JP6876230B2 - 分散液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分散液の製造方法に関する。
エマルジョンは、互いに溶解しない少なくとも2種類の液体を含み、一方の液体を含有する連続相等と称される相と、他方の液体を含有し、連続相中に島状に分散している、分散相又は不連続相等と称される相とによって構成されている、分散系である。エマルジョンとしては、例えば、連続相及び分散相を形成する液体の種類によって、水等の水系媒体が連続相を、鉱物油等の非水系媒体が分散相をそれぞれ形成する水中油(O/W)型エマルジョン、非水系媒体が連続相を、水系媒体が分散相をそれぞれ形成する油中水(W/O)型エマルジョン、並びに、連続相及び分散相がいずれも非水系媒体である油中油(O/O)型エマルジョンが挙げられる。エマルジョンにおける液体の分散相を固体の粒子とすることにより分散液を製造する方法が知られている。
特許文献1には、樹脂の融点より高い沸点の溶媒からなり分散剤を含有する溶液中に樹脂を投入し、該溶液を樹脂の融点以上に加熱しながら攪拌し、樹脂溶融微粒子が分散するエマルジョンを形成し、その後、エマルジョンを冷却する工程を経て、樹脂粒子を得ることを特徴とする樹脂粒子の製造方法が記載されている。
特開平11−181100号公報
本発明の目的は、分散剤を含有する非水系媒体に樹脂を添加した後、高速のせん断力を付与してエマルジョンを製造する場合と比較して、高速のせん断力を付与しなくても、体積平均粒径が小さい樹脂粒子を含有する分散液を製造する方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、樹脂と分散剤とを溶融混合して溶融混合物を形成する溶融混合工程と、前記樹脂を溶解しない非水系媒体を前記溶融混合物に添加して乳化する乳化工程とを含む、前記樹脂の粒子を含有する分散液の製造方法であって、得られる前記樹脂の粒子の体積平均粒径が1μm以下である、分散液の製造方法である。請求項2に記載の発明は、前記樹脂が、ポリエステル樹脂である、請求項1に記載の分散液の製造方法である。請求項3に記載の発明は、前記分散剤が、重量平均分子量が2000以上である分散剤である、請求項1または2に記載の分散液の製造方法である。請求項4に記載の発明は、前記非水系媒体が、非環式脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散液の製造方法である。
請求項1に係る発明によれば、分散剤を含有する非水系媒体に樹脂を添加した後、高速のせん断力を付与してエマルジョンを製造する場合と比較して、高速のせん断力を付与しなくても、体積平均粒径が小さい樹脂粒子を含有する分散液を製造する方法が提供される。
本発明の実施形態に係る製造方法に用いる押出機の一例を示す概略構成図である。
本発明の実施形態について説明する。以下に説明する本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<分散液の製造>
本実施形態に係る分散液の製造方法は、樹脂と分散剤とを溶融混合して溶融混合物を形成する溶融混合工程と、樹脂を溶解しない非水系媒体を溶融混合物に添加して乳化する乳化工程とを少なくとも含む。
[溶融混合工程]
樹脂と分散剤とを溶融混合して溶融混合物を形成する溶融混合工程は、加熱により溶融した樹脂と分散剤とが混合されてなる溶融混合物を形成するものであれば、特に限定されない。例えば、混合装置に樹脂と分散剤とを投入した後、樹脂を加熱して溶融させながら、溶融した樹脂と分散剤とを混合することによって、溶融混合物を形成すればよい。また、混合装置に樹脂を投入した後、樹脂を加熱して溶融させ、次いで、溶融した樹脂を攪拌しながら、混合装置に分散剤を添加することによって、溶融混合物を形成してもよい。なお本明細書における「攪拌」との記載は、対象物の粘度から見て混練に分類されるような混合形態も含むものとする。
溶融混合工程における樹脂の加熱方法は、樹脂を当該樹脂のガラス転移温度Tg又は融解温度Tmを超える温度に加熱して、樹脂を溶融させるものである限り、特に限定されない。例えば、混合装置に樹脂を投入した後、混合装置に設けられた公知の加熱手段により、樹脂を加熱すればよい。溶融混合工程における溶融混合物の温度は、樹脂を溶融した状態で維持するため、樹脂のTg又はTmを超える温度であることが好ましく、樹脂のTgよりも5℃以上80℃以下の範囲で高いこと、又は、樹脂のTmよりも0℃以上20℃以下の範囲で高いことがより好ましい。
樹脂のガラス転移温度Tgの測定は、ASTMのD3418−8に準拠した示差走査熱量測定により行われ、例えば、示差走査熱量計(株式会社島津製作所製、DSC−50)を用いて、1回目の昇温過程で得られたDSC曲線の吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度を、ガラス転移温度Tgとすることができる。
樹脂の融解温度Tmは、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行ったときのJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、Tmの測定において複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、その場合、融解ピークが最大である融解ピーク温度を樹脂の融解温度Tmとする。
[乳化工程]
本実施形態の製造方法では、溶融混合工程で形成された溶融混合物に、樹脂を溶解しない非水系液体媒体を添加することにより、樹脂を含有する分散相が非水系媒体を含有する連続相に分散されてなるO/O型エマルジョンを形成する、乳化工程を行う。本実施形態の製造方法における乳化工程は、O/W型エマルジョン又はW/O型エマルジョンの「転相乳化」に相当する。
即ち、乳化工程において、溶融した樹脂と分散剤とを含有する溶融混合物に対する非水系媒体の添加量が少ないと、非水系媒体を含有する分散相が樹脂を含有する連続相に分散されてなるO/O型エマルジョンが形成される。やがて、非水系媒体の添加量が増加すると、連続相と分散相の転相が起こり、樹脂を含有する分散相が非水系媒体を含有する連続相に分散されてなるO/O型エマルジョンが形成される。よって、乳化工程における溶融樹脂及び非水系媒体は、転相乳化法によりO/W型エマルジョンを製造する場合の油相及び水相にそれぞれ対応しているとも言える。
特許文献1には、樹脂を溶解しない非水系媒体に分散剤を添加した後、分散剤を含有する非水系媒体中に樹脂を投入し、該非水系媒体を樹脂の融点以上に加熱しながら攪拌し、高速のせん断力を掛けることで、樹脂溶融微粒子が分散するエマルジョンを形成することができる旨記載され、エマルジョンの粒径の調整も、せん断速度の調整、例えば攪拌速度を約5000以上15000rpm以下程度とすることにより可能になると記載されている。また、特許文献1には、エマルジョンに含まれる樹脂溶融微粒子及び分散液に含まれる樹脂粒子の大きさが1μm以上20μm以下であることが記載され、その実施例には、3000rpm及び6000rpmの攪拌速度で攪拌したことにより平均粒径7μm以上9μm以下の樹脂粒子が製造されたことが記載されている。
一方、特許文献1には、エマルジョンに含まれる樹脂溶融微粒子及び分散液に含まれる樹脂粒子の大きさを1μm未満とすることについては記載されていない。特許文献1の記載に基づけば、分散剤を含有する非水系媒体に樹脂を添加し、該溶液を樹脂の融点以上に加熱しながら攪拌するエマルジョンの製造方法において、より高速のせん断力を付与することで、1μm未満の樹脂粒子の製造が可能になるとも考えられる。しかしながら、溶融樹脂と溶液とを2000rpm(回毎分)を超える攪拌速度で攪拌することは、強力なせん断及び乳化物の発熱により乳化物が分解し、分子量が低下する点で不利であると考えられる。
本発明者らは、鋭意研究した結果、樹脂と分散剤とを溶融混合して溶融混合物を形成し、得られた溶融混合物に樹脂を溶解しない非水系媒体を添加するいわゆる転相乳化によってエマルジョンを形成し、得られたエマルジョンを分散液とすることにより、樹脂と非水系媒体との混合物に高速のせん断力を付与しなくても、体積平均粒径D50vが小さい樹脂粒子を含有する分散液を製造できることを見出した。
本実施形態に係る製造方法は、O/W型エマルジョン及びW/O型エマルジョンを製造するための転相乳化法を、樹脂を含有する分散相と非水系媒体を含有する連続相とで形成されるO/O型エマルジョンの製造に適用するものである。本実施形態に係る製造方法では、エマルジョンに含まれる分散相の体積平均粒径D50vの調整、及び、それによる分散相に含まれる樹脂粒子の体積平均粒径D50vの調整は、例えば、溶融混合工程での分散剤の使用量を変えることによって、行うことができる。
従って、本実施形態の製造方法では、エマルジョンを製造する際に、乳化工程において溶融混合物と非水系媒体との混合物に高速のせん断力を付与しなくてもよい。そのため、樹脂を含有する分散相と非水系媒体を含有する連続相とで形成されるO/O型エマルジョンの製造に関して、分散剤を含有する非水系媒体に樹脂を添加した後、混合物に高速のせん断力を付与することにより当該エマルジョンを製造する場合と比較して、本実施形態の製造方法は、エネルギーの消費を抑制し、製造の効率性を維持しながら、より体積平均粒径D50vが小さい樹脂粒子を含有する分散液を製造することが可能となると考えられる。ここで「高速のせん断力を付与する」とは、例えば、2000rpm以上の攪拌速度で攪拌することをいう。
本実施形態の製造方法の乳化工程においては、攪拌手段を用いて溶融混合物と非水系媒体とを攪拌してもよい。しかしながら、当該攪拌は、添加された非水系媒体と溶融混合物との混合を促進するために行うものであって、エマルジョンの形成及び分散相の大きさの調整を目的として、高速のせん断力を付与するものではない。乳化工程において溶融混合物と非水系媒体とを攪拌する場合、その攪拌速度は、使用する攪拌手段によって異なるが、例えば、1500rpm以下の範囲であればよく、10rpm以上1000rpm以下の範囲であることが好ましい。
乳化工程における溶融混合物への非水系媒体の添加は、エマルジョンを形成する量の非水系媒体を一度に添加してもよく、また、段階的又は連続的に添加してもよい。「非水系媒体を段階的に添加する」とは、エマルジョンを形成する量の非水系媒体を複数回に分けて添加するものであって、非水系媒体の添加の開始から完了までに非水系媒体を添加していない期間が存在することをいい、「非水系媒体を連続的に添加する」とは、非水系媒体の添加の開始から完了までに非水系媒体を添加していない期間が存在しないことをいう。段階的又は連続的に添加する場合の添加速度は、使用する原材料及び混合装置によって調整すればよく、例えば、樹脂100質量部に対して5質量部/時以上100質量部/時以下であればよい。
本実施形態に係る製造方法では、溶融混合工程及び乳化工程において、樹脂を溶融した状態で維持するため、混合装置における混合槽の内部温度を樹脂のガラス転移温度Tg又は融解温度Tmよりも高い温度に設定することが好ましい。混合槽の内部温度は、例えば、50℃以上100℃以下の範囲に設定されていてもよい。また、混合槽の内部温度は、樹脂のTgよりも5℃以上80℃以下の範囲で高いこと、又は、樹脂のTmよりも0℃以上20℃以下の範囲で高いことが好ましい。混合槽の内部温度が上記範囲にあることにより、樹脂と他の材料とが溶融混合しやすくなるためである。
また、樹脂を溶融した状態で維持する観点から、乳化工程において添加される非水系媒体が樹脂のTg又はTmを超える温度を有することが好ましく、樹脂のTgよりも5℃以上80℃以下の範囲で高い温度を有すること、又は、樹脂のTmよりも0℃以上20℃以下の範囲で高いことがより好ましい。また、上記の観点から、乳化工程において添加される非水系媒体の温度が50℃以上100℃以下であることが好ましい。
本実施形態に係る製造方法に用いる混合装置としては、例えば、樹脂及び分散剤を含有する溶融混合物を収容する容器と、容器内に設けられた攪拌手段と、溶融混合物を加熱する加熱手段とを備える装置が用いられる。本実施形態のエマルジョン製造方法においては、溶融混合工程と乳化工程とを1つの混合装置を用いて行ってもよいし、別々の装置を用いて行ってもよい。溶融混合工程と乳化工程とを1つの装置を用いて行う場合、溶融混合工程と乳化工程とを連続して行う混合装置(以下「連続式混合装置」ともいう)であってもよいし、溶融混合工程が完了した後で乳化工程を開始する「バッチ式」の混合装置であってもよい。
ここで「連続して」行うとは、溶融混合工程により形成された溶融混合物が、順次移送されて乳化工程に供されることをいう。エマルジョン製造工程に用いる連続式混合装置としては、例えば、その内部にある混合槽が、原料を溶融混合して溶融混合物を形成する溶融混合工程を行う領域(以下「溶融混合領域」ともいう)と、溶融混合物に非水系媒体を添加し、機械的なせん断力を付与して、溶融混合物を非水系媒体に分散させる乳化工程を行う領域(以下「分散領域」ともいう)とを有し、当該溶融混合領域と当該分散領域とが隣接していることにより、溶融混合工程と乳化工程とが連続して行われる装置等が挙げられる。
他方、「バッチ式」とは、材料を連続的に供給することなく、予め定められた量の材料を取り出して、取り出した量の材料を処理する方法であって、処理が完了するまで未処理の材料を供給しない方法のことをいう。
本実施形態のエマルジョン製造方法に用いる混合装置の具体例は、例えば、スクリュー又はブレード等の攪拌手段と、加熱ジャケット等の加熱手段とを備える、バッチ型ニーダ、一軸押出機、二軸押出機、加圧式ニーダ、双腕式ニーダ、バンバリーミキサー及びブラベンダーミキサ等が挙げられる。
連続式混合装置としては、例えば、原材料を混合する混合槽の内部にスクリュー又はブレード等の撹拌手段が設けられ、その回転等によって原材料を混合する構造と、得られた混合物を混合槽の投入口側から排出口側へ順次移送する構造とを備えるもの等が挙げられる。連続式混合装置として、より具体的には、1本のスクリューの回転により混合及び移送を行う一軸押出機、並びに、混合及び移送を行うスクリューを2本以上有する二軸押出機等の多軸押出機等が挙げられる。
[温度低下工程]
本実施形態に係る樹脂粒子が非水系媒体に分散されてなる分散液は、例えば、上記の方法により製造されたエマルジョンに対し、エマルジョンの温度を低下させて、前記樹脂の粒子を含有する分散液を得る温度低下工程を行うことにより、製造することができる。本実施形態に係る分散液における樹脂粒子は、エマルジョンにおける分散相が固化されて形成されたものである。よって、分散液に分散されている樹脂粒子の体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、エマルジョンにおける分散相の体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvが維持されると考えられる。
温度低下工程において、エマルジョンの温度を低下させる具体的な方法としては、エマルジョンの温度が樹脂のガラス転移温度Tg未満となる限り、特に制限されない。例えば、混合槽に設けられた公知の冷却装置を用いてエマルジョンを冷却する方法、樹脂のガラス転移温度Tgよりも低い温度、例えば10℃以上30℃以上の温度を有する非水系媒体を添加してエマルジョンを冷却する方法等が挙げられる。また、混合装置から取り出されたエマルジョンを放置して、エマルジョンの温度を室温(例えば20℃)に低下させてもよい。樹脂のガラス転移温度Tgよりも低い温度を有する非水系媒体を添加することによって、エマルジョンの温度を低下させる方法は、粒子同士の凝集を抑制する観点から好ましい。
本実施形態の分散液の製造方法においては、エマルジョンの製造に用いた混合装置を用いて温度低下工程を行ってもよいし、別個の装置を用いて行ってもよい。例えば、連続式混合装置を用いて溶融混合工程、乳化工程及び温度低下工程を連続して行ってもよいし、バッチ式の混合装置を用いて乳化工程が完了した後、温度低下工程を開始してもよい。
本実施形態の製造方法により、例えば、体積平均粒径D50vが1μm以下である樹脂粒子を含有する分散液を製造することができ、更には、体積平均粒径D50vが0.01μm以上0.8μm以下である樹脂粒子を含有する分散液を製造することができる。体積平均粒径D50vが上記の範囲にある樹脂粒子を含有する分散液は、液体現像剤にした際の画像ムラの抑制という観点から好ましい。
また、本実施形態の製造方法により、分散剤を含有する非水系媒体に樹脂を添加した後、混合物に高速のせん断力を付与することにより当該エマルジョンを製造する場合と比較して、より狭い粒度分布を有する樹脂粒子を含有する分散液を製造することができる。本実施形態の製造方法により、例えば、体積平均粒度分布指標GSDvが1以上2以下である樹脂粒子を含有する分散液、更には、1以上1.5以下である樹脂粒子を含有する分散液を製造することができる。体積平均粒度分布指標GSDvが上記の範囲にある樹脂粒子を含有する分散液は、当該分散液を用いて液体現像剤を作製した際に、副材料(顔料等)の均一分散性が良好となり、画質が良化するという観点から好ましい。
分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、以下のようにして求めることができる。例えば、FPAR−1000(大塚電子株式会社製、濃厚系粒径アナライザー)等の測定器を用いて、樹脂粒子の粒度分布を測定する。測定された粒度分布を基に、分割された粒度範囲(チャネル)の各区間における樹脂粒子の体積について、粒径の小さい方からの累積分布を描く。次いで、全累積量に対して、累積16%となる粒径をD16v、累積50%となる粒径をD50v、累積84%となる粒径をD84vと定義する。このとき、D50vは体積平均粒径を表し、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として求められる。
本実施形態に係る分散液の製造方法は、水系媒体又は非水系媒体を除去しなくても、樹脂粒子が非水系媒体に分散されている分散液を製造でき、なお且つ、当該樹脂粒子は、上記の好適な体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvを有する。そのため、本実施形態に係る分散液の製造方法は、水系媒体又は非水系媒体を除去する工程を行わなくてもよいため、製造にかかるエネルギー及び工程数を抑制できるという利点を有する。本実施形態に係る分散液が好適な体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvを有する理由は、本実施形態の製造方法が、転相乳化法を用いてエマルジョンを製造するためと考えられる。
図1に示す二軸押出機10を連続式混合装置として用いて、本実施形態の分散液を製造する場合について、より具体的に説明する。
図1に示す二軸押出機10は、シリンダー12、スクリュー(図示せず)、原料投入口14、分散剤投入口16及び排出口24を備える。シリンダー12の内部が混合槽であり、シリンダー12には加熱のためのヒーター(図示せず)が備えられている。図1に示す二軸押出機10では、シリンダー12の内部は10区画の分室(バレル)に分けられているが、分室(バレル)の数はこれに限定されない。各バレルごとに温度条件を設定し、また、各バレルに対応した凹凸や溝の形状を有するスクリューを用いること等により、各バレルごとに、目的とする処理、例えば、供給、圧縮、混合(混練)及び計量等を行うことができる。図1に示す二軸押出機10においては、シリンダー12の3バレル目、5バレル目、7バレル目及び9バレル目に非水系媒体投入口20、21、22及び23が、それぞれ設けられている。
樹脂は、樹脂供給機30により原料投入口14からシリンダー12の1バレル目にある樹脂供給バレル42に供給される。分散剤は、分散剤供給機32により分散剤投入口16からシリンダー12の内部に供給される。非水系媒体は、ヒーター40を備える非水系媒体タンク38に貯蔵され、ポンプ28により、非水系媒体供給ライン26を経て、非水系媒体投入口20、21、22及び23からシリンダー12の内部に供給される。
シリンダー12の樹脂供給バレル42に供給された樹脂及び分散剤を含む原料は、スクリューの回転によって、混合されながら恒温域44に移送される。恒温域44に移送された樹脂はシリンダー12により加熱されて溶融し、樹脂及び分散剤が溶融混合することによって、溶融混合物が形成される。なお、上記の通りバレルの温度は各バレルごとに設定されるものであり、恒温域44にある全てのバレルが同程度の温度に設定されるとは限らない。
次いで、シリンダー12の恒温域44に、樹脂のガラス転移温度Tgを超える温度に加熱された非水系媒体を投入し、溶融混合物と非水系媒体とをスクリューの回転によって混合することにより、溶融混合物と非水系媒体とを転相乳化させる乳化工程を行う。このときのスクリューの回転速度は、使用する樹脂、非水系媒体及び分散剤等の原材料並びにシリンダー12の温度によって異なるが、例えば、100rpm以上1200rpm以下(周速として0.02m/s以上3m/s以下)の範囲であって、シリンダー12の内容物に対して高速のせん断力を付与するものではない。
乳化工程に用いられる非水系媒体は、非水系媒体投入口20、21及び22の3ヶ所から、段階的にシリンダー12の内部に投入される。非水系媒体投入口20、21及び22からの非水系媒体の投入量は、ポンプ28によって調整される。このようにして、溶融混合工程と乳化工程とを1つの装置を用いて連続して行い、樹脂を含む分散相が非水系媒体を含む連続相に分散されてなるエマルジョンを形成することができる。
なお、上記の製造方法においてエマルジョンが形成されたことは、例えば、9バレル目以降において下記の温度低下工程を行わず、排出口24から取り出すことにより確認することができる。また、シリンダー12の8バレル目及び9バレル目等に設けたサンプリング口(図示しない)からシリンダー12の内容物を取り出すことにより、確認することができる。
続けて、樹脂のガラス転移温度Tgよりも低い温度を有する非水系媒体を、非水系媒体投入口23からシリンダー12の内部に投入し、エマルジョンと当該非水系媒体とをスクリューの回転によって混合することにより、エマルジョンの温度を低下させる温度低下工程を行う。非水系媒体投入口23からの非水系媒体の投入量は、ポンプ28によって調整される。このようにして、溶融混合工程、乳化工程及び温度低下工程を1つの装置を用いて連続して行い、樹脂粒子が非水系媒体に分散されてなる分散液を形成し、形成された分散液を排出口24から取り出すことができる。
<分散液の原材料>
本実施形態に係る製造方法で製造される分散液を構成する各種原材料について説明する。
[樹脂]
本実施形態の製造方法に用いられる樹脂は、高分子の有機化合物である限り特に制限されず、合成樹脂及び天然樹脂のいずれも使用でき、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、結晶性樹脂及び非晶性樹脂のいずれも使用できる。
樹脂の具体例としては、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等を含有する縮合系樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合によって合成される高分子化合物である。多価ジカルボン酸としては、例えば脂肪族ジカルボン酸、より詳しくは、炭素数が2以上12以下である直鎖型アルキル基の両端にそれぞれカルボン酸が置換してなる直鎖型脂肪族ジカルボン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、多価アルコールとしては、例えば脂肪族ジオール、より詳しくは、炭素数が2以上12以下である直鎖型アルキル基の両端にそれぞれ水酸基が置換してなる直鎖型脂肪族ジオール等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限はなく、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマの種類によって使い分けて製造する。多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させる際のモル比は、反応条件等によっても異なるが、通常1:1程度である。
また、樹脂の具体例としては、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体、及びそれらの混合物等を含有する、ビニル系樹脂が挙げられる。ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル系単量体、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系単量体、エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン系単量体等が挙げられるが、これらに限定されない。
樹脂の具体例としては、更に、縮合系樹脂とビニル系樹脂との混合物、これら縮合系樹脂の共存下で上記ビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。本実施形態の製造方法においては、これらの樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂のガラス転移温度Tgは、樹脂を溶融させてエマルジョンを製造する観点から、40℃以上100℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。
樹脂の重量平均分子量Mwは、樹脂の種類にもよるが、例えば、5,000以上150,000以下の範囲に含まれていればよい。樹脂がポリエステル樹脂である場合は、液体現像剤の結着樹脂として用いたときにホットオフセット性と最低定着温度の両立に優れるため、ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwが10,000以上80,000以下の範囲に含まれることが好ましい。
本実施形態の製造方法に使用する樹脂としては、最低定着温度の観点から、ポリエステル樹脂が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
[非水系媒体]
本実施形態の製造方法に使用する非水系媒体は、本実施形態の製造方法において使用される温度範囲において液体であって、なお且つ、樹脂を溶解しない非水系液体媒体である限り、特に制限されない。非水系媒体が「樹脂を溶解しない」とは、非水系媒体に対する樹脂の溶解度が1質量%以下であることをいう。転相乳化法における相分離の観点から、非水系媒体に対する樹脂の溶解度が1質量%以下となる樹脂及び非水系媒体の組合せを用いて、本実施形態のエマルジョン製造方法を行うことが好ましい。
非水系媒体に対する樹脂の溶解度の測定は、次のように実施することができる。非水系媒体を用意して、100gの非水系媒体を計りとり、そこに樹脂を100g加え、樹脂のTgよりも10℃高い温度において攪拌する。次に、得られた混合物を濾過し、樹脂の未溶解分の質量を測定することで、非水系媒体に対する樹脂の溶解量を求める。非水系媒体に対する樹脂の溶解度(質量%)は、上記で測定された樹脂の溶解量(質量g)を非水系媒体の質量(質量g)で除し、100を掛けることにより、得られる。
非水系媒体の具体例としては、例えば、パラフィンオイル等の非環式脂肪族炭化水素を主成分とする非環式脂肪族炭化水素系媒体、ナフテン系オイル等の脂環式炭化水素を主成分とする脂環式炭化水素系媒体、非環式脂肪族炭化水素系媒体及び脂環式炭化水素系媒体から選択される少なくとも1種とトルエン等の芳香族化合物との混合媒体等が挙げられる。ここで「主成分とする」とは、総量に対する含有量が50質量%以上であることをいう。
また、非水系媒体の具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン及びメチルハイドロジェンシリコーン等のシリコーンオイル、大豆油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油及びホホバ油等の植物油、ガソリン等の鉱物油等が挙げられる。本実施形態の製造方法に使用する非水系媒体は、1種類単独であってもよいし、2種類以上の混合媒体であってもよい。
非環式脂肪族炭化水素系溶媒の市販品としては、松村石油株式会社製の製品名「モレスコホワイトMT−30P」、「モレスコホワイトP40」及び「モレスコホワイトP70」、並びに、エクソン化学社製の「アイソパーL」及び「アイソパーM」等(いずれもパラフィンオイルである)が挙げられる。脂環式炭化水素系溶媒の市販品としては、エクソン化学社製の「エクソールD80」、「エクソールD100」及び「エクソールD130」、並びに、日本石油化学株式会社製の製品名「ナフテゾールL」、「ナフテゾールM」、「ナフテゾールH」、「Newナフテゾール160」、「Newナフテゾール200」、「Newナフテゾール220」及び「NewナフテゾールMS−20P」等(いずれもナフテン系オイルである)が挙げられる。
[分散剤]
本実施形態の製造方法に用いる分散剤としては、使用する非水系媒体に対して相溶性を有し、溶融した樹脂と非水系媒体とのエマルジョンを形成できる化合物であればいずれも使用できる。分散剤が非水系媒体に対して「相溶性を有する」とは、例えば、非水系媒体に対する分散剤の溶解度が、99質量%以上であることをいう。分散性の観点から、非水系媒体に対する溶解度が99質量%以上である分散剤は、好ましい。非水系媒体に対する分散剤の溶解度は、上記の非水系媒体に対する樹脂の溶解度の測定方法に準じて、測定することができる。
分散剤としては、使用する樹脂及び非水系媒体によって異なるが、例えば、顔料分散剤、分散安定剤、乳化剤、界面活性剤、又は、安定化剤等と称される公知の化合物等が使用できる。分散剤としては、顔料を有機溶剤中に安定して分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと脂肪酸エステルとの塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、不飽和脂肪酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート等が好適に使用される。
分散剤としては、例えば、アニオン系分散剤、カチオン系分散剤及び非イオン系分散剤等が挙げられ、1種単独で併用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。アニオン系分散剤としては、例えば、脂肪酸の金属塩、硫酸エステル及びリン酸エステル、並びに、脂肪族又は芳香族炭化水素のスルホン酸塩等が挙げられる。カチオン系分散剤としては、例えば、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選択される置換基を有する4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。非イオン系分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコール等が挙げられる。
また、分散剤としては、分散性等の観点から、高分子量の分散剤、例えば、重量平均分子量Mwが2000以上である分散剤を使用することが好ましい。高分子量の分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと脂肪酸エステルの塩、ポリカルボン酸塩、不飽和脂肪酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が挙げられるが、これらに限定されない。
市販されている分散剤としては、EFKA CHEMICALS社製の製品名「EFK47」、「EFKA4009」及び「EFKA4010」(いずれも変性ポリウレタン系分散剤)、味の素株式会社製の製品名「アジスパーPB711」及び「アジスパーPN411」(高級脂肪酸エステル)、楠本化成株式会社製の製品名「ディスパロン DA−703−50」、「ディスパロン DA−705」、「ディスパロン DA−725」(いずれもポリエステル系分散剤)、楠本化成株式会社製の製品名「ディスパロン DA−400N」(ポリアミド系分散剤)、Lubrizol社製の製品名「ソルスパース13940」(ポリエステルアミン系分散剤)、信越化学株式会社製の製品名「KF−857」及び「KF−880」(いずれも変性シリコーン)等が挙げられる。
分散剤の種類は、使用する樹脂及び非水系媒体に応じて、それらとの相溶性の観点から選択すればよい。例えば、樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、且つ、非水系媒体が非環式脂肪族炭化水素系媒体である場合、相溶性の観点から、分散剤としてソルスパース13940及びKF−857等を使用することが好ましい。
分散剤の使用量は、分散液の樹脂粒子の体積平均粒径D50v、並びに、樹脂及び非水系媒体の使用量等に応じて選択すればよく、例えば、樹脂に対して1質量%以上70質量%以下の範囲とすることができる。より小さい体積平均粒径D50vを有するエマルジョン及び分散液を製造する観点から、分散剤の使用量は、樹脂に対して5質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましい。
本実施形態のエマルジョン及び分散液の製造方法においては、上記の効果を妨げるもので無い限り、その使用目的に応じて、各種添加剤を添加してもよい。そのような添加剤としては、例えば、顔料等の着色剤、離型剤、帯電制御剤及びフィラー等の公知の添加剤が挙げられる。添加剤の添加方法は特に限定されず、例えば、溶融混合工程において分散剤とともに添加剤を添加してもよいし、樹脂と添加剤とを混合した後、溶融混合工程においてこれらの混合物と分散剤とを溶融混合してもよい。
<液体現像剤の製造>
本実施形態に係る分散液の製造方法における溶融混合工程において、樹脂及び分散液に、着色剤粒子及び離型剤粒子を混合することにより、本実施形態に係る分散液である液体現像剤を製造することができる。
混合工程において用いられる着色剤の種類及び使用量は、特に制限はなく、所望の色に応じて、無機系又は有機系の染料又は顔料等を選択すればよい。混合工程において使用する離型剤の種類及び使用量についても、特に制限はなく、例えば、低分子量ポリオレフィン類、軟化点を有するシリコーン類、脂肪酸アミド類、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系又は石油系ワックス、及び、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルワックス等を使用することができる。
本実施形態に係る分散液は、分散媒が非水系媒体であるために、液体現像剤に使用できるという利点を有する。本実施形態に係る分散液の樹脂粒子は、体積平均粒径が小さく且つ粒度分布が狭いことから、本実施形態に係る分散液を用いて液体現像剤を作製した際、副材料(顔料等)の分散性が良く画質が良い液体現像剤を製造できる。よって、本実施形態に係る製造方法は、液体現像剤の製造において有用である。
本実施形態の製造方法により製造された分散液及び分散液は、樹脂粒子の粒度分布が狭いという利点を有するため、液体現像剤の製造のみならず、例えば、インク、塗料等の用途においても有用である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[測定及び評価]
樹脂のガラス転移温度Tgは、ASTMのD3418−8に準拠した示差走査熱量測定により行い、示差走査熱量計(株式会社島津製作所製、DSC−50)を用いて、1回目の昇温過程で得られたDSC曲線の吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度をもって、ガラス転移温度Tgとした。
樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(東ソー株式会社製、HLC−8120GPC、SC−8020)を用いて測定された。なおカラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー株式会社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6mL/分、サンプル注入量10μL、測定温度40℃、RI(Refractive Index)検出器を用いて実験を行った。
分散液に分散している樹脂粒子の体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、FPAR−1000(大塚電子株式会社製、濃厚系粒径アナライザー)を用いて測定した。測定された分散液中の樹脂粒子の体積平均粒度分布指標GSDvを、以下の基準により評価した。
○:1以上1.5未満
△:1.5以上2.0未満
×:2.0以上
[実施例1]
<非晶性ポリエステル樹脂A1の作製>
攪拌装置、窒素導入管、温度センサー、及び精留塔を備えた内容量5Lのフラスコに、下記の材料を投入した。
・テレフタル酸 : 30モル部
・フマル酸 : 70モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 : 5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物 : 95モル部
次いで、1時間かけてフラスコ内の温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対して1部のチタンテトラエトキシド(触媒)を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間かけて230℃まで温度を上げ、該温度で3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却し、非晶性ポリエステル樹脂(樹脂A1)を作製した。この樹脂A1の重量平均分子量Mwは18500であり、ガラス転移温度Tgは59℃であった。
<O/O型エマルジョンD1の作製>
樹脂A1を100部と、分散剤B1(味の素株式会社製、製品名「アジスパーPN411」)30部を、95℃に設定した内容量5Lのニーダーに投入した。ブレード回転数30rpmで撹拌しながら、30分間混合することにより、樹脂A1及び分散剤B1を溶融混合した。回転数30rpmで撹拌しながら、ニーダーの蓋の上部に設置した添加ラインから、90℃に加熱した非水系媒体C1(松村石油株式会社製、製品名「モレスコホワイトMT−30P」)を50部/時の添加速度で、計200部添加した。これにより、樹脂A1を含む分散相と非水系媒体C1を含む連続相とで形成されたO/O型エマルジョンD1を得た。非水系媒体C1に対する樹脂A1の溶解度は0.01%であり、非水系媒体C1に対する分散剤B1の溶解度は100%であった。
<分散液E1の作製>
O/O型エマルジョンD1を25℃に設定したウォーターバス中で水浴させながら攪拌することで25℃に冷却し、樹脂A1の粒子が非水系媒体C1に分散している分散液E1を得た。分散液E1に含まれる樹脂A1の粒子の体積平均粒径D50vは350nmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.29であり、体積平均粒度分布指標の評価は○であった。
[実施例2]
<O/O型エマルジョンD2の作製>
図1に示す二軸押出機10(東芝機械株式会社製、製品名「TEM−26SS」)に、樹脂A1を原料投入口14から、分散剤B1を分散剤投入口16から、それぞれ投入して、樹脂A1及び分散剤B1の溶融混合物を作製した。樹脂A1の添加速度は100部/時であり、分散剤B1の添加速度は30部/時であった。1バレル目のバレル温度を30℃に、2バレル目から8バレル目までのバレル温度を95℃、9バレル目のバレル温度を60℃、10バレル目のバレル温度を30℃に、スクリュー回転数を500rpmに、それぞれ設定した。90℃に加熱した非水系媒体C1を、二軸押出機10の3バレル目にある非水系媒体投入口20から20部/時の添加速度で、5バレル目にある非水系媒体投入口21から30部/時の添加速度で、7バレル目にある非水系媒体投入口22から30部/時の添加速度で、それぞれ添加した。8バレル目の終端におけるシリンダー12の内容物をサンプリングしたところ、樹脂A1を含む分散相と非水系媒体C1を含む連続相とで形成されたO/O型エマルジョンD2が製造されていることが確認された。
<分散液E2の作製>
次いで、20℃の非水系媒体C1を9バレル目にある非水系媒体投入口23から120部/時の添加速度で添加した。これにより、O/O型エマルジョンD2を50℃に冷却し、樹脂A1の粒子が非水系媒体C1に分散している分散液E2を排出口24から取り出した。分散液E2に含まれる樹脂A1の粒子の体積平均粒径D50vは260nmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.26であり、体積平均粒度分布指標の評価は○であった。
[実施例3]
<樹脂A2の作製>
キシレン100部を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lのフラスコに入れ、液温を130℃に上げた。そこに、スチレンを100部、アクリル酸2−エチルヘキシルを300部、フタル酸ジブチルを10部の混合液を、液温を130℃に保持しながら、攪拌下、2時間かけて滴下し、更に2時間130℃に保持して重合反応を行った。その後、液温を160℃に上げて1時間反応を行った後、液温を200℃に上げて2時間保持して、キシレンを除去した。更にフラスコ内部の気圧を8kPaにして残りのキシレンを除去することにより、樹脂A2を得た。樹脂A2の重量平均分子量Mwは16200であり、ガラス転移温度Tgは56℃であった。
<O/O型エマルジョンD3の作製>
樹脂A2、分散剤B2(信越化学社製、製品名「KF−857」)及び非水系媒体C2(エクソン化学社製、製品名「エクソールD80」)を用いて、実施例1におけるO/O型エマルジョンD1の作製方法と同様の方法で、樹脂A2及び分散剤B2を溶融混合し、樹脂A2を含む分散相と非水系媒体C2を含む連続相とで形成されたO/O型エマルジョンD3を得た。非水系媒体C2に対する樹脂A2の溶解度は0.01%であり、非水系媒体C2に対する分散剤B2の溶解度は100%であった。
<分散液E3の作製>
O/O型エマルジョンD3を用いて、実施例1における分散液E1の作製方法と同様の方法で、分散液E3を得た。分散液E3に含まれる樹脂A2の粒子の体積平均粒径D50vは720nmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.73であり、体積平均粒度分布指標の評価は△であった。
[実施例4]
<O/O型エマルジョンD4の作製>
樹脂A1、分散剤B3(Lubrizol社製、製品名「ソルスパース13940」)及び非水系媒体C1を用いて、実施例1におけるO/O型エマルジョンD1の作製方法と同様の方法で、樹脂A1及び分散剤B3を溶融混合し、樹脂A1を含む分散相と非水系媒体C1を含む連続相とで形成されたO/O型エマルジョンD4を得た。非水系媒体C1に対する分散剤B3の溶解度は100%であった。
<分散液E4の作製>
O/O型エマルジョンD4を用いて、実施例1における分散液E1の作製方法と同様の方法で、分散液E4を得た。分散液E4に含まれる樹脂A1の粒子の体積平均粒径D50vは280nmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.29であり、体積平均粒度分布指標の評価は○であった。
[実施例5]
<O/O型エマルジョンD5の作製>
樹脂A1及び分散剤B1及び非水系媒体C3(エクソン化学社製、製品名「アイソパーL」)を用いて、実施例1におけるO/O型エマルジョンD1の作製方法と同様の方法で、樹脂A1及び分散剤B1を溶融混合し、樹脂A1を含む分散相と非水系媒体C3を含む連続相とで形成されたO/O型エマルジョンD5を得た。非水系媒体C3に対する樹脂A1の溶解度は0.01%であり、非水系媒体C3に対する分散剤B1の溶解度は100%であった。
<分散液E5の作製>
O/O型エマルジョンD5を用いて、実施例1における分散液E1の作製方法と同様の方法で、分散液E5を得た。分散液E5に含まれる樹脂A1の粒子の体積平均粒径D50vは340nmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.27であり、体積平均粒度分布指標の評価は○であった。
[比較例1]
<O/O型エマルジョンD6の作製>
200部の非水系媒体C1に30部の分散剤B1を添加し、混合した。次いで分散剤B1を含む非水系媒体C1に100部の樹脂A1を添加し、ウルトラタラックス(IKA社製)を用いて3000rpmで攪拌しながら昇温を開始した。分散液の温度が150℃になった時点で回転数を6000rpmに上げ、温度を維持しながら30分間攪拌を行い、高速のせん断力の付与により、樹脂A1を含む分散相と非水系媒体C1を含む連続相とで形成されたO/O型エマルジョンD6を得た。
<分散液E6の作製>
O/O型エマルジョンD6を用いて、実施例1記載の分散液E1の作製方法と同様の方法で、分散液E6を得た。分散液E6に含まれる樹脂A1の粒子の体積平均粒径D50vは7.8μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは2.12であり、体積平均粒度分布指標の評価は×であった。
実施例1〜5及び比較例1の結果が示すように、樹脂と分散剤とを溶融混合して溶融混合物を形成する溶融混合工程と、樹脂を溶解しない非水系媒体を溶融混合物に添加して乳化する乳化工程とを含む、分散液の製造方法により、分散剤を含有する非水系媒体に樹脂を添加した後、高速のせん断力を付与してエマルジョンを製造する場合と比較して、高速のせん断力を付与しなくても、体積平均粒径が小さい樹脂粒子を含有する分散液を製造した。
10 二軸押出機、12 シリンダー、14 原料投入口、16 分散剤投入口、20,21,22,23 非水系媒体投入口、24 排出口、26 非水系媒体供給ライン、28 ポンプ、30 樹脂供給機、32 分散剤供給機、38 非水系媒体タンク、40 ヒーター、42 樹脂供給バレル、44 恒温域。

Claims (4)

  1. 樹脂と分散剤とを溶融混合して溶融混合物を形成する溶融混合工程と、前記樹脂を溶解しない非水系媒体を前記溶融混合物に添加して乳化する乳化工程とを含む、前記樹脂の粒子を含有する分散液の製造方法であって、
    得られる前記樹脂の粒子の体積平均粒径が1μm以下であることを特徴とする分散液の製造方法
  2. 前記樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の分散液の製造方法。
  3. 前記分散剤が、重量平均分子量が2000以上である分散剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の分散液の製造方法。
  4. 前記非水系媒体が、非環式脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散液の製造方法。
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