JP6866757B2 - 処理液組成物、及び記録方法 - Google Patents
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Description
従来の主要な記録媒体としては、浸透性の記録媒体である紙などが挙げられるが、近年では、非浸透性の記録媒体であるプラスチックフィルム等にも印刷がなされるようになってきている。
そのため、このようなプラスチックフィルムに対して、インクが高い定着性を有する必要がある。
このように処理液を用いる場合、インクの定着性もさることながら、プラスチックフィルムに対する処理液の定着性も高いものである必要がある。
本発明の処理液組成物は、樹脂粒子、水、有機溶剤、界面活性剤、及び水溶性塩を含む処理液組成物であって、前記樹脂粒子が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するアクリル樹脂粒子を含み、前記界面活性剤が、アセチレン結合を有する界面活性剤と、シリコーン界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかと、を含み、前記界面活性剤の総含有量が、0.1質量%以上0.8質量%以下であり、25℃での表面張力が、26mN/m以下であり、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明の処理液組成物は、従来の処理液、及び画像形成方法では、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を用いており、記録媒体としては浸透性の記録媒体を対象としており、プラスチックフィルムのような非浸透性の記録媒体を対象とした場合、記録媒体に対する処理液の定着性が十分でないという問題があるという知見に基づくものである。また、浸透性の記録媒体の場合、処理液中に含まれる溶剤や界面活性剤等の成分は、揮発或いは記録媒体への浸透により、記録媒体表面から無くなっていく。しかし、非浸透性の記録媒体の場合、記録媒体への浸透は無いため、処理液中に含まれる溶剤や界面活性剤等の成分が記録媒体表面から無くなるためには、揮発するしかない。そのため、不揮発性であるフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤のみを用いた処理液の場合、記録媒体表面上に界面活性剤が残存し、記録媒体に対する処理液自体の定着性が低下するという問題があるという知見に基づくものである。
また、本発明の処理液組成物は、従来のインクジェット記録用水性反応液では、凝集塩を添加する場合、樹脂が塩析して保存安定性が低下することがあるため、保存安定性が低下するという問題があるという知見に基づくものである。また、従来のインクジェット記録用水性反応液では、プラスチックフィルムのように透明な記録媒体に対しては、処理液自体の透明性が低いと、プラスチックフィルム上に処理液を塗布した際の透明性の低下に繋がるという問題があるという知見に基づくものである。
前記樹脂粒子は、加熱乾燥させると、粒子同士が融着して膜を形成し、定着性を向上することができる。
前記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
前記一般式(1)で表される構造単位におけるnとしては、5〜100の整数であり、10〜50の整数であることが好ましい。前記nが、5〜100の整数であると、保存安定性、及び耐水性を向上することができる。
前記一般式(1)で表される構造単位は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計(熱分解装置名:PY2020D、Frontier Lab社製、ガスクロマトグラフ:780A、Agilent社製、質量分析計:JMS−Q−1000GC MkII、日本電子株式会社製)を用いて測定することにより確認することができる。
前記50%累積体積粒径(D50)は、例えば、ゼータ電位・粒径測定システム(装置名:ELSZ−1000、大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により測定することができる。具体的には、まず、樹脂粒子の水分散液0.2gを取り、次に、イオン交換水を加えて40倍に希釈し、得られた溶液の一部を石英セルに入れ、サンプルホルダーにセットする。そして、温度:25℃、ダストカット(回数:5、Upper:5、Lower:100)、積算回数:70の条件で測定し、樹脂粒子の50%累積体積粒径(D50)を得ることができる。
前記樹脂粒子としては、本発明の効果を損なわなければ、前記アクリル樹脂粒子と、前記アクリル樹脂粒子以外のその他の樹脂粒子を併用してもよい。
前記その他の樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂粒子を併用する場合、前記アクリル樹脂粒子と合わせた全樹脂粒子の含有量としては、処理液組成物全量に対して、固形分として1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記界面活性剤は、アセチレン結合を有する界面活性剤と、シリコーン界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかと、を含み、更に必要に応じてその他の界面活性剤を含む。
前記アセチレン結合を有する界面活性剤は、揮発性の界面活性剤であり、非浸透性の記録媒体に処理液組成物を塗布した場合でも、揮発して記録媒体表面に残りにくいため、アセチレン結合を有する界面活性剤を含むことにより、処理液組成物が優れた定着性を発現することができる。
HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
前記市販品としては、例えば、商品名:サーフィノール465(エアープロダクツ社製、HLB値:13)などが挙げられる。
前記シリコーン界面活性剤(シリコーン系界面活性剤)は、記録媒体に処理液を塗布した際の塗布膜の透明性を向上することができる。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素界面活性剤(フッ素系界面活性剤)は、記録媒体に処理液を塗布した際の塗布膜の透明性を向上することができる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CnF2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145、S−242(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
前記水溶性塩は、処理液組成物を塗布した記録媒体にインクが着弾した際に、ビーディングを抑制することができる。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、処理液組成物の乾燥性の点から、処理液組成物全量に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
前記表面張力は、例えば、高機能表面張力計(装置名:DY−500、協和界面科学株式会社製)を用いて、温度25℃でWilhelmy法により測定することができる。
前記その他の成分としては、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
本発明に用いる記録媒体としては、特に制限なく用いることができ、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性の記録媒体に対して特に好適に用いることができる。
前記記録方法は、本発明の処理液組成物を記録媒体に塗布する工程と、前記記録媒体にインクを付着させる工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記処理液組成物を記録媒体に塗布する工程としては、本発明の処理液組成物を記録媒体に塗布する。
前記処理液組成物としては、本発明の処理液組成物と同様のものを用いることができる。
前記記録媒体としては、本発明の処理液組成物における記録媒体と同様のものを用いることができる。
前記記録媒体にインクを付着させる工程は、前記処理液組成物を付与した記録媒体にインクを付着させる。
前記処理液組成物、及びインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対して処理液組成物やインク等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。前記記録媒体とは、処理液組成物やインク等が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、処理液組成物やインクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有してもよい。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前記印刷物は、本発明の記録方法を用いて画像が形成される。
前記表面張力は、高機能表面張力計(装置名:DY−500、協和界面科学株式会社製)を用いて、温度25℃でWilhelmy法により測定した。
前記アクリル樹脂粒子の50%累積体積粒径(D50)は、ゼータ電位・粒径測定システム(装置名:ELSZ−1000、大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により測定した。具体的には、まず、アクリル樹脂粒子の水分散液0.2gを取り、次に、イオン交換水を加えて40倍に希釈し、得られた溶液の一部を石英セルに入れ、サンプルホルダーにセットする。そして、温度:25℃、ダストカット(回数:5、Upper:5、Lower:100)、積算回数:70の条件で測定した。
<アクリル樹脂粒子1の合成>
メタクリル酸メチル38.9g、アクリル酸2エチルヘキシル49.6g、ブレンマーPME1000(日油株式会社製)4.0g、ビニルトリエトキシシラン7.5g、アクアロンHS−10(第一工業製薬株式会社製)0.3g、及びイオン交換水34gからなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水89gを仕込み、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。次いで、10質量%アクアロンHS−10水溶液0.8g、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.6gを投入した後、あらかじめ調製しておいた乳化液を2.5時間かけて連続的に滴下した。また、滴下開始から3時間経過するまでの間1時間毎に15質量%過硫酸アンモニウム水溶液0.6gを投入した。滴下終了後70℃で2時間熟成した後に冷却し、28質量%アンモニア水でpHを7〜8となるよう調節し、アクリル樹脂粒子1を得た。得られたアクリル樹脂粒子1をフーリエ変換赤外分光光度計(装置名:FT−IR4100、日本分光株式会社製)を用いて測定したところ、前記一般式(1)で表される構造単位中のR1は、−COO−であり、R2は、CH3であり、R3は、CH3であり、nは、23であることが確認できた。前記アクリル樹脂粒子1の50%累積体積粒径(D50)は、150nmであった。
<アクリル樹脂粒子2の合成>
メタクリル酸メチル40.7g、アクリル酸2エチルヘキシル51.8g、ビニルトリエトキシシラン7.5g、アクアロンHS−10、第一工業製薬株式会社製)0.3g、及びイオン交換水34gからなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水89gを仕込み、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。次いで、10質量%アクアロンHS−10水溶液0.8g、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.6gを投入した後、あらかじめ調製しておいた乳化液を2.5時間かけて連続的に滴下した。また、滴下開始から3時間経過するまでの間1時間毎に15質量%過硫酸アンモニウム水溶液0.6gを投入した。滴下終了後70℃で2時間熟成した後に冷却し、28質量%アンモニア水でpHを7〜8となるよう調節し、アクリル樹脂粒子2を得た。得られたアクリル樹脂粒子2をフーリエ変換赤外分光光度計(装置名:FT−IR4100、日本分光株式会社製)を用いて測定したところ、前記一般式(1)で表される構造単位中のR1は、−COO−であり、R2は、CH3であり、R3は、CH3であり、nは、23であることが確認できた。前記アクリル樹脂粒子2の50%累積体積粒径(D50)は、135nmであった。
プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)15.00質量%、3−メトキシ−3−メチルブタノール(東京化成工業株式会社製)20.00質量%、アセチレン結合を有する界面活性剤(商品名:サーフィノール465、エアープロダクツ社製)0.25質量%、フッ素界面活性剤(商品名:サーフロンS−242、AGCセイミケミカル株式会社製)0.25質量%、防腐防黴剤としてプロキセルLV(アビシア社製)0.05質量%、防錆剤として1,2,3−ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製)0.05質量%、及び酢酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)2.00質量%、を30分間混合撹拌し、次いで、アクリル樹脂粒子1(固形分換算)10.00質量%を加えてさらに30分間混合撹拌することで処理液組成物を得た。
実施例1において、組成を下記表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、処理液組成物を得た。
9mLバイアル瓶(商品名:ラボランスクリュー管瓶、アズワン社製)に入れて密閉した処理液組成物を、70℃の恒温槽にて、1週間保管し、保管前後の粘度を測定し、保管前の粘度をA、保管後の粘度をBとしたとき、下記式(1)から粘度変化を算出し、下記評価基準に基づいて、「保存安定性」を評価した。粘度は、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製、AR2000 Rheometer)を用いて、25℃、50%RHの環境にて、コーンプレート(直径:40mm、1°)を使用し、ギャップ38μm、せん断速度200(1/s)で測定した。
粘度変化率(%)=[(B−A)/A]×100 ・・・ 式(1)
−評価基準−
○:粘度変化率が±5%以内
×:粘度変化率が±5%を超える、又は調合時点で処理液組成物がゲル化して著しく増粘し、評価不可である
定着性は180度ピール試験にて評価した。
具体的には、ポリプロピレンフィルムP−2161(東洋紡株式会社製)のコロナ処理面に、バーコーター(巻き線径:0.1mm)を使って各処理液組成物をそれぞれ塗布し、80℃の乾燥機で2分間乾燥させた。次いで、幅15mm、長さ300mmとなるように処理液組成物を塗布して乾燥させたフィルムを切り出した。幅30mm、長さ200mmのガラスエポキシ基板に、長さ100mmにカットした両面テープ(スコッチ超強力プレミアムゴールド、幅19mm、長さ4m、厚み0.6mm、スリーエム社製)を貼り付け、万力を用いて圧着した。そして、さらに両面テープの反対側に前記切り出したフィルムの端から100mm部分を貼り、手で圧着した。次いで、万能力学試験機(AUTOGRAPH AGS−X、株式会社島津製作所製)に、両面テープとフィルムの接着部分が180度方向に剥離されるように、下側がガラスエポキシ樹脂、上側が両面テープには貼り付けていないフィルム部分となるようにセットし、ロードセル50N、剥離速度300mm/分間で剥離した。得られた応力(N)−ストローク(mm)結果において、ストロークが20mm以上の領域における応力の平均値を算出し、得られた応力の平均値をサンプル幅(15mm)で除してピール強度(単位:N/15mm)を測定し、「定着性」を評価した。前記ピール強度が、7.0N/15mm以上が実施可能レベルである。
ポリプロピレンフィルムP−2161(東洋紡株式会社製)のコロナ処理面に、バーコーター(巻き線径:0.1mm)を使って各処理液組成物をそれぞれ塗布し、80℃の乾燥機で2分間乾燥させた。次いで、ヘーズメーター(装置名:HZ−1、スガ試験機株式会社製)を用いてヘーズ(単位:%)を測定し、「透明性」を評価した。前記ヘーズが、4%以下が実施可能レベルである。
・プロピレングリコール:和光純薬工業株式会社製
・3−メトキシ−3−メチルブタノール:東京化成工業株式会社製
・アセチレン結合を有する界面活性剤:エアープロダクツ社製、商品名:サーフィノール465、HLB値:13
・シリコーン界面活性剤:エボニック社製、商品名:TEGO Wet270
・フッ素界面活性剤:AGCセイミケミカル株式会社製、商品名:サーフロンS−242
・酢酸カルシウム:和光純薬工業株式会社製
・プロキセルLV:アビシア社製
・1,2,3−ベンゾトリアゾール:城北化学工業株式会社製、商品名:BT−120
<1> 樹脂粒子、水、有機溶剤、界面活性剤、及び水溶性塩を含む処理液組成物であって、
前記樹脂粒子が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するアクリル樹脂粒子を含み、
前記界面活性剤が、アセチレン結合を有する界面活性剤と、シリコーン界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかと、を含み、
前記界面活性剤の総含有量が、0.1質量%以上0.8質量%以下であり、
25℃での表面張力が、26mN/m以下であることを特徴とする処理液組成物である。
<2> 前記界面活性剤に対する前記アセチレン結合を有する界面活性剤の含有量が、25質量%以上90質量%以下である前記<1>に記載の処理液組成物である。
<3> 前記界面活性剤に対する前記アセチレン結合を有する界面活性剤の含有量が、50質量%以上90質量%以下である前記<2>に記載の処理液組成物である。
<4> 前記界面活性剤に対する前記アセチレン結合を有する界面活性剤の含有量が、50質量%以上80質量%以下である前記<3>に記載の処理液組成物である。
<5> 前記アセチレン結合を有する界面活性剤のHLB値が、13以上19以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<6> 前記アクリル樹脂粒子の50%累積体積粒径が、80nm以上200nm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<7> 前記一般式(1)で表される構造単位におけるnが、10〜50の整数である前記<1>から<6>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<8> 前記25℃での表面張力が、25.5mN/m以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<9> 前記アセチレン結合を有する界面活性剤が、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、又はこれらのアルキレンオキサイド付加物である前記<1>から<8>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<10> 前記アクリル樹脂粒子の含有量が、1質量%以上30質量%以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<11> 前記アクリル樹脂粒子の含有量が、5質量%以上20質量%以下である前記<10>に記載の処理液組成物である。
<12> 前記水溶性塩が、多価金属塩である前記<1>から<11>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<13> 前記多価金属塩が、酢酸カルシウムである前記<12>に記載の処理液組成物である。
<14> 前記水溶性塩の含有量が、0.1質量%以上20質量%以下である前記<1>から<13>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<15> ウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、酢酸ビニル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び塩化ビニル系樹脂粒子から選択される少なくとも1種をさらに含む前記<1>から<14>のいずれかに記載の処理液組成物である。
<16> 前記<1>から<15>のいずれかに記載の処理液組成物を記録媒体に塗布する工程と、
前記記録媒体にインクを付着させる工程と、を含むことを特徴とする記録方法である。
<17> 前記記録媒体が、非浸透性の記録媒体である前記<16>に記載の記録方法である。
<18> 前記非浸透性の記録媒体が、プラスチックフィルムである前記<17>に記載の記録方法である。
<19> 前記プラスチックフィルムが、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムから選択される少なくとも1種である前記<18>に記載の記録方法である。
<20> 前記<16>から<19>のいずれかに記載の記録方法を用いて画像が形成されたことを特徴とする印刷物である。
Claims (6)
- 樹脂粒子、水、有機溶剤、界面活性剤、及び水溶性塩を含む処理液組成物であって、
前記樹脂粒子が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するアクリル樹脂粒子を含み、
前記界面活性剤が、アセチレン結合を有する界面活性剤と、シリコーン界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかと、を含み、
前記界面活性剤の総含有量が、0.1質量%以上0.8質量%以下であり、
25℃での表面張力が、26mN/m以下であることを特徴とする非浸透性記録媒体用処理液組成物。
- 前記界面活性剤に対する前記アセチレン結合を有する界面活性剤の含有量が、25質量%以上90質量%以下である請求項1に記載の非浸透性記録媒体用処理液組成物。
- 前記アセチレン結合を有する界面活性剤のHLB値が、13以上19以下である請求項1から2のいずれかに記載の非浸透性記録媒体用処理液組成物。
- 前記アクリル樹脂粒子の50%累積体積粒径が、80nm以上200nm以下である請求項1から3のいずれかに記載の非浸透性記録媒体用処理液組成物。
- 前記一般式(1)で表される構造単位におけるnが、10〜50の整数である請求項1から4のいずれかに記載の非浸透性記録媒体用処理液組成物。
- 請求項1から5のいずれかに記載の非浸透性記録媒体用処理液組成物を記録媒体に塗布する工程と、
前記記録媒体にインクを付着させる工程と、を含むことを特徴とする記録方法。
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