JP7145500B2 - マイクロ波処理装置、マイクロ波処理方法、加熱処理方法及び化学反応方法 - Google Patents

マイクロ波処理装置、マイクロ波処理方法、加熱処理方法及び化学反応方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波処理装置、マイクロ波処理方法、加熱処理方法及び化学反応方法に関する。
可搬型の化学反応装置やポータブル分析装置の熱源として、半導体デバイスをマイクロ波発生源に用いたマイクロ波加熱が注目されている。またマイクロ波加熱を利用し、燃料電池用自動車への搭載を目指したアンモニア改質水素製造装置や、水質分析装置について開発が行われている。本発明者らはこれらの用途に適応したマイクロ波処理装置の小型化について取り組んでいる。
現行のマイクロ波処理装置は、マイクロ波処理装置全体の制御を行う制御系と、その信号を基に必要な周波数及び電力のマイクロ波を発生させる高周波系とを一つのモジュールとしている。高周波系には、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器、マイクロ波発振器から発生したマイクロ波の信号レベルを適切なレベルに調節する減衰器(アッテネーター)、調節したマイクロ波出力を高める増幅器を含む。高周波系内の各機器は独立しており、各機器間は、通常、コネクタ及びケーブルによって接続されている(特許文献1)。
マイクロ波は、波としてエネルギーが伝播するため、処理対象物からの反射波が発生する。このため、上記マイクロ波処理装置においては、反射波を抑制するための整合器、発生した反射波からマイクロ波増幅器を保護するためのアイソレータ等を介して、増幅器から発生したマイクロ波加熱に用いる大電力マイクロ波を、アンテナからマイクロ波処理空間(キャビティ)内に供給する。このため、整合器とアンテナとの間は、高周波電力が通過できるマイクロ波ケーブルやコネクタが必要となる。
実開昭60-181896号公報
マイクロ波加熱に必要な大電力(例えば、1W~10kWの電力)マイクロ波を扱った場合、コネクタやケーブルの耐久性を考慮した設計が必要となり、装置の大型化や重量増加につながり、また、故障リスクにもなる。これらは自動車など移動体における利用や、頻繁なメンテナンスができない民生用途への利用の障害になっている。装置を大型化することは、部品サイズの大型化や価格の制約にもなる。また、加熱用途のマイクロ波を大電力化することは、大電力が通過するため部品の伝送損失による電気エネルギーの損失や発熱による熱劣化の進行の懸念がある。さらに装置の大型化に伴い、広いエリアの電磁シールド対策が必要になることや、電磁波漏れによるトラブル発生時の事態深刻化の潜在的リスクが高くなることなども考えられ、実用化段階では、種々の対策技術を確立する必要がある。
本発明は、定在波を利用したマイクロ波処理装置の小型化、軽量化、マイクロ波出力の大電力化を図るとともに、機器間の接続の信頼性向上を図る、マイクロ波処理装置、マイクロ波処理方法、マイクロ波加熱方法及び化学反応方法を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
[1]
空胴共振器内にマイクロ波を照射して、該空胴共振器内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波処理装置であって、
前記マイクロ波処理装置はマイクロ波を増幅して前記空胴共振器内に供給する電力系を有し、
前記電力系は、マイクロ波増幅器、該マイクロ波増幅器から前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナ及び前記空胴共振器を含み、
前記電力系の各機器が同一筐体内に配され、
前記マイクロ波増幅器の出力端と前記アンテナの入力端が直接接続されているマイクロ波処理装置。
[2]
空胴共振器内にマイクロ波を照射して、該空胴共振器内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波処理装置であって、
前記マイクロ波処理装置はマイクロ波を発生させる信号系と該マイクロ波を増幅して前記空胴共振器内に供給する電力系とを有し、
前記電力系は、前記信号系によって発生されたマイクロ波出力を高めるマイクロ波増幅器を有し、該マイクロ波増幅器の出力端と前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナとの間に、反射波を吸収するアイソレータ及び反射波を抑制する整合器の少なくとも一つのコンポーネンツを含み、
前記電力系の各機器が同一筐体内に配され、
前記コンポーネンツの最終出力端と前記アンテナの入力端とが直接接続されているマイクロ波処理装置。
[3]
前記整合器は、絶縁基板上にマイクロストリップラインもしくはストリップラインによって構成された線路と、該線路のインピーダンスを調整するため線路パターン調整部もしくはコンデンサとを有する[2]に記載のマイクロ波処理装置。
[4]
前記信号系は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器、マイクロ波の信号レベルを調節する減衰器、及び該マイクロ波発振器を制御する制御器を含む[2]又は[3]に記載のマイクロ波処理装置。
[5]
前記マイクロ波増幅器の出力端と前記アイソレータの入力端、及び/又は前記アイソレータの出力端と前記整合器の入力端との接続は、出入力端同士が直接接続されている[2]~[4]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[6]
前記筺体内に冷却部を有し、該冷却部は少なくとも前記マイクロ波増幅器を冷却する[1]~[5]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[7]
前記冷却部は、前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系が配される位置の前記筺体内に設けた流路と、該流路に流される冷媒とを有する[6]記載のマイクロ波処理装置。
[8]
前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系は前記空胴共振器の外側の側部に配されている[1]~[7]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[9]
前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系は前記空胴共振器の外側の側部の前記筺体に配した平面視L字形の凹部底部に配され、該底部内部に前記冷却部が配されている[6]又は[7]に記載のマイクロ波処理装置。
[10]
前記マイクロ波増幅器を搭載する回路基板の裏面側に形成されたグランドパターンと前記筺体とが接触している[1]~[9]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[11]
前記空胴共振器の中心軸に沿って被処理対象物を配した[1]~[10]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[12]
前記空胴共振器が直列に複数配され、
該複数の空胴共振器の直列連結方向でかつ該複数の空胴共振器内に形成される定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、該複数の空胴共振器を貫通して前記被処理対象物が配され、
該複数の空胴共振器の各々に対してマイクロ波を各別に供給するマイクロ波発振器を有する、[11]に記載のマイクロ波処理装置。
[13]
前記マイクロ波処理装置が、前記被処理対象物をマイクロ波の定在波により加熱して、化学反応を生じさせる化学反応装置である、[11]又は[12]に記載のマイクロ波処理装置。
[14]
前記被処理対象物が流体である、[11]~[13]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[15]
[11]~[14]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波により処理することを含む、マイクロ波処理方法。
[16]
[11]~[14]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波により加熱することを含む、加熱処理方法。
[17]
前記被処理対象物が流体であり、
前記加熱によって、前記流体の状態変化及び化学反応のいずれか一方又は両方を引き起こすことを含む、[16]記載の加熱処理方法。
[18]
前記状態変化が、前記流体の温度変化又は相変化である[17]に記載の加熱処理方法。
[19]
[11]~[14]のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波処理することにより化学反応を生じさせることを含む、化学反応方法。
本発明のマイクロ波処理装置及びマイクロ波処理方法によれば、従来に比べて、格段に装置の小型化・軽量化が図れ、マイクロ波出力の大電力化によって被処理対象物を高温にて処理することができ、整合器とアンテナとの接続信頼性が高められる。
また、本発明の化学反応方法によれば、従来に比べて格段に小型・軽量化されたマイクロ波処理装置によって被処理対象物を高温に、信頼性高く処理できることにより、効率的かつ高精度に化学反応を生じさせることができる。
本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を模式的に示したブロック図である。 図1に示したマイクロ波処理装置の筐体の蓋を外した状態の電力系の好ましい一例を示した平面図である。 図1に示したマイクロ波処理装置の電力系のマイクロ波増幅器とアイソレータの好ましい配置の一例を示したブロック図である。 マイクロ波増幅器の特性を調べた増幅率(ゲイン)と周波数との関係を示した図であり、入力信号として1mW(0dBm)~500mW(+25dBm)を2.35GHz~2.55GHzの範囲で変えながら測定した図である。 入射波モニター値による設定電力(10W~50W)のマイクロ波照射による、各マイクロ波電力と触媒表面温度との関係を示した図である。 マイクロ波最大電力を50W、触媒温度400℃にて一定で運転したときの温度、マイクロ波電力(入射波電力-反射波電力)、共振周波数の時間プロファイルの関係図である。 図6における0~3分までの、温度、マイクロ波電力(入射波電力-反射波電力)、共振周波数の時間プロファイルの関係図である。 本発明のマイクロ波処理装置の最大性能を確認する昇温特性を示した図である。
以下に本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図面に示される装置は、本発明の理解を容易にするための模式的に示した図面であり、各部材のサイズないし相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。
[マイクロ波処理装置]
本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を、図1~3を参照して説明する。
マイクロ波処理装置1は、空胴共振器2内にマイクロ波を照射して、該空胴共振器2内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波処理装置である。該マイクロ波処理装置1は、信号系1Sと電力系1Pとを有する(図1参照)。
<信号系>
信号系1Sは、マイクロ波発振器21、減衰器22、制御器23を含む。マイクロ波発振器21は空胴共振器2内に供給するためのマイクロ波を発生させる。減衰器22は被処理対象物の温度を調節するようにマイクロ波の減衰レベル(振幅レベル)を調節して最終のマイクロ波電力を決定する、制御器23は、検波器25、温度測定器26等の情報に基づいて、マイクロ波発振器21から発生されるマイクロ波の出力を制御する。また、空洞共振器2内に定在波を形成するため、検波器25の信号を参照し定在波が形成できる共振周波数を制御器23内で決定し、導出された共振周波数に一致する周波数を有するマイクロ波を発生させるようマイクロ波発振器21を制御する。さらに、制御器23、マイクロ波発振器21等を駆動する信号系電源24が含まれている。この信号系1Sは、回路基板(図示せず)上に形成することが可能であり、例えば5×9cm程度の回路基板に形成することができ、自動車等に搭載が容易になる。
<電力系>
一方、図1~3に示すように、電力系1Pは、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33、アンテナ34及び空胴共振器2を含む。マイクロ波増幅器31は減衰器22によって減衰したマイクロ波出力を高める。アイソレータ32はマイクロ波の反射波を吸収して反射波からマイクロ波増幅器31を保護する。このアイソレータ32の替わりにサーキュレータを用いる場合には、サーキュレータの一つのポートに終端抵抗を接続することが好ましい。終端抵抗によって反射波が吸収される。このようにして、サーキュレータをアイソレータとして機能させる。以下、接続とは電気的接続を意味する。整合器33は、アンテナ34からの反射波の発生を抑制する。アンテナ34は、空胴共振器2内に整合器33を経たマイクロ波を供給する。マイクロ波増幅器31が反射波によって損傷しない場合は、マイクロ波増幅器31の出力端からアンテナ34までの間に、アイソレータ32及び整合器33の少なくとも一つのコンポーネンツを含むようにしてもよい。又はアイソレータ32及び整合器33の両方を設置しなくてもよい。さらに、マイクロ波増幅器31を駆動する電力系電源35が含まれていることが好ましい。
電力系1Pは、各構成部品が同一筐体内に配されている。例えば、空胴共振器2の側部の一方に筐体凹部(凹部)3Aが配され、凹部3Aに連続して空胴共振器2の側部の他方に筐体凹部(凹部)3Bが配されることが好ましい。すなわち、凹部3A、3Bは平面視L字形に構成されることが好ましい。筐体凹部3Aには、マイクロ波増幅器31を構成する回路基板31Bが配される。この回路基板31Bに入射波端子36、反射波端子37を配することもできる。筐体凹部(凹部)3Bには、アイソレータ32及び整合器33を構成する回路基板32B及び33Bが配される。このように平面視L字形の凹部3A、3Bによって、回路基板31B~33Bを平面視接近又は接触させた状態に配することができ、回路基板31B~33Bの設置面積を少なくできる(省スペース化、装置の小型化)。筐体3には空胴共振器2のマイクロ波照射空間2A及び凹部3Bを密閉する蓋(図示せず)が配されている。
さらに整合器33を構成する線路33Lの出力端33LOUTにアンテナ34の入力端34INが直接接続されている。直接接続とは、コネクタ及びケーブルを用いず、出入力端同士を接触させた状態で接続すること、又は出入力端間にリード線又は導電体片を配して接続することを含む。接続方法としては、はんだ接続、溶融接続(レーザ接続、超音波接続、等)、ねじ等による機械的接続、等が挙げられ、信頼性の高さからはんだ接続が好ましい。また、マイクロ波増幅器31とアイソレータ32との接続、アイソレータ32と整合器33との接続においても、上記の直接接続されていることが好ましい。
電力系1Pの各構成部品(マイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33及びアンテナ34)が同一の筐体3内に配されることによって、マイクロ波処理装置1の小型化、軽量化が可能になり、自動車等に搭載が容易になる。装置寸法は、蓋を含めた筐体3の外寸で、例えば150mm×140mm×35mmとすることによって小型化できる。
また、マイクロ波増幅器31が配されることによってマイクロ波の大電力化が可能になる。
さらに整合器33の線路33Lの出力端33LOUTにアンテナ34の入力端34INが直接接続していることから、端子の接続にコネクタを用いる必要ないため、コネクタが焼損を起こすことも無くなり、上記の直接接続している接続部の信頼性が高められる。
<筐体内冷却>
筺体3には、空胴共振器2、アンテナ34を除く電力系(マイクロ波増幅器31、アイソレータ32及び整合器33)が構成される電力系の回路領域(以下、回路領域という)を冷却する冷却部41を有する。回路領域とは、筐体3における、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32及び整合器33が搭載される基板の設置領域をいう。
冷却部41は、回路領域が形成される部分の筐体凹部3A、3B底部の厚さを利用して、その厚さ内に形成された流路42により構成される。流路42は、例えば、回路領域の幅方向中央の部下を通るように第1流路42Aが配される。この第1流路42Aは並列に複数本配してもよい。また、回路領域と空胴共振器2との境界部分またはその近傍を通るように第2流路42Bが配される。各流路42A、42Bには、コネクタ(図示せず)を介して冷媒(例えば冷水)を供給する管(図示せず)が接続される。第1流路42A内を流れる冷媒によって、各回路領域が冷却され、第2流路42B内を流れる冷媒によって、空胴共振器2が発熱した熱を回路領域の筐体凹部3A、3B側に伝熱しないようにしている。また、空胴共振器2側の温度が筐体凹部3A、3Bよりも低い状態では、筐体凹部3A、3Bに配した各機器の発熱した熱が空胴共振器2側に伝熱されないようにしている。上記第1流路42Aと第2流路42Bとは筺体3内にて接続流路42Cによって接続されていてもよい。
このようにして空胴共振器2から離れた空胴共振器2側方の筐体凹部3A、3Bの底部内に冷却部41が配されることから、空胴共振器2内の加熱に影響を及ぼすことなく、回路基板31B~33Bの冷却が可能になる。これによって、空胴共振器2の温度制御性を低下させることなく、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32及び整合器33を効率的に冷却することが可能になる。この冷却によって、マイクロ波増幅器13の高出力化が可能になり、200W程度又はそれ以上の大電力を供給することが可能になる。
上記筐体凹部3A、3Bにおける各回路基板31B~33Bは、その裏面をベタのグランドパターン(図示せず)や、表面の高周波回路外周領域をベタのグランドパターン(一部図示せず)を設けることによって、ノイズ対策が施されていることが好ましい。ベタとは、ある範囲内が同一材料によって1層に形成されていることをいう。各回路基板31B~33Bの裏面のベタのグランドパターンと筐体凹部3A又は3Bの底部とは、高周波特性の観点から、また冷却性の観点から、接触することが好ましい。また、各回路基板31B~33Bにおいて、裏面のグランドパターンは、表面のグランドパターンと接続されて、同電位(接地電位)にされることが好ましい。表面のグランドパターンと裏面のグランドパターンとは、各回路基板31B~33Bを筐体凹部3A、3Bの底部に固定するネジによって同電位にされることが好ましい。したがって、このネジは導電性を有することが好ましい。例えば、回路基板33Bの場合、表面にグランドパターン33Gが形成され、裏面にベタのグランドパターンが形成されている。そのため、回路基板33Bを固定するネジによって、両グランドパターンを接続して、同電位にすることが好ましい。
特に、回路基板31Bのマイクロ波増幅器31や終端抵抗(ダミーロード)32Rは、放熱面(図示せず)が規定されている。そのため、それらの放熱面が冷却部41を配した領域の凹部3A、3Bの底面に直接接触する、もしくは熱伝導性に優れた熱伝導グリス(図示せず)を介して接触して、冷却部41上の筐体凹部3A、3Bの底面に圧着されることが好ましい。同様に、回路基板31B~33Bも、各裏面に形成されたグランドパターンが冷却部41上の筐体凹部3A、3Bの底面に圧着されることが好ましい。このように回路基板31B~33Bが配されることによって、回路基板31B~33Bを裏面からその全体を効率良く冷却することが可能になる。また、上記したように、回路基板31B~33Bの裏面側は、全面ベタのグランドパターンになっていることが好ましい。すなわち、筐体3に接触することによって、筐体3と同電位(接地電位)にすることが容易になる。このため、高周波ノイズの発生が抑えられ、ノイズ対策ができる。
<電力系の機器間の接続>
マイクロ波増幅器31の出力端(図示せず)とアイソレータ32の入力端(図示せず)、及び/又はアイソレータ32の出力端32OUTと整合器33の入力端33LINとの接続は、出入力端同士が直接接続されていることが好ましい。例えば、上記したように、整合器33の線路33LBの出力端33LOUTにアンテナ34の入力端34INは直接接続されている。
上記のように出入力端同士が直接接続していることから、出入力端同士の接続にコネクタを用いる必要がないので、コネクタ接続部が焼損を起こすことも無くなり、接続部の信頼性が高められる。
上記説明したように各機器を凹部3A、3Bの狭い範囲にまとめて配することができるため、コネクタやケーブルを用いず、各機器間の接続を各機器の端子間の直接接続によって成し得る。直接接続には、例えば、はんだを用いた接続が挙げられる。その際、はんだのみの場合とリード線又は導体片を用いてはんだにより接続する形態が挙げられる。リード線及び導体片は大電力に耐えうる断面積を有する。この断面積とはリード線及び導体片の電流が流れる方向に対して直角方向の断面積をいう。
<入射波及び反射波の測定端子>
上記マイクロ波増幅器31とアイソレータ32との間に入射波測定用の入射波端子36を設けることが好ましい。また、アイソレータ32に反射波測定用の反射波端子37を設けることが好ましい。空胴共振器2に供給されるマイクロ波の電力は、マイクロ波増幅器31から得られる入射波電力Pfや反射波電力Prをモニターしながら、調整することが望ましい。
次に各構成部品について詳細に説明する。
信号系1Sについて説明する。
<マイクロ波発振器>
上記マイクロ波発振器21としては、発振周波数を2.45GHz帯のマイクロ波を発生できるマイクロ波発振器を挙げることができる。マイクロ波の周波数を微調整できるという観点、装置の小型化という観点から、半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器を用いることが好ましい。このようなマイクロ波発振器としては、例えばガンダイオード、アバランシェダイオード(インパットダイオード)、等を用いたマイクロ波発振器が挙げられる。もしくは、MHz帯ではコイルとコンデンサからなるLC回路による発振回路も用いることができる。また、これらの素子と周波数制御機構をパッケージ化したVCO(Voltage Controlled Oscillator)やPLL(Phase Lockd Loop)回路等も挙げることができる。マイクロ波発振器21によって発生されるマイクロ波は、周波数が2.45GHz帯のマイクロ波に限定されるものではなく、915MHz帯、5.8GHz帯等、その他の周波数帯のマイクロ波を発生するものも、適宜、用いることができる。
<減衰器>
減衰器(アッテネータ)22は、被処理対象物の温度を調節するように減衰レベルを調節し、最終のマイクロ波電力を決定する。マイクロ波増幅器31の入り口レベルを減衰器22で調節することで、最終出力を調節するものである。
<制御器>
制御器23は、例えば、検波器25の信号を解析してマイクロ波発振器21への周波数信号を決定する、温度測定器26の値をもとに減衰器22の減衰率を決定する。制御器23の機能は上記に限定されることはなく、マイクロ波処理装置1の各種機能を制御することもできる。
上記周波数信号の決定の一例としては、マイクロ波発振器21から発生するマイクロ波を、空胴共振器2のマイクロ波照射空間2A内に形成された定在波の周波数に一致させることが好ましい。この一致させるとは、完全に一致することが好ましいが、ある範囲内、例えば0.1~0.2%以内の差がある場合も周波数が一致している範ちゅうに含むものとする。そして、周波数を一致させたマイクロ波をマイクロ波照射空間2A内に照射させる。そのため、空胴共振器2には、マイクロ波照射空間2A内の定在波の形成状態を検出する検波器25が配されていることが好ましい。検波器25には、マイクロ波照射空間2A内部のエネルギー強度を計測し、その信号を処理して周波数を検出するものであればよい。検波器25にて得た信号は、例えば、検波器端子38から取り出せる。定在波の形成状態を検出する方法として、空洞共振器2からの反射波をアイソレータ32につけた反射波端子37から得られ情報を用いることもできる。
上記信号系1Sの駆動電源として信号系電源24(図1参照)には、直流電源が用いられている。
なお、信号系1Sの各機器同士の接続には、大電流が流れて焼損等のリスクが少ないため、コネクタ及びケーブルを用いることができる。例えば、信号系電源24と信号系1Sとの接続、制御器23とマイクロ波発振器21、減衰器22、検波器25、温度測定器26等との接続にも、コネクタ及びケーブルを用いることができる。
上記温度測定器26には、非接触にて温度測定が可能な放射温度計を用いることが好ましい。
電力系1Pについて説明する。
<空胴共振器>
マイクロ波処理装置1に用いる空胴共振器2の形状は、一つのマイクロ波供給口4を有し、マイクロ波を供給した際にシングルモードの定在波が形成されるものであれば特に制限はない。例えば、円筒形又は角筒形の空胴共振器を用いることができる。本明細書において円筒形の空胴共振器とは、該空胴共振器の中心軸Cに垂直な内側断面形状が円形であるものの他、当該断面形状が楕円形もしくは長円形であるものを含む意味に用いる。また、角筒形の空胴共振器は、中心軸Cに直角な内側断面形状が多角形であるものを意味し、当該断面形状が4~10角形であることが好ましい。また、多角形の角が、丸みを帯びた形状であってもよい。
空胴共振器2の大きさも上記説明した形態において、目的に応じて適宜に設計することができる。空胴共振器2は電気抵抗率の小さいものが望ましく、通常は金属製であり、一例として、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、黄銅、ステンレス、若しくはそれらの合金等を用いることができる。又は、樹脂やセラミック、金属の表面に電気抵抗率の小さい物質をめっき、蒸着などによりコーティングしてもよい。コーティングには銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、スズ、ロジウムを含む材を用いることができる。
また、空胴共振器2には温度測定窓5が形成されていることが好ましい。
<マイクロ波増幅器>
マイクロ波加熱装置1はマイクロ波発振器21から発生したマイクロ波の出力を増幅するマイクロ波増幅器31を備える。マイクロ波増幅器31の構成に特に制限はないが、例えば、高周波用電界効果トランジスタ(FET)を有する高周波トランジスタ回路で構成されることが、小型化において好ましい。またマイクロ波増幅器31の出力電力は、好ましくは0.1W~2kW、より好ましくは0.1~400W、さらに好ましくは1~200Wである。
例えば、マイクロ波増幅器31は、大電力出力を得るために、複数段増幅とすることが好ましい。例えば、第1段増幅器311と第2段増幅器312を含む2段増幅器とする。上記高周波用FETには、200Wの大電力マイクロ波トランジスタを用いることができる。マイクロ波増幅器31は、例えば、増幅可能周波数帯域:2.4GHz~2.5GHz、出力電力:0.1~200W(+20dBm~+53dBm)、増幅率:+33dB以上である。また、増幅後の入射波及び反射波を測定するための、マイクロ波増幅器31とアイソレータ32との間に入射波電力を測定するための入射波端子36を備え、アイソレータ32に反射波電力を測定するための反射波端子37を備えることが好ましい(図2、3参照)。
例えば、最大入力0.1W(+20dBm)の信号マイクロ波を2段階で増幅する。最終段には大電力LDMOS(横方向拡散MOS)トランジスタを採用する。例えば、AMPLEON社製 BLC2425M9LS250;最大電力250WのLDMOSトランジスタを用いることができる。
増幅後のマイクロ波を、1/1000(-30dB)を進行波(PF)として検出するとともに、アイソレータ32で反射波(PR)を防ぐことができる。マイクロ波増幅器31全体は、例えば電力系電源35から供給される直流電圧によって駆動することができる。直流電圧としては、例えば32Vを印加する。
上記マイクロ波増幅器は、例えば以下のような特性を有する。入力信号として1mW(0dBm)~500mW(+25dBm)について5dBmごとに、2.35GHz~2.55GHzの範囲で周波数を変えながら増幅率(ゲイン:Pg)を測定した。その結果の一例を図4に示す。仕様とした入力Pin=+20dBmにおいて、2.4GHzから2.5GHzの範囲では増幅率Pg>+36dBを満たしていることが確認できる。ただし、増幅率は入力電力に対して異なっており、また2.48GHzでピークをもつ周波数特性(f特)を持つ増幅率を有している。このことから、被処理対象物に照射するマイクロ波の電力は、本増幅回路から得られる入射波電力Pfや反射波電力Prをモニターしながら、調整することが望ましい。
なお、このような周波数特性を持つ増幅回路に対し、制御器23は、あらかじめ周波数特性の情報を内部メモリーに取り込んで随時参照しながら運転することが好ましい。
<アイソレータ>
アイソレータ32は、マイクロ波発振器21にて発生する反射波の影響を抑制(例えば吸収)してマイクロ波増幅器31を保護するものであり、一方向(アンテナ34方向)にマイクロ波が供給されるようにするものである。このアイソレータ32には、代わりにサーキュレータ32Cを用いることもできる。サーキュレータ32Cを用いる場合には3つのポートのうち一つのポートに終端抵抗(ダミーロード)32Rを接続する。残りの2つのポートが入力と出力になる。サーキュレータにはマイクロストリップラインを利用したものがあり、小型化に優れている。例えば、定格出力が300WのADMOTECH社製ADC245CD(100)(商品名)を用いることができる。この場合、例えば、反射波電力を1/1000(-30dB)の感度で検出することが好ましい。
<整合器>
整合器33は反射波が発生しないように反射波を抑制する機能を有する。整合器としては、可変式のスリースタブチューナやスラグチューナ等用いることができる。また、被処理対象物のマイクロ波吸収特性が大きく変化しない場合は、固定式の整合器を用いることもできる。また、被処理対象物を設置した際、一時的に整合器を調整できる半固定式の整合器を用いることができる。以下は、半固定式の整合器の例を示す。
すなわち、回路基板33B上にマイクロストリップラインによって構成された線路33Lと、該線路33Lのインピーダンス(例えば、Sパラメータ)を調整するコンデンサ33Cとを有することが好ましい。また、線路33Lには、線路33Lのインピーダンスを調整するための線路パターン調整部(図示せず)を配してもよい。線路33Lは、通常の回路基板に用いられる銅箔パターンで形成することが好ましい。なお線路33Lはストリップラインによって構成したものであってもよい。コンデンサ33Cは、チップコンデンサを用いることができ、例えばネットワークアナライザ(VNA)を用いて、Sパラメータによる順方向の反射係数S11の値と順方向の伝送係数S21の値とによって設置位置を調整する。具体的には、反射波が最小になるように、すなわちS11(順方向の反射波)の値が極小になるように、コンデンサ33Cの位置を調整する。また、S11の値が極小になるように、線路33Lの幅及び/又は長さのトリミングによる調整によって、S11の値が極小値を求めることもできる。また、線路33Lにスタブ状(枝状)の線路(線路パターン調整部)を接続しスタブの幅及び/又は長さを調整することによって、S11の値の極小値を求めることもできる。なお、コンデンサ33Cの容量を変えることによりS11の値の極小値を求めることもできる。もしくは、コンデンサ33Cを複数用い、それぞれの位置を微調整することでS11の値の極小値を求めることも可能である。
線路33Lの入力端33LINにはアイソレータ32の出力端32OUTがコネクタを介さず、例えば、リード線39をはんだ付けすることによって接続されていることが好ましい。また、線路33Lの出力端33LOUTにはアンテナ34の入力端34INが直接接続されていることが好ましい。整合器33を構成する回路基板33Bは、回路基板33Bを構成する絶縁基板上の表面側に上記線路33Lを有し、その線路33Lの周囲の導電体箔が除去されて絶縁領域33Iが形成されている。さらに線路33Lに対して絶縁領域33Iを介してグランド領域33Gが形成されている。さらに、マイクロストリップラインの線路33Lとグランド領域33Gとの間において、SパラメータのS11の値が最小値となる位置を調整しながら固定位置を調整したコンデンサ33Cを配して接続することが好ましい。
マイクロストリップラインの線路33Lによって構成される整合器33は、通常、絶縁性の回路基板33Bの裏面側は全面にわたって、ベタのグランドパターンとして導体箔(図示せず)が形成されている。整合器33の裏面の導体箔には例えば銅箔が用いられ、グランド電位に接続されていることが好ましい。
<アンテナ>
図2に示す形態では、円筒形の空胴共振器2の中心軸Cに平行な壁面(円筒の内面)又はその近傍には、マイクロ波供給口4が設けられている。マイクロ波供給口4を通じてマイクロ波照射空間2Aには、高周波を印加することができるアンテナ34を有していることが好ましい。アンテナ34としては磁界励起アンテナ、例えばループアンテナ、または電界励起アンテナ、例えばモノポールアンテナ等を用いることが好ましい。アンテナ34の入力端34INは、整合器33の線路33Lの出力端33LOUTに、ケーブルを介さず直接接続されている。通常、アンテナ34は、金属線で構成されるが、整合器33の線路33Lとのはんだ接続性の良さを考慮すると、銅線が好ましい。
マイクロ波処理空胴2A内の上記アンテナ34を磁界励起アンテナとなるループアンテナとする場合の端部は空胴共振器壁面など接地電位と接続することが好ましい。このアンテナ34にマイクロ波(高周波)を印加することで、例えばループアンテナのループ内に磁界が励振され空胴共振器内に定在波を形成する形態とすることができる。
マイクロ波処理空胴2A内の上記アンテナ34を電界励起のモノポールアンテナ、ダイポールアンテナとする場合、端部は空胴共振器壁面に接続せず、オープンとすることが好ましい。
上記構成では、マイクロ波発振器21から発せられたマイクロ波を、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33を介して、整合器33から直接アンテナ34を通してマイクロ波照射空間2A内に供給する。
マイクロ波処理空胴2A内の上記アンテナ34の端部は空胴共振器壁面など接地電位と接続することが好ましい。このアンテナ34にマイクロ波(高周波)を印加することで、例えばループアンテナのループ内に磁界が励振され空胴共振器内に定在波を形成する形態とすることができる。
上記の円筒状の空胴共振器においてTM010のシングルモード定在波を形成させた場合、中心軸Cにおいて、電界強度が最大になり、中心軸C方向に電界強度が均一になる。したがって、管6において、その内部に存在し、又は流通する被処理対象物(図示せず)を、均一に、高効率にマイクロ波加熱することが可能になる。
電力系1Pを駆動する電力系電源35(図1参照)には、直流電源が用いられている。
なお、電力系電源35と電力系1Pとの接続には、十分な耐圧、電流容量を有するコネクタ及びケーブルを用いることができる。
<被処理対象物>
本発明のマイクロ波処理装置では、被処理対象物(図示せず)(例えば、管6内に配された被加熱対象物)は、空胴共振器2内部に定在波のエネルギー(電界)強度に対応させて配される。特に、空胴共振器2内に形成された定在波の電界強度が極大になる部分(中心軸C)に沿って配せば、より効率的な加熱が可能になる。
図2に示す形態のマイクロ波処理装置1においては、管6内に配される被加熱対象物に特に制限はなく、液体、固体、粉末およびそれらの混合物を挙げることができる。もしくは、管6内にあらかじめ設置したハニカム構造体、触媒等(図示せず)を挙げることができる。
被加熱対象物を管6内に流通させる場合、送液手段(例えば、送液ポンプ)(図示せず)等を用いて被加熱対象物を搬送することで連続的に被加熱対象物の温度を制御することができる。多くの化学反応は温度により反応の進行を制御することができるため、本発明のマイクロ波処理装置1は化学反応の制御に好適に用いることができる。
被加熱対象物はそれ自体で形状を維持できるものであれば、管内に配する必要はない。例えば、被加熱対象物が繊維状の固体であれば、管等の支持がなくても共振器内の搬送が可能である。
被加熱対象物をハニカム構造体とした場合には、マイクロ波処理装置は、例えば、ハニカム構造体を通過するガス状物質の温度制御をするために用いることができる。また、被加熱対象物を触媒とした場合には、後述するように、触媒の作用による化学反応を生じさせるために用いることができる。触媒は、ハニカム構造体に担持させた形態とすることも好ましい。
[マイクロ波処理方法]
マイクロ波処理方法は、空胴共振器内にマイクロ波を照射し、該空胴共振器内にTMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)又はTE10n(nは1以上の整数)のシングルモードの定在波を形成する。該定在波を用いて被処理対象物を処理する。マイクロ波には、例えば2.45GHz帯の周波数のマイクロ波を用いる。また定在波のエネルギー(電界)強度が極大となる部分に沿って被処理対象物を配する。以下、マイクロ波の処理方法の説明では、被処理対象物を被加熱対象物として説明する。
このマイクロ波処理方法には、上述のマイクロ波処理装置1を用いることが好ましい。
具体的には、上記マイクロ波処理装置1を用いて被加熱対象物(図示せず)の加熱を行うことができる。まずマイクロ波発振器21から上記のように周波数を調整して供給されるマイクロ波を、空胴共振器2のマイクロ波照射空間2A内に供給する。周波数の調整により、空胴共振器2内に形成される定在波の電界強度分布を所望の分布状態に制御することができ、またマイクロ波の出力によって定在波の強度を調節することができる。つまり、管6内(管の内部空間6A)の被加熱対象物の加熱状態(温度)を制御することが可能になる。
上記マイクロ波の周波数は上記2.45GHz帯の周波数であり、マイクロ波照射空間2A内に特定のシングルモード定在波を形成することができるものである。
次に筐体3の構成例について以下に説明する。
上記マイクロ波処理装置1が安定時に必要な電力は100~200W程度であることを考慮して、マイクロ波増幅器31に、定格出力が200W以上のマイクロ波トランジスタを組み込むことが好ましい。2.45GHz帯においては波長が12cm程度となり、定在波を形成するために必要なキャビティの基本寸法が波長程度となることを考慮し、反応器となる管6に、外径10mm、内径8mmの反応管を設置することを想定したうえで、各部寸法を最小化することによって筐体3の外形寸法が決まる。例えば、装置寸法は、蓋を含めた筐体3の外形寸法にて、好ましくは200mm(縦)×200mm(横)×100mm(高さ)であり、より好ましくは150mm(縦)×140mm(横)×35mm(高さ)とする。筐体3は、大きく分けて、空胴共振器2の設置部、マイクロ波増幅器31(アイソレータ32も含む)の設置部、整合器33の設置部、アンテナ34の設置部からなる。マイクロ波増幅器31の設置部と整合器34の設置部となる筐体3の凹部3A、3Bの底部中には、冷却水が循環する流路42を配する。このマイクロ波処理装置1の加熱エリアは、中心軸Cを中心とする、中心軸Cに直交する直径25mmの範囲である。大電力マイクロ波をマイクロ波処理空胴2Aに供給することによって、加熱エリアを広く設定することができる。
次に筐体3に内蔵可能なマイクロ波増幅器31の構成例を以下に説明する。
被加熱対象物の加熱を行うのに必要なマイクロ波増幅器の仕様の一例は、(1)増幅可能周波数帯域:2.4GHz~2.5GHz、(2)出力電力:0.1~200W(+20dBm~+53dBm)、(3)増幅率:+33dB以上、(3)増幅後の入射波・反射波を測定できること、(4)反射波から増幅器等を保護できること、として全体寸法を最小化することが好ましい。そのため、最大入力0.1W(+20dBm)の信号マイクロ波を2段階で増幅することが好ましい。例えば、最終段の大電力LDMOSトランジスタには、例えば、AMPLEON社製BLC2425M9LS250:最大定格電力250Wを用いることができる。増幅後のマイクロ波を1/1000(-30dB)を進行波(PF)として検出するとともにアイソレータによって反射波を防ぐようにする。
次に整合器33の回路の小型化と、調整の簡易化について以下に説明する。
マイクロ波電力を効率よく被加熱対象物(図示せず)に供給するためには、アンテナ34において反射波が生じないよう整合を取る必要がある。従来は、このために別途用意した整合器をコネクタとケーブルを用いて接続し、マイクロ波増幅器31から得られる反射波出力の値が最小値となるよう、微調整を行っていた。上記マイクロ波処理装置1では、大電力の電力系1Pを、空胴共振器2が配された筐体3の凹部3A、3B内に配することによって、空胴共振器2と電力系1Pとを一体化されている。それによって、(a)従来の整合器では難しかった装置の小型化が実現できる。(b)実用化時は整合器を常時微調整することが現実的でないことから、あらかじめ装置組み立て時に、整合器の調整を一度行った後は行わない、このような技術を半固定式の整合技術といい、半固定式の整合技術を確立することができる。
半固定式の整合技術として、マイクロストリップラインの線路33Lとグランド領域33Gとを接続して、S11が極小となる位置を調整しながら固定位置を決定するチップコンデンサを用いる。また、これまでは、整合器とアンテナとの間の接続を、コネクタとケーブルとを用いて行っていたため、コネクタには熱損傷によるダメージが多く発生していた。そこで、コネクタ部分をなくし、整合器にアンテナを直接接続する。これによって、整合器33とアンテナ34とを、図2に示したように。従来の汎用整合器に比べ、大幅に小型化が実現できることがわかる。
次に筐体に対するマイクロ波増幅器等の組み上げについて以下に説明する。
空胴共振器2を備えた筐体3の凹部3A、3B内に、マイクロ波増幅器31(アイソレータ32も含む)、整合器33に示す。電力系1Pのすべてが、蓋を含めた外寸150mm×140mm×35mmの筐体3中に収めることができる。各種信号は、筐体3側壁の片面(図では上側)から小型のSSMB端子(図示せず)で接続するようにされている。電力系1Pを駆動するための電力系電源35は、直流(DC)32V(15A)の電力を供給可能な電源を用い、例えばネジ端子(図示せず)を介して接続する。冷却水は、外径が6mmのワンタッチカップリング(図示せず)を介して流路42に接続して給水するようになっている。
上記図2は、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33、アンテナ34及び空胴共振器2、等の設置時の様子がわかるよう、筐体の蓋部(図示せず)を取り外したとき図面を示す。
<被処理対象物の加熱>
本発明のマイクロ波処理装置では、被処理対象物(例えば、管6の内部に存在し又は流通する被処理対象物)は、空胴共振器2内部にてマイクロ波処理される。すなわち、被処理対象物は、共振器内の電界強度に対応させて電界強度が強い位置に配される。特に、共振器内に形成された定在波の電界強度が極大になる部分に沿って、被処理対象物を配せば、より効率的な加熱が可能になる。
また、空胴共振器2の厚さが薄い場合には、複数の共振器を中心軸C方向に直列に接続することも可能である。接続される共振器は、2個以上数千個程度まで積層することも可能である。具体的には、複数の空胴共振器2を積層状態に、直列に配したものである。複数の空胴共振器2には、直列連結方向に、各空胴共振器2内に形成される定在波のエネルギーが極大となり、軸方向に均一となる部分に沿って、空胴共振器2を貫通する管6が配されている。例えば、TM0n0モード(nは1以上の整数)の定在波が発生する円筒形の空胴共振器2の場合、円筒の中心軸Cの電界強度が極大となり該中心軸Cに沿っては電界強度が均一となるため、流通管6は円筒形の中心軸Cにそって(中心軸上に)配されることが好ましい。
各空胴共振器2には、それぞれにマイクロ波発振器4が配され、各空胴共振器2に対して個別にマイクロ波が供給される。
図1~3に示したマイクロ波処理装置1においては、管6内に配される被処理対象物に特に制限はなく、液体、固体、粉末およびそれらの混合物を挙げることができる。若しくは、管内にあらかじめ設置したハニカム構造体、触媒等を挙げることができる。
被処理対象物が流体の場合、マイクロ波照射による被処理対象物の加熱によって、流体の状態変化及び化学反応のいずれか一方又は両方を引き起こすことに用いてもよい。状態変化には、流体の温度変化又は相変化がある。
また被処理対象物を液体、固体、粉末とした場合は、管内にポンプ等で搬送することで、加熱処理された被処理対象物を連続的に取り出すことができる。多くの化学反応は温度により反応の進行を制御することができるため、本発明のマイクロ波処理装置は化学反応の制御に用いることができる。
被処理対象物をハニカム構造体とした場合には、マイクロ波処理装置は、例えば、ハニカム構造体を通過するガス状物質の温度制御をするために用いることができる。また、被処理対象物を触媒とした場合には、後述するように、触媒の作用による化学反応を生じさせるために用いることができる。触媒は、ハニカム構造体に担持させた形態とすることも好ましい。
上記化学反応方法には、上述のマイクロ波処理装置1を用いることが好ましい。
化学反応方法としては、被加熱対象物の温度を制御することによって、被加熱対象物が関わる反応を促進もしくは停止することができる。例えば、被加熱対象物の温度を高めることによって反応を促進し、加熱を停止して温度を下げることによって反応を停止することができる。
化学反応方法にマイクロ波処理装置1を適用する場合、図示はしていないが、例えば、管(反応管ともいう)6の一端に反応原料を供給する反応原料供給口を有し、他端には反応生成物を排出する反応生成物排出口を設ける。反応原料といては、液体状原料、気体状原料、又はこれらに同伴した固体粉末原料を挙げることができる。
また空胴共振器2内にマイクロ波を透過する材料からなる管6を設置し、この管6の一端が反応原料供給口と連なり、他端が反応生成物排出口と連なる形態とすることもできる。マイクロ波を透過する材料としては、石英等のガラス材料、テフロン(登録商標)等の樹脂材料、アルミナ等のセラミック材料を挙げることができる。
反応原料は、例えば、供給口に設けた送液手段(図示せず)により導入することができ、また、排出口に吸引手段(例えば、吸引ポンプ)(図示せず)等を設けて吸引することにより、反応原料供給口から原料を吸引する形態とすることもできる。
上記化学反応としては、転移反応、置換反応、付加反応、環化反応、縮合反応、還元反応、酸化反応、水素化反応、接触還元反応、異性化反応、開裂反応、不均化反応、接触分解反応、選択的触媒還元反応、選択的酸化反応、ラセミ化反応等が例示される。さらに高分子合成に用いられるラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、無機反応等が例示されるが、これらに限定されず種々の化学反応が挙げられる。また、触媒の作用を利用した触媒反応であることも好ましい。
化学反応の具体例を挙げると、揮発性有機物質を酸化分解する反応、窒素酸化物を窒素と酸素に還元する反応、硫黄酸化物をカルシウムに固定化する反応、重油を軽質化する反応等を挙げることができる。また、シェールガスの改質反応による低級炭化水素の製造、天然ガスからの合成ガス(一酸化炭素および水素の混合ガス)製造、炭化水素を原料とした合成ガスの製造、石炭および石炭から製造した成分からの合成ガス製造が挙げられる。また、石油類からの合成ガス製造に関する反応、合成ガスからのアルコール、アルデヒド、カルボン酸、エーテル、アルカン等の製造、二酸化炭素を化学品に変換する反応が挙げられる。さらに、炭化水素の部分酸化による含酸素化合物の製造、飽和炭化水素の変換による不飽和炭化水素の製造、芳香環同士もしくは芳香環と脂肪族を繋ぐカップリングによる液晶化合物、発光材料等の製造に関する反応が挙げられる。またさらに、水素を重水素に置換した標識化合物等の製造に関する製造、不飽和炭化水素を含むモノマーからのオリゴマーおよびポリマー製造に関する重合反応、無機反応などを挙げることができる。
上記の化学反応は、通常、マイクロ波照射によって目的の反応を生じる反応原料を加熱することにより化学反応を生じさせることができる。または触媒に反応原料を通し、それにマイクロ波照射することによって化学反応を生じさせることができる。例えば、上述した反応管の中に反応原料を供給し、マイクロ波照射によって定在波を形成し、定在波の電界強度の極大部分によって反応管内の該反応原料を加熱して、化学反応を生じさせることができる。または反応管内に触媒を配し、この触媒に反応原料を通し、上記同様に定在波の電界強度の極大部分によって反応原料を加熱することによって、もしくは触媒を加熱することによって化学反応を生じさせることができる。
上記の化学反応それ自体は公知であり、本発明の化学反応方法には、加熱状態の制御以外は、公知の化学反応を広く適用することができる。
本発明の化学反応方法において、反応時間、反応温度、反応基質、反応媒体等の条件は、目的の化学反応に応じて適宜に設定すればよい。例えば、化学ハンドブック(鈴木周一・向山光昭編、朝倉書店、2005年)、マイクロ波化学プロセス技術II(竹内和彦、和田雄二監修、シーエムシー出版、2013年)、特開2010-215677号公報、特開2011-137226号公報等を参照し、化学反応条件を適宜に設定できる。
本発明のマイクロ波処理装置1は、空胴共振器2内に上述した被加熱対象物(図示せず)を配し、空胴共振器2内に形成した定在波によって、この被加熱対象物を局所的に又はこの被加熱対象物の略全体を加熱する形態とすることができる。また、上記被加熱対象物の加熱により化学反応を生じさせるマイクロ波化学反応装置として用いて、化学反応が生じる形態とすることができる。被加熱対象物の加熱により生じる化学反応は、被加熱対象物自体が化学反応を起こして反応生成物を生じてもよく、または加熱した被加熱対象物の作用(典型的には触媒作用)により化学反応が生じる形態としてもよい。
図1~2に示した形態において、定在波の周波数は、共振器内に定在波を形成できれば特に制限はない。例えば、マイクロ波を供給するためのアンテナ34からマイクロ波を供給した場合に、空胴共振器2内にTM0n0モードやTE10nモードの定在波が形成される周波数とすることができる。ただし、nは正の整数である。
上記TM0n0モードの定在波は、例えばTM010、TM020、TM030のモードが挙げられ、なかでもTM010の定在波であることが好ましい。
また、上記マイクロ波処理装置1は、貫通孔を通す被処理対象物や管内を通す被処理対象物を加熱し、若しくは化学反応を起こさせることができる。又は、管内に気体を通し、プラズマを発生させることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
上記マイクロ波処理装置1を用いて、被処理対象物(図示せず)をマイクロ波により処理(加熱)することを含む、マイクロ波処理方法の一例として触媒の加熱方法について以下に説明する。
[実施例1]
上記図1~2に示したマイクロ波処理装置1を用いて触媒加熱性能の評価を行った。空胴共振器2内(マイクロ波処理空間2A)には2.4~2.5GHzのマイクロ波源(クマガイRFA製;パワーモニタ・アイソレータ内蔵)を組み込んでおり、整合器33はマイクロストリップラインの線路33Lによって構成した。また、マイクロストリップラインの線路33Lからアンテナ(例えば、ループアンテナ)34を直接はんだ付けした。電力系1Pが配された筐体3の凹部3A、3Bの底部には冷却水の流路42が設けてられている。マイクロ波処理装置1の寸法は、蓋を含めた筐体3の外寸にて、150mm×140mm×35mmとなっており、管6(外径10mm、内径8mmの石英管)に充填した触媒を1000℃まで加熱することが可能である。
このマイクロ波処理装置1は、アンモニア改質水素製造触媒の加熱により評価を行った。触媒は、γ-アルミナ(γAl)にコバルト(Co)を5質量%となるよう含侵法により担持させ、コバルト担持γ-アルミナを調製した。具体的には、硝酸コバルト水溶液に、γ-アルミナを含浸させ、110℃で12時間乾燥後、500℃で3時間焼成した。焼成物は室温まで冷却させてペレット状に加圧成形した後粉砕し、平均粒径が250~500μmになるようにふるい分けした。なお、γ-アルミナに担持させる金属粒子として、硝酸コバルト(和光純薬工業株式会社製硝酸コバルト(II)六水和物特級)を用いた。また、担体として、γ-アルミナ(住友化学株式会社製AKS-GT00)を用いた。得られたコバルト-γ-アルミナに対し炭化ケイ素(SiC)加熱助剤(和光純薬工業株式会社製粒径50nm)を10質量%となるよう混合した。得られた混合物を、600℃、1気圧の水素(H)雰囲気中で2時間放置する水素前処理を行い、ペレット化、粉砕工程を経て平均粒径が250μm~500μmとなるようふるい分けしたものを用いた。この触媒を管6(石英管)に充填長35mmとなるよう充填したものを被加熱対象物とした。これにより、空胴共振器2の高さ方向において、管6内はすべて触媒によって満たされるようにした。
触媒加熱実験は、あらかじめ触媒温度が50℃以下となっているのを確認し後、入射波モニター(図示せず)の値が設定電力(10W~50W)となるよう、信号系1Sとして用いた信号発生器(SG)の出力値を設定し、マイクロ波照射を試みた。温度測定器(放射温度計)(図示せず)の指示値が400℃を超えたところで、信号発生器(SG)の出力を最小値に設定し、マイクロ波照射を停止した。放射温度計には、ジャパンセンサー社製TMHXSTM0050シリーズ(商品名)を用い。この放射温度計の温度検出波長は石英ガラスを透過する波長の赤外線を用いているため、触媒充填部の表面温度を計測することができる。測定点からから4cmの位置にループアンテナを用いた検出素子を配して測定した。なお、放射温度計の測定波長は1.95~2.6μmであり石英管における光の吸収が少ないため石英管を通して測定した温度を触媒温度とした。この時の得られた、各マイクロ波電力と触媒表面温度を図5に示す。10Wでは目標の400℃に到達していないが、20W以上の照射により、400℃以上に加熱できていることはわかった。昇温特性(昇温速度)は、マイクロ波設定電力が50W:16.3℃/sec、40W:13.5℃/sec、30W:9.6℃/sec、20W:5.8℃/sec、10W:2.7℃/secであった。本結果より、上記マイクロ波処理装置1においても、従来のマイクロ波リアクターモジュールと同等の加熱制御が可能であることを確認できた。
次に、400℃における温度一定制御を行った。マイクロ波最大電力を50Wとし、400℃一定で運転したときの温度、マイクロ波電力(入射波電力-反射波電力)、共振周波数の時間プロファイルを図6に示す。図6に示すように、実験した1時間の間では、安定した温度制御が実現できていることがわかった。この時の温度安定性は、399.8℃±0.1℃であった。図7の0‐3分間の拡大図に示すように、マイクロ波照射後28秒はほぼ最大電力が印加されており400℃に到達していた、その後最大7℃のオーバシュートののちは、目標温度の400℃で安定していた。この時の、マイクロ波電力は13Wであった。周波数は、1時間の推移グラフでは時間の経緯とともに上昇していた。
本発明のマイクロ波処理装置1を用い、触媒の温度制御を行った結果を図8に示す。あらかじめネットワークアナライザーで求めた共振周波数で触媒に最大出力200Wのマイクロ波が照射できるよう信号発生器(シグナルジェネレータ)(図示せず)で発生した小信号RFをマイクロ波処理装置1に供給したところ、5秒で目標の400℃に到達することを確認した。このように、マイクロ波処理装置1においても、高速昇温が可能であることが確認できた。
このように、起動後5秒間、共振器内に最大出力の200Wのマイクロ波が照射され、その後、目的温度(400℃)に到達してからは、その温度を維持するのに必要な電力として20W~50Wのマイクロ波が随時調整されながら照射されることによって、400℃の加熱温度を維持できるがわかった。
1 マイクロ波処理装置
1S 信号系
1P 電力系
2 空胴共振器
3 筐体
3A、3B 筐体凹部(凹部)
4 マイクロ波供給口
5 温度測定窓
6 管
21 マイクロ波発振器
22 減衰器
23 制御器
24 信号系電源
25 検波器
26 温度測定器
31 マイクロ波増幅器
311 第1マイクロ波増幅器
312 第2マイクロ波増幅器
31B、32B、33B 回路基板
36 入射波端子
37 反射波端子
38 検波器端子
32 アイソレータ
32R 終端抵抗(ダミーロード)
33 整合器(新しい半固定整合器)
33D 半固定整合器
33C コンデンサ
33G グランド領域
33I 絶縁領域
33L 線路
33LIN 入力端
33LOUT 出力端
34 アンテナ
34IN 入力端
35 電力系電源
39 リード線
41 冷却部
42 流路
42A 第1流路(流路)
42B 第2流路(流路)
42C 接続流路
C 中心軸

Claims (18)

  1. 空胴共振器内にマイクロ波を照射して、該空胴共振器内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波処理装置であって、
    前記マイクロ波処理装置はマイクロ波を発生させる信号系と該マイクロ波を増幅して前記空胴共振器内に供給する電力系とを有し、
    前記電力系は、前記信号系によって発生されたマイクロ波出力を高めるマイクロ波増幅器を有し、該マイクロ波増幅器の出力端と前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナとの間に、反射波を吸収するアイソレータ及び反射波を抑制する整合器の少なくとも一つのコンポーネンツを含み、
    前記電力系の各機器が同一筐体内に配され、
    前記コンポーネンツの最終出力端と前記アンテナの入力端とが直接接続されているマイクロ波処理装置。
  2. 前記整合器は、絶縁基板上にマイクロストリップラインもしくはストリップラインによって構成された線路と、該線路のインピーダンスを調整するため線路パターン調整部もしくはコンデンサとを有する請求項に記載のマイクロ波処理装置。
  3. 前記信号系は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器、マイクロ波の信号レベルを調節する減衰器、及び該マイクロ波発振器を制御する制御器を含む請求項又はに記載のマイクロ波処理装置。
  4. 前記マイクロ波増幅器の出力端と前記アイソレータの入力端、及び/又は前記アイソレータの出力端と前記整合器の入力端との接続は、出入力端同士が直接接続されている請求項のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  5. 前記筺体内に冷却部を有し、該冷却部は少なくとも前記マイクロ波増幅器を冷却する請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  6. 前記冷却部は、前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系が配される位置の前記筺体内に設けた流路と、該流路に流される冷媒とを有する請求項に記載のマイクロ波処理装置。
  7. 前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系は前記空胴共振器の外側の側部に配されている請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  8. 前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系は前記空胴共振器の外側の側部の前記筺体に配した平面視L字形の凹部底部に配され、該底部内部に前記冷却部が配されている請求項又はに記載のマイクロ波処理装置。
  9. 前記マイクロ波増幅器を搭載する回路基板の裏面側に形成されたグランドパターンと前記筺体とが接触している請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  10. 前記空胴共振器の中心軸に沿って被処理対象物を配した請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  11. 前記空胴共振器が直列に複数配され、
    該複数の空胴共振器の直列連結方向でかつ該複数の空胴共振器内に形成される定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、該複数の空胴共振器を貫通して前記被処理対象物が配され、
    該複数の空胴共振器の各々に対してマイクロ波を各別に供給するマイクロ波発振器を有する、請求項10に記載のマイクロ波処理装置。
  12. 前記マイクロ波処理装置が、前記被処理対象物をマイクロ波の定在波により加熱して、化学反応を生じさせる化学反応装置である、請求項10又は11に記載のマイクロ波処理装置。
  13. 前記被処理対象物が流体である、請求項1012のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  14. 請求項1013のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波により処理することを含む、マイクロ波処理方法。
  15. 請求項1013のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波により加熱することを含む、加熱処理方法。
  16. 前記被処理対象物が流体であり、
    前記加熱によって、前記流体の状態変化及び化学反応のいずれか一方又は両方を引き起こすことを含む、請求項15記載の加熱処理方法。
  17. 前記状態変化が、前記流体の温度変化又は相変化である請求項16に記載の加熱処理方法。
  18. 請求項1013のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波処理することにより化学反応を生じさせることを含む、化学反応方法。
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