JP4131069B2 - 水洗便器装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラップ部を反転回動させることで排水と封水の切り換えができるようにした水洗便器装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からボウル部から延びる排水路にトラップ部を配設した水洗便器において、トラップ部は自由端とした後端が上下方向に反転自在となり、このトラップ部が外部排水管に連通するケース本体内に収容され、トラップ部の自由端とした後端を上下に反転するための電動のトラップ駆動手段を設け、トラップ部から排水するときボウル部に給水する給水手段を設け、洗浄スイッチがオンとなると給水手段がオンになってボウルへの給水を行い、電動のトラップ駆動手段が駆動してトラップ部の自由端となった後端が下方に回動して排水をし、その後、トラップ駆動手段が駆動してトラップ部の自由端となった後端を上方に回動し、その後、ボウル部内に水を溜め、給水手段がオフとなるようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来例ではトラップ駆動手段がモータを駆動する電動のものであり、トイレ内に電源を必要とするという問題があり、また停電を考慮する必要もある。また多湿環境に設置する場合は電気部品等に対する防湿構造等の措置を講じる必要がある。
【0004】
電気を用いないで手動で操作するようにした場合、レバー等の回動操作でトラップ部を回動駆動するようにすることも考えられるが、このようにするとレバー等を手動で操作すると直ちにトラップ部が回転してしまい、レバー等の回動と同時に給水手段から給水する構造の場合、ボウル部に十分に給水するまでにトラップ部から排水されてしまい洗浄が十分に行われないという問題がある(電動の場合は、給水するタイミングに対してトラップ部を駆動するタイミングを遅延させることは容易できるが、手動操作の場合は難しい)。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、手動操作できて電源を必要としないと共に停電も考慮に入れる必要もなく、しかも手動でも給水のタイミングに遅延させてトラップ部を駆動できて円滑に洗浄できる水洗便器装置を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の請求項1の水洗便器装置は、ボウル部1から延びる排水路2にトラップ部3を配設した水洗便器4であって、トラップ部3は自由端とした後端が上下に反転回動自在となり、このトラップ部3が外部排水管5に連通するケース本体6内に収容され、トラップ部3から排水するときボウル部1に給水する給水手段7を設けた水洗便器装置において、トラップ部3の自由端とした後端を上下方向に反転するために回転駆動される回転軸8にリンク板9を一体に設け、上下に手動で揺動される操作レバー10とリンク板9とを操作レバー10の押し操作でリンク板9が回転駆動されるように引っ張りバネよりなる連繋バネ11を介して連繋させ、操作レバー10の押し操作でリンク板9を駆動する方向と逆の戻す方向に付勢する戻しバネ13をリンク板9に付設し、連繋バネ11の引っ張りバネとしての動作により操作レバー10の操作に遅延してリンク板9が駆動するようにする一方、操作レバー10と給水手段7を連繋させて操作レバー10の操作に連動して給水手段7からボウル部1に給水されるようにし、ボウル部1に給水されてからトラップ部3の後端が下方に駆動して排水するようにしたことを特徴とする。操作レバー10を押し操作すると、操作レバー10が連繋バネ11を介して引っ張ってリンク板9を回転させ、回転軸8がリンク板9と一緒に回転してトラップ部3の後端が下方に下がるように駆動され、ボウル部1に給水された水と一緒に排水され、操作レバー10を離すと、戻しバネ13にてリンク板9が上記と逆に駆動されてトラップ部3の後端が上に上がるように戻される。これによりトラップ部3を上下に反転動作させるのが手動操作ででき、従来のようにトイレに電源を必要としないと共に停電も考慮する必要もないようにでき、さらに電気部品等に対する防湿構造等の措置を講じる必要がないようにできる。また操作レバー10とリンク板9を連繋させるのに引っ張りバネからなる連繋バネ11を介しているために操作レバー10の操作に遅延してリンク板9が駆動されてトラップ部3が駆動される。そして、操作レバー10と給水手段7を連繋させて操作レバー10の操作に連動して給水手段7からボウル部1に給水されるようにし、ボウル部1に給水されてからトラップ部3の後端が下方に駆動して排水するようにしたので、手動で操作するもので円滑に洗浄することができる。
【0007】
また本発明の請求項2の水洗便器装置は、請求項1において、操作レバー10を押し込んだとき給水ボタン18が押されて給水手段7から給水されるように操作レバー10と給水手段7とを連動させたことを特徴とする。トラップ部3を駆動する操作レバー10を操作すれば給水ボタン18も押されて給水され、給水の操作が操作レバー10に連動して自動的にできる。
【0008】
また本発明の請求項3の水洗便器装置は、請求項1または請求項2において、トラップ部3の自由端である後端が上限から下方に移動し始めるときと下限に近づいたときにリンク板9の回転に抵抗を与えるダンパー装置15をリンク板9に付設したことを特徴とする。トラップ部3の後端が上限から下方に移動し始めるときダンパー装置15から与えられる抵抗でリンク板9がゆっくり回転してトラップ部3の後端がゆっくり降下し、給水手段7からボウル部1に十分に給水されるまで待ってから排水でき、洗浄が十分にできる。またトラップ部3の後端が下限に近づいたときもダンパー装置15から与えられる抵抗でリンク板9がゆっくり回転してトラップ部3の後端がゆっくり降下し、トラップ部3の後端が下方を向いた状態の時間を確保でき、確実に排水できる。
【0009】
また本発明の請求項4の水洗便器装置は、操作レバー10を押し込み始めたときから操作レバー10の所定の押し込み位置の手前まではリンク板9に係止してリンク板9の回転を止め、所定の押し込み位置でリンク板9が回転するように係止を外す規制ストッパー16をリンク板9に付設し、操作レバー10の上記所定の押し込み位置で給水ボタン18が押されるように操作レバー10と給水手段7とを連動させたことを特徴とする。操作レバー10を所定の押し込み位置まで押さないときはリンク板9に規制ストッパー16が係止してリンク板9が回転しないようになっており、操作レバー10を所定位置まで押し込み操作したときにはリンク板9から規制ストッパー16の係止が外れてリンク板9にてトラップ部3が駆動されると共に給水手段7から給水されるようになる。従って操作レバー10を所定の押し込み位置まで押さない中途半端な操作では給水されたり、排水されたりするのを防止できる。
【0010】
また本発明の請求項5の水洗便器装置は、請求項4において、操作レバー10を所定の押し込み位置に押し込んだとき操作レバー10に係止して操作レバー10の回動を止め、リンク板9が回転してトラップ部3が下限位置に反転したときに操作レバー10が回動するように係止を外すレバー用ストッパー17を操作レバー10に付設して成ることを特徴とする。操作レバー10を所定の押し込み位置に押し込んだとき操作レバー10がレバー用ストッパー17に係止して操作レバー10が押し込み状態に保持され、リンク板9が回転することでトラップ部3の後端が下限位置までくるように反転したとき操作レバー10からレバー用ストッパー17が外れて操作レバー10が戻る。このため、操作レバー10を所定の押し込み位置に押し込んだ状態で手を離してもトラップ部3が所定の動作をするまでは操作レバー10が元に戻らず、操作レバー10の操作が簡単になると共に動作が確実になるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1、図2には水洗便器4を示してある。水洗便器4には上方が開口1aとなったボウル部1が形成してあり、さらに水洗便器4の後部の内部には収納空所部20が設けてあり、この収納空所部20内にケース本体6が内装してある。ケース本体6の一側壁には取り付け孔21が設けてあり、取り付け孔21に回動自在且つ上下に反転自在なトラップ部3を挿入して取り付けてあり、トラップ部3の大部分はケース本体6内に配置されると共にトラップ部3の前端部の接続部22がケース本体6から外部に突出している。このトラップ部3の接続部22はボウル部1の後端部に形成したボウル排出口23に嵌め込んで接続してある。
【0012】
ケース本体6内に配置したトラップ部3は後述する手動による駆動手段でトラップ部3の自由端とした後端が上下方向に反転自在に回動されるようになっている。図の例ではトラップ部3は軟質の材料で形成し、且つ蛇腹状をしており、ケース本体6に回転自在に取り付けた回転体24はトラップ部3の後端部に連結してあり、また回転体24は回転軸8にて回転駆動されるように回転軸8に連結してある。従って回転軸8を一方向に回転するとトラップ部3の自由端とした後端が下向きになるように回動し、上記と逆方向に回転するとトラップ部3の自由端とした後端が上向きになるように回動する。
【0013】
ケース本体6の下部には排出孔25を設けてあり、排出孔25には外部排水管5を接続してある。従って、ボウル部1のボウル排出口23、トラップ部3、ケース本体6、外部排水管5によりボウル部1から延びる排水路2を構成してある。
【0014】
水洗便器4の後部上面にはボウル部1に給水する給水手段7として給水管路7aが配置してあり、この給水管路7aは先端部が水洗便器4のボウル部1の上端開口縁部に形成された通水用のリム部に連通し、他端部が水道管に接続されている。給水管路7aの途中には給水の開閉操作をするフラッシュバルブのような給水バルブ26を配置してある。
【0015】
トラップ部3は図5、図6に示すように筒状をしており、軟質材料で形成し且つ蛇腹状をしている。山部3aと谷部3bとが軸方向に交互に連続した蛇腹状のトラップ部3前端の山部の頂部の幅を軸方向に長くして筒状をした接続部22が形成してある。この接続部22のすぐ後方の谷部3bは他の谷部3bの谷底よりも谷底の幅をやや広く設定してあって、幅広谷部3b′となっている。幅広谷部3b′のすぐ後方の山部3aの外周部には取り付け用フランジ27を設けてあり、取り付け用フランジ27に1乃至複数個の位置決め孔28aと挿入孔28bとが設けてある。
【0016】
また、蛇腹状のトラップ部3後端の山部3aの頂部の幅を軸方向に長くして接続筒部29を形成してあり、この接続筒部29の外周面部は環状凹所29aとなっており、また接続筒部29に凸または凹のリング位置決め部29bを設けてあり、さらに接続筒部29に凸または凹の回転体位置決め部29cを設けてある。
【0017】
トラップ部3はケース本体6の一側壁に設けた取り付け孔21に挿入され、ケース本体6の取り付け孔21の周囲に設けた位置決め突起に位置決め孔28aが嵌め込まれてケース本体6に対してトラップ部3の取り付け用フランジ27が位置決めされ、この位置決め状態で挿入孔28bからねじ具を挿入してケース本体6の取り付け孔21の周囲に設けたねじ孔に螺合して取り付けるようになっている。
【0018】
蛇腹状のトラップ部3の後端の接続筒部29内には硬質材よりなるリング30の前半部を嵌め込んでいる。リング30の後端部は両側中央部から上下端部に向けて凹み深さが深くなるように切り欠いて切欠部30aを形成してリング30の両側縁を側面視弧状としてある。リング30には凹または凸の被位置決め部30bを設けてあり、リング30の前半部を接続筒部29に嵌め込んだ場合にリング位置決め部29bに被位置決め部30bが嵌め込まれて蛇腹状のトラップ部3の後端の接続筒部29にリング30が所定の位置関係となるようにしてある。つまり、ケース本体6に対してトラップ部3の取り付け用フランジ27を前述のように位置決め孔28aと位置決め突起とで位置決めした状態でトラップ部3の他端に取り付けられるリング30の切欠部30aが上と下に位置するようにリング位置決め部29bと被位置決め部30bの位置関係が設定してある。添付図面に示す例ではリング30の後端部の突出長さが長くなった両側中央部に凹となった被位置決め部30bを設けてあり、このため、トラップ部3をケース本体6内に位置決めして取り付けた状態でリング位置決め部29bが両側中央部になるように設けてある。
【0019】
トラップ部3の後端の接続筒部29の外周面部の環状凹所29aにはケース本体6に回転自在に取り付けた回転体24が取り付けてある。回転体24は図6に示すように、同一形状をした一対の回転半体32により構成してある。回転半体32は、回転アーム32aの一端部に側方に向けて突出する回転軸体32bを形成すると共に他端部に回転軸体32bの突出方向と逆方向に半円状をした半円状部32cを突設して構成してある。回転軸体32bの側方突出端には鍔体32dを形成してあり、回転軸体32bに被円形状断面をした軸孔32eが形成してある。また半円状部32cの突出基部には基部側受け部32fが形成してあり、基部側受け部32fにはねじ孔32gが設けてあり、半円状部32cの突出先端には先端側当て部32hが設けてあり、先端側当て部32hには孔32iが設けてある。また基部側受け部32f及び先端側当て部32hにはそれぞれ凹または凸の被位置決め部32jが設けてある。
【0020】
そして、一対の回転半体32の半円状部32cをそれぞれ環状凹所29aの下半分と上半分とに嵌め込み、被位置決め部32jをそれぞれ回転体位置決め部29cに嵌め込んで位置決めし、一方の回転半体32の基部側受け部32fに他方の回転半体32の先端側当て部32hを当接すると共に他方の回転半体32の基部側受け部32fに一方の回転半体32の先端側当て部32hを当接し、孔32iからねじ具33を挿入してねじ孔32gに螺合することで、一対の回転半体32をトラップ部3の後端部に取り付けるのである。この場合、一対の回転半体32同士をねじ具33で固着することで、一対の半円状部32cによりトラップ部3の後端の接続筒部29を硬質のリング30に圧接して接続筒部29に嵌め込んだリング30が外れないようになっている。また位置決め部32jをそれぞれ回転体位置決め部29cに嵌め込んで位置決めすることで、トラップ部3に対して一対の回転半体32が位置決めして取り付けられ、ケース本体6にトラップ部3を位置決めして取り付けた状態で、トラップ部3が水平姿勢の場合に両回転アーム32aが水平となるように設定してある。
【0021】
上記回転体24を回転駆動してトラップ部3の後端を上下に反転する機構は例えば図7に示すように構成されている。トラップ部3に取り付けた回転体24の回転軸体32bには回転軸8を連結してあり、回転軸8には円盤状のリンク板9を一体に装着してある。リンク板9の上方には操作レバー10を支点34を中心に揺動自在に装着してあり、操作レバー10に操作レバー10の押し動作に対して操作レバー10を復帰させる方向に付勢する復帰バネ35を装着してある。操作レバー10の先端とリンク板9とは操作レバー10を押し操作するとリンク板9が回転するように引っ張りバネよりなる連繋バネ11を介して連繋させてある。本例の場合、連繋バネ11に連繋ワイヤ36を連結してあり、連繋バネ11の端部を操作レバー10の先端に結合してあり、連繋ワイヤ36の端部をリンク板9の回転軸8に対して偏心した位置に連結してある。また操作レバー10の押し操作でリンク板9を駆動する方向と逆の戻す方向に付勢する戻しバネ13をリンク板9に付設してある。本例の場合、戻しバネ13の一端は固定してあり、戻しバネ13の他端に連結した連結ワイヤ37をリンク板9の回転軸8に対して偏心した位置に連結してある。またリンク板9には上下限ストッパー12を付設してあり、リンク板9に上限と下限とで上下限ストッパー12に当たる上限係止部38aと下限係止部38bとを設けてある。
【0022】
図7は待機状態であり、トラップ部3の後端は図2に示すように上方に反転しており、上限位置に位置している。このとき上下限ストッパー12に上限係止部38aが係止している。この状態から操作レバー10を押し込むと、図8(a)のように連繋バネ11及び連繋ワイヤ36を介して引っ張られてリンク板9が戻しバネ13に抗して回転し、図3に示すようにトラップ部3の後端が下向きに回転を始める。このとき操作レバー10に連動して給水バルブ26が開かれて給水管路7aから給水が開始される。そして操作レバー10を所定の押し切り位置まで押し込むと、図8(b)に示すようにリンク板9が回転して上下限ストッパー12に下限係止部38bが係止してリンク板9の回転が止まると共にトラップ部3の後端が下方を向くように反転して図4に示すように下限位置に位置し、排水状態となる。汚水を排出した状態で操作レバー10から手を離すと、図8(c)に示すように復帰バネ35のバネ力と連繋バネ11のバネ力にて操作レバー10が元の状態に復帰を開始し、連繋バネ11が縮むにつれてトラップ部3の弾性と戻しバネ13のバネ力によってリンク板9が上記と逆に回転し、トラップ部3の後端は上向きに回転を始める。そして図8(d)に示すようにさらに復帰バネ35のバネ力と連繋バネ11のバネ力にて操作レバー10が元の位置まで戻り、戻しバネ13のバネ力よってリンク板9が回転し、上下限ストッパー12に上限係止部38aに係止し、トラップ部3の後端が上方を向いて上限位置で停止する。次いで給水バルブ26が閉じられて給水が終了され、排水動作が完了する。
【0023】
また操作レバー10とリンク板9を連繋させるのが引っ張りバネからなる連繋バネ11のために操作レバー10の操作に遅延してリンク板9が駆動されてトラップ部3が駆動される。このために操作レバー10の操作と同時に給水手段7からボウル部1に給水すればボウル部1に給水されてからトラップ部3の後端が下方に駆動されて排水され、手動で操作するもので円滑に洗浄することができる。
【0024】
また図9は回転体24を回転駆動してトラップ部3の後端を上下に反転する機構の他の例を示すものである。トラップ部3に取り付けた回転体24の回転軸体32bには回転軸8を連結してあり、回転軸8には円盤状のリンク板9を一体に装着してある。リンク板9の上方には操作レバー10を支点34を中心に揺動自在に装着してあり、操作レバー10に操作レバー10の押し動作に対して操作レバー10を復帰させる方向に付勢する復帰バネ35を装着してある。操作レバー10の先端とリンク板9とは操作レバー10を押し操作するとリンク板9が回転するように引っ張りバネよりなる連繋バネ11を介して連繋させてある。本例の場合、連繋バネ11に連繋ワイヤ36を連結してあり、連繋バネ11の端部を操作レバー10の先端に結合してあり、連繋ワイヤ36の端部をリンク板9の回転軸8に対して偏心した位置に連結してある。また操作レバー10の押し操作でリンク板9を駆動する方向と逆の戻す方向に付勢する戻しバネ13をリンク板9に付設してある。本例の場合、戻しバネ13の一端は固定してあり、戻しバネ13の他端に連結した連結ワイヤ37をリンク板9の回転軸8に対して偏心した位置に連結してある。またリンク板9には上限ストッパー12aと下限ストッパー12bを付設してあり、リンク板9に上限と下限とで上限ストッパー12aと下限ストッパー12bに当たる上限係止部38aと下限係止部38bとを設けてある。
【0025】
またリンク板9には下限係止部38bに係脱自在に係止する規制ストッパー16を回転自在に装着してあり、規制ストッパー16には規制ストッパー16が係止する方向に付勢する付勢バネ16aを装着してあるこの規制ストッパー16と操作レバー10とは規制ストッパー16の係止を解除する解除ワイヤ40にて連結してある。また操作レバー10の先端の近傍にはこの先端の係止凹部41に係脱自在に係止するレバー用ストッパー17を回転自在に装着してあり、レバー用ストッパー17にはレバー用ストッパー17が係止する方向に付勢する付勢バネ17aを装着してある。このレバー用ストッパー17とリンク板9とにはレバー用ストッパー17の係止を解除する解除ワイヤ42にて連結してある。
【0026】
またトラップ部3の自由端である後端が上限から下方に移動し始めるときと下限に近づいたときにリンク板9の回転に抵抗を与えるダンパー装置15をリンク板9に付設してある。このダンパー装置15は図13に示すようにケーシング45から突出した回転軸46にギヤ47を装着して形成されており、ギヤ47が一方向に回転するとき抵抗を受け、他の方向に回転するとき抵抗を受けないものである。このダンパー装置15は特開平4−241824号公報に開示される緩衝装置と同じ構造であり、グリスのような流体を装填したケーシング45とケーシング45内に内装した上記回転軸46と一体の胴部材と、胴部材を一方に回転するとき起立して流体の抵抗を受け且つ胴部材を他方に回転するとき倒れて流体の抵抗を受けないように胴部材の外周に装着したブレードとで構成されている。リンク板9の上記上限係止部38aと下限係止部38bとの間には切欠部48を設けてあり、切欠部48の上限係止部38aに近い部分と下限係止部38bに近い部分にはそれぞれ上記ギヤ47に噛合するラック部48a,48bをそれぞれ設けてある。
【0027】
また操作レバー10を押し込み操作したとき給水バルブ26の給水ボタン18を押して給水するように操作レバー10と給水ボタン18とを図12に示すように連動させてある。操作レバー10の支点34の部分から操作レバー10と一体に回転する回転軸50を突設してあり、この回転軸50に回転軸50の長手方向にスライド自在になるようにスリーブ51を被嵌してあり、スリーブ51の先端を給水ボタン18に対向させてある。回転軸50に対してスリーブ51が一体回転すると共にスライド自在に移動するために回転軸50の突設したピン52をスリーブ51の溝53にスライド自在に係合してある。スリーブ51はジャーナル軸受け状の軸受け54にスライド自在且つ回転自在に挿通してあり、軸受け54には傾斜した溝55を設けてあり、溝55にスリーブ51のピン56をスライド自在に係合させてある。しかして操作レバー10を押し込むように回転すると、回転軸50と一緒にスリーブ51が回転し、ピン56が溝55に対してスライドすることでスリーブ51が給水ボタン18の方向にスライドして給水ボタン18が押される。このようにすると操作レバー10の押し込みに連動して給水ボタン18を押して給水を開始できる。
【0028】
図9は待機状態であり、トラップ部3の後端は上方に反転しており、上限位置に位置している。このとき上限ストッパー12aに上限係止部38aが係止していると共に規制ストッパー16が下限係止部38bに係止している。この状態から操作レバー10を所定の押し込み位置まで押し込むと図10(a)の状態となり、操作レバー10と連動して給水ボタン18が押され、給水バルブ26が開かれて給水が開始され、一方連繋バネ11が伸びてレバー用ストッパー17に操作レバー10が係止される。そして規制ストッパー16の係止が解除ワイヤ40にて解除されてリンク板9が連繋バネ11のバネ力にて戻しバネ13に抗して回転を始め、トラップ部3の後端が下向きに回転を始める。このときダンパー装置15のギヤ47とラック部48aとが噛合してダンパー装置15の抵抗を受け、リンク板9がゆっくり回転してトラップ部3の後端が図14のグラフのA線のA1の部分のようにゆっくり下降する。
【0029】
次いで図10(b)の状態となり、ギヤ47とラック部48aとの噛合が外れ、リンク板9の回転が増速され、図14のグラフのA線のA2部分のようにトラップ部3の下端が速い速度で下降し、排水が開始される。次いで図10(c)のようにギヤ47とラック部48bとが噛合し、抵抗を受けてリンク板9の回転が減速されて図14のグラフのA線のA3部分のようにトラップ部3の後端が下限までゆっくり下降し、所定の排水時間が確保される。そしてトラップ部3の後端が下限になったとき下限ストッパー12bが下限係止部38bに係止する。
【0030】
次いで解除ワイヤ42にてレバー用ストッパー17の操作レバー10への係止が解除され、図10(d)に示すように連繋バネ11のバネ力にて操作レバー10が元の状態に復帰する。そして図10(e)に示すように連繋バネ11が縮むにつれてトラップ部3の弾性と戻しバネ13のバネ力によってリンク板9が上記と逆に回転し、図14のグラフのA線のA4部分のようにトラップ部3の後端は上向きに回転をする。このときギヤ47とラック部48a,48bとが噛合してもダンパー装置15から抵抗を受けない。トラップ部3の後端が上限位置まで回転すると、図10(f)の状態なり、上限ストッパー12aが上限係止部38aに係止し、下限係止部38bに規制ストッパー16が係止し、その後給水が終了し、待機状態に戻る。
【0031】
また図11(a)の待機状態から操作レバー10を操作するとき、図11(b)に示すように操作レバー10の押し込みが押し切る位置に至らなくて所定の押し込み量にならないときは、図11(b)に示すように操作レバー10がレバー用ストッパー17に係止する位置に至らないと共に解除ワイヤ40により規制ストッパー16の係止を解除する位置に至らなく、トラップ部3の回転がおこならない。勿論、給水も行われない。そして操作レバー10を離すと連繋バネ11のバネ力にて待機の位置まで戻る。このようにすると、中途半端な操作で動作するのを防止できる。
【0032】
上記のようにしてトラップ部3が動作するが、この状態をわかりやすくしたのが図14の説明図である。この図のグラフのA線は本発明の手動操作するときにおける時間とトラップ部の角度の関係を示し、B線は従来の電動操作するときにおける時間とトラップ部の角度の関係を示し、C線は給水のための給水バルブ開閉と時間の関係を示す。ところで、電動で行う場合、モータで駆動するために図14のように給水の開始から一定時間経過後にモータを駆動してトラップ部3後端を下降させ、トラップ部3の下限位置でモータを停止して位置を一定時間保持し、モータを逆に駆動してトラップ部3の後端を上昇させるという制御は容易にできるが、本発明のように手動操作するものでも上記実施の形態の例のものではA線のように電動に近い動作を実現できてボウル部1の洗浄が円滑に行われる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は、ボウル部から延びる排水路にトラップ部を配設した水洗便器であって、トラップ部は自由端とした後端が上下に反転回動自在にとなり、このトラップ部が外部排水管に連通するケース本体内に収容され、トラップ部から排水するときボウル部に給水する給水手段を設けた水洗便器装置において、トラップ部の自由端とした後端を上下方向に反転するために回転駆動される回転軸にリンク板を一体に設け、上下に手動で揺動される操作レバーとリンク板とを操作レバーの押し操作でリンク板が回転駆動されるように引っ張りバネよりなる連繋バネを介して連繋させ、操作レバーの押し操作でリンク板を駆動する方向と逆の戻す方向に付勢する戻しバネをリンク板に付設し、連繋バネの引っ張りバネとしての動作により操作レバーの操作に遅延してリンク板が駆動するようにする一方、操作レバーと給水手段を連繋させて操作レバーの操作に連動して給水手段からボウル部に給水されるようにし、ボウル部に給水されてからトラップ部の後端が下方に駆動して排水するようにしたので、操作レバーを押し操作すると、操作レバーが連繋バネを介して引っ張ってリンク板を回転させ、回転軸がリンク板と一緒に回転してトラップ部の後端が下方に下がるように駆動され、ボウル部に給水された水と一緒に排水され、操作レバーを離すと、戻しバネにてリンク板が上記と逆に駆動されてトラップ部の後端が上に上がるように戻されるものであって、これによりトラップ部の後端を上下に反転動作させるのが手動操作ででき、従来のようにトイレに電源を必要としないと共に停電も考慮する必要もないようにでき、さらに電気部品等に対する防湿構造等の措置を講じる必要がないようにできるものであり、しかも操作レバーとリンク板を連繋させるのに引っ張りバネからなる連繋バネを介しているために操作レバーの操作に遅延してリンク板が駆動されてトラップ部が駆動されるものであって、そして、操作レバーと給水手段を連繋させて操作レバーの操作に連動して給水手段からボウル部に給水されるようにし、ボウル部に給水されてからトラップ部の後端が下方に駆動して排水するようにしたので、手動で操作するもので円滑に洗浄することができるものである。
【0034】
また本発明の請求項2の発明は、請求項1において、操作レバーを押し込んだとき給水ボタンが押されて給水手段から給水されるように操作レバーと給水手段とを連動させたので、トラップ部を駆動する操作レバーを操作すれば給水ボタンも押されて給水され、給水の操作が操作レバーに連動して自動的にできるものである。
【0035】
また本発明の請求項3の発明は、請求項1または請求項2において、トラップ部の自由端である後端が上限から下方に移動し始めるときと下限に近づいたときにリンク板の回転に抵抗を与えるダンパー装置をリンク板に付設したので、トラップ部の後端が上限から下方に移動し始めるときダンパー装置から与えられる抵抗でリンク板がゆっくり回転してトラップ部の後端がゆっくり降下するものであって、給水手段からボウル部に十分に給水されるまで待ってから排水できて洗浄が十分にできるものであり、またトラップ部の後端が下限に近づいたときもダンパー装置から与えられる抵抗でリンク板がゆっくり回転してトラップ部の後端がゆっくり降下し、トラップ部の後端が下方を向いた状態の時間を確保でき、確実に排水できるものである。
【0036】
また本発明の請求項4の発明は、操作レバーを押し込み始めたときから操作レバーの所定の押し込み位置の手前まではリンク板に係止してリンク板の回転を止め、所定の押し込み位置でリンク板が回転するように係止を外す規制ストッパーをリンク板に付設し、操作レバーの上記所定の押し込み位置で給水ボタンが押されるように操作レバーと給水手段とを連動させので、操作レバーを所定の押し込み位置まで押さないときはリンク板に規制ストッパーが係止してリンク板が回転しないようになっており、操作レバーを所定位置まで押し込み操作したときにはリンク板から規制ストッパーの係止が外れてリンク板にてトラップ部が駆動されると共に給水手段から給水されるようになるものであって、操作レバーを所定の押し込み位置まで押さない中途半端な操作で給水されたり、排水されたりするのを防止できるものである。
【0037】
また本発明の請求項5の発明は、請求項4において、操作レバーを所定の押し込み位置に押し込んだとき操作レバーに係止して操作レバーの回動を止め、リンク板が回転してトラップ部が下限位置に反転したときに操作レバーが回動するように係止を外すレバー用ストッパーを操作レバーに付設しているので、操作レバーを所定の押し込み位置に押し込んだとき操作レバーがレバー用ストッパーに係止して操作レバーが押し込み状態に保持され、リンク板が回転することでトラップ部の後端が下限位置までくるように反転したとき操作レバーからレバー用ストッパーが外れて操作レバーが戻るものであって、操作レバーを所定の押し込み位置に押し込んだ状態で手を離してもトラップ部が所定の動作をするまでは操作レバーが元に戻らず、操作レバーの操作が簡単になると共に動作が確実になるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の水洗便器装置の全体の断面図である。
【図2】同上の洗浄動作を示し、トラップ部の後端が上を向いている状態で給水している状態を示す断面図である。
【図3】同上の洗浄動作を示し、トラップ部の後端を下向きに回動して途中の状態の断面図である。
【図4】同上の洗浄動作を示し、トラップ部の後端を下向きにして汚物や汚水を排出している状態の断面図である。
【図5】同上のトラップ部の半断面図である。
【図6】同上のトラップ部、リング、回転体の分解斜視図である。
【図7】同上のトラップ部を駆動する機構の一例を示す概念図である。
【図8】(a)(b)(c)(d)は同上の動作を示す説明図である。
【図9】(a)は同上のトラップ部を駆動する機構の他の例を示す断面図、(b)は(a)の要部の概念図である。
【図10】(a)(b)(c)(d)(e)(f)は同上の動作を説明する説明図である。
【図11】(a)(b)(c)は同上の動作を説明する説明図である。
【図12】同上の操作レバーと給水手段とを連動させる構造を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図13】同上のダンパー装置の斜視図である。
【図14】同上のトラップ部及び給水バルブの動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 ボウル部
2 排水路
3 トラップ部
4 水洗便器
5 外部排水管
6 ケース本体
7 給水手段
8 回転軸
9 リンク板
10 操作レバー
11 連繋バネ
13 戻しバネ
15 ダンパー装置
16 規制ストッパー
17 レバー用ストッパー
18 給水ボタン
Claims (5)
- ボウル部から延びる排水路にトラップ部を配設した水洗便器であって、トラップ部は自由端とした後端が上下に反転回動自在となり、このトラップ部が外部排水管に連通するケース本体内に収容され、トラップ部から排水するときボウル部に給水する給水手段を設けた水洗便器装置において、トラップ部の自由端とした後端を上下方向に反転するために回転駆動される回転軸にリンク板を一体に設け、上下に手動で揺動される操作レバーとリンク板とを操作レバーの押し操作でリンク板が回転駆動されるように引っ張りバネよりなる連繋バネを介して連繋させ、操作レバーの押し操作でリンク板を駆動する方向と逆の戻す方向に付勢する戻しバネをリンク板に付設し、連繋バネの引っ張りバネとしての動作により操作レバーの操作に遅延してリンク板が駆動するようにする一方、操作レバーと給水手段を連繋させて操作レバーの操作に連動して給水手段からボウル部に給水されるようにし、ボウル部に給水されてからトラップ部の後端が下方に駆動して排水するようにしたことを特徴とする水洗便器装置。
- 操作レバーを押し込んだとき給水ボタンが押されて給水手段から給水されるように操作レバーと給水手段とを連動させたことを特徴とする請求項1記載の水洗便器装置。
- トラップ部の自由端である後端が上限から下方に移動し始めるときと下限に近づいたときにリンク板の回転に抵抗を与えるダンパー装置をリンク板に付設したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の水洗便器装置。
- 操作レバーを押し込み始めたときから操作レバーの所定の押し込み位置の手前まではリンク板に係止してリンク板の回転を止め、所定の押し込み位置でリンク板が回転するように係止を外す規制ストッパーをリンク板に付設し、操作レバーの上記所定の押し込み位置で給水ボタンが押されるように操作レバーと給水手段とを連動させたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の水洗便器装置。
- 操作レバーを所定の押し込み位置に押し込んだとき操作レバーに係止して操作レバーの回動を止め、リンク板が回転してトラップ部が下限位置に反転したときに操作レバーが回動するように係止を外すレバー用ストッパーを操作レバーに付設して成ることを特徴とする請求項4記載の水洗便器装置。
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