JP2005128176A - トナーの製造方法 - Google Patents

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JP2005128176A JP2003362416A JP2003362416A JP2005128176A JP 2005128176 A JP2005128176 A JP 2005128176A JP 2003362416 A JP2003362416 A JP 2003362416A JP 2003362416 A JP2003362416 A JP 2003362416A JP 2005128176 A JP2005128176 A JP 2005128176A
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Abstract

【課題】 機械的強度に優れ、帯電特性の環境依存性を抑制したトナーを簡易な製造方法で得る。
【解決手段】 1,9−ノナンジオールとテレフタル酸ジメチルとからポリエステル系樹脂を重合する。数平均分子量が7200、分散度が3.8の結晶性ポリエステルを得る。ポリエステルと純水と着色剤等の添加剤とを反応容器に仕込む。130℃で、大気圧+(0.2MPa)に加圧する。高剪断をかけて0.3μmのポリエステル分散物が含まれる乳化液となる。この液を20℃に冷却すると分散物が凝集して粒子径が3μmとなる。この分散物を乾燥して外添剤を添加すると、樹脂を粉砕することなくトナーが得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、トナーの製造方法に関し、更に詳しくは電子写真技術に用いられるトナーの製造方法に関するものである。
近年、コンピュータの発達に伴い、コピー機やプリンターなどの様々な画像記録システムが用いられて、特にビジネス分野,印刷分野においては、コピー機やプリンターなどは、電子写真用トナー(以下、トナーと称する)を用いた電子写真法が行われている。トナーの主材料である結着樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などのポリマーが用いられている。トナーとして所望のサイズの微粒子とする際に、これら樹脂を合成した後に粉砕する粉砕法や、付加重合により微粒子化する重合法が用いられている。
特に、分子量が略均一に合成できる連鎖重合法の1つである付加重合により合成されるスチレン−アクリル系樹脂が多く用いられている。しかしながら、スチレン−アクリル系樹脂には、以下の欠点がある。
(1)高温での溶融性(シャープメルト)に欠けるため、常温近くで柔らかくして定着性を付与するため、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の低下、低分子量化が必要であり、耐ブロッキング(もろさ)性、脆性(ひび割れ)などの機械的強度との両立が難しい。
(2)スチレン−アクリル系ポリマーは、それに含有されている可塑剤による可塑化効果が大きく、例えばこれらと接着した状態で保存されると、接着し、剥がれなくなってしまう。
近年、電子写真のカラー化が求められており、結着樹脂の更なる微粒子化が必要になっている。しかしながら、粉砕法ではポリマーを微粒子にする工程がエネルギー効率が最も悪い工程であり、コスト高の原因となる。そこで、モノマーを連鎖重合して、直接微粒子ポリマーを得る重合法が再度注目されている。しかしながら、重合法は、適用できるポリマーの種類がビニル系ポリマーなど連鎖重合法により合成されるものに限定されてしまい、カラー用結着樹脂として優れた機械的特性、光学的特性を有するポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などは逐次重合法により合成されるために適用ができない。また、フルカラートナーの結着樹脂は、支持体(多くは紙である)上で速やかに溶融する必要があり、結着樹脂の低分子化が必要である。前述したようにスチレン−アクリル系樹脂は、低分子化すると機械的強度が弱くなるためにフルカーラー用トナーへ適用することが困難である。
ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を用いると、前述したビニル系ポリマーの欠点を解決できるため、それら樹脂をトナー原料とする方法が開発されている。例えば、ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させた後に、乳化剤を添加して乳化液とした後に凝縮させる方法がある(例えば、特許文献1及び2。)。また、ポリエステルにスルホン酸基を導入したスルホン酸基含有ポリエステルを用いると、乳化が容易となると共に着色剤である顔料の分散が容易となり、フルカラー用トナーとして好ましく用いることも知られている(例えば、特許文献3及び4。)。
特開2000−250256号公報 特開2000−250261号公報 特開2001−305796号公報 特開2002−82485号公報
しかしながら、乳化液を凝集させる方法は、有機溶媒を除去する工程が必要であり、製造プロセスが複雑になりコスト高の原因となるばかりでなく、結着樹脂のサイズの不均一化を招く場合がある。また、スルホン酸基含有ポリエステルからは乳化物が得られやすいが、極性が高いスルホン酸基を含んでいるため、トナーの帯電特性が環境、特に湿度依存性が大きくなる傾向が生じる。そのため、帯電特性を改善する手段を更に講じる必要が生じている。また、それらの結着樹脂を用いたトナーにより現像を行う際に、高湿条件で支持体への接着が悪いという問題もある。
本発明の目的は、支持体へ低温定着を良好にし、機械的強度に優れ、可塑剤による可塑化効果を抑制し、帯電特性の環境依存性を抑制し、かつ製造プロセスを簡易にした電子写真用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明者は、スルホン酸基を含有しないポリエステルであっても、溶媒に水を用いて高温高圧下にすると、ポリエステル樹脂が溶解低粘度化して微細乳化(微粒子化)することが可能であることを見出した。その微粒子をコア部とし凝縮法によりポリエステルを凝集すると、結着樹脂に好ましい粒子径となることを見出した。
本発明のトナーの製造方法は、ポリエステルを水に分散させポリエステル分散液を製造する第1工程と、前記ポリエステル分散液中のポリエステルを凝集させる第2工程とを含む。前記ポリエステルが、ジオール化合物とジカルボン酸とから重合されたものであって、前記ジオール化合物にはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物,エチレングリコール,プロピレングリコール,ブタンジオール,ネオペンチルグリコールのうちの少なくとも1つを用い、前記ジカルボン酸にはマレイン酸,フマル酸,テレフタル酸,イタコン酸,コハク酸のうちの少なくとも1つを用いるがこと好ましい。前記ポリエステルの数平均分子量が2500〜70000の範囲であり、かつ、(重量平均分子量/数平均分子量)で示される多分散度が、3.0〜15.0の範囲のものを用いることが好ましい。前記ポリエステルが、ポリマー末端のカルボキシル基と水酸基と以外には極性基を有していないものを用いることが好ましい。
前記ポリエステルが結晶性ポリマーであって、前記第1工程を行う際に、前記ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが好ましい。前記ポリエステルが結晶性ポリマーであって、前記第1工程を行う際に、前記ポリエステルの融解温度(Tm)以上に加熱することがより好ましい。前記ポリエステルが非晶性ポリマーであって、前記第1工程を行う際に、前記ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが好ましい。
前記ポリエステルと前記水との重量比が、5重量部:100重量部〜100重量部:100重量部であることが好ましい。前記第1工程の際に、0.1MPa〜1MPaの範囲に加圧して前記ポリエステル分散液を製造することが好ましい。前記第1工程の際に、70℃〜200℃の範囲に加熱して前記ポリエステル分散液を製造することが好ましい。
前記第2工程を行う際に、前記ポリエステル分散液を5℃〜30℃の範囲として、ポリエステル分散物を凝集させることが好ましい。前記ポリエステル分散物の平均粒子径を2μm〜15μmの範囲に凝集させることがより好ましい。
本発明のトナーの製造方法によれば、ポリエステルを水に分散させポリエステル分散液を製造する第1工程と、前記ポリエステル分散液中のポリエステルを凝集させる第2工程とを含み、破砕工程の実施が不要であるので、製造プロセスを容易にすることができる。
本発明のトナーの製造方法によれば、ポリエステルを水に分散させポリエステル分散液を製造する第1工程と、前記ポリエステル分散液中のポリエステルを凝集させる第2工程とを含み、前記ポリエステルの数平均分子量が2500〜70000の範囲であり、かつ、(重量平均分子量/数平均分子量)で示される多分散度が、3.0〜15.0の範囲のものを用いるから、支持体への低温定着を良好にし、機械的強度に優れ、可塑剤による可塑化効果を抑制し、かつ製造プロセスを容易にすることができる。
本発明のトナーの製造方法によれば、ポリエステルを水に分散させポリエステル分散液を製造する第1工程と、前記ポリエステル分散液中のポリエステルを凝集させる第2工程とを含み、前記ポリエステルの数平均分子量が2500〜70000の範囲であり、かつ、(重量平均分子量/数平均分子量)で示される多分散度が、3.0〜15.0の範囲であり、前記ポリエステルが、ポリマー末端のカルボキシル基と水酸基と以外には極性基、特にスルホン酸基を有していないから、支持体への低温定着を良好にし、機械的強度に優れ、帯電特性の環境依存性を抑制し、可塑剤による可塑化効果を抑制し、かつ製造プロセスを容易にすることができる。
以下、本発明のトナーの製造方法に用いられる結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、外添剤を説明した後に、トナーの製造方法を説明する。なお、本発明のトナーの製造方法に用いられる各種の材料は下記で説明するものに限定されるものではない。
[結着樹脂]
本発明の結着樹脂には、ポリエステル系樹脂(化1参照)、ポリエポキシ系樹脂が用いられる。ポリエステル系樹脂には、化1中のRが[−(CH2 2 −]であるポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)や、Rが[−(CH2 4 −]であるポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと称する)などが挙げられるが、本発明はそれらに限定されず、ジオール化合物とジカルボン酸化合物とからエステル結合により重合されるポリマーであればよい。例えば、ジオール化合物として、ビスフェノールA(2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン)及びその誘導体(例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン,ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン,ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンなど),エチレングリコール,プロピレングリコール等が好ましく用いられ、ジカルボン酸化合物としては、マレイン酸,フマル酸,テレフタル酸,イタコン酸,コハク酸等が好ましく用いられる。
Figure 2005128176
(結着樹脂の製造方法)
ポリエステル系樹脂の製造方法も公知の方法のいずれを用いてもよい。一例としてPETの製造方法を示すが、本発明に用いられるポリエステルの製造方法はそれに限定されるものではない。過剰のエチレングリコール(ジオール化合物)中にジメチルテレフタレート(ジカルボン酸)を仕込み、触媒にアンチモン化合物(三酸化アンチモン)またはゲルマニウム化合物(二酸化ゲルマニウム)などを適当量添加し、150℃〜200℃の範囲に加熱し続け、エステル交換反応を進行させ、その際に発生するメタノールを留去し続ける。この反応によりオリゴマーであるビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが得られ、さらに、反応を進行させPETを得る。
本発明において用いられるポリエステルには、ポリマー末端のカルボキシル基と水酸基と以外には極性を有する官能基(例えば、スルホン酸基,硫酸エステル基,リン酸エステル基など)がポリマー中に導入されていないものを用いることが好ましい。前述したように、ポリエステルをトナーの結着樹脂として用いる際に、極性を有する官能基によりトナーの帯電特性が湿度に依存して変化してしまうからである。しかしながら、ポリエステル系樹脂の二塩基酸成分の一部をスルホン酸基を有するものに変更することで、後述するポリエステルの乳化が促進されて好ましい場合もある。本発明では、ポリエステルの二塩基酸成分の繰り返し単位の0〜7モル%が、スルホン酸基またはその他の極性基に置換されていてもよい。
スルホン酸基を有する2価のカルボン酸の一例としては、下記一般式(I)で示される構造が挙げられる。
A(SO3 - + n 2 ・・(I)
上記一般式(I)中、Aは、直鎖状,分岐状,環状もしくはこれらを複数有する炭化水素原子団を表わしている。また、X+ は、H+ ,Na+ ,K+ ,Li+ からなる群から選ばれる1価の陽イオンを表わし、nは、1〜3の整数を表わしている。また、Zは、カルボキシル基を表わしている。なお、一般式(I)で中のZで表わされるカルボキシル基はエステル化して、アルキルエステルを形成していても良い。さらに、Zで表わされる2個のカルボキシル基から脱水が生じて、環を形成する無水物であっても良い。
なお、本発明の結着樹脂にはエポキシ系樹脂を用いることも可能である。エポキシ系樹脂には、エピクロルヒドリンとビスフェノールAとを重合させて得られるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
トナーを白黒用複写機(以下、コピー機及びプリンターの総称として用いる)に用いる場合には、数平均分子量が、2500〜70000の範囲のポリマー(ポリエステル)を用いることが好ましい。また、フルカラー用複写機に用いる場合には、数平均分子量が2500〜20000の範囲であることが好ましい。いずれの場合でも、数平均分子量が2500未満であると、そのポリマーをトナーの結着樹脂に用いた場合に、機械的強度が不足して現像に悪影響を及ぼす場合がある。また、数平均分子量が70000を超えると分散し難くなり、乳化液(分散液)の製造が困難になる場合がある。
ポリマー(ポリエステル)の分子量分布は、略均一なものを用いることがより好ましい。トナーを製造した際に、その粒子径が略均一となり易く、電子写真用の支持体上に発現される画像の乱れが抑制される。本発明において、結着樹脂(ポリエステル)の数平均分子量が2500〜70000の範囲である場合、分子量分布は、(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)で求められる多分散度dが3.0〜15.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは4.0〜10.0の範囲である。しかしながら、本発明において用いられる結着樹脂(ポリエステル系樹脂)の数平均分子量及び多分散度(d)は、前述した範囲に限定されるものではない。本発明におけるトナーは、結着樹脂と後述する着色剤を主成分として構成されるが、その平均粒子径(以下、サイズとも称する)は2μm〜15μmの範囲、特に3μm〜8μmの範囲にあるものが好ましく使用される。
結着樹脂(ポリエステル系樹脂)は、結晶性樹脂(結晶性ポリマー)であってもよいし、非晶性樹脂(非晶性ポリマー)であってもよい。結晶性ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)と融解温度(Tm)を持つ。また、非晶性ポリマーでは、ガラス転移温度(Tg)のみを持つ。なお、PETのTgは、69℃であり、Tmは、267℃が一例として挙げられるが、分子量、分子量分布、結晶化度などによりこれら各温度Tg、Tmが異なるものもある。
図1(a)に示すようにポリマーのガラス転移温度(Tg)は、DSC曲線C1の低温側のベースラインと高温側のベースラインとの高さhの中間線(h/2)とDSC曲線C1との交点の温度を意味している。なお、ガラス転移温度(Tg)におけるDSC曲線C1の接線と低温側ベースラインとの交点の温度は、補外ガラス転移開始温度(Tig)と称し、高温側ベースラインとの交点の温度は、補外ガラス転移終了温度(Teg)と称する。
本発明において「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化でなく、図1(b)に示すように明確なピークを有することを意味している。この吸熱ピークC2のピークトップの温度を融解温度(Tm)と称する。また、吸熱ピークC2の接線と低温側及び高温側の各ベースラインとの交点をそれぞれ補外融解開始温度(Tim),補外融解終了温度(Tem)と称する。なお、融解温度(Tm)は、軟化温度又は溶解温度と称されることもある。
[着色剤]
本発明において、カラートナー用の着色剤(色材)としては、公知な染料又は顔料のいずれをも用いることができる。例えば、シアン着色剤としては、アニリンブルー、カルコイルブルー、ウルトラマリンブルー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。また、マゼンタ着色剤としては、デュポンオイルレッド、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1等が挙げられる。さらに、イエロー着色剤としては、クロムイエロー、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17等が挙げられる。さらには、黒色用トナーとしては、カーボンブラック、ランプブラック等が挙げられる。着色剤の含有量は、結着樹脂に対して1重量%から20重量%の範囲が好ましい。着色剤の含有量が1重量%より少なくなると、着色力が弱くなる場合があり、20重量%より多くなるとカラートナーの透明性が悪化する場合がある。本発明において用いられる着色剤の種類、含有量は前述したものに限定されるものではない。
[帯電制御剤]
結着樹脂に帯電制御剤を含有させることにより、環境(温度,湿度など)依存性を制御して鮮明な画質が得られる。帯電制御剤は、トナー中に内添させることが好ましいため、前述したポリマー重合時に添加しておくことが好ましい。本発明に用いる帯電制御剤としては、公知のいずれの化合物ものをも用いることができる。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が等挙げられる。また、帯電制御剤の含有量は、結着樹脂に対して0.1重量%〜5重量%の範囲であると、画像の透明性や色特性への影響を防止できるために好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
[外添剤]
トナーの粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、熱及び長期保存性改善等の目的のはためトナーに微粒子(外添剤)を添加させることが好ましい。外添剤としては無機化合物微粉末および有機化合物微粒子が使用される。無機化合物微粒子は、SiO2 、TiO2 、Al2 3 、CuO、ZuO、SnO2 、Fe2 3 、MgO、BaO、CaO、K2 O、Na2 O、ZrO2 、CaO・SiO2 、K2 O・(TiO2 n 、Al2 3 ・2SiO2 、CaCO3 、MgCO3 、BaSO4 、MgSO4 等を例示することができる。また、有機化合物微粒子は、脂肪酸またはその誘導体、それらの金属塩等の微粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂微粉末を用いることができる。なお、外添剤の添加は、結着樹脂に対して0.5重量%〜5重量%が好ましく、より好ましくは1重量%〜2重量%である。また、外添剤のサイズは、0.001μm〜5μmが好ましく、より好ましくは0.01μm〜1μmである。なお、本発明において、外添剤の種類、含有量、サイズは前述したものに限定されるものではない。
[離型剤]
本発明のトナーの定着特性改善のために離型剤を含有させることが好ましい。用いられる離型剤は、特に限定されないが、具体的には、カルナバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、アルキル変成シリコン等の固形シリコン系ワックス、ステアリン酸アミド等のアミド系ワックス、高級脂肪酸アルコール系ワックス、高級脂肪酸エステル系ワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成炭化水素系ワックス及びこれらの混合物が挙げられる。なお、離型剤の含有量は、結着樹脂に対して0.1重量%〜10重量%の範囲であることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
[トナーの製造方法]
1,9−ノナンジオール(ジオール化合物)を248重量部、テレフタル酸ジメチル(ジカルボン酸化合物)を301重量部用い、通常のトナー用ポリエステル生成反応(縮合重合)を行うことでポリエステルを得ることができる。このポリエステルの結晶性の有無はDSC(示差走査熱量測定)で測定しその結果から判断する。結晶性の場合には、ガラス転移温度(Tg)と融解温度(Tm1)の各数値を得る。また、非晶性ポリマーの場合には、ガラス転移温度(Tg)の値を得る。
前記ポリエステルと水(イオン交換樹脂により精製し、pHが6.9〜7.1の範囲のもの。以下、純水と称する)とを耐熱耐圧容器に仕込む。ポリエステルと純水との仕込み比は、純水を100重量部とした場合に、ポリエステルを5重量部〜100重量部の範囲とすることが、ポリエステルを容易に水に分散させ、製造コストの点から有利であるが、本発明はその範囲に限定されるものではない。また、このときに着色剤,帯電制御剤,離型剤を含有させることも可能である。それぞれ、ポリエステルの仕込み量(重量部)に対して、1重量部〜10重量部,0.1重量部〜5重量部,0.1重量部〜10重量部とすることが好ましい。
次に、耐熱耐圧容器を加熱する。加熱温度は、ポリエステルの結晶性に応じて変えることが、ポリエステルを容易に乳化することができるために好ましい。ポリエステルが結晶性の場合には、そのガラス転移温度(Tg)以上、より好ましくは融解温度(Tm1)以上とする。具体的には70℃〜200℃の範囲に加熱することが好ましいが、この温度範囲に限定されるものではない。また、ポリエステルが非晶性の場合には、そのガラス転移温度(Tg)以上とすることが好ましい。具体的には70℃〜200℃の範囲に加熱することが好ましいが、この温度範囲に限定されるものではない。また、耐熱耐圧容器内の圧力を大気圧+(0MPa〜0.9MPa)の範囲に加圧し、純水を液体状態にすると共に、ポリエステルを低粘度化させ、純水中に乳化させる。そして、撹拌装置(例えば、高圧ホモジナイザー,高圧ニーダー,ディゾルバーなど)などを用いて高剪断する。
10分間〜2時間高剪断して、平均粒子径(サイズ)0.01μm〜1μmのポリエステル分散物が乳化しているポリエステル乳化液(ポリエステル分散液)を得る。ポリエステル乳化液の温度を室温(25℃)とした場合に、粘度が2mPa・s〜50mPa・sの範囲であると、ポリエステル分散物が好ましいサイズに凝集するが、それらの数値範囲に限定されるものではない。
必要に応じて、着色剤,内添剤などを加え、次に、70℃〜200℃に加熱されているポリエステル乳化液を1℃/min〜5℃/minの冷却速度で5℃〜30℃の温度範囲まで冷却して、ポリエステル分散物を凝集させてサイズを大きくする。ポリエステル分散物のサイズが2μm〜15μmとなるまで、10min〜300minの間、ポリエステル乳化液を静置することが好ましい。冷却過程後に溶液分散状態で70℃〜100℃まで加熱し、溶融合一させることも好ましい。
ポリエステル分散物が所望のサイズとなった後に、ポリエステル乳化液をフィルター等で取り出す。ポリエステル分散物を30℃〜40℃の温度範囲で、60分間〜120分間乾燥した後に、公知の方法により外添剤を表面に付着させてトナーを得る。なお、本実施の形態においては、着色剤に銅フタロシアニン顔料,帯電制御剤に4,4’−メチレンビス(2−(N−4−クロロフェニル)アミド)−3−ヒドロキシナフタレンを用いたシアン色用トナーの製造方法を示したが、その他のものを用いた場合にも同様にしてトナーを製造することができる。
以下、実施例1を実験1として本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。また、比較例を実験2として説明するが、実験1と同じ箇所の説明は省略する。
実験1では、1,9−ノナンジオール(ジオール化合物)を248重量部、テレフタル酸ジメチル(ジカルボン酸化合物)301重量部と、触媒であるジブチル錫オキサイド0.3重量部とを反応容器に入れて、窒素ガス雰囲気下180℃で5時間攪拌させ、その後に減圧下で230℃で2時間反応させ、冷却して反応停止させた。数平均分子量が7200、分散度(d)が3.8の結晶性ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂をDSC(マックサイエンス社製DSC−3110)により測定したところ、図1(b)に示したように融解温度(Tm)が96℃の結晶性ポリマーであった。このポリエステル樹脂、28重量部を純水72重量部が入っている耐熱耐圧容器に入れた。さらに、銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)(着色剤)3重量部、4,4’−メチレンビス(2−N−(4−クロロフェニル)アミド)−3−ヒドロキシナフタレン20%水溶液(帯電制御剤)5重量部、も併せて入れた。そして、耐熱耐圧容器を130±10℃で、容器内の圧力を大気圧+(0.2MPa)に加圧した。その後に、攪拌装置を用いて高剪断を10分間かけ、平均粒子径(サイズ)が、0.3μmのポリエステル乳化液(ポリエステル分散液)を得た。ポリエステル乳化液を2℃/minの冷却速度で20℃まで冷却し、サイズが3μmとなるまで、30分間、ポリエステル乳化液を静置した。その後に90℃に加熱し、30分間ポリエステル乳化液を静置した。
所望のサイズ(3μm)となった後に、ポリエステル乳化液を平均メッシュサイズが1μmのフィルタを備えた濾過装置を用いて取り出した。ポリエステル分散物を35℃で60分間乾燥した後に、公知の方法により外添剤(シリカ微粒子30nmφ)を表面に付着させてシアン用トナーを得た。な、このシアン用トナーの製造時間は、180分間であった。
特に記載しないところは、シアン用トナーと同様にマゼンタ用トナー(着色剤に大日本インク社製R122を使用)、イエロー用トナー(着色剤にクラリアントジャパン社製RY180を使用)、黒用トナー(着色剤にカーボンブラックを使用)を製造した。
実験2では、実験1と同じ方法でポリエステル樹脂を作製した。ポリエステル樹脂28重量部と銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)(着色剤)3重量部と、4,4’−メチレンビス(2−N−(4−クロロフェニル)アミド)−3−ヒドロキシナフタレン20%水溶液(帯電制御剤)5重量部とトルエン(溶剤)60重量部とを溶融混練装置(サンドミル)を用いて攪拌翼を回転させて、溶融混練した。その後に混練物を50℃でトルエンを蒸発させ混練物固形分を得た。ハンマーミルで混練物固形分を粗砕した後にジェットミルで30分間微粉砕し、平均粒子径(サイズ)を6μmとした。粉砕された混練物を分級装置を用いて混練物のうち粒子径が4μm〜7μmのものを分級した。分級された混練物は、全体の63重量%であり、37重量%の損失が生じた。分級した混練物20重量部に外添剤(シリカ微粒子30nmφ)0.3重量部を混合してシアン用トナーを得た。このシアン用トナーの製造時間は、360分間であった。
なお、特に記載しないところ以外はシアン用トナーと同様に、マゼンタ用トナー(着色剤に大日本インク社製R122を使用)、イエロー用トナー(着色剤にクラリアントジャパン社製RY180を使用)、黒用トナー(着色剤にカーボンブラックを使用)を製造した。
本発明のトナーの製造方法に係る実験1では、従来の粉砕法(実験2)では360分間で1バッチ行っていた実験を180分間で終えることができた。また、結着樹脂にポリエステル系樹脂を用いるため、可塑剤が不要となり可塑化効果の発現が生じない。
本発明に用いられる結着樹脂の物性値を説明するためのグラフである。
符号の説明
C1 DSC曲線
C2 吸熱ピーク

Claims (12)

  1. ポリエステルを水に分散させポリエステル分散液を製造する第1工程と、
    前記ポリエステル分散液中のポリエステルを凝集させる第2工程と、
    を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記ポリエステルが、ジオール化合物とジカルボン酸とから重合されたものであって、
    前記ジオール化合物にはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物,エチレングリコール,プロピレングリコール,ブタンジオール,ネオペンチルグリコールのうちの少なくとも1つを用い、
    前記ジカルボン酸にはマレイン酸,フマル酸,テレフタル酸,イタコン酸,コハク酸のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1記載のトナーの製造方法。
  3. 前記ポリエステルの数平均分子量が2500〜70000の範囲であり
    かつ、(重量平均分子量/数平均分子量)で示される多分散度が、3.0〜15.0の範囲のものを用いることを特徴とする請求項1または2記載のトナーの製造方法。
  4. 前記ポリエステルが、ポリマー末端のカルボキシル基と水酸基と以外には極性基を有していないものを用いることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  5. 前記ポリエステルが結晶性ポリマーであって、
    前記第1工程を行う際に、
    前記ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上に加熱することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  6. 前記ポリエステルが結晶性ポリマーであって、
    前記第1工程を行う際に、
    前記ポリエステルの融解温度(Tm)以上に加熱することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  7. 前記ポリエステルが非晶性ポリマーであって、
    前記第1工程を行う際に、
    前記ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上に加熱することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  8. 前記ポリエステルと前記水との重量比が、
    5重量部:100重量部〜100重量部:100重量部であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  9. 前記第1工程の際に、
    0.1MPa〜1MPaの範囲に加圧して前記ポリエステル分散液を製造することを特徴とする請求項1ないし8いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  10. 前記第1工程の際に、
    70℃〜200℃の範囲に加熱して前記ポリエステル分散液を製造することを特徴とする請求項1ないし9いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  11. 前記第2工程を行う際に、
    前記ポリエステル分散液を5℃〜30℃の範囲として、ポリエステル分散物を凝集させることを特徴とする請求項1ないし10いずれか1つ記載のトナーの製造方法。
  12. 前記ポリエステル分散物の平均粒子径を2μm〜15μmの範囲に凝集させることを特徴とする請求項11記載のトナーの製造方法。
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