周にパッキンが嵌着された止水部材であり、その裏面において弁軸40先端が嵌合されており、レリースワイヤ50によって操作装置5の操作が伝達されることにより昇降し、排水口の開閉を行う。
操作装置5は手動操作に基づいて排水口の開閉を行う手動操作部51と、電気信号に基づいて排水口の開閉を行う電動操作部52を有しており、ケーシング6、ボタン部20、操作軸21、把持部30、動作伝達部35、モータ41から構成されている。尚、手動操作部51はケーシング6、ボタン部20、操作軸21から主に構成され、電動操作部52はケーシング6、図示しない電動ボタン部、基盤、動作伝達部35、及びモータ41から主に構成されている。又、手動操作部51(操作軸21)は電動操作部52の動作に従動するよう構成されており、操作装置5は操作軸21を回動させることにより当該従動を解除する解除機構を備えている。
ケーシング6は内部に操作装置5の部材を収納する箱体であって、ケーシング上部6a、ケーシング中部6b、ケーシング下部6cより構成され、それぞれがC字リングによって接続されている。尚、ケーシング上部6a、ケーシング中部6b、及びケーシング下部6cをまとめて指す場合は「ケーシング6」と記載する。
ケーシング上部6aは槽体1の縁部に形成された貫通口に取り付けられており、上端に形成されたフランジ部分とナットによって当該貫通口を挟持している。又、ケーシング上部6aは中空の筒状であり、内部にはボタン部20及び操作軸21、把持部30が配置されている。
ケーシング中部6bは中央に形成された機構室7と、機構室7の外周に形成された迂回路8による二層構造として内部が壁部9により区画されており、その正面は蓋体13によって閉塞されている。尚、図1乃至図3等に示すように、それぞれの空間はパッキンによって完全に止水されており、迂回路8内の排水が機構室7に流入することはない。又、ケーシング6の背面側にはモータ41を収納する空間が形成されている。
機構室7は内部に従動部23、動作伝達部35、ピニオンギア42等が配置された空間であり、機構室7を囲む壁部9の下方にはロッド部46が挿通される貫通口が形成されており、壁部9の上方には操作軸21が挿通される貫通口がそれぞれ形成されている。尚、各貫通口はロッド部46及び操作軸21の外径と略同一であるとともに、各貫通口周辺にはパッキンが配置されており、当該パッキンがロッド部46及び操作軸21と水密に当接しているため、上流側からも下流側からも内部に排水が流入することはない。又、図1及び図2に示すように、機構室7内面には、上端から下端にかけて凹部71が形成されている。凹部71は動作伝達部35が外嵌されているとともに、凹部71と動作伝達部35との間に従動部23(操作軸21)が配置されている。又、凹部71には図2における左方に収納部10が形成されており、手動操作部51(操作軸21)が電動操作部52に対して従動状態にある時、収納部10には従動部23の突条部26が収納されている。尚、収納部10に収納された状態の従動部23は手動操作部51(操作軸21)の電動操作部52に対する従動を解除する方向にのみ回動可能となっている。
迂回路8は機構室7の外側に形成された排水流路であり、ケーシング6の上方から流入した排水を通過させ、下流側へと排出する。
モータ41は図示しない電動ボタン部に対する操作を受けて回動する回転軸を備えており、当該回転軸先端に取り付けられたピニオンギア42が機構室7内に突出している。尚、図示しないパッキンによって機構室7とモータ41が収納されている空間は完全に止水されている。
ケーシング下部6cは内部にロック機構45が固定されている。尚、この時ロッド部46はケーシング上部6a上端よりも上方に向けて延設されている。又、ケーシング中部6bとケーシング下部6cが接続された状態において、上記ロッド部46は機構室7内に挿通されるとともに、操作軸21と連結している。又、ケーシング下部6cは下端においてゴム製のアウターチューブ15が取り付けられており、レリースワイヤ50のガイドを行うとともに、ケーシング6内に流入した排水を排水口から続く排水流路へと排出することができる。
ボタン部20は直接押動されることにより上下動する平面視略円形の操作ボタンであって、その上面は浴室内に露出している。又、ボタン部20は裏面に接続された操作軸21が連続している。
図2乃至図6に示すように、操作軸21は上下方向に延設された円筒状であって、図5に示すようにその上方は平面視おいて略十字形状のリブ22が外側に向けて突設されており、下端には従動部23が形成されている。又、操作軸21は上端において上記ボタン部20と接続されており、下端においてロック機構45を介してレリースワイヤ50と連続している。前述の通り、レリースワイヤ50はインナーワイヤの摺動によって弁体4を昇降させるものである。従って、操作軸20はボタン部20に加えられた押動操作によって進退し、その進退によって弁体4の昇降を生じさせる。又、上記リブ22外周には後述する把持部30が着脱自在に取り付けられている。
従動部23は操作軸21の下端に形成された拡径部分であって、後述する動作伝達部35と当接するように構成された段部24と、軸方向に延設された溝部25と、従動部23よりも更に外側に突設された突条部26を有している。段部24は従動部23の上面部分であって、図5及び図6に示すように、二箇所の溝部25によってその一部が切り欠かれている。尚、当該溝部25は上下方向に延設されているが、従動部23の下端までは形成されていない。突条部26は従動部23の外径よりも外側に向けて突設されているとともに、上下方向に延設されている。突条部26は後述する動作伝達部35の係止部39に対応するよう構成されており、係止部39と当接する位置まで延設されている。又、図2に示すように、突条部26は手動操作部51(操作軸21)が電動操作部52に従動している状態において、ケーシング中部6b内面に形成された収納部10内に配置されており、操作軸21は係止部39と反対方向(図2における右回り方向)には回転することはできない。
又、従動部23は内に図示しない磁石を内部に備えており、当該磁石はセンサによって位置情報が検知可能となっている。
把持部30は内部に上記操作軸21を挿通可能に形成された平面視略十字形状の挿通口31を有し、外周から外側に向けて四箇所のガイド部32が平面視略十字形状となるように突設されており、操作軸21に対して着脱自在となっている。
尚、各ガイド部32の外側への突設幅はケーシング上部6aの下端内周面の半径とほぼ同一であり、手動操作部51が上下方向に変位する際、当該手動操作部51の揺動を防ぐガイドとして機能する。又、ガイド部32は手動操作部51と電動操作部52に対する従動を解除する際に把持されることにより、操作軸21を回動させる把持部分として機能する。
動作伝達部35は図7及び図8に示すように、背面側に開放部351を備えた平面視半円形状を成し、一方の側面には軸方向にラックギア36が形成され、駆動部であるモータ41の回転軸に取り付けられたピニオンギア42と噛合している。又、動作伝達部35はケーシング中部6bと蓋体13によって挟持されており、モータ41が駆動した際にはピニオンギア42の回動に基づいて上下方向にのみ変位可能となっている。
開放部351は操作軸21側の側面が開放されることによって形成され、その端部が上記ケーシング中部6bに形成された凹部71の側面と当接していることにより、動作伝達部35は上下方向への摺動がガイドされている。尚、施工完了時において、操作軸21は動作伝達部35と凹部71によって挟み込まれているとともに、動作伝達部35は凹部71と蓋体13によって挟み込まれており、操作軸21及び動作伝達部35は上下方向のみ変位可能となっている。
又、動作伝達部35はラックギア36が形成されている側と対向する他方の内周面下端において、上記突条部26に対応するよう内側に向けて突設された係止部39が形成されている。又、動作伝達部35は図6(b)に示すように、上端より内側に向けて当接部37が形成されている。当該当接部37は電動操作部52が駆動した際に段部24と当接部37が当接するよう構成されており、電動操作部52の動作時に従動部23を介して操作軸21(手動操作部51)を従動させる。ここで、当接部37にはスリット38が形成されており、解除機構が作動されることによって上記従動状態が解除された際、段部24はスリット38の直下に配置され、当接部37は段部24と非当接状態となる。


モータ41はケーシング6の背面に形成された空間内に配置され、図示しない電動ボタン部、基盤及び電源と連結されており、電動ボタンが操作された際、基盤からの電気信号に基づいてピニオンギア42を所定方向に回動させる。尚、モータ41は基盤からの電気信号に基づいて双方向に回転可能である。
以下に、本発明の排水栓装置の施工について説明する。
本実施形態の排水栓装置においては、操作装置5を、工場において以下の状態まで組み立てる。
まず、ケーシング下部6cにロック機構45を取り付ける。次に、ケーシング中部6bに対して下方からケーシング下部6cを取り付ける。この時、ロッド部46は迂回路8と機構室7を区画する壁部9の下方に形成された貫通口に挿通され、端部が機構室7内に配置される。
次に、操作軸21をケーシング中部6b内に配置する。この時、操作軸21は把持部30が取り付けられていない状態で、機構室7の内側より壁部9上方に形成された貫通口に挿通され、その端部がケーシング中部6bの上端よりも上方に位置する。
ここで、壁部9の上方及び下方に形成された貫通口にはそれぞれパッキンが配置されており、各パッキンがロッド部46及び操作軸21と当接することによって水密状態となる。従って、蓋体13によってケーシング6bが密閉された際、迂回路8内を流れる排水が機構室7へと流入することはない。
次に、操作軸21に把持部30を挿通し、取り付ける。尚、上記壁部9上方に形成された貫通口は操作軸21の外径とほぼ同径であり、把持部30よりも小径となっているが、本発明においては把持部30を操作軸21とは別部材としているため、操作軸21を配置した後に把持部30を取り付けることが可能となる。又、操作軸21には略十字形状のリブ22が形成されており、把持部30にも略同一形状の挿通口31が形成されている。従って、操作軸21に取り付けられた把持部30を回動させると、操作軸21も共に回動する。
次に、操作軸21の側方より動作伝達部35を従動部23に覆い被せるようにして取り付ける。この時、動作伝達部35は開放部351を有していることから、操作軸21を内部に挿通する等の作業を行うことなく、操作軸21の側方の、一方方向から差し込むだけで、容易に動作伝達部35を取り付けることが可能となる。又、操作軸21は凹部71と動作伝達部35によって挟み込まれており、上下方向にのみに変位可能となる。尚、動作伝達部35の当接部37は段部24の上方に配置されているため、動作伝達部35が下降した際には操作軸21は当接部37によって押し下げられるが、操作軸21が下降した際に動作伝達部35は変位しない。そして、図示しないビスを用いてケーシング中部6bに対して蓋体13を取り付ける。この時、動作伝達部35はケーシング中部6bと蓋体13によって挟持されるため、上下方向にのみ変位可能となる。尚、動作伝達部35は電動操作部52の動作を手動操作部51へと伝達する部材であることから、この時、従動部23は手動操作部51及び電動操作部52に対して取り付けられている。又、当該動作伝達部35は蓋体13を取り外すことによって、手動操作部51及び電動操作部52から取り外すことができる。
以上で、工場における操作装置5の組み立ては完了となる。
次に、現場において、槽体1の縁部に形成された開口に、ケーシング上部6aを取り付ける。そして、当該ケーシング上部6aの下方よりケーシング中部6bを取り付け、C字バンドによってケーシング上部6aとケーシング下部6cを接続する。尚、C字バンドを用いた接続については、図9のように、予めケーシング中部6bにC字バンドを取り付けておき、ケーシング上部6a下方から挿入することによっても接続可能である。
次に、操作軸21にボタン部20を嵌合させた後、排水栓2下流側の配管にアウターチューブを取り付けるとともに、ワイヤ受け3に弁軸40を固定し、弁体4を弁軸40に嵌合させることで、本実施形態の排水栓装置の施工が完了する。
次に、本実施形態の排水栓装置の動作について説明する。
まず、手動操作部51による操作について詳述する。
図1に示すように、弁体4が下降状態にあって、排水口を閉塞している際に、手動操作部51に対する操作、即ちボタン部20に対して直接押動操作が加えられると、ボタン部20が下方に向けて変位するとともに、操作軸21が下降する。この時、アウターチューブ内をインナーワイヤが弁体4側へと摺動し、弁体4を下方から突き上げて弁体4が上昇する。又、操作軸21の下降に伴いロッド部46が押し下げられてロック機構45が作動し、弁体4の上昇状態が保持される。
この時、図10に示すように、動作伝達部35はボタン部20に押動操作が加えられる前の高さ位置に留まっており、ボタン部20及び従動部23のみが下降する。
上記弁体4の上昇状態において更にボタン部20に対して直接押動操作が加えられると、ロック機構45内のギアの噛合が解除されるため、インナーワイヤが操作装置5側に摺動することによって弁体4が下降する。又、弁体4の下降に伴いボタン部20と操作軸21が上昇し、元の場所に復帰する。
上記の通り、手動操作部51による操作が行われている際、動作伝達部35を含む電動操作部52を構成する全ての部材は一切作動しない。
次に、電動操作部52による操作について詳述する。
弁体4が下降状態にあって、排水口を閉塞している際に、図示しない電動ボタン部に操作が加えられると、電気信号に基づいてモータ41が作動し、ピニオンギア42が回動することでラックギア36が下方へ変位し、動作伝達部35が下降する。
この時、図11に示すように、当接部37が段部24と当接し、従動部23(操作軸21)を押し下げることで電動操作部52の動作を手動操作部51へと伝達する。そして、手動操作部51が下降することにより弁体4が上昇するとともに、ロック機構45によって弁体4の上昇状態が保持される。
その後、図示しないセンサによって所定位置まで操作軸21が下降したことが検知されると、モータ41は逆回転を行い、動作伝達部35が元の場所に復帰する。この時、操作装置5の各部材の位置関係は図10に示すように、手動操作部51によって弁体4を上昇させた時と全く同一となる。
上記弁体4の上昇状態において更に電動ボタンに対して操作が加えられると、モータ41が再び駆動し、動作伝達部35が操作軸21を押し下げることでロック機構45内のギアの噛合が解除されて弁体4が下降する。この時、操作装置5の各部材の位置関係は図1のように、手動操作部51の操作によって弁体4を下降させた時と全く同一となる。
即ち、本実施例の電動操作部52は、電気信号に基づいて作動する駆動部としてのモータ41を備え、該モータ41の回転運動を、ピニオンギア42とラックギア36からなるギア部により動作伝達部35の直線運動に変換し、この動作伝達部35の直線運動を、操作軸21の軸方向に伝達することによって排水口を開閉する。
以上のように、本発明において、手動操作部51は操作軸21が電動操作部52の動作に従動する構造となっている。そして、電動操作部52に対して操作が加わった際には、モータ41の駆動の都度動作伝達部35が図1、図10に示す元の位置へと復帰する構造であるため、どのような操作を行った場合であっても、弁体4の上昇時や下降時における各部材の位置関係は必ず所定の配置となる。従って、電動操作部52の操作後に手動操作部51の操作を行うことや、手動操作部51の操作後に電動操作部52の操作を行うことが可能となる。
一方、砂やゴミ等の噛み込みやセンサの破損により、動作伝達部35が図11のように下降した状態でモータ41が停止してしまった場合、又はセンサの故障により操作軸21の所定位置までの降下が検知できず、モータ41が動作伝達部材35を降下させたまま動作を継続しつつけた場合、従動部23と動作伝達部35が干渉してしまい手動操作部51による操作を行うことができない。当該場合においては、以下のように解除機構を作動させることで手動操作部51の操作軸21の電動操作部52に対する従動を解除することができる。
まず、図11の状態において、操作装置5よりボタン部20を取り外す。尚、取り外しの際には吸盤をボタン部20に吸着させ、引き上げる方法の他、ボタン部20とケーシング6との隙間に棒等を差し込むことでも取り外すことが可能である。
次に、操作軸21に取り付けられている把持部30を把持し、操作軸21を回動させる。この時、図12(a)の状態より、図12(b)に示すように、動作伝達部35が外側に撓むとともに突条部26が係止部39を乗り越え、手動操作部51と電動操作部52の従動状態が解除される。即ち、操作軸21の回動によって、段部24がスリット38の直下に配置されると共に当接部37の直下には溝部25が配置されることで、従動部23と動作伝達部35が互いに干渉しない位置に配置される。これにより、図13及び図14に示すように、操作軸21が元の位置に復帰することが可能となり、以降は手動操作部51によってのみ弁体4の昇降操作が可能となる。尚、操作軸21を回動させることにより、操作軸21内部に配置された磁石がセンサの検知範囲外に位置し、電動操作部52は作動不可能となる。
又、図12(a)に示すように、手動操作部51が電動操作部52に対して従動状態にある時、突条部26は収納部10内に配置されており、従動を解除する方向にのみ回動させることができる。従って、作業者が誤った方向に操作軸21を回動させることは不可能である。一方、手動操作部51と電動操作部52の従動を解除した状態において、突条部26は動作伝達部35の当接部37と干渉するため、図12(b)に示す従動解除状態から更に同一方向に回動させることはできない。従って、手動操作部51と電動操作部52の従動を確実に解除することができる。ここで、手動操作部51と電動操作部52の従動が解除された状態において、操作軸21を逆方向に回転(右回転)させることで、再び手動操作部51を電動操作部52に従動させることが可能である。この時、動作伝達部35が外側に撓むとともに突条部26が係止部39を乗り越え、収納部10内に配置され、手動操作部51が再び従動状態となる。即ち、解除機構は手動操作部51が電動操作部52に従動している状態において、当該従動を解除する方向にのみ回動可能であり、従動が解除されている状態においては再び従動状態となる方向にのみ回動可能となるよう、回動範囲の規制機構を備えている。即ち、解除状態に応じて回動方向を規制するとともに、回転時には回動可能な角度を規制する。従って、誤方向への回動や過度の回動に伴う解除の失敗や部材の破損を防止することが可能となる。
また、従動状態/従動状態の解除は、突条部26と係止部39の干渉により、上記の様に使用者が意図的に操作軸を回転させない限り切り替わることは無い。
上記本発明における排水栓装置は、従動の解除操作が容易であり、従来の排水栓装置のように、電動操作部52が故障した際に槽体1のエプロン部を外して修理を行う、といった作業を省略することができる。従って、一般の使用者であっても従動の解除操作を行うことが可能となる。
又、動作伝達部35は側面に開放部351を有していることから、手動操作部51(操作軸21)及び電動操作部52(ピニオンギア42)に対して側方から着脱が可能であり、施工が容易となる。
又、上記本発明は作動軸21に回動操作を加えることによって手動操作部51と電動操作部52との従動を解除可能であるが、動作伝達部35が開放部351を有していることから、上記回動操作によって突条部26が係止部39を乗り越える際に動作伝達部35が撓み、解除操作が容易となる。尚、動作伝達部35が開放部351を有することから、操作軸21と動作伝達部35との間に汚れ等が混入してしまった場合でも、操作軸21に対する回動操作時に電動操作部35が撓むことで支承無く回動操作を行うことができる。
又、操作軸21はケーシング6と動作伝達部35によって挟まれる構造となっている。従って、動作伝達部35が操作軸21に対して側方より取り付けられる構造であっても、動作伝達部35が操作軸21より外れることや、操作軸21のガタつき等を防ぐことが可能となる。
尚、手動操作部51の電動操作部52に対する従動解除は電動操作部52の故障に対する一時的な対処であり、最終的には故障した電動操作部52を取り換える必要がある。その際にも把持部30が着脱自在であると当該取り換える作業が容易となる。又、手動操作部51内部に詰まりが生じた際等には、ボタン部20及び把持部30を取り外すことで内部の清掃が可能となる。
又、上記排水栓装置は、ボタン部20とケーシング上部6aの間は僅かな空間が形成されており、当該空間から排水が流入することがあるが、流入した排水はケーシング上部6aを通過した後に、迂回路8内を通過し、ロック機構45の外側を通り、下流側へと排出される。即ち、機構室7は壁部9に配置されたパッキンにより、内部に排水が流入してしまうことがない。従って、排水の流入により排水栓装置が故障することを防ぐことができる。
本発明における排水栓装置は以上であるが、本発明は上記実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態において、操作機構は手動操作部と電動操作部を有していたが、2つ以上の手動操作部のみを有していても良く、2つ以上の電動操作部のみを有していても良い。又、手動操作部や電動操作部を合計3つ以上有していても良い。
又、上記実施形態において、解除機構は手動操作部内に配置されていたが、解除機構を手動操作部とは別の場所に設けても良い。
又、電動操作部を駆動させるための電動ボタン部について、脱衣場やリビングの壁面等に設けても良く、配置箇所は適宜変更可能である。同様に、手動操作部は槽体の縁部に配置されていたが、槽体の側壁に配置するなど、配置箇所は適宜変更可能である。
1 槽体
2 排水栓
3 ワイヤ受け
4 弁体
5 操作装置
51 手動操作部
52 電動操作部
6 ケーシング
6a ケーシング上部
6b ケーシング中部
6c ケーシング下部
7 機構室
71 凹部
8 迂回路
9 壁部
10 収納部
13 蓋体
15 アウターチューブ
20 ボタン部
21 操作軸
22 リブ
23 従動部
24 段部
25 溝部
26 突条部
30 把持部
31 挿通口
32 ガイド部
35 動作伝達部
351 開放部
36 ラックギア
37 当接部
38 スリット
39 係止部
40 弁軸
41 モータ
42 ピニオンギア
45 ロック機構
46 ロッド部
50 レリースワイヤ

Claims (5)

  1. 槽体に形成された排水口と、
    排水口の開閉を行う弁体と、
    弁体の操作を行う操作装置から成る排水栓装置において、
    前記操作装置は解除機構及び動作伝達部と複数の操作部を備え、
    少なくとも1つの操作部はその進退によって弁体の昇降を生じさせる操作軸を有する操作部であって、
    前記解除機構は操作軸に対して回動操作を加えることによって前記他の操作部の動作に対する操作軸の従動を解除し、
    動作伝達部は他の操作部の動作時に操作軸を従動させるとともに、
    動作伝達部は操作軸と他の操作部に着脱可能であることを特徴とする排水栓装置。
  2. 槽体に形成された排水口と、
    排水口の開閉を行う弁体と、
    弁体の操作を行う操作装置から成る排水栓装置において、
    前記操作装置は動作伝達部と複数の操作部を備え、
    少なくとも1つの操作部はその進退によって弁体の昇降を生じさせる操作軸を有する操作部であって、
    動作伝達部は他の操作部の動作時に操作軸を従動させるとともに、
    動作伝達部は開放部を有し、開放部から操作軸に取り付け可能であって、
    操作装置は解除機構を備え、
    当該解除機構は操作軸に対して回動操作を加えることによって前記他の操作部の動作に対する操作軸の従動が解除されることを特徴とする排水栓装置。
  3. 前記操作軸はケーシング内に配置され、
    操作軸はケーシングと動作伝達部によって挟まれることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1つに記載の排水栓装置。
  4. 前記動作伝達部は操作軸と係止する係止部を有し、
    操作軸に対して回動操作を加えた際、操作軸が係止部を乗り越えることで前記他の操作部の動作に対する操作軸の従動が解除されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水栓装置。
  5. 前記他の操作部は電気信号に基づいて排水口の開閉を行う電動操作部であって、
    電気信号に基づいて作動する駆動部と、
    駆動部の回転運動を直線運動に変換するギア部を有し、
    動作伝達部はギア部によって操作軸の軸方向に進退するとともに、操作軸に駆動部の動作を伝達することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の排水栓装置。
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