以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回が可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に俯仰の動作が可能に設けられたフロント装置4とを備えている。フロント装置4は、土砂の掘削作業等を行うものである。
旋回フレーム5は、上部旋回体3の支持構造体を形成している。旋回フレーム5は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板と、底板上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左,右の縦板(いずれも図示せず)と、各縦板から左,右方向に離間した位置で前,後方向に延びた左サイドフレーム5Aおよび右サイドフレーム(図示せず)とにより構成されている。図4、図5に示すように、左サイドフレーム5Aは、断面がD字状のパイプ部材(Dフレーム)を用いて形成され、その上面5A1は平坦面となっている。
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5の後側に設けられている。このカウンタウエイト6は、フロント装置4との重量バランスをとる重量物として形成されている。カウンタウエイト6の前面6Aは、後述するエンジン室9の後側を閉塞する閉塞面を構成している。
図2、図3に示すように、エンジン7は、エンジン室9の内部に収容された原動機を構成している。エンジン7は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に左,右方向に延びる横置き状態に設けられている。なお、原動機としては、エンジンに電動モータを設けたハイブリッド式の原動機を採用することもできる。また、電動モータ単体を原動機として用いてもよい。
前面板8は、後述する冷却風流入室9Aの前側を覆うもので、左,右方向に延びて旋回フレーム5に立設されている。前面板8は、後述の熱交換器10を構成する枠体11の前面板を兼ねており、前面板8の後面8Aには、後述の前面板側ネット取付部24が設けられている。前面板8は、冷却風流入室9A内への雨水、塵埃等の流入を防ぎ、冷却風の流れを整えるものである。
エンジン室9は、後側がカウンタウエイト6の前面6Aに、下側が旋回フレーム5(アンダカバー)に覆われ、左側面、右側面および上面が後述の外装カバー20によって覆われている。エンジン室9は、後述の熱交換器10と外装カバー20の左側面カバー部21との間に位置する冷却風流入室9Aを含んで構成されている。
図2、図3に示すように、熱交換器10は、エンジン7に対して左,右方向の一側となる左側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。熱交換器10は、温度上昇した各種の流体を外部から吸込んだ冷却風により冷却するものである。熱交換器10は、角筒状の枠体11と、枠体11内に収められたラジエータ12、オイルクーラ13、インタクーラ14、燃料クーラ15、空調装置のコンデンサ16とを備えている。
枠体11は、エンジン7の左側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。枠体11は、前面板8と、前面板8に対向してカウンタウエイト6の前面6Aに沿って設けられた後面板11Aと、前面板8の上部と後面板11Aの上部とに亘って前,後方向に延びた上面板11B(図4、図5参照)と、前面板8の下部と後面板11Aの下部とに亘って前,後方向に延びた下面板11Cと、前面板8、後面板11A、上面板11Bおよび下面板11Cのエンジン7側を閉塞した枠状のファンシュラウド11Dと、ラジエータ12、オイルクーラ13、インタクーラ14、燃料クーラ15およびコンデンサ16を挟んでファンシュラウド11Dの反対側に設けられた一対のネット取付板11Eとにより構成されている。
枠体11の後面板11Aは、左側部分が旋回フレーム5の左サイドフレーム5A上まで延び、その左端部は前側に向けて屈曲した屈曲部11A1となっている。この屈曲部11A1には、上,下方向に離間して後述する左側面カバー部21の各ヒンジ21Bが取付けられている。また、屈曲部11A1には、下側のヒンジ21Bを介して後述するカバー開保持部材23の一部を構成する調整板23Bが取付けられている。ファンシュラウド11Dは、後述する冷却ファン17を取囲んで配置されている。
図6、図7に示すように、各ネット取付板11Eは、前面板8の後面8Aから後側に延びた縦長な板体と、後面板11Aの前面11A2から前側に延びた縦長な板体とにより構成されている。各ネット取付板11Eの上側位置には、後述する防塵ネット18の上側部分を下側から差し込んで固定することができるネット差込み部11E1が設けられている。このネット差込み部11E1は、ネット取付板11Eとの間に下向きに開口する差込み口を形成する逆L字状の板体として構成されている。一方、各ネット取付板11Eの下側位置には、ネット差込み部11E1の下方に位置して、後述のクリップ19が挿嵌される挿嵌孔11E2が設けられている。
従って、各ネット取付板11Eには、ネット差込み部11E1に対して防塵ネット18の枠部材18Aの上側部分を下側から差し込み、枠部材18Aの下側部分に設けた貫通孔18Cにクリップ19を挿通し、このクリップ19を挿嵌孔11E2に挿嵌する。これにより、ラジエータ12、オイルクーラ13、インタクーラ14、燃料クーラ15およびコンデンサ16の冷却風の上流側を覆うように防塵ネット18を取付け、取外し可能に取付けることができる。
冷却ファン17は、熱交換器10とエンジン7との間に設けられている。冷却ファン17は、後述する外装カバー20の外部から吸込んだ空気を、冷却風として熱交換器10に流通させるもので、吸込式の冷却ファンとして構成されている。冷却ファン17は、ラジエータ12、オイルクーラ13、インタクーラ14と対面するように、枠体11のファンシュラウド11D内に配置されている。また、冷却ファン17は、エンジン7の出力軸等に接続されており、エンジン7によって回転駆動される。一方で、冷却ファン17は、電動モータまたは油圧モータによって回転駆動する構成としてもよい。
防塵ネット18は、熱交換器10を挟んで冷却ファン17と反対側となる熱交換器10の吸込み側、即ち、熱交換器10の左側に取付け、取外し可能に配置されている。この防塵ネット18は、外装カバー20の外部から冷却風と一緒に吸込まれる異物(塵埃、枯葉、虫等)を捕えるものである。図6に示すように、防塵ネット18は、横幅方向に長尺な長方形状の枠部材18Aと、枠部材18Aの内側を覆ったネット部材18Bとにより構成されている。ネット部材18Bは、例えば金属製の線材を編んでメッシュ状に加工することにより形成されている。
また、防塵ネット18には、枠部材18Aの横幅方向両側の下部位置に貫通孔18Cが設けられている。各貫通孔18Cは、枠部材18Aの上側部分を枠体11を構成するネット取付板11Eのネット差込み部11E1に差し込んだ状態で、ネット取付板11Eの各挿嵌孔11E2と連通する位置に配置されている。
クリップ19は、防塵ネット18の下側部分を枠体11の各ネット取付板11Eに固定するものである。クリップ19は、貫通孔18Cに挿通され、その先端部をネット取付板11Eの挿嵌孔11E2に嵌合(係合)する。一方で、クリップ19は、指先や簡単な工具を用いて挿嵌孔11E2から簡単に取外すことができる。なお、防塵ネット18の下側部分を枠体11の各ネット取付板11Eに固定する手段としては、クリップ19に換えてねじ部材等の連結部材を用いることができる。
ここで、防塵ネット18を枠体11の各ネット取付板11Eに対して取付ける作業と取外す作業の作業手順の一例について述べる。
枠体11の各ネット取付板11Eに防塵ネット18を取付ける場合には、防塵ネット18の枠部材18Aの上側部分を各ネット取付板11Eのネット差込み部11E1に対して下側から差し込む。これにより、防塵ネット18の上側部分は、厚さ方向に固定することができる。次に、枠部材18Aの下側に設けた各貫通孔18Cを、各ネット取付板11Eの挿嵌孔11E2に連通させる。この状態で、クリップ19を貫通孔18Cに挿通し、先端部を挿嵌孔11E2に嵌合させる。これにより、防塵ネット18の下側部分は、厚さ方向に加え上,下方向と横幅方向(防塵ネット18の長さ方向)に固定することができる。一方、前述した取付け手順と逆の手順で作業を行うことにより、防塵ネット18を枠体11の各ネット取付板11Eから取外すことができる。
外装カバー20は、エンジン7、熱交換器10、冷却ファン17、防塵ネット18を覆うように旋回フレーム5に設けられている。外装カバー20は、カウンタウエイト6と後述のキャブ26との間に設けられている。
外装カバー20は、左,右方向の左側に位置して熱交換器10を覆う側面カバー部としての左側面カバー部21と、右側に位置して油圧ポンプを覆う右側面カバー部(図示せず)と、左側面カバー部21と右側面カバー部との間に位置してエンジン7を上側から覆う上面カバー部22とを含んで構成されている。
左側面カバー部21は、防塵ネット18に対面する左側位置に前,後方向に延びて配置されている。左側面カバー部21は、前,後方向の一側となる後側が回動中心となって前,後方向に開閉可能に構成されている。左側面カバー部21は、左サイドフレーム5Aの上面51Aから上側に延びつつ前,後方向に長尺となった板体からなるカバー本体21Aを有している。このカバー本体21Aの後部は、熱交換器10の枠体11を構成する後面板11Aの屈曲部11A1に対し、上,下に離間した2個のヒンジ21Bを介して水平方向に回動が可能に取付けられている。これにより、左側面カバー部21は、図2に示す全閉位置と、図3中に二点鎖線で示す全開位置との間で開閉(回動)することができる。
また、図4に示すように、カバー本体21Aの上側部位は、上面カバー部22に円滑に繋がるように円弧状に湾曲し、カバー本体21Aの上側部位には、エンジン室9の冷却風流入室9Aに外気を流入させるための吸気口21Cがスリット状に形成されている。さらに、カバー本体21Aの内面21A1には、後述するカバー開保持部材23のステー取付部23Aとカバー側ネット取付部25とが設けられている。
カバー開保持部材23は、熱交換器10の枠体11と左側面カバー部21との間に設けられている。カバー開保持部材23は、左側面カバー部21が開かれたときに、左側面カバー部21を開いた状態で保持するものである。具体的には、カバー開保持部材23は、カバー本体21Aの後側寄りに位置して内面21A1に取付けられたステー取付部23Aと、左側面カバー部21の下側のヒンジ21Bを介して枠体11の後面板11Aの屈曲部11A1に取付けられた調整板23Bと、基端側がステー取付部23Aに回動可能に取付けられたステー23Cとにより構成されている。
ステー取付部23Aは、カバー本体21Aの内面21A1に沿って延びる細長い板体として形成されている。ステー取付部23Aの後側(ヒンジ21B側)には、ステー23Cの基端側が隙間をもって挿着される挿着孔23A1が設けられている。ステー取付部23Aの前側には、左側面カバー部21を閉じた状態(図2に示す状態)で、ステー23Cの先端側を保持する保持孔23A2が設けられている。また、調整板23Bには、長さ方向に間隔をもって全開保持孔23B1と中開保持孔23B2とが設けられている。
カバー開保持部材23は、左側面カバー部21を約90度まで開いた全開位置(図3中に二点鎖線で示す位置)で、ステー23Cの先端側を調整板23Bの全開保持孔23B1に挿着することにより、左側面カバー部21を全開位置に保持することができる。また、カバー開保持部材23は、左側面カバー部21を全開位置の半分程度まで開いた位置(図3に実線で示す位置)で、ステー23Cの先端側を調整板23Bの中開保持孔23B2に挿着することにより、左側面カバー部21を中開位置に保持することができる。
ここで、左側面カバー部21の中開位置とは、後述する前面板側ネット取付部24とカバー側ネット取付部25との間隔寸法が防塵ネット18を取付けるのに適した寸法となる開度である。具体的には、左側面カバー部21の中開位置では、一方の貫通孔18Cと前面板側ネット取付部24の挿嵌孔24Cとを連通でき、他方の貫通孔18Cとカバー側ネット取付部25の挿嵌孔25Cとを連通することができる。
次に、本発明の特徴部分となる前面板側ネット取付部24とカバー側ネット取付部25とについて詳しく述べる。
前面板側ネット取付部24は、前面板8の左端部近傍に設けられている。前面板側ネット取付部24は、左側面カバー部21が開かれた状態、具体的には、前述した左側面カバー部21の中開位置で、防塵ネット18の横幅方向(長さ方向)の一側が取付けられるものである。前面板側ネット取付部24は、上,下方向に長尺な板体として形成され、狭幅方向(横幅方向)の一側は、前面板8の後面8Aに一体的に固着されている。
一方、前面板側ネット取付部24の他側は、屈曲して後側に傾斜した傾斜面24Aとなっている。この傾斜面24Aの傾斜角度は、左側面カバー部21を図3に示す中開位置まで開いたときに、カバー側ネット取付部25の傾斜面25Aと一緒に同一平面をなす角度に設定されている。これにより、前面板側ネット取付部24には、防塵ネット18の横幅方向の一側を安定的に取付けることができる。
前面板側ネット取付部24の傾斜面24Aには、先端側の上側に位置してネット差込み部24Bが設けられ、ネット差込み部24Bの下方となる先端側の下側に位置して挿嵌孔24Cが設けられている。ネット差込み部24Bは、熱交換器10の枠体11を構成するネット取付板11Eのネット差込み部11E1と同様に逆L字状の板体により形成されている。また、ネット差込み部24Bに対する挿嵌孔24Cの位置も、ネット差込み部11E1に対する挿嵌孔11E2の位置と同様である。
カバー側ネット取付部25は、左側面カバー部21のカバー本体21Aの内面21A1に設けられている。カバー側ネット取付部25は、左側面カバー部21の開閉方向で、前面板側ネット取付部24と対向する位置に配置されている。カバー側ネット取付部25は、左側面カバー部21が開かれた状態、具体的には、左側面カバー部21の中開位置で、防塵ネット18の横幅方向(長さ方向)の他側が取付けられるものである。カバー側ネット取付部25は、上,下方向に長尺な板体として形成され、狭幅方向(横幅方向)の一側は、カバー本体21Aの内面21A1に一体的に固着されている。
一方、カバー側ネット取付部25の他側は、屈曲して右側(閉扉状態で熱交換器10側)に傾斜した傾斜面25Aとなっている。この傾斜面25Aの傾斜角度は、左側面カバー部21を図3に示す中開位置まで開いたときに、前面板側ネット取付部24の傾斜面24Aと一緒に同一平面をなす角度に設定されている。これにより、カバー側ネット取付部25には、防塵ネット18の横幅方向の他側を安定的に取付けることができる。
カバー側ネット取付部25の傾斜面25Aには、先端側の上側に位置してネット差込み部25Bが設けられ、ネット差込み部24Bの下方となる先端側の下側に位置して挿嵌孔25Cが設けられている。ネット差込み部25Bは、前面板側ネット取付部24のネット差込み部24Bと同様に形成され、挿嵌孔25Cは、前面板側ネット取付部24の挿嵌孔24Cと同様に形成されている。
図1に示すように、キャブ26は、旋回フレーム5の左前部に搭載されている。キャブ26は、オペレータが搭乗するもので、その内部には、オペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
オペレータは、キャブ26に搭乗して運転席に着座する。この状態でエンジン7を始動して走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、フロント装置4を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
油圧ショベル1を稼動しているときには、冷却ファン17により外部の空気が吸い込まれ、冷却風として熱交換器10に向けて供給される。これにより、熱交換器10では、各種の流体を冷却することができる。一方で、外部から吸い込まれる空気には、塵埃、枯葉、虫等の異物が含まれるが、これらの異物は、熱交換器10よりも冷却風の上流側に配置された防塵ネット18によって捕らえることができる。そして、防塵ネット18は、捕らえた異物を除去するために、定期的に清掃作業が施される。
そこで、防塵ネット18に付着した異物を除去するための清掃作業の一例について述べる。
まず、図5に示すように、左側面カバー部21を開き、熱交換器10を構成する枠体11の各ネット取付板11Eから防塵ネット18を取外す。この場合には、防塵ネット18の下側部分を固定しているクリップ19を取外した後、防塵ネット18を下側にずらし、各ネット取付板11Eのネット差込み部11E1から防塵ネット18の上側部分を引き抜く。
熱交換器10から防塵ネット18を取外したら、図3、図4に示すように、左側面カバー部21を約45度まで閉じ、カバー開保持部材23のステー23Cの先端側を調整板23Bの中開保持孔23B2に挿着する。これにより、左側面カバー部21は、防塵ネット18を取付けるのに適した中開位置に保持することができる。
左側面カバー部21を中開位置に保持したら、防塵ネット18の枠部材18Aの上側部分を前面板側ネット取付部24のネット差込み部24Bとカバー側ネット取付部25のネット差込み部25Bに下側から差し込む。次に、枠部材18Aの下側に設けた各貫通孔18Cを、各ネット取付部24,25の挿嵌孔24C,25Cに連通させる。この状態で、クリップ19を各貫通孔18Cに挿通し、先端部を挿嵌孔24C,25Cに嵌合する。これにより、図8に示すように、熱交換器10から取外した防塵ネット18は、前面板8と左側面カバー部21との間に取付けることができる。この場合、防塵ネット18は、異物が付着した面を外側(前側)に向けて取付ける。
前面板8と左側面カバー部21との間に防塵ネット18を取付けたら、エアガンまたはスチーム噴射機(いずれも図示せず)を持ち、内側(後側)からエアまたはスチームを防塵ネット18に吹き付ける。これにより、防塵ネット18の表面に付着した異物を除去することができる。このときには、熱交換器10側から外部に向けてエアやスチームを吹き付けているから、防塵ネット18から吹き飛ばされた異物がエンジン室9側に侵入するのを防止することができる。しかも、防塵ネット18は、安定的に保持されているから、倒れたり、吹き飛ばされたりすることもない。
防塵ネット18の清掃が済んだら、先程とは逆の手順で、前面板側ネット取付部24およびカバー側ネット取付部25から防塵ネット18を取外し、枠体11の各ネット取付板11Eに取付ける。また、カバー開保持部材23のステー23Cの先端側を調整板23Bの中開保持孔23B2から取外し、ステー取付部23Aの保持孔23A2に挿着する。そして、左側面カバー部21を閉じることにより、防塵ネット18の清掃作業を終了することができる。この場合、左側面カバー部21は、防塵ネット18を取外さないと閉じることができないため、防塵ネット18を熱交換器10に取付け忘れることはない。
かくして、本実施の形態によれば、エンジン室9の冷却風流入室9Aの前側を覆うように左,右方向に延びて旋回フレーム5に立設された前面板8には、左側面カバー部21が開かれた状態で、防塵ネット18の横幅方向の一側が取付けられる前面板側ネット取付部24が設けられている。外装カバー20の左側面カバー部21には、左側面カバー部21が開かれた状態で、防塵ネット18の横幅方向の他側が取付けられるカバー側ネット取付部25が設けられている。
従って、防塵ネット18に付着した異物を除去する清掃作業を行う場合、熱交換器10から取外した防塵ネット18は、前面板側ネット取付部24とカバー側ネット取付部25とに対して安定的に取付けることができる。これにより、防塵ネット18を構造物に立て掛けたり、片方の手で持ったりして清掃作業を行う場合に比較し、圧縮エアやスチームによって防塵ネット18が転倒したり、吹き飛ばされることはない。
この結果、防塵ネット18の損傷を未然に防いて寿命を延ばすことができ、また、清掃作業の効率を向上することができる。しかも、左側面カバー部21は、防塵ネット18を取外さないと閉じることができないから、清掃後には防塵ネット18を熱交換器10に確実に取付けることができる。
熱交換器10の枠体11と左側面カバー部21との間には、左側面カバー部21が開かれたときに、左側面カバー部21を開いた状態で保持するカバー開保持部材23が設けられている。これにより、カバー開保持部材23は、作業の内容に応じて左側面カバー部21を最適な開き角度に保持することができる。また、防塵ネット18の清掃作業時に左側面カバー部21に外力が作用した場合でも、この外力をカバー開保持部材23によって受承することができるから、防塵ネット18を保護することができる。
次に、図9および図10は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、前面板には、熱交換器の吸込み側と側面カバー部側との間で回動可能となり、防塵ネットの横幅方向の一側が取付けられている前面板側ネット取付部が設けられ、側面カバー部には、側面カバー部が開かれ、前面板側ネット取付部により防塵ネットが熱交換器から離れる方向に回動された状態で、防塵ネットの横幅方向の他側が取付けられるカバー側ネット取付部が設けられていることにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図9において、前面板側ネット取付部31は、前面板8の左端部近傍に設けられている。また、前面板側ネット取付部31は、熱交換器10の枠体11を構成する前側のネット取付板11Eと同様の機能を有している。即ち、前面板側ネット取付部31は、枠体11の後側に位置するネット取付板11Eと協働して防塵ネット18を熱交換器10の左側に対面して配置する稼働位置(図9に示す位置)と、左側面カバー部21を開いた状態で防塵ネット18をカバー側ネット取付部25との間で保持する清掃位置(図10に示す位置)との間で回動することができる。
前面板側ネット取付部31は、上,下方向に長尺な板体からなり、横幅方向の一側がヒンジ31Aを介して前面板8の後面8Aに水平方向に回動が可能に取付けられている。一方、前面板側ネット取付部31の横幅方向の他側は、上,下方向が折曲げ線となるように折り曲げられて取付板部31Bとなっている。この取付板部31Bには、前記稼働位置において、第1の実施の形態で前側に配置されたネット取付板11Eのネット差込み部11E1、挿嵌孔11E2と同様の位置、同様の形状をもったネット差込み部(図示せず)、挿嵌孔31Cが設けられている。
ここで、第2の実施の形態による前面板側ネット取付部31を用いた防塵ネット18の清掃作業の一例について述べる。
まず、左側面カバー部21を開き、熱交換器10を構成する枠体11の各ネット取付板11Eのうち、後側に位置するネット取付板11Eから防塵ネット18を取外す。
後側に位置するネット取付板11Eから防塵ネット18を取外したら、この防塵ネット18と一緒に前面板側ネット取付部31をヒンジ31Aを中心に熱交換器10から離れる方向、即ち、左,右方向の左側に回動する。この場合、防塵ネット18がカバー側ネット取付部25よりも前側に位置するように、左サイドフレーム5Aを越えるように外部まで大きく回動させる。
防塵ネット18を回動させたら、左側面カバー部21を約45度まで閉じ、カバー開保持部材23のステー23Cの先端側を調整板23Bの中開保持孔23B2に挿着する。これにより、左側面カバー部21は、防塵ネット18を取付けるのに適した中開位置に保持することができる。
図10に示すように、左側面カバー部21を中開位置に保持したら、前面板側ネット取付部31により防塵ネット18を後側に回動してカバー側ネット取付部25に当接させ、枠部材18Aの横幅方向の他側部分をカバー側ネット取付部25に取付ける。これにより、前述した第1の実施の形態と同様に、防塵ネット18に付着した異物を除去する清掃作業を行うことができる。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、前面板8には、熱交換器10の吸込み側と左側面カバー部21側との間で回動可能となり、防塵ネット18の横幅方向の一側が取付けられている前面板側ネット取付部31が設けられている。また、左側面カバー部21には、左側面カバー部21が開かれ、前面板側ネット取付部31により防塵ネット18が熱交換器10から離れる方向に回動された状態で、防塵ネット18の横幅方向の他側が取付けられるカバー側ネット取付部25が設けられている。
これにより、前面板側ネット取付部31は、防塵ネット18を取付けた状態で、この防塵ネット18を、熱交換器10に向かう異物を捕える通常の稼働位置(図9に示す位置)と、捕えた異物を除去するための清掃位置(図10に示す位置)とに移動させることができる。これにより、防塵ネット18の損傷や取付け忘れ等を防止することができる。
なお、各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。また、油圧ショベル以外にも、各種建設機械に適用することができる。