JP6606842B2 - 樹脂粒子分散液の製造方法及びトナー粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
また特許文献1には、塩基性剤が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、有機アミン類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されることが開示されている。
なお、特許文献1には、高温での前記樹脂の溶融混合の前、途中、または後に界面活性剤を添加することを必要に応じて含むと記載されているが、具体的な処方は示されていない。
すなわち特許文献4には、アモルファスポリエステル樹脂と可塑剤とをあらかじめブレンドした混合物を中和剤で中和し、中和したあらかじめブレンドした混合物と界面活性剤とを接触させることが開示されている。
ポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合物を溶融混練する溶融混練工程と、
溶融混練された前記混合物にアルカリ剤と水性媒体とを添加して、前記ポリエステル樹脂の粒子が前記水性媒体に分散した樹脂粒子分散液を得る添加工程と、
を有する樹脂粒子分散液の製造方法である。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、40000以上100000以下である<1>に記載の樹脂粒子分散液の製造方法である。
前記ポリエステル樹脂は、3以上の官能基を有する架橋成分で架橋されてなる、<1>又は<2>に記載の樹脂粒子分散液の製造方法である。
前記溶融混練工程及び前記添加工程は、前記混合物を筒状体内の一端から他端まで流動させながら、前記混合物を溶融混練し、溶融混練された前記混合物に前記アルカリ剤と前記水性媒体とを添加する工程である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法である。
前記アルカリ剤は、ケイ酸塩を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法である。
<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法により、ポリエステル樹脂の粒子が水性媒体に分散した樹脂粒子分散液を製造する、樹脂粒子分散液製造工程と、
前記樹脂粒子分散液中で、前記ポリエステル樹脂の粒子を凝集させ、前記ポリエステル樹脂の粒子を含む凝集粒子を形成する、凝集粒子形成工程と、
前記凝集粒子が前記水性媒体に分散した凝集粒子分散液を加熱し、前記凝集粒子を融合・合一してトナー粒子を形成する、融合・合一工程と、
を有するトナー粒子の製造方法である。
<2>に係る発明によれば、重量平均分子量が40000以上100000のポリエステル樹脂を用いても、ポリエステル樹脂をアルカリ剤の混合により中和して溶融混練した後に溶融混練された前記混合物にイオン性界面活性剤と水性媒体とを添加する場合に比べ、ポリエステル樹脂における重量平均分子量の制御が可能な樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
<3>に係る発明によれば、3以上の官能基を有する架橋成分で架橋されてなるポリエステル樹脂を用いても、ポリエステル樹脂をアルカリ剤の混合により中和して溶融混練した後に溶融混練された前記混合物にイオン性界面活性剤と水性媒体とを添加する場合に比べ、ポリエステル樹脂における重量平均分子量の制御が可能な樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
<4>に係る発明によれば、溶融混練工程及び添加工程が回分式に行われる場合に比べ、ポリエステル樹脂における重量平均分子量の制御が可能な樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
<5>に係る発明によれば、アルカリ剤として水酸化ナトリウムのみを用いた場合に比べ、ポリエステル樹脂における重量平均分子量の制御が可能な樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
<6>に係る発明によれば、樹脂粒子分散液の製造において、ポリエステル樹脂をアルカリ剤の混合により中和して溶融混練した後に溶融混練された前記混合物にイオン性界面活性剤と水性媒体とを添加する場合に比べ、ポリエステル樹脂における重量平均分子量の制御が可能なトナー粒子の製造方法が提供される。
本実施形態に係る樹脂粒子分散液の製造方法は、ポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合物を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練された前記混合物にアルカリ剤と水性媒体とを添加して、前記ポリエステル樹脂の粒子が前記水性媒体に分散した樹脂粒子分散液を得る添加工程と、を有する。
本実施形態に係る樹脂粒子分散液の製造方法では、上記構成であることにより、ポリエステル樹脂とアルカリ剤との混合物を溶融混練した後に溶融混練された前記混合物にイオン性界面活性剤と水性媒体とを添加する場合に比べ、ポリエステル樹脂における重量平均分子量の制御が可能な樹脂粒子分散液が得られる。
上記効果が得られる理由については、以下に示すものが推察される。
また、重量平均分子量が40000以上100000以下のポリエステル樹脂や、3以上の官能基を有する架橋成分で架橋されたポリエステル樹脂は、加熱により樹脂が軟化して流動状態となる温度(溶融温度)が高い(例えば130℃以上)ことが多い。溶融温度の高い樹脂は、前述のように、単独で溶融可能な温度下に樹脂を晒すと分子量低下を引き起こしやすく、分子量低下を引き起こしにくい温度下では十分な溶融状態になり難く、軟化しても高粘度な状態となりやすい。しかしながら本実施形態では、ポリエステル樹脂は初めにイオン性界面活性剤と混合することでポリエステル樹脂が可塑化され易いため、分子量低下を引き起こしにくい温度下でも、樹脂単独で加熱溶融する場合に比べてポリエステル樹脂が低粘度化する。そして、樹脂単独では分子量低下を引き起こしにくい温度下で、低粘度状態のポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合物にアルカリ剤及び水性媒体を添加することで、前述のように加水分解が抑制されて重量平均分子量が制御された樹脂粒子分散液が得られる。
なお、3以上の官能基を有する架橋成分としては、例えば、後述する3価以上のカルボン酸及び3価以上の多価アルコールの少なくとも一方が挙げられる。
なお、スクリュー押出し機としては、例えば、一軸押出し機、二軸押出し機等が挙げられるが、混練効果の観点から二軸押出し機が好ましい。
またバレル12の内部には、ブロックごとに異なる温度制御手段(図示せず)が備えられている。すなわち、ブロック12Aからブロック12Jまで、それぞれ異なる温度に制御してもよい構成となっている。ブロック数は、軸の長さにより制限あるが、装置で対応する範囲で変更可能である。
溶融混練工程では、ポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合物を溶融混練する。具体的には、例えば、図1に示すスクリュー押出し機11の注入ノズル14にポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤とを投入する。そして、注入ノズル14からバレル12へ供給されたポリエステル樹脂及びイオン性界面活性剤は、バレル12内のスクリューで溶融混練されながら、バレル12のブロック12Aからブロック12Bまで送り込まれる。
溶融混練工程によって混合物が溶融混練されることにより、ポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤とが互いに混合される。
また、ポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合は、微粉体の状態で注入ノズル14に夫々直接投入しても良いし、粉末やペレット状のポリエステル樹脂にイオン性界面活性剤及びその水溶液を混合もしくは湿潤した状態のものを投入しても良い。更に、予めポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤を溶融混練して同質化したものを粉砕により粉体状にしたものを用いても良い。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般的により本領を発揮する分子量領域の樹脂は、熱や酸・アルカリに対してより強いものの、たとえば架橋点、又は炭素数の大きい側鎖部分を有するような構造の分子は分子鎖中に分解しやすい部分を有するため、本施策を適用することに適したものである。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−H(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
得られた樹脂粒子分散液に含まれるポリエステル樹脂の粒子の重量平均分子量についても、上記方法により測定される。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
硫酸エステル塩系界面活性剤としては、例えば、オクタデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のモノアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルポリオキシエチレン硫酸塩;等が挙げられる。
スルホン酸塩系界面活性剤としては、例えば、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、ヘプチルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウム、ノニルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ウンデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩;ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;等が挙げられる。
リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、ステアリルリン酸ナトリウム等のモノアルキルリン酸塩等が挙げられる。
せっけん系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類、レシチン等が挙げられる。
添加工程では、溶融混練工程において溶融混練されたポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合物にアルカリ剤と水性媒体とを添加する。具体的には、例えば、図1に示すスクリュー押出し機11の液体添加口16Aにアルカリ剤と水性媒体との混合溶液を投入し、液体添加口16B及び液体添加口16Cに相転移のための水性媒体を投入する。それにより、スクリューで溶融混練されながらバレル12内を流動する溶融混練物(溶融混練されたポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合物)に、ブロック12Cでアルカリ剤と水性媒体との混合溶液が添加され、さらにブロック12F及びブロック12Iで水性媒体が添加される。
以下、アルカリ剤との混合溶液を得るために用いる水性媒体(液体添加口16Aから投入される水性媒体)を「第1の水性媒体」、アルカリ剤とは別途投入される相転移のための水性媒体(液体添加口16B及び液体添加口16Cから投入される水性媒体)を「第2の水性媒体」と称する場合がある。
最後に、アルカリ剤及び水性媒体の添加によって形成された樹脂粒子分散液は、スクリューによってブロック12Jまで搬送された後、排出口18から排出される。
アルカリ剤は、イオン性界面活性剤の機能を強化する働きがある化合物が好ましく、その具体例としては、例えば、ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
ケイ酸塩の具体例としては、例えば、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、これらの混合物等が挙げられる。
リン酸塩の具体例としては、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
炭酸塩の具体例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。
また、溶融混練工程において用いるイオン性界面活性剤と添加工程において用いるアルカリ剤との組み合わせとしては、イオン性界面活性剤を活性化させ、かつ、ポリエステル樹脂の重量平均分子量の低下を抑制する観点から、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムとオルトケイ酸ナトリウムとの組み合わせ、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムとメタケイ酸ナトリウムとの組み合わせ、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムとオルトケイ酸ナトリウムとの組み合わせが好ましく、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムとオルトケイ酸ナトリウムとの組み合わせがより好ましい。ポリオキシエチレン基数は、樹脂との相性により乳化性が変わるため、適当な鎖長のものを任意に選択可能である。
また、バレル12の添加部SB(すなわちブロック12C〜ブロック12I)に、液体添加口16A、液体添加口16B、及び液体添加口16C以外の添加口をさらに設け、水性媒体を多段階に分けて少量ずつ添加する形態でもよい。
また、注入ノズル14にイオン性界面活性剤の一部を投入し、イオン性界面活性剤の他の一部にアルカリ剤を予め溶解させたものを液体添加口16Aから添加する形態であってもよい。
なお、流動添加法を適用した形態における樹脂粒子分散液の製造方法について説明したが、本実施形態はこれに限られず、溶融混練工程及び添加工程が回分式(いわゆるバッチ式)で行われてもよい。
本実施形態における樹脂粒子分散液の製造方法では、前記の通りポリエステル樹脂における重量平均分子量が制御されるため、重量平均分子量の大きな樹脂粒子が水性媒体に分散された樹脂粒子分散液が得られる。具体的には、本実施形態で得られた樹脂粒子分散液中における樹脂粒子の重量平均分子量としては、例えば、35000以上120000以下の範囲が挙げられ、38000以上100000以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、LS13 320)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
体積平均粒度分布指標(GSDv)は、上記体積平均粒径の測定により得られた粒度分布において、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積16%となる粒径を体積平均粒径D16v、累積84%となる粒径を体積平均粒径D84vと定義すると、下記式で表される。
式:体積平均粒度分布指標(GSDv)=(D84v/D16v)1/2
本実施形態に係るトナー粒子の製造方法は、上述の樹脂粒子分散液の製造方法によりポリエステル樹脂の粒子が水性媒体に分散した樹脂粒子分散液を製造する樹脂粒子分散液製造工程と、前記樹脂粒子分散液中で、前記ポリエステル樹脂の粒子を凝集させ、前記ポリエステル樹脂の粒子を含む凝集粒子を形成する、凝集粒子形成工程と、前記凝集粒子が前記水性媒体に分散した凝集粒子分散液を加熱し、前記凝集粒子を融合・合一してトナー粒子を形成する、融合・合一工程と、を有する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
以下、トナー粒子の製造に必要に応じて用いられる着色剤、離型剤、及びその他の添加剤について説明する。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
(実施例1)
図1に示すスクリュー押出し機11を用いて樹脂粒子分散液を製造した。具体的には、注入ノズル14にポリエステル樹脂及びイオン性界面活性剤、液体添加口16Aにアルカリ剤及び第1の水性媒体、液体添加口16B及び液体添加口16Cに第2の水性媒体を投入した。
溶融混練工程及び添加工程における条件は、スクリュー回転数を400rpmに設定し、ポリエステル樹脂及びイオン性界面活性剤を7.5kg/時間の流量で注入ノズル14に投入し、溶融混練温度:98℃、添加工程における混合物の温度:99℃とした。アルカリ剤は予め第1の水性媒体に溶解させて規定濃度の水溶液に調製した後、液体添加口16A(ブロック12Cに設置)から添加し、第2の水性媒体の一部は液体添加口16B(ブロック12Fに設置)から添加した。残りの第2の水性媒体は液体添加口16C(ブロック12Iに設置)から投入するが、液体添加口16Bから添加する第2の水性媒体の添加流量と液体添加口16Cから添加する第2の水性媒体の添加流量とは、乳化物(樹脂粒子分散液)が排出口18から定流量で流出するよう、都度調整した。また、溶融混練部SAや添加部SBのスクリュー構成は、搬送が早すぎると未乳化のまま樹脂が排出され、滞留によるせん断混合が強すぎると発熱による突沸現象により、乳化物が脈動して排出されるため、適宜構成の微調整を行なった。さらに突沸が激しい場合には、バレル12における各ブロックの制御温度を低下する等の調整を行なった。
・ポリエステル樹脂1(合成品;重量平均分子量:89000、3以上の官能基を有する架橋成分:トリメリット酸、ジカルボン酸成分:テレフタル酸及びドデセニルコハク酸コモノマー、ジオール成分:ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物)
・イオン性界面活性剤1(「製造元:新日本理化株式会社、商品名:シノリンSPE−1350、化合物名:ラウリル硫酸ナトリウム」を固形分が25質量%となるように溶媒であるイオン交換水で希釈したもの)
・アルカリ剤1(「製造元:Strem Chemicals, Inc,、化合物名:オルト珪酸ナトリウム」を固形分が25質量%となるように第1の水性媒体であるイオン交換水で希釈したもの)
実施例1において、注入ノズル14から樹脂粉末を投入する際に、注入ノズル14の一端に敷設した液体注入口14Aからイオン性界面活性剤を定量供給した。また液体添加口16Aからアルカリ剤および第1の水性媒体を投入した。第2の水性媒体は液体添加口16B及び液体添加口16Cから分割して投入した。それら以外は実施例1と同様の装置を用いて混錬を行い、樹脂粒子分散液を得た。
また、投入した材料の種類も実施例1と同じである。投入した材料の添加量については表1に示す。
投入した材料のうち、イオン性界面活性剤及びアルカリ剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして樹脂粒子分散液を得た。
投入した材料のうち、アルカリ剤の種類を下記アルカリ剤2に変更し、アルカリ剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして樹脂粒子分散液を得た。
・アルカリ剤2(「製造元:和光純薬工業、化合物名:水酸化ナトリウム」を固形分が50質量%となるように第1の水性媒体であるイオン交換水で希釈したもの)
注入ノズル14から樹脂粉末を投入する際に、注入ノズル14の一端に敷設した液体注入口14Aからアルカリ剤及び第1の水性媒体を定量供給した。液体添加口16Aからイオン性界面活性剤溶液を投入した。第2の水性媒体は液体添加口16Bおよび液体添加口16Cから分割して投入した。それら以外は実施例1と同様の装置を用いて混錬を行い、樹脂粒子分散液を得た。
溶融混練工程及び添加工程における条件は、溶融混練温度:99℃、添加工程におけるポリエステル樹脂の温度:97℃とした。それ以外は実施例1と同様に調整した。
投入した材料の種類及び添加量を表1に示す。
投入した材料のうち、アルカリ剤の種類を前記アルカリ剤1に変更し、アルカリ剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様にして樹脂粒子分散液を製造した。
(比較例4)
投入した材料のうち、イオン性界面活性剤の種類を下記イオン性界面活性剤2に変更し、イオン性界面活性剤及びアルカリ剤の各添加量を表1に示すように変更して樹脂粒子分散液を製造した。
・イオン性界面活性剤2(「製造元:Dow Chemical社、商品名:Dowfax2AI、化合物名:アルキルジフェニルオキシドジスルホネート」を固形分が25質量%となるように溶媒であるイオン交換水で希釈したもの)
(樹脂粒子の重量平均分子量の評価)
上記実施例及び比較例で得られた樹脂粒子分散液に含まれるポリエステル樹脂の粒子について、前記方法により測定した。結果を表1に示す。
上記実施例及び比較例で得られた樹脂粒子分散液について、樹脂粒子の粒度分布を以下の基準で評価した。なお、下記粒度分布及び体積平均粒度分布指標は前記方法により測定を行った。評価結果を表1に示す。
G1:体積平均粒度分布指標が1.25未満であった
G2:体積平均粒度分布指標が1.25以上1.30未満であった
G3:粒度分布における極大ピークが複数存在した
G4:乳化されていなかった
12 バレル
12A〜12J ブロック
14 注入ノズル
16A〜16C 液体添加口
18 排出口
SA 溶融混練部
SB 添加部
SC 排出部
Claims (7)
- ポリエステル樹脂とイオン性界面活性剤との混合物を溶融混練する溶融混練工程と、
溶融混練された前記混合物にアルカリ剤と水性媒体とを添加して、前記ポリエステル樹脂の粒子が前記水性媒体に分散した樹脂粒子分散液を得る添加工程と、
を有し、
前記イオン性界面活性剤の添加量が、前記ポリエステル樹脂100質量部に対し0.1質量部以上25質量部以下であり、
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、40000以上100000以下であり、
前記ポリエステル樹脂が、3以上の官能基を有する架橋成分で架橋されてなり、
前記アルカリ剤は、ケイ酸塩を含む樹脂粒子分散液の製造方法。 - 前記溶融混練工程における溶融混練は、120℃以下である請求項1に記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記ケイ酸塩は、オルトケイ酸塩である請求項1又は請求項2に記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記イオン性界面活性剤の添加量は、前記ポリエステル樹脂100質量部に対し0.1質量部以上4.0質量部以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記アルカリ剤の添加量は、前記イオン性界面活性剤の添加量に対し、モル比率で0.4倍以上10.0倍以下である請求項4に記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記溶融混練工程及び前記添加工程は、前記混合物を筒状体内の一端から他端まで流動させながら、前記混合物を溶融混練し、溶融混練された前記混合物に前記アルカリ剤と前記水性媒体とを添加する工程である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液の製造方法により、ポリエステル樹脂の粒子が水性媒体に分散した樹脂粒子分散液を製造する、樹脂粒子分散液製造工程と、
前記樹脂粒子分散液中で、前記ポリエステル樹脂の粒子を凝集させ、前記ポリエステル樹脂の粒子を含む凝集粒子を形成する、凝集粒子形成工程と、
前記凝集粒子が前記水性媒体に分散した凝集粒子分散液を加熱し、前記凝集粒子を融合・合一してトナー粒子を形成する、融合・合一工程と、
を有するトナー粒子の製造方法。
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JP2015063299A JP6606842B2 (ja) | 2015-03-25 | 2015-03-25 | 樹脂粒子分散液の製造方法及びトナー粒子の製造方法 |
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