以下、本発明の実施形態について、図1〜図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係るエレベータの制御システムは、図1に示すようなエレベータ1に対して、かご内での行き先階の登録忘れを防ぐべく報知を行う報知システムである。エレベータ1は、建物内を複数の階床(フロア)に跨って上下方向に延びる昇降路2と、昇降路2を昇降するかご3と、を備える。エレベータ1には、図3に示すように、エレベータ1の運転を制御する運転制御装置4が設けられている。かご3は、昇降路2内に配置され、昇降路2内を昇降して建物の各階に設けられる乗場5に停止可能である(図1参照)。乗場5は、後述するかごドア32と連動して開閉する乗場ドア51と、かご3を呼ぶ(かご3に対する乗場呼びを行う)呼びボタン52と、を有する。なお、本実施形態の建物は、8階建てである。
このエレベータ1では、利用者が建物のいずれかの階床の乗場5で乗場呼びボタン52を押す(乗場呼びが入る)ことで、かご3が乗場5に停止(到着)してかごドア32及び乗場ドア51が開き、これにより、利用者等がかご3に乗車可能となる。また、エレベータ1では、かご3に乗り込んだ利用者が行先階を登録する(かご呼びが入る)ことで、かご3は登録された行先階に昇降する。本実施形態のエレベータ1では、「乗場呼びに応じて停止したかご3」や「最終のかご呼びに応じて停止したかご3」において、かごドア32が開閉動作により閉状態(全閉状態)となり、さらに一定時間が経過すると、かご3は呼び戻しされる、即ち、予め設定された基準階に昇降する。本実施形態のエレベータ1では、基準階として、例えば、ロビー階である一階が設定されているため、かご3はいずれの階床に停止している状態であっても、呼び戻しされた場合には、一階へ下降して停止する。
なお、最終かご呼びとは、かご3に乗り込んだ利用者のうち最後に降りる利用者が登録したかご呼びである。例えば、最終かご呼びには、かご3が、かご呼びに応じて登録された行先階に昇降して停止し、この停止した階床で利用者の全員が降りた場合が該当する。
運転制御装置4は、かご3に対して乗場呼びに関する情報、例えば、かご3の昇降方向、かご3の位置を検知し、これらに関する情報をかご3に出力する運転制御部40を機能的に含む(図3参照)。例えば、運転制御部40は、かご3がいずれかの階床に到着する度に、到着した時間に関する到着時間情報、及び、到着した階床に関する到着階床情報をかご3に出力する。さらに、運転制御部40は、かご3が昇降している状態、又は、かご3が停止している状態において、かご3が前回停止したときに、かご3が位置した階床に関する前回階床情報をかご3に出力可能である。
なお、運転制御装置4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えた基盤やマイクロコンピュータ等によって構成されている。
かご3は、図2にも示すように、出入口311を有し且つ該出入口311から利用者が乗降するかご本体31と、かご本体31の出入口311を開閉するかごドア32と、かご本体31内において利用者が操作可能な操作盤33に含まれる検知部36と、かご本体31内において利用者に対して行先階の登録の促すような情報を報知可能な報知部である報知装置34と、かご3の制御を行う制御部であるかご制御装置35と、を有する。
検知部36は、かご3内の利用者による操作を検知する。本実施形態の検知部36は、複数(例えば、八つ)の行先階ボタン331と、かごドア32を戸開させる開ボタン332と、かごドア32を戸閉させる閉ボタン333と、を含む。この検知部36は、利用者による押下操作を検知する。
報知装置34は、音声により行先階の登録の促すような情報やかご3の運転情報等を報知可能なスピーカー340と、文字や画像によりかご3の運転情報等を報知可能なディスプレイ341と、を有する。スピーカー340は、行先階の登録の促すように報知する音声アナウンス(例えば、「行先階ボタンを忘れずに押してください」といった音声アナウンス)や、かご3の到着階やかごドア32の開閉を報知する音声アナウンス等を行う。ディスプレイ341は、かご3の昇降方向やかご3の位置等を文字や画像により報知する。
かご制御装置35は、利用者による行先階の登録忘れを防ぐべく報知を行う報知システム(制御システム)350と、かご3の昇降やかごドア32の開閉を制御するかご制御部354と、現在の時間を保持するタイマー部355と、を機能的に有する(図3参照)。なお、かご制御装置35は、運転制御装置4と同様に、例えば、CPU、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROMやEEPROM等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えた基盤やマイクロコンピュータ等によって構成されている。
本実施形態のかご制御部354は、かご3におけるかごドア32の開閉動作の制御や、かご3の昇降に関する制御を行う。
タイマー部355は、時計のように現在の時間を計測して、現在の時間に関する情報(現在時間情報)を保持する。本実施形態のタイマー部355は、この計測の結果に基づいて、現在時間情報として、現在の日付に関する情報である現在日付情報、現在の週数(例えば、一年間における累積週数)に関する情報である現在週数情報、現在の曜日に関する情報である現在曜日情報、現在の時刻に関する情報である現在時刻情報、及び、現在の時間帯(例えば、一日の24時間を12分割した時間帯)に関する情報である現在時間帯情報を保持する。
具体的に、現在日付情報では、4桁の日付が日付を示す。現在週数情報では、2桁の数値が現在の週数を示し、例えば、「01」が「1月1日を含む月曜日から日曜日までの7日間である第1週」を示し、「02」が「1月8日を含む月曜日から日曜日までの7日間である第2週」を示し、同様にして、「53」が12月31日を含むその年の最終週である第53週」を示す。現在曜日情報では、1桁の数値が現在の曜日を示し、例えば、「0」が月曜日を示し、同様にして、「6」が日曜日を示す。現在時刻情報では、4桁の数値が現在の24時間表示の時刻を示す。現在時間帯情報では、2桁の数値が現在の時間帯を示し、例えば、「00」が0時〜2時、「01」が2時〜4時、同様にして、「11」が22時〜24時を示す。
報知システム350は、行先階の登録忘れの有無を判断する第一判断部351と、登録忘れが予測されるときに行先階の登録を促す報知を行わせるよう報知装置34に信号を出力する第二判断部352と、各種情報を記憶する記憶部353と、を機能的に含む。本実施形態の報知システム350は、現在時間情報(例えば、現在週数情報)及び停止階床情報(現在かご3が停止している階に関する情報)と、過去の行先階の登録忘れの有無に関する情報(例えば、4週間分の登録忘れの実績)とに基づいて、行先階の登録忘れの有無を予測する。
第一判断部351は、かご3に乗り込んだ利用者による行先階の登録忘れの有無を判断し、この判断結果を記憶部353に記憶させる。本実施形態の第一判断部351は、昇降後にかご3が停止してかごドア32の開閉動作が行われる度に、このような行先階登録忘れの判断を行い、この結果に関する登録忘れ情報と、登録忘れが生じた時間に関する発生時間情報や、登録忘れが生じた階床に関する発生階床情報と、を関連付けて記憶部353に記憶させる。
なお、本実施形態の第一判断部351は、タイマー部355から現在時間情報として現在週数情報を取得する。また、第一判断部351は、かごドア32の開閉動作からかご3が昇降するまでに行先階登録忘れの有無を判断するとき、運転制御部40から到着階床情報を取得する。一方、第一判断部351は、かごドア32の開閉動作後にさらにかご3が昇降を開始した後に行先階登録忘れの有無を判断するとき、運転制御部40から前回階床情報を取得する。
第一判断部351は、種々の判断方法により、行先階の登録忘れが有るか否かの判断を行う。本実施形態の第一判断部351は、第一の判断として、昇降後に停止したかご3において、かごドア32の開閉動作後に、さらに、呼び戻しに応じてかご3が昇降を開始した後に、検知部36が、かご3内の利用者による操作を検知したとき、行先階の登録忘れが有ったと判断する。具体的に、第一判断部351は、このようにかご3が呼び戻しに応じて昇降を開始した後に、例えば、検知部36が、行先階ボタン331の操作、又は、開ボタン332や閉ボタン333の操作を検知したとき、行先階の登録忘れが有ったと判断する。
さらに、本実施形態の第一判断部351は、第二の判断として、昇降後に停止したかご3において、かごドア32の開閉動作後であって、さらに、乗場呼びに応じてかご3が昇降を開始した後に、乗場呼びのあった階床に到着してかごドア32が開動作する前に、検知部36が、かご3内の利用者による操作を検知したとき、行先階の登録忘れが有ったと判断する。具体的に、第一判断部351は、このように乗場呼びに応じてかご3が昇降を開始した後に、行先階ボタン331の操作、又は、開ボタン332や閉ボタン333の操作を検知したとき、行先階の登録忘れが有ったと判断する。
第一判断部351は、行先階の登録忘れが有ったと判断する度に、発生時間情報及び発生階床情報の少なくとも一方を取得する。例えば、本実施形態の第一判断部351は、行先階の登録忘れが有ったと判断する度に、発生階床情報としてタイマー部355から現在時間情報を取得し、発生階床情報として運転制御部40から到着階床情報や前回階床情報を取得する。
さらに、第一判断部351は、取得した発生時間情報や発生階床情報に基づいて、記憶部353から発生時間情報や発生階床情報と関連付けた登録忘れ情報(例えば、一定時間毎の登録忘れ回数F)を取得し、登録忘れ情報に判断結果を登録忘れの有無の判断結果を反映させて、新たな登録忘れ情報として記憶部353に記憶させる。例えば、本実施形態の第一判断部351は、登録忘れ情報として、発生時間情報及び発生階床情報の両方と関連付けた後述する「登録忘れ回数F[発生時間,発生階床]」を取得し、「登録忘れ回数F[発生時間,発生階床]」に1を加算した回数を、新たな「登録忘れ回数F[発生時間,発生階床]」として記憶部353に記憶させる、即ち、1を加算した回数を記憶部353の「登録忘れ回数F[発生時間,発生階床]」に上書きする。
記憶部353は、第一判断部351による登録忘れの有無の判断結果に関する登録忘れ情報と、登録忘れが生じた時間に関する発生時間情報、及び、登録忘れが生じた階床に関する発生階床情報の少なくとも一方と、を関連付けて記憶する。本実施形態の記憶部353は、登録忘れ情報と、発生時間情報及び発生階床情報の両方と、を関連付けて記憶する。
例えば、登録忘れ情報は、発生時間情報及び発生階床情報の少なくとも一方と関連付けられるとともに、一定期間毎の登録忘れの回数(頻度)を示す登録忘れ回数Fである。例えば、この登録忘れ回数Fは、発生時間情報及び発生階床情報の両方と関連付けられた一定期間毎の登録忘れ回数を示す登録忘れ回数F[発生時間,発生階床]としてもよい。登録忘れ回数F[発生時間,発生階床]は、例えば、一週間毎の登録忘れ回数を示す。なお、記憶部353において、登録忘れの有無を示す登録忘れ情報(例えば、「1」が登録忘れ有り、「0」が登録忘れ無し)と、発生時間情報や発生階床情報とが、テーブルのように関連付けて記憶されてもよい。
発生時間情報は、登録忘れが生じた日付に関する発生日付情報、登録忘れが生じた週数に関する発生週数情報、登録忘れが生じた曜日に関する発生曜日情報、登録忘れが生じた時刻に関する発生時刻情報、及び、登録忘れが生じた時間帯に関する発生時間帯情報の少なくとも一つを有する。また、発生時間情報は、タイマー部355から取得される現在時間情報と同じ形式の情報である。なお、発生時間情報は、登録忘れが生じた日付を月で示す発生月情報、登録忘れが生じた日付を季節で示す発生季節情報等であってもよい。
なお、本実施形態の記憶部353は、かご3がいずれかの階床に到着する度にタイマー部355から取得される到着時間情報と運転制御部40から出力される到着階床情報とを関連付けて記憶する。到着階床情報では、1桁の数値が各階床を示し、例えば、「1」が一階、「2」が二階、「8」が八階を示す。到着時間情報は、タイマー部355から取得される現在時間情報と同じ形式の情報であり、かご3の到着した日付に関する到着日付情報、かご3の到着した曜日に関する到着曜日情報、及び、かご3の到着した時刻に関する到着時刻情報等である。
なお、記憶部353は、前年の最終週数(前年の12月31日を含む週数)に関する前年最終週数情報も記憶している。
以上の記憶部353で記憶される登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]によれば、登録忘れ回数F[01,02]が「1」である場合、第1週において2階で生じた登録忘れ回数が1回であることが示される。また、登録忘れ回数F[02,05]が「0」である場合、第2週において5階で生じた登録忘れ回数が0回であることが示される。
第二判断部352は、例えば、かごドア32が戸開される度に、第一判断部351の判断に基づく過去の行先階登録忘れの回数を記憶部353から参照し、行先階の登録忘れが予測されるときに、行先階の登録を促す報知を行うよう報知装置34に信号を出力する。本実施形態の第二判断部352によれば、かごドア32の戸開動作の完了後、かごドア32の戸閉動作の開始までにスピーカー340から行先階の登録を促す報知が行われる。
第二判断部352は、現在時間情報及び停止階床情報の一方に関する情報を取得可能である。本実施形態の第二判断部352は、タイマー部355から現在時間情報として現在週数情報を取得するとともに、運転制御部40から停止階床情報として到着階床情報を取得する。
第二判断部352は、現在時間情報及び停止階床情報の少なくとも一方と対応し、且つ、記憶部353に記憶された発生時間情報及び発生階床情報の少なくとも一方と関連する登録忘れ情報に基づいて、行先階の登録忘れの回数が所定回数より多いか否かを判断する。また、第二判断部352は、発生時間情報及び発生階床情報の少なくとも一方と関連する登録忘れ情報に基づいて行先階の登録忘れの回数が所定回数より多いとき、行先階の登録を促す報知を行わせるよう報知装置34に信号を出力する。
一実施形態の第二判断部352は、現在時間情報(例えば、現在週数情報)及び停止階床情報の両方と対応する発生時間情報(例えば、発生週数情報)及び発生階床情報を選択し、選択された発生時間情報(例えば、発生週数情報)及び発生階床情報の両方と関連する登録忘れ情報に基づいて登録忘れの回数が所定回数より多いか否かを判断する。また、本実施形態の第二判断部352は、前記登録忘れの回数が所定回数より多いとき、行先階の登録を促す報知を行わせるよう報知装置34に信号を出力する。
この第二判断部352は、例えば、発生週数情報及び発生階床情報の両方と対応する登録忘れ情報、例えば、「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」が0より大きいか否かを判断し得る。即ち、第二判断部352は、現在の時間(例えば、現在の週数)及び現在かご3が停止している階床と対応する過去の登録忘れ回数が、例えば、一回でも有るか否かを判断し得る。また、本実施形態の報知システム350では、第二判断部352は、現在から過去4週間分の「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」について、登録忘れが一回でもあるか否かを判断し得る。
以上のかご制御装置35による行先階登録を促す報知に関する一連の処理について、以下において具体的に説明する。
まず、行先階の登録忘れの有無を判断する処理について、図4を用いて説明する。かご3が乗場5に到着すると、かごドア32の戸開が開始し、開状態(全開状態)となる。即ち、かごドア32の戸開が完了する(ステップS1)。さらに、かご3に乗り込んだ利用者により閉ボタン333が押されたり、かごドア32が開状態になってから一定時間(例えば、5〜10秒)が経過したりすると、かごドア32の戸閉が開始し、かごドア32が閉状態(全閉状態)となる。即ち、戸閉が完了する(ステップS2)。
かごドア32の戸閉が完了した後に、第一判断部351は、行先階の登録忘れの有無を判断し、行先階登録忘れが発生した場合には(ステップS3:Yes)、発生時間情報(例えば、発生週数情報)として、タイマー部355から現在時間情報(例えば、発生週数情報)を取得するとともに(ステップS4)、発生階床情報として、運転制御部40から到着階床情報や前回階床情報を取得する(ステップS5)。
次に、第一判断部351は、記憶部353から「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」を取得し、取得した「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」に1を加算し、加算後の「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」を記憶部353に記憶させて(ステップS6)、処理を終了する。なお、行先階の登録忘れが発生しない場合には(ステップS3:No)、第一判断部351は、ステップS4〜ステップS6の処理を行わず終了する。
さらに、過去の登録忘れの回数が所定回数を上回るか否かを判断し、必要に応じて報知装置34に対する信号を出力する処理について、図5を用いて説明する。まず、かご3が乗場5に到着すると、かごドア32の戸開が開始して戸開が完了する(ステップS11)。かごドア32の戸開が完了した後に、第二判断部352は、タイマー部355から現在時間情報、例えば、現在週数情報を取得する(ステップS12)。このとき、第二判断部352は、停止階床情報として、運転制御部40から到着階床情報を取得する。また、第二判断部352は、「週数変数CNT」に現在週数情報をセットし、「行先階登録忘れ回数の変数SUU(以下、登録忘れ回数変数SUUとする)」に0をセットし、「ループ変数I」に0をセットする(ステップS13)。
「ループ変数I」が4以上でない場合には(ステップS3:No)、第二判断部352は、「登録忘れ回数変数SUU」に「登録忘れ回数F[週数変数CNT,停止階床]」を加算し(ステップS15)、「ループ変数I」に1を加算し(ステップS16)、「週数変数CNT」から1を減算する(ステップS17)。減算した「週数変数CNT」が0以下でない場合には(ステップS18:No)、第二判断部352は、「ループ変数I」が4以上となるまで(ステップS14:Yesとなるまで)、ステップS15〜ステップS18を繰り返して、現在から過去4週間分の「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」を合算した「登録忘れ回数変数SUU」を得る。
なお、「週数変数CNT」が0以下である場合には(ステップS18:Yes)、記憶部353から前年最終週数情報を取得し、「週数変数CNT」に前年最終週数情報をセットして(ステップS19)、ステップS14の判断に戻る。これにより、現在から過去4週間が年末年始に跨る場合であっても、現在から過去4週間分の「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」を合算した「登録忘れ回数変数SUU」を得ることができる。
「ループ変数I」が4以上である場合には(ステップS14:Yes)、第二判断部352は、現在から過去4週間分の「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床]」を合算した「登録忘れ回数変数SUU」が0を上回っていれば(ステップS20:Yes)、行先階の登録の促す報知をするよう報知装置34に信号を出力し、スピーカー340に音声アナウンス(例えば、「行先階ボタンを忘れずに押してください」といった音声アナウンス)を行わせて(ステップS21)、かご32の戸閉が完了すると処理は終了する。一方、「登録忘れ回数変数SUU」が0を上回っていなければ(ステップS20:No)、第二判断部352は、ステップS21の音声アナウンスを行わせずに、処理を終了する。
本実施形態のエレベータの報知システム350では、過去の登録忘れ情報が、発生時間情報や発生階床情報とともに記憶部353に記憶されているため、記憶された情報に基づいて、行先階の登録忘れの発生が予測される場合に、利用者に対して行先階の登録を報知部の報知(例えば、スピーカー340の音声アナウンス)により事前に促すことができ、行先階の登録忘れを効果的に防ぐことができる。また、報知システム350では、行先階の登録忘れが生じることを未然に防ぐため、行先階呼びの登録が遅れることによるエレベータ1の運転効率の低下を防ぐことができる。しかも、報知システム350では、行先階の登録忘れの発生が予測されない場合、即ち、利用者による登録忘れが所定期間発生しなかったとき、無駄な報知がなされないため、利用者が報知に慣れてしまうことを防ぐことができる。
また、本実施形態のエレベータの報知システム350では、呼び戻しに応じてかご3が昇降し始めた後のかご3内における利用者による操作、即ち、かご3が希望した階床と異なる階床に向かっていることに利用者が気づいた場合の操作や、呼び戻しによって基準階に停止した際に、かご3内に閉じ込められたと誤解した利用者の操作に基づいて、行先階の登録忘れの有無の判断を確実に行い、その状況を登録忘れ情報として記憶部353に記憶させることができる。さらに、本実施形態のエレベータの報知システム350では、かご3が乗場呼びに応じて昇降し始めた後のかご3内における利用者による操作、即ち、希望した階床と異なる階床に向かっていると利用者が気づいた場合の操作に基づいて、行先階の登録忘れの有無の判断を確実に行うことができる。このようなエレベータの報知システム350では、別途、行先階の登録忘れを検知するための装置等を設けなくても、既存の検知部36(行先階ボタン331、開ボタン332、閉ボタン333等)によって登録忘れを検知することができる。
本実施形態のエレベータの報知システム350では、行先階の登録忘れの発生が予測される時間(例えば、登録忘れの発生が予測される時期(週数))、及び、登録忘れの発生が予測される階床において、利用者に行先階の登録を促すことができるため、この報知がより効果的となる。しかも、報知システム350では、行先階の登録忘れの発生回数についての過去4週間分のデータに基づいて、登録忘れの発生を予測するため、登録忘れの発生の予測の確実性を向上できる。
なお、上記実施形態のエレベータの報知システム350では、登録忘れ情報と関連付けて記憶される発生時間情報は、登録忘れが生じた週数に関する発生週数情報であったが、発生日付情報、発生週数情報、発生曜日情報、及び、発生時刻情報のうち一つ、又は、二つ以上であってもよい。以下、登録忘れ情報と関連付けて記憶される発生時間情報が、発生週数情報、発生曜日情報、及び、発生時刻情報である場合における、行先階登録を促す報知に関する一連の処理について具体的に説明する。
行先階の登録忘れの有無を判断する処理は、図6のように例示される。かごドア32の開閉動作の後(ステップS31及びステップS32)、第一判断部351は、行先階登録忘れの有無を判断し、行先階登録忘れが発生した場合には(ステップS33:Yes)、タイマー部355から発生時間(現在の時間)として、例えば、「発生週数情報」、「発生曜日情報」、及び、「発生時間帯情報」を取得するとともに(ステップS34)、運転制御部40から「発生階床情報」、を取得する(ステップS35)。次に、第一判断部351は、記憶部353から「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床,発生曜日,発生時間帯]」を取得し、「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床,発生曜日,発生時間帯]」に1を加算し、加算後の「登録忘れ回数F[発生週数,発生階床,発生曜日,発生時間帯]」を記憶部353に記憶させて(ステップS36)、処理を終了する。なお、行先階登録忘れが発生しない場合には(ステップS33:No)、第一判断部351は、ステップS34〜ステップS36の処理を行わず終了する。
過去の登録忘れ回数が所定回数を上回るか否かを判断し、必要に応じて報知装置34に対する信号の出力する処理は、図7のように例示される。かごドア32の戸開が完了した後に(ステップS41)、第二判断部352は、タイマー部355から「現在時間情報」、例えば、「現在週数情報」、「現在曜日情報」、「現在時間帯情報」を取得し(ステップS42)、運転制御部40から停止階床情報として「到着階床情報」を取得する。さらに、第二判断部352は、「週数変数CNT」に「現在週数情報」をセットし、「行先階登録忘れ回数の変数SUU(以下、登録忘れ回数変数SUUとする)」に「0」をセットし、「ループ変数I」に「0」をセットする(ステップS43)。
「ループ変数I」が4以上でない場合には(ステップS44:No)、第二判断部352は、「登録忘れ回数変数SUU」に「登録忘れ回数F[週数変数CNT,発生階床,発生曜日,発生時間帯]」を加算し(ステップS45)、「ループ変数I」に1を加算し(ステップS46)、「週数変数CNT」から1を減算する(ステップS47)。減算した「週数変数CNT」が0以下でない場合には(ステップS48:No)、第二判断部352は、「ループ変数I」が4以上となるまで(ステップS44:Yesとなるまで)、ステップS45〜ステップS48を繰り返して、現在から過去4週間分の「登録忘れ回数F[週数変数CNT,発生階床,発生曜日,発生時間帯]」を合算した「登録忘れ回数変数SUU」を得る。なお、「週数変数CNT」が0以下である場合には(ステップS48:Yes)、記憶部353から前年の最終週数を取得し、「週数変数CNT」に前年の最終週数をセットして(ステップS49)、ステップS44の判断に戻る。ステップS50〜ステップS52の処理については、図5におけるステップS20〜ステップS22の処理と同一である。
尚、本発明のエレベータの制御システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
例えば、上記実施形態のエレベータの報知システム350では、第一判断部351は、検知部36によるかご3内の操作に基づいて、行先階の登録忘れの有無を判断していたが、かご3の昇降方向やかご3の位置等により登録忘れの有無を判断してもよい。例えば、第一判断部351は、昇降後に停止したかご3におけるかごドア32の開閉動作後に、「かご3が呼び戻しに応じて基準階へ向かって昇降を開始した後に、基準階よりも近い階に停止したとき」、又は、「かご3が乗場呼びに応じて昇降を開始した後に、新たな乗場呼びが無いにもかかわらず乗場呼びがなされた階床よりも近い階床に停止したとき」、行先階の登録忘れが有ると判断することが考えられる。
上記実施形態の第一判断部351は、行先階の登録忘れが生じる度に、記憶部353に記憶された登録忘れ回数Fを取得し、登録忘れ回数Fに1を加算し、記憶部353に登録忘れ回数Fを上書きで記憶していたが、例えば、第一判断部351が、情報を記憶可能である場合、一定期間(例えば、一週間)登録忘れの回数をカウントし続け、カウントされた回数を、登録忘れ回数Fとして記憶部353に記憶させてもよい。
また、第一判断部351は、上記以外の方法で、かご3内の利用者による行先階登録に関する挙動に基づいて、行先階の登録忘れの有無を判断してもよい。例えば、かご3が、かご3内の利用者による行先階の登録に関する挙動を撮影可能な撮影部(例えば、既存の監視カメラ)を備え、且つ、撮影部により撮影された映像を分析して行先階の登録に関する挙動が有るか否かを判断する映像分析部を備える場合、第一判断部351は、昇降後に停止したかご3におけるかごドア32の開閉動作後に、撮影部が行先階の登録に関する挙動を撮影したとき、登録忘れが有ると判断することが考えられる。この場合、利用者のかご3内での挙動を撮影部により監視することで、行先階の登録忘れの有無の判断を確実に行うことができる。また、既存の監視カメラによって登録忘れを検知することができる。なお、撮影部は、既存の監視カメラとは異なるCCDカメラ等であってもよい。
さらに、かご3が、かご3内が有人であるか否かを判断可能な赤外線センサのような人感センサや荷重センサを備える場合、第一判断部351は、昇降後に停止したかご3におけるかごドア32の開閉動作後に、センサによりかご3内が有人であることが検知され、且つ、行先階の登録がなされないまま一定時間(例えば、5〜10秒)が経過したとき、行先階の登録忘れが有ると判断してもよい。
上記実施形態の検知部36は、行先階ボタン331等のボタンであったが、例えば、かご3内で利用者がカードキーをセンサにかざすことによりかご呼びを登録する場合には、カードキーをかざす操作を検知してもよい。
上記実施形態の報知装置34では、かごドア32の戸開動作の完了後、かごドア32の戸閉動作の開始までに、行先階の登録を促すような報知が行われていたが、かごドア32の戸閉動作の開始時やかごドア32の戸閉完了直後にこのような報知が行われてもよい。
上記実施形態の記憶部353は、登録忘れ情報と、発生時間情報及び発生階床情報の両方とを関連付けて記憶していたが、登録忘れ情報と、発生時間情報及び発生階床情報の一方のみと、を関連付けて記憶してもよい。記憶部353が登録忘れ情報と発生時間情報とを関連付けて記憶している場合、行先階の登録忘れの発生が予測される時間(例えば、登録忘れの発生が予測される日付、週数、曜日、時間帯等)において、利用者に行先階の登録を促すことができるため、この報知が効果的となる。また、記憶部353が登録忘れ情報と発生階床情報とを関連付けて記憶している場合、行先階の登録忘れの発生が予測される階床において、利用者に行先階の登録を促すことができるため、この報知が効果的となる。
また、上記実施形態の記憶部353は、第二判断部352による行先階登録を促す報知を行うか否かの判断基準である登録忘れ情報として、第一判断部351による行先階の登録忘れの有無の判断結果に関する情報を記憶していたが、これに加えて、第一判断部351を用いた判断のみでは登録忘れの有無について把握が困難なケースにおいて、行先階の登録忘れの有無の情報が設定されてもよい。例えば、記憶部353には、制御対象のエレベータを通常使わない利用者が多く利用するイベント時に登録忘れが有るとの情報を設定することが考えられる。
上記実施形態の第二判断部352は、かごドア32の開閉動作が行われる度に、第一判断部351の判断結果に基づいた行先階の登録忘れの回数が所定回数を上回っているか判断し、行先階登録忘れの回数が所定回数を上回っているときには報知装置34に報知を行わせるよう信号を出力していた。しかしながら、第二判断部352が、今週の第一判断部351の判断結果を含まない先週までの4週間分の行先階の登録忘れの回数が所定回数を上回っているか判断し、これに応じて報知装置34に報知を行わせる場合には、過去の行先階の登録忘れの回数が所定回数を上回っているか否かの判断は、週数が切り替わる際に一回のみ行い、その後一週間は行わなくてもよい。即ち、第二判断部352は、第一判断部351の過去の判断結果に基づき登録忘れの回数が所定回数を上回っているかを判断し、その判断から一週間は、その判断結果(週数の切り替え直後に行った登録忘れの回数が所定回数を上回っているかの判断結果)に基づいて、報知装置34に報知を行わせるよう信号を出力するか否かを判断してもよい。
上記実施形態の第二判断部352は、現在から過去4週間分の行先階の登録忘れ情報に基づいて登録忘れが一回でもあるか(ステップS20において「登録忘れ回数変数SUU>0」であるか)否かを判断していたが、現在から過去1週間分、又は、3週間以上の複数週分の行先階の登録忘れ情報に基づいて、登録忘れが一回でもあるか否かを判断してもよい。また、第二判断部352は、対象の登録忘れ情報について、登録忘れの回数が二回以上あるか否か(例えば、登録忘れの回数が5回以上有るか否か)を判断してもよい。なお、第二判断部352は、現在時間や現在階床に応じて、行先階の登録忘れの回数の判断基準となる閾値を変化させてもよい。
上記実施形態のスピーカー340は、行先階の登録を促す報知として、「行先階ボタンを忘れずに押してください」といった音声アナウンスを行っていたが、この音声アナウンスの代わりに、行先階ボタン331が押されなかった場合に一般的に用いられる「行先階ボタンを押してください」といった音声アナウンスを行ってもよい。なお、スピーカー340は、行先階の登録を促すアナウンス(「行先階ボタンを忘れずに押してください」()を行った後、実際に行先階ボタン331が押されなかった場合に通常のアナウンス「行先階ボタンを押してください」といった音声アナウンスを行ってもよい。
上記実施形態の報知装置(報知部)34では、スピーカー340が行先階の登録を促す報知を行っていたが、スピーカー340及びディスプレイ341の両方、又は、ディスプレイ341のみ、又は、かご3内に設けられるランプ等が行先階の登録を促す報知を行ってもよい。ディスプレイ341は、行先階の登録を促す報知として、例えば、「行先階ボタンを忘れずに押してください」といった文字情報を表示する。ランプは、例えば、ディスプレイ341に近接して設けられ、点滅することで行先階の登録を促す報知を行う。
上記実施形態の報知システム350は、一つのエレベータ1を制御していたが、かご3をそれぞれ備えた複数のエレベータ1を制御してもよい。報知システム350が、複数のエレベータ1を制御する場合、第一判断部351は、行先階の登録忘れの有無をかご3毎に判断することが考えられる。また、この場合、記憶部353は、第一判断部351によるかご3毎の登録忘れ情報を一括して記憶することが考えられる。この場合、一つの報知システム350により、複数号機のエレベータ1に対して、かご3毎の行先階の登録忘れの発生に関する情報を集約して、例えば、かご3毎の登録忘れの発生の傾向を複数のかごに反映させて予測し、各かご3に乗り込んだ利用者に対して行先階の登録を事前に促すことで、行先階の登録忘れを効果的に防ぐことができる。
上記実施形態の第一判断部351、第二判断部352、及び、記憶部353は、いずれもかご3に設けられていたが、これらのうち少なくとも一つがかご3以外に設けられていてもよい。例えば、第一判断部351、第二判断部352、及び、記憶部353の少なくとも一つが、運転制御装置4に設けられてもよい。
なお、報知システム350が、複数のエレベータ1を制御する場合、運転制御部40は、複数のかご3に対して乗場呼びの割当を行う運転管理(いわゆる群管理)を行ってもよい。なお、群管理による運転管理では、所定の階の乗場において乗場呼びが入ったときに、利用者の輸送効率が高くなるように複数のかご3から前記乗り場呼びに対応するかご3が選択され、この選択されたかご3が該乗場呼びの入った乗場5に向かう。なお、上記実施形態のエレベータ1は1つのかご3を備えていたが、エレベータ1が複数のかご3を備えてもよい。