JP4177627B2 - エレベータ群管理システム及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータの群管理システムおよび方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエレベータ群管理システムでは、エレベータを利用する乗客がエレベータホールにてボタンを押下してホール呼びを発生させると、群管理部に対してカゴの割り当て要求が行われる。群管理部はこの乗客に対してカゴを割り当てて配車サービスを行う。カゴに乗車したら、乗客はカゴ呼びを行って目的階を指定する。これに応じて群管理部は乗客の目的階にカゴを移動させて運搬サービスを行う。
【0003】
このような従来のエレベータ群管理システムは、乗客がエレベータホールにてホール呼びボタンを押してホール呼びが発生することで初めて当該乗客が発生したことを検知し、カゴの割り当て配車を開始できる。つまり、乗客は必ずホール呼びを行う必要があり、群管理側はホール呼びが発生しない限りその乗客の目的階を知ることができない。
【0004】
ホール呼びが発生すると、群管理部はホール呼びを行った乗客の降車階を予測し、エレベータの運行状況などから配車に最も適したカゴを割り当てる。
【0005】
そして、割り当てられたカゴがホール呼びを行った乗客の発生階に到着し、乗客が乗車してカゴ呼びが行われると、群管理部側はホール呼びを行った乗客の目的階を知り、乗客の降車階を決定して乗客を目的階へ運搬サービスする。このようにして、ビル内に発生する乗客の運搬をエレベータ群管理システムは行っている。
【0006】
例えば出勤時にロビー階等で多数の乗客が発生しているとき、当該ロビー階において一々ホール呼びを行わなければならないことについて、乗客は効率的でないと感じ操作負担を覚える。一方、群管理側にとってはホール呼びが発生しない限り乗客の発生を知ることができず、それまでは当然ながら乗客の目的階を知るとこもできない。
【0007】
乗客の目的階がわからない以上、群管理側は乗客の降車階の特定を予測に頼らざるを得ない。このため予測が大幅に外れた場合などは、待ち時間やサービス時間の増加によるクレームにつながる恐れがある。乗客の降車階予測技術には限界があり、最適なカゴ配車によるエレベータの運行は困難とされている。
【0008】
これらの要因から、サービスを受ける乗客側、運行を司る群管理側双方にとって快適なシステムが提供されているとは言えないのが現状である。そこで、ホール呼びによる乗客の負担を軽減し、かつ、降車階予測に頼らないエレベータ群管理システムが必要とされている。
【0009】
エレベータ群管理システムの他の従来例として、エレベータ毎の混雑度合いのバラツキを抑えてエレベータの運行効率を向上すべく、乗場行先階釦の操作回数が乗場行先階釦毎に計算される行先階別釦操作計数部と、この行先階別釦操作計数部の計算結果に基づく回数の点滅を行う乗場行先階釦の行先釦灯と、行先階別釦操作計数部の計算結果に基づき、各エレベータがサービスする階床を割り当てる割当て部と、割当て部による割り当て結果に基づき、各エレベータのサービスする階床を表示するサービス階案内表示器を備えたエレベータの群管理システムが公知である(下記特許文献1参照。)。この従来例では、乗客が行先呼びをした回数を検出し、階床間の交通量を取得する。これに基づきカゴ割り当て処理を行う。また、サービス階案内表示板に示されている内容は、カゴのサービス可能階である。
【0010】
また、エレベーターを時間的に等間隔に運行制御し、待ち時間の短縮、および混雑階での輸送効率の低下を防止、サービス性能の向上を図るエレベーターの群管理制御装置が公知である(下記特許文献2参照。)。この装置は、各エレベーターの運行計画を設定し、これに基づいてホール呼び割当てを優先、抑制、禁止するゾーンを求め、データテーブルへ運行計画評価を設定する運行計画評価プログラムと、ホール呼び発生時に少なくとも本人の待ち時間を評価し、これと運行計画評価とにより、各エレベーターの割当て評価値を求める複合評価プログラムを有し、その複合評価値により呼び割当てエレベーターを選択する。その際、乗り混雑階に後から到着するエレベーターに対して、乗り混雑階より遠方のホール呼び割当てを抑制する等の乗り混雑階で発生すると予想されるかご呼びを考慮した呼び割当てを行う。
【0011】
また、乗場において長待ちなどのサービス状況案内をするため案内表示装置に案内表示モードを選定して案内表示し、確実かつ精度の高い案内表示を実行するエレベーターの案内表示装置が公知である(下記特許文献3参照。)。この装置は乗場に設置された案内表示装置の設置階(層)、ホール呼びの方向、交通時間帯により案内表示するためのルールを設定し、このルールに基づいて案内表示モードを選択して案内表示し、割り当てられた条件により新規ホール呼びやかご呼びを抑制または阻止するというものである。この案内表示装置によれば、乗客の長待ちなどを考慮して、「しばらくお待ちください」や、「まもなく到着します」等のサービス状況の案内がなされる。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−219443公報
【0013】
【特許文献2】
特開平7−61722号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平7−69551号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情を考慮してなされたものであり、ホール呼びによる乗客の負担を軽減し、かつ降車階予測を必要としないエレベータ群管理システム及び方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエレベータ群管理システムは、各階床で発生するホール呼びを検出し、複数のカゴについて割当評価演算を行って最良の評価値が得られるカゴを割り当てる群管理アルゴリズムを有するエレベータ群管理システムにおいて、少なくとも一つの特定階床について仮のホール呼びを発生する手段と、前記仮ホール呼びに応答するカゴを前記群管理アルゴリズムに基づいて割り当てるとともに、当該カゴについて仮のカゴ呼びを登録する手段と、前記仮のカゴ呼びについて、前記特定階床を出発した後に停止することを予定する予定停止階床を決定する手段と、決定された前記予定停止階床を少なくとも前記特定階床において表示する手段と、を具備することを特徴とするエレベータ群管理システムである。
【0017】
また、本発明に係るエレベータ群管理方法は、各階床で発生するホール呼びを検出し、複数のカゴについて割当評価演算を行って最良の評価値が得られるカゴを群管理アルゴリズムにより割り当てるエレベータ群管理方法において、少なくとも一つの特定階床について仮のホール呼びを発生するステップと、前記仮ホール呼びに応答するカゴを前記群管理アルゴリズムにより割り当てるとともに、当該カゴについて仮のカゴ呼びを登録するステップと、前記仮のカゴ呼びについて、前記特定階床を出発した後に停止することを予定する予定停止階床を決定するステップと、決定された前記予定停止階床を少なくとも前記特定階床において表示するステップと、を具備することを特徴とするエレベータ群管理方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るエレベータ群管理システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すエレベーター群管理システム1は、L階建てのビル内においてN台のカゴ2A〜2Nの運行サービスを提供する。特に本実施形態のエレベータ群管理システム1は、たとえば出勤時など一時的に高い需要が発生するロビー階など特定の一階床(あるいは複数階床でもよい)について、仮のホール呼びを発生する。仮のホール呼びは、乗客が何ら操作を行わなくともエレベータ群管理システム1が自発的に生じさせるホール呼びをいう。また、発生した仮のホール呼びについて、エレベータ群管理システム1は仮のカゴ呼びを発生する。この仮のカゴ呼びは、仮のホール呼びに応じて割当られたカゴの停止予定階を定める。カゴの停止予定階は、乗客自身によりカゴ内においてボタン操作がなされたとき、停止確定階となる。このような仮のホール呼びおよびカゴ呼びが発生する特定階床には、カゴ停止予定階表示板5A〜5Nが設置される。カゴ停止予定階表示板5A〜5Nの各々は、カゴ2A〜2Nの各々に対応する。また、すべてのカゴ2A〜2Nのカゴの停止予定階を一覧表示するカゴ停止予定階一覧表示板14も設置される。
【0020】
特定階床以外の階床には、それぞれホール呼び装置42,43,〜4Lが設置される。ホール呼び装置42,43,〜4Lはホール呼び装置制御部6に接続されている。ホール呼び装置制御部6は、ホール呼び装置42,43,〜4Lからのホール呼びの発生を検知して割当計算部9に通知する。
【0021】
カゴ2A〜2Nのそれぞれの内部には、カゴ呼び装置3A〜3Nが設けられる。カゴ呼び装置3A〜3Nはカゴ呼び装置制御部7に接続されている。カゴ呼び装置制御部7は、カゴ呼び装置3A〜3Nからのカゴ呼びの発生を検知して割当計算部9に通知する。
【0022】
カゴ情報検出部8は、カゴ2A〜2Nのそれぞれから、当該カゴにかかっている荷重、進行方向、および速度などを表すカゴ情報を検出する。
【0023】
割当計算部9にはカゴ割当状況テーブル12およびカゴ停止階記憶部13が接続されており、割当計算部9は、カゴ情報検出部8により検出されたカゴの運行情報、カゴ割当状況テーブル12の内容、およびその時点でのビル内の交通流等に基づいて、カゴ2A〜2Nの停止予定階床の割り当て計算を行う。割り当て計算の結果は、カゴ停止予定階通知部11およびカゴ停止階記憶部13に送出される。カゴ停止階記憶部13は割り当て計算の結果を一時的に記憶する。この割り当て計算の結果は、カゴ停止予定階表示板5A〜5Nの設置階にカゴ2A〜2Nが到着したとき、カゴ割当状況テーブル12に送出される。これによりカゴ割当状況テーブル12で規定されているカゴ2A〜2Nの停止予定階は更新される。
【0024】
カゴ停止予定階通知部11は、割当計算部9による割り当て計算の結果であるカゴの停止予定階を示す情報をカゴ停止予定階表示板5A〜5Nおよびカゴ停止予定階一覧表示板14に送出する。
【0025】
カゴ運行制御部10は、カゴ2A〜2Nのそれぞれの運行、すなわち発車、停止、ドア閉開、移動などを制御する。
【0026】
以上のように構成された本実施形態の動作を説明する。
【0027】
ここでは、地上16階建(L=15)のビル内において4台のカゴを運行させる場合を例に挙げる。
【0028】
エレベータ群管理システム1は、例えば朝7時から10時までの出勤時に、ロビー階(例えば1階とする)について所定の時間間隔(例えば1分間隔とするなど運行状況に応じて適宜定めることが好ましい)で仮ホール呼びを発生する。上述したように、仮のホール呼びはエレベータ群管理システム1が自発的に生じさせるのでロビー階の乗客はホール呼びのための操作を行わなくともよい。
【0029】
発生した仮のホール呼びについて、エレベータ群管理システム1は仮のカゴ呼びを発生する。この仮のカゴ呼びは、仮のホール呼びに応じて割当られたカゴの停止予定階を2階〜16階のなかから一つ又は複数定める。
【0030】
図2は、本実施形態に係るエレベータ群管理システム1におけるカゴ停止予定階表示板設置階の外観例を示す図、図3はカゴ停止予定階一覧表示板の外観例を示す図である。
【0031】
図2に示すカゴ停止予定階表示板5A〜5Dは、例えば電光掲示により文字、数値、記号等を表示可能であり、カゴ2A〜2Dの停止予定階を表示する。カゴの停止予定階は、カゴ2A〜2Nがカゴ停止予定階表示板5A〜5Nの設置階床に到着して発車した後に、停止することが予定されている階のことであって、例えばカゴ2Bについては図2からわかるように2階、8階、12階、14階が停止予定階である。上述したように、カゴの停止予定階は、仮のホール呼びに応じて割当られたカゴについて仮のカゴ呼びを発生させ、この仮のカゴ呼びについて割当計算部9が計算に基づいて割り当てるものであり、このようなカゴの停止予定階は、乗客自身によりカゴ内においてボタン操作がなされたとき、停止確定階となる。
【0032】
図3に示すように、カゴ停止予定階一覧表示板14は、すべてのカゴ2A〜2Dについての停止予定階、つまりカゴ停止予定階表示板5A〜5Dに表示されている停止予定階の内容の全てを一覧表示する。乗客は、エレベータ扉ごとに離れて配置されているカゴ停止予定階表示板5A〜5Dを見なくても、このカゴ停止予定階一覧表示板14によって、どのカゴがどの階床へ停止予定であるかを一覧できる。
【0033】
ロビー階の乗客は、自分の目的階へ停止する予定のカゴ(以下、この1台のカゴをカゴ2kとする。kはA〜Dのいずれかである)が当該ロビー階に到着するのを待ち、該カゴ2kが到着したら乗車する。
【0034】
以下、ロビー階に乗客が発生しており、このとき仮のホール呼びが発生した際の群管理処理の手順を図4のフローチャートに沿って説明する。
【0035】
(ステップS1)
割当計算部9が各カゴ2A〜2Nの停止予定階床の割当処理を行なう。カゴ停止予定階表示板5A〜5Nは、カゴ2A〜2Nのそれぞれの停止予定階床を表示する。また、カゴ停止予定階一覧表示板14は、すべてのカゴ2A〜2Nについての停止予定階を一覧表示する。
【0036】
(ステップS2)
カゴ停止予定階表示板5kの設置階にカゴ2kが到着する。
【0037】
(ステップS3)
このとき、カゴ停止予定階記憶部13は、カゴ停止予定階表示板5kおよびカゴ停止予定階一覧表示板14に表示されているカゴ2kの出発後の停止予定階を一時的に記憶している。カゴ割当状況テーブル12のカゴ2kについての割当状況は、このカゴ停止予定階記憶部13の内容に従って更新される。
【0038】
(ステップS4)
乗客は、カゴ停止予定階表示板5A〜5Nあるいはカゴ停止予定階一覧表示板14の表示内容(停止予定階)にしたがい、自分の目的階に停止予定であるカゴ2kの到着を待つ。自分の目的階へ停止するカゴ2kが到着したら、そのカゴ2kに乗車する。
【0039】
(ステップS5)
図5に示すように、カゴ呼び装置3kでは、当該乗客がカゴ2kに乗車する際にカゴ停止予定階表示板5kに表示されていた停止予定階に対応するカゴ呼びボタンb1を点滅表示させ、その他のカゴ呼びボタンは消灯させる。停止予定階に対応するカゴ呼びボタンb1の点滅表示によれば、当該カゴに乗車した乗客は、目的階へのカゴ停止確定登録を行うよう促される。
【0040】
乗客が自分の目的階を指定するためカゴ呼びボタンb1のいずれかを押下するとカゴ呼び登録が実行されてステップS6に進む。カゴ呼び装置3kは乗客の目的階へのカゴ呼び登録が発生したことをカゴ呼び装置制御部7へ通知する。
【0041】
(ステップS6)
ステップS5において乗客がカゴ呼びボタンb1により指定した停止要求階床が、カゴ停止予定階表示板5kに示されていたカゴ2kの停止予定階であるかどうかをカゴ呼び装置制御部7が判定する。判定はカゴ呼びカゴ割当状況テーブル12に基づいて行うことができる。該停止要求階床がカゴ2kの停止予定階床であればステップS7に進む。一方、停止予定階以外の階床、つまり点滅している以外の階床へのカゴ呼び登録によるカゴ停止要求がなされた場合、カゴ呼び装置制御部7はカゴ割当状況テーブル12の参照内容と照合し、停止予定階でないと判定してステップS8に進む。
【0042】
(ステップS7)
乗客がカゴ呼びボタンb1により指定した停止要求階床が、カゴ停止予定階表示板5kに示されていたカゴ2kの停止予定階fであるとき、カゴ呼び装置制御部7は、この停止予定階fへのカゴ呼び登録が行われたことを割当計算部9へ通知する。これにより当該階床への停止は確定登録となり、ステップS9に進む。
【0043】
(ステップS8)
ステップS5においてなされたカゴ呼び登録は無効とするカゴ呼び登録禁止階制御が働き、当該カゴ呼び登録通知は割当計算部9には送出されない。言い替えれば、ステップS5においてカゴ2kの停止予定階床以外へのカゴ呼び登録は禁止される。
【0044】
(ステップS9)
割当計算部9は、カゴ割当状況テーブル12を操作して停止予定階fの設定を停止確定階fの設定に更新するとともに、カゴ運行制御部10に対し停止確定階fでカゴを停止させるよう指令を出す。カゴ運行制御部10は、f階に停止するようにカゴ2kの運行スケジュールを更新し、f階でカゴ2kを停止させるよう運行制御を行い、ステップS10に進む。
【0045】
(ステップS10)
カゴ運行制御部10はカゴ2kの運行スケジュールに従って、カゴ停止確定登録された階床fへカゴ2kを移動させる。
【0046】
(ステップS11)
カゴ2kの移動中は、カゴ停止確定登録が行われていない停止予定階を通過していないかを判定する。停止予定階でありながら、乗車した乗客のカゴ呼びによる停止確定登録が行われていない停止予定階床については、それに対応したカゴ呼び装置3kのカゴ呼びボタンb1が点滅しつづける。該カゴ2kが停止予定階fを通過するまでにカゴ停止確定登録が行われなければならない。
【0047】
(ステップS12)
カゴ2kが停止予定階を通過したとき、カゴ割当状況テーブル12におけるカゴ2kの停止予定階fは停止予定解除となり、停止確定登録も行われない。この通過した階床に対応するカゴ呼びボタンb1は点滅から消灯に変わる。
【0048】
(ステップS13)
カゴ2kが停止確定階床fに到着すると、乗客を降車させ、カゴ割当状況テーブル12の内容を、階床fへの停止確定を無停止に更新して終了となる。
【0049】
ここで、カゴ停止予定階割当処理(ステップS1)の処理手順を図6のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0050】
(ステップS1−1)
カゴ2kはカゴ停止予定階表示板設置階で乗客を乗車させ、ドア閉を行い発車する。
【0051】
(ステップS1−2)
割当計算部9はカゴ割当状況テーブル12を参照する。
【0052】
(ステップS1−3)
カゴ情報検出部8は現在時刻の全カゴについての運行情報を参照する。この運行情報は割当計算部9に送出される。
【0053】
(ステップS1−4)
割当計算部9は、参照したカゴ割当状況テーブル12および運行情報の内容に基づき、所定の停止予定階割当演算処理によりカゴ2kの停止予定階床を決定する。該停止予定階床の数は、一階床の場合と複数階床の場合とがある。
【0054】
(ステップS1−5)
決定されたカゴ2kの停止予定階床を、カゴ停止予定階通知部11へ送出するとともに、カゴ停止予定階記憶部13に記憶させる。
【0055】
(ステップS1−6)
カゴ停止予定階通知部11は、カゴ2kのカゴ停止予定階表示板5kにおける停止予定階表示の内容、およびカゴ停止予定階一覧表示板14における停止予定階一覧表示の内容を更新し、カゴ停止予定階割当処理は終了する。
【0056】
カゴ2kがカゴ停止予定階表示板設置階にいない間に発生した乗客は、次にカゴ2kがカゴ停止予定階表示板設置階に到着してから出発後のカゴ2kの停止予定階が示されているカゴ停止予定階表示板5kの表示内容、あるいは、カゴ停止予定階一覧表示板14の表示内容に従い、自分の目的階に停止予定であれば、カゴ2kの到着を待つ。なお、カゴ停止予定階表示板設置階以外で発生した乗客は、階床毎に設けられたホール呼び装置42,43,〜4Lを使用し、ホール呼び登録を行い、エレベータ群管理システムにカゴ2の配車要求を行う。
【0057】
次に、図4のステップS1乃至ステップS13が実行されているときに、ホール呼びが発生した場合のホール呼びサービス処理の手順を図7のフローチャートに沿って説明する。
【0058】
(ステップS113−1)
上述した特定階床以外のi階(ここではi=2〜L)において、乗客がd方向へのホール呼びボタンを押下したとする。
【0059】
(ステップS113−2)
ホール呼び装置制御部6は、i階においてホール呼び装置4iのd方向へのホール呼びボタンが押下されたことを検知し、これを割当計算部9に通知する。
【0060】
(ステップS113−3)
割当計算部9は、当該ホール呼びに対するカゴ割当処理を行い、その結果をカゴ運行制御部10に送出し、カゴ割当状況テーブル12を更新する。ここで、図4で注目したものと同じカゴ2kが割り当てられたとする。なお、当該ステップS113−3の詳細については後述する(図8を参照)。
【0061】
(ステップS113−4)
カゴ運行制御部10は、ステップS113−3において計算されたカゴの割当結果に従ってカゴ2kの運行スケジュールを更新し、i階へカゴ2kを配車する。
【0062】
(ステップS113−5)
カゴ2kがi階に到着すると、停止予定階以外はカゴ呼びを禁止とするカゴ呼び禁止登録階制御を解除する。解除以後は、すべての階についてカゴ呼びが行えるようになる。ここで、降車客がいるか否かを判定する。降車客がいるならばステップS117−7に進み、降車客がいないならばそのまま次のステップS113−6に進む。
【0063】
(ステップS113−6)
i階においてホール呼びをなした乗客の乗車処理を行う。この乗客は目的階へのカゴ呼びを行うことができる。カゴ呼び禁止登録階制御は解除されている。次に、ステップS113−8に進む。
【0064】
(ステップS113−7)
降車処理を行い、上記ステップS113−6の乗車処理に進む。
【0065】
(ステップS113−8)
カゴ2kは、i階を出発し、乗客の目的階へ移動する。
【0066】
(ステップS113−9)
カゴ呼びをなした乗客の目的階にカゴ2kが到着する。この乗客を降車させる。
【0067】
上記ステップS113−5からわかるように、特定階床における仮のホール呼びに基づく運行中(図4のステップS1乃至ステップS13)に、そのカゴが他の階床の乗客からのホール呼びに応じて割り当てられた場合、カゴ呼び禁止登録階制御を解除することから、当該他の階床からの乗客に対しても適切にサービスを提供できる。つまり、特定階床における仮のホール呼びに基づく運行は、他の階床からのホール呼びに応じる通常の運行に支障を来さないよう実施することが可能である。
【0068】
ここで、上記ステップS113−3における割当処理の詳細な手順を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0069】
(ステップS113−31)
i階において、d方向行きのホール呼びが発生したとする。
【0070】
(ステップS113−32)
割当計算部9は、カゴ割当状況テーブル12を参照し、i階に停止することが予定されているか、あるいはi階での停止が確定しているカゴを検索する。カゴ割当状況テーブル12の構成例を図9に示す。カゴ割当状況テーブル12は、各カゴ毎に階床分のバッファを持ち、停止予定階床フラグPおよび停止確定階床フラグDのどちらかがセットされる。停止予定階床フラグおよび停止確定階床フラグによれば、それぞれのカゴがどの階床に停止予定であり、どの階床に停止確定であるかを判定できる。ちなみに図9の例では、カゴ22は、2階が停止確定階であり、3階とL階が停止予定階であることがわかる。
【0071】
このようなカゴ割当状況テーブル12の検索の結果、i階に停止することが予定され、あるいは停止が確定しているカゴが見つかった場合はステップS113−34に進み、見つからなかった場合はステップS113−33に進む。
【0072】
(ステップS113−33)
割当計算部9は、ホール呼び装置制御板6、カゴ呼び装置制御板7、カゴ情報検出部10、カゴ割当状況テーブル12から、ホール呼びおよびカゴ呼びの発生状況、全カゴについての現在位置、進行方向、現在の過重、停止確定階、停止予定階等の情報を取得し、ステップS113−35に進む。
【0073】
(ステップS113−34)
割当計算部9は、i階に停止することが予定されているカゴの、i階での停止を決定(確定)に変更し、ステップS113−37に進む。
【0074】
(ステップS113−35)
割当計算部9は、全カゴのそれぞれについて所定の割当評価演算を実行し、この割当評価演算の結果に基づいて例えばカゴ2k(k号機)に割り当て決定する(配車決定する)。
【0075】
(ステップS113−36)
割当計算部9は、ステップS113−35におけるカゴ割当の結果に基づいてカゴ割当状況テーブル12を更新する。
【0076】
(ステップS113−37)
以上の割当結果をカゴ運行制御部10へ送出し、割当処理を終了する。ここで、割り当てられたカゴ2kが、カゴ停止予定階一覧表示板14の設置階にいるとき、割当結果はカゴ停止予定階通知部11にも送出される。これによりカゴ2kの停止予定階を表示するカゴ停止予定階表示板5kにおいて、ホール呼びのあった階床も停止予定階として加えられることになる。
【0077】
一方、ホール呼びのあった階床がカゴ2kの停止確定階または停止予定階であることがステップS113−33において判断されたならば、ステップS113−35においてカゴ2kを割当決定し、ステップS113−38に進む。
【0078】
(第2実施形態)
第2実施形態は上述した第1実施形態の変形例に係る。図10に示すように、第2実施形態の構成では、ホール呼び装置を設置しないで、全階にカゴ停止予定階表示板、およびカゴ停止予定階一覧表示板を設置するよう構成される。
【0079】
各カゴのカゴ停止予定階表示板5A〜5Nとカゴ停止予定階一覧表示板14との組4i(i=1,2,〜L)をそれぞれの階床に設置する。この場合、どの階床からも乗客によるホール呼びは発生しないことから、図7を参照して説明したホール呼びサービス処理は不要となる。
【0080】
以上説明した第1、第2実施形態によれば、エレベータを利用する乗客は、カゴ停止予定階表示板(あるいはカゴ停止予定階一覧表示板)の表示内容に従ってカゴに乗車を行えばよく、従来のようにホール呼びを行ってエレベータ群管理システム1にカゴのサービス要求を行う必要が無い。したがって、ホール呼び等による操作負担、心理負担を軽減できる。
【0081】
一方、乗客へカゴの配車サービスを行う群管理側にとっては、ホール呼びによるサービス要求に対して、ホール呼びを発生させた乗客の降車階の予測をする必要がなくなる。このため、予測が外れて待ち時間、サービス時間が増加した場合の乗客からのクレームを回避できる。
【0082】
また、本発明の特徴の一つはエレベータ群管理側にカゴ配車の決定権を与えることにあり、これによれば出勤時などある特定の階床に需要が集中しロビー階から他の階床へ向かう乗客が多いとき、これら乗客にサービスするためエレベータ群管理側が主体的かつ効率的にカゴ割当を行うことができる。例えば、それぞれのカゴの停止予定階を乗客に通知することで乗客を誘導できる。したがって、乗客のビル内輸送に加え、さらにはビル内の交通流までをも群管理側が制御できるようになる。
【0083】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず種々変形して実施可能である。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ホール呼びによる乗客の負担を軽減し、かつ降車階予測を必要としないエレベータ群管理システム及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るエレベータ群管理システムの概略構成を示すブロック図
【図2】 第1実施形態に係るエレベータ群管理システムのカゴ停止予定階表示板設置階の外観例を示す図
【図3】 第1実施形態に係るエレベータ群管理システムのカゴ停止予定階一覧表示板の外観例を示す図
【図4】 ロビー階の乗客により仮のホール呼びが発生した際の群管理処理の手順を示すフローチャート
【図5】 カゴ呼び装置の外観例を示す図
【図6】 カゴ停止予定階割当処理の手順を示すフローチャート
【図7】 ホール呼びサービス処理の手順を示すフローチャート
【図8】 ホール呼びに対するカゴ割当処理の手順を示すフローチャート
【図9】 カゴ割当状況テーブルの構成例を示す図
【図10】 本発明の第2実施形態に係るエレベータ群管理システムの概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…エレベータ群管理システム
2A〜2N…カゴ
3A〜3N…カゴ呼び装置
42,43〜4L…ホール呼び装置
5A〜5N…カゴ停止予定階表示板
6…ホール呼び装置制御部
7…カゴ呼び装置制御部
8…カゴ情報検出部
9…割当計算部
10…カゴ運行制御部
11…カゴ停止予定階通知部
12…カゴ割当状況テーブル
13…カゴ停止予定階記憶部
14…カゴ停止予定階一覧通知板
Claims (4)
- 各階床で発生するホール呼びを検出し、複数のカゴについて割当評価演算を行って最良の評価値が得られるカゴを割り当てる群管理アルゴリズムを有するエレベータ群管理システムにおいて、
少なくとも一つの特定階床について仮のホール呼びを発生する手段と、
前記仮のホール呼びに応答するカゴを前記群管理アルゴリズムに基づいて割り当てるとともに、当該カゴについて仮のカゴ呼びを登録する手段と、
前記仮のカゴ呼びについて、前記特定階床を出発した後に停止することを予定する予定停止階床を決定する手段と、
決定された前記予定停止階床を少なくとも前記特定階床において表示する手段と、
前記カゴ内に設けられ、前記予定停止階床を点滅表示する手段と、
前記カゴ内に設けられ、点滅表示中の前記予定停止階床におけるいずれかの階床の停止を確定させるための手段と、
前記停止確定がなされた階床又はホール呼びが発生した前記特定階床以外の階床で停止し、停止が確定されなかった階床については非停止で通過するよう前記カゴを制御するカゴ呼び制御手段と、
を具備することを特徴とするエレベータ群管理システム。 - 前記カゴ呼び制御手段は、前記特定階床以外からのホール呼びがなされない限り、前記カゴが前記特定階床を出発した後の前記予定停止階床以外の階床のカゴ呼びを禁止することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理システム。
- 各階床で発生するホール呼びを検出し、複数のカゴについて割当評価演算を行って最良の評価値が得られるカゴを群管理アルゴリズムにより割り当てるエレベータ群管理方法において、
少なくとも一つの特定階床について仮のホール呼びを発生するステップと、
前記仮ホール呼びに応答するカゴを前記群管理アルゴリズムにより割り当てるとともに、当該カゴについて仮のカゴ呼びを登録するステップと、
前記仮のカゴ呼びについて、前記特定階床を出発した後に停止することを予定する予定停止階床を決定するステップと、
決定された前記予定停止階床を少なくとも前記特定階床において表示するステップと、
前記カゴ内において、前記予定停止階床を点滅表示するステップと、
前記カゴ内において、点滅表示中の前記予定停止階床におけるいずれかの階床の停止を確定させるためのステップと、
前記停止確定がなされた階床又はホール呼びが発生した前記特定階床以外の階床で停止し、停止が確定されなかった階床については非停止で通過するよう前記カゴを制御するカゴ呼び制御ステップと、
を具備することを特徴とするエレベータ群管理方法。 - 前記特定階床以外からのホール呼びがなされない限り、前記カゴが前記特定階床を出発した後の前記予定停止階床以外の階床のカゴ呼びを禁止することを特徴とする請求項3に記載のエレベータ群管理方法。
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