本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の構成図である。
エレベーターシステム1は、建物に適用される。建物は、複数の階床を有する。この例において、建物は、複数のエリアに区画される。この例において、各々のエリアは、いずれかの階床に含まれる。建物において、少なくとも一部のエリアが当該建物に入居するテナントに割り当てられる。テナントは、例えば、一日単位または時間単位などの短期間で建物に入居する店舗またはオフィスなどである。あるいは、テナントは、例えば、一日単位または時間単位などの短期間、利用者に当該テナントが割り当てられたエリアの一部を当該利用者の作業などに利用させる事業者などであってもよい。あるいは、テナントは、例えば、勤務する従業員の座席を固定しないフリーアドレス制を採用したオフィスなどであってもよい。テナントは、例えば、コワーキングスペース、レンタルオフィス、シェアオフィス、または有料自習室などである。単一のテナントに、複数のエリアが割り当てられていてもよい。このとき、複数のエリアの一部または全部は、互いに異なる階床に含まれていてもよい。この例において、建物の1つの階床に1つのエリアが含まれる。
建物において、図示されない昇降路が設けられる。昇降路は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。建物の各々の階床において、図示されない乗場が設けられる。乗場は、昇降路に隣接する場所である。
この例において、エレベーターシステム1の利用者は、携帯端末2を所持している。携帯端末2は、無線通信の機能を搭載する可搬な情報端末である。携帯端末2は、例えばスマートフォンなどである。携帯端末2は、無線通信により受信する情報を利用者に提示する機能を搭載する。携帯端末2は、例えば画面表示によって利用者に情報を提示する。あるいは、携帯端末2は、例えば音声によって利用者に情報を提示してもよい。携帯端末2に搭載される無線通信の機能は、例えば近距離無線通信などによって他の機器と直接通信するものであってもよいし、インターネットなどの広域な通信網を介して他の機器と通信するものであってもよい。
エレベーターシステム1は、1つ以上のエレベーター3と、1つ以上の呼び登録装置4と、群管理装置5と、を備える。この例において、エレベーターシステム1は、複数のエレベーター3と、複数の呼び登録装置4と、を備える。
各々のエレベーター3は、巻上機6と、かご7と、制御盤8と、を備える。巻上機6は、駆動力を発生させる装置である。かご7は、巻上機6が発生させる駆動力によって昇降路を走行することで、複数の階床の間で利用者などを輸送する装置である。利用者は、かご7がいずれかの階床に停止しているときに、当該階床の乗場からかご7の内部に乗降する。かご7は、かごドア9を備える。かごドア9は、かご7がいずれかの階床に停止するときに、当該階床の乗場から利用者がかご7の内部に乗降しうるように開閉する機器である。かご7は、秤10を備える。秤10は、かご7の積載重量を計測する機器である。かご7において、最大積載重量が設定されている。制御盤8は、かご7の走行などの動作を制御する部分である。制御盤8によるかご7の動作の制御は、かご7の発進、加速、減速、および停止、ならびにかごドア9の開閉などを含む。制御盤8は、秤10によるかご7の積載重量の計測値を取得する。
呼び登録装置4は、利用者による呼びの登録の操作を受け付ける装置である。呼び登録装置4は、例えば、乗場呼びの操作を受け付ける。このとき、呼び登録装置4は、各々の階床の乗場に配置される。ある階床における乗場呼びの操作は、例えば、当該階床からいずれかのエレベーター3のかご7に乗車する利用者によって行われる。また、呼び登録装置4は、例えば、かご呼びの操作を受け付ける。このとき、呼び登録装置4は、各々のエレベーター3のかご7の内部に配置される。あるかご7におけるかご呼びの操作は、例えば、当該かご7に乗車した利用者によって、当該利用者の行先階を指定しうるように行われる。
群管理装置5は、エレベーターシステム1におけるエレベーター3の運行を管理する装置である。群管理装置5は、建物に配置される。群管理装置5は、制御部11と、記憶部12と、推定部13と、集計部14と、予測部15と、提示部16と、を備える。
制御部11は、各々のエレベーター3の状態の取得および制御を行う機能を搭載する部分である。制御部11が取得するエレベーター3の状態の情報は、当該エレベーター3に関する呼びの情報、当該エレベーター3のかご7の状態の情報などを含む。かご7の状態の情報は、当該かご7の秤10が計測する積載重量の計測値などの情報を含む。制御部11が制御するエレベーター3の状態の情報は、当該エレベーター3に関する呼びの割当てなどを含む。制御部11は、各々のエレベーター3の制御盤8に接続される。制御部11は、呼びの割当てなどによって、各々のエレベーター3の運行計画の管理を行う。各々のエレベーター3の制御盤8は、制御部11による運行計画に従って、かご7の走行などのエレベーター3の動作を制御する。
記憶部12は、情報を記憶する機能を搭載する部分である。記憶部12は、建物に入居しているテナントを識別するテナント識別情報に、当該テナントに割り当てられたエリアのエリア情報を関連付けて記憶する。エリアのエリア情報は、当該エリアに設定された定員、および当該エリアがいずれの階床に含まれるかの情報を含む。
推定部13は、各々のエレベーター3のかご7の乗降人数を推定する機能を搭載する部分である。推定部13は、制御部11が取得するエレベーター3の状態に基づいて、乗降人数を推定する。推定部13は、例えば、かご7がいずれかの階床に停止しているときにおける当該かご7に設けられた秤10の計測値の変化の情報に基づいて、当該階床における当該かご7の乗降人数を推定する。
集計部14は、テナントに割り当てられたエリアを利用している利用人数を集計する機能を搭載する部分である。集計部14は、例えば、推定部13が推定する各々のエレベーター3のかご7の乗降人数に基づいて利用人数を集計する。
予測部15は、テナントに割り当てられたエリアの利用可否を予測する機能を搭載する部分である。予測部15は、当該テナントを行先としていずれかのエレベーター3のかご7に乗車する利用者について、利用可否を予測する。予測部15は、推定部13が推定した乗降人数および集計部14が集計した利用人数、ならびに記憶部12が記憶している情報に基づいて、利用可否を予測する。
提示部16は、利用可能なエリアの階床をかご7に乗車する利用者に提示する機能を搭載する部分である。提示部16による提示は、例えば、予測部15が予測した利用可否に基づいて行われる。提示部16による提示は、例えば、利用者が所持する携帯端末2を通じて行われる。提示部16は、例えば、無線通信によって利用可能なエリアの階床の情報を携帯端末2に送信することで、利用者への情報の提示を行う。提示部16は、例えば、直接的な無線通信によって携帯端末2に情報を送信する。このとき、提示部16は、例えば、利用者が待機している乗場または利用者が乗車するかご7に配置された無線ビーコンなどである。あるいは、提示部16は、例えば、インターネットなどの広域な通信網を介して携帯端末2に情報を送信してもよい。このとき、携帯端末2は、利用者が待機している乗場または利用者が乗車するかご7に配置された無線ビーコンなどが発信する無線信号に基づいて、利用者のいる乗場または利用者が乗車するかご7を識別する。携帯端末2は、例えば、識別した乗場またはかご7に基づいて、利用者に提示する情報を選択してもよい。あるいは、提示部16は、例えば、図示されない報知装置に利用可能なエリアの階床の情報を報知させることで、利用者への情報の提示を行ってもよい。このとき、報知装置は、例えば利用者が待機している乗場または利用者が乗車するかご7に配置されている。報知装置は、表示などの視覚的情報、または音声などの聴覚的情報などによって報知を行う。
図2は、実施の形態1に係る呼び登録装置4の正面図である。
図2において、乗場に配置され乗場呼びの操作を受け付ける呼び登録装置4の例が示される。
呼び登録装置4は、ボタンユニット17aと、ディスプレイ18と、を備える。ボタンユニット17aは、UPボタンおよびDNボタンを含む。UPボタンは、上方の階床に移動する利用者による乗場呼びの操作を受け付けるボタンである。DNボタンは、下方の階床に移動する利用者による乗場呼びの操作を受け付けるボタンである。ディスプレイ18は、乗場にいる利用者に表示によって情報を提示する部分である。ディスプレイ18は、例えば、かご7の現在位置、またはかご7の走行方向などの情報を表示する。ここで、呼び登録装置4は、ディスプレイ18に代えて、またはディスプレイ18と共に、ランプまたはスピーカーを備えていてもよい。また、呼び登録装置4は、報知装置を兼ねていてもよい。
図3は、実施の形態1に係る制御盤8のハードウェア構成の例を示す図である。
制御盤8の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ8aと少なくとも1つのメモリ8bとを備える。処理回路は、プロセッサ8aおよびメモリ8bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェアを備えてもよい。
処理回路がプロセッサ8aとメモリ8bとを備える場合、制御盤8の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ8bに格納される。プロセッサ8aは、メモリ8bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御盤8の各機能を実現する。
プロセッサ8aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ8bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
処理回路が専用ハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
制御盤8の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、制御盤8の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。制御盤8の各機能について、一部を専用ハードウェアで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御盤8の各機能を実現する。
図4は、実施の形態1に係る群管理装置5のハードウェア構成の例を示す図である。
群管理装置5の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ5aと、少なくとも1つのメモリ5bと、時計5cと、を備える。処理回路は、プロセッサ5a、メモリ5b、および時計5cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェアを備えてもよい。
処理回路がプロセッサ5aとメモリ5bとを備える場合、群管理装置5の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ5bに格納される。プロセッサ5aは、メモリ5bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、群管理装置5の各機能を実現する。処理回路が時計5cを備える場合、群管理装置5の各機能のうち時間の情報を必要とするものは、ソフトウェアおよびファームウェアなどと時計5cとの組み合わせで実現される。
プロセッサ5aは、CPU、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ5bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
処理回路が専用ハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
群管理装置5の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、群管理装置5の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。群管理装置5の各機能について、一部を専用ハードウェアで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで群管理装置5の各機能を実現する。
続いて、図5から図9を用いて、エレベーターシステム1における利用者への情報の提示の例を説明する。
図5から図8は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1において処理されるデータの例を示す図である。
図5において、記憶部12が記憶している情報の例が示される。記憶部12は、テナント識別情報に、エリア情報を関連付けて記憶する。記憶部12は、同一のテナント識別情報に、複数のエリア情報を関連付けて記憶してもよい。この例において、エリアのエリア情報は、当該エリアが含まれる階床、当該エリアに設定された定員、および当該エリアに設定された利用時間などの情報を含む。
図6において、推定部13による乗降人数の推定の例が示される。推定部13は、いずれかの階床において乗場呼びの操作を呼び登録装置4が受け付けるときに、制御部11から当該乗場呼びの情報を取得する。このとき、推定部13は、乗降人数テーブルを生成する。図6に示されるデータは、乗降人数テーブルの例である。乗降人数テーブルは、推定部13が推定する乗降人数の情報を管理するテーブルである。乗降人数は、乗車人数および降車人数を含む。推定部13は、例えば次のように乗降人数を推定する。
この例において、1階の乗場において乗場呼びの操作が行われる。1階において、乗場呼びの操作を行った利用者を含む複数の利用者がいずれかのかご7の到着を待機する。その後、制御部11は、当該乗場呼びをいずれかのエレベーター3に割り当てる。当該乗場呼びが割り当てられたエレベーター3の制御盤8は、かご7を1階に走行させる。
この例において、かご7は、時刻9:00:00に1階に停止してかごドア9を開く。この例において、かご7から1階の乗場に降車する利用者はいない。このため、秤10は、利用者の降車に伴う積載重量の減少を計測しない。1階の乗場でかご7の到着を待機していた利用者は、かごドア9を開いたかご7に乗車する。このとき、利用者の乗車に伴って、秤10は積載重量の増加を計測する。この例において、秤10は、かご7の最大積載重量の50%の増加を計測する。秤10が計測した積載重量の変化は、乗降人数テーブルに記録される。かご7に乗車した利用者は、かご7の内部に設けられた呼び登録装置4を用いて、行先階を登録するかご呼びの操作を行う。この例において、テナント識別情報「00001」のテナントを行先とする利用者は、5階を行先階とするかご呼びの操作を行う。また、テナント識別情報「00002」のテナントを行先とする利用者は、10階を行先階とするかご呼びの操作を行う。制御盤8は、登録された行先階まで走行して停止するように、かご7の動作を制御する。かご7は、かごドア9を閉じて1階から上方に発進する。
推定部13は、かご7の最大積載重量に相当する人数に基づいて、1階におけるかご7の乗降人数を推定する。この例において、かご7の最大積載重量は、20人の利用者の重量に相当する。かごドア9が1階で開いた後に秤10が積載重量の減少を計測しなかったので、推定部13は、1階における降車人数を0人と推定する。一方、かごドア9が1階で閉じる前に秤10が最大積載重量の50%の増加を計測したので、推定部13は、1階における乗車人数を10人と推定する。推定部13が推定した1階における乗降人数は、乗降人数テーブルに記録される。
その後、かご7は、時刻9:00:30に5階に停止してかごドア9を開く。テナント識別情報「00001」のテナントを行先とする利用者は、かごドア9を開いたかご7から5階の乗場に降車する。このとき、利用者の降車に伴って、秤10は積載重量の減少を計測する。この例において、秤10は、かご7の最大積載重量の25%の減少を計測する。一方、5階の乗場からかご7に乗車する利用者はいない。このため、秤10は、利用者の乗車に伴う積載重量の増加を計測しない。その後、かご7は、かごドア9を閉じて5階から上方に発進する。
推定部13は、かご7の最大積載重量に相当する人数に基づいて、5階におけるかご7の乗降人数を推定する。かごドア9が5階で開いた後に秤10が最大積載重量の25%の減少を計測したので、推定部13は、5階における降車人数を5人と推定する。一方、かごドア9が5階で閉じる前に秤10が積載重量の増加を計測しなかったので、推定部13は、5階における乗車人数を0人と推定する。
その後、かご7は、時刻9:01:00に10階に停止してかごドア9を開く。テナント識別情報「00002」のテナントを行先とする利用者は、かごドア9を開いたかご7から10階の乗場に降車する。このとき、利用者の降車に伴って、秤10は積載重量の減少を計測する。この例において、秤10は、かご7の最大積載重量の25%の減少を計測する。その後、10階の乗場でかご7の到着を待機していた利用者は、かごドア9を開いたかご7に乗車する。このとき、利用者の乗車に伴って、秤10は積載重量の増加を計測する。この例において、秤10は、かご7の最大積載重量の10%の増加を計測する。その後、かご7はかごドア9を閉じて10階から発進する。
推定部13は、かご7の最大積載重量に相当する人数に基づいて、10階におけるかご7の乗降人数を推定する。かごドア9が10階で開いた後に秤10が最大積載重量の25%の減少を計測したので、推定部13は、10階における降車人数を5人と推定する。また、かごドア9が10階で閉じる前に秤10が最大積載重量の10%の増加を計測したので、推定部13は、10階における乗車人数を2人と推定する。
図7において、集計部14による利用人数の集計の例が示される。集計部14は、利用人数テーブルを生成する。図7に示されるデータは、利用人数テーブルの例である。利用人数テーブルは、集計部14が集計するエリアごとの利用人数の情報を管理するテーブルである。集計部14は、例えば次のように利用人数を集計する。
集計部14は、例えば、推定部13が推定した乗降人数に基づいて利用人数を集計する。集計部14は、例えば、いずれかの階床でかご7から降車した利用者がいる場合に、当該利用者は降車後に当該階床に含まれるエリアを利用しているとして利用人数に加算する。集計部14は、例えば、いずれかの階床でかご7に乗車した利用者がいる場合に、当該利用者は当該階床に含まれるエリアの利用を終了したとして利用人数から減算する。集計部14が集計する利用人数は、利用人数テーブルに記録される。集計部14は、例えば、エリアの利用時間が終了するときに、利用人数テーブルにおける当該エリアの情報をリセットする。
図8において、予測部15による利用可否の予測の例が示される。予測部15は、利用可否テーブルを生成する。図8に示されるデータは、利用可否テーブルの例である。利用可否テーブルは、予測部15が予測するエリアごとの利用可否の情報を管理するテーブルである。予測部15は、例えば次のように利用可否を予測する。
予測部15は、例えば、記憶部12がエリア情報として記憶しているエリアの定員から、集計部14が集計した当該エリアの利用人数を差し引くことで、これから利用可能な人数をエリアごとに算出する。予測部15は、集計部14がまだ集計していない推定部13が推定した乗降人数に基づいて、ある階床の降車人数が当該階床に含まれるエリアの利用可能な人数以上であるときに、これからかご7に乗車する利用者による当該エリアの利用は不可であると予測する。一方、予測部15は、ある階床の降車人数が当該階床に含まれるエリアの利用可能な人数を下回るときに、これからかご7に乗車する利用者による当該エリアの利用は可能であると予測する。
提示部16は、予測部15による利用可否の予測の結果を、これからかご7に乗車する利用者に提示する。提示部16は、例えば、各々のエリアについて、当該エリアの階床とともに利用可否を提示する。提示部16は、利用可能なエリアについて、利用可能な人数をあわせて提示してもよい。
続いて、図9を用いて、エレベーターシステム1の動作の例を説明する。
図9は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
ステップS101において、制御部11は、いずれかの階床で乗場呼びの操作が行われたかを判定する。判定結果がNoの場合に、利用者への情報の提示についてのエレベーターシステム1の処理は終了する。判定結果がYesの場合に、制御部11は、乗場呼びをいずれかのかご7に割り当てる。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS102に進む。
ステップS102において、推定部13は、乗場呼びが割り当てられたかご7の停止階において秤10が計測する積載重量の変化を取得する。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS103に進む。
ステップS103において、制御部11は、乗場呼びが割り当てられたかご7が、登録された全てのかご呼びに応答したかを判定する。判定結果がNoの場合に、エレベーターシステム1の処理は、ステップS102に進む。判定結果がYesの場合に、エレベーターシステム1の処理は、ステップS104に進む。
ステップS104において、推定部13は、秤10が計測する積載重量の変化に基づいて、乗場呼びが割り当てられたかご7の乗降人数を推定する。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS105に進む。
ステップS105において、予測部15は、集計部14がこれまでに集計した利用人数、および記憶部12が記憶するエリア情報に基づいて、利用可能な人数をエリアごとに算出する。予測部15は、算出した利用可能な人数、および推定部13が推定したかご7の乗降人数に基づいて、エリアごとの利用可否を予測する。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS106に進む。
ステップS106において、提示部16は、予測部15による利用可否の予測結果を、これからかご7に乗車する利用者に提示する。このとき、提示部16は、例えば、乗場においてかご7を待機している利用者に情報を提示する。あるいは、提示部16は、利用者が乗場からかご7に乗車するときに、当該かご7の内部で利用者に情報を提示してもよい。その後、利用者への情報の提示についてのエレベーターシステム1の処理は終了する。
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、制御部11と、記憶部12と、推定部13と、予測部15と、提示部16と、を備える。制御部11は、エレベーター3の状態の取得および制御を行う。エレベーター3は、複数の階床を有する建物に設けられる。記憶部12は、テナントを識別するテナント識別情報に、エリア情報を関連付けて記憶する。テナント識別情報は、建物の少なくとも一部のエリアが割り当てられたテナントを識別する。エリア情報は、テナントに割り当てられたエリアの定員および当該エリアの階床の情報を含む。推定部13は、制御部11が取得するエレベーター3の状態に基づいて、エレベーター3のかご7の乗降人数を推定する。集計部14は、テナントに割り当てられたエリアの利用人数を集計する。予測部15は、推定部13が推定した乗降人数および集計部14が集計した利用人数、ならびに記憶部12が記憶している情報に基づいて、テナントに割り当てられたエリアの利用可否を予測する。提示部16は、予測部15が予測した利用可否に基づいて、利用可能なエリアの階床をかご7に乗車する利用者に提示する。
このような構成により、利用可能なエリアの階床が利用者に提示されるので、行先の状況が把握されやすくなる。これにより、利用者が行先に移動した後に利用不可であったことが判明するような事態の発生が抑えられるので、このような利用者が再度エレベーター3を利用して移動することによる運行効率の低下が抑えられる。また、利用者は利用可能なエリアを予め把握できるようになるので、1人の利用者が利用可否の不明なエリアを含む複数の階床を行先階として入力するようなことが抑えられる。これにより、無用な呼びの登録が抑えられるので、エレベーターシステム1の運行効率の低下が抑えられる。また、行先の状況に応じて利用可能なエリアが把握できるようになるので、利用者の利便性がより高められる。
また、提示部16は、利用者が所持する携帯端末2を通じて利用可能な階床を提示する。
このような構成により、利用者は地震が所持する携帯端末2を通じて利用可否を把握できるようになるので、利用者の利便性がより高められる。
また、推定部13は、かご7の積載重量を計測する秤10の計測値の変化の情報に基づいて、かご7の乗降人数を推定する。
このような構成により、エレベーター3のかご7に搭載される秤10の計測値に基づいて乗降人数が推定されるので、エレベーターシステム1がより容易に構成できるようになる。
なお、互いに異なるテナントに割り当てられた複数のエリアが1つの階床に含まれる場合に、集計部14は、当該階床で降車する利用者がいずれのエリアを利用するかを推定して集計を行ってもよい。集計部14は、例えば、当該階床の降車人数に、テナントに応じた割合を乗じた人数が当該テナントを利用するものとして集計を行ってもよい。テナントに応じた割合は、例えば、当該階床のエリアの床面積または定員などに応じた割合である。より具体的な例として、集計部14は、例えば定員10名のエリアおよび定員20名のエリアを含む階床において3人が降車するときに、1人が前者のエリアを利用し2人が後者のエリアを利用するものとして集計を行ってもよい。
また、推定部13は、制御部11がかご7に割り当てた乗場呼びの数、およびかご7から登録されたかご呼びの数に基づいて、かご7の乗降人数を推定してもよい。乗場呼びおよびかご呼びの操作が利用者ごとに行われるときに、これらの呼びの数は、かご7に乗降する人数に対応する。このため、推定部13は、これらの呼びの数に基づいて乗降人数を推定できる。推定部13は、例えば、いずれかの階床の乗場における乗場呼びの数に基づいて、当該階床における乗車人数を推定する。また、推定部13は、例えば、いずれかの階床を行先とするかご呼びの数に基づいて、当該階床における降車人数を推定する。
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
この例において、呼び登録装置4は、出発階および行先階が特定された行先呼びの操作を受け付ける。このとき、呼び登録装置4は、例えば玄関階の乗場に配置される。行先呼びは、例えば、玄関階からいずれかのエレベーター3のかご7に乗車する利用者によって行われる。行先呼びの操作において、利用者は、行先階の入力を行う。これにより、行先呼びの出発階として呼び登録装置4が設けられた玄関階が特定され、行先呼びの行先階として利用者が入力した階床が特定される。なお、呼び登録装置4は、各々の階床の乗場に配置されていてもよい。
制御部11は、呼び登録装置4が操作を受け付けた行先呼びをいずれかのかご7に割り当てる。当該行先呼びが割り当てられたエレベーター3の制御盤8は、かご7を当該行先呼びの出発階に走行させる。
図10は、実施の形態2に係る呼び登録装置4の正面図である。
呼び登録装置4は、テンキーユニット17bと、ディスプレイ18と、を備える。テンキーユニット17bは、利用者が行先階を入力しうるように、複数の数字ボタンを含む。ディスプレイ18は、例えば、行先呼びの操作を行った利用者に、制御部11によって当該行先呼びが割り当てられたエレベーター3を特定する情報などを表示する。この例において、乗場呼びが割り当てられたA号機のエレベーター3が利用者に表示されている。
図11は、実施の形態2に係るエレベーターシステム1において処理されるデータの例を示す図である。
図11において、推定部13による乗降人数の推定の例が示される。推定部13は、行先呼びの操作を呼び登録装置4が受け付けるときに、制御部11から当該行先呼びの情報を取得する。このとき、推定部13は、行先呼びに基づく乗降人数テーブルを生成する。図11に示されるデータは、行先呼びに基づく乗降人数テーブルの例である。推定部13は、例えば次のように乗降人数を推定する。
この例において、1階の乗場に配置された呼び登録装置4に対して、時刻9:00:00までに、5人の利用者が5階を行先階とする行先呼びの操作をそれぞれ行う。また、1階の乗場に配置された呼び登録装置4に対して、時刻9:00:00までに、5人の利用者が10階を行先階とする行先呼びの操作をそれぞれ行う。また、10階の乗場に配置された呼び登録装置4に対して、時刻9:01:00までに、1人の利用者が1階を行先階とする行先呼びの操作を行う。制御部11は、これらの行先呼びをA号機のエレベーター3に割り当てる。A号機のエレベーター3の制御盤8は、かご7を1階に走行させる。
推定部13は、A号機のエレベーター3に割り当てられた行先呼びの数に基づいて、A号機のかご7の各階床における乗降人数を推定する。推定部13は、行先呼びの操作が利用者ごとに行われたものとして乗降人数を推定する。行先呼びの操作が利用者ごとに行われるときに、行先呼びの数は、かご7に乗降する人数に対応する。推定部13は、A号機に割り当てられた1階を出発階とする行先呼びの数に基づいて、1階における乗車人数を10人と推定する。また、推定部13は、A号機に割り当てられた5階を行先階とする行先呼びの数に基づいて、5階における降車人数を5人と推定する。また、推定部13は、A号機に割り当てられた10階を行先階とする行先呼びの数に基づいて、10階における降車人数を5人と推定する。推定部13が推定した各階における乗降人数は、乗降人数テーブルに記録される。
集計部14は、例えば、推定部13が推定した乗降人数に基づいて利用人数を集計する。集計部14は、例えば、いずれかの階床でかご7から降車する利用者がいる場合に、当該利用者は降車後に当該階床に含まれるエリアを利用するものとして利用人数に加算する。集計部14は、例えば、いずれかの階床でかご7に乗車する利用者がいる場合に、当該利用者は当該階床に含まれるエリアの利用を終了するとして利用人数から減算する。集計部14が集計する利用人数は、利用人数テーブルに記録される。集計部14は、例えば、エリアの利用時間が終了するときに、利用人数テーブルにおける当該エリアの情報をリセットする。
予測部15は、例えば、記憶部12がエリア情報として記憶しているエリアの定員から、集計部14が集計した当該エリアの利用人数を差し引くことで、これから利用可能な人数をエリアごとに算出する。予測部15は、集計部14がまだ集計していない推定部13が推定した乗降人数に基づいて、ある階床の降車人数が当該階床に含まれるエリアの利用可能な人数以上であるときに、これからかご7に乗車する利用者による当該エリアの利用は不可であると予測する。一方、予測部15は、ある階床の降車人数が当該階床に含まれるエリアの利用可能な人数を下回るときに、これからかご7に乗車する利用者による当該エリアの利用は可能であると予測する。
提示部16は、予測部15による利用可否の予測の結果を、これからかご7に乗車する利用者に提示する。提示部16は、例えば、各々のエリアについて、当該エリアの階床とともに利用可否を提示する。提示部16は、利用可能なエリアについて、利用可能な人数をあわせて提示してもよい。提示部16は、呼び登録装置4のディスプレイ18を報知装置として、利用者に利用可否の予測の結果を提示してもよい。提示部16は、利用不可な行先階を入力した利用者について、行先階の再入力を促すような提示を行ってもよい。
以上に説明したように、実施の形態2に係るエレベーターシステム1の推定部13は、制御部11がかご7に割り当てる行先呼びの数に基づいて、かご7の乗降人数を推定する。行先呼びは、出発階および行先階が特定された呼びである。
一般に、行先呼びの操作は利用者ごとに行われることが多い。このため、利用者の数と対応する行先呼びの数に基づいて、乗降人数がより精度よく推定されるようになる。
なお、推定部13は、秤10の計測値の変化による乗降人数の推定と、行先呼びの数による乗降人数の推定とを組み合わせてもよい。推定部13は、例えば、行先呼びを受け付ける呼び登録装置4が乗場に配置された階床における乗降人数を行先呼びの数に基づいて推定し、行先階が特定されない乗場呼びを受け付ける呼び登録装置4が乗場に配置された階床における乗降人数を秤10の計測値の変化に基づいて推定してもよい。
また、行先呼びは、例えば、利用者が所持する携帯端末2を通じて行われてもよい。利用者は、例えば、行先呼びを登録するときに、携帯端末2に出発階および行先階の両方を入力する。出発階および行先階は、例えば利用者などによって携帯端末2に予め設定されていてもよい。携帯端末2は、例えばインターネットなどの広域な通信網を介して、行先呼びの情報を制御部11に送信する。
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図12は、実施の形態3に係るエレベーターシステム1の構成図である。
エレベーターシステム1が適用される建物において、入退管理装置19が設けられる。入退管理装置19は、建物における少なくともいずれかのエリアの入退域を管理する装置である。入退管理装置19は、建物におけるエリアに入退域する利用者を、利用者を識別する利用者識別情報によって管理する。ここで、利用者識別情報は、例えば利用者に一意に割り当てられた番号などの情報である。このとき、利用者識別情報は、例えば利用者が所持するICカードなどの識別体に記憶される。あるいは、利用者識別情報は、利用者の指紋情報、静脈情報、または虹彩情報などの生体情報であってもよい。入退管理装置19は、各々の利用者の利用者識別情報を読み取る読取装置20を含む。読取装置20は、例えば、利用者が所持する識別体から、例えば近距離無線通信などによって利用者識別情報を読み取る。あるいは、読取装置20は、例えば、利用者の生体情報を利用者識別情報として読み取ってもよい。
この例において、呼び登録装置4は、入退管理装置19の読取装置20と連携する。呼び登録装置4は、読取装置20と一体に構成されていてもよい。呼び登録装置4は、読取装置20が利用者識別情報を読み取った後に、当該利用者識別情報によって識別される利用者の呼びの登録の操作を受け付ける。呼び登録装置4は、例えば、行先呼びの登録の操作を受け付ける。
続いて、図13および図14を用いて、エレベーターシステム1における利用者への情報の提示の例を説明する。
図13および図14は、実施の形態3に係るエレベーターシステム1において処理されるデータの例を示す図である。
図13において、記憶部12が記憶している情報の例が示される。記憶部12は、テナント識別情報に、エリア情報を関連付けて記憶する。記憶部12がテナント識別情報に関連付けて記憶するエリアのエリア情報は、当該エリアが含まれる階床、当該エリアに設定された定員、当該エリアにおけるセキュリティ設定の有無、当該エリアを利用可能な利用者を識別する利用者識別情報、および当該エリアに設定された利用時間などの情報を含む。
図14において、推定部13による乗降人数の推定の例が示される。推定部13は、行先呼びの操作を呼び登録装置4が受け付けるときに、制御部11から当該行先呼びの情報を取得する。このとき、推定部13は、行先呼びに基づく乗降人数テーブルを生成する。図14に示されるデータは、行先呼びに基づく乗降人数テーブルの例である。推定部13は、例えば次のように乗降人数を推定する。
この例において、1階の乗場に配置された読取装置20は、時刻9:00:00までに、利用者の利用者識別情報「00001」を読み取る。このとき、呼び登録装置4は、当該利用者による5階を行先階とする行先呼びの操作を受け付ける。制御部11は、当該利用者の利用可能なエリアが行先階である5階にあるかを判定する。制御部11は、例えば、セキュリティ設定が「無し」のエリアについて、全ての利用者が利用可能であると判定する。制御部11は、例えば、セキュリティ設定が「有り」のエリアについて、利用者識別情報が予め登録されている利用者について利用可能であると判定し、利用者識別情報が登録されていない利用者について利用不可であると判定する。制御部11は、利用者識別情報「00001」の利用者の利用可能なエリアが5階にあると判定する場合に、当該利用者による行先呼びをいずれかのエレベーター3のかご7に割り当てる。一方、制御部11は、当該利用者の利用可能なエリアが5階にないと判定する場合に、当該利用者による行先呼びのエレベーター3のかご7への割当を行わない。
また、1階の乗場に配置された読取装置20は、時刻9:00:00までに、利用者の利用者識別情報「00030」を読み取る。このとき、呼び登録装置4は、当該利用者による10階を行先階とする行先呼びの操作を受け付ける。制御部11は、当該利用者の利用可能なエリアが行先階である10階にあるかを判定する。制御部11は、利用者識別情報「00030」の利用者の利用可能なエリアが10階にあると判定する場合に、当該利用者による行先呼びをいずれかのエレベーター3のかご7に割り当てる。一方、制御部11は、当該利用者の利用可能なエリアが10階にないと判定する場合に、当該利用者による行先呼びのエレベーター3のかご7への割当を行わない。
また、10階の乗場に配置された読取装置20は、時刻9:01:00までに、利用者の利用者識別情報「00025」を読み取る。このとき、呼び登録装置4は、当該利用者による1階を行先階とする行先呼びの操作を受け付ける。制御部11は、当該利用者の利用可能なエリアが行先階である1階にあるかを判定する。制御部11は、例えば、行先階が玄関階である場合に、全ての利用者が当該階床を利用可能であると判定する。
推定部13は、エレベーター3に割り当てられた行先呼びの数に基づいて、当該エレベーター3のかご7の各階床における乗降人数を推定する。行先呼びの操作は利用者ごとに行われるので、推定部13は、行先呼びの数がかご7に乗降する人数に対応するものとして乗降人数を推定する。推定部13が推定した各階における乗降人数は、乗降人数テーブルに記録される。
集計部14は、例えば、推定部13が推定した乗降人数に基づいて利用人数を集計する。集計部14は、例えば、いずれかの階床でかご7から降車する利用者がいる場合に、当該利用者は降車後に当該階床に含まれるエリアを利用するものとして利用人数に加算する。このとき、当該利用者の利用者識別情報が登録されているエリアが当該階床にある場合に、集計部14は、当該利用者が当該エリアを利用するものとして利用人数の加算を行ってもよい。集計部14は、例えば、いずれかの階床でかご7に乗車する利用者がいる場合に、当該利用者は当該階床に含まれるエリアの利用を終了するとして利用人数から減算する。このとき、当該利用者の利用者識別情報が登録されているエリアが当該階床にある場合に、集計部14は、当該利用者が当該エリアの利用を終了するものとして利用人数の加算を行ってもよい。集計部14が集計する利用人数は、利用人数テーブルに記録される。集計部14は、例えば、エリアの利用時間が終了するときに、利用人数テーブルにおける当該エリアの情報をリセットする。
予測部15は、例えば、記憶部12がエリア情報として記憶しているエリアの定員から、集計部14が集計した当該エリアの利用人数を差し引くことで、これから利用可能な人数をエリアごとに算出する。予測部15は、集計部14がまだ利用人数に集計していない利用者について、当該利用者が利用するエリアの利用可能な人数が0であるときに、当該利用者による当該エリアの利用は不可であると予測する。一方、予測部15は、集計部14がまだ利用人数に集計していない利用者について、当該利用者が利用するエリアの利用可能な人数が0より大きいときに、当該利用者による当該エリアの利用は可能であると予測する。
提示部16は、予測部15による利用可否の予測の結果を、行先呼びの操作を行っている利用者に提示する。提示部16は、例えば、各々のエリアについて、当該エリアの階床とともに利用可否を提示する。提示部16は、利用可能なエリアについて、利用可能な人数をあわせて提示してもよい。提示部16は、呼び登録装置4のディスプレイ18を報知装置として、利用者に利用可否の予測の結果を提示してもよい。提示部16は、利用不可な行先階を入力した利用者について、行先階の再入力を促すような提示を行ってもよい。
続いて、図15を用いて、エレベーターシステム1の動作の例を説明する。
図15は、実施の形態3に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
ステップS201において、制御部11は、入退管理装置19の読取装置20が利用者識別情報を読み取った利用者による行先呼びの操作が行われたかを判定する。判定結果がNoの場合に、利用者への情報の提示についてのエレベーターシステム1の処理は終了する。判定結果がYesの場合に、制御部11は、利用者識別情報に基づいて、利用者を識別する。制御部11は、識別した利用者による行先呼びの割当てを制限するか否かを、利用者識別情報および記憶部12が記憶するエリア情報に基づいて判定する。制御部11は、行先呼びの割当てを制限しないと判定する場合に、当該行先呼びをいずれかのかご7に割り当てる。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS202に進む。
ステップS202において、推定部13は、エレベーター3のかご7に割り当てられた行先呼びの情報を取得する。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS203に進む。
ステップS203において、推定部13は、利用者ごとの行先呼びの出発階および行先階に基づいて、エレベーター3のかご7の乗降人数を推定する。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS204に進む。
ステップS204において、予測部15は、集計部14がこれまでに集計した利用人数、および記憶部12が記憶するエリア情報に基づいて、利用可能な人数をエリアごとに算出する。予測部15は、算出した利用可能な人数、および推定部13が推定したかご7の乗降人数に基づいて、エリアごとの利用可否を予測する。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS205に進む。
ステップS205において、提示部16は、予測部15による利用可否の予測結果を、これからかご7に乗車する利用者に提示する。このとき、提示部16は、例えば、行先呼びの操作を行っている利用者に情報を提示する。その後、利用者への情報の提示についてのエレベーターシステム1の処理は終了する。
以上に説明したように、実施の形態3に係るエレベーターシステム1は、入退管理装置19から、テナントに割り当てられたエリアに入退域する利用者を識別する利用者識別情報を取得する。入退管理装置19は、テナントに割り当てられたエリアへの利用者の入退域を管理する。
また、集計部14は、入退管理装置19から取得する情報に基づく当該エリアの入退者数を用いて、当該エリアを利用している利用人数を集計する。エリアの入退者数は、例えば当該エリアを含む階床におけるかご7の乗降人数などとして推定部13によって推定される。
このような構成により、エリアの利用人数は利用者に対応づけて集計される。これにより、利用人数の集計がより精度よく行われるようになる。
また、記憶部12は、テナントのテナント識別情報に、当該テナントを利用可能な利用者を識別する利用者識別情報を関連付けて記憶する。制御部11は、入退管理装置19から取得した利用者識別情報に基づいて、呼びの登録を行いかご7に乗車する利用者を識別する。制御部11は、当該呼びの登録を行う利用者の利用者識別情報が当該テナントを利用可能な利用者を識別するものでないときに、当該呼びのかご7への割当てを制限する。
このような構成により、利用可能なエリアがない階床を呼びの行先階として利用者が入力しても当該呼びは登録されないので、建物のセキュリティ性がより高められるようになる。
また、予測部15は、入退管理装置19から取得した利用者識別情報に基づいて、呼びの登録を行いかご7に乗車する利用者を識別する。予測部15は、利用者識別情報に基づいて、テナントに割り当てられたエリアの利用可否を利用者ごとに予測する。
このように利用者ごとに判定が行われることで、利用可否の判定がより精度よく行われるようになる。
なお、制御部11は、予測部15が利用可能と予測したエリアを含まない階床を行先階とする呼びのかご7への割当てを制限してもよい。例えば、あるエリアについて利用者識別情報が登録されている利用者による当該エリアを含む階床を行先階とする呼びであっても、当該利用者について予測部15が利用人数などに基づいて当該エリアを利用不可と予測するときに、制御部11は当該呼びの割当てを行わない。
このような構成により、セキュリティ上は行先のエリアを利用可能な利用者であっても、行先の状況に応じて移動が制限されるようになる。このため、当該利用者は、利用可能な他のエリアを利用するようになる。これにより、建物における各々のエリアが偏りなく利用されるようになる。
また、提示部16は、推定部13が推定した乗降人数および集計部14が集計した利用人数、ならびに記憶部12が記憶している情報に基づいて、呼びの登録を行いかご7に乗車する利用者に、利用可能なエリアのうち推奨するエリアの階床を提示してもよい。例えば、互いに異なる階床の複数のエリアが単一のテナントに割り当てられているときに、提示部16は、当該テナントを利用する利用者に、利用可能な人数の余裕が最も大きいエリアを推奨するエリアとして提示してもよい。
このような構成により、利用者は、提示部16による推奨を参考にすることで、よりスムーズに行先階を指定できるようになる。
また、制御部11は、提示部16が推奨するエリアの階床を行先階とする呼びを自動的に登録してもよい。制御部11は、例えば、提示部16が推奨するエリアの階床を行先階とする行先呼びを、利用者による行先階の入力を待たずに登録してもよい。制御部11は、登録した行先呼びをいずれかのエレベーター3のかご7に割り当てる。
このような構成により、利用者は、行先階を選択する手間をかけることなく、建物における各々のエリアを偏りなく利用できるようになる。これにより、利用者は、無用な混雑などを避けられるようになり、利便性がより高められる。
実施の形態4.
実施の形態4において、実施の形態1から実施の形態3で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態4で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態3で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図16は、実施の形態4に係るエレベーターシステム1の構成図である。
エレベーターシステム1が適用される建物において、監視装置21が設けられる。監視装置21は、建物の状況を監視する装置である。この例において、監視装置21は、建物の内部を撮影するカメラ22を含む。カメラ22は、例えば、エレベーター3の乗場などを撮影しうる場所に配置される。このとき、監視装置21は、カメラ22が撮影する画像に基づいて、エレベーター3のかご7に乗降する利用者の人数を判定する。監視装置21は、画像に基づいて判定した乗降人数を、補正情報として群管理装置5の推定部13に出力する。
この例において、記憶部12がテナント識別情報に対応づけて記憶しているエリア情報は、群管理装置5の外部から入力される情報に基づいて更新される。群管理装置5の外部から入力される情報は、例えば、エレベーター3のパラメータの設定変更などである。あるいは、群管理装置5の外部から入力される情報は、監視装置21を通じて入力される信号などである。これらの情報は、例えば、建物の管理者などによって、インターネットなどの広域な通信網に接続する端末装置などを通じて、群管理装置5の外部から入力される。
続いて、図17を用いて、エレベーターシステム1の動作の例を説明する。
図17は、実施の形態4に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
実施の形態4のエレベーターシステム1は、ステップS301からステップS304において、実施の形態1のエレベーターシステム1のステップS101からステップS104までと同様に動作する。推定部13が乗降人数を推定した後、実施の形態4のエレベーターシステム1の処理は、ステップS305に進む。あるいは、実施の形態4のエレベーターシステム1は、ステップS301からステップS304に代えて、または、これらのステップと並行して、実施の形態3のエレベーターシステム1のステップS201からステップS203までと同様に動作してもよい。推定部13が乗降人数を推定した後、実施の形態4のエレベーターシステム1の処理は、ステップS305に進む。
ステップS305において、推定部13は、監視装置21から補正情報を取得したかを判定する。判定結果がYesの場合に、エレベーターシステム1の処理は、ステップS306に進む。判定結果がNoの場合に、エレベーターシステム1の処理は、ステップS307に進む。
ステップS306において、推定部13は、推定した乗降人数を補正情報に基づいて補正する。例えば、利用者ごとの体重の違いまたは利用者が持ち込む荷物の重量などにより、推定部13による乗降人数の推定に誤差が生じることがある。あるいは、行先呼びの操作などを行わずに同じ行先に移動する他の利用者に相乗りする利用者がいる場合に、推定部13による乗降人数の推定に誤差が生じることがある。このような場合に、推定部13は、補正情報に含まれる乗降人数に基づいて、乗降人数の補正を行う。その後、エレベーターシステム1の処理は、ステップS307に進む。
実施の形態4のエレベーターシステム1は、ステップS307からステップS308において、実施の形態1のエレベーターシステム1のステップS105からステップS106までと同様に動作する。あるいは、実施の形態4のエレベーターシステム1は、ステップS307からステップS308に代えて、実施の形態3のエレベーターシステム1のステップS204からステップS205までと同様に動作してもよい。
以上に説明したように、実施の形態4に係るエレベーターシステム1の記憶部12は、外部から入力される情報に基づいて、テナント識別情報に関連付けて記憶しているエリア情報を更新する。外部から入力される情報は、建物の状況を監視する監視装置21を通じて入力される信号、またはエレベーター3のパラメータの設定変更の少なくともいずれかである。
このような構成により、エリアのテナントへの割当てが容易に変更できるようになる。例えば、建物のエリアのテナントへの割当てが一日単位または時間単位などの短時間である場合などに、割当ての変更または取消しなどの更新がより容易に行えるようになる。