JP2005108449A - マイクロ波加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 温度上昇に伴ってマイクロ波吸収体及び被加熱流体の誘電特性が変化しても空胴共振器内の共振を常時維持でき、マイクロ波の反射を防止してエネルギー効率を高水準に維持し、省電力でより急速な加熱を可能とするマイクロ波加熱装置の提供。
【解決手段】 マイクロ波加熱装置は、マイクロ波導入口15を有する空胴共振器1と、マイクロ波Wを発生して前記導入口15を介して空胴共振器1内にマイクロ波Wを供給するマイクロ波発生手段2と、空胴共振器1内に配置され被加熱流体Fを通す加熱管11と、該管11内に収納されマイクロ波Wを吸収して発熱するマイクロ波吸収体12と、前記導入口15の大きさを調節する導入口調節手段16と、空胴共振器1内の空胴の大きさを調節する空胴調節手段18と、前記手段16及び前記手段18に接続され加熱中に空胴共振器1内の共振が維持されるように前記手段16及び/又は前記手段18を制御する制御手段3と、を具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】 マイクロ波加熱装置は、マイクロ波導入口15を有する空胴共振器1と、マイクロ波Wを発生して前記導入口15を介して空胴共振器1内にマイクロ波Wを供給するマイクロ波発生手段2と、空胴共振器1内に配置され被加熱流体Fを通す加熱管11と、該管11内に収納されマイクロ波Wを吸収して発熱するマイクロ波吸収体12と、前記導入口15の大きさを調節する導入口調節手段16と、空胴共振器1内の空胴の大きさを調節する空胴調節手段18と、前記手段16及び前記手段18に接続され加熱中に空胴共振器1内の共振が維持されるように前記手段16及び/又は前記手段18を制御する制御手段3と、を具備する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、マイクロ波エネルギーを用いて、ガス、液体等の流体を急速に加熱できるマイクロ波加熱装置に関する。
排ガス等の温度を急速に上昇させる方法として、従来から通電加熱又は電気ヒータが用いられているが、このような方法は装置全体を加熱するため大電力を必要とし、小型、軽量化できないという問題があった。
そのため、このような問題を解決する方法として、マイクロ波エネルギーを用いて必要な部分のみを加熱する方法が提案されている。例えば、特開平6−2535号公報(特許文献1)及び特開平9−151724号公報(特許文献2)には、マイクロ波吸収材を担持した浄化装置を加熱室に用い、マイクロ波で急速加熱させる方法が記載されている。また、特開平6−123222号公報(特許文献3)には、マイクロ波が加熱室から反射して発振器(マグネトロン)を損傷させないように、加熱室に接続された導波管内にダイポールアンテナを設置してマイクロ波の反射を防止する方法が記載されている。更に、SAE Paper 1999−01−2245(非特許文献1)には、加熱室として円筒型の空胴共振器を用い、触媒が担持されている浄化装置の手前にマイクロ波吸収体を設置して排出ガスをマイクロ波で高温に加熱する方法が記載されている。
しかしながら、上述の従来のマイクロ波加熱方法においては、加熱室(空胴共振器)内にマイクロ波吸収体を配置してマイクロ波を照射すると、マイクロ波吸収体のみが選択的に加熱されるものの、温度上昇に伴ってマイクロ波吸収体及び加熱室内を流れる被加熱流体の誘電特性が変化するため、加熱室内の共振が維持できなくなり、マイクロ波エネルギーが効率よく加熱室内に導入されなくなるという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、温度上昇に伴ってマイクロ波吸収体及び被加熱流体の誘電特性が変化しても空胴共振器内の共振を常時維持でき、マイクロ波の反射を防止してエネルギー効率を高水準に維持し、省電力でより急速な加熱を可能とするマイクロ波加熱装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、マイクロ波吸収体を収納している加熱管を内部に配置した空胴共振器にマイクロ波導入口の大きさを調節する導入口調節手段と空胴共振器内の空胴の大きさを調節する空胴調節手段とを設け、加熱中に空胴共振器内の共振が維持されるようにそれらを制御することによって前記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のマイクロ波加熱装置は、
マイクロ波導入口を有する空胴共振器(加熱室)と、
マイクロ波を発生して前記マイクロ波導入口を介して前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生手段と、
前記空胴共振器内に配置されており、被加熱流体を通す加熱管と、
前記加熱管内に収納されており、前記マイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波吸収体と、
前記マイクロ波導入口の大きさを調節する導入口調節手段と、
前記空胴共振器内の空胴の大きさを調節する空胴調節手段と、
前記導入口調節手段及び前記空胴調節手段に接続されており、加熱中に前記空胴共振器内の共振が維持されるように前記導入口調節手段及び/又は前記空胴調節手段を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とするものである。
マイクロ波導入口を有する空胴共振器(加熱室)と、
マイクロ波を発生して前記マイクロ波導入口を介して前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生手段と、
前記空胴共振器内に配置されており、被加熱流体を通す加熱管と、
前記加熱管内に収納されており、前記マイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波吸収体と、
前記マイクロ波導入口の大きさを調節する導入口調節手段と、
前記空胴共振器内の空胴の大きさを調節する空胴調節手段と、
前記導入口調節手段及び前記空胴調節手段に接続されており、加熱中に前記空胴共振器内の共振が維持されるように前記導入口調節手段及び/又は前記空胴調節手段を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とするものである。
本発明のマイクロ波加熱装置によれば、マイクロ波発生手段から発せられたマイクロ波がマイクロ波導入口を介して空胴共振器内に供給され、空胴共振器内に配置された加熱管内に収納されているマイクロ波吸収体がそのマイクロ波を効率的に吸収して熱変換することによって短時間で加熱される。そして、マイクロ波吸収体に蓄積された熱が加熱管内を通る被加熱流体に伝播し、被加熱流体が急速に加熱される。その際、温度上昇に伴ってマイクロ波吸収体及び被加熱流体の誘電特性が変化するが、本発明のマイクロ波加熱装置においては、制御手段によって導入口調節手段及び/又は空胴調節手段が空胴共振器内の共振が維持されるように制御され、すなわちマイクロ波導入口の大きさ及び/又は空胴共振器内の空胴の大きさの調節によって空胴共振器内の共振が常時維持される。そのため、本発明のマイクロ波加熱装置によれば、従来のように加熱に伴って共振がとれなくなる(変動する)ことがなく、空胴共振器内の共振が常時維持されてマイクロ波の反射が十分に防止されるため、エネルギー効率が高水準に維持され、省電力でより急速な加熱が可能となる。
本発明のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波発生手段とマイクロ波導入口との間に方向性結合器を更に備えていることが好ましく、方向性結合器は制御手段に接続される。そして、方向性結合器によって測定される空胴共振器からのマイクロ波反射率が小さくなるように(より好ましくはマイクロ波反射率が最小になるように)、前記の導入口調節手段及び/又は前記空胴調節手段を制御することが好ましい。空胴共振器内の共振がとれなくなる(変動する)と空胴共振器から反射されるマイクロ波が増えてマイクロ波反射率が増加するため、方向性結合器でマイクロ波反射率を測定することによって空胴共振器内の共振の状態がモニターされ、そのマイクロ波反射率が小さく(より好ましくは最小に)なるように導入口調節手段及び/又は空胴調節手段を制御することによって空胴共振器内が最適な共振状態に維持される。
また、本発明のマイクロ波加熱装置においては、空胴共振器が単一モードの直方体型空胴共振器(より好ましくはTE10n(nは整数)単一モードの直方体型空胴共振器)であり、導入口調節手段がマイクロ波導入口に配置されている可変結合窓であり、空胴調節手段が空胴共振器内に配置されている可動短絡板であることが好ましい。このように空胴共振器が単一モードの直方体型空胴共振器であると、多重モードが発生しないためマイクロ波吸収体及び被加熱流体の誘電特性が変化しても空胴共振器内の電磁界モードは変わることがなく、かつ、空胴共振器内に多数の定在波が存在することなくマイクロ波吸収体内の電界分布が一様であるため、空胴共振器内の共振状態を効率良くかつ確実に維持することができ、しかも導入された被加熱流体がより均一に加熱される。更に、このような可変結合窓や可動短絡板を用いることにより、空胴共振器内の共振状態の維持がより確実にかつ簡便に可能となる。
更に、本発明のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ波吸収体が空胴共振器内の電界強度が最大の位置を含むように配置され、被加熱流体の進行方向が空胴共振器内の電界の方向と略一致するように加熱管が配置されていることが好ましい。このように電界強度が最大の位置を含むようにマイクロ波吸収体を配置することにより、マイクロ波がマイクロ波吸収体により効率良く吸収され、エネルギー効率がより向上する。また、被加熱流体の進行方向が空胴共振器内の電界の方向と略一致するように加熱管を配置することにより、被加熱流体がより均一に加熱され、また加熱管の出入ロに反射板を設置する必要がなくなるため、圧力損失の増加が防止され、被加熱流体として気体のみならず液体を急速加熱することが可能となる。
本発明のマイクロ波加熱装置によれば、温度上昇に伴ってマイクロ波吸収体及び被加熱流体の誘電特性が変化しても空胴共振器内の共振を常時維持でき、マイクロ波の反射を防止してエネルギー効率を高水準に維持し、被加熱流体を省電力でより急速に加熱することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ本発明のマイクロ波加熱装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。
図1は、本発明のマイクロ波加熱装置の好適な一実施形態の基本構成を示す模式図であり、図2は、図1に示すマイクロ波加熱装置の空胴共振器を示す斜視図であり、図3は、図2に示す空胴共振器のIII−III断面を示す側断面図である。
図1〜3に示すマイクロ波加熱装置は、空胴共振器1と、空胴共振器1内にマイクロ波Wを供給するマイクロ波発生手段2とを備えている。なお、本発明において、マイクロ波とは、0.3〜30GHz帯(波長10mm〜1m)の電波を示し、いわゆるセンチ波及び極超短波といわれる電波が含まれる。マイクロ波発生手段2は、上記の周波数帯のマイクロ波を発振するものであればよく、通常はマグネトロン、クライストロン、ガン・ダイオード等が用いられる。
また、空胴共振器1は、マイクロ波Wの共振器として使用される金属壁(例えばステンレス、アルミニウム、銅等)10で囲まれた空胴であり、図1〜3に示すものはエネルギー集中型の単一モードの直方体型空胴共振器であり、TE10n(Transverse Electric Wave、図示したものはn=1)モードのものである。そして、この単一モードの直方体型空胴共振器は、その空胴内にマイクロ波Wの進行方向と垂直方向にそれぞれ1/2波長の定在波Sが発生するように設計されている。
そして、空胴共振器1内には被加熱流体Fを通す加熱管11が配置されており、加熱管11内にはマイクロ波Wを吸収して発熱するマイクロ波吸収体12が収納されている。また、加熱管11には、被加熱流体Fを加熱管11に導入し、さらに加熱管11内で加熱された被加熱流体Fを導通するための金属管(例えばステンレス、アルミニウム、銅等)13が接続されており、空胴共振器1内のマイクロ波が外部に漏れない構造となっている。更に、金属管13と加熱管11の間には被加熱流体Fが漏れないようにシール(図示せず)が施されている。
このような加熱管11は、マイクロ波を透過し易くかつ耐熱性が高い材料が好ましく、高純度アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、マグネシア、窒化ホウ素等のセラミックス製の管が好適に用いられる。また、加熱管11の周囲は断熱材14で覆われており、このような断熱材14もマイクロ波を透過し易いものが好ましく、耐熱用アルミナファイバー等のセラミックス繊維製の断熱材が好適に用いられる。
また、マイクロ波吸収体12を構成する材料は、誘電損失ε”が大きく(好ましくはε”=0.5〜5)、マイクロ波の吸収特性の高い材料であればよい。このような材料としては、特に制限されないが、ケイ素、亜鉛、銅、マンガン、コバルト、鉄、錫、ホウ素、チタンを主成分とする炭化物や酸化物等の半導体材料、もしくは、これらに炭素を分散させた材料が好ましく、誘電損失ε”が約2.3と極めて大きい炭化ケイ素(SiC)が特に好ましい。また、マイクロ波吸収体12は、被加熱流体Fが通過し易く圧力損失ができるだけ小さいものであることが好ましく、多孔質体やハニカム構造体がより好ましく、繊維状の材料からなる織布又は不織布であってもよい。さらに、マイクロ波吸収体12の表面に、酸化触媒、窒素酸化物(NOx)還元触媒、NOx吸蔵触媒等の触媒を担持して、被加熱流体を酸化熱でさらに加熱する、あるいは、加熱と同時に排気浄化することもできる。
そして、マイクロ波吸収体12は、空胴共振器1内の電界Eの強度が最大の位置を含むように配置されており、更に被加熱流体Fの進行方向が空胴共振器1内の電界Eの方向と略一致するように加熱管11が配置されている。
また、空胴共振器1の長手方向の一端にはマイクロ波導入口15が存在し、そこには横手方向Aにスライドしてマイクロ波導入口15の大きさを調節することができる可変結合窓16が設けてある。そして、可変結合窓16には結合窓駆動部(例えばモーター)17を介して制御回路(例えばCPU)3が接続されており、被加熱流体の種類、流量、温度等に合わせて最適な結合状態が得られるように、そして加熱中に空胴共振器1内の最適な共振状態が維持されるように、制御回路3によって可変結合窓16が制御されるように構成されている。なお、可変結合窓16の具体的な構成は特に限定されないが、空胴共振器1と同様の材料からなる金属板、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、黄銅等が好適に使用される。
更に、空胴共振器1の長手方向の他端には、長手方向Bにスライドして空胴共振器1内の空胴の大きさを調節することができる可動短絡板18が設けてある。そして、可動短絡板18には短絡板駆動部19(例えばモーター)を介して制御回路3が接続されており、加熱中に空胴共振器1内の最適な共振状態が維持されるように、前述の可変結合窓16と共に制御回路3によって可動短絡板18が制御されるように構成されている。なお、可動短絡板18の具体的な構成も特に限定されないが、空胴共振器1と同様の材料からなる金属板、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、黄銅等が好適に使用される。
また、空胴共振器1のマイクロ波導入口15には同軸−導波管変換器4が接続され、更に途中に方向性結合器5が設置されている同軸ケーブル6を介してマイクロ波発生手段2が接続されている。そして、方向性結合器5は制御手段3に接続されており、方向性結合器5によって測定される空胴共振器1からのマイクロ波反射率{(反射電力/入射電力)×100}が最小になるように可変結合窓16と可動短絡板18とが制御回路3によって制御されるように構成されている。マイクロ波を高出力で使用する場合には、マイクロ波発生手段2とマイクロ波導入口15との間が、同軸−導波管変換器4及び同軸ケーブル6の替わりに、方向性結合器5が設置されている導波管で接続されていることが好ましい。なお、空胴共振器1からのマイクロ波反射率は10%以下に維持されることが好ましい。
以上、本実施形態のマイクロ波加熱装置の構成について説明したが、次に本実施形態のマイクロ波加熱装置における作用について説明する。すなわち、本実施形態のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ波発生手段2から発せられたマイクロ波Wが同軸ケーブル6を介して伝送され、同軸−導波管変換器4でモード変換された後、マイクロ波導入口15から空胴共振器1内に導入される。そして、空胴共振器1内に配置された加熱管11内に収納されているマイクロ波吸収体12がマイクロ波Wを効率的に吸収して熱変換し、短時間で急速に加熱される。更に、マイクロ波吸収体12に蓄積された熱が加熱管11内を通る被加熱流体Fに伝播し、被加熱流体Fが急速に加熱されることとなる。
そして、本実施形態のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ波吸収体12が空胴共振器1内の電界Eの強度が最大の位置を含むように配置されているため、マイクロ波Wがマイクロ波吸収体12に効率良く吸収され、エネルギー効率の向上が達成される。また、被加熱流体Fの進行方向が空胴共振器1内の電界Eの方向と略一致するように加熱管11が配置されているため、被加熱流体Fが均一に加熱され、更に加熱管11の出入ロには反射板のような圧力損失の増大をもたらすものがないことから、被加熱流体Fとして気体のみならず液体を通して急速加熱することも可能である。
更に、本実施形態のマイクロ波加熱装置においては、方向性結合器5によって空胴共振器1からのマイクロ波反射率{(反射電力/入射電力)×100}が測定され、そのマイクロ波反射率が最小になるように制御回路3によって可変結合窓16と可動短絡板18とが制御回路3によって制御される。すなわち、温度上昇に伴ってマイクロ波吸収体12及び被加熱流体Fの誘電特性が変化して空胴共振器1内の共振がとれなくなる(変動する)と空胴共振器1から反射されるマイクロ波が増えてマイクロ波反射率が増加する。そのため、方向性結合器5でマイクロ波反射率を測定することによって空胴共振器1内の共振の状態がモニターされ、そのマイクロ波反射率が最小となるように可変結合窓16と可動短絡板18を制御してマイクロ波導入口の大きさ及び/又は空胴共振器内の空胴の大きさを調節することにより、空胴共振器1内の共振が常時最適の状態に維持される。
その結果、本発明のマイクロ波加熱装置によれば、従来のように加熱に伴って共振がとれなくなる(変動する)ことがなく、空胴共振器1内の共振が常時最適の状態に維持され、マイクロ波の反射が十分に防止されるため、エネルギー効率が高水準に維持され、被加熱流体Fがより少ない電力でより急速に加熱されることとなる。
以上、本発明のマイクロ波加熱装置の好適な一実施形態について説明したが、本発明のマイクロ波加熱装置は上記実施形態に限定されるものではない。
すなわち、上記実施形態においては空胴共振器としてTE101単一モードの直方体型空胴共振器でマイクロ波の進行方向と垂直方向にそれぞれ1/2波長の定在波が発生するように設計されているものを用いたが、これに限定されるものではなく、マイクロ波の進行方向に複数の定在波が存在するTE10nモードであってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1〜3に示すマイクロ波加熱装置を、以下の各構成要素を用いて構成した。
・空胴共振器:TE101単一モード直方体型空胴共振器、ステンレス製、空胴寸法110mm×55mm×75mm;
・マイクロ波発生手段:マグネトロン発振器、周波数2.45GHz、最大出力300W;
・制御回路:反射率が0になるようにパーソナルコンピュータで自動制御;
・同軸−導波管変換器;
・方向性結合器;
・加熱管:高純度アルミナ管(純度99.6%)、直径50mm、長さ55mm;
・マイクロ波吸収体:多孔質SiC(ε”=約2.3);
・金属管:ステンレス管;
・断熱材:耐熱用アルミナファイバー;
・可変結合窓:黄銅;
・可動短絡板:黄銅。
図1〜3に示すマイクロ波加熱装置を、以下の各構成要素を用いて構成した。
・空胴共振器:TE101単一モード直方体型空胴共振器、ステンレス製、空胴寸法110mm×55mm×75mm;
・マイクロ波発生手段:マグネトロン発振器、周波数2.45GHz、最大出力300W;
・制御回路:反射率が0になるようにパーソナルコンピュータで自動制御;
・同軸−導波管変換器;
・方向性結合器;
・加熱管:高純度アルミナ管(純度99.6%)、直径50mm、長さ55mm;
・マイクロ波吸収体:多孔質SiC(ε”=約2.3);
・金属管:ステンレス管;
・断熱材:耐熱用アルミナファイバー;
・可変結合窓:黄銅;
・可動短絡板:黄銅。
このようにして構成されたマイクロ波加熱装置を用いて、被加熱流体が気体の例として空気を加熱した。マイクロ波出力を250Wとし、1m3/minの流量で空気を加熱管に供給しながら、空胴共振器からのマイクロ波の反射率{(反射電力/入射電力)×100}が最小となるように可変結合窓及び可動短絡板を制御した。その結果、マイクロ波の照射を開始してから約30秒で室温から約400℃に急速に加熱され、その後一定温度の高温流体が得られた。また、空胴共振器からのマイクロ波の反射率は常に10%以下に維持され、空胴共振器内における共振は常に最適の状態に維持された。
更に、150℃に予熱した空気を供給したところ、マイクロ波の照射を開始してから約20秒で400℃以上に急速に加熱され、予熱した空気を供給することによりさらに効率的な加熱が行えることが確認された。
(実施例2)
実施例1と同じ構成のマイクロ波加熱装置を用いて、被加熱流体が液体の例として水を加熱した。マイクロ波出力を300Wとし、5L/minの流量で水を加熱管に供給しながら、空胴共振器からのマイクロ波の反射率{(反射電力/入射電力)×100}が最小となるように可変結合窓及び可動短絡板を制御した。その結果、マイクロ波の照射を開始してから約30秒で室温から80℃以上に急速に加熱され、その後一定温度の高温流体が得られた。また、空胴共振器からのマイクロ波の反射率は常に10%以下に維持され、空胴共振器内における共振は常に最適の状態に維持された。なお、被加熱流体として水を用いた場合、水の誘電損失ε”は約10であり、マイクロ波吸収体(SiC)よりも大きいため、空気の場合と異なり水自身もマイクロ波加熱され、より効果的な加熱が達成された。
実施例1と同じ構成のマイクロ波加熱装置を用いて、被加熱流体が液体の例として水を加熱した。マイクロ波出力を300Wとし、5L/minの流量で水を加熱管に供給しながら、空胴共振器からのマイクロ波の反射率{(反射電力/入射電力)×100}が最小となるように可変結合窓及び可動短絡板を制御した。その結果、マイクロ波の照射を開始してから約30秒で室温から80℃以上に急速に加熱され、その後一定温度の高温流体が得られた。また、空胴共振器からのマイクロ波の反射率は常に10%以下に維持され、空胴共振器内における共振は常に最適の状態に維持された。なお、被加熱流体として水を用いた場合、水の誘電損失ε”は約10であり、マイクロ波吸収体(SiC)よりも大きいため、空気の場合と異なり水自身もマイクロ波加熱され、より効果的な加熱が達成された。
更に、流量を2L/minにしたところ、マイクロ波の照射を開始してから約15秒で80℃以上に急速に加熱され、流量を小さくすることによりさらに効率的な加熱が行えることが確認された。
(比較例1)
可変結合窓及び可動短絡板の制御をしなかったこと以外は実施例1と同様にして空気を加熱したところ、マイクロ波出力が250W、流量が1m3/minの場合、マイクロ波の照射を開始してから約300秒で室温から約150℃に加熱され、実施例1に比べてエネルギー効率が劣ることが確認された。また、空胴共振器からのマイクロ波の反射率は50〜90%程度であり、加熱を開始すると空胴共振器内における共振が全くとれなくなり、反射率が急激に増大し、高温流体が得られなくなることが確認された。
可変結合窓及び可動短絡板の制御をしなかったこと以外は実施例1と同様にして空気を加熱したところ、マイクロ波出力が250W、流量が1m3/minの場合、マイクロ波の照射を開始してから約300秒で室温から約150℃に加熱され、実施例1に比べてエネルギー効率が劣ることが確認された。また、空胴共振器からのマイクロ波の反射率は50〜90%程度であり、加熱を開始すると空胴共振器内における共振が全くとれなくなり、反射率が急激に増大し、高温流体が得られなくなることが確認された。
以上説明したように、本発明のマイクロ波加熱装置によれば、温度上昇に伴ってマイクロ波吸収体及び被加熱流体の誘電特性が変化しても空胴共振器内の共振は常時維持でき、マイクロ波の反射を防止してエネルギー効率を高水準に維持し、被加熱流体をより少ない電力でより急速に加熱することが可能となる。従って、本発明のマイクロ波加熱装置は省電力で小型、軽量化が可能であり、排気浄化、ヒートポンプ、燃料電池等の自動車用補助電力源、更には分散型の携帯用電力源等として広範囲な用途に有用である。
1…空胴共振器、2…マイクロ波発生手段、3…制御回路、4…同軸−導波管変換器、5…方向性結合器、6…同軸ケーブル、10…金属壁、11…加熱管、12…マイクロ波吸収体、13…金属管、14…断熱材、15…マイクロ波導入口、16…可変結合窓(導入口調節手段)、17…結合窓駆動部、18…可動短絡板(空胴調節手段)、19…短絡板駆動部、W…マイクロ波、S…定在波、F…被加熱流体、E…電界、A…横手方向、B…長手方向。
Claims (4)
- マイクロ波導入口を有する空胴共振器と、
マイクロ波を発生して前記マイクロ波導入口を介して前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生手段と、
前記空胴共振器内に配置されており、被加熱流体を通す加熱管と、
前記加熱管内に収納されており、前記マイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波吸収体と、
前記マイクロ波導入口の大きさを調節する導入口調節手段と、
前記空胴共振器内の空胴の大きさを調節する空胴調節手段と、
前記導入口調節手段及び前記空胴調節手段に接続されており、加熱中に前記空胴共振器内の共振が維持されるように前記導入口調節手段及び/又は前記空胴調節手段を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とするマイクロ波加熱装置。 - 前記空胴共振器が単一モードの直方体型空胴共振器であり、前記導入口調節手段が前記マイクロ波導入口に配置されている可変結合窓であり、前記空胴調節手段が前記空胴共振器内に配置されている可動短絡板であることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波加熱装置。
- 前記マイクロ波発生手段と前記マイクロ波導入口との間に、前記制御手段に接続されている方向性結合器を更に備えており、前記方向性結合器によって測定される前記空胴共振器からのマイクロ波反射率が小さくなるように前記導入口調節手段及び/又は前記空胴調節手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ波加熱装置。
- 前記マイクロ波吸収体が前記空胴共振器内の電界強度が最大の位置を含むように配置され、前記被加熱流体の進行方向が前記空胴共振器内の電界の方向と略一致するように前記加熱管が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のマイクロ波加熱装置。
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JP (1) | JP2005108449A (ja) |
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