JP3668659B2 - 乗客輸送設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータ、エスカレータまたは移動通路等の乗客輸送設備に係わり、特に、保守点検の必要を明示する機能を備えた乗客輸送設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗客輸送設備の保守点検に係わる技術として、特開平7−25558号公報には、法定検査の有効期限が近づくと、その旨を放送あるいは表示によって知らせ、また、法定期限が切れた場合はエレベータの運転を休止するようにしたものがある。
【0003】
また、エレベータの遠方監視を行うものとして、特開平6−206674号公報には、中央監視センタからの遠隔操作により制御リレーの接触不良のような軽微な故障原因を解消する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平7−25558号公報のものは、法定点検時期が近づくと、このことを管理室に設けた音声装置によって放送したり、あるいは乗り場や乗りかご内に設けた音声装置によって放送したり、さらには、乗り場や乗りかご内に設けた表示器に表示するため、音声装置や表示装置が必要となる。また、このような報知手段は、リセットされてしまうと点検を行うことなく運転されてしまう可能性がある。しかし、逆にいきなり運転休止をしてしまう場合には、エレベータが利用できないこととなり、利用者の利便性を大きく損なってしまう。特に、保守点検すべき内容によっては、例えば、利用回数や起動回数のように、それらが所定値以下であることが確認できれば運行を継続してもよいものもある。
【0005】
また、上記特開平6−206674号公報のものは、作業員の手間を省くために中央監視センタからの遠隔操作により軽微な故障を復旧させるものであるが、電源の入り切りにより制御リレーの接触不良等を解消しようとするものにすぎないものである。
【0006】
本発明の目的は、乗客輸送設備の保守点検の必要性を明示する手段として、そのための特別の装置を付加することなく、乗客輸送設備の保守点検の必要性を効果的に明示することができ、かつ遠隔操作によりその明示動作を容易に解除することができ、保守管理に要する手間を省きながらよりきめ細かな保守サービスができる乗客輸送設備を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
【0008】
第1の手段は、エレベータ、エスカレータまたは移動通路等の乗客輸送設備において、この乗客輸送設備の複数の点検部位毎の保守点検時期、保守点検期間、起動回数、点検部位の物理的変化量のいずれかを設定する手段と、現在時期、起動回数、物理的変化量のいずれかを計測する手段と、この現在時期、起動回数、物理的変化量が前記点検部位毎の保守点検時期、起動回数、物理的変化量のいずれかを超えているかを判定する手段と、前記判定の結果、前記保守点検時期、起動回数、物理的変化量のいずれかを超えている場合は、当該乗客輸送設備に備えられる設備を用いて、各点検部位毎に当該乗客輸送設備の利用に制約を与える所定の明示動作を与える手段とを備え、かつ、当該乗客輸送設備から遠隔の地に配置された乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末間で送受信可能な遠隔通信手段と、前記乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末に前記各点検部位の稼働状況を伝達する手段と、前記乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末からの指令に応じて、前記乗客輸送設備の利用に制約を与える前記所定の明示動作の全てまたは部分的に解除する手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、前記乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末は、前記伝達された点検部位の稼働状況に基づいて、前記明示動作の解除項目または明示動作の解除不可項目を表示することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明の第1の実施形態を図1乃至図3に従って説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【0012】
なお、本実施形態では、エレベータを例にとって説明するが、エスカレータや移動通路等のその他の乗客輸送設備についても同様に本発明を適用可能である。
【0013】
同図において、エレベータ制御装置1は、エレベータ制御部11と保守管理部12を備えている。エレベータ制御部11は、利用者の呼びに対して乗りかごをどのように運行させるかを決定する運行制御部111と、運行制御部111からの指令によりモータ、ドア、その他の機器を駆動する駆動制御部112と、ホールおよび乗りかごの呼びボタン等の情報収集やかご位置の表示や応答等の制御を行う情報制御部113から構成される。保守管理部12は、エレベータ制御部11からエレベータの各点検部位の状況を示す信号を受け取るインターフェイス部121と、時計123の計時情報とエレベータの各点検部位の前回の点検時期を記憶した点検時期テーブル124とを比較して、点検時期が近いかまたは過ぎていた場合は、点検時期テーブルに記憶してある各点検部位毎に決められた処理を読み込む期限判定部122と、遠隔通信部125とから構成される。
【0014】
エレベーター装置1は、期限判定部122においてエレベーターの各点検部位毎の点検時期が超過しているかを判定し、超過している場合は、取るべき明示動作指令が、インターフェイス部121を介してエレベータ制御部11に送られる。エレベータ制御部11は、保守管理部12から送られてきた明示動作指令、即ち、その指令がエレベータの速度やドアの駆動等に関する指令の場合は、駆動制御部112によりエレベータの速度やドアの駆動等に関する明示動作を実行する。また、明示動作指令が、ホール呼びボタン61、62の応答灯やかご位置インジケータ51〜53等の乗り場ランプに関する明示動作指令の場合は情報制御部113により、乗り場ランプ51〜53や応答灯、ホール呼びボタン61,62を制御する明示動作を行う。
【0015】
保守点検が行われた場合には、保守点検された箇所の点検時期テ−ブル124を書き換え、さらにエレベータ制御装置11に信号を送り当該箇所の点検時期が過ぎていたために行われていた前記の明示動作を解除する。
【0016】
なお、保守点検が行われたかどうかは、エレベータ制御部11からの信号により検知してもよく、また、遠隔通信部125を介して、監視センタ内遠隔制御装置3や携帯通信制御端末4により点検箇所の点検データを送信して、監視センタ内遠隔制御装置3や携帯通信制御端末4に報知乃至表示してもよく、この時、明示動作の解除可能な項目または不可能な項目を表示するようにしてもよい。もちろん携帯通信制御端末4は、点検に使用する点検装置と兼用してもよい。
【0017】
さらに、遠隔通信部125が、保守センタや管理人室等に設置された監視センタ内遠隔制御装置3または携帯通信制御端末4からの信号を受け取り、前記点検時期テーブル124を書き換え、さらにエレベータ制御部11に信号を送り、該当個所の点検時期が過ぎていたために行われた明示動作を解除することもできる。
【0018】
図2は、図1に示す点検時期テーブル124の一例を示す図である。
【0019】
同図に示すように、点検時期テーブル124には、各点検部位毎に点検時期とこの点検時期を越えたら実行すべき明示動作を記憶しておく。
【0020】
ここで、明示動作とは、エレベータの利用者に所定の制約を与えるような動作を行うことにより、点検時期を知らしめる当該乗客輸送設備による動作であり、例えば、同図に示すように、乗り場のランプやホール呼びボタンに、正規とは異なる態様で点灯や点滅を行わせることにより、エレベーター利用者や管理者に一定の制約を与えて点検時期を知らしめるものである。
【0021】
図3は、図1に示すエレベーター制御装置1における点検時期超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【0022】
ここでは、最初の点検が行われた以降の動作について説明すると、まず、ステップ201で、点検が行われると、その点検部位の点検時期テーブル124における点検時期がリセットされ、ステップ202で、新たな点検時期が書き込まれる。ステップ203では、時計123の内容を読み出し、ステップ204で、計時数値と点検時期とが一致しているかどうかを比較する。ここでステップ203、204の処理は1日1回といった頻度でよい。比較の結果、点検時期が過ぎていなければステップ203に戻り、例えば、翌日再びステップ203、204の処理を行う。点検時期を過ぎていた場合は、ステップ205において、それに係る点検部位に対する明示動作を読み出し、ステップ206で、エレベータ制御部11に明示動作の指令を伝送する。エレベータ制御部11は、運行制御部111においてこれを受け取り、その明示動作指令に応じて、駆動制御部112および/または情報制御部113に出力する。ステップ207で、駆動制御部112および/または情報制御部113は明示動作指令に従って、エレベータの速度やドアの駆動等に関する明示動作や、ホール呼びボタン61、62の応答灯、かご位置インジケータ51〜53等の乗り場ランプに関する明示動作を実行する。ステップ208において、保守点検が実行され、監視センタ内遠隔監視装置3または携帯通信制御端末4から明示動作を解除するための解除信号が受信されたかを判定し、解除信号が受信された場合には、ステップ209で明示動作を解除し、再び、ステップ201からの処理を繰り返す。
【0023】
本実施形態によれば、各点検部位毎に定められた点検時期に近づいた、または経過したことを検知して各点検部位毎に異なる明示動作をエレベータ装置に行わせることが可能になる。また、次の点検時期が各点検部位毎に記入されているので、次の点検のスケジュール作成が容易になり、そのスケジュールを個別にリセットすることができるので、より効率的な保守が実現可能となる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施形態を図4乃至図8に従って説明する。
【0025】
図4は、本実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【0026】
本実施形態は、第1の実施形態の図1に示す点検時期テーブル124に代えて、保守期間テーブル126を設けた点で相違する。その他の構成は図1に示す同符号の構成と同じである。
【0027】
図5および図6は、それぞれ互いに異なる保守期間テーブル126の例を示す図である。
【0028】
図5に示す保守期間テーブル126では、各点検部位毎に前回の点検時から日々計数される経過日数と、所定の設定された保守期間と、前記経過日数が前記保守期間を越えた時実行すべき明示動作が記憶されている。
【0029】
図6に示す保守期間テーブル126では、各点検部位毎に前回の点検時から日々計数される経過日数と、各点検部位毎に1つまたは複数の所定の設定された保守期間と、前記経過日数が前記複数の異なる保守期間を越える毎に、実行すべき異なる明示動作が記憶されている。ここでは、同図に示すように、保守期間が長くなるに従って、明示動作の内容がより顕示性を強めて、早めの点検を促すようになっている。
【0030】
図7は、本実施形態に係るエレベーター制御装置1における保守期間超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
ここでも、最初の点検が行われた以降の動作について説明すると、まず、ステップ301で、点検が行われると、その点検部位の保守期間テーブル126における経過日数がリセットされ、次に、ステップ302で、時計123を使用し、1日毎に保守期間テーブル126の各点検部位の経過日数を増加させる。さらに、ステップ303で、保守期間テーブル126の各点検部位の経過日数と設定された保守期間を比較し、過ぎていなければステップ302に戻り、過ぎていた場合は、図5および図6に示すいずれの保守期間テーブル126の場合も同様に、ステップ205で、過ぎている保守期間(または過ぎている最長の保守期間)に相応する明示動作を読み出す。以降の処理は図3に示すものと同じであるので、説明を省略する。
【0032】
本実施形態によれば、保守期間テーブル126を用いるので、計数を行うためのメモリが必要となるが、点検時期テーブル124と異なり、次の点検時期を入力する必要がなく、自動化が容易になる。
【0033】
また、図6に示す保守期間テーブル126を用いる場合は、経過日数の増大と共に、異なる保守期間と対比され、各保守期間に相応する明示動作が実行され、しかもその明示動作の内容は次第に顕示性が強めるので、点検部位だけでなく、次の点検予定日までどれだけの日数があるか、または点検予定日からどれだけの日数が経過したかが分かり、早めの点検を促すことができる。
【0034】
図8は、各点検部位について複数の保守期間が設定されている場合の、保守期間と明示動作との関係を示す図である。
【0035】
同図において、通常の保守期間1が近づき、所定の日時以下になるとまずランプの点滅を日に1度行う、あまり目立たない明示動作を行い、点検時期が近づいていることを明示する(イ)。次に、保守期間1(ロ)が過ぎても保守点検が行われなかった場合には、ホール呼びボタンを押す毎に、その応答ランプの点灯頻度を増大して目立つ明示動作を行うようにする(ハ)。また、この動作を各部位毎に変更した場合には、点検が必要な点検部位を明示することもできる。さらに、その後も保守点検が行われず、法定保守期間(保守期間2)を過ぎるころには、全ランプの点灯(ニ)や、乗りかごの振動等、より目立つ明示動作を行うことにより、法定点検が必要なことを知らせる。その後、法定保守期間を過ぎても点検が行われなかったような場合には、エレベータ設備を停止させる他、過ぎている点検内容によっては、エレベータの速度低下や、ドアの開閉速度低下等により、さらに保守点検を促すようにしてもよい(ホ)。また、遠隔操作による明示動作の解除および保守期間テーブルのリセットが行われた場合は、保守期間の満了を待たずに、保守期間満了前から法定保守期間の間のどの時点でも行ってもよい(ヘ)。
【0036】
以上の説明では、各点検部位毎に異なる明示動作を行うとして説明してきたが、もちろん点検部位が異なっても同じ明示動作を行うようにしてもよい。また、各点検部位毎に保守期間を設けずとも、図6に示すように、時間経過と共に、異なる明示動作を割り当てておくだけでも、保守期間の期限までどれだけあるかを把握するには十分である。
【0037】
また、点検部位により明示動作を変えることは、保守員到着時にだけ行うようにしてもよい。
【0038】
次に、本発明の第3の実施形態を図9乃至図11に従って説明する。
【0039】
図9は、本実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【0040】
本実施形態は、第1の実施形態の図1に示す点検時期テーブル124に代えて、起動回数計測テーブル127を設けた点で相違する。その他の構成は図1に示す同符号の構成と同じである。
【0041】
図10は起動回数計測テーブル127の例を示す図である。
【0042】
同図に示すように、起動回数計測テーブル127には、各点検部位毎に前回の点検時からエレベーターが起動する毎に計測される起動回数と、点検基準となる設定された起動回数と、前記計測される起動回数が前記点検基準となる設定された起動回数を越えた時実行すべき明示動作が記憶されている。
【0043】
図11は、本実施形態に係るエレベーター制御装置1における点検基準となる設定された起動回数超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
最初の点検が行われた以降の動作について説明すると、まず、ステップ401で、点検部位について点検が行われると、その点検部位の起動回数計測テーブル127における計測される起動回数がリセットされ、次に、ステップ402で、エレベーターが起動される毎に各点検部位毎の起動回数が計測されて、起動回数計測テーブル127に各点検部位の起動回数が記憶される。さらに、ステップ403で、起動回数計測テーブル127の計測された起動回数と基準となる設定された起動回数を比較し、過ぎていなければステップ402に戻り、過ぎていた場合は、ステップ205で、図10の起動回数計測テーブルに示すように、過ぎている点検基準となる起動回数に相応する明示動作を読み出す。以降の処理は図3に示すものと同じであるので、説明を省略する。
【0045】
本実施形態によれば、エレベーターの起動回数を計測し、エレベーターに所定の明示動作を行わせることにより、点検に必要な点検基準となる設定された起動回数に至ったことを知らせることができる。また、本実施形態においても、起動回数計測テーブル127を用いるので、計測を行うためのメモリを必要とするが、第1の実施形態の点検時期テーブル124のように、点検時期を入力する必要がなく、自動化が容易になる。
【0046】
次に、本発明の第4の実施形態を図12乃至図14に従って説明する。
【0047】
図12は、本実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【0048】
本実施形態は、第1の実施形態の図1に示す点検時期テーブル124に代えて、物理的変化量計測テーブル128を設けた点で相違する。その他の構成は図1に示す同符号の構成と同じである。
【0049】
図13は物理的変化量計測テーブル128の例を示す図である。
【0050】
同図に示すように、物理的変化量計測テーブル128には、エレベーターの利用に伴って各点検部位について計測された消耗等による物理的変化量と、点検基準となる設定された物理的変化量と、前記計測された物理的変化量が点検基準となる設定された物理的変化量を越えた時実行すべき明示動作が記憶されている。
【0051】
図14は、本実施形態に係るエレベーター制御装置1における計測された物理的変化量が点検基準となる設定された物理的変化量超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
最初の点検が行われた以降の動作について説明すると、まず、ステップ501で、点検が行われると、その点検部位の物理的変化量計測テーブル128における計測される物理的変化量がリセットされ、次に、ステップ502で、適当な期間を置いて、各点検部位毎の物理的変化量が計測され、物理的変化量計測テーブル128の各点検部位の物理的変化量が増加される。さらに、ステップ503で、物理的変化量計測計測テーブル128の各点検部位の物理的変化量と点検基準となる設定された物理的変化量を比較して、過ぎていなければステップ502に戻り、過ぎていた場合は、ステップ205で、図13の物理的変化量計測テーブル128に示すように、過ぎている点検基準となる設定された物理的変化量に相応する明示動作を読み出す。以降の処理は図3に示すものと同じであるので、説明を省略する。
【0053】
本実施形態によれば、エレベーターの各点検部位の物理的変化量を計測し、エレベーターに所定の明示動作を行わせることにより、点検に必要な点検基準となる物理的変化量に至ったことを知らせることができる。また、本実施形態のものも、次の物理的変化量計測テーブル128に点検時期等を入力する必要がないので自動化が容易になる。
【0054】
次に、本発明の第5の実施形態を図15に従って説明する。
【0055】
図15は、本実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【0056】
本実施形態は、第1乃至第4の実施形態のものと比べて、図1のエレベーター装置1内部に設けられていた保守管理部12をエレベーター装置1の外部に保守管理装置2として設け点で相違する。その他の構成は図1等に示したものと同じであるので説明を省略する。なお、同図において、点検時期テーブル124を他の実施形態のテーブルに置き換えることも当然可能である。
【0057】
本実施形態によれば、既存のエレベータ装置に対しても、保守管理装置2を付加することにより、本発明を実現することができる。
【0058】
次に、本発明の第6の実施形態を図16に従って説明する。
【0059】
図16は、本実施形態に係るマンコンベア装置の全体構成を示す図である。
【0060】
本実施形態は、図15に示す第5の実施形態と比べて、本発明をエスカレータ等のマンコンベアに適用した点で相違しており、エレベータ制御装置1の代わりにマンコンベア装置7が接続される。なお、同図において、点検時期テーブル124を他の実施形態のテーブルに置き換えることも当然可能である。
【0061】
マンコンベアの場合の、その利用に一定の制約を与える明示動作は、走行速度の低下や、起動時に踏み板の移動に脈動を与える等が望ましく、これにより点検時期の接近や保守期間の満了を知らせることができる。特にマンコンベアの場合、マンコンベア制御装置7だけでなく保守管理装置2も運転を休止しなければならない場所に取り付けることが多く、また、マンコンベアは一つのビル等で多数設置される場合が多いため、遠隔操作で点検解除できることは多大な労力の低減と利用者からの強い運転休止時間の短縮要望に答えることができる。
【0062】
図17は、図3,図7,図11,図14の各フローチャートにおいて、明示動作の解除の際に受信される解除信号を暗号化した場合のフローチャートである。
【0063】
同図に示すように、解除信号を暗号化した場合は、各実施形態の図3,図7,図11,図14に示すフローチャートのステップ208とステップ209間に、ステップ601に示すように、解除信号が正しく暗号化されていたかを判定する処理を加える。
【0064】
なお、上記の説明では、解除信号と共に暗号を受信する場合について説明したが、解除信号に限らず、稼動状況を送信する信号も暗号化することにより、部外者に稼動状況を調査できないようにしてもよい。また、解除信号を受信した後、点検個所によって異なる暗号を入力するようにしてもよい。
【0065】
さらに、暗号化された信号により、リセット、解除の権限を確認することができるので、部外者や権限を持たないものによって誤って解除されることを防止することができる。
【0066】
図18は、エレベーターの場合の上記の各実施形態に適用可能な明示動作の一覧を示す図である。
【0067】
(1)乗り場のインジケータの一部または全部を点滅させる。
【0068】
(2)乗り場のインジケータの一部または全部を点灯させる。
【0069】
(3)乗り場の予約灯、到着灯の一部または全部を点滅させる。
【0070】
(4)乗り場の予約灯、到着灯の一部または全部を点灯させる。
【0071】
(5)乗り場(ホール)ボタンを押した際に応答灯を点滅させる。
【0072】
(6)かご内照明を暗くする。赤色灯等の点灯を行う。
【0073】
(7)ドアの開閉速度を低下させる。
【0074】
(8)エレベータの走行速度を低下させる。
【0075】
(9)定員または乗車可能人数の減少。
【0076】
(10)着床誤差の増大と床合わせ時間の増大。
【0077】
(11)乗りかごを加振する。
【0078】
これらに示す明示動作を行うことにより、点検時期の接近や保守期間の経過、点検必要部位の提示等を効果的に行うことができる。
【0079】
図19は、エレベーターの場合の上記の各実施形態に適用可能な明示動作における表示変更の例を説明するための図である。
【0080】
図19(a)は、その左図に示すように、通常は、ホール呼びボタン61,62を押すと、押されたボタンの応答ランプが点灯する。これが、保守期間が経過している場合には、右図に示すように、ホール呼びボタン61,62を押すと、まず、一定時間だけ上下方向の応答ランプが交互に点滅し、その後押された方向のランプを点灯させ、これによって、保守期間の経過を明示することができる。また、この上下交互点灯の時間の長さを保守期間の経過に合わせて延長することにより、どれだけ保守予定日まで期間があるか、または、どれだけ経過したかを明示することができる。
【0081】
図19(b)は、乗りかごの現在位置を表示するインジケータ51〜53において、上図に示すように、通常は、かご位置のランプ(図では4階用)だけを点灯しているものを、下図に示すように、一時的に反転させ、かご位置(4階)以外のランプを点灯させる等により、保守期限の接近や経過を明示することができる。
【0082】
上記のごとく、本発明の各実施形態によれば、実際の利用者にも点検時期が迫っていることや保守期間が過ぎたことを明示することができる。さらに、点検部位によっては明示動作を切ることにより点検が必要な点検部位を明示することもでき、さらに遠隔操作により明示動作を解除できるようにしたので、点検業務の労力低減や運転休止時間の短縮を図ることができる。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、乗客輸送設備の利用を継続させた状態で利用者の利便性を大きく損なうことなく、管理者に乗客輸送設備の点検を促すことができる。
【0084】
また、点検を促す手段として、乗客輸送設備に新たに特別な装置を付加することもなく、また、エレベーターの利用状況の良好な場合には、遠隔操作等により点検を促す処置を解除できるので、保守に要する時間や労力を大幅に低減することができ、さらには乗客輸送設備の運転休止時間の短縮を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【図2】 図1に示す点検時期テーブル124の一例を示す図である。
【図3】 第1の実施形態に係るエレベーター制御装置1における点検時期超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【図4】 第2の実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【図5】 図4に示す保守期間テーブル126の一例を示す図である。
【図6】 図4に示す保守期間テーブル126の一例を示す図である。
【図7】 第2の実施形態に係るエレベーター制御装置1における保守期間超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 点検部位について複数の保守期間が設定されている場合の、保守期間と明示動作の関係を示す図である。
【図9】 第3の実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【図10】 図9に示す起動回数計測テーブル127の例を示す図である。
【図11】 第3の実施形態に係るエレベーター制御装置1における点検基準となる設定された起動回数超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【図12】 第4の実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【図13】 図12に示す物理的変化量計測テーブル128の例を示す図である。
【図14】 第4の実施形態に係るレベーター制御装置1における点検基準となる設定された物理的変化量超過時の明示動作に係わる処理手順を示すフローチャートである。
【図15】 第5の実施形態に係るエレベーター装置の全体構成を示す図である。
【図16】 第6の実施形態に係るマンコンベア装置の全体構成を示す図である。
【図17】 図3,図7,図11,図14の各フローチャートにおいて、明示動作の解除の際に解除信号に暗号を用いた場合のフローチャートである。
【図18】 エレベーターにおける各実施形態に適用可能な明示動作の一覧を示す図である。
【図19】 エレベーターにおける各実施形態に適用可能な明示動作における表示変更の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 エレベータ制御装置
11 エレベータ制御部
111 運転制御部
112 駆動制御部
113 情報制御部
12 保守管理部
121 インターフェイス部
122 期限判定部
123 時計
124 点検時期テーブル
125 遠隔通信部
126 保守期間テーブル
127 起動回数計測テーブル
128 物理的変化量計測テーブル
3 監視センタ内遠隔制御装置
4 携帯通信制御端末
5 インジケータ
6 ホール呼びボタン
7 マンコンベア制御装置

Claims (2)

  1. エレベータ、エスカレータまたは移動通路等の乗客輸送設備において、この乗客輸送設備の複数の点検部位毎の保守点検時期、保守点検期間、起動回数、点検部位の物理的変化量のいずれかを設定する手段と、現在時期、起動回数、物理的変化量のいずれかを計測する手段と、この現在時期、起動回数、物理的変化量が前記点検部位毎の保守点検時期、起動回数、物理的変化量のいずれかを超えているかを判定する手段と、前記判定の結果、前記保守点検時期、起動回数、物理的変化量のいずれかを超えている場合は、当該乗客輸送設備に備えられる設備を用いて、各点検部位毎に当該乗客輸送設備の利用に制約を与える所定の明示動作を与える手段とを備え、かつ、当該乗客輸送設備から遠隔の地に配置された乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末間で送受信可能な遠隔通信手段と、前記乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末に前記各点検部位の稼働状況を伝達する手段と、前記乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末からの指令に応じて、前記乗客輸送設備の利用に制約を与える前記所定の明示動作の全てまたは部分的に解除する手段とを備えたことを特徴とする乗客輸送設備。
  2. 請求項1において、前記乗客輸送設備監視設備または移動体通信端末は、前記伝達された点検部位の稼働状況に基づいて、前記明示動作の解除項目または明示動作の解除不可項目を表示することを特徴とする乗客輸送設備。
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