JP7236739B2 - マイクロ波処理装置、マイクロ波処理方法及び化学反応方法 - Google Patents

マイクロ波処理装置、マイクロ波処理方法及び化学反応方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波処理装置、マイクロ波処理方法及び化学反応方法に関する。
マイクロ波は、電子レンジのような家庭用から利用が広まり、その後、産業用の加熱システムとして、実用的な開発、利用が研究されている。マイクロ波照射により、被加熱対象物が直接発熱するため短時間に加熱でき、また熱伝導に起因する温度ムラを少なくできる利点がある。更に、非接触で加熱できる、マイクロ波吸収の良いものだけを選択的に加熱できるなどの利点がある。
電磁波であるマイクロ波は、波長周期でエネルギー強度が変化するため、加熱ムラが発生しやすい。このため、被加熱対象物の位置を時間的に移動させることによって、電磁波を乱反射するなど対策が行われることが多い。
この加熱ムラの問題に対処するため、マイクロ波の定在波を利用することが検討されている。例えば、特許文献1には、空胴共振器を用いたマイクロ波加熱装置が記載されている。この技術では、円筒型の空胴共振器内に、中心軸に平行な軸対象マイクロ波電界を発生させ、電界強度が集中する部分に配した円管内で化学反応を進行させる。また特許文献2には、空胴共振器内に形成されるシングルモード定在波の電界強度が極大となる部分に沿って流通管を配し、流通管内に流体を流通させることにより当該流体を迅速かつ均一に加熱する流通型のマイクロ波利用化学反応装置が記載されている。また特許文献3には、マイクロ波発生器の発振周波数を空胴共振器の現在の共振周波数に一致させるように制御する帰還制御手段を用いることが記載されている。これによって、TM010の共振状態を常に維持し、高精度の熱処理が可能になる。
このように空胴共振器を用いることにより、内部に定在波を形成して被加熱対象物を均一に、高効率に加熱する技術が開発された。
特開2005-322582号公報 特開2010-207735号公報 特開2009-80997号公報
しかし、上記各特許文献記載の技術では、マイクロ波の定在波を形成させるために、空胴共振器には一定の空間が必要となる。これは、供給されるマイクロ波の波長に応じた定在波を形成するためのマイクロ波照射領域が必要となるためである。そのため、空胴共振器が大きいと、当然、マイクロ波処理装置の小型化は実現できない。これはマイクロ波処理装置の応用範囲について看過できない制約となる。
本発明は、定在波を利用したマイクロ波処理装置の小型化を図ることを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、空胴共振器内に誘電体を配することにより、定在波の形成に必要なマイクロ波の波長を十分に短くできること、その結果、共振器の小型化をしても所望の定在波の形成が可能となることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
[1]
マイクロ波の定在波を形成する空胴を有する空胴共振器と、
前記空胴に、該空胴の容積の5分の1以上を占積して配した誘電体部とを有し、
前記空胴共振器内に、該空胴共振器の内部に対して出し入れ可能な被処理対象物が配され、
前記定在波により前記被処理対象物を処理するマイクロ波処理装置。
[2]
前記被処理対象物の誘電損率をεm’’、前記誘電体部の誘電損率ε’’としたとき、εm’’>ε’’である[1]に記載のマイクロ波処理装置。
[3]
前記被処理対象物が前記空胴共振器内の電界強度もしくは磁界強度が極大になる位置に配される[1]又は[2]に記載のマイクロ波処理装置。
[4]
前記被処理対象物は前記空胴共振器内に配された管内に配され、該管に充填若しくは連続的に導入した該被処理対象物をマイクロ波により処理する[1]~[3]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[5]
前記空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fとして表され、前記空胴の最大寸法L1がL1<λ/√2を満たす[1]~[4]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[6]
前記空胴共振器は、空気中を伝播するマイクロ波の波長をλとして、前記空胴の内容積Vの立方根として計算される該空胴共振器の等価容積球の直径をL2としたとき、L2<λ/√2を満たす[1]~[5]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[7]
前記空胴共振器は、TMmn0モードの定在波を形成する、前記空胴の直径がD、高さがHの円筒型共振器であり、該空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、D<{(m+n)×λ}/√2を満たす[1]~[6]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。
[8]
前記空胴共振器は、TMmn0モードの定在波を形成する、前記空胴の幅がW1、奥行きがW2、高さがHの矩形型共振器であり、該空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、W1<{(m+n)×λ}/√2、かつW2<{(m+n)×λ}/√2を満たす[1]~[6]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。
[9]
前記空胴共振器は、TMmn0モードの定在波を形成する、前記空胴の断面積がS、高さがHの多角形型共振器であり、該空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、前記断面積Sの平方根の値L3がL3<{(m+n)×λ}/√2を満たす[1]~[6]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。
[10]
前記空胴共振器は、TEl0nモードの定在波を形成する矩形型共振器であり、前記空胴内のマイクロ波進行方向の長さをLm、電界が変化する方向の長さをLeとし、該空胴共振器の共振周波数f、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、Le<λ/√2、かつLm<(n×λ)/√2を満たす[1]~[6]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。ただし、l、nは1以上の整数とする。
[11]
前記誘電体部は、比誘電率が1.5以上であり、誘電損率が0.1以下である[1]~[10]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[12]
前記被処理対象物が、気体、液体又は固体である[1]~[11]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[13]
前記マイクロ波処理装置が、前記被処理対象物をマイクロ波により処理して、化学反応を生じさせる化学反応装置である、[1]~[12]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置。
[14]
[1]~[13]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波の定在波により処理することを含む、マイクロ波処理方法。
[15]
[1]~[13]のいずれかに記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物を処理することにより化学反応を生じさせることを含む、化学反応方法。
本発明のマイクロ波処理装置は、小型化が可能で応用範囲が広く、また、被処理対象物に対してマイクロ波の定在波を高エネルギー密度で照射することを可能とする。
本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を模式的に示した図面であり、(A)は上部を横断面で示した斜視図、及び(B)は(A)に示した空胴共振器のA-A線を含む位置における縦断面図である。 矩形型空胴共振器の好ましい一実施形態を模式的に示した図面であり、(A)は上部を横断面で示した斜視図、及び(B)は(A)に示した空胴共振器のB-B線を含む位置における縦断面図である。 多角形型空胴共振器の好ましい一実施形態を模式的に示した図面であり、(A)は上部を横断面で示した斜視図、及び(B)は(A)に示した空胴共振器のC-C線を含む位置における縦断面図である。 実施例2の空胴共振器内に誘電体部が配されている場合と、配されていない場合における空胴共振器の順方向の伝送特性を示した図であり、縦軸はS21の値であり、横軸はマイクロ波の周波数である。 流通管に純水を送液したときのマイクロ波照射有無による出口温度の変化の計測結果を示した図である。 純水の流速に対し、マイクロ波電力により温度調整を行った測定結果を示した図である。 処理対象物として、石英管の中に充填した固体触媒を加熱したときの温度とマイクロ波電力の時間変化の測定結果を示した図である。 本発明のマイクロ波処理装置の好ましい別の一実施形態の空胴共振器及び反応管を模式的に示した断面図である。 実施例5(反応管なし)及び6(純水充填)における空胴共振器の順方向の伝送特性を示した図であり、縦軸はS21の値であり、横軸はマイクロ波の周波数である。 実施例6における出力が100Wのマイクロ波を照射した時のマイクロ波鑑別装置の昇温特性を示した図であり、縦軸は温度であり、横軸は時間である。 実施例7(反応管なし)及び7(純水充填)における空胴共振器の順方向の伝送特性を示した図であり、縦軸はS21の値であり、横軸はマイクロ波の周波数である。 本発明のマイクロ波処理装置のさらに別の空胴共振器(実施例9に用いた空胴共振器)の好ましい形態を模式的に示した断面図である。 実施例9における空胴共振器の順方向の伝送特性を示した図であり、縦軸はS21の値であり、横軸はマイクロ波の周波数である。
以下に本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を、図面を参照して説明する。
[マイクロ波処理装置]
本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を、図1を参照して説明する。
図1に示すように、マイクロ波処理装置1は、空胴共振器11と、空胴共振器11の空胴12内に配された誘電体部21と、空胴共振器11内に配されていて被処理対象物(図示せず)が配される管6と、定在波を形成するマイクロ波を供給するためのアンテナ部41とを有する。被処理対象物が配されるとは、被処理対象物が流通した状態であっても静止した状態であってもよい。図示例では、空胴共振器に配された貫通孔31内に両端が開放された管として流通管6を配している。なお、貫通孔31を流通管6としてもよい。この場合、流通管6は設置しなくてもよい。以下、貫通孔31に流通管6を配した構成で説明する。図には空胴共振器11と誘電体部21の間に空間8、空胴12の上部を図示しているが、この空間8、空胴12の上部は設けなくてもよい。なお、図示はしていないが、空胴共振器11の一端側に通じ、誘電体部21を貫通する貫通孔を配しても良い。
<空胴共振器>
マイクロ波処理装置1に用いる空胴共振器(キャビティー)11は、一つのマイクロ波供給口(アンテナ)を有する。この空胴共振器11は、マイクロ波を供給した際にTMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)モード又はTEl0nモード(ただし、l、nは1以上の整数とする。)の定在波を形成できるものが好ましい。例えば、後に詳説するが、円筒型又は角筒型等の後述する種々の形状の空胴12を有する空胴共振器11を用いることができる。
空胴共振器11の大きさも目的に応じて適宜に設計することができる。空胴共振器11は電気抵抗率の小さいものが望ましく、通常は金属製であり、一例として、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、黄銅、ステンレス、若しくはそれらの合金等を用いることができる。または、金属抵抗の小さいフィルムをコーティングすることで空胴共振器11を構成することもできる。この場合は、空胴共振器の構造は樹脂やセラミックなど絶縁体で作成しその内面や外面に、一例として金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム若しくはそれらの合金等を0.1μmから1mm程度の厚さでコーティングして用いることができる。
誘電体部21は、マイクロ波により形成される定在波の波長を短くする効果を発現するために、空胴12の容積の5分の1以上を占積して配する。好ましくは容積の4分の1以上、より好ましくは容積の3分の1以上、さらに好ましくは容積の5分の2以上を占積して配する。特に小型化の要請が大きい場合は容積の2分の1以上を占積して配することがより望ましい。具体的には、一例として、誘電体部21は、空胴12の中心軸XCに対して直角方向の断面形状に対して、それよりも小さい面積の相似形断面を有する柱状体に形成されていることが好ましい。空胴断面が円形の場合には誘電体部21は円柱であり、空胴断面が四角形の場合には四角柱に、多角形の場合には多角柱に誘電体部21が形成されていることが好ましい。また、空胴12の壁面と誘電体部21の側面との間隔はどの位置においても等間隔であることが好ましい。ただし、誘電体部21を空胴断面形状に対して相似形断面を有する柱状体に加工・配置することが困難な場合は異なる断面形状で本発明を実施することはできる。例えば多角形の空胴断面に対して、外径が多角形の内接円の直径より短い円柱を用いることも好ましい例である。
誘電体部21は中心軸XCに対して対称形であることが望ましい。対称形であることにより、貫通孔31内部の電界強度分布の乱れを抑制することができる。対称形を有する誘電体部21の一例として円柱や正多角形柱が好ましい。ただし、電界強度分布の乱れが処理対象物の温度分布に影響を及ぼさない場合は、対称性は厳密でなくても本発明の目的に供することができる。たとえば、誘電体部側面に内部観察用の観察窓を設けることもできる。
貫通孔31の中心軸と誘電体部21の中心軸とは空胴の中心軸XCに一致していることが好ましい。これにより、貫通孔31内部の電界強度分布の乱れを抑制することができる。一例として誘電体21は管状のものを用いることができる。ただし、電界強度分布の乱れが被処理対象物の温度分布に影響を及ぼさない場合は、中心軸XCと誘電体部21の中心軸の一致は厳密でなくても本発明の目的に供することができる。
これらは一例であって、空胴12に対して誘電体部21は種々の形態を取り得る。
誘電体部21は複数の部材から構成されてもよい。例えば、貫通孔31の中心軸と一致するような二重管でもよい。それぞれの部材は異なる材質で製造することも可能である。被処理対象物が100℃以上の高温になる場合は、誘電体部21の内側は耐熱性を有する材料で製造し、誘電体部21の外側は、断熱性能の高い材料で製造することもできる。この場合、誘電体部21の内側と誘電体部21の外側とに空気層若しくは真空層を設けることで、断熱性を高め、被処理対象物を高効率で加熱することができる。
誘電体部21を複数の部材から構成する場合の例として、流通管6がガラスなど破損の恐れがある材料を使用する場合、破片の飛散を防止するための機能を有した誘電体部21を流通管6の外側に配置することができる。飛散防止の機能を有する誘電体部として、一例としてテフロン(登録商標)やPEEK(登録商標)、グラスファイバー繊維など用いることができる。また、振動が多い環境で用いる場合は、緩衝機能を有する誘電体部を用いることも好ましい。一例として、スポンジ状の樹脂やゲル状高分子、グラスファイバー繊維からなる構造体など用いることができる。
加えて、空胴12内にマイクロ波を供給した際に、誘電体部21内に形成される定在波の周波数が、空胴12に形成される定在波の周波数よりも短くなるように、比誘電率を好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上とする。また小型化という観点から、より好ましくは7以上とする。さらに軽量化という観点から、さらに好ましくは20以上とする。これによって、誘電体部21に形成される定在波の波長を短くして、定在波形成領域を狭くすることで、空胴共振器11の小型化が可能となる。
このような小型化を実現するには、誘電体部21がマイクロ波を吸収することによる発熱を少なくすることが好ましい。したがって、誘電体部21の発熱の影響を少なくするには、誘電体部21の誘電損率をε’’としたとき、被処理対象物の誘電損率εm’’に対して、εm’’>ε’’とすることが好ましい。さらに、好ましくはε’’が0.1以下、より好ましくはε’’が0.05以下、さらに好ましくはε’’が0.005以下、特に好ましくはε’’が0.0005以下とする。このように、誘電体部21のマイクロ波の吸収を少なくすることによって、貫通孔31に配される被処理対象物(図示せず)のマイクロ波の吸収を高めることができる。
貫通孔31は、被処理対象物(図示せず)が配されるか、流動性の被処理対象物の場合被処理対象物を搬送するため流通管を配する孔であり、空胴共振器11の、例えば上下面または一方の面に通じるように、内部に配されている。貫通孔31の中心軸XC方向に電界強度が均一で中心軸XCと垂直面では貫通孔31付近に電界の極大を有する定在波が形成されるよう空胴共振器11および誘電体部21が設計されていることが好ましい。このような貫通穴31若しくは流通管6を電界強度が極大となる部分に合わせることにより、被処理対象物を効率よく、急速加熱することができる。また、流通管6を配さず、貫通孔31内に直接に被処理対象物を配し、若しくは流通させても、流通管6内を通した場合と同様に、被処理対象物を効率よく、急速加熱することができる。
なお流通管6は直管でなくてもよく、例えば螺旋状の流通管を用いることもできる。螺旋状の流通管を用いる場合、螺旋の中心軸と空胴共振器の中心軸XCとを一致させることで、螺旋内を流通する流体に照射される電界強度のムラを抑制する効果が期待できる。また複数の流通管が配されていても良く、それらが貫通孔31内部で合流や分岐していてもよい。さらに流通管6は、磁界強度が極大になる位置に配することも好ましい。すなわち、貫通孔31の中心軸XC方向に磁界強度が均一で中心軸XCと垂直面では貫通孔31付近に磁界の極大を有する定在波が形成されるよう空胴共振器11および誘電体部21が設計されていてもよい。
アンテナ部41は、マイクロ波を導入するためのアンテナ機能を有する。
アンテナ部41は、空胴共振器11の外側壁側から内部側に配されたアンテナ線42と、マイクロ波供給口となるアンテナ43と、アンテナ43の接地線44とを有する。図1では接地線44により接地電位に接続するよう記載しているが、ケーブル45を同軸線とし同軸線の接地導体(外側導体)に接続してもよい。このアンテナ部41はアンテナ43と接地電位となっている空胴共振器11の外側壁からなるループ線路となっており、ループアンテナとして機能する。アンテナ43は空間8の部分に配しても良い。若しくは、アンテナ43は空胴12内でその外周面側に配してもよい。空間8を設けることが適切でない場合は、誘電体部21内部にアンテナ43を配しても良い。または、空胴共振器11外側壁の一部に凹部を設け、凹部にループアンテナとして機能するようアンテナ43を配することもできる。このアンテナ43から供給されたマイクロ波によって、ループ空間に磁界が励起されこの磁界により、空胴12(誘電体部21も含む)内に定在波が形成される。
例えば、従来の金属製の空胴共振器が密度の軽いアルミニウムを用いて形成されたとしても、本発明のように一桁以上の小型化が実現できれば、空胴内に誘電体部を入れても大幅な軽量化が可能となり、適用の幅が広がる。
上記の構成によって、流通管6に配した被処理対象物にマイクロ波(定在波)が照射されるようになる。その際、空胴12の内面によって定在波形成領域が画定する。例えば、円筒形状の空胴12が配される場合、円筒形状の径は定在波が形成されるマイクロ波の波長に設定することができる。
上記空胴共振器11は、流通管6の位置(中心軸XC)において、空胴12内に形成される定在波のエネルギーが極大となり、中心軸XC方向に定在波のエネルギーが均一となることが好ましい。例えば、TM0n0モード(nは1以上の整数)の定在波が発生する円筒形の空胴12の場合、円筒形の中心軸XCの電界強度が極大となり中心軸XCに沿っては電界強度が均一になる。このため、流通管6ないし貫通孔31は空胴12の中心軸XCに配されることが好ましい。
空胴共振器11には、マイクロ波発生器5(図1参照)が設けられ、マイクロ波発生器5から、ケーブル45、アンテナ線41及びアンテナ43を介して空胴共振器11の空胴12内にマイクロ波が供給される。一般にマイクロ波周波数は2.45GHzを中心としたSバンドが用いられる。若しくは、5.8GHz帯、915MHz帯を用いることもあるが、本発明は特定の周波数に限定されるものではない。
上記のマイクロ波処理装置1では、貫通孔31の内部に流通管6を配し、この流通管6内に被処理対象物(図示せず)が存在する、又は被処理対象物が流通する。このように被処理対象物が配された空胴共振器11に対して、マイクロ波発生器5からマイクロ波を供給し、空胴12内に定在波を形成する。その定在波の電界強度が極大となる部分に沿って流通管6を設けておけば、流通管6内の被処理対象物を効率的に、迅速に加熱することができる。上記マイクロ波処理装置1では、空胴共振器11に設けられたアンテナ43から定在波を形成するマイクロ波が空胴12内に供給される。
上記マイクロ波処理装置1において、マイクロ波発生器5から供給されるマイクロ波は、周波数を調整して供給される。周波数の調整により、空胴共振器11内に形成される定在波の電界強度分布を所望の分布状態に制御し、またマイクロ波の出力によって定在波の強度を調整することができる。つまり、被処理対象物の加熱状態を制御することが可能になる。
なお、アンテナ43から供給されるマイクロ波の周波数は、空胴共振器11内に特定のシングルモード定在波を形成できるものである。
本発明のマイクロ波処理装置1の構成について、順に説明する。
<空胴共振器の具体例>
空胴共振器11の空胴12を成す壁面形状は、円筒型であっても角筒型であっても用いることができる。本明細書において円筒型とは、該共振器の中心軸XCに直角な断面形状が円形であるものの他、当該断面形状が楕円形若しくは長円形であるものを含む意味に用いる。また、角筒型とは、中心軸XCに直角な断面形状が矩形又は多角形であるものを意味し、当該断面形状が4~12角形であることが好ましい。また、多角形型の角が、丸みを帯びた形状であってもよい。多角形の場合、さらに角が多い場合には円筒型に近似できる。
空胴共振器11の大きさも定在波が形成できる大きさであれば小さいほうが望ましいが、目的に応じて適宜に設計することができる。誘電体部21は、比誘電率の高いものが望ましく、樹脂、セラミック、ガラス、複合材等を配することが好ましい。樹脂としては、例えば、テフロン(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、等を用いることができる。セラミックとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、窒化ケイ素若しくは窒化アルミニウム、等を用いることができる。ガラスとしては、例えば、石英、サファイア若しくは硼珪酸ガラス、等を用いることができる。複合材としては、繊維強化プラスチックや高分子ゲル、等を用いることができる。
誘電体部21は液体の誘電体で充満させることもできる。液体の誘電体としては、ベンゼン、トルエンなどの環状の炭化水素、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ドデセン、テトラデセン、オクタデセン等直鎖状の炭化水素や、それらの水素を塩素やフッ素などのハロゲン類に置換したもの、その他、フロリナート、四塩化炭素、など非極性溶媒等を用いることができる。また、氷も水に比べ誘電損率が小さいため、液体状態で充満させたのち冷却して固体として用いることもできる。
次に、本発明のマイクロ波処理装置に用いる空胴共振器について、以下に説明する。
(1)空胴共振器11は、その共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fとして表され、空胴12の最大寸法L1に対して、L1<λ/√2を満たすことが好ましい。空胴12の最大寸法とは、空胴12の横断面形状において、例えば、円筒型の空胴共振器の場合には、横断面形状が円、長円又は楕円であることから、その直径または長径である。また、矩形型又は多角形型空胴共振器の場合には、その横断面形状が矩形又は多角形であることから、その対角線のうち最も長い対角線である。
(2)空胴共振器11は、空気中を伝播するマイクロ波の波長をλ、空胴12の内容積Vの立方根として計算される該空胴12の等価容積球の直径をL2としたとき、L2<λ/√2を満たすことが好ましい。この条件から外れる場合、空胴共振器11内に高次の定在波が形成され、被処理対象物内に電磁界強度のムラが生じる恐れがある。なお、等価容積球とは、内容積Vの球をいう。
(3)図1に示すように、空胴共振器11(11C)は、TMmn0モード(ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。)の定在波を形成する、空胴12の直径がD、高さがHの円筒型空胴共振器である。この空胴共振器11Cの共振周波数をf、真空中の光速をcとすると、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、D<{(m+2)×λ}/√2を満たすことが好ましい。この条件から外れると、TMmn0モードより高次の定在波が形成され、被処理対象物内に電磁界強度のムラが生じる恐れがある。
(4)図2に示すように、空胴共振器11(11D)は、TMmn0モード(ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。)の定在波を形成する、空胴12に配される空胴の幅がW1、奥行きがW2、高さがHの角筒型(矩形型)空胴共振器である。ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。該空胴共振器11Dの共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、W1<{(m+2)×λ}/√2、かつW2<{(m+2)×λ}/√2を満たすことが好ましい。この条件から外れると、TMmn0モードより高次の定在波が形成され、被処理対象物内に電磁界強度のムラが生じる恐れがある。なお、中心軸XCにそって貫通孔31及び流通管6が配されている。
(5)図3に示すように、空胴共振器11(11E)は、TMmn0モード(ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。)の定在波を形成する角筒型(多角形型)空胴共振器である。空胴12の中心軸XCに対して直角方向の断面をなす多角形(図示例は6角形)の断面積をS、高さをHとする。該空胴共振器11Eの共振周波数をf、真空中の光速をcとすると、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、断面積Sの平方根の値L3がL3<{(m+2)×λ}/√2を満たすことが好ましい。この条件から外れると、TMmn0モードより高次の定在波が形成され、被処理対象物内に電磁界強度のムラが生じる恐れがある。なお、中心軸XCにそって貫通孔31及び流通管6が配されている。
空胴共振器11は、TEl0nモード(ただし、l、nは1以上の整数とする。)の定在波を形成する角筒型(矩形型)共振器である。空胴12におけるマイクロ波進行方向の長さをLm、電界が変化する方向の長さをLe、電界変化がない方向の長さをLnとする。該空胴共振器の共振周波数f、真空中の光速をcとすると、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、Le<λ/√2、かつLm<n×λ/√2を満たすことが好ましい。この条件から外れると、TE10nモードより高次の定在波が形成され、被処理対象物内に電磁界強度のムラが生じる恐れがある。
空胴共振器11は、上記したように、被処理対象物の誘電損率をε’’、誘電体部の誘電損率ε’’としたとき、ε’’>ε’’であることが好ましい。
誘電体に交流電場をかけたとき,分極がマイクロ波の周波数に追随できなくなり,その遅れ分が熱エネルギーとして失われる。その失われる熱エネルギー量に係る係数を誘電損率という。すなわち、上記関係は、マイクロ波を印加した際に被処理対象物よりも誘電体部のほうが熱エネルギーとして失われる割合が小さいことを意味している。したがって、供給されたマイクロ波のエネルギーが効率よく、被処理対象物に供給され、被処理対象物の急速加熱が実現できる。
<マイクロ波の供給>
本発明のマイクロ波処理装置1は、上述した加熱制御を実施するのに好適な装置である。マイクロ波処理装置1は、マイクロ波を供給するアンテナ部41を備えた空胴共振器11と、該空胴共振器11に対し、該空胴共振器11内に定在波を形成できる周波数のマイクロ波を供給するマイクロ波発生器5とを有する。マイクロ波発生器5は、マイクロ波増幅器(図示せず)を含む構成としても好ましい。
上記マイクロ波発生器5としては、例えば、マグネトロン等のマイクロ波発生器や、半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器を用いることができる。小型かつマイクロ波の周波数を微調整できるという観点から、半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器を用いることが好ましい。
図1に示したように、マイクロ波処理装置1では、空胴共振器11内の空胴12の側壁であって、空胴12の中心軸XCに平行な面(上記円筒形の空胴の内面)又はその近傍には、マイクロ波供給アンテナ(単にアンテナともいう)43が設けられている。一実施形態において、アンテナ43は、高周波を印加することができるアンテナであり、磁界励起アンテナ、例えばループアンテナを用いることが好ましい。アンテナ43は、空胴共振器11に設けたアンテナ線42が接続され、更にアンテナ線42に電気的に接続されたケーブル45を介してマイクロ波発生器5と接続されている。ケーブル45には、例えば同軸ケーブルが用いられる。この構成では、マイクロ波発生器5から発せられたマイクロ波を、ケーブル45及びアンテナ線42を介してアンテナ43から空胴共振器11の空胴12内に供給する。マイクロ波発生器5とアンテナ43との間には、反射波を抑制するための整合装置(図示せず)やマイクロ波発生器を保護するためのアイソレータ(図示せず)を設置してもよい。
上記アンテナ43の他方の端部は接地線44を介して共振器壁面などの接地電位と接続している。このアンテナ43にマイクロ波(高周波)を印加することで、ループ内に磁界が励振され空胴共振器11内の定在波形成領域(空胴12及び誘電体部21)に定在波を形成する形態とすることができる。
例えば、上記の円筒型の空胴共振器11において、TM010のシングルモード定在波を形成させた場合、中心軸XCにおいて、電界強度が最大になり、中心軸XC方向に電界強度が均一になる。したがって、流通管6ないし貫通孔31において、その内部に存在し、又は流通する被処理対象物を、均一に、高効率にマイクロ波加熱することが可能になる。
<被処理対象物の処理>
本発明のマイクロ波処理装置1では、被処理対象物は、空胴共振器11の内部に対して出し入れ可能に配されるものであり、例えば、流通管6の内部に存在し、又は流通するものであり、空胴共振器11内部の電界強度に対応させて配される。特に、空胴12内に形成された定在波の電界強度が極大になる部分に沿って配せば、より効率的なマイクロ波処理(例えば加熱)が可能になる。
また、空胴共振器11の厚さが薄い場合には、複数の空胴共振器11を中心軸XC方向に直列に接続することも可能である。接続される空胴共振器11は、2個以上数千個程度まで積層することも可能である。
図1に示したマイクロ波処理装置1においては、流通管6内に配される被処理対象物に特に制限はなく、液体、固体、粉末およびそれらの混合物を挙げることができる。若しくは、流通管内にあらかじめ設置したハニカム構造体、触媒等を挙げることができる。
被処理対象物が流体の場合、マイクロ波照射による被処理対象物の加熱によって、流体の状態変化及び化学反応のいずれか一方又は両方を引き起こすことに用いてもよい。状態変化には、流体の温度変化又は相変化がある。
また被処理対象物を液体、固体又は粉末とした場合は、流通管内にポンプ等で搬送することで、加熱処理された被処理対象物を連続的に取り出すことができる。多くの化学反応は温度により反応の進行を制御することができるため、本発明のマイクロ波処理装置は化学反応の制御に用いることに好適である。
被処理対象物をハニカム構造体とした場合には、マイクロ波処理装置は、例えば、ハニカム構造体を通過するガス状物質の温度制御をするために用いることができる。また、被処理対象物を触媒とした場合には、後述するように、触媒の作用による化学反応を生じさせるために用いることができる。触媒は、ハニカム構造体に担持させた形態とすることも好ましい。
上記化学反応としては、転移反応、置換反応、付加反応、環化反応、還元反応、酸化反応、選択的触媒還元反応、選択的酸化反応、ラセミ化反応、開裂反応、接触分解反応(クラッキング)等が例示されるが、これらに限定されず種々の化学反応が挙げられる。
化学反応の具体例を挙げると、揮発性有機物質を酸化分解する反応、窒素酸化物を窒素と酸素に還元する反応、硫黄酸化物をカルシウムに固定化する反応、重油を軽質化する反応等を挙げることができる。
本発明の化学反応方法において、反応時間、反応温度、反応基質、反応媒体等の条件は、目的の化学反応に応じて適宜に設定すればよい。例えば、化学ハンドブック(鈴木周一・向山光昭編、朝倉書店、2005年)、マイクロ波化学プロセス技術II(竹内和彦、和田雄二監修、シーエムシー出版、2013年)、特開2010-215677号公報等を参照し、化学反応条件を適宜に設定できる。
図1に示した形態において、定在波の周波数は、空胴共振器11内に定在波を形成できれば特に制限はない。例えば、マイクロ波を供給するためのアンテナ43からマイクロ波を供給した場合に、空胴共振器11内に上述したTMmn0モードやTEl0nモードの定在波が形成される周波数とすることができる。
上記TMmn0モードの定在波は、例えばTM010、TM020、TM030のモードが挙げられ、なかでもTM010の定在波であることが好ましい。
常法の製造方法に基づいて、サイズを小さくした本発明のマイクロ波処理装置1の空胴共振器を試作した。空胴共振器に、マイクロ波を供給したところ、貫通孔内を通過する液体を加熱制御できた。本セラミック構造体共振器は従来の金属製の空胴共振器より質量、容積とも1/10以下であった。
上記空胴共振器11の空胴12内に配される誘電体部21の形状は、中心軸XCに対して直角断面の断面形状が直径Dの円形の場合、その内部に配する誘電体部21は、空胴12の直径Dよりも小さい直径dを有する円柱形状が好ましい。また、誘電体部21にはその中心軸XCにそって貫通孔31が配されている。貫通孔31の内部に流通管6を配する場合には、流通管6の外壁と貫通孔31の内壁との間に貫通孔31の一部である空間7を有することが好ましい。このような空間7を有することで、空間7の空気層が断熱壁の作用を有し、流通管6内の被処理対象物若しくは流通管6が熱せられても、その熱が誘電体部21に影響することが軽減される。
また、誘電体部21の側壁と空胴12の内壁との間に空胴12の一部である空間(隙間)8を有することが好ましい。この場合も前述の場合と同様に、誘電体部21が比誘電率の高い材料で形成されるため、マイクロ波によって加熱されやすい。上記空間8を設けることによって、誘電体部21が加熱された熱が空間8の空気層によって断熱され、空胴共振器11に伝わりにくくなる。
上記マイクロ波処理装置1は、貫通孔を通す被処理対象物や流通管内を通す被処理対象物を加熱し、若しくは化学反応を起こさせることができる。又は、流通管内に気体を通し、プラズマを発生させることができる。
マイクロ波処理装置1は、共振器2の共振周波数が工業的に利用できるISMバンド内に収まるよう設計することが好ましい。また、共振周波数は被処理対象物の温度変化や組成変化により変動するため、その変動域を考慮したうえでISMバンドに収まることが好ましい。「ISM」は、Industry Science Medicalの略であり、ISMバンドは、産業、科学、医療分野で汎用的に使うために割り当てられた周波数の帯域のことである。
誘電体部21を構成する場合、セラミックのような誘電損失が小さいものを用いることが好ましい。誘電損失が小さいセラミックを用いた場合、マイクロ波がセラミック層により吸収されにくくなり、誘電体部21の発熱を抑制することができる。これにより、被処理対象物の加熱効率の低下を抑えることができる。また、誘電体部21の熱変成や発火などトラブルを誘発する危険性が生じないようにできる。
上記マイクロ波処理装置1の空胴共振器11は、従来の空胴共振器に対して、大幅な小型化、軽量化を実現できる。
このように、小型化、軽量化が実現できるため、マイクロ波処理装置を他の装置と一体に形成することも可能になる。例えば、医療分野の薬液温度制御などの使い捨て用途にも利用可能性が広がる。
さらに上記のマイクロ波処理装置においては、以下のような効果も挙げられる。
(1)小型であることによりエネルギー密度が高められ、より迅速に高温加熱が可能となる。したがって、化学材料の合成を含め、種々の化学反応へと適用範囲が広がる。
(2)比較的安価な低出力マイクロ波発生器を利用しても被処理対象物に十分なマイクロ波エネルギーを供給できる。したがって、装置価格が低減できる。
(3)生産規模の増減に応じて、マイクロ波発生器及び空胴共振器を段階的に増減することができるため、種々の生産形態に柔軟に対応できる。
(4)空胴共振器に検波器を設置するなど、所望の機能を組み込むことができる。したがって、例えば、空胴共振器におけるマイクロ波照射状況や加熱状況を、検波器による定在波の検出、マイクロ波発生器によるマイクロ波の周波数の調整が可能になるので、空胴共振器11を制御することができる。その結果、流通管内の被処理対象物のきめ細かい温度管理が可能となる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
試験体として、図1に示した円筒型空胴共振器を有するマイクロ波処理装置1を作製した。空胴共振器は、アルミニウム製とし、空胴の内径を2.2cm、高さを1.01cmに作製した。空胴共振器の空胴の中心軸XCに、直径が1.05cmの貫通孔を設けた。誘電体部は、比誘電率が40、誘電損率が0.0005の京セラ社製とし、直径Dが1.8cm、高さHが1.0cmの円柱状に作製した。この中心軸にも、空胴の中心軸XCと合せた直径1.1cmの貫通孔を設けた。なお、誘電体部は貫通孔に設置した被処理対象物としの被加熱対象物の温度計測が可能なように側壁に直径5mmの横穴を1か所開けた(図示せず)。同様に空胴共振器側壁にも温度計測用の観察穴直径5.5mmを設けた(図示せず)。この時の空胴共振器の空胴部容積は3.8cmであり誘電体部の体積は1.5cmであった。空胴部のうち誘電体部の占積は40%である。
空胴共振器には、予め、マイクロ波供給用のアンテナ43、アンテナ線42、接地線44、及び図示はしていない検波器のアンテナやアンテナ線等を取り付けた。
その結果、空胴共振器の外寸における体積が4.25cm、質量が60gの、誘電体部を含む小型化された空胴共振器を得ることができた。一方、従来の空胴共振器は、外寸における体積が200cm(10cm×10cm×2cm)であり、その質量が1.3kgであった。このように、本発明のマイクロ波処理装置1は小型化、軽量化を達成することができた。
上記作製した試験体のマイクロ波(電力)供給側アンテナ43と、検波器側アンテナ(図示せず)それぞれに、N型端子とSMA端子を取り付け、ネットワークアナライザー(アジレント社製 E5071C(商品名))にて、S11信号の測定を行った。
上記試験体のS11信号のスぺクトルを調べると、2.63325GHzの周波数において、S11信号が-14dBとなっており、TM010モードの定在波が形成できることがわかった。
[実施例2]
試験体として、1.9GHz用のTM010モードの円筒型空胴共振器を有するマイクロ波処理装置1(図1参照)を作製した。空胴共振器11として、アルミ製の円筒空胴共振器の内径を4.4cm、高さ1.0cmに作製した。空胴共振器11の空胴の中心軸XCに、直径1.05cmの貫通孔31を設けた。誘電体部21には、実施例1と同じ外径1.8cm、高さ1.0cm、中心軸XCに内径1.1cmとなる貫通孔31を有した比誘電率40のセラミックを用いた。図4に、本空胴共振器に誘電体部21を配した場合と配していない場合とについて、共振周波数の変化に対する上記ネットワークアナライザーを用いて測定したS21信号の測定結果を示す。空胴内に誘電体部がない場合は、5.33375GHzであった共振周波数が、誘電体部21を配することで1.8985GHzとなっていることがわかった。誘電体部を配さずに1.8985GHz用の円筒型空胴共振器を製作する場合、内径12.1cmが必要であるのに対し、本実施例2の空胴共振器の場合、内径が4.4cmと内径において36%の小型化が達成できた。この空胴共振器の空胴の容積は15.2cmであり、誘電体部の体積は3.8cmであった。したがって空胴のうち誘電体部21の占積は25%であった。
[実施例3]
次に上記の実施例1の試験体において、試験体の貫通孔31の中心軸XCを貫通する状態に外径2mm、内径1mmの流通管6としてシリコンチューブ製の流通管を挿入した。その結果、S11信号の共振周波数は2.63275GHzであることがわかった。さらに、上記流通管6内に純水を満たしたところ、S11信号の共振周波数は2.6240GHzになっていることがわかった。
次に、シリコンチューブに送液ポンプ(図示せず)にて純水を1mL/minから8mL/minの範囲で供給しながら共振周波数に一致したマイクロ波を、電力供給側のアンテナ43から0Wから90Wの範囲で入射した。共振周波数は、検波器側アンテナ(図示せず)の信号が最大になるよう、照射する周波数を微調整することで調べた。これらの制御を自動で行うためのフィードバック制御を行い、常に共振周波数に一致した所定電力のマイクロ波を供給できるよう、システムを構築した。これによって、TM010モードの定在波を形成した。供給した純水の温度は、シリコンチューブ内部に取り付けた、太さ0.5mmの極細熱電対(坂口電熱社製 T-35型 K0.5φ×100)にて計測した。熱電対の先端測温部は空胴共振器11の貫通孔31の出口端から1mm離れた位置に配置した。温度上昇ΔTは、マイクロ波印加前の液体温度と、マイクロ波照射後10秒から60秒の平均温度の差とした。また、マイクロ波投入電力ΔPは、電力供給側のアンテナ43の入射波電力から反射波電力を差し引いた実効電力とした。
純水の送液速度は6mL/minとした。試験体1への投入電力として22W、47W、76Wと段階的に増加させながら供給したときの温度の時間変化を図5に示す。マイクロ波供給前は22℃であったが、60秒~120秒のタイミングでマイクロ波22Wを照射したところ直ちに温度上昇し、10秒後には44℃となった。また、120秒後にマイクロ波照射を止めたところ、温度低下が認められた。同様にマイクロ波47W(180秒~240秒の区間)を供給したときは61℃以上に、76W(300秒~360秒の区間)を供給したときは80℃以上に加熱していることが認められた。いずれもマイクロ波照射を停止したところただちに温度が低下していることからマイクロ波照射時間内の温度上昇は、純水のマイクロ波吸収による発熱に起因していることが確認できた。
マイクロ波照射による温度上昇をΔTとして、純水の送液速度を1mL/minから8mL/min、マイクロ波投入電力を0W~80Wの範囲で変化させたときのΔTの値を調べた結果を図6に示す。純水の流速に応じてマイクロ波投入電力を調整することで、純水の温度調整が可能となることがわかった。
[実施例4]
被処理対象物として、揮発性有機溶媒(VOCs)分解用触媒の温度制御を行った。空胴共振器11と誘電体部21は実施例1と同じものを用いた。粒子径を250μmから500μmの範囲でふるい分けした多孔質アルミナに炭化ケイ素を10:1となるよう混合したものを模擬触媒として、外径10mm内径8mmの石英反応管に充填した流通管6を貫通孔31に配した。触媒温度は放射温度計(ジャパンセンサー社製 TMHX-STM0050)を、空胴共振器11の中心軸XCに垂直方向の側壁に設けた直径5.5mmの測定穴(図示せず)に取り付けた。このとき、誘電体部21の円周壁にも同じ測定穴を設けてあり、空胴共振器11の測定穴および放射温度計の測定部と一致するように配した。用いた放射温度計は3~4μmの赤外線波長に感度をもち、石英反応管内部の温度の測定が可能である。また、空胴共振器11外面に熱電対を密着させ、空胴共振器11の表面温度をも同時に計測した。
図7に、放射温度計の指示値が400℃となるようマイクロ波照射電力をフィードバック制御(例えば、PID制御)により調整したときの、触媒温度変化および、空胴共振器11表面温度とマイクロ波電力を示す。実験開始後、最大65Wのマイクロ波が照射され35秒で目標温度の400℃に到達したのち、マイクロ波電力が調整され平均43Wで触媒温度が400℃に維持できていることがわかる。本発明により気相反応用の固体触媒の急速加熱が可能であることが確認できた。一方、誘電体部21の誘電損率ε ’’が0.0005のため、誘電体部のマイクロ波吸収は0でなく、発熱が予想される。図7より空胴共振器外壁の温度指示はマイクロ波照射とともにゆっくり上昇してゆき200秒後には100℃に到達しているが、これは誘電体部21のマイクロ波吸収による影響と考えられる。一方、模擬触媒の比誘電率を摂動法により測定したところ比誘電率2.6、誘電損率εm’’は0.03であった。εm’’>ε’’であることから、触媒部分の温度上昇のほうが大きく、触媒の加熱制御可能であることが確認できた。
[実施例5]
915MHz帯の円筒型空胴共振器を用いて、図8に示したマイクロ波処理装置1(1B)を作製した。図8に示すマイクロ波処理装置1Bは、流通管6(図1参照)内に被処理対象物として液体61を流通させないこと以外は、上記マイクロ波処理装置1Aと同様の構成とした。実施例5では流通管を反応管という。すなわち、反応管6内に液体61を誘電体部21の高さ以上に入れて保持した。このマイクロ波処理装置1Bは、マイクロ波発振器(図示せず)、空胴共振器11、マグネティックスターラー51からなるバッチ式のマイクロ波処理装置である。空胴共振器11は、空胴12の内径を4.4cm、高さを1.01cmとし、空胴12の中心軸XCに、直径が1.3cmの貫通孔31を設けた。誘電体部21は、比誘電率が40、誘電損率が0.0005の京セラ社製とし、直径Dが3.5cm、高さHが1.0cmの円柱状に作製した。この中心軸にも、空胴の中心軸XCと合わせた直径1.4cmの貫通孔を設けた。この時の空胴12の容積は15.2cmであり、誘電体部21の体積は8.1cmであった。空胴12のうち誘電体部21の占積は53%である。空胴共振器11の外寸における体積が72cm、質量が225gの、誘電体部21を含む小型化された空胴共振器を得ることができた。一方、従来の空胴共振器は、外寸における体積が1847cm(直径28cm×高さ3cm)であり、質量が2.8kgであった。
ネットワークアナライザーを用いて、上記作製した試験体のS21信号の測定を行った。図9に示すS21信号の波形より、マイクロ波処理装置1Bのみの場合、1.018GHzの周波数においてTM010モードの定在波が形成されていることがわかった。
[実施例6]
マイクロ波処理装置1Bの貫通孔31の中心軸XCを貫通する状態に外径13mm、内径12mmの四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)製の反応管(試験管)を挿入し、純水を3.4ml入れて、撹拌子にて撹拌した。空胴共振器の照射高さ1.01cmに対し、試験管内の液体の高さは3cmであった。この状態でのS21信号を図9に合わせて示す。918.12MHzの周波数においてTM010モードの定在波が形成されていることがわかった。
次に、出力が100Wのマイクロ波を照射した時の昇温特性を図10に示す。温度計測には光ファイバー温度計(安立計器社製FL-2000(商品名))(図示せず)を用い、空胴共振器11内の中心位置にて純水の温度を測定した。約40秒の加熱で80℃近くまで上昇することがわかった。
以上より、915MHz帯においても、小型化と軽量化を達成したマイクロ波処理装置1Bを作製できた。
[実施例7]
TM110モードの定在波を形成する円筒型空胴共振器にて、マイクロ波処理装置1を作製した。マイクロ波処理装置1の空胴共振器11は、空胴12の内径を9.15cm、高さを1.01cmとし、空胴12の中心軸XCに、直径が1.1cmの貫通孔31を設けた。空胴12内には誘電体部21を配した。誘電体部21は、比誘電率が2.1、誘電損が0.0004のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製とし、直径Dが6.5cm、高さHが1.0cmの円柱状に作製した。この中心軸にも、空胴12の中心軸XCと合わせた直径1.1cmの貫通孔31を設けた。この時の空胴12の容積は66.4cmであり、誘電体部21の体積は32.2cmであった。空胴12のうち誘電体部21の占積は48%であった。一方、誘電体部21を含まない従来のTM110モードの定在波を形成する空胴共振器の場合、空胴の内径は12.7cm、高さは1.01cmであり、空胴の容積は127.9cmであった。誘電体部を含むことで、従来よりも容積を52%に小型化した空胴共振器を得ることができた。
ネットワークアナライザーを用いて、上記作製したマイクロ波処理装置1のS21信号の測定を行った。図11に示したS21信号の波形より、反応管6が配されていないマイクロ波処理装置1の場合、2.875GHzの周波数においてTM110モードの定在波が形成されることがわかった。
[実施例8]
次に上記マイクロ波処理装置1において、貫通孔31の中心軸XCを貫通する状態に外径4mm、内径3mmの流通管6としてPTFE製の流通管を挿入し、純水を流通させた。この状態で測定したS21信号を図11に合わせて示した。2つの波形はほぼ重なり合っており、純水を流通させた場合においても、TM110モードの定在波は安定して形成されることがわかった。
[実施例9]
誘電体として液体を用いた実施例を図12に示す。空胴共振器11として、空胴内寸(内径)が63mm、高さが5mmのアルミ製空胴共振器を用いた。この空胴は、凹状の本体11Fの底部を下側とし(貫通孔は配せず)、本体11Fに平板状の上蓋11Gを被せて上蓋11Gの上面からネジ等で固定して形成される空間とした。なお、図面では空間に液体の誘電体部21を充満した状態で示した。空胴共振器11の一端面側である上蓋11G中央部には直径10mmの孔11Hが設けてあり、そこから固体の被処理対象物62を、空胴内に直接を挿入できるようにした。空胴内部が空間の状態の共振周波数と、空胴内部に誘電体部21としてドデカン(比誘電率2.0)を充満させたときの共振周波数をネットワークアナライザーのS21信号により計測した結果を図13に示す。何も入れていない場合の共振周波数は3.650GHzであるのに対し、液体の誘電体としてドデカンを充満させたときの共振周波数は2.655GHzであることがわかった。円筒型共振空胴器でTM010モードの定在波を2.655GHzで形成するには、誘電体を充填しない場合の空胴の内径を86.4mmとしなくてはならないが、液体状のドデカンを空胴内部に充満させることで空胴内径を63mmと小型化が可能になったことがわかった。誘電体部21に液体を用いた場合は、複雑な外形を有した被処理対象物においても、被処理対象物の隙間部に液体が浸透され空気層を減らすことができるため、より小型化にできる特徴がある。
また、液体の誘電体は、上記ドデカンの他に、例えば、トルエン(比誘電率ε’=2.4、誘電損率ε’’=0.096)、ヘキサン(ε’=1.9、ε’’=0.038)、o-キシレン(ε’=2.6、ε’’=0.047)、クロロベンゼン(ε’=2.6、ε’’=0.263)などが挙げられる。さらに液体の誘電体には、四塩化炭素、フロリナート、ベンゼンなどが挙げられる。上記の液体の誘電体は、送液ポンプなどを利用して循環させることができる。外部で冷却した液体の誘電体を循環させることで、マイクロ波被照射後に被処理対象物を速やかに冷却させることが可能となる。
本発明をその実施形態および実施例とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2017年11月28日に日本国で特許出願された特願2017-228474に基づく優先権を主張するものであり、これらはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1、1A、1B マイクロ波処理装置
5 マイクロ波発生器
6 管、流通管、反応管
7、8 空間
11 空胴共振器
12 空胴
21 誘電体部
31 貫通孔
41 アンテナ部
42 アンテナ線
43 アンテナ
44 接地線
45 ケーブル

Claims (16)

  1. マイクロ波の定在波を形成する空胴を有する空胴共振器と、
    前記空胴に、該空胴の容積の5分の1以上を占積して配した誘電体部とを有し、
    前記誘電体部が、前記空胴の中心軸に対して直角方向の断面形状に対して、それよりも小さい面積の相似形断面を有する柱状体であり、
    前記空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fとして表され、前記空胴の最大寸法L1がL1<λ/√2を満たし、
    前記空胴共振器内に、該空胴共振器の内部に対して出し入れ可能な被処理対象物が配され、
    前記定在波により前記被処理対象物を処理するマイクロ波処理装置。
  2. マイクロ波の定在波を形成する空胴を有する空胴共振器と、
    前記空胴に、該空胴の容積の5分の1以上を占積して配した誘電体部とを有し、
    前記誘電体部が、前記空胴の中心軸に対して直角方向の断面形状に対して、それよりも小さい面積の相似形断面を有する柱状体であり、
    前記空胴共振器は、空気中を伝播するマイクロ波の波長をλとして、前記空胴の内容積Vの立方根として計算される該空胴共振器の等価容積球の直径をL2としたとき、L2<λ/√2を満たし、
    前記空胴共振器内に、該空胴共振器の内部に対して出し入れ可能な被処理対象物が配され、
    前記定在波により前記被処理対象物を処理するマイクロ波処理装置。
  3. 前記誘電体部が、前記空胴の容積の3分の1以上を占積して配されている請求項1又は2に記載のマイクロ波処理装置。
  4. 前記誘電体部が、前記空胴の容積の5分の2以上を占積して配されている請求項3に記載のマイクロ波処理装置。
  5. 前記被処理対象物の誘電損率をε’’、前記誘電体部の誘電損率ε’’としたとき、ε’’>ε’’である請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  6. 前記被処理対象物が前記空胴共振器内の電界強度もしくは磁界強度が極大になる位置に配される請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  7. 前記被処理対象物は前記空胴共振器内に配された管内に配され、該管に充填若しくは連続的に導入した該被処理対象物をマイクロ波により処理する請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  8. 前記空胴共振器は、TMmn0モードの定在波を形成する、前記空胴の直径がD、高さがHの円筒型共振器であり、該空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、D<{(m+n)×λ}/√2を満たす請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。
  9. 前記空胴共振器は、TMmn0モードの定在波を形成する、前記空胴の幅がW1、奥行きがW2、高さがHの矩形型共振器であり、該空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、W1<{(m+n)×λ}/√2、かつW2<{(m+n)×λ}/√2を満たす請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。
  10. 前記空胴共振器は、TMmn0モードの定在波を形成する、前記空胴の断面積がS、高さがHの多角形型共振器であり、該空胴共振器の共振周波数をf、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、前記断面積Sの平方根の値L3がL3<{(m+n)×λ}/√2を満たす請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。ただし、mは0以上、nは1以上の整数とする。
  11. 前記空胴共振器は、TEl0nモードの定在波を形成する矩形型共振器であり、前記空胴内のマイクロ波進行方向の長さをLm、電界が変化する方向の長さをLe、該空胴共振器の共振周波数f、真空中の光速をcとしたとき、空気中を伝播するマイクロ波の波長λがλ=c/fで表され、Le<λ/√2、かつLm<(n×λ)/√2を満たす請求項1~のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。ただし、l、nは1以上の整数とする。
  12. 前記誘電体部は、比誘電率が1.5以上であり、誘電損率が0.1以下である請求項1~11のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  13. 前記被処理対象物が、気体、液体又は固体である請求項1~12のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  14. 前記マイクロ波処理装置が、前記被処理対象物をマイクロ波により処理して、化学反応を生じさせる化学反応装置である、請求項1~13のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物をマイクロ波の定在波により処理することを含む、マイクロ波処理方法。
  16. 請求項1~14のいずれか1項に記載のマイクロ波処理装置を用いて、前記被処理対象物を処理することにより化学反応を生じさせることを含む、化学反応方法。
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