以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、後方超小旋回型の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図10に従って詳細に説明する。なお、本実施の形態では、上部旋回体の前,後方向に対し、この前,後方向に直交した水平方向を左,右方向とし、各機器、部材の構成、配置について説明する。
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回が可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に俯仰の動作が可能に設けられたフロント装置4とを備えている。フロント装置4は、土砂の掘削作業等を行うものである。
ここで、後方超小旋回型の油圧ショベル1の上部旋回体3は、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(全幅)に対して予め定められた範囲内で旋回するように構成されている。詳しくは、下部走行体2の全幅寸法に対して予め定められた範囲とは、下部走行体2の全幅寸法の120%以内の範囲を示している。後方超小旋回型の油圧ショベル1の上部旋回体3は、後述するカウンタウエイト6の後面が描く円弧状の軌跡が、前述した全幅の120%以内の範囲に収まるように設定されている。
旋回フレーム5は、上部旋回体3の支持構造体を形成するもので、車体フレームを構成している。図3に示すように、旋回フレーム5は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左,右の縦板5B,5Cと、各縦板5B,5Cから左,右方向に離間した位置で前,後方向に延びた左サイドフレーム5Dおよび右サイドフレーム5Eとを含んで構成されている。
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5の後側に設けられている。このカウンタウエイト6は、フロント装置4との重量バランスをとる重量物として形成されている。ここで、上部旋回体3が旋回動作を行うときの旋回半径は、旋回中心O(図3参照)からカウンタウエイト6の後面6Aまでの距離によって規定されている。このため、カウンタウエイト6の後面6Aは、旋回中心Oを中心とした円弧状に形成されている。そして、カウンタウエイト6が、旋回中心Oに近い前側寄りに配置されることにより、油圧ショベル1の後方超小旋回動作を実現している。
一方、カウンタウエイト6は、後述するエンジン7の後側に位置する中央ウエイト部6Bと、中央ウエイト部6Bの左,右両側から前側に向けて湾曲して延びた左ウエイト部6C,右ウエイト部6Dとにより構成されている。図1、図2に示すように、カウンタウエイト6の左ウエイト部6Cには、後述する熱交換装置11よりも冷却風の流れ方向の上流側(左サイドフレーム5D側)に位置してメンテナンス開口6Eが形成されている。このメンテナンス開口6Eは、熱交換装置11等のメンテナンスを行うための開口となっている。また、カウンタウエイト6には、メンテナンス開口6Eを開閉する位置に、通気性を有するカバー部材6Fが開閉可能に設けられている。
カウンタウエイト6に設けられたメンテナンス開口6Eは、上,下方向に延びる長方形状の開口として形成されている。ここで、メンテナンス開口6Eは、後述する防塵ネット16に付着した塵埃、虫等の異物を除去するときに、防塵ネット16が挿通されるものである。本実施の形態では、防塵ネット16を、上,下方向で複数に分割、例えば2枚の分割ネット17,21により形成している。従って、メンテナンス開口6Eは、分割されることで上,下方向の寸法が小さく形成された各分割ネット17,21を出し入れできる大きさであればよく、上,下方向の寸法を小さく形成することができる。これにより、カウンタウエイト6は、メンテナンス開口6Eを小さくした分だけ、所定の重量を得るために必要な高さ寸法を低く抑えることができる。
図3に示すように、エンジン7は、原動機を構成するもので、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に左,右方向に延びる横置き状態に設けられている。なお、油圧ショベル1に搭載される原動機としては、エンジン7に代えて、エンジンに電動モータを設けたハイブリッド式の原動機を採用することもできる。また、電動モータ単体を原動機として用いてもよい。また、エンジン7の左側には、熱交換装置11に冷却風を供給するための冷却ファン7Aが設けられている。一方、エンジン7の右側には、各種アクチュエータを駆動するための圧油を吐出する油圧ポンプ8が取付けられている。
前仕切板9は、エンジン7、熱交換装置11の前側を覆うように左,右方向に延びて旋回フレーム5上に立設されている。一方、後仕切板10は、カウンタウエイト6の前面側、例えば、中央ウエイト部6Bの前面の左寄り位置から左ウエイト部6Cの前面に亘って立設されている。後仕切板10には、メンテナンス開口6Eに対応する位置に開口が設けられている。
次に、本実施の形態の特徴部分となるネット保持板27の取付対象となる熱交換装置11の構成について説明する。
図3に示すように、熱交換装置11は、エンジン7の左側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。熱交換装置11は、温度上昇した各種の流体を外部から吸込んだ冷却風により冷却するものである。熱交換装置11は、前仕切板9と後仕切板10との間に位置してエンジン7の冷却ファン7Aに対面するように設けられている。熱交換装置11は、角筒状の枠体12と、枠体12内に収められたラジエータ13、オイルクーラ14、インタクーラ15とを備えている。ここで、熱交換装置11は、上部旋回体3の前,後方向が幅方向となり、この幅方向は、冷却ファン7Aによって外部から吸込まれる冷却風の流れ方向に対して直交している。また、熱交換装置11は、冷却風の流れ方向の上流側が前面となっている。
枠体12は、エンジン7の左側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。図4ないし図6に示すように、枠体12は、熱交換装置11の幅方向(上部旋回体3の前,後方向)に間隔をもって対面した一対の側面板12A,12Bと、各側面板12A,12Bの上部を連結した上面板12Cと、各側面板12A,12Bの下部を連結した下面板12Dとから奥行きをもった角枠状(角筒状)に形成されている。また、枠体12は、エンジン7側で冷却ファン7Aを取囲むファンシュラウド12Eを備えている。図3に示すように、枠体12は、前側に位置する側面板12Aが前仕切板9に対面して配置され、後側に位置する側面板12Bが後仕切板10に対面して配置されている。
ファンシュラウド12Eの反対側となる下面板12Dの前面側には、固定部材の一部を構成するねじ穴12Fが設けられている(図6、図7参照)。このねじ穴12Fは、例えばナットを溶接することにより形成されている。ねじ穴12Fには、後述する下側分割ネット21の下部を枠体12側に固定するための固定部材29が螺着される。
ラジエータ13、オイルクーラ14、インタクーラ15は、熱交換器を構成するもので、枠体12内に収容されている。ラジエータ13、オイルクーラ14、インタクーラ15は、例えば、上側が上面板12Cに取付けられ、下側が下面板12Dに取付けられている。ラジエータ13、オイルクーラ14、インタクーラ15は、幅方向に並んで延びるように(冷却風の流れ方向に対して並列となるように)配設されている。ラジエータ13は、エンジン冷却水を冷却し、オイルクーラ14は、作動油を冷却し、インタクーラ15は、エンジン7が吸込む空気を冷却するものでる。
次に、本実施の形態の特徴部分の一部を構成する防塵ネット16の構成について詳しく説明する。
防塵ネット16は、熱交換装置11に供給される冷却風の流れ方向の上流側に位置し、熱交換装置11の前面を覆う状態で設けられている。この防塵ネット16は、冷却ファン7Aによって外部から吸込まれる冷却風に混入した異物を捕え、正常な空気を熱交換装置11のラジエータ13、オイルクーラ14、インタクーラ15に供給するものである。防塵ネット16は、上,下方向で分割された複数枚の分割ネット、本実施の形態では、上側分割ネット17と下側分割ネット21とに2分割されている。なお、防塵ネットは、上,下方向で分割された3枚以上の分割ネットによって構成してもよい。
上側分割ネット17は、後述する前,後のネット保持板27間の距離寸法よりも僅かに小さな幅寸法をもった横長な長方形状のネット部材として形成されている。また、上側分割ネット17の上,下方向寸法は、枠体12の上,下方向寸法の半分よりも僅かに小さな寸法に設定されている。これにより、上側分割ネット17は、後述の下側分割ネット21と一緒に熱交換装置11の前面の全面を覆うことができる。
上側分割ネット17は、幅方向の両側に位置して上,下方向に延びた一対の側枠部18A、横方向に延びて各側枠部18Aの上部を連結した上枠部18Bおよび横方向に延びて各側枠部18Aの下部を連結した下枠部18Cから角枠状に形成された枠部材18と、枠部材18の内側を閉塞するように設けられ、例えば金属製の線材を編んだメッシュ状(ネット状)のネット部19とにより構成されている。
上側分割ネット17のうち、冷却風の流れ方向に直交する幅方向の側方位置、即ち、枠部材18の各側枠部18Aには、上側寄り位置して幅方向に突出した突起部20がそれぞれ設けられている。各突起部20は、円柱状の突起として形成され、ガイド溝28に移動可能に係合するものである。なお、各突起部は、枠部材18の上枠部18Bの側方位置から幅方向に突出して設ける構成としてもよい。
下側分割ネット21は、基本的な構造の点で上側分割ネット17と同様に形成されている。即ち、下側分割ネット21は、上側分割ネット17に後述のねじ挿通孔22Dを穿設し、覆い部材26を固着することにより形成されている。下側分割ネット21は、上側分割ネット17と同様に、一対の側枠部22A、上枠部22Bおよび下枠部22Cからなる枠部材22と、枠部材22の内側を閉塞するネット部23と、一対の突起部24とを備えている。
枠部材22の下枠部22Cには、下側分割ネット21に設けられた各突起部24が各ガイド溝28の下側ネット位置決め溝部28Bに位置決めされた状態で、枠体12のねじ穴12Fに対応する位置にねじ挿通孔22Dが穿設されている。枠部材22の上枠部22Bには、覆い部材26が取付けられている。
ここで、上側分割ネット17に設けられた各突起部20が各ガイド溝28の上側ネット位置決め溝部28Aに位置決めされると共に、下側分割ネット21に設けられた各突起部24が各ガイド溝28の下側ネット位置決め溝部28Bに位置決めされた状態では、各分割ネット17,21によって熱交換装置11の前面を覆うことができる。一方で、図7に示すように、上側分割ネット17と下側分割ネット21とは、上,下方向で離間しており、上側分割ネット17と下側分割ネット21との間には、幅方向に延びて隙間25が形成されている。そして、下側分割ネット21の上部には、隙間25を覆う覆い部材26が設けられている。
覆い部材26は、上側分割ネット17と下側分割ネット21との間の隙間25を覆うもので、下側分割ネット21の上部に設けられている。覆い部材26は、上,下方向に短尺で幅方向に長尺な長方形状の枠部26Aと、枠部26Aの内側を閉塞するネット部26Bとにより構成されている。従って、覆い部材26は、冷却風の流通を許すネット部材によって形成されている。これにより、覆い部材26は、冷却風の流通を許しつつ、隙間25を通じてラジエータ13、オイルクーラ14、インタクーラ15側に異物が供給されるのを防ぐことができる。
次に、本実施の形態の特徴部分となるネット保持板27およびガイド溝28の構成ついて説明する。
ネット保持板27は、熱交換装置11の前面側、即ち、熱交換装置11を構成する枠体12の左側に設けられている。ネット保持板27は、各分割ネット17,21の各突起部20,24に対向して配置されるもので、枠体12の各側面板12A,12Bにそれぞれ設けられている。各ネット保持板27は、上,下方向に延びた長方形状の板体として形成されている。各ネット保持板27は、各側面板12A,12Bの上,下方向の中間部から上部に亘って配置され、各側面板12A,12Bをエンジン7と反対側に延長するように形成されている。
ガイド溝28は、各ネット保持板27にそれぞれ設けられている。各ガイド溝28は、各分割ネット17,21の突起部20,24を案内して位置決めするものである。図10に示すように、ガイド溝28は、上側ネット位置決め溝部28A、下側ネット位置決め溝部28B、長溝部28C、挿脱口28Dを含んで構成されている。
ガイド溝28の上側ネット位置決め溝部28Aは、ネット保持板27の上部位置に設けられている。この上側ネット位置決め溝部28Aは、上側分割ネット17を熱交換装置11の前面に固定するときに、上側分割ネット17に設けられた突起部20が位置決めされるものである。上側ネット位置決め溝部28Aは、ネット保持板27の熱交換装置11側に位置して、上側が開口したU字状の切欠きとして形成されている。これにより、上側ネット位置決め溝部28Aは、上側分割ネット17の突起部20が上側に位置する後述の最上部28C3から落下したときに確実に嵌合できるように、上側に向けて広くなるように形成されている。
下側ネット位置決め溝部28Bは、ネット保持板27の下部位置に設けられている。この下側ネット位置決め溝部28Bは、下側分割ネット21を熱交換装置11の前面に固定するときに、下側分割ネット21に設けられた突起部24が位置決めされるものである。下側ネット位置決め溝部28Bは、上側ネット位置決め溝部28Aの直下に位置するようにネット保持板27のうち、熱交換装置11側に配置されている。下側ネット位置決め溝部28Bは、突起部24が上側から嵌合することで固定されるU字状の切欠きとして形成されている。
長溝部28Cは、上側ネット位置決め溝部28Aと下側ネット位置決め溝部28Bとの間に位置してネット保持板27に設けられている。長溝部28Cは、各ネット位置決め溝部28A,28Bよりも熱交換装置11から離れた位置に上,下方向に延びて設けられている。長溝部28Cは、上側ネット位置決め溝部28Aと下側ネット位置決め溝部28Bとを繋いでいる。長溝部28Cは、突起部20,24の直径寸法よりも大きな溝幅寸法に設定されている。長溝部28Cは、上側ネット位置決め溝部28Aと挿脱口28Dとの間で突起部20を案内し、下側ネット位置決め溝部28Bと挿脱口28Dとの間で突起部24を案内するものである。
長溝部28Cは、上側ネット位置決め溝部28Aと下側ネット位置決め溝部28Bとの間で上,下方向に真直ぐに延びた直線部28C1と、直線部28C1の上部から上側ネット位置決め溝部28Aの上方に向けて斜めに延びた上傾斜部28C2と、上側ネット位置決め溝部28Aの上方に位置する最上部28C3と、直線部28C1の下部から下側ネット位置決め溝部28Bに向けて斜めに延びた下傾斜部28C4とを備えている。
ガイド溝28の挿脱口28Dは、長溝部28Cに突起部20,24を挿着、離脱するための入口、出口を形成している。挿脱口28Dは、長溝部28Cに開口して設けられている。具体的には、挿脱口28Dは、下側ネット位置決め溝部28Bよりも高い位置で、かつネット保持板の上,下方向の中間位置よりも下側に開口して設けられている。より具体的には、挿脱口28Dは、下側ネット位置決め溝部28Bの上部と長溝部28Cの直線部28C1の下部との間、即ち、下傾斜部28C4の位置に熱交換装置11と反対側に開口している。
ガイド溝28の形状について詳しく説明するために、境界部等の要所に符号を付している。即ち、ガイド溝28のうち、上側分割ネット17をガイドする部位では、挿脱口28Dから長溝部28Cの直線部28C1に進入する位置の角部を点aとし、長溝部28Cの直線部28C1と上傾斜部28C2との境界部を点bとし、上傾斜部28C2と最上部28C3との境界部を点cとし、上側ネット位置決め溝部28Aと直線部28C1の上部との間を上向きに突出して上側ネット位置決め溝部28Aと直線部28C1とを隔てる点d,eとしている。
また、ガイド溝28のうち、下側分割ネット21をガイドする部位では、挿脱口28Dから下側ネット位置決め溝部28Bに進入する位置の角部を点fとし、下側ネット位置決め溝部28Bと下傾斜部28C4との境界部を点gとし、直線部28C1の下部と下傾斜部28C4との境界部を点hとしている。
ここで、上述した点a〜点hを用いてガイド溝28のさらに詳細な形状について述べる。挿脱口28Dから長溝部28Cの直線部28C1に進入する位置の角部の点aは、挿脱口28Dから下側ネット位置決め溝部28Bに進入する位置の角部の点fよりも上側に位置している。これにより、点aと点fとの間に、挿脱口28Dを設けることができる。
また、点aは、直線部28C1の下部と下傾斜部28C4との境界部の点hよりも下側に位置している。これにより、図10中に一点鎖線で示すように、挿脱口28Dから進入した突起部24は、下傾斜部28C4に当接することで下側ネット位置決め溝部28Bに向けて案内される。
直線部28C1の下部と下傾斜部28C4との境界部の点hは、点fよりも熱交換装置11から離れる方向に位置している。これにより、上側分割ネット17の突起部20を直線部28C1の下部から抜き取る場合に、誤って下側ネット位置決め溝部28Bに進入するのを防止することができる。
長溝部28Cの直線部28C1と上傾斜部28C2との境界部の点bは、点d,eよりも上側に位置している。これにより、直線部28C1から最上部28C3への通路幅を大きく形成することができ、上側分割ネット17の突起部20を円滑に移動させることができる。
さらに、上傾斜部28C2と最上部28C3との境界部の点cは、点bよりも上側に位置している。従って、点cと点bとの間には、上傾斜部28C2を形成することができ、この上傾斜部28C2によって上側分割ネット17の突起部20を最上部28C3に移動させることができる。この上で、点cは、点dよりも熱交換装置11に近付く方向に位置している。従って、上側ネット位置決め溝部28Aは、上方に向けて広く開口させることができる。これにより、最上部28C3に位置する突起部20が自由落下したときには、突起部20は、上側ネット位置決め溝部28Aに積極的に嵌合させることができる。
固定部材29は、熱交換装置11と防塵ネット16との間に設けられている。固定部材29は、下側分割ネット21の突起部24がガイド溝28の下側ネット位置決め溝部28Bに位置決めされた状態で、下側分割ネット21の下側部分を熱交換装置11に固定するものである。固定部材29は、例えば蝶ねじを用いて形成されている。なお、固定部材29としては、クリップ等の他の部材を用いる構成としてもよい。
固定部材29は、下側分割ネット21の突起部24をガイド溝28の下側ネット位置決め溝部28Bに位置決めした状態で、ねじ部を枠部材22の下枠部22Cに設けたねじ挿通孔22Dに挿通し、そのねじ部の先端側を枠体12の下面板12Dに設けたねじ穴12Fに螺着する。これにより、固定部材29は、下側ネット位置決め溝部28Bの下側部分を熱交換装置11側に固定することができる。一方、固定部材29を緩めて取外した状態では、熱交換装置11から下側分割ネット21を取外すことができる。
コンデンサ30は、防塵ネット16よりも冷却風の上流側、即ち、防塵ネット16と後述する外装カバー33の左面カバー部33Aとの間に配置されている。このコンデンサ30は、後述するキャブ32内に調和空気を供給するための空調装置に用いられる冷却媒体を冷却するものである。また、燃料クーラ31は、コンデンサ30に対して冷却風の上流側に対面して配置されている。この燃料クーラ31は、エンジン7に供給する燃料を冷却するものである。さらに、防塵ネット16と外装カバー33の左面カバー部33Aとの間の空間には、コンデンサ30、燃料クーラ31以外にも、エアクリーナやバッテリ(いずれも図示せず)が配設されている。
ここで、本実施の形態で例示している後方超小旋回型の油圧ショベル1では、上部旋回体3における各種機器類の設置スペースが制限されている。このために、防塵ネット16と外装カバー33の左面カバー部33Aとの間には、コンデンサ30、燃料クーラ31、エアクリーナ、バッテリ等が配設されている。従って、左面カバー部33Aを開いた状態でも、防塵ネット16に手が届き難く、防塵ネット16を簡単に着脱することができない。
図1に示すように、キャブ32は、旋回フレーム5の左前部に設けられている。キャブ32は、オペレータが搭乗するもので、その内部には、オペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
外装カバー33は、エンジン7、熱交換装置11、防塵ネット16を覆うように旋回フレーム5に設けられている。外装カバー33は、カウンタウエイト6とキャブ32との間に設けられている。外装カバー33は、左,右方向の左側に位置して旋回フレーム5の左サイドフレーム5D上に上,下方向に延びて設けられた左面カバー部33Aと、右側に位置して右サイドフレーム5E上に上,下方向に延びて設けられた右面カバー部(図示せず)と、左面カバー部33Aと右側面カバー部との間に位置してエンジン7等を上側から覆う上面カバー部33Bとを含んで構成されている。
左面カバー部33Aは、防塵ネット16に対面する左側位置(冷却風の流れ方向の上流側位置)に配置されている。左面カバー部33Aは、前,後方向の一方側が回動中心となって開閉可能に構成されている。また、左面カバー部33Aには、外部の空気を冷却風として吸込むための網目状の吸気口33A1が形成されている。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
オペレータは、キャブ32に搭乗して運転席に着座する。この状態でエンジン7を始動して走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、フロント装置4を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
油圧ショベル1を稼動しているときには、冷却ファン7Aにより外装カバー33の左面カバー部33Aに設けられた通気口から外部の空気が吸い込まれ、冷却風として熱交換装置11に向けて供給される。これにより、熱交換装置11では、ラジエータ13、オイルクーラ14、インタクーラ15によって各種の流体を冷却することができる。
一方で、外部から吸い込まれる空気には、塵埃、枯葉、虫等の異物が含まれるが、これらの異物は、熱交換装置11よりも冷却風の上流側に配置された防塵ネット16によって捕らえることができる。そして、防塵ネット16は、捕らえた異物を除去するために、定期的に清掃作業が施される。
そこで、防塵ネット16に付着した異物を除去するための清掃作業の一例について述べる。
まず、カウンタウエイト6に設けられたカバー部材6Fを開き、メンテナンス開口6Eを開口させる。これにより、作業者は、メンテナンス開口6Eを通じて防塵ネット16に手を伸ばすことができる。この場合、防塵ネット16は、上,下方向で2分割されているから、下側分割ネット21を熱交換装置11側に固定している固定部材29を取外す。
固定部材29を取外したら、例えば、メンテナンス開口6Eから手を差し入れ、下側分割ネット21を構成する枠部材22の側枠部22Aを掴む。この状態で、図8中に矢示Aで示すように、下側分割ネット21を上側に移動させ、突起部24を、ガイド溝28の下側ネット位置決め溝部28Bから離脱させる。そして、突起部24は、長溝部28Cの下傾斜部28C4に当接した高さ位置から、熱交換装置11と反対側に移動させることにより、挿脱口28Dから取外すことができる。ガイド溝28(ネット保持板27)から下側分割ネット21を取外したら、メンテナンス開口6Eを通じて外部に取出すことができる。
下側分割ネット21を取外したら、再度、メンテナンス開口6Eから手を差し入れ、上側分割ネット17を構成する枠部材18の側枠部18Aを掴む。この状態で、図9中に矢示Bで示すように、上側分割ネット17を上側に移動させ、突起部20を、ガイド溝28の上側ネット位置決め溝部28Aから離脱させる。突起部20を上側ネット位置決め溝部28Aから離脱させたら、熱交換装置11と反対側に位置する長溝部28Cの直線部28C1まで移動させる。この状態で、上側分割ネット17(突起部20)を、直線部28C1に沿って下側に移動させ、直線部28C1を抜けた位置で熱交換装置11と反対側に移動させる。これにより、突起部20を、挿脱口28Dから取外すことができる。
ここで、直線部28C1の下部と下傾斜部28C4との境界部の点hは、挿脱口28Dから下側ネット位置決め溝部28Bに進入する位置の角部の点fよりも熱交換装置11から離れる方向に位置している。これにより、上側分割ネット17の突起部20を直線部28C1の下部から抜き取る場合に、誤って下側ネット位置決め溝部28Bに進入するのを防止することができる。
そして、ガイド溝28(ネット保持板27)から上側分割ネット17を取外したら、メンテナンス開口6Eを通じて外部に取出すことができる。
このようにして、各分割ネット17,21を取出したら、例えば、ネット部19,23に向けて高圧洗浄水を吹付けることにより、ネット部19,23に付着した異物を除去することができる。
次に、洗浄が終了した各分割ネット17,21を熱交換装置11側に組付ける場合の作業手順の一例について図10を用いて説明する。この場合、図10では、上側分割ネット17を組付ける場合の突起部20の動作を二点鎖線で示し、下側分割ネット21を組付ける場合の突起部24の動作を一点鎖線で示している。
洗浄した上側分割ネット17を、メンテナンス開口6Eから熱交換装置11側に差入れ、両側の突起部20をガイド溝28の挿脱口28Dに挿入する。この場合、挿脱口28Dは、直線部28C1側の点aと下側ネット位置決め溝部28B側の点fとの間に大きく開口して設けているから、メンテナンス開口6Eから離れた前側の挿脱口28Dにも突起部20を容易に挿入することができる。
上側分割ネット17の突起部20をガイド溝28の挿脱口28Dに挿入したら、上側分割ネット17(突起部20)を上側に移動させる。この場合、長溝部28Cの下傾斜部28C4は、突起部20を直線部28C1に向けて案内することができる。直線部28C1では、上側分割ネット17(突起部20)を、当該直線部28C1に沿って上側に移動させ、突起部20を、上傾斜部28C2に当接させる。ここで、上傾斜部28C2と最上部28C3との境界部の点cは、直線部28C1と上傾斜部28C2との境界部の点bよりも上側に位置しているから、上傾斜部28C2に当接した突起部20を最上部28C3に向けて案内することができる。
しかも、長溝部28Cの直線部28C1と上傾斜部28C2との境界部の点bは、上側ネット位置決め溝部28Aと直線部28C1とを隔てる点d,eよりも上側に位置している。これにより、上傾斜部28C2の通路幅を大きく形成することができ、上側分割ネット17の突起部20を円滑に移動させることができる。
上側分割ネット17の突起部20をガイド溝28の最上部28C3まで移動させたら、下側に移動させるか、支持している手を離して自由落下させる。この場合、上傾斜部28C2と最上部28C3との境界部の点cは、点dよりも熱交換装置11に近付く方向に位置している。従って、上側ネット位置決め溝部28Aは、点dに向かう傾斜面によって上方に向けて広く開口しているから、最上部28C3から下側に移動する突起部20は、上側ネット位置決め溝部28Aに積極的に嵌合させることができる。
上側分割ネット17を熱交換装置11の前面に取付けたら、洗浄が済んだ下側分割ネット21を、メンテナンス開口6Eから熱交換装置11側に差入れ、両側の突起部24をガイド溝28の挿脱口28Dに挿入する。この場合、上側分割ネット17の取付時と同様に、メンテナンス開口6Eから離れた前側の挿脱口28Dにも突起部24を容易に挿入することができる。
下側分割ネット21の突起部24をガイド溝28の挿脱口28Dに挿入したら、下側分割ネット21(突起部24)を熱交換装置11に向けて移動させる。この場合、長溝部28Cの下傾斜部28C4は、当接した突起部24を下側ネット位置決め溝部28Bに向けて案内することができ、突起部24を下側ネット位置決め溝部28Bに簡単に嵌合させることができる。
上側分割ネット17と下側分割ネット21を熱交換装置11の前面に取付けたら、固定部材29のねじ部を枠部材22の下枠部22Cに設けたねじ挿通孔22Dに挿通し、そのねじ部の先端側を枠体12の下面板12Dに設けたねじ穴12Fに螺着する。これにより、下側分割ネット21を熱交換装置11側に固定することができる。
かくして、本実施の形態によれば、防塵ネット16は、上,下方向で分割された上側分割ネット17と下側分割ネット21とから構成されている。上,下の分割ネット17,21には、幅方向の側方位置の両側位置に、幅方向に突出した突起部20,24が設けられている。熱交換装置11の前面側には、各分割ネット17,21の突起部20,24に対向して配置され、上,下方向に延びたネット保持板27が設けられている。このネット保持板27には、突起部20,24を案内して位置決めするガイド溝28が設けられている。
そして、ガイド溝28は、上側分割ネット17に設けられた突起部20が位置決めされる上側ネット位置決め溝部28Aと、下側分割ネット21に設けられた突起部24が位置決めされる下側ネット位置決め溝部28Bと、上,下方向に延びて設けられ上側ネット位置決め溝部28Aと下側ネット位置決め溝部28Bとを繋いでいる長溝部28Cと、突起部20,24を挿着、離脱するために長溝部28Cに開口して設けられた挿脱口28Dとを備える構成としている。
従って、ガイド溝28から取外した下側分割ネット21を上側に移動したり、ガイド溝28から取外した上側分割ネット17を下側に移動したりすることができる。これにより、カウンタウエイト6のメンテナンス開口6Eは、大きい方の分割ネットが通る大きさに設定すればよい。この結果、メンテナンス開口6Eを小さくしてカウンタウエイト6の重量を増大することができ、カウンタウエイト6の高さ寸法を小さくすることができる。また、防塵ネット16(分割ネット17,21)を簡単に着脱することができ、作業性を向上することができる。
しかも、上側分割ネット17の突起部20は、挿脱口28D、長溝部28Cを通して上側ネット位置決め溝部28Aに配置することができる。また、下側分割ネット21の突起部24は、挿脱口28D、長溝部28Cを通して下側ネット位置決め溝部28Bに配置することができる。これにより、ガイド溝28が手の届き難い奥所に配置されている場合でも、ガイド溝28の案内で各分割ネット17,21を所定の位置に簡単に固定することができる。この点でも、防塵ネット16(分割ネット17,21)を着脱するときの作業性を向上することができる。
ガイド溝28の挿脱口28Dは、下側ネット位置決め溝部28Bよりも高い位置で、かつネット保持板27の上,下方向の中間位置よりも下側に開口して設けられている。これにより、挿脱口28Dを熱交換装置11の上,下方向の中間位置に設けることができる。
下側分割ネット21の上部位置には、上側分割ネット17と下側分割ネット21との間に幅方向に延びて形成されている隙間25を覆う覆い部材26が設けられている。これにより、空気中の異物が隙間25を通って熱交換装置11側に付着するのを防止することができる。
また、覆い部材26は、冷却風の流通を許すネット部材によって形成されている。これにより、覆い部材26の位置でも冷却風を流通させることができ、熱交換装置11の冷却効率を高めることができる。
さらに、熱交換装置11と防塵ネット16との間には、各分割ネット17,21の突起部20,24がガイド溝28に位置決めされた状態で、下側分割ネット21を熱交換装置11に固定する固定部材29が設けられている。これにより、防塵ネット16を熱交換装置11に確実に固定することができる。
なお、実施の形態では、各ネット保持板27を熱交換装置11の枠体12に取付けた場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、図11に示す変形例のように構成してもよい。即ち、図11において、前側のネット保持板41を前仕切板9に取付け、後側のネット保持板41を後仕切板10に取付ける構成としてもよい。これ以外にも、ネット保持板を旋回フレーム上に立設する構成としてもよい。
実施の形態では、下側分割ネット21の上部位置は、上側分割ネット17と下側分割ネット21との間の隙間25を覆う覆い部材26を設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、上側分割ネット17の下部位置に覆い部材26を設ける構成としてもよい。また、上側分割ネット17と下側分割ネット21の両方に覆い部材を設ける構成としてもよい。
実施の形態では、覆い部材26を、冷却風の流通を許すネット部材からなるネット部26Bを含んで形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば隙間25が僅かな場合には、覆い部材を通気性の無い金属板等によって形成してもよい。
さらに、実施の形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えた後方超小旋回型の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば超小旋回型の油圧ショベル、標準仕様の油圧ショベル、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械にも広く適用することができる。また、油圧ショベル以外にも、各種建設機械に適用することができる。