JP4937568B2 - エレベータ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば巻上機等のエレベータ機器に異常が発生しているかどうかを診断するエレベータ制御装置に関するものである。
従来のエレベータ装置では、例えばかごの運行制御等の制御動作は、マイコン制御部によって行われる。そのマイコン制御部は、通常エレベータサービス中に、異常監視プログラムに基づいて、エレベータ機器の異常発生を監視する。また、マイコン制御部は、例えば現在日時が予約日時になった場合、及びかご休止状態になった場合等の条件が満たされた場合に、定期検査プログラムに基づいて、エレベータ機器の動作及び状態を検査する。そして、何等かの異常が検出されると異常検出信号が発報され、かごの運行が休止される等の処置が行われる(例えば、特許文献1参照)。
また、別のエレベータ制御装置では、外部からの診断指令信号の入力に応じて、通常の制御動作が停止された後に、情報の読み書き等の試験動作が行われ、マイコン制御部自身に故障が発生していないかどうかがマイコン制御部によって自己診断される(例えば、特許文献2参照)。
特開昭58−6885号公報 特開2001−58769号公報
上記のような従来のエレベータ装置では、何等かの異常が検出された際のみに異常検出信号が発報されるので、例えばプログラム上の問題等で異常検出動作の機能に異常が発生した場合、マイコン制御部の異常検出動作が正常に実施されているのかどうかが分からない。また、自己診断を行うエレベータ制御装置では、診断指令信号が入力され、通常の制御動作が停止された後に試験動作が実施されるまで、異常検出動作が正常に実施されているのかどうかが分からない。このため、仮にエレベータ機器に異常が発生したとしても、その異常を検出できない可能性があり、エレベータ機器を破損させてしまう恐れがある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エレベータ機器が破損する可能性を低減させることができるエレベータ制御装置を提供することである。
この発明に係るエレベータ制御装置は、エレベータ機器に異常が発生しているかどうかを診断する機器異常診断部、及び機器異常診断部による診断動作の検査項目毎の実施状態を監視するとともに、診断動作の検査項目毎の実施状態に応じた情報を出力する診断監視出力部を備え、機器異常診断部から診断監視出力部に対して入力される診断結果には、診断動作が正常に実施される度にインクリメントされるカウンタ変数情報が含まれており、診断監視出力部は、機器異常診断部によって同時期に診断される検査項目の診断結果のカウンタ変数情報にばらつきが有るか無いかにより、その診断動作が正常な動作であるか否か判定し、診断動作の検査項目毎の実施状態に応じた情報には、各診断動作が正常な動作であるか否かの判定結果が含まれている。
この発明のエレベータ制御装置によれば、診断監視出力部は、機器異常診断部による診断動作の検査項目毎の実施状態を監視するとともに、診断動作の検査項目毎の実施状態に応じた情報を出力するので、仮に機器異常診断部による診断動作に不具合が生じたとしても、より確実にその不具合に対処でき、エレベータ機器が破損する可能性を低減させることができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータ装置を示す構成図である。図において、昇降路の上側には、巻上機(駆動装置)1が配置されている。巻上機1は、モータ2、モータ2の駆動力によって回転される駆動シーブ3、及び駆動シーブ3を制動するブレーキ(図示せず)を有している。駆動シーブ3には、複数本の主索4が巻き掛けられている。昇降路内には、かご5及び釣合重り6が主索4によって吊り下げられている。かご5及び釣合重り6は、巻上機1の駆動力によって昇降される。巻上機1の動作は、エレベータ制御装置7によって制御される。
モータ2には、モータ2の回転数に比例するパルスを発生するパルス発生器8が取り付けられている。パルス発生器8が発するパルスは、パルス計数器9によってカウントされる。パルス計数器9は、パルスのカウント数をエレベータ制御装置7に入力する。エレベータ制御装置7は、そのカウント数に基づいて、かご5の移動距離を監視する。
昇降路内には、複数組の位置点検出器10が、乗場階に対応する位置毎に配置されている。具体的には、位置点検出器10は、各乗場階の天井側及び床側に対応する位置に1つずつ配置されている。かご5には、かご5の昇降に応じて、位置点検出器10を作動させる作動片11が取り付けられている。位置点検出器10が作動されると、位置点検出器10からエレベータ制御装置7に対してかご検出信号が入力される。エレベータ制御装置7は、そのかご検出信号に基づいて、かご5の現在位置を監視する。
かご5内には、かごインジゲータ12が設けられている。各乗場には、乗場インジゲータ13が設けられている。かごインジゲータ12及び乗場インジゲータ13は、エレベータ制御装置7からの情報に基づいて、例えばかご5の位置やエレベータ装置の動作状況等を表示する。
エレベータ制御装置7には、通信回線を介して遠隔操作盤14が接続されている。また、エレベータ制御装置7には、例えば保守点検が行われる際等に、保守ツール(保守用携帯情報機器)15が接続される。外部装置である遠隔操作盤14及び保守ツール15は、エレベータ制御装置7の動作を管理人が操作するためのものである。また、遠隔操作盤14及び保守ツール15は、エレベータ制御装置7から入力される情報を表示する。なお、この実施の形態では、エレベータ機器は、巻上機1、かご5、エレベータ制御装置7、パルス発生器8、パルス計数器9、位置点検出器10、かごインジゲータ12、及び乗場インジゲータ13を有している。また、状態表示器は、かごインジゲータ12、乗場インジゲータ13、遠隔操作盤14、及び保守ツール15を有している。
次に、図2は、図1のエレベータ制御装置7の機械構成を示すブロック図である。図において、エレベータ制御装置7は、制御装置本体19、入出力ポート20、保守インターフェース21、及び7セグメントLED22を有している。制御装置本体19は、プログラム等の情報が格納されているROM25、ROM25に格納されている情報に基づいて演算処理を行うCPU26、CPU26の処理情報に用いられる情報が一時的に格納されるRAM27、及び履歴情報が格納されるバックアップRAM28を有している。バックアップRAM28は、制御装置本体19がオン/オフ(システムリセット)されても、格納しているデータを保持できる。
巻上機1、パルス計数器9、位置点検出器10、かごインジゲータ12、乗場インジゲータ13、及び遠隔操作盤14と、制御装置本体19との間の情報は、入出力ポート20を介して送受信される。保守ツール15と制御装置本体19との間の情報は、保守インターフェース21を介して送受信される。7セグメントLED22は、制御装置本体19と同じ基板上に設けられている。また、7セグメントLED22は、制御装置本体19から入力される情報を表示する。
次に、図3は、図2の制御装置本体19の機能構成を示すブロック図である。図において、制御装置本体19は、運行制御部30、機器異常診断部31、モニタ演算部32、診断監視回路部33、及び履歴保存部34を有している。
運行制御部30は、かご位置演算部36、距離演算部37、走行指令演算部38、及び速度制御演算部39を有している。かご位置演算部36は、パルス計数器9からのパルスカウント情報と、位置点検出器10からのかご検出信号とに基づいて、かご5の現在位置を求める。距離演算部37は、かご位置演算部36によって求められたかご5の現在位置と、かご5の目的階との間の必要走行距離を求める。走行指令演算部38は、距離演算部37によって求められた必要走行距離に基づいて走行指令情報を求める。速度制御演算部39は、走行指令演算部38によって求められた走行指令情報に基づいて、巻上機1の動作を制御する。
機器異常診断部31は、エレベータ機器に異常が発生しているかどうかを診断するためのプログラムモジュールである。機器異常診断部31は、安全回路部42及び故障診断回路部43を有している。
安全回路部42は、エレベータサービス中に異常が発生するかどうかを常時監視する(常時診断動作)。安全回路部42の診断動作による検査項目には、運行演算チェック、過走行発生チェック、及び過電流発生チェック等が含まれている。運行演算チェックでは、運行制御部30の演算結果に問題がないかどうかが判定される。過走行発生チェックでは、パルス計数器9及び位置点検出器10からの情報に基づいて、かご5の過走行が発生しないかどうかが判定される。過電流発生チェックでは、電流センサ(図示せず)からの情報に基づいて、モータ2への過電流が発生しないかどうかが判定される。
故障診断回路部43は、例えば現在日時が予め設定された実施日時になった場合、及びかご5の運行が休止状態になった場合等の所定の設定条件が満たされた場合に、かご5を検査運転させ、エレベータ機器に故障が発生しているかどうかを診断する(定期診断動作)。設定条件は、例えば午前1時〜午前2時の間にかご5の休止状態が10分間の継続した場合等と設定される。故障診断回路部43の診断動作による検査項目には、例えばブレーキ静トルクチェック、位置情報チェック、及び自己チェック等が含まれている。ブレーキ静トルクチェックでは、ブレーキの静止保持力が正常範囲内であるかどうかが点検される。位置情報チェックでは、かご5が低速で昇降され、その昇降時に入力されるパルス計数器9からのパルスカウント情報と、位置点検出器10からのかご検出信号とが照らし合わされることで、パルス計数器9及び位置点検出器10が正常に動作しているかどうかが判定される。自己チェックでは、機器異常診断部31自体が正常に動作するかをチェックする。
機器異常診断部31は、エレベータ機器に異常が発生したと判定すると、異常検出信号をモニタ演算部32に入力する。モニタ演算部32は、機器異常診断部31からの異常検出信号に基づいて、インジゲータ12,13、及び7セグメントLED22に異常内容を表示させる。また、機器異常診断部31は、エレベータ機器に異常が発生したと判定すると、その異常内容を評価し、必要に応じて運行制御部30に対して運転抑制指令を入力する。運行制御部30は、機器異常診断部31からの運転抑制指令に基づいて、かご5の運転を停止する(又は低速運転にする)。
診断監視回路部33は、機器異常診断部31による診断動作の検査項目毎の実施状態を常時監視するプログラムモジュールである。診断監視回路部33は、運行制御部30及び機器異常診断部31から独立したモジュールであり、それら運行制御部30及び機器異常診断部31と並列に動作する。診断監視回路部33は、安全回路部42及び故障診断回路部43の診断動作が実施されたかどうかを判定する。
ここで、プログラム(ソフトウェア)上の何等かの問題で、機器異常診断部31の各検査項目の診断動作が正常に実施されないことがある。つまり、機器異常診断部31から診断監視回路部33に対して診断結果が入力されても、その診断結果がエレベータ機器の実際の状態を示していないことがある。診断監視回路部33は、診断動作が実施されたと判定した際に、その診断動作が正常な動作であるかどうかを判定する。具体的には、機器異常診断部31から診断監視回路部33に対して入力される診断結果には、正常に診断動作される度にインクリメント(1ずつ加算)されるカウンタ変数情報が含まれている。診断監視回路部33は、機器異常診断部31によって同時期に診断される検査項目の診断結果のカウンタ変数情報にばらつきが無ければ、その診断動作が正常な動作であると判定する。
さらに、診断監視回路部33は、診断動作が正常な動作であるかどうかを判定した後に、機器異常診断部31による診断動作の検査項目毎の実行状態を示す診断状態情報を、モニタ演算部32、履歴保存部34、遠隔操作盤14、及び保守ツール15に入力する。
モニタ演算部32は、診断監視回路部33から診断状態情報が入力されると、診断動作の実行状態をインジゲータ12,13、及び7セグメントLED22に表示させる。具体的には、機器異常診断部31の診断動作には、例えば01〜05等の実行状態コードが検査項目毎に割り当てられている。また、診断動作が異常である場合には、例えばError等の実行状態コードが割り当てられている。モニタ演算部32は、診断監視回路部33から診断状態情報が入力されると、インジゲータ12,13、及び7セグメントLED22に実行状態コードを表示させる。
ここで、安全回路部42による診断動作は、速い周期(5msec又は10msec程度の周期)で実施される。インジゲータ12,13、及び7セグメントLED22には、数周期前の診断動作の状態を示す実行状態コードが表示される。
履歴保存部34は、診断監視回路部33から診断状態情報が入力されると、その診断状態情報に基づいて診断履歴情報を記憶する。なお、この実施の形態では、診断監視出力部45は、診断監視回路部33、モニタ演算部32、及び履歴保存部34を有している。
次に、図4は、図3の履歴保存部34によって記憶される診断履歴情報を示す説明図である。図において、診断履歴情報には、データポインタ(Ptr)及び複数(図では8つ)の実行状態情報が含まれている。データポインタは、履歴保存部34の動作に用いられるプログラム上の変数である。具体的には、データポインタは、実行状態情報を記録させるバックアップRAM28内のアドレスを示す情報である。また、データポインタは、実行状態情報がバックアップRAM28内に記録される度にインクリメントされ、所定数を超えるとリセットされる。この実施の形態では、履歴保存部34が記憶する実行状態情報の数は8つなので、データポインタは7を超えると0にリセットされる。
実行状態情報には、検査項目コード情報、日時データ情報、チェック結果情報、及び作動理由情報が含まれている。それら4つの情報がデータポインタで指定されたバックアップRAM28内のアドレスから順に記録される。
検査項目コード情報は、機器異常診断部31によって実行された診断動作の検査項目のコードを示す。日時データ情報は、その診断動作の実行日時を示す。チェック結果情報は、診断動作の診断結果の正常及び異常を示す。また、チェック結果情報は、診断動作自体が正常でないと判定された場合には動作不具合状態を示す。作動理由情報は、機器異常診断部31の診断動作が作動された理由に基づいて、通常理由情報、手動強制理由情報、及び自動強制理由情報の中から選択される。通常理由情報は、安全回路部42によって診断動作が行われた場合、及び予め設定された条件が満たされたことで故障診断回路部43によって診断動作が行われた場合に選択される。手動強制理由情報及び自動強制理由情報については後に説明する。
次に、動作について説明する。図5は、図3の診断監視出力部45によって行われる診断監視出力動作を示すフローチャートである。図において、エレベータ制御装置7の電源が投入されると、実施状態報知制御が行われるとともに(ステップS1)、履歴保存制御が行われ(ステップS2)、それら制御が繰り返し行われる。
次に、図6は、図5の実施状態報知制御を詳細に示すフローチャートである。図において、実施状態報知制御が開始されると、診断動作が実施されているかどうかが診断監視回路部33によって判定され(ステップS3)、診断動作が実施されていると判定されると、診断動作自体が正常な動作であるかどうかが確認される(ステップS4)。その後に、7セグメントLED22に実行状態コードが表示されるとともに(ステップS5)、インジゲータ12,13に実行状態コードが表示され(ステップS6)、遠隔操作盤14及び保守ツール15に実行状態情報が送信される(ステップS7)。
次に、図7は、図5の履歴保存制御動作を詳細に示すフローチャートである。図において、履歴保存制御動作が開始されると、診断動作が実施されたかどうかが判定され(ステップS8)、診断動作が実施されたと判定されると、検査項目コード情報、日時データ情報、チェック結果情報、及び作動理由情報が、現在のデータポインタによって指定されたアドレスから順に記録される(ステップS9)。その次に、データポインタがインクリメントされるとともに(ステップS10)、インクリメントされたデータポイントが7を超えているかどうかが判定され(ステップS11)、インクリメントされたデータポイントが7を超えていると判定された場合、データポインタがリセットされる(ステップS12)。
このようなエレベータ制御装置7では、診断監視出力部45は、機器異常診断部31による診断動作の検査項目毎の実施状態を監視するとともに、その診断動作の検査項目毎の実施状態に応じた診断状態情報を出力し、インジゲータ12,13、及び7セグメントLED22に実行状態コードを表示させるので、仮に機器異常診断部31による診断動作に不具合が生じたとしても、その不具合を確認できるとともに、より確実にその不具合に対処でき、エレベータ機器が破損する可能性を低減させることができる。
なお、実施の形態1では、履歴保存部34が記録する実行状態情報の数は8つと説明したが、その数は任意である。
また、実施の形態1では、診断監視出力部45は、機器異常診断部31による診断動作が行われる度に、遠隔操作盤14及び保守ツール15に診断状態情報を入力すると説明したが、機器異常診断部31による診断動作に重度の不具合が生じた場合のみに、その不具合を示す診断状態情報を外部装置に入力してもよい。具体的には、診断監視出力部は、機器異常診断部による診断動作が正常な動作であるかを判定し、診断動作に不具合が生じていると判定した場合に、その不具合の頻度及び緊急度に対応する設定値が所定の基準値を超えるかどうかを判定し、不具合に対応する設定値が所定の基準値を超えていると判定した場合のみに、その不具合を示す診断状態情報を外部装置に入力してもよい。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2によるエレベータ制御装置7の構成は、実施の形態1のエレベータ制御装置7の構成と基本的に同じである。ここで、故障診断回路部43による各検査項目の定期診断動作は、プログラム上の何等かの問題で、所定の設定条件が満たされたにも拘わらず実施されないことがある。この実施の形態2の診断監視出力部45は、各検査項目の定期診断動作の未実施を検出し、各検査項目の定期診断動作の未実施を示す診断履歴情報を記憶する。
管理者は、例えば週1度程度の間隔でバックアップRAM28内の診断履歴情報を確認することで、定期診断動作の未実施を示す診断履歴情報が記録されているかどうかを確認できる。また、管理者は、エレベータ制御装置7の基板上に設けられたスイッチ(図示せず)、遠隔操作盤14、及び保守ツール15を操作することで、故障診断回路部43に診断実行指令を入力できる。
故障診断回路部43は、管理者の操作によって診断実行指令が入力されると診断動作を実施する(手動強制診断動作)。診断監視出力部45は、診断実行指令を検出し、診断実行指令の入力によって手動強制診断動作が行われた場合に、診断履歴情報の作動理由情報として手動強制理由情報を選択する。
次に、動作について説明する。図8は、この発明の実施の形態2による診断監視出力部45によって行われる履歴保存制御動作を示すフローチャートである。図において、診断動作が実施されているかどうかが診断監視回路部33によって判定され、診断動作が実施されていないと判定された後に、所定の設定条件が満たされているかどうかが診断監視回路部33によって判定される(ステップS20)。このとき、設定条件が満たされていると判定されると、いつ、どの検査項目の診断が未実施であるかを示す実行状態情報が記録される。その他の動作は図7に示す履歴保存制御動作と同様である。
次に、図9は、この発明の実施の形態2による故障診断回路部43によって行われる診断動作実施制御を示すフローチャートである。図において、エレベータ制御装置7の電源が投入されると、設定条件が満たされているかどうかが判定され(ステップS21)、その条件が満たされていると判定されると、診断動作が実施される(ステップS22)。これに対して、条件が満たされていないと判定されると、診断実行指令が入力されたかどうかが判定され(ステップS23)、診断実行指令が入力されたと判定されると診断動作が実施される。一方、条件が満たされてなく、診断実行指令が入力されていないと判定されると、診断実行指令は実施されない。
このようなエレベータ制御装置7では、診断監視出力部45は、定期診断動作の未実施を検出し、定期診断動作の未実施を示す診断履歴情報を記録するので、定期診断動作が長期間行われないことを確認でき、エレベータ機器が破損する可能性を低減させることができる。
また、故障診断回路部43は、管理者の操作によって診断実行指令が入力されると診断動作を実施するようになっているので、定期診断動作が長期間行われない可能性を低減させることができ、エレベータ機器が破損する可能性を低減させることができる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3によるエレベータ制御装置7の構成は、実施の形態1,2のエレベータ制御装置7の構成と基本的に同じである。但し、この実施の形態3では、定期診断動作の各検査項目の未実施が、週に1回程度、所定日時に診断監視回路部33によって確認され、定期診断動作の未実施が検出されると、故障診断回路部43による診断動作の実施が診断監視回路部33によって自動的に強制される。
具体的には、診断監視回路部33は、故障診断回路部43による各検査項目の診断動作が実施されてからの経過時間を測定するとともに、前回の診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達した場合に、所定期間行われていなかった検査項目の診断動作が実施されるかどうかを判定する。
また、診断監視回路部33は、前回の診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達するとともに、所定期間行われていなかった検査項目の診断動作が行われない場合、故障診断回路部43に対して診断実行指令を入力し、所定の検査項目の診断動作を実施させる。さらに、診断監視回路部33は、故障診断回路部43に対して診断実行指令を直接入力した場合に、診断履歴情報の作動理由情報として自動強制理由情報を選択する。
次に、動作について説明する。図10は、この発明の実施の形態3による診断監視出力部45及び故障診断回路部43によって行われる診断監視出力動作を示すフローチャートである。図11は、図10の自動検査実施制御を詳細に示すフローチャートである。図において、実施状態報知制御、及び履歴保存制御が行われる前に、自動検査実施制御が行われる(ステップS30)。
自動検査実施制御が開始されると、前回の診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達したかどうかが判定される(ステップS31)。このとき、前回の診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達したと判定された場合、故障診断回路部43によって診断動作が実施されるかどうかが判定され(ステップS32)、診断動作が実施されないと判定されると、診断監視回路部33から故障診断回路部43に対して診断実行指令が入力され、故障診断回路部43によって診断動作が実施される(ステップS33)。
このようなエレベータ制御装置7では、診断監視回路部33は、前回の故障診断回路部43による診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達するとともに、故障診断回路部43による診断動作が行われない場合に、故障診断回路部43に診断動作を実施させるので、定期診断動作が長期間行われない可能性をより確実に低減させることができ、エレベータ機器が破損する可能性をより低減させることができる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態3によるエレベータ制御装置7の構成は、実施の形態1,2のエレベータ制御装置7の構成と基本的に同じである。但し、この実施の形態4の診断監視回路部33は、所定期間実施されていない検査項目の診断動作があると判定された場合に、かご5の運転を抑制するとともに、定期診断動作が長期間行われていないことを報知する。
具体的には、診断監視回路部33は、前回の診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達するとともに、故障診断回路部43による診断動作が行われない場合、運行制御部30に対して運転抑制指令を入力する。運行制御部30は、故障診断回路部43からの運転抑制指令に応じて、かご5の昇降速度を低速に切り替える(低速運転制御)。
また、定期診断動作が長期間行われない場合には、例えばOver等の実行状態コードが割り当てられている。モニタ演算部32は、定期診断動作が長期間行われていない状態を示す診断状態情報が診断監視回路部33から入力されると、インジゲータ12,13、及び7セグメントLED22にOver等の実行状態コードを表示させる。また、診断監視回路部33は、定期診断動作が長期間行われていない状態を示す診断状態情報を遠隔操作盤14、及び保守ツール15に入力する。
次に、動作について説明する。図12は、この発明の実施の形態4による診断監視出力部45及び運行制御部30によって行われる自動運転抑制制御を示すフローチャートである。図において、エレベータ制御装置7の電源が投入されると、前回の診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達したかどうかが判定される。このとき、前回の診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達したと判定された場合、故障診断回路部43によって診断動作が実施されるかどうかが判定され、診断動作が実施されないと判定されると、かご5の運転が実施されているかどうかが判定され(ステップS40)、かご5の運転が実施されていると判定されると、かご5の昇降速度が低速に切り替えられる(ステップS41)。
その次に、7セグメントLED22及びインジゲータ12,13にOver等の実行状態コードが表示されるとともに、定期診断動作が長期間行われていない状態を示す診断状態情報が遠隔操作盤14、及び保守ツール15に入力される。
このようなエレベータ制御装置7では、診断監視回路部33は、前回の故障診断回路部43による診断動作が実施されてからの経過時間が所定時間に達するとともに、故障診断回路部43による診断動作が行われない場合に、運行制御部30によるかご5の運行制御動作を抑制するので、定期診断動作が長期間行われない状態でのかご5の運転が抑制され、より信頼性の高いサービスを提供でき、エレベータ機器が破損する可能性をより低減させることができる。
なお、実施の形態4では、運行制御部30は、故障診断回路部43からの運転抑制指令に応じて、かご5の昇降速度を低速に切り替えると説明したが、かごの運転を停止してよい。
また、実施の形態4では、診断監視出力部45は、検査項目の中に所定期間実施されていないものが有ると、かご5の運転をすぐさま抑制すると説明したが、診断監視出力部は、所定期間未実施の検査項目の緊急度に対応する設定値が所定の基準値を超えるかどうかを判定し、設定値が基準値を超えると判定した場合のみに、かごの運転を抑制してよい。
さらに、実施の形態4では、診断監視出力部45は、故障診断回路部43による診断動作が実施されたかどうかを判定するのみで、その診断動作が正常な動作であるかどうかを判定しないように説明したが、診断監視出力部は、機器異常診断部による診断動作に不具合が生じていると判定した場合に、その不具合の頻度及び緊急度に対応する設定値が所定の基準値を超えるかどうかを判定し、不具合に対応する設定値が所定の基準値を超えると判定した場合にもかごの運転を抑制してよい。
さらにまた、実施の形態1〜4では、機器異常診断部31と診断監視出力部45とが互いに独立したプログラムモジュールであり、1つの制御装置本体19の機能であるように説明したが、機器異常診断部と診断監視出力部とは互いに独立した2つ以上の制御装置本体であってもよい。
この発明の実施の形態1によるエレベータ装置を示す構成図である。 図1のエレベータ制御装置の機械構成を示すブロック図である。 図2の制御装置本体の機能構成を示すブロック図である。 図3の履歴保存部によって記録される診断状態履歴情報を示す説明図である。 図3の診断監視出力部によって行われる診断監視出力動作を示すフローチャートである。 図5の実施状態報知制御を詳細に示すフローチャートである。 図5の履歴保存制御動作を詳細に示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による診断監視出力部によって行われる履歴保存制御動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による故障診断回路部によって行われる診断動作実施制御を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3による診断監視出力部及び故障診断回路部によって行われる診断監視出力動作を示すフローチャートである。 図10の自動検査実施制御を詳細に示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4による診断監視出力部及び運行制御部によって行われる自動運転抑制制御を示すフローチャートである。
符号の説明
1 巻上機、5 かご、7 エレベータ制御装置、8 パルス発生器、9 パルス計数器、10 位置点検出器、12,13 インジゲータ(状態表示器)、14 遠隔操作盤(状態表示器)、15 保守ツール(状態表示器)、22 7セグメントLED(状態表示器)、30 運行制御部、31 機器異常診断部、45 診断監視出力部。

Claims (6)

  1. エレベータ機器に異常が発生しているかどうかを診断する機器異常診断部、及び
    上記機器異常診断部による診断動作の検査項目毎の実施状態を監視するとともに、上記診断動作の検査項目毎の実施状態に応じた情報を出力する診断監視出力部
    を備え
    上記機器異常診断部から上記診断監視出力部に対して入力される診断結果には、診断動作が正常に実施される度にインクリメントされるカウンタ変数情報が含まれており、
    上記診断監視出力部は、上記機器異常診断部によって同時期に診断される検査項目の診断結果のカウンタ変数情報にばらつきが有るか無いかにより、その診断動作が正常な動作であるか否か判定し、
    上記診断動作の検査項目毎の実施状態に応じた情報には、各診断動作が正常な動作であるか否かの判定結果が含まれていることを特徴とするエレベータ制御装置。
  2. 上記診断監視出力部からの情報に基づいて、上記診断動作の検査項目毎の実施状態を表示する状態表示器
    をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。
  3. 上記機器異常診断部は、所定の設定条件が満たされた場合に所定の検査項目の上記診断動作を実施するようになっており、
    上記診断監視出力部は、上記設定条件が満たされているにも拘わらず上記検査項目の上記診断動作が未実施であると判定した場合、上記検査項目の上記診断動作の未実施を示す診断履歴情報を記憶することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータ制御装置。
  4. 上記機器異常診断部は、利用者の操作により診断実行指令が入力されると、上記診断動作を実施することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
  5. 上記診断監視出力部は、所定の検査項目の上記診断動作が実施されてからの経過時間を測定するとともに、上記経過時間が所定時間に達した場合に上記検査項目の上記診断動作が実施されるかどうかを判定し、上記検査項目の上記診断動作が未実施であると判定した場合、上記機器異常診断部に上記検査項目の上記診断動作を実施させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
  6. かごの運行を制御する運行制御部
    をさらに備え、
    上記診断監視出力部は、所定の検査項目の上記診断動作が実施されてからの経過時間を測定するとともに、上記経過時間が所定時間に達した場合に上記検査項目の上記診断動作が実施されるかどうかを判定し、上記検査項目の上記診断動作が未実施であると判定した場合、上記運行制御部による上記かごの運行制御動作を抑制することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
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