JP2020176187A - インク、インク収容容器、印刷方法、及び印刷装置 - Google Patents

インク、インク収容容器、印刷方法、及び印刷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、加熱乾燥時においても白色度の低下を抑制しながら沈降しにくい、かつ、耐擦性と密着性に優れるインクを提供することを目的とする。【解決手段】水、水溶性有機溶剤、顔料、樹脂粒子Aを含有するインクであって、前記顔料が、中空樹脂粒子であり、前記水溶性有機溶剤は全て沸点が250℃以下の水溶性有機溶剤であり、前記樹脂粒子Aはガラス転移温度が40℃以上であるインク。前記中空樹脂粒子はケイ素を含有することが好ましい【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インク収容容器、印刷方法、及び印刷装置に関する。
インクジェットプリンターは、低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有するため、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。また近年では、家庭用のみならず、例えば、ディスプレイ、ポスター、掲示板等の産業用途にも利用されている。
しかし、産業用途の場合、記録媒体としては、紙に限定されず透明な記録媒体から着色された記録媒体まで幅広く用いられる。これらの記録媒体に白を表現する場合やカラーインクで着色する場合、記録媒体の透明性をインクで隠蔽したり、記録媒体の色をインクで十分に隠蔽したりする必要がある。このため、透明な記録媒体や着色された記録媒体を白色にするため白色インクが用いられている。また、カラーインクを用いる場合は、一般的な画像に用いるカラーインクと共通化するため、記録媒体にカラーインクの下地として白色インクを印字してカラーの発色を向上させている。
前記白色インク用の顔料としては、隠蔽力、着色力等に優れた白色顔料である二酸化チタンが広く用いられている。前記二酸化チタンを用いて高い隠蔽力を得るには可視光を散乱させるために、粒径が200nmから400nmの範囲に分散させる必要がある。しかし、前記二酸化チタンは、比重がインク媒体と比較して大きいために沈降しやすく、更に、水性インクやソルベントインクなどの低粘度インク中では沈降速度が速くなる。また、前記二酸化チタンが沈降すると最密充填構造を形成するために再度分散させることは困難である。
このような課題に対して、中空粒子を用いたインクが報告されている。前記中空粒子はインク中では空孔部にインク媒体が存在することになるため、見かけの比重が小さくなり、沈降しにくくなる。また、前記中空粒子の隠蔽性は、塗膜乾燥後の中空シェルとインク媒体の抜けた空孔部の屈折率差を利用して得られる。
例えば、中空構造を有する有機粒子と、中空構造を有する無機粒子とを含有するインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、中空樹脂粒子に加えて、印刷物の堅牢性を改善する目的でポリウレタン樹脂を含有するインクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、沈降しにくく、かつ加熱乾燥時においても白色度の低下を抑制することができ、さらに、耐擦性と密着性に優れる画像が得られるインクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、水、水溶性有機溶剤、顔料、樹脂粒子Aを含有するインクであって、前記顔料が、中空樹脂粒子であり、前記水溶性有機溶剤は全て沸点が250℃以下の水溶性有機溶剤であり、前記樹脂粒子Aはガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とする。
本発明によると、沈降しにくく、かつ加熱乾燥時においても白色度の低下を抑制することができ、さらに、耐擦性と密着性に優れる画像が得られるインクを提供することができる。
本発明のインクを用いる印刷装置の一例を示す図である。 本発明のインクを収容するメインタンクの斜視図である。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
(1)水、水溶性有機溶剤、顔料、樹脂粒子Aを含有するインクであって、
前記顔料が、中空樹脂粒子であり、
前記水溶性有機溶剤は全て沸点が250℃以下の水溶性有機溶剤であり、
前記樹脂粒子Aはガラス転移温度が40℃以上であるインク。
(2)前記中空樹脂粒子が、ケイ素を含有する(1)に記載のインク。
(3)前記樹脂粒子Aがポリウレタン樹脂粒子であり、かつ、累積50%体積粒径D50が41nm以下である(1)または(2)に記載のインク。
(4)前記樹脂粒子Aがポリエステル樹脂粒子であり、かつ、累積50%体積粒径D50が90〜150nmである(1)または(2)に記載のインク。
(5)さらに、第二の樹脂粒子Bを含有する(1)から(4)のいずれかに記載のインク。
(6)前記樹脂粒子Bはガラス転移温度が0℃以下である(5)に記載のインク。
(7)前記中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径が300nm以上800nm以下である(1)から(6)のいずれかに記載のインク。
(8)前記中空樹脂粒子の中空率が20%以上60%以下である(1)から(7)のいずれかに記載のインク。
(9)ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成した50mm×50mmのベタ画像を、50℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*50℃、100℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*100℃としたとき、下記式(1)で表される明度差ΔL*の絶対値が10未満である(1)から(8)のいずれかに記載のインク。
ΔL*=(L*100℃)−(L*50℃)・・・式(1)
(10)(1)から(9)のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなるインク収容容器。
(11)記録媒体上に(1)から(9)のいずれかに記載のインクによりインクジェット方式で画像を形成する画像形成工程と、前記画像を加熱して乾燥する乾燥工程と、を含み、前記乾燥工程における加熱温度が50℃以上200℃以下である印刷方法。
(12)(10)に記載のインク収容容器と、インクを吐出させるための吐出ヘッドと、を有する印刷装置。
<インク>
本発明において、インクは水、水溶性有機溶剤、顔料、樹脂粒子Aを含有し、前記顔料が、中空樹脂粒子であり、前記水溶性有機溶剤は全て沸点が250℃以下の水溶性有機溶剤であり、前記樹脂粒子Aはガラス転移温度が40℃以上である。前記中空樹脂粒子はケイ素を含有することが好ましい。
顔料が中空樹脂粒子であることにより、沈降しにくくなる。また、全ての水溶性有機溶剤の沸点が250℃以下であることにより、良好な乾燥性が得られ、塗膜乾燥後にインク媒体が中空樹脂粒子内に残存し、白色度が低下するのを防止できる。さらに、樹脂粒子Aのガラス転移温度が40℃以上であることで、耐擦性及び密着性に優れる画像が得られるインクを提供できる。
中空樹脂粒子は、乾燥時にインク溶剤中で加熱されることにより粒子が形状を維持できず、白色度が低下することがある。本発明では中空樹脂粒子がケイ素を含有することによりさらに耐熱性及び耐溶剤性が向上し、白色度が低下しにくくなる。
したがって、本発明のインクは、沈降しにくく、かつ加熱乾燥時においても白色度の低下を抑制することができ、さらに、耐擦性と密着性を兼ね備えた画像を得ることができる。
<中空樹脂粒子>
インクには顔料としては、中空樹脂粒子が用いられる。インクは、白色インクである。
前記中空樹脂粒子の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビニルモノマー、界面活性剤、重合開始剤、及び水系分散媒を窒素雰囲気下で加熱しながら攪拌することにより中空樹脂粒子エマルションを形成する、いわゆる乳化重合法が好ましい。具体的な方法としては、古くからその製造方法が検討されており、よく知られたものでは、ローム&ハース社の「アルカリ膨潤を利用する方法」(特開昭56−32513号公報)、日本合成ゴム社の「重合収縮を利用する方法」(特開昭61−87734号公報、特開昭62−127336号公報)、積水化学工業の「相分離を利用した方法」(特開2005−146223号公報)などが挙げられる。
ケイ素を含有する中空樹脂粒子は、架橋剤としてシリコン系架橋剤を用いる方法などで合成することができる。シリコン系架橋剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ビニルモノマーとしては、例えば、非イオン性単官能エチレン不飽和モノマー、二官能性ビニルモノマー、三官能性以上のビニルモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記非イオン性単官能エチレン不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ビニルアセテート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記二官能性ビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記三官能性以上のビニルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記非イオン性単官能エチレン不飽和モノマーと前記二官能性ビニルモノマー及び前記三官能性以上のビニルモノマーの少なくともいずれかとを共重合させて高度に架橋することにより、光散乱特性だけでなく、耐熱性、耐溶剤性、溶剤分散性などの特性を備えた中空樹脂粒子を得ることができる。
前記界面活性剤としては、水中でミセルなどの分子集合体を形成するものであればよく、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤としては、水に可溶な公知の化合物を用いることができ、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水系分散媒としては、例えば、水、親水性有機溶剤を含有する水などが挙げられる。
前記中空樹脂粒子の中空率としては、目的に応じて適宜選択することができるが、20%以上60%以下が好ましい。前記中空率が、20%以上であると、印字した画像の白色度を向上することができ、60%以下であると、印字した画像の耐擦性を確保することができる。
前記中空率の測定としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた方法などが挙げられる。なお、前記中空率は、前記中空樹脂粒子の外径と内径(中空部の直径)から球体と近似したときの容積の比であり、下記式(2)で表すことができる。
中空率(%)
=(中空樹脂粒子の内部容積/中空樹脂粒子の容積)×100・・・式(2)
中空樹脂粒子の内部容積=(4π/3)×(中空樹脂粒子の内半径)3
中空樹脂粒子の容積=(4π/3)×(中空樹脂粒子の外半径)3
前記中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、目的に応じて適宜選択することができるが、300nm以上800nm以下が好ましい。前記個数平均一次粒子径が、300nm以上であると、白色度を確保することができる。前記一次粒子径が、800nm以下であると、沈降度に優れる。
前記個数平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、装置名:JEM−2100F)を用いて、3万倍視野での200個以上500個以下の一次粒子を挟む一定方向の2本の平行線の間隔にある一定方向径を測定して、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径とした。
中空樹脂粒子の中空率、及び個数平均一次粒子径は、中空樹脂粒子を製造する際のシート粒子径及びシェル層のシェル厚により調整することができる。シェル厚はシェル層を形成する際のモノマー添加量により調整することができる。
前記中空樹脂粒子は、内層が中空であるため、インクとしての比重は1前後であり、二酸化チタンと異なり経時で沈降しにくい。
前記中空樹脂粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インク全量に対して、3.0質量%以上14.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上12.5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、5.0質量%以上であると、印字した画像の白色度を確保することができる。前記含有量が、12.5質量%以下であると、沈降度に優れる。
<水>
本発明に用いられる水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水溶性有機溶剤>
本発明のインクは、中空樹脂粒子のシェルと内部の空孔との散乱を利用して隠蔽性が得られる。そのため、塗膜乾燥後にインク媒体が中空樹脂粒子内に残存すると塗膜の隠蔽性が低下してしまう。上記の点から、前記水溶性有機溶剤は、沸点が250℃以下であることが必要である。
塗膜の隠蔽性が保持されれば、インク媒体が中空樹脂粒子内に含まれるインクとしても良い。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類;含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。
前記水溶性有機溶剤の水溶性とは、前記有機溶剤が水に対して30質量%以上溶解可能であることを意味する。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド(出光興産株式会社製、エクアミドB100)、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド(出光興産株式会社製、エクアミドM100)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点250℃以下の水溶性有機溶剤を用いることが必要である。
本発明において、水溶性有機溶剤は、2種以上を併用しても良いが、全ての水溶性有機溶剤が、沸点250℃以下であることが必要である。
これらの中でも、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物が好適に使用される。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性有機溶剤の水性インク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<樹脂粒子A>
前記樹脂粒子Aとしては、ガラス転移温度が40℃以上である必要があり、40℃以上80℃以下が好ましい。40℃以上のガラス転移温度を有する樹脂粒子は記録媒体上で適度に広がるように画像を形成するため、中空樹脂粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。これにより、優れた耐擦性と密着性を有する画像を得ることができる。
樹脂粒子のガラス転移温度は、DSCシステムQ−2000(TAインスツルメント社製)を用いて測定できる。具体的には、まず、アルミニウム製の試料容器に入れた樹脂約5.0mgを装置にセットし、窒素気流下にて以下の測定条件にて測定を行った。2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてガラス転移温度を求めた。
・−70℃まで冷却後5分間保持
・10℃/minで120℃まで昇温
・−70℃まで冷却後5分間保持
・10℃/minで120℃まで昇温
また、インクを分析して樹脂粒子のガラス転移温度を測定する場合は、以下のようにして行う。中空樹脂粒子と樹脂粒子の粒子径の違いを利用して、フィルターを利用して分離する。例えば、対象インクを孔径0.22μmシリンジフィルター(Membrane-Solutions LLC社)を用いて分離する。粒子径の小さい樹脂粒子は通過するため、フィルター通過した液を減圧乾燥して樹脂粒子の乾燥粉体とし、上記の方法によりガラス転移温度を測定することができる。
前記樹脂粒子Aの樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた耐擦性及び密着性を得る観点から、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかであることが好ましい。
前記樹脂は、水性エマルションの形態で水に分散し得る樹脂粒子であることが好ましく、前記樹脂粒子Aが分散された樹脂エマルションの形態としてインク中に添加されることがより好ましい。
ここで、前記「水性エマルションの形態で水に分散し得る樹脂粒子」とは、実質的に水不溶性の樹脂を水中で粒子状に分散してなる形態を言い、本発明における樹脂エマルションとは、一般に、エマルション、ディスパージョン、ラテックス、又はサスペンションと呼ばれるものを含む。
前記樹脂粒子Aとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
詳細な理由は不明であるが、前記樹脂粒子Aがポリウレタン樹脂粒子である場合、累積50%体積粒径(D50)は、印字画像の耐擦性の観点から、41nm以下が好ましく、10nm以上41nm以下がより好ましい。前記樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子である場合、累積50%体積粒径(D50)は、印字画像の耐擦性の観点から、90nm以上150nm以下が好ましく、90nm以上135nm以下がより好ましい。
前記樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して、2.0質量%以上7.5質量%以下が好ましく、3.0質量%以上7.0質量%以下がより好ましい。前記含有量が、2.0質量%以上であると、印字画像の耐擦性が向上する。また、前記含有量が、7.5質量%以下であると、インク中で樹脂粒子が安定に維持できる。
<樹脂粒子B>
本発明のインクは、さらに第二の樹脂粒子Bを含有することが好ましい。前記第二の樹脂粒子Bはガラス転移温度が0℃以下であることが好ましく、−20℃以上0℃以下がより好ましい。ガラス転移温度が0℃以下の第二の樹脂粒子Bを併用することで、印字画像の密着性が向上する。
前記第二の樹脂粒子Bの樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた密着性を得る観点から、ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
前記樹脂粒子Bの含有量は、インク全量に対して、0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましい。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルション株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2020176187
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルション株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2020176187
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
Figure 2020176187
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCm2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−Cm2m+1でmは4〜6の整数、又はC2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
インクジェット記録方法によるインク付着量は、1.5g/m2〜25g/m2が好ましい。前記インク付着量が、1.5g/m2以上であると、十分な画像濃度を得ることができ、25g/m2以下であると、十分な定着性が得られる。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材をいう。
非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
<インク収容容器>
本発明のインク収容容器は、本発明のインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
<印刷装置、印刷方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、印刷装置、印刷方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
本発明の印刷装置は、本発明のインク収容容器と、インクを吐出させるための吐出ヘッドと、を有する。
この印刷装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
印刷装置、印刷方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、印刷装置、印刷方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、印刷装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この印刷装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の印刷装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
印刷装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。以下は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーインクを用いた場合について説明するが、本発明のインクは、白色インクであり、前記ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーインクより前に、白色インクを用いて前記カラーインクと同様に印字してインク層を形成する。
図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。印刷装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この印刷装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
本発明の印刷方法は、記録媒体上に本発明のインクによりインクジェット方式で画像を形成する画像形成工程と、
前記画像を加熱して乾燥する乾燥工程と、を含み、
前記乾燥工程における加熱温度が50℃以上200℃以下である。この温度範囲によれば、記録媒体に対する熱の影響が生じにくい。
本発明のインクは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に形成した50mm×50mmのベタ画像を、50℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*50℃、100℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*100℃としたとき、下記式(1)で表される明度差ΔL*の絶対値は、10未満であることが好ましく、5以下がより好ましい。前記明度差ΔL*の絶対値が10未満であると、画像(例えば、白色度)の安定性に優れる。
ΔL*=(L*50℃)−(L*100℃)・・・式(1)
前記明度は、例えば、分光測色濃度計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて測定することができる。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
本発明のインクとしては、透明フィルムや着色記録媒体に適用される場合に、特に良好な発色を備えた画像を提供することができる。
前記透明フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム等のプラスチック素材からなるものなどが挙げられる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであれば、厚さ100μmの全光線透過率が80%以上のものが挙げられる。
前記着色記録媒体としては、例えば、着色された紙、着色された前記透明フィルム、生地、衣服、セラミックなどが挙げられる。なお、カラー印字の際にインクより前に前記白色インクで印字することによって、記録媒体の色を白に揃えることができ、インクの発色を向上させることができる。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
また、特に記載が無い場合、インクの調製、評価は、室温25℃、湿度60%の条件下で行った。なお、例中の「部」は「質量部」である。
<中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径及び中空率>
透過型電子顕微鏡を(日本電子株式会社製、「JEM−2100F」)を用いて、3万倍視野での中空樹脂粒子200個以上500個以下の一次粒子を挟む一定方向の2本の平行線の間隔にある一定方向径を測定して、中空樹脂粒子200個各々の個数平均一次粒子径及びシェル厚を求めた。200個の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径及びシェル厚のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径及びシェル厚とした。中空率は、前述の式(2)より算出した。
<中空樹脂粒子1の製造例>
(シード粒子エマルション1の合成)
撹拌機、温度計、冷却器、滴下ロートを備え、窒素雰囲気下の四ツ口セパラブルフラスコに、脱イオン水(385.42部)を仕込み撹拌しながら80℃まで加温した。次に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.22部)、10%過硫酸アンモニウム水溶液(5.00部)を加え、メチルメタクリレート(66.19部)とメタクリル酸(43.06部)の混合モノマーを2時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で3時間熟成し、冷却後120メッシュのろ布を用いてシード粒子エマルションを得た。得られたシード粒子エマルションの固形分は20質量%、pHは2.8、シード粒子の個数平均一次粒子径は120nmであった。
(中空樹脂粒子エマルション1の合成)
−1段目重合−
撹拌機、温度計、冷却器、滴下ロートを備え、窒素雰囲気下の四ツ口セパラブルフラスコに、脱イオン水(388.35部)を仕込み、上記で得たシード粒子エマルション1(46.36部)を添加し、撹拌しながら80℃に加温した。一方、ブチルメタクリレート(3.90部)、メチルメタクリレート(41.07部)、メタクリル酸(1.35部)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.18部)、脱イオン水(14.61部)を、ホモディスパーで乳化させ、プレエマルション1とした。次に、前記80℃に加温した溶液に、10%過硫酸アンモニウム水溶液(4.13部)を加え、上記で得たプレエマルション1を60分かけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で2時間熟成した。
−2段目重合−
スチレン(55.34部)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.15部)、脱イオン水(23.30部)を、ホモディスパーで乳化させ、プレエマルション2とした。次に、上記1段目重合で得た溶液に、10%過硫酸ナトリウム水溶液(4.61部)を加え、上記で得たプレエマルション2を120分かけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で2時間熟成した。
80℃で2時間熟成した後、シード粒子を膨潤、溶解させるために28%のアンモニア水(4.44部)を添加し、80℃で1時間熟成した。冷却後、120メッシュのろ布を用いてろ過し、中空樹脂粒子エマルション1を得た。得られたエマルションの固形分を16質量%に調整した。中空樹脂粒子エマルション1のpHは8.9、中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は350nm、シェル厚75nm、中空率19%であった。
<中空樹脂粒子2〜13の製造例>
(シード粒子エマルション2〜5の合成)
シード粒子エマルション2〜5の合成は、シード粒子エマルション1の合成において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量(0.22部)をそれぞれ0.18部、0.14部、0.10部、0.08部に変更した以外は同様の方法で行った。シード粒子エマルション2〜5のシード粒子の個数平均一次粒子径は、それぞれ180nm、220nm、260nm、280nmであった。
(中空樹脂粒子エマルション2の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(49.94部)及びビニルトリエトキシシラン(2.63部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション2の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は350nm、シェル厚60nm、中空率28%であった。
(中空樹脂粒子エマルション3の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(47.32部)及びビニルトリエトキシシラン(2.49部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション3の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は350nm、シェル厚40nm、中空率46%であった。
(中空樹脂粒子エマルション4の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(42.06部)及びビニルトリエトキシシラン(2.21部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション4の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は350nm、シェル厚25nm、中空率63%であった。
(中空樹脂粒子エマルション5の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション2に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション5の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は500nm、シェル厚70nm、中空率37%であった。
(中空樹脂粒子エマルション6の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション2に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(55.20部)及びビニルトリエトキシシラン(2.91部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション6の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は500nm、シェル厚80nm、中空率31%であった。
(中空樹脂粒子エマルション7の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション2に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(52.57部)及びビニルトリエトキシシラン(2.77部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション7の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は500nm、シェル厚70nm、中空率37%であった。
(中空樹脂粒子エマルション8の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション3に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(49.94部)及びビニルトリエトキシシラン(2.63部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション8の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は650nm、シェル厚60nm、中空率54%であった。
(中空樹脂粒子エマルション9の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション3に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(55.20部)及びビニルトリエトキシシラン(2.91部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション9の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は650nm、シェル厚90nm、中空率38%であった。
(中空樹脂粒子エマルション10の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション3に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(57.83部)及びビニルトリエトキシシラン(3.04部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション10の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は650nm、シェル厚130nm、中空率22%であった。
(中空樹脂粒子エマルション11の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション4に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(55.20部)及びビニルトリエトキシシラン(2.91部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション11の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は800nm、シェル厚100nm、中空率42%であった。
(中空樹脂粒子エマルション12の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション5に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(57.83部)及びビニルトリエトキシシラン(3.04部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション12の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は900nm、シェル厚120nm、中空率39%であった。
(中空樹脂粒子エマルション13の合成)
中空樹脂粒子エマルション1の合成において、1段目重合のシード粒子エマルション1をシード粒子エマルション2に変更し、2段目重合のスチレン(55.34部)をスチレン(58.11部)に変更した以外は同様の方法で行った。中空樹脂粒子エマルション13の中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径は500nm、シェル厚75nm、中空率34%であった。
<酸化チタン分散液の作製>
ビーカー中でアクリル共重合体(分散剤、ビックケミージャパン社製、製品名:「DISPERBYK−2008」、有効成分100質量%、アミン価:66mgKOH/g)18.0質量部を純水62.0質量部に溶解させ、二酸化チタン(テイカ社製、製品名「JR−600A」、個数平均一次粒子径250nm、表面処理:Al)20.0質量部を添加し、水冷しながらホモジナイザー(日立工機株式会社製、HG30、C20カッター、8,000rpm、60分間)を用いて分散を行った。得られた二酸化チタン顔料分散液を、平均孔径5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にて濾過を行って、[酸化チタン分散液](二酸化チタン粒子濃度:20質量%)を得た。
<実施例1〜17、比較例1〜4>
(インク1〜21)
−インクの作製−
下記表1に示す組成のインクを常法により調製し、平均孔径5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にて濾過を行い、インク1〜21を作製した。
Figure 2020176187
Figure 2020176187
表1のインクにおいて、用いた材料の詳細については、下記の通りである。
(有機溶剤)
・1,2−プロパンジオール(沸点188℃)
・1,2−ブタンジオール(沸点195℃)
・1,5−ペンタンジオール(沸点242℃)
・1,6−ヘキサンジオール(沸点223℃)
・3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)
・3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点204℃)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点196℃)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)
・アミド化合物:下記構造式で表されるアミド化合物
(出光興産株式会社製、エクアミドM100、沸点216℃)
Figure 2020176187
ただし、R=CH3である。
・グリセリン(沸点290℃)
(樹脂粒子A)
・樹脂粒子a1:ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製、スーパーフレックス210、
ガラス転移温度41℃、D50:45nm)
・樹脂粒子a2:アクリルシリコン樹脂(トーヨーケム社製、W5343、
ガラス転移温度45℃、D50:71nm)
・樹脂粒子a3:ポリウレタン樹脂(三井化学社製、W5661、
ガラス転移温度70℃、D50:21nm)
・樹脂粒子a4:ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、KT−8701、
ガラス転移温度60℃、D50:50nm)
・樹脂粒子a5:ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、KZT−1449、
ガラス転移温度45℃、D50:145nm)
・樹脂粒子a6:ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、KA−5071S、
ガラス転移温度67℃、D50:131nm)
・樹脂粒子a7:ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製、スーパーフレックス150、
ガラス転移温度40℃、D50:41nm)
・樹脂粒子a8:下記ポリエステル樹脂粒子の合成方法により得られたポリエステル樹
脂粒子、ガラス転移温度62℃、D50:92nm)
(ポリエステル樹脂粒子の合成方法)
<ポリエステルの合成>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物560部、テレフタル酸220部、アジピン酸50部、及びジブチルチンオキサイド3部を投入し、常圧下、230℃にて7時間反応させた。
次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸40部を添加し、常圧下、180℃にて5時間反応させて、ポリエステルを合成した。
得られたポリエステルは、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)が6200、ガラス転移温度(Tg)が62℃であった。
<ポリエステル樹脂粒子の合成>
合成したポリエステルを25部、アセトン50部、イオン交換水200部、5N水酸化ナトリウム2.2部を混合した後にエバポレータを用いてアセトン及び一部のイオン交換水を留去し、ポリエステル樹脂粒子の水分散体(固形分30%)を得た。得られたポリエステル樹脂粒子の累積50%体積粒径を測定した結果、92nmであった。
(樹脂粒子B)
・樹脂粒子b1:ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製、スーパーフレックス420、
ガラス転移温度−10℃、D50:15nm)
・樹脂粒子b2:ポリウレタン樹脂(三井化学社製、W6061、
ガラス転移温度25℃、D50:100nm)
・樹脂粒子b3:ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン社製、
Eastek1300、ガラス転移温度36℃、D50:26nm)
・樹脂粒子b4:スチレン樹脂(日本ゼオン社製、LX407S1、
ガラス転移温度−1℃、D50:121nm)
(添加剤)
・界面活性剤A:フッ素系界面活性剤
(Chemours社製、Capstone FS−34)
・界面活性剤B:フッ素系界面活性剤
(Chemours社製、Capstone FS−3100)
・界面活性剤C:フッ素系界面活性剤
(Chemours社製、Capstone FS−30)
・消泡剤:エンバイロジェムAD01(エアープロダクツ社製)
・防腐防黴剤:プロキセルLV(アビシア社製)
・pH調整剤:1N−NaOH
実施例1〜17、比較例1〜4のインクの物性を以下の表2に示す。
Figure 2020176187
<インクの沈降性評価>
実施例1〜17及び比較例1〜4で用いた各インクの粒子の沈降性は、タービスキャンMA2000(英弘精機株式会社製)を用いて評価した。
方法としては、評価インクを水冷しながら超音波分散処理(100W、20分間)を行い、均一分散させてからピペットを用いて専用のガラスセルに評価インクを5.0mL入れた。セル内の評価インクの液面が安定した30分間後に測定を行い、この時間を沈降性評価開始とした。その後、23℃で静置し、100時間後まで測定を行い、沈降性評価開始を基準とした偏差表示にて、沈降性を評価した。沈降性の評価は、上澄みの生成による後方散乱光の変化を、ピークの積算(相対値モード)で行い、以下の基準でランク評価した。
[評価基準]
A:評価開始100時間後の相対変化の絶対値が5.0%未満
B:評価開始100時間後の相対変化の絶対値が5.0%以上10.0%未満
C:評価開始100時間後の相対変化の絶対値が10.0%以上15.0%未満
D:評価開始100時間後の相対変化の絶対値が15.0%以上
<記録条件>
インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)の外装を外し、背面マルチ手差しフィーダーを取り付け、記録ヘッドを含めたインク供給経路に純水を通液することで洗浄し、洗浄液が着色しなくなるまで十分に通液して洗浄液を装置から抜ききって評価用印刷装置とした。
また、調製したインクを5Pa〜10Paの減圧条件で30分間攪拌することで評価インク中の気体を脱気し、インクカートリッジに充填し評価用インクカートリッジとした。充填動作を行わせ、全ノズルに評価インクが充填され異常画像が出ないことを確認し、プリンタ添付のドライバで光沢紙きれいモードを選択後、ユーザー設定でカラーマッチングoffを印刷モードとした。この印刷モードでベタ画像の記録媒体上へのインク付着量が15g/m2となるようにヘッドの駆動電圧を変更することで吐出量を調整した。
<隠蔽性評価>
−画像の明度評価−
実施例1〜17及び比較例1〜4で用いた各インクを前記インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に充填し、マイペーパー(株式会社リコー製、PPC普通紙)上に両面テープで固定した透明PETフィルム(東洋紡株式会社製、エステルフィルムE5100)に対して、Microsoft Word2003(Microsoft社製)にて作成した50cm×50cmのベタ画像を印刷した後、50℃の恒温槽で60分間乾燥させた。
この印刷したPETフィルムの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印刷した部分を、分光測色濃度計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて、明度(L*a)を測定し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:L*a値が、70以上
B:L*a値が、60以上70未満
C:L*a値が、60未満
参考として、黒紙の上に未印字のPETフィルムを敷いた状態で測定したL*A値は、23であった。
−画像の白色度安定性−
実施例1〜17及び比較例1〜4で調製した各インクを前記インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に充填し、マイペーパー(株式会社リコー製、PPC普通紙)上に両面テープで固定した透明PETフィルム(東洋紡株式会社製、エステルフィルムE5100)に対して、Microsoft Word2003(Microsoft社製)にて作成した50cm×50cmのベタ画像を印刷した後、90℃の恒温槽で60分間乾燥させた。
印刷後、記録媒体を50℃の恒温槽に入れ60分間間乾燥したものと、90℃の恒温槽に入れ60分間乾燥したものとを明度を測定して、明度差の絶対値|ΔL*|=|(L*50℃)−(L*90℃)|を算出して評価を行った。
明度の測定は印刷したPETフィルムの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印刷した部分を、分光測色濃度計(X−Rite939、X−Rite社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:|ΔL*|値が、5未満
B:|ΔL*|値が、5以上10未満
C:|ΔL*|値が、10以上
<耐擦性評価>
上記の画像の明度評価で印刷したベタ画像に対し、乾いた木綿(カナキン3号)で100gの加重をかけて擦過し、画像の状態を目視で観察し、下記評価基準に基づき、「耐擦過性」を評価した。前記評価がB−以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A :50回以上擦っても画像が変化しなかった
B+:50回擦った段階で多少の傷が残るが画像濃度には影響しなかった
B−:31回以上50回以下擦過する間に画像濃度が低下した
C :30回以下の擦過で画像濃度が低下した
<密着性評価>
上記の画像の明度評価で印刷したベタ画像に対し、布粘着テープ(商品名:123LW−50、ニチバン株式会社製)を使用した碁盤目剥離試験(JIS K5600−5−6−1999に準拠)により、試験マス目100個の残存マス数をカウントし、下記評価基準に基づいて、基材への「密着性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A:残存マス数が90以上であった
B:残存マス数が70以上90未満であった
C:残存マス数が70未満であった
Figure 2020176187
上記の結果から、水、沸点250℃以下の水溶性有機溶剤、中空樹脂粒子、ガラス転移温度が40℃以上の樹脂粒子を用いた実施例1〜17は比較例1〜4と比較して、加熱乾燥においても白色度の低下を抑制しながら沈降しにくい、かつ、優れた耐擦性と密着性を兼ね備えている。
比較例1は、高沸点の水溶性有機溶剤を用いており、中空樹脂粒子内に溶剤が残存するため高い白色度は得られなかった。比較例2および3は、樹脂粒子のガラス転移温度が40℃未満のため耐擦性及び密着性に劣り、中空樹脂粒子がケイ素を非含有であることにより耐熱性及び耐溶剤性が低く、印字画像の明度変化が大きい。酸化チタンを使用した比較例4は、粒子比重が大きいために沈降しやすい結果が得られた。
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2012−7089号公報 特開2014−196590号公報

Claims (12)

  1. 水、水溶性有機溶剤、顔料、樹脂粒子Aを含有するインクであって、
    前記顔料が、中空樹脂粒子であり、
    前記水溶性有機溶剤は全て沸点が250℃以下の水溶性有機溶剤であり、
    前記樹脂粒子Aはガラス転移温度が40℃以上であるインク。
  2. 前記中空樹脂粒子が、ケイ素を含有する請求項1に記載のインク。
  3. 前記樹脂粒子Aがポリウレタン樹脂粒子であり、かつ、累積50%体積粒径D50が41nm以下である請求項1または2に記載のインク。
  4. 前記樹脂粒子Aがポリエステル樹脂粒子であり、かつ、累積50%体積粒径D50が90nm以上150nm以下である請求項1または2に記載のインク。
  5. さらに、第二の樹脂粒子Bを含有する請求項1から4のいずれかに記載のインク。
  6. 前記樹脂粒子Bはガラス転移温度が0℃以下である請求項5に記載のインク。
  7. 前記中空樹脂粒子の個数平均一次粒子径が300nm以上800nm以下である請求項1から6のいずれかに記載のインク。
  8. 前記中空樹脂粒子の中空率が20%以上60%以下である請求項1から7のいずれかに記載のインク。
  9. ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成した50mm×50mmのベタ画像を、50℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*50℃、100℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*100℃としたとき、下記式(1)で表される明度差ΔL*の絶対値が10未満である請求項1から8のいずれかに記載のインク。
    ΔL*=(L*100℃)−(L*50℃)・・・式(1)
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなるインク収容容器。
  11. 記録媒体上に請求項1から9のいずれかに記載のインクによりインクジェット方式で画像を形成する画像形成工程と、前記画像を加熱して乾燥する乾燥工程と、を含み、前記乾燥工程における加熱温度が50℃以上200℃以下である印刷方法。
  12. 請求項10に記載のインク収容容器と、インクを吐出させるための吐出ヘッドと、を有する印刷装置。
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