JP6882143B2 - 触媒反応による水素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波加熱を利用した触媒反応による水素の製造方法に関する。
マイクロ波は電子レンジのような家庭用から利用が広まり、その後、産業用加熱炉の加熱システムとして、実用的な開発、利用が研究されている。最近では、化学反応を行わせるための迅速加熱手段としての利用も検討されている。
マイクロ波加熱にシングルモードの定在波を形成可能な空胴共振器を使用すると、共振器内に固有の、一定の電界強度分布を形成することができる。したがって、例えば電界強度の極大となる部分に加熱対象とする被加熱体を配することにより、被加熱体がマイクロ波吸収の小さなものであっても効率的な加熱が可能になる。
このシングルモードの定在波を利用した化学反応システムが知られている。特許文献1には、空胴共振器内に形成されるシングルモード定在波の電界強度が極大となる部分に沿って流通管を配し、流通管内に流体を流通させることにより当該流体を加熱する流通型マイクロ波利用化学反応システムが記載されている。
また、特許文献2には、排気浄化装置としてDPFフィルターをマイクロ波加熱する手段が示されている。特許文献2には、空胴導波管内に定在波を発生させるとともに、導波管内に突起物を機械的に挿入・引き出しを行うことで、伝播モードを制御し定在波のパターンを切り替え、加熱部位を制御する排気浄化方法が記載されている。
特開2010−207735号公報 特開2013−191347公報
上記のように、シングルモードの定在波を利用することにより、被加熱体に対してマイクロ波を集中的に照射することが可能となり、被加熱体を迅速に、効率的に加熱することができる。しかし、シングルモードの定在波は電界強度が極大となる領域が狭い範囲に限られる。そのため、被加熱体の体積が大きい場合などには、被加熱体を局所的に加熱することはできても、被加熱体の全体を均一に加熱することは難しい。また、シングルモード定在波の電界強度分布は一定であり、被加熱体に対する加熱領域を経時的に切り替えることも困難である。したがって、シングルモードの定在波を利用した化学反応システムの応用には技術的な制約があった。
導波管内に機械的な手法で突起物を挿入・引き出す方法では、構造が複雑化することによる大型化、故障要因の増大、メンテナンスの必要性、高コスト化が危惧される。
本発明は、形成したシングルモード定在波の電界強度分布を、機械的な手法によらずに瞬時に、所望の電界強度分布状態へと切り替えることができ、それにより被加熱体の加熱領域を制御する技術と、それを利用した接触分解反応による水素の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、空胴共振器内に定在波を形成できる周波数のマイクロ波を、この空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から同時に供給することによっても、空胴共振器内に定在波を形成することができること、また、各マイクロ波供給口から供給している各マイクロ波のうち、少なくとも1つのマイクロ波供給口から供給しているマイクロ波の位相を調整することにより、空胴共振器内に形成された定在波の電界強度分布を瞬時に切り替えることができることを見出した。さらに本発明者らは、上記の位相の調整により、電界強度分布の極大領域を面状に広げることも可能になることを見出した。そして本発明者らは、この定在波の切り替えにより触媒の加熱状態を制御することにより、触媒の作用による接触分解反応の進行、効率等を制御できるとの着想に至った。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
〔1〕
加熱した触媒がアンモニア、アルコール、及び飽和炭化水素から選ばれる化合物に作用して生じる接触分解反応により水素を得ることを含む水素の製造方法であって、
前記水素の製造方法は、内部に前記触媒を配した空胴共振器に対し、該空胴共振器内に定在波を形成できる周波数のマイクロ波を、該空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から同時にかつ位相を調整して供給することにより、該空胴共振器内に定在波を電界強度分布を切り替え可能に形成して前記触媒の加熱領域を制御することを含む、水素の製造方法。
〔2〕
前記空胴共振器に供給される前記マイクロ波の周波数が、該空胴共振器内にTMmnp(mは1以上の整数、nは1以上の整数、pは0以上の整数)モードの定在波、又はTEmnp(mは0以上の整数、nは0以上の整数、pは1以上の整数)モードの定在波を形成できる周波数である、〔1〕記載の水素の製造方法。
〔3〕
前記空胴共振器内に形成した定在波による前記触媒の加熱中に、各マイクロ波供給口から供給している各マイクロ波のうち、少なくとも1つのマイクロ波供給口から供給しているマイクロ波の位相を調整し、この位相の調整により前記空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を変化させて前記触媒の加熱領域を切り替える、〔1〕又は〔2〕記載の水素の製造方法。
〔4〕
前記空胴共振器内に、該空胴共振器の中心軸方向に沿って電界強度分布が一定の、ドーナツ状に電界集中領域を形成することを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の水素の製造方法。
〔5〕
前記空胴共振器がマイクロ波供給口を2つ有し、前記空胴共振器に供給される前記マイクロ波の周波数が、TM110モードの定在波を形成できる周波数である、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の水素の製造方法。
〔6〕
前記触媒が、コバルト、ニッケル、ルテニウム、銅、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びルビジウムから選ばれる、〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の水素の製造方法。
〔7〕
前記触媒がハニカム構造体に担持された状態で前記空胴共振器内に配されている、〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の水素の製造方法。
本発明の水素の製造方法によれば、空胴共振器内に形成したシングルモード定在波の電界強度分布を瞬時に、所望の電界強度分布へと切り替えることができ、これにより空胴共振器内に配した触媒の加熱領域を制御することができる。したがって、触媒の作用による接触分解反応の進行を所望の状態へと素早く制御することができ、水素の生産効率、生産量等の制御が可能になる。
マイクロ波照射システムの一例を模式的に示す図である。 空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布の一例を示す図である。 空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布の一例を示す図である。 試験片として上質紙を空胴共振器内に配し、該共振器内にTM110モードの定在波を形成させた場合の試験片の温度分布を示す図である。 試験片として上質紙を空胴共振器内に配し、該共振器内にTM110モードの定在波を形成させた場合の試験片の温度分布を示す図である。 2つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 試験片として上質紙を空胴共振器内に配し、該共振器内に形成した定在波の電界強度分布に従って試験片が加熱されることを示す図である。 2つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 2つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 2つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 2つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 2つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 マイクロ波照射システムの一例を模式的に示す図である。 空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布の一例を示す図である。 空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布の一例を示す図である。 2つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 マイクロ波照射システムの一例を模式的に示す図である。 3つのマイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相差を変化させた場合に生じる電界強度分布の切り替わりの一例を示す図である。 接触分解反応を実施するシステムの一例を示す説明図である。
[被加熱体の加熱領域制御方法]
本発明の水素の製造方法に適用される被加熱体の加熱領域制御方法(以下、「本発明の加熱制御方法」とも称す。)について、好ましい実施形態を説明する。
本発明の加熱制御方法では、内部に被加熱体を配した空胴共振器に対しマイクロ波を供給し、この空胴共振器内に形成させた定在波の作用により被加熱体を加熱する。本発明の加熱制御方法では、空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から、同時に、当該空胴共振器内に定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給する。
本発明の加熱制御方法において、空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から同時に供給される各マイクロ波は、互いの位相を調整して供給される。この位相の調整により、空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を所望の分布状態に制御することができる。つまり、被加熱体の加熱の状態を制御することが可能になる。
なお、マイクロ波供給口から供給されるマイクロ波の周波数は、一のマイクロ波供給口から単独で供給された場合に、空胴共振器内に特定のシングルモード定在波を形成することができるものであるが、このマイクロ波を複数の供給口から同時に供給した場合に空胴共振器内に形成される定在波は、上記の特定のシングルモードとは異なるモードでもよい。
本発明の加熱制御方法の構成について、順に説明する。
<空胴共振器>
本発明に用いる空胴共振器(キャビティー)の形状は、マイクロ波供給口を2つ以上有し、マイクロ波を供給した際にシングルモードの定在波を形成できるものであれば特に制限はない。例えば、円筒形又は角筒形の空胴共振器を用いることができる。本明細書において円筒形の空胴共振器とは、中心軸に垂直な断面が円形であるものの他、当該断面が楕円形であるものを含む意味に用いる。また、角筒形の空胴共振器は、中心軸に垂直な断面が多角形であるものを意味し、当該断面が4〜10角形であることが好ましい。また、多角形の角が、丸みを帯びた形状であってもよい。
空胴共振器の大きさも目的に応じて適宜に設計することができる。空胴共振器は通常は金属製である。
本発明に用いる空胴共振器には、当該空胴共振器内にマイクロ波を供給するためのマイクロ波供給口が、2つ以上(好ましくは2〜4つ、より好ましくは2つ又は3つ)設けられる。マイクロ波供給口は、通常は、空胴共振器の中心軸と並行な壁面又はその近傍に設けられる。例えば空胴共振器の中心軸と並行な壁面又はその近傍にアンテナを設け、このアンテナにマイクロ波(高周波)を印加する形態とすることができる。アンテナとしては、中心軸に平行な壁面付近にループアンテナを設けてもよい。もしくは、中心軸に垂直な壁面にモノポールアンテナやダイポールアンテナを設けてもよい。また、アンテナのかわり、導波管を用いることもでき、この場合は、アイリスなどにより隙間の間隔を調整することで最適なマイクロ波を印加する形態とすることもできる。
2つ以上のマイクロ波供給口の位置関係に特に制限はなく、形成する目的の定在波の種類に応じて適宜に設計すればよい。
例えば、空胴共振器内にTM110モードの定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給する場合には、空胴共振器の中心軸と並行な壁面又はその近傍にマイクロ波供給口を2箇所設け、各供給口と中心軸とを結ぶ2つの直線がなす角度が90°程度となるようにする。こうすることで、各供給口から供給するマイクロ波の位相を0°〜360°の範囲でずらすように調整することにより、複数の定在波パターンの切り替えが可能になる。また、TM210モードの定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給する場合には、上記の角度を60°程度とすることができ、TM310モードの定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給する場合には、上記の角度を30°程度とすることができる。また、空胴共振器内にTM110モードの定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給する場合に、空胴共振器の中心軸と並行な壁面又はその近傍にマイクロ波供給口を3箇所設け、互いに隣接する供給口と中心軸とを結ぶ2つの直線がなす角度が120°程度となるようにすることも好ましい。ただし、これらの形態は例示に過ぎず、本発明は、本発明で規定すること以外はこれらの形態に限定して解釈されるものではない。
<マイクロ波の供給>
本発明の加熱制御方法において、マイクロ波はマイクロ波発振器から発振され、空胴共振器に設けられたマイクロ波供給口から空胴共振器内へと供給される。このマイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器を用いることができる。周波数制御性の観点からは、半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器を用いることが好ましい。
また、本発明の加熱制御方法では、各マイクロ波供給口から供給している各マイクロ波の位相を調整する。この位相の調整は、位相器を用いたり、マイクロ波発信器からマイクロ波供給口までのケーブルの長さを調整したり、ケーブルに用いる誘電体の誘電率を調整したり、ケーブルの中心導体径と外部導体径を調整したり、導波管内に誘電体を挿入したり、導波管の長さを調整したりすることにより行うことができる。
空胴共振器内に供給されるマイクロ波は、当該空胴共振器内に、1つのマイクロ波供給口のみからマイクロ波を供給した場合に、当該空胴共振器内に特定の定在波を形成できる周波数のマイクロ波である。この特定の定在波に特に制限はなく、例えば、TMmnp(mは1以上の整数、nは1以上の整数、pは0以上の整数)モードの定在波を挙げることができる。また、TEmnp(mは0以上の整数、nは0以上の整数、pは1以上の整数)モードの定在波も好ましい。
TMmnpモードはTMmn0モードが好ましく、この定在波の具体例としては、TM110、TM210、TM310、TM410、TM120、又はTM220のモードの定在波を挙げることができる。
本発明において、空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から同時に供給されるマイクロ波の周波数は同じとする。例えば、マイクロ波を1つのマイクロ波供給口のみから供給した場合に、空胴共振器内にTM110モードの定在波を形成できる周波数のマイクロ波を、空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から同時に供給したり、マイクロ波を1つのマイクロ波供給口のみから供給した場合に、空胴共振器内にTM210モードの定在波を形成できる周波数のマイクロ波を、空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から同時に供給したりする形態が挙げられる。
<被加熱体の加熱>
本発明の加熱制御方法では、被加熱体は空胴共振器内部に配され、空胴共振器内に形成された定在波の電界強度が極大の部分を中心に加熱される。被加熱体を局所的に加熱したい場合には、加熱したい部分が電界強度の極大部分又はその近傍となるように、マイクロ波供給口から供給するマイクロ波の位相を調整して所望の電界強度分布の定在波を形成させたり、空胴共振器内における被加熱体の配置を設計したりする。
また、被加熱体の略全体を均一に加熱したい場合には、共振空洞内に形成される定在波を、例えば、電界強度が極大となる部分が共振器の中心軸に沿ってドーナツ状となるように、位相を調整してマイクロ波を供給することができる。ドーナツ状の電界極大領域に曝された被加熱体は、当該ドーナツ状の電界極大領域に曝された部分から加熱されていくが、時間経過に伴いドーナツ状の中心部分にも熱が伝導し、当該中心部分も電界極大領域と同等のレベルに加熱することができる。本発明の加熱制御方法では、複数のマイクロ波供給口からマイクロ波を供給するために、空胴共振器内に供給されるマイクロ波エネルギーを全体として大きなものとすることができる。したがって、電界極大領域をドーナツ状に生じさせて、電界強度の極大領域を大きくしても、被加熱体の広範な範囲を十分に加熱することが可能となる。
なお、本発明においてドーナツ状という場合、中心に空洞がある形態であれば特に制限されない。すなわち、輪郭が円形の他、例えば、輪郭が楕円形や角形であってもよく、角が丸みを帯びた角形であってもよい。
本発明の加熱制御方法は、空胴共振器内に供給するマイクロ波の位相を調整することにより、空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を切り替えることができる。したがって、空胴共振器内に形成した定在波による前記被加熱体の加熱中に、各マイクロ波供給口から供給している各マイクロ波のうち少なくとも1つのマイクロ波供給口から供給しているマイクロ波の位相を調整し、この位相の調整により前記空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を変化させることにより、被加熱体の加熱領域を切り替えることが可能となる。このような切り替えにより、被加熱体が化学反応対象物や触媒である場合には、反応温度制御による化学反応の進行の調整が可能になる。
本発明の加熱制御方法を用いた本発明の水素の製造方法において、加熱対象とする被加熱体は触媒である。
[水素の製造]
本発明の水素の製造方法は、本発明の加熱制御方法により触媒を加熱し、この加熱により特定の接触分解反応を生じさせて水素を得ることを含む。
上記触媒としては金属触媒を挙げることができ、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、クロム、ニッケル、コバルト、銅、セシウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リン、硫黄、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、イットリウム、ルビジウム、タングステン、モリブデン、ストロンチウム、バリウム、イリジウム、ナトリウム、カリウム、及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上を含むものが挙げられる。なかでもコバルト、ニッケル、ルテニウム、銅、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びルビジウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。これらの金属、金属酸化物、金属錯体等を各種担体に担持した担持触媒も好ましい。担体の種類としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、イットリア安定化ジルコニア、カーボン、ゼオライト、メソポーラスシリカ、層状ケイ酸塩、粘土などが挙げられる。
上記触媒は、ハニカム構造体に担持された状態で、空胴共振器内に配設されることも好ましい。
本発明の水素の製造方法では、加熱した触媒がアンモニア、アルコール、及び飽和炭化水素から選ばれる化合物に作用して生じる接触分解反応を利用する。触媒の加熱状態を制御することにより、接触分解反応の進行を制御することができ、反応効率、水素の生産量等を制御することが可能になる。
アンモニア、アルコール、及び飽和炭化水素の各化合物を反応原料とする接触分解反応は、例えば、アンモニアの接触分解反応は下記反応式で表すことができる。
<アンモニアの接触分解反応>
2NH → 3H+N
このアンモニアの分解反応は、例えばコバルトを触媒として用いることができる。また、反応温度は、例えば400℃以上とすることができる。
アルコール及び飽和炭化水素を原料とする接触分解反応も、公知の文献等を参照し、化学反応条件を適宜設定することができる。例えば、化学工学会第75回年会要旨集(阿部智久著、640〜641ページ、2010)、特開2015−044702公報等を参照し、化学反応条件を適宜設定することができる。
上記の接触分解反応それ自体は公知であり、反応時間、反応温度、反応媒体等の条件は、上記の条件に限定されず、目的の化学反応に応じて適宜に設定することができる。例えば、化学ハンドブック(鈴木周一・向山光昭編、朝倉書店、2005)、マイクロ波化学プロセス技術II(竹内和彦、和田雄二監修、シーエムシー出版、2013)、特開2010−215677号公報、特開2011−137226号公報等を参照し、化学反応条件を適宜に設定することができる。
図1は、本発明に水素の製造方法に適用するのに好適なマイクロ波照射システム(10)の一実施形態を模式的に示す図面である。この実施形態では、空胴共振器(1)として円筒形の空胴共振器を用いており、その中心軸に平行な壁面(円筒の外周)には、2箇所にマイクロ波供給口(2,3)が設けられている。図1の形態では、マイクロ波供給口は、高周波を印加することができるアンテナである。また、空胴共振器に設けられた2つのアンテナは、それぞれのアンテナと、空胴共振器の中心軸とを結ぶ2つの直線のなす角度が90°となっている。この2つのアンテナは、ケーブル(4、5)を介してマイクロ波発振器と接続されている。
マイクロ波発振器から発せられたマイクロ波を2つのアンテナ(2、3)から空胴共振器内に供給するに当たり、2つのアンテナから供給されるマイクロ波の位相を0°〜360°の範囲で互いにずらして供給することにより、空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を制御することが可能となる。
図1の形態において、2つのアンテナから空胴共振器内に供給するマイクロ波の周波数は同じである。この定在波の周波数は、空胴共振器内に定在波を形成できれば特に制限はなく、例えば、1つのアンテナのみからマイクロ波を供給した場合に、空胴共振器内に上述したTMmn0モードの定在波が形成される周波数とすることができる。
また図1に示す形態において、アンテナのかわりに導波管を用いたマイクロ波供給口を設置した形態とすることもできる。供給するマイクロ波の周波数を伝送できる矩形導波管あるいは円筒導波管と空胴共振器とを適切な開口部を有したアイリスを介して接続することで、マイクロ波発振器からの電磁波エネルギーを空洞共振器に導入することができる。
なお、上記の各形態は、本発明に適用可能なマイクロ波照射システムの一例を模式的に示すものであり、本発明に適用可能なマイクロ波照射システムは、本発明で規定すること以外は、上記の形態に何ら限定されるものではない。
上記マイクロ波照射システムでは、空胴共振器内に上述した触媒を配し、空胴共振器内に形成した定在波によって、この触媒を局所的に又はこの触媒の略全体を加熱する形態とすることにより、触媒の加熱により接触分解反応を生じさせる水素の製造システムとして用いることができる。
本発明の水素の製造方法に適用可能な接触分解反応システムの一例を図19に示す。図19に示す接触分解反応システムは、空胴共振器の一端に反応原料(アンモニア、アルコール又は飽和炭化水素)を供給する反応原料供給口を有し、他端には水素を含む反応生成物を排出する反応生成物排出口が設けられている。つまり、空胴共振器それ自体が反応管として機能する。
図19に示す接触分解反応システムにおいては、空胴共振器の内壁を反応管外壁としているが、空胴共振器内にマイクロ波を透過する材料(例えば、石英等のガラス材料、テフロン等の樹脂材料、アルミナ等のセラミック材料)からなる反応管を設置し、この反応管の一端が反応原料供給口と連なり、他端が反応生成物排出口と連なる形態とすることもできる。
反応原料は供給口に設けたポンプにより導入することができ、また、排出口に吸引ポンプ等を設けて吸引することにより、反応原料供給口から原料を吸引する形態とすることもできる。
接触分解反応システムを用いて触媒反応を行わせる場合には、目的の触媒を、空胴共振器やその内部に配した反応管内に一様に充填させてもよい。また、図19に網目構造として示されるような、触媒を担持したハニカム構造体を配することも好ましい。また、触媒は、空胴共振器内に形成された電界強度分布の極大部分等、目的に合わせて所望の位置に配することができる。例えば、ドーナツ状に電界集中領域を形成する場合には、当該ドーナツ状の部分に沿って触媒を配することにより、マイクロ波加熱時の反応効率をより高めることが可能となる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
[参考例1]
図1に示すマイクロ照射システム(10)を用いて、空胴共振器内に、マイクロ波供給口からTM110の定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給し、空胴共振器内に形成される電界強度分布を調べた。以下詳説する。
内径150mmで高さが20mmの円筒型空胴共振器(1)の円周壁に、マイクロ波供給口として磁界励振型の基準アンテナ(2)を配置した。基準アンテナ(2)の電力供給側(図1に示された基準アンテナ(2)の上側)には周波数fで電圧V1の高周波を印加し、反対側(図1に示された基準アンテナの下側)は、空胴共振器(1)の内壁に電気的に接続してグランド電位となるように配線した。
基準アンテナ(2)に加え、基準アンテナ(2)と同様にして補助アンテナ(3)を配置した。補助アンテナ(3)は、基準アンテナ(2)と空胴共振器(1)の中心軸とを結ぶ直線と、補助アンテナ(3)と空胴共振器(1)中心軸とを結ぶ直線とがなす角度が、90°となるように配置した。また、補助アンテナ(3)の電力供給側(図1に示された補助アンテナ(3)の上側)には周波数fで電圧V2の高周波を印加でき、反対側(図1に示された補助アンテナ(3)の下側)は、空胴共振器(1)の内壁に電気的に接続してグランド電位となるように配線した。
こうしてマイクロ波照射システム(10)を構築した。
マイクロ波照射システム(10)の空胴共振器に対して、基準アンテナ(2)から、周波数f=2.4377GHzの高周波を印加したときの、空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を図2に示す。ただし、このとき補助アンテナ(3)には電圧を印加せずグランド電位になるよう固定した。図2に示すように、基準アンテナ(2)の近傍の電界強度と、円筒中心軸を対称軸として基準アンテナ(2)とは反対側の電界強度が強くなることがわかる。図2に示す定在波は、円筒型空胴共振器の直径方向に電界強度が極大となる部分が2箇所存在し、円筒軸方向の電界強度は一定(厚さ方向で電界強度の変化がない)であり、TM110モードの定在波と称される。
次に、基準アンテナへの高周波印加を止めて、グランド面と同電位となるように基準アンテナ(2)を固定した。他方、補助アンテナ(3)へ周波数f=2.4377GHzの高周波を印加した。このときの空胴共振器内の電界強度分布を図3に示す。図3に示すように、基準アンテナ(2)に高周波を印加したときと同様にTM110モードの定在波が形成されるが、電界強度の極大部分が、基準アンテナ(2)に高周波を印加したときに対して円筒軸を中心に90°回転した状態となることがわかる。
このように、マイクロ波供給口(高周波を印加するアンテナ)を切り替えることにより定在波の電界強度分布を切り替えることができる。
[参考例2]
円筒型空胴共振器の内径147mm、高さ20mmとしたこと以外は参考例1と同様の構成のマイクロ照射システムを用いた。空胴共振器内に、厚さ0.1mmの上質紙を試験片として挿入し、基準アンテナ(2)から周波数f=2.495GHz、40Wのマイクロ波を30秒間、空胴共振器内に供給し(このとき補助アンテナ(3)はグランド電位とした)、空胴共振器内にTM110モードの定在波を形成させた。試験片の温度分布を、サーモグラフィー(Testo社製868)を用いて測定した結果を図4に示す。図4において、マイクロ波は図4の左側から供給されている。
また、補助アンテナから周波数f=2.495GHz、40Wのマイクロ波を30秒間、空胴共振器内に供給し(このとき基準アンテナはグランド電位とした)、空胴共振器内にTM110モードの定在波を形成させた場合の試験片の温度分布を図5に示す。図5において、マイクロ波は図5の上側から供給されている。
図4及び5に示されるように、試験片が、電界強度分布と一致して加熱されていることがわかる。
[実施例1A]
参考例1と同じサイズ、構成のマイクロ照射システムを用いて、マイクロ波供給口(アンテナ)からTM110の定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給し、各マイクロ波の位相のずれと、空胴共振器内に形成される電界強度分布との関係を調べた。以下に詳説する。
基準アンテナ(2)に印加する高周波電圧V1を式1で示す場合、位相をφ遅らせた高周波電圧は式2で示すことができる。

V1=Vcos(wt) 式1
V2=Vcos(wt+φ) 式2

内径150mmの円筒型空洞共振器に対し、基準アンテナ(2)から高周波電圧V1を供給し、高周波電圧V2を補助アンテナ(3)に印加した場合の、空胴共振器内の電界強度分布を図6に示す。V1、V2として周波数f=2.4377GHzの高周波を供給した場合、図6に示すように、空胴共振器内には2つの位相を合成した定在波が形成されることがわかる。より具体的には、位相差φ=0°の場合、基準アンテナと補助アンテナの中間の位置と、円筒軸を回転軸として当該位置を180°回転した位置の2箇所に電界強度の極大領域が形成される。そして、位相差φを0〜180°の範囲内で変化させると、位相差に応じて電界強度分布が切り替わり、位相差φ=180°のときには、位相差φ=0°のときに対して、円筒軸を回転軸として90°回転させた状態の電界強度分布となることがわかる。
また、位相差φ=90°のときは、電界強度極大領域がドーナツ状に広がった定在波が形成されることがわかる。
[実施例1B]
参考例2と同じサイズ、構成のマイクロ照射システムを用いて、実施例1Aと同様に位相を調整して空胴共振器内にマイクロ波を供給した。このときのマイクロ波電力は10Wとし、10秒間マイクロ波を供給した状態における、空胴共振器内に配した試験片(上質紙)の発熱パターンを調べた。結果を図7に示す。試験片の発熱パターンと電界強度分布とが一致していた。
なお、位相差φ=90°の場合、図7に示すようにドーナツ状の電界強度極大領域にそって、試験片の温度が高くなっており、中心部分の温度は低い。しかし、マイクロ波供給時間を10秒よりも長くして、マイクロ波を5分間供給した状態の加熱パターンを調べると、ドーナツの中心部分にあたる領域もドーナツ状の部分と同等のレベルまで十分に加熱することができた。これは、ドーナツ状の高温部から中心への熱伝導においては、すべての方向から中心部へのエネルギー輸送が生じるためである。すなわち、ドーナツ状の電界強度分布を形成することにより、被加熱体の広範な範囲を均一に加熱することが可能となる。
位相の調整は、位相器を用いれば、100ナノ秒オーダーのレベルで瞬時に行うことができ、また、位相の連続的な調整も可能となる。従来、定在波パターンの切り替えは機械的操作により行っており、切り替えに秒オーダーの時間を要し、また装置構造も複雑で、装置寿命、軽量化、設置環境等において制約があった。本発明は、これらの問題のすべてを解決し得る技術となり得るものである。
[実施例2]
空胴共振器として内径150mmで高さが20mmの円筒型空胴共振器を用い、基準アンテナと補助アンテナの各アンテナと、円筒中心軸とを結ぶ2つの直線のなす角を45°としたこと以外は、図1に示す構成のマイクロ波照射システムと同様の構成のマイクロ波照射システムを用いて、基準アンテナと補助アンテナの両マイクロ波供給口から、周波数f=3.2675GHzの高周波を、互いの位相をずらして印加した。周波数f=3.2675GHzの高周波は、空胴共振器内にTM210モードの定在波を形成できるマイクロ波である。結果を図8に示す。
図8に示されるように、位相差φを調整することにより、電界強度分布を切り替えることができる。
[実施例3]
空胴共振器として内径150mmで高さが20mmの円筒型空胴共振器を用い、基準アンテナと補助アンテナの各アンテナと、円筒中心軸とを結ぶ2つの直線のなす角を30°としたこと以外は、図1に示す構成のマイクロ波照射システムと同様の構成のマイクロ波照射システムを用いて、基準アンテナと補助アンテナの両マイクロ波供給口から、周波数f=4.0595GHzの高周波を、互いの位相をずらして印加した。周波数f=4.0595GHzの高周波は、空胴共振器内にTM310モードの定在波を形成できるマイクロ波である。結果を図9に示す。
図9に示されるように、位相差φを調整することにより、電界強度分布を切り替えることができる。
[実施例4]
空胴共振器として内径150mmで高さが20mmの円筒型空胴共振器を用い、基準アンテナと補助アンテナの各アンテナと、円筒中心軸とを結ぶ2つの直線のなす角を30°としたこと以外は、図1に示す構成のマイクロ波照射システムと同様の構成のマイクロ波照射システムを用いて、基準アンテナと補助アンテナの両マイクロ波供給口から、周波数f=4.8284GHzの高周波を、互いの位相をずらして印加した。周波数f=4.8284GHzの高周波は、空胴共振器内にTM410モードの定在波を形成できるマイクロ波である。結果を図10に示す。
図10に示されるように、位相差φを調整することにより、電界強度分布を切り替えることができる。
[実施例5]
空胴共振器として内径150mmで高さが20mmの円筒型空胴共振器を用い、基準アンテナと補助アンテナの各アンテナと、円筒中心軸とを結ぶ2つの直線のなす角を90°としたこと以外は、図1に示す構成のマイクロ波照射システムと同様の構成のマイクロ波照射システムを用いて、基準アンテナと補助アンテナの両マイクロ波供給口から、周波数f=4.4639GHzの高周波を、互いの位相をずらして印加した。周波数f=4.4639GHzの高周波は、空胴共振器内にTM120モードの定在波を形成できるマイクロ波である。結果を図11に示す。
図11に示されるように、位相差φを調整することにより、電界強度分布を切り替えることができる。
[実施例6]
空胴共振器として内径150mmで高さが20mmの円筒型空胴共振器を用い、基準アンテナと補助アンテナの各アンテナと、円筒中心軸とを結ぶ2つの直線のなす角を45°としたこと以外は、図1に示す構成のマイクロ波照射システムと同様の構成のマイクロ波照射システムを用いて、基準アンテナと補助アンテナの両マイクロ波供給口から、周波数f=5.3565GHzの高周波を、互いの位相をずらして印加した。周波数f=5.3565GHzの高周波は、空胴共振器内にTM220モードの定在波を形成できるマイクロ波である。結果を図12に示す。
図12に示されるように、位相差φを調整することにより、電界強度分布を切り替えることができる。
[参考例3]
空胴共振器として直方体空胴共振器(幅150mm、奥行き150mm、厚さ20mm)を用い、図13に示すように、幅方向中央と奥行き方向中央に基準アンテナと補助アンテナを設置し、マイクロ波照射システムを構築した。基準アンテナのみから周波数f=2.2346GHzの高周波を印加したときに形成される定在波の電界強度分布を図14に、補助アンテナのみから周波数f=2.2346GHzの高周波を印加したときに形成される定在波の電界強度分布を図15に示す。これらの定在波はTE102モードである。
[実施例7]
上記参考例3において、基準アンテナと補助アンテナの両マイクロ波供給口から、周波数f=2.2346GHzの高周波を、互いの位相をずらして印加した。結果を図16に示す。
図16に示されるように、位相差φを調整することにより、電界強度分布を切り替えることができる。
[実施例8]
図17に示すように、円筒型空胴共振器(内径150mm、厚さ20mm)に基準アンテナ(2)、補助アンテナA(3a)、補助アンテナB(3b)を設置した構造のマイクロ波照射システムを構築した。互いに隣接する2つのアンテナと中心軸とを結ぶ2つの直線がなす角度を120°とした。
周波数f=2.4377GHzの高周波を基準アンテナに印加し、補助アンテナAと補助アンテナBには、下記式を満たすように、基準アンテナに印加した高周波に対する位相差をそれぞれφと2φとして、周波数f=2.4377GHzの高周波を印加した。

基準アンテナに印加する高周波V1=Vcos(wt)
補助アンテナAに印加する高周波V2=Vcos(wt+φ)
補助アンテナBに印加する高周波V3=Vcos(wt+φ+φ)

空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を図18に示す。
図18に示されるように、位相差φを調整することにより、電界強度分布を切り替えることができる。

上記したマイクロ波照射システムを用いることにより、空胴共振器内に配した触媒の加熱状態を、供給されるマイクロ波の位相制御により瞬時に切り替えることができる。結果、触媒がアンモニア、アルコール、及び飽和炭化水素から選ばれる化合物に作用して生じる接触分解反応の進行を精密に制御することが可能となり、水素の製造効率、生産量等を自在に制御することが可能となる。
10 マイクロ波照射システム(マイクロ波照射装置)
1 空胴共振器
2 基準アンテナ(マイクロ波供給口)
3 補助アンテナ(マイクロ波供給口)
4 伝送ケーブル
5 伝送ケーブル

Claims (7)

  1. 加熱した触媒がアンモニア、アルコール、及び飽和炭化水素から選ばれる化合物に作用して生じる接触分解反応により水素を得ることを含む水素の製造方法であって、
    前記水素の製造方法は、内部に前記触媒を配した空胴共振器に対し、該空胴共振器内に定在波を形成できる周波数のマイクロ波を、該空胴共振器に設けられた2つ以上のマイクロ波供給口から同時にかつ位相を調整して供給することにより、該空胴共振器内に定在波を電界強度分布を切り替え可能に形成して前記触媒の加熱領域を制御することを含む、水素の製造方法。
  2. 前記空胴共振器に供給される前記マイクロ波の周波数が、該空胴共振器内にTMmnp(mは1以上の整数、nは1以上の整数、pは0以上の整数)モードの定在波、又はTEmnp(mは0以上の整数、nは0以上の整数、pは1以上の整数)モードの定在波を形成できる周波数である、請求項1記載の水素の製造方法。
  3. 前記空胴共振器内に形成した定在波による前記触媒の加熱中に、各マイクロ波供給口から供給している各マイクロ波のうち、少なくとも1つのマイクロ波供給口から供給しているマイクロ波の位相を調整し、この位相の調整により前記空胴共振器内に形成される定在波の電界強度分布を変化させて前記触媒の加熱領域を切り替える、請求項1又は2記載の水素の製造方法。
  4. 前記空胴共振器内に、該空胴共振器の中心軸方向に沿って電界強度分布が一定の、ドーナツ状に電界集中領域を形成することを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の水素の製造方法。
  5. 前記空胴共振器がマイクロ波供給口を2つ有し、前記空胴共振器に供給される前記マイクロ波の周波数が、TM110モードの定在波を形成できる周波数である、請求項1〜4のいずれか1項記載の水素の製造方法。
  6. 前記触媒が、コバルト、ニッケル、ルテニウム、銅、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びルビジウムから選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項記載の水素の製造方法。
  7. 前記触媒がハニカム構造体に担持された状態で前記空胴共振器内に配されている、請求項1〜6のいずれか1項記載の水素の製造方法。
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