以下、本発明の実施形態について、図1〜図6を参照しつつ説明する。本実施形態に係るエレベータの制御システムは、図1に示すようなエレベータ1において、乗場呼びに応答して停止したかごに対して、かごの昇降方向を保持する時間(保持時間)を設定する設定システムである。
エレベータ1は、建物内を複数の階床(フロア)に跨って上下方向に延びる昇降路2と、昇降路2を昇降するかご3と、を備える。エレベータ1には、図3に示すように、エレベータ1の運転を制御する運転制御装置4が設けられている。かご3は、昇降路2内に配置され、昇降路2内を昇降して建物の各階に設けられる乗場5に停止可能である(図1参照)。乗場5は、後述するかごドア32と連動して開閉する乗場ドア51と、かご3を呼ぶ(かご3に対する乗場呼びを行う)乗場呼びボタン52と、かご3の昇降方向が表示されるインジケータ53と、を有する。乗場呼びボタン52は、例えば、かご3の昇降方向として上昇方向を登録する上昇呼びボタン521と、かご3の昇降方向として下降方向を登録する下降呼びボタン522と、を含む。なお、本実施形態の建物は、8階建てである。
このエレベータ1では、かごは、利用者が建物のいずれかの階床の乗場5で乗場呼びボタン52を押す(乗場呼びが入る)ことで、乗場呼びで登録された昇降方向として、例えば、利用者が乗場5で上昇呼びボタン521を押した場合には上昇方向、乗場で下降呼びボタン522を押した場合には下降方向を保持した状態で乗場5に停止(到着)する。乗場呼びに応答したかご3が乗場呼びの入った乗場5に停止すると、かごドア32及び乗場ドア51が開き、これにより、利用者等がかご3に乗車可能となる。かご3は、かごドア32の戸開が完了してから、昇降方向の保持時間が経過するまで、かご3に乗り込んだ利用者が行先階を登録する(かご呼びが入る)ことを待つ。このエレベータ1では、かご呼びが入ることで、かご3はかご呼びにより登録された行先階に昇降する。
運転制御装置4は、乗場呼びに関する情報をかご3に出力する運転制御部40、例えば、かご3の昇降方向及びかご3の位置を検知し、これらに関する情報をかご3に出力する運転制御部40を機能的に含む(図3参照)。本実施形態の運転制御部40は、かご3が乗場呼びに応答して乗場5に停止する度に、かご3が停止した階床である停止階床に関する停止階床情報、及び、乗場呼びで登録された昇降方向に関する昇降方向情報をかご3に出力する。停止階床情報では、1桁の数値がかご3の停止階床を示し、例えば、「1」が1階を示し、「2」が2階を示す。昇降方向情報では、1桁の数値がかごの昇降方向を示し、例えば、「1」が上昇方向を示し、「2」が下降方向を示す。
なお、運転制御装置4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えた基盤やマイクロコンピュータ等によって構成されている。
かご3は、図2にも示すように、出入口311を有し且つ該出入口311から利用者が乗降するかご本体31と、かご本体31の出入口311を開閉するかごドア32と、かご本体31内において利用者が操作可能な操作盤33と、かご3の制御を行う制御部であるかご制御装置35と、を有する。
操作盤33は、例えば、複数(例えば、八つ)の行先階ボタン、かごドア32を戸開させる開ボタン、及び、かごドア32を戸閉させる閉ボタン等を含む。
かご制御装置35は、乗場呼びで登録されたかごの昇降方向の保持時間を設定する設定システム(制御システム)350と、かご3の昇降やかごドア32の開閉を制御するかご制御部355と、現在の時間を保持するタイマー部356と、を機能的に有する(図3参照)。なお、かご制御装置35は、運転制御装置4と同様に、例えば、CPU、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROMやEEPROM等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えた基盤やマイクロコンピュータ等によって構成されている。
本実施形態のかご制御部355は、かご3におけるかごドア32の開閉動作の制御や、かご3の昇降に関する制御を行う。
タイマー部356は、時計のように現在の時間を計測して、現在の時間に関する情報(現在時間情報)を保持する。本実施形態のタイマー部356は、この計測の結果に基づいて、現在時間情報として、現在の日付に関する情報である現在日付情報、現在の曜日に関する情報である現在曜日情報、現在の時刻に関する情報である現在時刻情報、及び、現在の時間帯(例えば、一日の24時間を12分割した時間帯)に関する情報である現在時間帯情報を保持する。
具体的に、現在日付情報では、4桁の数値が日付を示す。現在曜日情報では、1桁の数値が現在の曜日を示し、例えば、「0」が月曜日を示し、「1」が火曜日を示し、「2」が水曜日を示し、「3」が木曜日を示し、「4」が金曜日を示し、「5」が土曜日を示し、「6」が日曜日を示す。現在時刻情報では、4桁の数値が現在の24時間表示の時刻を示す。現在時間帯情報では、2桁の数値が現在の時間帯を示し、例えば、「00」が0時〜2時、「01」が2時〜4時、「02」が4時〜6時、「03」が6時〜8時、「04」が8時〜10時、「05」が10時〜12時、「06」が12時〜14時、「07」が14時〜16時、「08」が16時〜18時、「09」が18時〜20時、「10」が20時〜22時、「11」が22時〜24時を示す。経過時間TMでは、2桁の数値が時間を示し、例えば、「10」が10秒を示す。
また、本実施形態のタイマー部356は、後述の更新部353により始動操作されてから停止操作されるまでの経過時間、或いは、始動操作されてから現在までの経過時間である経過時間TMを保持可能である。なお、タイマー部356は、現在時間情報として、現在の週数(例えば、一年間における累積週数)に関する情報である現在週数情報、現在の日付を月で示す現在月情報、現在の日付を季節で示す現在季節情報等を保持可能であってもよい。
設定システム350は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかごの停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つに応じて、かご3の昇降方向の保持時間を設定可能な設定部351を含む。本実施形態の設定システム350は、「かご3の昇降方向の保持時間に関する保持時間情報TBL」を記憶するTBL記憶部352を含む。
また、本実施形態の設定システム350は、乗場呼びに応じてかご3が停止したとき、かご3に関する所定の条件について判断を行い、かご3が所定の条件を満たす場合には、かごドア32の戸開完了からかご呼びの登録までに要した登録所要時間に関する情報(登録所要時間情報)を更新する更新部353を含む。さらに、本実施形態の設定システム350は、乗場呼びに応じてかご3が停止したとき、停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかごの停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つと、登録所要時間情報と、を関連付けて記憶するデータ記憶部(第一記憶部)354を含む。
更新部353は、乗場呼びで停止したかご3について、かごドア32の戸開完了後に登録上限時間(例えば、かごドア32の戸開完了から戸閉開始までの時間として予め設定された時間)が経過するまでに、かご呼びが登録された場合には、タイマー部356から取得可能な経過時間TMに基づいて、かごドア32の戸開完了からかご呼びの登録までに要する登録所要時間を算出する。また、更新部353は、登録所要時間を算出すると、運転制御部40やタイマー部356から取得した「停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかごの停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかご3の昇降方向」のうち全てと、登録所要時間情報と、を関連付けてデータ記憶部354に記憶させる。
なお、本実施形態の更新部353は、乗場呼びで停止したかご3について、かごドア32の戸開完了後に登録上限時間が経過しても、かご呼びが登録されない場合、この登録上限時間を登録所要時間としてデータ記憶部354に記憶させる。そのため、更新部353によりデータ記憶部354に記憶される登録所要時間の上限は、予め設定された登録上限時間となる。
データ記憶部354は、乗場呼びに応じてかご3が停止したとき、「停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかごの停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかご3の昇降方向」のうち全てと、登録所要時間情報と、を関連付けて記憶する。登録所要時間情報では、2桁の数字が登録所要時間を示し、例えば、「10」が10秒を示す。
本実施形態のデータ記憶部354は、これらの情報を、データ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]といった形式でまとめて記憶している。データ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]では、例えば、曜日が月曜日であり、時間帯が10時〜12時であり、停止階床が2階であり、昇降方向が上昇方向であり、登録所要時間が10秒である場合は、データ[0,05,2,1,10]と示される。
設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかごの停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向に応じて、TBL記憶部352に「かご3の昇降方向の保持時間情報TBL」を記憶させる。本実施形態の設定部351は、現在の曜日、現在の時間帯、現在のかごの停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向に応じた過去の所定期間における登録所要時間のうち最も長い登録所要時間を、TBL記憶部352に「かご3の昇降方向の保持時間情報TBL」として記憶させる。
具体的に、本実施形態の設定部351は、データ記憶部354から過去の一定期間(例えば、4週間前から現在まで)の登録所要時間情報を抽出する。また、設定部351は、抽出した登録所要時間情報のうち最初の登録所要時間情報を読み込み、最初の登録所要時間情報と、最初の登録所要時間情報と関連した「曜日,時間帯,停止階床,昇降方向」が対応した保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]とを比較する。最初の登録所要時間情報が対応する保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]よりも長ければ、設定部351は、対応する保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]に最初の登録所要時間情報を上書きする。なお、最初の登録所要時間情報が対応する保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]以下であれば、設定部351は、保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]の上書きを行わない。
設定部351は、抽出した登録所要時間情報の全件について、この比較の処理を行い、必要に応じて上書きの処理を行う。これにより、設定部351は、過去の一定期間の登録所要時間のうち最も長い登録所要時間を、TBL記憶部352に「かご3の昇降方向の保持時間情報TBL」として記憶させる。
TBL記憶部352に記憶される保持時間情報TBLでは、2桁の数字が保持時間を示し、例えば、「15」が15秒を示す。保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]では、例えば、曜日が水曜日であり、時間帯が18時〜20時であり、停止階床が5階であり、昇降方向が下降方向である場合は、保持時間情報TBL[2、09、5、2]と示される。
以上の設定システム350による一連の処理について、以下において具体的に説明する。
まず、更新部353による処理について、図4を用いて説明する。かご3が乗場5に到着すると、更新部353は、かご3が乗場呼びに応答して停止したか否かを判断する(ステップS1)。
かご3が乗場呼びに応答して停止した場合には(ステップS1:Yes)、更新部353は、停止したかご3において、かご呼びが無いか否かを判断する(ステップS2)。
停止したかご3においてかご呼びが無い場合には(ステップS2:Yes)、後述するステップS3以降のステップに進む。具体的には、まず最初に、かごドア32の戸開が開始し、開状態(全開状態)となる。即ち、かごドア32の戸開が完了する(ステップS3)。次に、更新部353は、タイマー部356の始動操作を行い(ステップS4)、かご呼びが登録されたか否かを判断する(ステップS5)。
かご3においてかご呼びが登録された場合には(ステップS5:Yes)、更新部353は、タイマー部356の停止操作を行い(ステップS6)、運転制御部40からかご3が停止した階床である停止階に関する停止階情報、及び、乗場呼びで登録された昇降方向に関する昇降方向情報を取得し(ステップS7)、タイマー部356から現在日付情報、現在曜日情報、及び、現在時間帯情報を取得する(ステップS8)。さらに、更新部353は、登録所要時間としてタイマー部356から経過時間TMを取得し、登録所要時間情報(経過時間TM)と、取得した停止階情報、昇降方向情報、現在曜日情報、及び、現在時間帯情報とを関連付けてデータ記憶部354にデータを更新して記憶させ、(ステップS9)、処理を終了する。
なお、かご呼びが登録されない場合には(ステップS5:No)、タイマー部356の始動操作から現在までの経過時間TMを取得し、経過時間TMが登録上限時間(例えば、かごドア32の戸開完了から戸閉開始までの時間として予め設定された時間)を上回っているか否かを判断する(ステップS10)。
経過時間TMが登録上限時間を上回らない場合には(ステップS10:No)、かご呼びが登録されたか否かの判断を繰り返す(ステップS5)。
経過時間TMが予め設定された登録上限時間を上回った場合には(ステップS10:Yes)、更新部353は、タイマー部356の停止操作を行い(ステップS6)、運転制御部40から停止階情報、及び、乗場呼びで登録された昇降方向に関する昇降方向情報を取得し(ステップS7)、タイマー部356から現在日付情報、現在曜日情報、及び、現在時間帯情報を取得する(ステップS8)。更新部353は、これらの取得した情報と、経過時間TMとを関連付けてデータ記憶部354にデータ[曜日,時間帯,階床,昇降方向,登録所要時間]を更新して記憶させ(ステップS9)、処理を終了する。
なお、かご3が乗場呼びに応答して停止していない場合や(ステップS1:No)、停止したかご3においてかご呼びが有る場合には(ステップS2:No)、ステップS3〜ステップS10の処理を行わず終了し、かごドア32の開閉動作といった停止したかご3で通常を行う処理に進む。
次に、設定部351により常時実行されている処理について、図5を用いて説明する。設定部351は、データ記憶部354に記憶された過去の一定期間(例えば、4週間前から現在まで)におけるデータ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]を抽出し(ステップS21)、抽出したデータの件数が0件を上回っているか否かを判断する(ステップS22)。
抽出したデータの件数が0件を上回っている場合には(ステップS22:Yes)、カウント数CNTに1をセットし(ステップS23)、カウント数CNTが「抽出したデータの件数」を上回るか否かを判断する(ステップS24)。
カウント数CNTが「抽出したデータの件数」を上回らない場合には(ステップS24:No)、設定部351は、抽出したデータから、カウント数CNTに対応する順番のデータ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間](例えば、カウント数CNT=1のときには一番目のデータ、カウント数CNT=2のときには2番目のデータ、即ち、CNT番目のデータ)を読み込み(ステップS25)、カウント数CNTに1を加算する(ステップS26)。さらに、設定部351は、TBL記憶部352から保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]を取得し、これを設定値にセットして(ステップS27)、読み込んだデータ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]の登録所要時間が設定値を上回るか否かを判断する(ステップS28)。
読み込んだデータ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]の登録所要時間が設定値を上回る場合には(ステップS28:Yes)、読み込んだデータの登録所要時間を、対応する保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]としてTBL記憶部352に記憶させて(ステップS29)、ステップS24の判断に戻り、カウント数CNTが抽出したデータの件数を上回るまで、ステップS25〜ステップS29の処理を繰り返す。
なお、読み込んだデータ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]の登録所要時間が設定値を上回らない場合には(ステップS28:No)、ステップS24の判断に戻り、カウント数CNTが抽出したデータの件数を上回るまで、ステップS25〜ステップS29の処理を繰り返す。
カウント数CNTが抽出したデータの件数を上回る場合には(ステップS24:Yes)、そのまま処理を終了する。
また、抽出したデータの件数が0件以下である場合には(ステップS22:No)、そのまま処理を終了する。
本実施形態の設定部351により、予め設定された所定期間毎(例えば、毎週、毎月等)に実行されている処理について、図6を用いて説明する。本処理は、設定部351により常時実行されている処理に加えて、カウント数CNTに1をセットするステップと、カウント数が「抽出したデータの件数」を上回るか否か判断するステップとの間に、保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]をデフォルト値にリセットするステップを行っている点で、設定部351により常時実行されている処理と異なる。
設定部351は、データ記憶部354に記憶された過去の一定期間(例えば、4週間前から現在まで)におけるデータ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]を抽出し(ステップS31)、抽出したデータの件数が0件を上回っているか否かを判断する(ステップS32)。
抽出したデータの件数が0件を上回っている場合には(ステップS32:Yes)、カウント数CNTに1をセットし(ステップS33)、保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]をリセットし(ステップS34)、カウント数CNTが「抽出したデータの件数」を上回るか否かを判断する(ステップS35)。
カウント数CNTが「抽出したデータの件数」を上回らない場合には(ステップS35:No)、図5におけるステップS24〜ステップS29と同様に、カウント数CNTが抽出したデータの件数を上回るまで、ステップS35〜ステップS40の処理を繰り返す。また、読み込んだデータ[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向,登録所要時間]の登録所要時間が設定値を上回らない場合には(ステップS39:No)、ステップS35の判断に戻り、カウント数CNTが「抽出したデータの件数」を上回るまで、ステップS35〜ステップS40の処理を繰り返す。
カウント数CNTが抽出したデータの件数を上回る場合には(ステップS35:Yes)、そのまま処理を終了する。また、抽出したデータの件数が0件以下である場合には(ステップS32:No)、そのまま処理を終了する。
以上の設定システム350によれば、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向の保持時間を、例えば、かご3の利用者が多いときに長くし、かご3の利用者が少ないときに短くするといったように、現在の曜日、現在の時間帯、現在のかご3の停止階床、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向に基づき、かご3の利用状況に応じて制御することができる。
本実施形態の設定システム350では、データ記憶部(第一記憶部)354に、過去の登録所要時間情報が記憶され、かご3の昇降方向の保持時間を、記憶された登録所要時間情報に基づいて設定するため、過去のかごドア32の戸開完了からかご呼びの登録までの時間の長さに応じてかご3の昇降方向の保持時間が変更される。
また、本実施形態の設定システム350では、データ記憶部(第一記憶部)354に、過去の登録所要時間情報が、当時の時間(例えば、曜日、時間帯)、かご3の停止階床、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向に関連付けて記憶されているため、かご3の保持時間は、曜日、時間帯、かご3の停止階床、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向といったかご3の利用状況にあわせてきめ細やかに変更される。
さらに、本実施形態の設定システム350では、設定部351は、データ記憶部354に記憶された過去の一定期間の登録所要時間から最も長い登録所要時間を、現在の曜日、現在の時間帯、現在のかごの停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向に対応する保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]として設定するため、過去のかご3の状況に基づき、かご呼びの登録を待つことが必要であると予測される場合に、乗場呼びに応答して停止したかご3において、十分に長い時間、昇降方向が保持される。
本実施形態の設定システム350では、設定部351が、昇降方向の保持時間を所定期間毎にリセットするため、保持時間がかご3の利用状況にイレギュラーな状況(例えば、エレベータ1の設置された建物でイベントが開催された場合)に合わせて設定されたとしても、保持時間は一定期間後には通常のかご3の利用状況に合わせたものとなる。また、この保持時間のリセットが設定部351により自動的に行われるため、保守作業員等が手動で保持時間のリセットを行う必要が無く、エレベータ1の保守にかかる手間が軽減される。
なお、本発明の設定システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記実施形態の設定システム350では、かご3の昇降方向の保持時間が、かご呼びの登録までに要した時間に関する登録所要時間情報に基づいて設定されていたが、かご3に対する利用者の乗り降りに要する時間に関する情報に基づいて設定されてもよい。
例えば、かご3の昇降方向の保持時間は、利用者によるかごドア32を戸開状態とする操作に関する情報に基づいて設定されてもよい。この場合、かご3は、利用者が開ボタン(戸開ボタン)332を押下する第一戸開操作、及び、利用者がかごドア32のセーフティシューを押さえる第二戸開操作のうち少なくとも一方を検知する戸開操作検知部を備えることが考えられる。また、設定システム350は、乗場呼びに応答してかご3が停止したとき、停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかご3の停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つと、かご3の戸開操作検知部により検知された第一戸開操作及び第二戸開操作のうち少なくとも一方の有無を示す戸開操作情報とを関連付けて記憶するデータ記憶部(第二記憶部)354を含むことが考えられる。
このとき、設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかごの停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかごの昇降方向のうち少なくとも一つと対応する戸開操作情報をデータ記憶部354から取得し、取得した戸開操作情報に基づいて、昇降方向の保持時間を設定可能であればよい。具体的に、設定部351は、過去に戸開操作情報が第一戸開操作や第二戸開操作が有ることを示すとき、過去に戸開操作情報が第一戸開操作や第二戸開操作が無いことを示すときと比べて、昇降方向の保持時間を長く設定することが考えられる。
このような場合、データ記憶部(第二記憶部)354に、過去の戸開操作情報が、当時の時間(例えば、当時の曜日や時間帯)、当時のかご3の停止階床、当時の乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向に関連付けて記憶され、かご3の昇降方向の保持時間を、記憶された戸開操作情報に基づいて設定するため、かご3の昇降方向の保持時間が過去のかご3の利用状況(例えば、戸開操作の有無)に応じてかご3の昇降方向の保持時間が変更される。
また、例えば、かご3の昇降方向の保持時間は、かご3に対する利用者の乗り降りに関する情報に基づいて設定されてもよい。この場合、かご3は、かご3内の利用者を撮影可能な撮影部、及び、かご3内の利用者の荷重を検知可能な荷重検知部のうち少なくとも一方を備えることが考えられる。撮影部は、例えば、かご3内に設けられた監視カメラである。荷重検知部は、例えば、荷重センサである。
さらに、設定システム350は、乗場呼びに応答してかご3が停止したとき、停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかご3の停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つと、撮影部により撮影されたかご3内の利用者の画像、及び、荷重検知部により検知されたかご3内の利用者の荷重のうち少なくとも一方に基づき算出された利用者の乗降所要時間についての乗降所要時間情報とを関連付けて記憶するデータ記憶部(第三記憶部)354を含むことが考えられる。このとき、設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかご3の停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つと対応する乗降所要時間情報をデータ記憶部354から取得し、取得した前記乗降所要時間情報に基づいて、昇降方向の保持時間を設定可能であってもよい。
このような場合、データ記憶部(第三記憶部)354に、過去の乗降所要時間情報が、当時の時間(例えば、当時の曜日や時間帯)、当時のかご3の停止階床、当時の乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向とともに記憶され、かご3の昇降方向の保持時間を、記憶された乗降所要時間情報に基づいて設定するため、かご3内の利用者の画像や荷重データにより判断できる過去のかご3の利用者の乗り降りにかかる時間に応じてかご3の昇降方向の保持時間が変更される。
さらに、例えば、かご3の昇降方向の保持時間は、かご3内の利用者の人数に関する情報に基づいて設定されてもよい。この場合、かご3は、かご3内の利用者を撮影可能な撮影部、及び、かご3内の利用者の荷重を検知可能な荷重検知部のうち少なくとも一方を備えることが考えられる。撮影部は、例えば、かご3内に設けられた監視カメラである。荷重検知部は、例えば、荷重センサである。
また、設定システム350は、乗場呼びに応答してかご3が停止したとき、停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかご3の停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つと、撮影部により撮影されたかご3内の利用者の画像、及び、荷重検知部により検知されたかご3内の利用者の荷重のうち少なくとも一方に基づき算出されたかご3の乗車人数についての乗車人数情報とを関連付けて記憶するデータ記憶部(第四記憶部)354を含むことが考えられる。このとき、設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかご3の停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つと対応する乗車人数情報をデータ記憶部354から取得し、取得した乗車人数情報に基づいて、昇降方向の保持時間を設定可能であってもよい。
このような場合、データ記憶部(第四記憶部)354に、過去のかご3への乗車人数情報が、当時の時間(当時の曜日や時間帯)、当時のかごの停止階床、当時の乗場呼びで登録されたかごの昇降方向と関連付けて記憶され、かご3の昇降方向の保持時間を、記憶された乗車人数情報に基づいて設定するため、かご3内の画像や荷重データにより判断できる過去のかご3への乗車人数に応じてかご3の昇降方向の保持時間は変更される。
また、上記実施形態の設定システム350では、かご3の昇降方向の保持時間が、かご呼びの登録までに要した時間に関する登録所要時間情報や、かご3に対する利用者の乗り降りに要する時間に関する情報に基づいて設定されていたが、かご3の走行状態に関する情報に基づいて設定されてもよい。
例えば、かご3の昇降方向の保持時間は、かご3の昇降方向に関する情報に基づいて設定されてもよい。この場合、設定システム350が、乗場呼びに応答して停止したかご3が昇降方向(かご3が保持していた昇降方向、乗場呼びで登録された昇降方向)と逆方向に走行したとき、停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかごの停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかごの昇降方向のうち少なくとも一つと、乗場呼びに応答して停止したかご3が停止時に保持していた昇降方向と逆方向に走行した旨を示す逆走情報とを関連付けて記憶するデータ記憶部(第五記憶部)354を含むことが考えられる。このとき、設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかご3の停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向のうち少なくとも一つと対応する逆走情報をデータ記憶部354から取得し、取得した逆走情報に基づいて、昇降方向の保持時間を設定可能であってもよい。
このような場合、データ記憶部(第五記憶部)354に、過去の逆走情報が、当時の時間(例えば、当時の曜日や時間帯)、当時のかご3の停止階床、当時の乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向とともに記憶され、かご3の昇降方向の保持時間を、記憶された情報に基づいて設定するため、乗場呼びに応答して停止したかご3が該乗り場呼びで登録された昇降方向と逆方向に走行することが予測されるか否かに応じてかご3の昇降方向の保持時間は変更される。
さらに、このような構成に加えて、乗場呼びに応答し停止したかご3が前記昇降方向と逆方向に走行したとき、かご3内に利用者がいることを確認すべく、例えば、かご3が、かご3内に利用者がいることを示す画像を撮影可能な撮影部を備えてもよい。撮影部は、例えば、かご3内に設けられた監視カメラである。この場合、データ記憶部(第五記憶部)354は、乗場呼びに応答して停止したかご3が停止時に保持していた昇降方向と逆方向に走行し、且つ、かご3内に利用者がいることが確認できたときに、停止時の時間(例えば、停止時の曜日、停止時の時間帯)、停止時のかごの停止階床、及び、停止時の乗場呼びで登録されていたかごの昇降方向のうち少なくとも一つと、乗場呼びに応答して停止したかご3が前記昇降方向と逆方向に走行した旨を示す逆走情報とを関連付けて記憶してもよい。
なお、かご3の昇降方向の保持時間は、かご呼びの登録までに要した時間に関する登録所要時間情報、利用者によるかごドア32を戸開状態とする操作に関する情報、かご3に対する利用者の乗り降りに関する情報、かご3内の利用者の人数に関する情報、及び、かご3の走行の方向に関する情報のうち複数の情報に基づき設定されていてもよい。例えば、かご3の昇降方向の保持時間として、データ記憶部354に記憶された過去の一定期間の登録所要時間、及び、戸開操作が有るときに設定される保持時間のうち、最も長い時間が設定されてもよい。
また、かご3の昇降方向の保持時間として、このような情報に基づいた値が設定される以外に、予め定められた特定の値が設定されてもよい。例えば、かご3の昇降方向の保持時間として、かご3の利用者が多いと考えられるロビー階のみで通常よりも長い時間が設定されてもよい。また、エレベータ1の設置される建物がオフィスビルである場合には、かご3の昇降方向の保持時間として、平日には長い時間が設定され、休日には短い時間が設定されてもよい。かご3の昇降方向の保持時間として、特定の値が設定される場合、例えば、保守作業員等により設定されてもよい。
なお、一つのエレベータ1におけるかご3の昇降方向の保持時間として、設定部351により各種情報に基づいて設定される保持時間と、保守作業員等により設定される特定の値との両方が設定可能であってもよい。例えば、かご3が停止可能な所定の階床間において、大きい荷物の運搬が生じる場合には、その運搬が生じる時間帯及び階床について、かご3の昇降方向の保持時間として、通常の保持時間よりも長い特定の値が設定され、別の時間帯や別の階床について、かご3の昇降方向の保持時間が、設定部351により各種情報に基づいて設定されてもよい。
上記実施形態の設定部351は、保持時間情報TBLをリセットするステップを含む処理(図6参照)を一定期間毎に実行していたが、この処理を別のタイミングで実行してもよい。例えば、エレベータ1の設置される建物が商業施設やオフィスビルである場合には、保持時間情報TBLをリセットするステップを含む処理を、一定期間毎に実行することに加えて、或いは、一定期間毎に実行することの代わりに、建物のテナントの入れ替え時等に実行してもよい。つまり、保持時間情報TBLの全てをデフォルト値にリセットするのではなく、曜日毎、時間帯毎、停止階床毎、昇降方向毎またはこれらの組み合せによってデフォルト値にリセットするようにしてもよい。
なお、設定部351が、保持時間情報TBLをリセットするステップを含む処理(図6参照)を実行する代わりに、特定のタイミングで保守作業員等が保持時間情報TBLをリセットする処理を行ってもよい。
また、上記実施形態の設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかごの停止階床、及び、乗場呼びで登録されたかご3の昇降方向に対応する保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]として、データ記憶部354に記憶された過去の一定期間の登録所要時間から最も長い登録所要時間を設定していたが、この代わりに、保持時間情報TBL[曜日,時間帯,停止階床,昇降方向]として、データ記憶部354に記憶された過去の一定期間の登録所要時間の平均値を設定してもよい。具体的に、設定部351は、データ記憶部354に記憶された過去の一定期間の登録所要時間から閾値よりも長い登録所要時間を抽出し、抽出した登録所要時間の平均値を設定してもよい。この場合、かご3の利用状況に応じた制御を行いつつ、かごの運行効率を向上できる。
さらに、上記実施形態の設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかご3の停止階床、及び、乗場呼びで登録された昇降方向の全てに応じて、昇降方向の保持時間を設定可能であったが、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、現在のかご3の停止階床、及び、乗場呼びで登録された昇降方向のうち少なくとも1つに応じて、昇降方向の保持時間を設定可能であってもよい。例えば、かご3が停止可能な全階床において同じ保持時間を設定する場合には、設定部351は、現在の時間(例えば、現在の曜日、現在の時間帯)、及び、乗場呼びで登録された昇降方向に応じて、昇降方向の保持時間を設定可能であればよい。この場合、TBL記憶部352は保持時間情報TBL[曜日,時間帯,昇降方向]を記憶し、データ記憶部354は、停止時の時間(停止時の曜日、停止時の時間帯)、及び、乗場呼びで登録された昇降方向と、登録所要時間情報とを関連付けて記憶すればよい。
なお、上記実施形態の設定部351は、現在の時間として、現在の曜日及び時間帯を用いていたが、現在の曜日、現在の時間帯、現在の日付、現在の時刻、現在の週数、現在の月、及び、現在の季節等のうち少なくとも一つを用いてもよい。データ記憶部354に記憶されるような停止時の時間についても同様である。
上記実施形態の設定システム350は、一つのエレベータ1を制御していたが、かご3をそれぞれ備えた複数のエレベータ1を制御してもよい。設定システム350が、複数のエレベータ1を制御する場合、更新部353は、データの更新をかご3毎に行うことが考えられる。また、この場合、データ記憶部354は、更新部353により更新されたデータ(例えば、登録所要時間情報)を一括して記憶することが考えられる。このような場合、一つの設定システム350により、複数号機のエレベータ1に対して、かご3毎に更新部353により更新されたデータ(例えば、登録所要時間情報)を集約して、かご呼びの登録までに要する時間の長さの傾向を複数のかご3に反映させて予測し、この予測に応じてかご3の昇降方向の保持時間を設定することで、かご3の利用状況に応じた効果的な制御を行うことができる。
上記実施形態の設定部351、TBL記憶部352、更新部353、及び、データ記憶部354は、いずれもかご3に設けられていたが、これらのうち少なくとも一つがかご3以外に設けられていてもよい。例えば、設定部351、TBL記憶部352、更新部353、及び、データ記憶部354の少なくとも一つが、運転制御装置4に設けられてもよい。また、設定部351、TBL記憶部352、更新部353、及び、データ記憶部354のうち少なくとも複数が一体であってもよく、例えば、設定部351と更新部353とが一体であったり、TBL記憶部352とデータ記憶部354とが一体であったりしてもよい。
なお、設定システム350が、複数のエレベータ1を制御する場合、運転制御部40は、複数のかご3に対して乗場呼びの割当を行う運転管理(いわゆる群管理)を行ってもよい。なお、群管理による運転管理では、所定の階床の乗場において乗場呼びが入ったときに、利用者の輸送効率が高くなるように複数のかご3から前記乗り場呼びに対応するかご3が選択され、この選択されたかご3が該乗場呼びの入った乗場5に向かう。
また、上記実施形態のエレベータ1は1つのかご3を備えていたが、エレベータ1が複数のかご3を備えてもよい。