本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。また、明細書の全文において表される本開示の構成要素は、あくまで例示であり、これらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の構成図である。
エレベーターシステム1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、いずれかの階床が主階である。主階は、例えば建物の玄関階である。建物において、エレベーターシステム1の図示されない昇降路が設けられる。昇降路は、複数の階床にわたる空間である。各々の階床において、エレベーターシステム1の図示されない乗場が設けられる。各々の階床の乗場において、1つ以上の乗場ドアが設けられる。各々の乗場ドアは、昇降路および乗場を区画するドアである。
エレベーターシステム1は、1つ以上のエレベーター2と、1つ以上の制御装置3と、を備える。各々の階床の乗場において、各々の乗場ドアはいずれかのエレベーター2に対応する。各々のエレベーター2は、図示されないかごを備える。かごは、昇降路において走行することで複数の階床の間で乗客を輸送する装置である。ここで、エレベーター2がいずれかの階床に停止している状態は、当該エレベーター2のかごが当該階床に停止している状態である。かごは、かごドアを備える。エレベーター2のかごのかごドアは、当該かごがいずれかの階床に停止しているときに、当該かごに乗客が乗降しうるように当該階床の乗場において当該エレベーター2に対応する乗場ドアを連動させて開閉する装置である。各々の制御装置3は、いずれかのエレベーター2に対応する。この例において、エレベーター2および制御装置3は、1対1に対応する。制御装置3は、対応するエレベーター2の運行を運行計画に基づいて制御する装置である。運行計画は、例えばエレベーター2のかごを停止させる階床の順序などを含む。
エレベーターシステム1は、1つ以上の呼び登録装置4と、1つ以上の人数計測装置5と、を備える。各々の呼び登録装置4は、少なくともいずれかの階床の乗場に設けられる。呼び登録装置4は、例えば主階または他の階床の乗場に設けられる。呼び登録装置4は、全ての階床の乗場に設けられてもよい。各々の呼び登録装置4は、乗客が乗場において行先階を含む呼びを登録する装置である。各々の人数計測装置5は、少なくともいずれかの階床の乗場に設けられる。人数計測装置5は、例えば主階または他の階床の乗場に設けられる。人数計測装置5は、例えば呼び登録装置4が設けられる乗場に設けられる。人数計測装置5は、全ての階床の乗場に設けられてもよい。人数計測装置5が設けられる階床は、設置階である。人数計測装置5は、設置階の乗場に滞在する人数を計測する装置である。
エレベーターシステム1は、群管理装置6を備える。群管理装置6は、各々のエレベーター2の運行計画を生成する装置である。群管理装置6は、呼び記憶部7と、エレベーター状態取得部8と、追加呼び登録部9と、割当決定部10と、を備える。呼び記憶部7は、現在登録されている呼びを記憶する部分である。エレベーター状態取得部8は、各々のエレベーター2の状態を当該エレベーター2に対応する制御装置3から取得する部分である。追加呼び登録部9は、追加の呼びを自動で登録する部分である。ここで、追加の呼びは、呼び登録装置4を操作せずにかごに乗車する乗客に対応する呼びである。割当決定部10は、呼び記憶部7が記憶している呼びに割り当てるエレベーター2を1つ以上のエレベーター2のうちから決定する部分である。ここで、呼び記憶部7が記憶している呼びは、呼び登録装置4から登録された呼び、および追加呼び登録部9が自動で登録した追加の呼びを含む。割当決定部10は、決定した割当てに基づいて各々のエレベーター2の運行計画を更新する。
図2は、実施の形態1に係る呼び登録装置4の例を示す図である。
呼び登録装置4は、複数のボタン11と、ディスプレイ12と、を備える。複数のボタン11は、乗客による行先階を指定する入力を受け付ける部分である。複数のボタン11は、例えばテンキーである。ディスプレイ12は、乗客に入力された行先階を表示する部分である。ディスプレイ12は、例えば入力された行先階を表す数値を表示する。呼び登録装置4は、乗客による行先階の指定の入力によって、行先階を含む呼びの登録を受け付ける。呼び登録装置4が受け付ける呼びの出発階は、当該呼び登録装置4が設けられる階床である。
呼び登録装置4が受け付けた呼びは、群管理装置6の呼び記憶部7に記憶される。割当決定部10において決定された当該呼びに割り当てられるエレベーター2は、ディスプレイ12に表示される。ディスプレイ12に表示される情報は、例えば当該エレベーター2の号機番号などである。
図3は、実施の形態1に係る人数計測装置5の主要部のハードウェア構成の例を示す図である。
人数計測装置5の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ13と少なくとも1つのメモリ14とを備える。処理回路は、プロセッサ13およびメモリ14と共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェアを備えてもよい。
処理回路がプロセッサ13とメモリ14とを備える場合、人数計測装置5の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ14に格納される。プロセッサ13は、メモリ14に記憶されたプログラムを例えば定期的に読み出して実行することにより、人数計測装置5の各機能を実現する。人数計測装置5の各機能は、乗場に滞在する人数の計測を含む。
人数計測装置5は、カメラ15を備える。カメラ15は、人数計測装置5が設けられる乗場を撮影する装置である。乗場に滞在する人数の計測は、例えばカメラ15が撮影した乗場の画像の画像処理によって行われる。画像処理による人数計測において、例えば背景差分法またはフレーム間差分法などが用いられる。
プロセッサ13は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ14は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
処理回路が専用ハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
人数計測装置5の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、人数計測装置5の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。人数計測装置5の各機能について、一部を専用ハードウェアで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで人数計測装置5の各機能を実現する。
図4は、実施の形態1に係る群管理装置6の主要部のハードウェア構成の例を示す図である。
群管理装置6の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ16と少なくとも1つのメモリ17とを備える。処理回路は、プロセッサ16およびメモリ17と共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェアを備えてもよい。
処理回路がプロセッサ16とメモリ17とを備える場合、群管理装置6の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ17に格納される。プロセッサ16は、メモリ17に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、群管理装置6の各機能を実現する。
プロセッサ16は、CPU、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ17は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
処理回路が専用ハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
群管理装置6の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、群管理装置6の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。群管理装置6の各機能について、一部を専用ハードウェアで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで群管理装置6の各機能を実現する。
群管理装置6の呼び記憶部7の機能は、例えばメモリ17などによって実現される。呼び記憶部7は、呼び登録装置4または追加呼び登録部9において呼びが登録される度に呼び情報を作成する。呼び記憶部7は、作成した呼び情報を呼び情報テーブルに記憶する。呼び記憶部7は、割当決定部10が割当てを決定した後に、呼びが割り当てられるエレベーター2を呼び情報テーブルに記憶する。また、呼び記憶部7は、エレベーター状態取得部8が取得した各々のエレベーター2の状態を参照することで、いずれかのエレベーター2がいずれかの階床に停止してかごのかごドアを戸開したことを検知する。このとき、呼び記憶部7は、当該エレベーター2が割り当てられた当該階床を出発階とする呼びの呼び情報を呼び情報テーブルから削除する。
群管理装置6のエレベーター状態取得部8の機能は、例えばメモリ17などによって実現される。エレベーター状態取得部8は、各々のエレベーター2に対応する制御装置3から取得した当該エレベーター2の状態を記憶する。エレベーター2の状態は、例えばエレベーター2の現在位置、エレベーター2の移動状態、エレベーター2の移動方向、およびエレベーター2のドア状態を含む。エレベーター2の現在位置は、当該エレベーター2のかごの現在位置である。かごの現在位置は、例えばかごが現在停止している階床などであってもよい。エレベーター2の移動状態は、当該エレベーター2のかごの移動状態である。かごの移動状態は、例えば停止開始、停止中、走行開始、または走行中などである。ここで、停止開始は、例えば走行していたエレベーター2のかごがいずれかの階床にちょうど停止した状態である。走行開始は、例えば停止していたエレベーター2のかごが停止階からの走行をちょうど開始した状態である。エレベーター2の移動方向は、当該エレベーター2のかごの移動方向である。かごの移動方向は、例えばUP方向、DOWN方向、または無方向などである。エレベーター2のドア状態は、当該エレベーター2のかごのかごドアの状態である。かごドアの状態は、例えば戸開状態または戸閉状態などである。
続いて、図5から図9を用いて、エレベーターシステム1の機能を説明する。
図5から図7は、実施の形態1に係る呼び記憶部7が記憶する呼び情報テーブルの例を示す図である。
図8は、実施の形態1に係る群管理装置6が生成する運行計画の例を示す図である。
図9は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
図5において、呼び登録装置4から登録された2つの呼びの呼び情報を含む呼び情報テーブルの例が示される。呼び情報テーブルの呼び情報は、出発階、行先階、種別、および割り当てられるエレベーター2を含む。呼び情報において、呼びの種別は、例えば「手動」または「自動」などである。種別「手動」の呼びは、呼び登録装置4によって登録された呼びである。種別「自動」の呼びは、追加呼び登録部9によって登録された呼びである。呼びへの割当てが決定している場合に、割り当てられるエレベーター2として記憶される情報は、例えば当該呼びに割り当てられるエレベーター2の号機番号などの情報である。
追加呼び登録部9は、人数計測装置5が計測した人数、呼び記憶部7が記憶している呼びの数、およびエレベーター状態取得部8が取得した各々のエレベーター2の状態を含む情報に基づいて追加の呼びを自動で登録する。追加呼び登録部9は、例えば、人数計測装置5が計測した設置階の乗場に滞在する人数、および呼び記憶部7が記憶する呼びのうち当該人数計測装置5の設置階を出発階とする呼びの数を比較する。追加呼び登録部9は、乗場に滞在する人数が呼びの数より多い場合に、当該設置階を出発階とする追加の呼びを自動で登録する。当該設置階が主階ではない場合に、追加呼び登録部9は、追加の呼びの行先階を例えば主階とする。あるいは、当該設置階が主階である場合に、追加呼び登録部9は、追加の呼びの行先階を例えば主階から最も遠い階床とする。
図6において、追加の呼びの呼び情報を含む呼び情報テーブルの例が示される。この例において、建物の主階は1階である。建物の6階において、人数計測装置5が設けられる。図6は、6階を出発階として1階を行先階とする追加の呼びを含むように図5の呼び情報テーブルから更新された呼び情報テーブルを表す。このとき、追加の呼びに割り当てられるエレベーター2は、まだ決定されていない。
割当決定部10は、呼び記憶部7が呼び情報テーブルを更新するときに、まだエレベーター2が割り当てられていない呼びについて、当該呼びに割り当てるエレベーター2を決定する。その後、割当決定部10は、各々のエレベーター2の運行計画を更新する。ここで、割当決定部10は、エレベーター状態取得部8が取得した各々のエレベーター2の状態などに基づいて、呼びへの割当てを決定する。割当決定部10は、例えば、呼び情報テーブルにおける全ての呼びの待ち時間の合計が最小となるように呼びへの割当てを行う。
図7において、図6における追加の呼びへの割当てが決定した後の呼び情報テーブルの例が示される。この例において、割当決定部10は、追加の呼びにA号機のエレベーター2を割り当てる。呼び情報記憶部は、追加の呼びに割り当てられるエレベーター2の情報を含むように呼び情報テーブルを更新する。
図8において、図7の呼び情報テーブルに基づいて生成される運行計画の例が示される。エレベーター2の運行計画において、当該エレベーター2のかごを次に停止させる階床が順に記憶される。例えばA号機のエレベーター2の運行計画において、かごを次に停止させる階床として7階、6階、および1階が記憶される。
A号機のエレベーター2に対応する制御装置3は、運行計画に従って当該エレベーター2の運行を制御する。エレベーター2の運行の制御は、例えば当該エレベーター2のかごの停止および出発の決定、ならびに当該かごのかごドアの開閉などを含む。対応する制御装置3による制御に基づいて、A号機のエレベーター2のかごは、現在の位置から7階、6階、および1階の順に停止する。
図9において、いずれかの人数計測装置5の設置階を出発階とする追加の呼びの登録に係るエレベーターシステム1の動作の例が示される。エレベーターシステム1において複数の階床に人数計測装置5が設けられている場合に、追加呼び登録部9は、各々の設置階に対して図9に示される追加の呼びの登録の処理を行う。
ステップS100において、追加呼び登録部9は、エレベーター状態取得部8が記憶している各々のエレベーター2の状態を参照することで、人数計測装置5の設置階において戸開状態で停止しているエレベーター2があるかを判定する。判定結果がYesの場合に、追加呼び登録部9は、追加の呼びを自動で登録せずに処理を終了する。判定結果がNoの場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS101に進む。
ステップS101において、追加呼び登録部9は、呼び記憶部7が記憶している呼び情報テーブルを参照することで、人数計測装置5の設置階を出発階とする呼びの数Ncallを取得する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS102に進む。
ステップS102において、追加呼び登録部9は、人数計測装置5が計測した設置階の乗場に滞在する人数Nin、および呼びの数Ncallを比較する。NinがNcall以下の場合に、追加呼び登録部9は、追加の呼びを自動で登録せずに処理を終了する。一方、NinがNcallより大きい場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS103に進む。
ステップS103において、追加呼び登録部9は、追加の呼びの行先階を決定する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS104に進む。
ステップS104において、追加呼び登録部9は、追加の呼びを登録する。ここで、追加呼び登録部9が登録する追加の呼びの数は、Nin-Ncallである。その後、追加呼び登録部9は、処理を終了する。
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、人数計測装置5と、呼び登録装置4と、群管理装置6と、1つ以上の制御装置3と、を備える。人数計測装置5は、複数の階床の少なくともいずれかである設置階の乗場に設けられる。人数計測装置5は、設置階の乗場に滞在する人の人数を計測する。呼び登録装置4は、人数計測装置5の設置階の乗場に設けられる。呼び登録装置4は、行先階を含む呼びを登録する。群管理装置6は、1つ以上のエレベーター2の各々の運行計画を生成する。1つ以上の制御装置3の各々は、対応するエレベーター2の運行を運行計画に従って制御する。群管理装置6は、呼び記憶部7と、エレベーター状態取得部8と、割当決定部10と、追加呼び登録部9と、を備える。呼び記憶部7は、現在登録されている呼びを記憶する。エレベーター状態取得部8は、各々のエレベーター2の状態を各々の制御装置3から取得する。割当決定部10は、呼び記憶部7が記憶する呼びに割り当てるエレベーター2を1つ以上のエレベーター2のうちから決定する。割当決定部10は、各々のエレベーター2の運行計画を更新する。追加呼び登録部9は、人数計測装置5が計測した人数、呼び記憶部7が記憶する呼びの数、および、エレベーター状態取得部8が取得した各々のエレベーター2の状態に基づいて追加の呼びを自動で登録する。
このような構成のエレベーターシステム1において、乗場に滞在する人の計測された人数に基づいて、呼び登録装置4を操作せずにエレベーター2に乗車する乗客の数が予測される。追加呼び登録部9は、予測された乗客の数の追加の呼びを自動で登録する。これにより、呼び登録装置4の操作の有無によらずに乗客の数に対応する数の呼びが登録されるので、エレベーターシステム1において満員積み残しが発生しにくくなる。呼び登録装置4によって行先階を含む呼びが登録されるエレベーターシステム1において、呼びの登録の際に方向のみを指定するエレベーターシステムよりも高い輸送効率が期待できる。一方、例えば乗客に対して呼び登録装置4の操作方法が十分周知されていない場合などに、乗客が行先階を登録することなくエレベーター2に乗車することがある。このような場合においても当該乗客に対応する追加の呼びが登録されるので、エレベーターシステム1において輸送効率が悪化しにくくなる。
また、エレベーター状態取得部8は、エレベーター2の現在位置、エレベーター2の移動状態、およびエレベーター2のドア状態を少なくとも含むエレベーター2の状態を、各々のエレベーター2について取得する。追加呼び登録部9は、設置階において戸開状態で停止しているエレベーター2がない場合に追加の呼びの登録を自動で行う。
このとき、追加の呼びは、設置階において戸開状態で停止しているエレベーター2がない場合に登録される。戸開状態で停止しているエレベーター2がないとき、人数計測装置5がエレベーター2から降車したばかりの乗客を乗場に滞在している人数に含めて計測することが抑制される。これにより、余分な追加の呼びの登録が抑制されるため、エレベーターシステム1において輸送効率が悪化しにくくなる。
また、追加呼び登録部9は、設置階が主階ではない場合に、追加の呼びの出発階を設置階とし、当該追加の呼びの行先階を主階とする。
また、追加呼び登録部9は、設置階が主階である場合に、追加の呼びの出発階を設置階とし、当該追加の呼びの行先階を主階から最も遠い階床とする。
このとき、追加の呼びは、主階および他の階床の間の移動に対応する行先階を含む呼びとして登録される。一般に、エレベーターシステム1において、主階および他の階床の間を移動する乗客は、主階を除く階床の間を移動する乗客より多い。このため、よりもっともらしい行先階を含む呼びが追加の呼びとして登録される。また、一般に、主階を出発階とする乗客は、エレベーター2が主階から最も遠い階床に移動するまでの間のいずれかの階床を行先階とすることが多い。このため、追加の呼びに対応する乗客が乗車している間において当該追加の呼びは呼び情報テーブルに記憶されたままであるので、満員積み残しがより発生しにくくなる。
なお、追加呼び登録部9は、各々の階床について、当該階床を出発階とする呼びにおいて過去に最も多く含まれていた行先階を行先候補階として記憶してもよい。行先候補階は、例えばメモリ17に記憶される。このとき、追加呼び登録部9は、追加の呼びの出発階を設置階とし、当該追加の呼びの行先階を当該設置階について記憶していた行先候補階とする。これにより、エレベーターシステム1の利用実態に合わせてよりもっともらしい行先階が追加の呼びに設定される。このため、エレベーターシステム1の輸送効率が高められる。
また、追加呼び登録部9は、行先候補階を時間帯ごとに記憶してもよい。時間帯は、例えば一日のうちの予め設定された期間である。時間帯は、曜日などの情報を含んでもよい。このとき、追加呼び登録部9は、追加の呼びの出発階を設置階とし、当該追加の呼びの行先階を当該設置階および現在が含まれる時間帯について記憶していた行先候補階とする。これにより、時間帯に応じたエレベーターシステム1の利用実態に合わせてよりもっともらしい行先階が追加の呼びに設定される。このため、エレベーターシステム1の輸送効率が高められる。
また、呼び登録装置4は、例えば乗客の入力を受け付けるタッチパネルを有していてもよい。乗客に入力された行先階および呼びが割り当てられたエレベーター2の表示などは、当該タッチパネルによって行われてもよい。呼び登録装置4は、複数のボタン11またはディスプレイ12に代えてタッチパネルを有していてもよい。あるいは、呼び登録装置4は、複数のボタン11またはディスプレイ12とともにタッチパネルを有していてもよい。呼び登録装置4は、乗客に入力された行先階などを表示する表示ランプを有していてもよい。呼び登録装置4は、乗客に入力された行先階などを音声により通知するスピーカーを有していてもよい。
また、人数計測装置5のカメラ15は、赤外線カメラなどの可視光以外によって撮影を行うものであってもよい。人数計測装置5は、レーダセンサ、赤外線センサ、または光センサなどのセンサを備えてもよい。このとき、人数計測装置5は、当該センサの計測結果に基づいて人数を計測する。人数計測装置5は、当該センサをカメラ15に代えて備えていてもよい。あるいは、人数計測装置5は、当該センサをカメラ15とともに備えていてもよい。
また、制御装置3を含むエレベーターシステム1の各装置の各機能は、例えば群管理装置6と同様に、メモリおよびプロセッサなどを含む処理回路によって実現し得る。制御装置3の機能の一部または全部は、例えば群管理装置6に搭載されていてもよい。
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
実施の形態2において、人数計測装置5の設置階の乗場に滞在する人数Ninに誤差が含まれる場合を想定し、計測された人数Ninを補正した上で追加の呼びを自動で登録するエレベーターシステム1の構成を説明する。
図10は、実施の形態2に係るエレベーターシステム1の構成図である。
エレベーターシステム1は、1つ以上のエレベーター2と、1つ以上の制御装置3と、1つ以上の乗客数計測装置18と、を備える。エレベーターシステム1は、1つ以上の呼び登録装置4と、1つ以上の人数計測装置5と、を備える。
各々の乗客数計測装置18は、いずれかのエレベーター2に対応する。この例において、エレベーター2および乗客数計測装置18は、1対1に対応する。各々の乗客数計測装置18は、対応するエレベーター2に乗車している乗客数を計測する装置である。エレベーター2に乗車している乗客数は、当該エレベーター2のかごの内部に乗車している乗客の数である。
乗客数計測装置18の各機能は、例えば人数計測装置5と同様に、メモリおよびプロセッサなどを含む処理回路によって実現し得る。乗客数計測装置18は、例えばエレベーター2の荷重を計測する荷重センサを備える。荷重センサは、例えば、かごに設けられる既存の秤装置などである。乗客数計測装置18は、荷重センサが計測した荷重を、処理回路のメモリなどに記憶される平均体重で除算することでエレベーター2に乗車している乗客数を計測する。あるいは、乗客数計測装置18は、例えばエレベーター2のかごの内部を撮影するかご内カメラを備えてもよい。かご内カメラは、例えば、かごに設けられる既存の監視カメラなどである。エレベーター2のかごの内部の画像は、エレベーター2内の画像の例である。乗客数計測装置18において処理回路のプロセッサは、メモリに格納されているプログラムなどによって、かご内カメラが撮影したかごの内部の画像の画像処理に基づいてエレベーター2に乗車している乗客数を計測する。あるいは、乗客数計測装置18は、人数計測装置5と同様の検出装置および方法によってエレベーター2に乗車している乗客数を計測してもよい。
エレベーターシステム1は、群管理装置6を備える。群管理装置6は、呼び記憶部7と、エレベーター状態取得部8と、追加呼び登録部9と、割当決定部10と、人数補正部19と、を備える。人数補正部19は、追加の呼びの数の補正に用いられる補正値を追加呼び登録部9に提供する部分である。人数補正部19の機能は、例えばメモリ17によって実現される。人数補正部19は、提供する補正値を含む補正人数テーブルを記憶する。
図11は、実施の形態2に係る人数補正部19が記憶する補正人数テーブルの例を示す図である。
補正人数テーブルの情報は、例えば設置階および呼びの方向ごとの補正人数を含む。この例において、人数計測装置5の設置階は1階から7階の7つの階床である。また、呼びの方向は、例えばUP方向またはDOWN方向である。例えば、6階のDOWN方向の呼びに対する補正人数は、1人である。また、3階のDOWN方向の呼びに対する補正人数は、-1人である。このように、補正人数は負の人数であってもよい。人数補正部19は、例えばエレベーター状態取得部8が取得する各々のエレベーター2の状態の情報などに基づいて、補正人数テーブルの情報を更新する。
図12および図13は、実施の形態2に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
図12において、いずれかの人数計測装置5の設置階を出発階とする追加の呼びの登録に係るエレベーターシステム1の動作の例が示される。エレベーターシステム1において複数の階床に人数計測装置5が設けられている場合に、追加呼び登録部9は、各々の設置階に対して図12に示される追加の呼びの登録の処理を行う。
実施の形態2に係るエレベーターシステム1は、ステップS100からステップS103までにおいて、実施の形態1に係るエレベーターシステム1と同様に動作する。ステップS103において追加の呼びの行先階を決定した後、実施の形態2に係るエレベーターシステム1の動作は、ステップS105に進む。
ステップS105において、追加呼び登録部9は、追加の呼びの出発階および行先階に基づいて、呼びの方向を演算する。例えば行先階が出発階の上方の階床である場合に、追加呼び登録部9は、呼びの方向をUP方向とする。行先階が出発階の下方の階床である場合に、追加呼び登録部9は、呼びの方向をDOWN方向とする。追加呼び登録部9は、人数補正部19が記憶する補正人数テーブルを参照することで、出発階および呼びの方向の組み合わせに対応する補正人数Nmを取得する。例えば追加の呼びの出発階が6階で呼びの方向がDOWN方向である場合に、追加呼び登録部9は、補正人数としてNm=1を取得する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS106に進む。
ステップS106において、追加呼び登録部9は、追加の呼びを登録する。ここで、追加呼び登録部9が登録する追加の呼びの数は、Nin-Ncall+Nmである。その後、追加呼び登録部9は、処理を終了する。ここで、Nin-Ncall+Nm≦0の場合に、追加呼び登録部9は、追加の呼びを登録せずに処理を終了する。
図13において、補正人数テーブルの情報の更新に係るエレベーターシステム1の動作の例が示される。
ステップS200において、人数補正部19は、エレベーター状態取得部8が記憶している各々のエレベーター2の状態を監視することで、移動状態が停止開始になったエレベーター2があるかを判定する。判定結果がNoの場合に、人数補正部19は、補正人数テーブルの情報を更新せずに処理を終了する。判定結果がYesの場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS201に進む。
ステップS201において、人数補正部19は、呼び記憶部7が記憶している呼び情報テーブルを参照する。これにより、人数補正部19は、移動状態が停止開始になったエレベーター2が割り当てられ、かつ、当該エレベーター2の停止階を出発階とする呼びの数Ncall0を取得する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS202に進む。
ステップS202において、人数補正部19は、移動状態が停止開始になったエレベーター2に対応する乗客数計測部から、当該エレベーター2が走行開始となるまでの当該エレベーター2に乗車している乗客数の時系列データを取得する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS203に進む。
ステップS203において、人数補正部19は、ステップS202で取得した時系列データに基づいて、停止階において乗り込む人数Ngetonを算出する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS204に進む。
ステップS204において、人数補正部19は、呼びの数Ncall0、および停止階において乗り込む人数Ngetonを用いて、補正人数NmをNm=Ncall0-Ngetonとして算出する。人数補正部19は、算出したNmによって、エレベーター2の停止階および当該エレベーター2が停止階から出発する移動方向に対応する補正人数Nmを更新する。その後、人数補正部19は、処理を終了する。
続いて、図14を用いて、停止階において乗り込む人数Ngetonの算出方法を説明する。
図14は、実施の形態2に係る乗客数計測装置18が計測する乗客数の時系列データの例を示す図である。
図14において、乗客数の時系列データを表すグラフが示される。グラフの横軸は、時刻を表す。グラフの縦軸は、各時刻において乗客数計測装置18が計測するエレベーター2に乗車している乗客数を表す。この例において、乗客数の時系列データは、停止開始の時刻から走行開始の時刻までについて取得される。
人数補正部19は、走行開始の時刻における乗客数Nrun、および停止開始の時刻から走行開始の時刻までにおける乗客数の最小値Nminに基づいて、乗り込む人数NgetonをNgeton=Nrun-Nminとして算出する。
以上に説明したように、実施の形態2に係るエレベーターシステム1は、1つ以上の乗客数計測装置18を備える。各々の乗客数計測装置18は、対応するエレベーター2に乗車している乗客数を計測する。群管理装置6は、人数補正部19を備える。人数補正部19は、自動で登録する追加の呼びの数の補正に用いられる補正値を追加呼び登録部9に提供する。追加呼び登録部9は、人数計測装置5が計測した人数に対し、呼び記憶部7が記憶する呼びのうち設置階を出発階とする呼びの数を減算し、人数補正部19が提供する補正値を加算した数の追加の呼びを自動で登録する。
このような構成のエレベーターシステム1において、人数計測装置5が計測した人数Ninに誤差が含まれる場合であっても、実際にエレベーター2に乗車した人数に基づいて乗場の人数Ninの補正が行われる。このため、人数Ninの誤差によって十分な数の追加の呼びが登録されない事態が発生しにくくなる。また、人数Ninの誤差によって余分な数の追加の呼びが登録される事態が発生しにくくなる。これにより、エレベーターシステム1の輸送効率の悪化が抑制される。
また、人数補正部19は、いずれかのエレベーター2が設置階に停止してから走行を開始するまでの乗客数の変化を当該エレベーター2に対応する乗客数計測装置18から取得する。人数補正部19は、乗客数の変化に基づいて補正値Nmを演算する。
一般に、エレベーターシステム1において、エレベーター2に乗車する乗客は、到着したエレベーター2に乗車していた乗客が降車した後に乗り込み始める。このため、乗客数の増減によって新たに乗り込んだ乗客の数Ngetonが算出できる。これにより、乗客の乗車方向または降車方向の通過の方向などを判別しない乗客数計測装置18によっても、人数補正部19は、より正確な補正値を算出できる。
また、各々の乗客数計測装置18は、対応するエレベーター2の荷重を測定することで乗客数を計測する。
あるいは、各々の乗客数計測装置18は、対応するエレベーター2内の画像に基づいて乗客数を計測してもよい。
このとき、乗客数計測装置18は、エレベーター2の既存の秤装置または監視カメラなどを利用できる。これにより、乗客数計測装置18は、エレベーター2ごとに新たな計測装置などを導入することなく容易に乗客数を計測できる。
なお、乗客数計測装置18は、停止階においてエレベーター2に乗り込む人数Ngetonを直接計測してもよい。例えば、乗客数計測装置18は、対応するエレベーター2のかごドアの付近の天井に設けられる乗車方向または降車方向の方向別の通過人数を計測するセンサなどを備えていてもよい。あるいは、乗客数計測装置18は、かご内カメラが撮影した画像の画像認識によって通過人数を計測してもよい。この場合に、人数補正部19は、図13におけるステップS202およびステップS203の動作を省略してもよい。
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
実施の形態3において、追加の呼びに割り当てるエレベーター2を当該呼びの出発階における先発エレベーターとするエレベーターシステム1の構成を説明する。
図15は、実施の形態3に係るエレベーターシステム1の構成図である。
エレベーターシステム1は、1つ以上のエレベーター2と、1つ以上の制御装置3と、を備える。エレベーターシステム1は、1つ以上の呼び登録装置4と、1つ以上の人数計測装置5と、1つ以上の報知装置20と、を備える。
各々の報知装置20は、少なくともいずれかの階床の乗場に設けられる。報知装置20は、例えば主階または他の階床の乗場に設けられる。報知装置20は、全ての階床の乗場に設けられてもよい。各々の報知装置20は、いずれかの呼び登録装置4に対応する。この例において、報知装置20および呼び登録装置4は、1対1に対応する。報知装置20は、対応する呼び登録装置4と同じ乗場に配置される。各々の報知装置20は、配置される乗場の乗客に対して報知を行う装置である。報知装置20は、例えばディスプレイ、もしくはスピーカーなどの機器、またはそれらの組み合わせからなる。報知装置20は、例えばディスプレイへの表示、もしくはスピーカーからの音声アナウンス、またはその両方などによって乗客に報知を行う。報知装置20は、対応する呼び登録装置4と一体に形成されていてもよい。報知装置20は、呼び記憶部7が記憶している呼び情報テーブルにおいて、当該報知装置20が設けられる階床を出発階とし、かつ、種別「手動」の呼びに割り当てられるエレベーター2が変更された場合に報知を行う。このとき、報知装置20は、エレベーター2の割当てが変更された呼びの行先階および変更後のエレベーター2の情報を報知する。変更後のエレベーター2の情報は、例えばエレベーター2の号機番号などである。
エレベーターシステム1は、群管理装置6を備える。群管理装置6は、呼び記憶部7と、エレベーター状態取得部8と、追加呼び登録部9と、割当決定部10と、を備える。
続いて、図16から図19を用いて、エレベーターシステム1の機能を説明する。
図16から図18は、実施の形態3に係る呼び記憶部7が記憶する呼び情報テーブルの例を示す図である。
図19は、実施の形態3に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
図16において、呼び情報テーブルの例が示される。この例において、出発階が6階で行先階が1階の種別「自動」の1つの呼びに割り当てられるエレベーター2はまだ決定していない。割当決定部10は、当該呼びに割り当てるエレベーター2を決定する。割当決定部10は、例えば、呼び情報テーブルにおける全ての呼びの待ち時間の合計が最小となるように呼びへの割当てを行う。
図17において、図16におけるエレベーター2が未割当ての呼びへの割当てが決定した後の呼び情報テーブルの例が示される。この例において、割当決定部10は、当該追加の呼びにB号機のエレベーター2を割り当てる。呼び情報記憶部は、当該追加の呼びに割り当てられるエレベーター2の情報を含むように呼び情報テーブルを更新する。
その後、割当決定部10は、エレベーター2の割当てを決定した呼びの種別が「自動」である場合に、当該エレベーター2が当該呼びの出発階の先発エレベーターであるかを判定する。ここで、いずれかの階床の先発エレベーターは、例えば、運行計画において当該階床に停止し、かつ、移動方向が当該呼びの方向と一致するエレベーター2のうち、当該階床への到着時刻が最も早いエレベーター2である。このとき、割当決定部10は、運行計画において当該階床に停止し、かつ、移動方向が当該呼びの方向と一致するエレベーター2の各々について、当該階床への到着時刻を演算する。種別「自動」のエレベーター2を割り当てた呼びが当該呼びの出発階の先発エレベーターでない場合に、割当決定部10は、当該呼びに割り当てるエレベーター2を当該先発エレベーターに変更する。
図18において、図17において呼びへの割当てを先発エレベーターに変更した後の呼び情報テーブルの例が示される。この例において、割当決定部10は、B号機のエレベーター2が割り当てられていた呼びへの割当てを、当該呼びの出発階の先発エレベーターであるA号機のエレベーター2に変更している。
その後、割当決定部10は、満員積み残しが発生しうるかを判定する。満員積み残しは、例えば、乗場でかごの到着を待機していた乗客が、到着したかごが満員であるために乗車できない事態である。例えば、A号機のエレベーター2の定員が5名である場合に、かごが7階から1階まで移動する間に、5階において満員積み残しが発生する。このとき、エレベーターシステム1は、出発階が5階で行先階が1階の種別「手動」の呼びをサービスできない。この場合に、割当決定部10は、種別「手動」の呼びへの割当てを変更する。割当決定部10は、例えば、満員積み残しの発生が予測されたA号機のエレベーター2が割り当てられる種別「手動」の呼びのうち、出発階への到着が最も遅い呼びへの割当てを変更する。この例において、割当決定部10は、出発階が5階で行先階が1階の種別「手動」の呼びへの割当てをB号機のエレベーター2に変更する。このとき、エレベーター2の割当てが変更された呼びの出発階に設けられる報知装置20は、当該呼びに割り当てられたエレベーター2がA号機からB号機に変更されたことを、当該呼びを登録した乗客に対して報知する。
図19において、呼び記憶部7が呼び情報テーブルを更新した場合のエレベーターシステム1の動作の例が示される。
ステップS300において、割当決定部10は、呼び情報テーブルの呼びのうちまだエレベーター2が割り当てられていない呼びについて、割り当てるエレベーター2を決定する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS301に進む。
ステップS301において、割当決定部10は、エレベーター2の割当てを決定した呼びの種別が「自動」であるかを判定する。判定結果がNoの場合に、割当決定部10は、呼びへの割当てを変更せずに処理を終了する。一方、判定結果がYesの場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS302に進む。
ステップS302において、割当決定部10は、種別「自動」の呼びである追加の呼びに割り当てたエレベーター2が、当該呼びの出発階の先発エレベーターであるかを判定する。判定結果がYesの場合に、割当決定部10は、呼びへの割当てを変更せずに処理を終了する。一方、判定結果がNoの場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS303に進む。
ステップS303において、割当決定部10は、ステップS300で決定した追加の呼びへの割当てを先発エレベーターに変更する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS304に進む。
ステップS304において、割当決定部10は、各々のエレベーター2について、いずれかの階床で満員積み残しが発生するかを判定する。判定結果がNoの場合に、割当決定部10は、呼びへの割当てを変更せずに処理を終了する。一方、判定結果がYesの場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS305に進む。
ステップS305において、割当決定部10は、満員積み残しが発生すると判定されたエレベーター2について、当該エレベーター2の割当てを変更する呼びを選択する。割当決定部10は、出発階の先発エレベーターが既に割り当てられている種別「手動」の呼びを選択する。選択できる呼びの候補の数が発生しうる満員積み残しの乗客の数より多い場合に、割当決定部10は、例えば当該候補のうちから先発エレベーターの到着時刻が遅い呼びから優先して選択する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS306に進む。
ステップS306において、割当決定部10は、ステップS305でエレベーター2の割当てを変更する呼びの選択ができたかを判定する。判定結果がNoの場合に、割当決定部10は、呼びへの割当てを変更せずに処理を終了する。割当決定部10が呼びを選択できない事態は、例えば選択できる呼びの候補の数が発生しうる満員積み残しの乗客の数より少ない場合などに発生する。一方、判定結果がYesの場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS307に進む。
ステップS307において、割当決定部10は、選択した呼びへのエレベーター2の割当てを変更する。その後、割当決定部10は、処理を終了する。
以上に説明したように、実施の形態3に係るエレベーターシステム1において、割当決定部10は、追加の呼びの出発階における先発エレベーターを当該追加の呼びに割り当てる。
追加の呼びに対応する乗客は、呼び登録装置4を操作していないので、自身に対応する呼びにいずれのエレベーター2が割り当てられたかを知ることができない。このため、当該乗客は、出発階における先発エレベーターに乗車する可能性が高い。ここで、割当決定部10は追加の呼びに当該追加の呼びの出発階における先発エレベーターを割り当てるので、追加の呼びに対応する乗客も自身に対応する呼びに割り当てられたエレベーター2に乗車するか可能性が高くなる。これにより、乗客の乗車の状況と登録されている呼びとの整合性が高くなるので、満員積み残しの発生をより効果的に抑えることができる。
また、エレベーターシステム1は、報知装置20を備える。報知装置20は、設置階の乗客に対して報知を行う。割当決定部10は、追加の呼びの出発階における先発エレベーターを当該追加の呼びに割り当てた場合に満員積み残しが発生するかを判定する。割当決定部10は、満員積み残しが発生すると判定する場合に、呼び登録装置4によって登録され既にいずれかのエレベーター2が割り当てられている呼びへの割当てを変更する。報知装置20は、割当決定部10による呼びへの割当ての変更の報知を行う。
このとき、追加の呼びへの割当てを先発エレベーターに変更したことによる満員積み残しの発生が予め回避される。ここで、満員積み残しの回避のためにエレベーター2の割当てが変更される呼びは、呼び登録装置4によって登録された呼びである。当該呼びに対応する乗客は自身に対応する呼びにいずれのエレベーター2が割り当てられたかを知っているので、報知装置20によって割当ての変更を通知することができる。これにより、乗客の乗車の状況と登録されている呼びとの整合性が高くなるので、満員積み残しの発生をより効果的に抑えることができる。
なお、追加の呼びに割り当てられるエレベーター2が当該追加の呼びの出発階における先発エレベーターではない場合がある。この場合に、報知装置20は、設置階において呼び登録装置4を操作していない乗客に対して当該追加の呼びに割り当てられたエレベーター2に乗車することの報知を行ってもよい。この場合に、割当決定部10は、図19におけるステップS303からステップS307までの動作を省略して処理を終了してもよい。これにより、呼び登録装置4を操作していない乗客に対して報知装置20が呼び掛けることで、追加の呼びに対応する乗客が先発エレベーターに誤って乗車することが抑えられる。乗客の乗車の状況と登録されている呼びとの整合性が高くなるので、満員積み残しの発生をより効果的に抑えることができる。
実施の形態4.
実施の形態4において、実施の形態1から実施の形態3の各々で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態4で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態3の各々で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
エレベーターシステム1において、人数計測装置5は、例えば設置コストなどの観点から、エレベーターシステム1のサービス対象となる階床のうち一部の階床の乗場に設けられない場合がある。実施の形態4において、人数計測装置5が設けられていない階床においても追加の呼びを登録するエレベーターシステム1の構成を説明する。
図20は、実施の形態4に係るエレベーターシステム1の構成図である。
エレベーターシステム1は、1つ以上のエレベーター2と、1つ以上の制御装置3と、を備える。エレベーターシステム1は、1つ以上の呼び登録装置4と、1つ以上の人数計測装置5と、を備える。人数計測装置5は、エレベーターシステム1のサービス対象となる階床のうち一部の階床の乗場に設けられていない。
エレベーターシステム1は、群管理装置6を備える。群管理装置6は、呼び記憶部7と、エレベーター状態取得部8と、追加呼び登録部9と、割当決定部10と、連動階記憶部21と、を備える。連動階記憶部21は、人数計測装置5の設置階に紐付けて連動階を記憶する部分である。ここで、連動階は、人数計測装置5が乗場に設けられていないいずれかの階床である。連動階記憶部21の機能は、例えばメモリ17によって実現される。連動階記憶部21は、設置階および当該設置階に紐付けられる連動階の組み合わせを含む連動階設定テーブルを記憶する。
続いて、図21から図23を用いて、エレベーターシステム1の機能を説明する。
図21は、実施の形態4に係る連動階記憶部21が記憶する連動階設定テーブルの例を示す図である。
図22は、実施の形態4に係る呼び記憶部7が記憶する呼び情報テーブルの例を示す図である。
図23は、実施の形態4に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
図21において、連動階設定テーブルの例が示される。この例において、人数計測装置5は1階および7階に設けられる。すなわち、この例における人数計測装置5の設置階は、1階および7階である。連動階設定テーブルは、人数計測装置5の設置階の各々に紐付けられた連動階の情報を含む。この例において、1階に紐付けられた連動階はない。7階に紐付けられた連動階は、3階、4階、5階、および6階である。
図22において、呼び情報テーブルの例が示される。この例において、呼び情報テーブルは、7階を出発階として1階を行先階とする種別「手動」の呼び、1階を出発階として5階を行先階とする種別「手動」の呼び、および5階を出発階として1階を行先階とする種別「手動」の呼びの情報を含む。
追加呼び登録部9は、人数計測装置5の設置階を出発階とする追加の呼びを登録するときに、当該設置階に紐付けられた連動階を出発階とする追加の呼びを連動して自動で登録する。追加呼び登録部9は、例えば次のように連動階を出発階とする追加の呼びを登録する。
追加呼び登録部9は、人数計測装置5の設置階である7階を出発階とする追加の呼びを登録した後に、連動階記憶部21の連動階設定テーブルを参照することで当該設置階の連動階を取得する。追加呼び登録部9は、当該設置階に紐付けられた連動階の各々について、連動階を出発階とする呼びの数Ncall*を取得する。ここで、呼びの数Ncall*は、例えば種別「手動」の呼びの数である。あるいは、呼びの数Ncall*は、種別を問わない呼びの数であってもよい。
追加呼び登録部9は、連動階を出発階とする追加の呼びの行先階を、例えば設置階を出発階とする追加の呼びの行先階と同様の方法などによって決定する。追加呼び登録部9は、行先階を決定した後に、連動階を出発階とする追加の呼びを自動で登録する。ここで、追加呼び登録部9が登録する連動階を出発階とする追加の呼びの数は、例えばNcall*×(Nin-Ncall)/Ncallである。すなわち、連動階を出発階とする追加の呼びは、連動階を出発階とする既に登録されている呼びの数に、設置階を出発階とする呼びの数に対する当該設置階を出発階とする追加の呼びの数の割合を乗じた数だけ自動で登録される。ここで算出された値が非整数である場合に、追加呼び登録部9は、例えば当該値の小数部を切り捨てた数の追加の呼びを登録する。
設置階である7階の乗場に滞在する人数がNin=2の場合を例とすると、当該設置階を出発階とする呼びの数はNcall=1なので、追加呼び登録部9は、連動階を出発階とする追加の呼びを次の数だけ登録する。7階の連動階である6階についてNcall*=1であるので、Ncall*×(Nin-Ncall)/Ncall=1×(2-1)/1=1となるから、追加呼び登録部9は、6階を出発階とする追加の呼びを1つ登録する。7階の連動階である5階についてNcall*=0であるので、Ncall*×(Nin-Ncall)/Ncall=0×(2-1)/1=1となるから、追加呼び登録部9は、5階を出発階とする追加の呼びを登録しない。同様に、追加呼び登録部9は、4階および3階を出発階とする追加の呼びを登録しない。
その後、割当決定部10は、設置階を出発階とする追加の呼びおよび連動階を出発階とする追加の呼びを含む呼び情報テーブルのエレベーター2が未割当ての呼びの各々について、割り当てるエレベーター2を決定する。その後、割当決定部10は、各々のエレベーター2の運行計画を更新する。
図23において、いずれかの人数計測装置5の設置階および当該設置階の連動階を出発階とする追加の呼びの登録に係るエレベーターシステム1の動作の例が示される。エレベーターシステム1において複数の階床に人数計測装置5が設けられている場合に、追加呼び登録部9は、各々の設置階に対して図23に示される追加の呼びの登録の処理を行う。
実施の形態4に係るエレベーターシステム1は、ステップS100からステップS104までにおいて、実施の形態1に係るエレベーターシステム1と同様に動作する。ステップS104において人数計測装置5の設置階を出発階とする追加の呼びを登録した後、実施の形態4に係るエレベーターシステム1の動作は、ステップS107に進む。
ステップS107において、追加呼び登録部9は、設置階の連動階の各々について、当該連動階を出発階とする呼びの数Ncall*を取得する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS108に進む。
ステップS108において、追加呼び登録部9は、連動階を出発階とする追加の呼びの行先階を決定する。その後、エレベーターシステム1の動作は、ステップS109に進む。
ステップS109において、追加呼び登録部9は、連動階を出発階とする追加の呼びを登録する。ここで、追加呼び登録部9が登録する追加の呼びの数は、Ncall*×(Nin-Ncall)/Ncallである。その後、追加呼び登録部9は、処理を終了する。
以上に説明したように、実施の形態4に係るエレベーターシステム1において、群管理装置6は、連動階記憶部21を備える。連動階記憶部21は、複数の階床のうちの人数計測装置5が設けられていない非設置階の少なくともいずれかを設置階に紐付けて連動階として記憶する。追加呼び登録部9は、設置階を出発階とする追加の呼び、および当該設置階に紐付けて連動階記憶部21が記憶している連動階を出発階とする追加の呼びを自動で登録する。
このような構成のエレベーターシステム1において、人数計測装置5の設置階に連動して連動階を出発階とする追加の呼びが登録されるので、人数計測装置5などの装置の設置コストを抑えて、満員積み残しの発生が抑制される。