JP6197407B2 - トナー用ポリエステル樹脂の製造方法、トナー用ポリエステル樹脂およびトナー - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂の製造方法、トナー用ポリエステル樹脂およびトナー Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等に用いられるトナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナー用ポリエステル樹脂に関する。
電子写真印刷法および静電荷現像法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち、定着が行われる。定着方式については、現像によって得られたトナー像を加圧および加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブンまたはフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好である必要がある。また、装置は加熱体である定着部を有し、装置内での温度が上昇するため、トナーがブロッキングしないことが必要である。また、連続印刷時においても装置の汚れや印刷面へのカブリなどが見られないこと、すなわちトナーの耐久性が必要である。
さらに、ヒートローラー方式においては、省エネ化の観点から定着部の低温化が進み、トナーにはより低い温度で紙に定着する性能、つまり低温定着性が強く求められるようになってきた。加えて、装置のコンパクト化が進み、離型剤を塗布しないローラーが用いられるようになっており、トナーにはヒートローラーとの剥離性、すなわち非オフセット性への要求が高まっている。また、高画質化のためのトナーの小粒径化や光沢性についての要求も高まっている。
トナー用バインダー樹脂は、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、強靭性、低温での定着性等に優れ、性能バランスの良いポリエステル樹脂が特に注目されている。
ポリエステル樹脂を用いたトナーの製造方法としては、粉砕法、ケミカル法などが挙げられる。粉砕法は、ポリエステル樹脂、顔料(着色剤)および離型剤などを溶融混練し、得られた混練物を粉砕機などによって微粉砕し、分級することによってトナーを得る方法であり、工業的に広く用いられている。近年、形成される画像の高画質化を実現するために、トナーの小粒径化が望まれているが、粉砕法では、粉砕に要するエネルギーおよび時間が増大し、製造工程が煩雑になり、さらに収率が低下するため、より効率よく小粒径化ができるケミカル法への注目が高まっている。
ケミカル法としては、例えば、ポリエステル樹脂およびその他のトナー配合物を含む材料を、ポリエステル樹脂が溶解可能な有機溶媒中に溶解又は分散させ、その液を分散安定剤を含有する水系媒体中に分散させて造粒した後、有機溶媒を除去し、得られた粒子を分離して洗浄、乾燥することによってトナー粒子を得る方法や、ポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解させ、その液を必要に応じて分散安定剤を含有する水系媒体中で乳化し、有機溶剤を除去して樹脂エマルジョンを得、その他のトナー配合物を水系媒体に微分散させて、樹脂エマルジョンと混合、微粒子を凝集、熱融合させて粒子を得、得られた粒子を分離して洗浄、乾燥することによってトナー粒子を得る方法などが挙げられる。
有機溶媒を用いるケミカルトナー製造方法の場合、溶剤溶解性の不十分なポリエステル樹脂を用いると、工程通過性が悪化したり、得られるトナー粒子毎の熱特性、トナー配合物の量や混合状態などが不均一となり、トナー性能に弊害を及ぼすなどの不具合が生じる。このため、ポリエステル樹脂としては、ゲルや結晶成分などに由来する溶剤不溶成分を有さず、溶剤溶解性が良好であることが重要である。
一方、ポリエステル樹脂は一般に非オフセット性が低位である傾向がある。このため、定着時の剥離性を付与するためにトナー中にワックスなどの離型剤を混合しており、離型剤は、粉砕法においては樹脂の溶融混練工程等にて、ケミカル法においては樹脂を溶解した有機溶媒中や水系媒体中への分散工程等にて分散させている。
ポリエステル樹脂中の離型剤の分散状態は、混練品を薄膜化したり、離型剤を分散させた樹脂溶液をガラスに塗りつけるなどの処理をして、離型剤の粒子径を顕微鏡観察する等の方法により評価確認することができ、離型剤の分散状態が不良である場合、定着時の剥離効果を十分に得られないばかりか、画像の安定性や耐久性等の性能にも弊害を及ぼすことが知られている。
元来、ポリエステル樹脂と離型剤とは相溶性が悪く、トナー中の離型剤成分の分散状態が悪いため、いずれのトナー製造法においても離型剤分散性の向上が課題であり、ポリエステル樹脂と離型剤との相溶性の向上については、従来からさまざまな検討がなされてきた。
例えば特許文献1には、トナー化時の離型剤との相溶性に優れ、かつ溶剤溶解性の良いトナー用ポリエステル樹脂として、エステルワックスの存在下で重縮合したトナー用ポリエステル樹脂が記載されている。
一方近年、環境問題の観点から、トナー用ポリエステル樹脂の製造方法が検討されている。例えば特許文献2には、トナー用ポリエステルの重合用触媒としてチタン触媒を使用した技術が示されている。また、チタン触媒を用い、離型剤の分散性に着目した技術として、例えば特許文献3には、アルコールのような極性基を有するワックスの存在下で重縮合を行うトナー用ポリエステルについての技術が示されている。
特開2010−37556号公報 特開2011−113064号公報 特開2006−18032号公報
特許文献1は、重合触媒としてアンチモン化合物を用いており環境への対応が十分でなかった。特許文献2は、ワックス分散性が不十分であった。特許文献3は、重縮合の時間が長く生産性が十分ではなかった。
本発明は、これらの問題を解決するものであり、離型剤の分散性や、ケミカル法に用いた場合にはトナー製造に用いる有機溶媒への溶解性が良好となる、環境に配慮したトナー用ポリエステル樹脂を生産性良く提供することを目的としている。
本発明の要旨は、エステルワックスの存在下で、三官能以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合するトナー用ポリエステル樹脂の製造方法であって、多価カルボン酸成分、多価アルコール成分及びエステルワックスの全量に対し、チタン触媒を50ppm〜200ppm用いるトナー用ポリエステル樹脂の製造方法にある。
本発明の製造方法によれば、トナー化の際の離型剤の分散性に優れ、ケミカル法においてトナー製造に用いる有機溶媒への溶解性が良好なトナー用ポリエステル樹脂を生産性よく製造できる。
本発明の製造方法は、エステルワックスの存在下で、三官能以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合するトナー用ポリエステル樹脂の製造方法であって、多価カルボン酸成分、多価アルコール成分及びエステルワックスの全量に対し、チタン触媒を50ppm〜200ppm用いる。
前記エステルワックスは、エステル交換反応等によりエステルワックス由来のアルキル基がポリエステル樹脂中に構成単位として組み込まれ、ケミカルトナー製造時に用いる有機溶媒へのポリエステル樹脂自体の溶解性を悪化することなく、ポリエステル樹脂とトナー製造時に添加する離型剤の相溶性を向上させて、離型剤の分散性を向上することができる。
エステルワックスの使用量は、得られる樹脂100質量%中、3質量%以上が好ましい。3質量%未満の場合、エステルワックス由来のアルキル基がポリエステル樹脂中に組み込まれる量が不十分となり、トナー製造時に添加する離型剤の分散性が不十分となりやすい。
なおエステルワックスの量は、得られる樹脂100質量%中、15質量%以下であること が好ましい。エステルワックスの使用量が15質量%以下の場合に、ポリエステル樹脂の生産性が良好となる。また得られるポリエステル樹脂の耐ブロッキング性や溶剤溶解性が良好となることから6質量%以下がより好ましい。
本発明において用いることのできるエステルワックスとしては、炭素数が40から60のものが好ましく、モンタン酸エステルワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木蝋などの植物系エステルワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系エステルワックス、合成エステルワックスなどが挙げられ、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また本発明では、三官能以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合する。三官能以上のカルボン酸を含むことで、溶剤溶解性が向上する。三官能以上のカルボン酸を全酸成分100モル部に対して6モル部以下とすることで、ゲルが生成し難くなり、樹脂の溶剤溶解性が良好となるとともに、得られるトナーの画像光沢性が良好となる。また、三官能以上のカルボン酸の下限値は、得られるトナーの非オフセット性等の観点から、2モル部以上が好ましい。
本発明において使用できる三官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸またはこれらのエステルもしくは酸無水物等の3価以上の多価カルボン酸等が挙げられ、トリメリット酸またはその酸無水物が好ましい。
多価カルボン酸成分に含まれる三官能以上のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル、またはこれらの酸無水物等の芳香族ジカルボン酸成分;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、またはこれらのエステルもしくは酸無水物等の脂肪族ジカルボン酸成分等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の使用量は、特に制限されないが、全酸成分100モル部中に、70モル部以上用いることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の使用量が70モル部以上である場合に、トナーの保存安定性が良好となり、樹脂強度が向上する傾向にある。芳香族ジカルボン酸の使用量の下限値は、75モル部以上がより好ましい。ハンドリング性およびコストの点でテレフタル酸やイソフタル酸が好ましい。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法においては、多価アルコールとして、脂肪族ジオール、芳香族ジオール等を用いることができる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ、また、脂肪族ジオールと芳香族ジオールを組み合せて使用することもできる。
脂肪族ジオールの使用量は、特に限定されないが、全酸成分100モル部に対して10モル部以上が好ましい。脂肪族ジオールの使用量が10モル部以上の場合に、重合度が上がりトナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるとともに、多量の重合触媒を使用せずとも、また長時間の重縮合を実施しなくても重合度を高めることができる傾向にあり、コスト面、環境面で好ましい。脂肪族ジオールの使用量は、15モル部以上がより好ましい。
また、多価アルコールとして、これらのジオール以外にも3価以上の多価アルコールを使用することもできる。3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサテトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
本発明の製造方法においては、重合触媒としてチタン触媒を用いる。前記チタン触媒は、多価カルボン酸成分、多価アルコール成分及びエステルワックスの全量(全原料の合計)に対し、50ppm〜200ppm用いて重縮合することが必要である。前記チタン触媒が50ppm未満または、200ppmを超えると重合反応性が低下し短時間で所定の軟化温度の樹脂が得られない。
チタン触媒としては、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラステアリルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)等のチタンキレート等が挙げられる。なお、重合反応性の点でテトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタンが好ましい。
本発明の製造方法において、重合反応の方法は特に制限されないが、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸を反応容器内に投入して、エステル化反応又はエステル交換反応、及び重縮合反応を経て重合する方法が挙げられる。
本発明において、エステル化反応又はエステル交換反応の温度は240℃以上であることが好ましい。240℃以上とすることで生産性が向上し、またポリエステル樹脂中へのエステルワックス由来のアルキル基の化学結合が進行しやすくなり、未反応のエステルワックスがポリエステル樹脂中に残存し難く、ポリエステル樹脂の有機溶媒への溶解性が良好となる。エステル化反応又はエステル交換反応の温度は、255℃以上がより好ましい。
前記温度の上限は280℃以下が好ましい。エステル化反応またはエステル交換反応温度が280℃以下の場合に、樹脂の分解や、臭気の要因となる揮発分の副生成を抑制できる傾向にあるためであり、270℃以下がより好ましい。本発明において、重縮合の温度は、225〜245℃が好ましい。重縮合の温度が225℃以上の場合に生産性が良好となり、245℃以下の場合に、樹脂の分解を抑制でき臭気の要因となる揮発分の副生成を抑制できる傾向にある。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、バインダー樹脂としての性能を考慮し、非晶質であることが好ましい。そのため、各原料成分の種類や比率を適宜調整することが重要である。
以下、本発明の製造方法で得られるトナー用ポリエステル樹脂について説明する。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂の軟化温度は、115℃以上であることが好ましい。軟化温度が115℃以上の場合に、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。また、軟化温度は170℃以下であることが好ましい。樹脂の溶剤溶解性、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。軟化温度の上限値は150℃以下がより好ましい。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、溶剤溶解性の観点から、THF不溶解分が1質量%以下であることが好ましい。THF不溶解分としては、ゲル成分に由来するもの、結晶成分に由来するもの等が挙げられ、結晶成分としては、樹脂に由来するものや、変性成分としてのワックスに由来するもの等が挙げられるが、本発明の製造方法にて使用するエステルワックスは、エステル化反応又はエステル交換反応によりエステルワックス由来のアルキル基がポリエステル樹脂中に構成単位として組み込まれるため、ワックスに由来する不溶分の生成を抑制することができる。
さらに、本発明のトナー用ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgという)は、特に制限されないが、45〜65℃が好ましい。Tgが45℃以上である場合に、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、また、65℃以下である場合にトナーの定着性が良好となる傾向にある。Tgの下限値は48℃以上がより好ましい。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の酸価は、特に制限されないが、20mgKOH/g以下が好ましい。酸価が20mgKOH/g以下の場合にトナーの画像濃度が安定する傾向にある。ポリエステル樹脂の酸価の上限値は、15mgKOH/g以下がより好ましく、12mgKOH/g以下が特に好ましい。
次に、本発明のトナー用ポリエステル樹脂を用いたトナーについて説明する。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、粉砕トナー、有機溶剤を用いない手法で得られるケミカルトナー、有機溶媒を用いる手法で得られるケミカルトナー等のいずれのトナー製造法においても好適に使用できる。
また、本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、トナーバインダーの主成分として、また、離型剤分散性向上、光沢性向上のための成分として、他のトナーバインダー樹脂とブレンドして使用することができる。バインダー樹脂として、本発明のポリエステル樹脂以外のバインダー樹脂を用いる場合は、例えば、本発明のポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、環状オレフィン樹脂、メタクリル酸系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができ、本発明の効果を損なわない範囲で、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。バインダー樹脂全量中に本発明のポリエステル樹脂を5質量%以上配合することが好ましい。
トナー化の際の、着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げることができる。これらの染料や顔料はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルーなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー中2〜10質量%であることが好ましい。
荷電制御剤としては、正帯電制御剤として4級アンモニウム塩や、塩基性もしくは電子供与性の有機物質等が挙げられ、負帯電制御剤として金属キレート類、含金属染料、酸性もしくは電子求引性の有機物質等が挙げられる。カラートナーの場合、帯電制御剤が無色ないし淡色で、トナーへの色調障害がないことが重要であり、例としてはサリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物等が挙げられる。さらに、スチレン系、アクリル酸系、メタクリル酸系、スルホン酸基を有するビニル重合体を荷電制御剤として用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、トナー中0.5〜5質量%であるのが好ましい。荷電制御剤の含有量が0.5質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
トナー化の際に添加する離型剤としては、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、蜜蝋、ポリプロピレン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を挙げることができる。
離型剤の含有量は、トナーの離型効果、保存性、定着性、発色性等を左右することから、トナー中0.3〜15質量%であることが好ましい。離型剤の含有量の下限値は、より好ましくは1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、離型剤の含有量の上限値は、13質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
さらに流動改質剤などの添加剤としては、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調節剤、滑剤などが挙げられ、これらは内添剤または外添剤として使用される。
これらの添加剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.05〜10質量%が好ましい。これらの添加剤の含有量が0.05質量%以上の場合にトナーの性能改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量%以下の場合にトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
以下に本発明の実施例を示す。また、本実施例で示される樹脂の評価方法は以下の通りである。
(1)重縮合反応性
重縮合反応における反応速度を、以下の基準にて評価した。
◎:4時間未満の重合で所望の軟化温度まで到達した。
○:4時間の重合で所望の軟化温度まで到達した。
△:4時間の重合で所望の軟化温度に到達しなかったが、不足が5℃以内であった。
△−:4時間の重合で所望の軟化温度に到達せず、不足が5℃超〜8℃以内であった。
×:4時間の重合で、所望の軟化温度から8℃超不足していた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
島津製作所(株)製示差走差熱量計DSC−60を用いて、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を求めた。
(3)軟化温度
島津製作所(株)製フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、昇温速度3℃/分の等速昇温下で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出した温度を求めた。
(4)酸価
サンプル約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコール10mlを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱し樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10ml、クロロホルム20ml、フェノールフタレイン数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=B(ml)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(ml))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)=(B−C)×0.02×56.11×p÷A
(5)Mw/Mn
ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定した、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)より算出される値であり、TSKgel/GMHXLカラム(東ソー社製)3本から構成される東ソー社製HCL−8020により測定し、ポリスチレン換算により求めた。
(6)溶剤溶解性(THF不溶分)
100ml三角フラスコに樹脂を約0.5g秤量し(A(g))、THFを50ml加え、70℃に設定したウォーターバスに3時間浸けて樹脂を溶解した。一方、ガラスフィルター1GP100に6〜7分目までセライト545をきつく充填し、105℃の乾燥機で3時間以上乾燥して秤量した(B(g))。
続いて、乾燥したガラスフィルター内に、樹脂を溶解したTHF溶液を移して吸引ろ過した。アセトンを用いて三角フラスコの壁に残存した内容物をすべてガラスフィルター内に移し、ガラスフィルター内はアセトンを流して可溶分は吸引瓶に落とし、フィルター内に溶剤が残らないよう吸引を続けたのち、80℃の真空乾燥機で3時間以上乾燥して秤量した(C(g))。
式 THF不溶分(%)=(C−B)/A *100 にてTHF不溶分を算出し、以下の基準にて溶剤溶解性を評価した。
○:THF不溶分が1質量%以下
×:THF不溶分が1質量%超
(7)離型剤分散性
100mlビーカー内に、酢酸エチル9g、ポリエステル樹脂3g、パラフィンワックス(日本精鑞社製、パラフィンワックス120)1gを入れ、ビーカー内に回転子を投入し、マグネチックスターラーを用いて回転数360rpmにて攪拌しながら70℃に加温した。攪拌および加温を20分間保持した後、攪拌を保持したまま急冷しペースト状とした。このペーストをスライドガラスに薄く塗りつけ、パラフィンワックスの粒子径を光学顕微鏡(倍率:400倍)にて観察し、任意の視野にて20粒のパラフィンワックス粒子の粒子径を測定して個数平均値を算出し、以下の基準にて評価した。
◎:パラフィンワックスの個数平均粒径は5μm以下である。溶液中でのポリエステル樹脂と離型剤との相溶性に優れ、離型剤分散性は非常に良好である。
○:パラフィンワックスの個数平均粒径は5μmを超え10μm以下である。溶液中での
ポリエステル樹脂と離型剤との相溶性は良好で、離型剤分散性は良好である。
△:パラフィンワックスの個数平均粒径は10μmを超え20μm以下であり、溶液中での離型剤分散性はやや劣る。
×:パラフィンワックスの個数平均粒径は20μmを超えている。溶液中でのポリエステル樹脂と離型剤との相溶性に劣り、離型剤分散性は不良である。
(実施例1)
表1に示す仕込み組成の多価カルボン酸、多価アルコール、エステルワックス(ライスワックス:ミツバ貿易社 LAX−N−300A)と、チタン触媒を蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱しこの温度を保持した。反応系から水の留出がなくなるまでエステル化反応を行った。 次いで、反応系内の温度を下げて表1に示す重縮合温度に調整し、反応容器内を約40分かけて真空度を133kPa(abs)とし、反応系からジオール成分を留出させながら重縮合反応を行った。高真空状態を保持したまま反応を続け、減圧開始から4時間経過したところで撹拌を停止し、反応系を常圧に戻し、約5分で反応物を取り出し、ポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂の特性値および評価結果を表1に示す。
(実施例2)〜(実施例6)、(実施例9)、(実施例10)、(比較例1)、(比較例2)
反応容器に仕込む成分を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂の特性値および評価結果を表1に示す。
(実施例7)
表1に示す仕込み組成の多価カルボン酸、多価アルコール、エステルワックスと、チタン触媒を蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱しこの温度を保持した。反応系から水の留出がなくなるまでエステル化反応を行った。
次いで、反応系内の温度を下げて表1に示す重縮合温度に調整し、反応容器内を約40分かけて真空度を133kPa(abs)とし、反応系からジオール成分を留出させながら重縮合反応を行った。高真空状態を保持したまま、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで重縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で撹拌を停止した。減圧開始から攪拌停止までの重縮合反応時間は3時間23分であった。反応系を常圧に戻し、約5分で反応物を取り出し、ポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂の特性値および評価結果を表1に示す。
(実施例8)
表1に示す仕込み組成の多価カルボン酸、多価アルコール、エステルワックスと、チタン触媒を蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱しこの温度を保持した。反応系から水の留出がなくなるまでエステル化反応を行った。
次いで、反応系内の温度を下げて表1に示す重縮合温度に調整し、反応容器内を約40分かけて真空度を133kPa(abs)とし、反応系からジオール成分を留出させながら重縮合反応を行った。高真空状態を保持したまま、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで重縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で撹拌を停止した。減圧開始から攪拌停止までの重縮合反応時間は3時間10分であった。反応系を常圧に戻し、約5分で反応物を取り出し、ポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂の特性値および評価結果を表1に示す。
Figure 0006197407
BPP:ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
チタン触媒A:テトラnブチルチタネート
チタン触媒B:テトライソプロピルチタネート
チタン触媒C:ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン
触媒の添加量が22ppmの比較例1、215ppmの比較例2は重縮合の反応性が不良であった。

Claims (5)

  1. エステルワックスの存在下で、三官能以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合するトナー用ポリエステル樹脂の製造方法であって、多価カルボン酸成分、多価アルコール成分及びエステルワックスの全量に対し、チタン触媒を50ppm〜200ppm用いるトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 多価カルボン酸成分が、三官能以上のカルボン酸を全酸成分100モル部に対し2〜6モル部含む請求項1記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  3. チタン触媒が、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートおよびジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタンから選ばれた少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 225℃〜245℃で重縮合を行う、請求項1から請求項3のいずれかに記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー用ポリエステル樹脂を用いトナーの製造方法
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