JP6859709B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
従来、スタッドレスタイヤのタイヤトレッド部に用いられるゴム組成物として、天然ゴムとブタジエンゴムと架橋性ポリマーの硬化物とを含有する組成物が知られている(特許文献1の実施例)。特許文献1には、上記組成物を用いることで、タイヤの氷上性能及び耐摩耗性を向上させることができる旨が記載されている。
特開2015−67636号公報
一方、求められる安全レベルの向上に伴い、スタッドレスタイヤに対して、氷上性能、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性のさらなる向上が求められている。また、環境問題および資源問題などから低発熱性も求められている。
このようななか、本発明者らが特許文献1の実施例を参考にタイヤ用ゴム組成物を調製し、タイヤにしたときの性能を評価したところ、氷上性能には優れているものの、耐摩耗性及び低発熱性については、今後さらに高まるであろう要求を考慮するとさらなる改善が望ましいことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、タイヤにしたときに氷上性能、ウェットグリップ性能、低発熱性及び耐摩耗性に優れるタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定の変性共役ジエン系重合体を含有するジエン系ゴムと、シリカと、特定の硬化物とを所定の割合で配合することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ジエン系ゴムと、シリカと、硬化物とを含有し、
上記シリカの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して20〜100質量部であり、上記硬化物の含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜30質量部であり、
上記ジエン系ゴムが、天然ゴムと、変性共役ジエン系重合体とを含み、上記ジエン系ゴム中の上記天然ゴムの含有量が30〜90質量%であり、上記ジエン系ゴム中の上記変性共役ジエン系重合体の含有量が10〜70質量%であり、
上記変性共役ジエン系重合体が、シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体であり、
上記硬化物が、上記ジエン系ゴムと相溶しない架橋性オリゴマー又はポリマーを硬化させた硬化物であり、上記硬化物のJIS A硬度が3〜45である、タイヤ用ゴム組成物。
(2) 上記硬化物が、平均粒子径が5〜250μmの粒子状物である、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 上記架橋性オリゴマー又はポリマーが、ポリエーテル系若しくはシロキサン系の重合体又は共重合体であり、且つ、シラン官能基を有する、上記(1)又は(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) さらに、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂と、熱膨張性マイクロカプセルとを含有し、
上記芳香族変性テルペン樹脂の含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して2〜20質量部であり、上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜20質量部である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
以下に示すように、本発明によれば、タイヤにしたときに氷上性能、ウェットグリップ性能、低発熱性及び耐摩耗性に優れるタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
以下に、本発明のタイヤ用ゴム組成物及び上記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[タイヤ用ゴム組成物]
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、ジエン系ゴムと、シリカと、硬化物とを含有し、上記シリカの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して20〜100質量部であり、上記硬化物の含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜30質量部である。
ここで、上記ジエン系ゴムは、天然ゴムと、変性共役ジエン系重合体とを含み、上記ジエン系ゴム中の上記天然ゴムの含有量は30〜90質量%であり、上記ジエン系ゴム中の上記変性共役ジエン系重合体の含有量は10〜70質量%である。
さらに、上記変性共役ジエン系重合体は、シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体である。
また、上記硬化物は、上記ジエン系ゴムと相溶しない架橋性オリゴマー又はポリマーを硬化させた硬化物であり、上記硬化物のJIS A硬度は3〜45である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
上述のとおり、本発明の組成物は、天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むジエン系ゴムと、シリカと、特定の硬化物とを含有する。本発明者らの検討から、上記特定の硬化物は氷上性能を向上させる効果を有するものの、凝集し易く、特にシリカの含有量が高くなるとその傾向が強くなり、低発熱性及び耐摩耗性が低下してしまうことが分かっている。
一方で、上述のとおり、本発明の組成物は特定の変性共役ジエン系重合体を含有するため、上記特定の変性共役ジエン系重合体の変性末端が上記硬化物と相互作用し、その凝集を抑えるものと考えられる。
結果として、本発明の組成物を用いたタイヤは、優れた氷上性能及びウェットグリップ性能に加え、優れた低発熱性及び耐摩耗性を発現するものと推測される。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
〔ジエン系ゴム〕
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは、天然ゴムと、変性共役ジエン系重合体とを含む。
ここで、上記ジエン系ゴム中の上記天然ゴムの含有量は30〜90質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、40〜70質量%であることが好ましい。
また、上記ジエン系ゴム中の上記変性共役ジエン系重合体の含有量は10〜70質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、30〜60質量%であることが好ましい。
<変性共役ジエン系重合体>
上記ジエン系ゴムに含まれる変性共役ジエン系重合体は、シス−1,4−結合の含有量(シス−1,4−結合含有量)が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体である。本発明の効果がより優れる理由から、上記シス−1,4−結合含有量は80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。シス−1,4−結合含有量の上限は特に制限されず、100モル%である。
なお、本明細書において、共役ジエン系重合体のシス−1,4−結合含有量とは、共役ジエン系重合体が有する全共役ジエン単位に対する、シス−1,4−結合の共役ジエン単位の割合(モル%)を指す。
また、上記共役ジエン系重合体におけるトランス−1,4−結合の含有量(トランス−1,4−結合の含有量)は、本発明の効果がより優れる理由から、25モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。トランス−1,4−結合含有量の下限は特に制限されず、0%である。
なお、本明細書において、共役ジエン系重合体のトランス−1,4−結合含有量とは、共役ジエン系重合体が有する全共役ジエン単位に対する、トランス−1,4−結合の共役ジエン単位の割合(モル%)を指す。
また、上記共役ジエン系重合体におけるビニル結合の含有量(ビニル結合含有量)は、本発明の効果がより優れる理由から、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることさらに好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。ビニル結合含有量の下限は特に制限されず、0%である。
なお、本明細書において、共役ジエン系重合体のビニル結合含有量とは、共役ジエン系重合体が有する全共役ジエン単位に対する、ビニル結合の共役ジエン単位の割合(モル%)を指す。
(中間体)
変性共役ジエン系重合体の中間体(中間重合体)として用いられるシス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の活性末端を有する共役ジエン系重合体は、共役ジエン系モノマー単独、または、他のモノマーと共に、下記の重合触媒を用い、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法等の方法、好ましくは溶液重合法にて重合することにより、製造することができる。重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
原料モノマーの共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物に少量の他の炭化水素系モノマーを少量共存させてもよいが、共役ジエン化合物は、全モノマー中80モル%以上であることが好ましい。
重合触媒としては、以下に示す(x)成分、(y)成分及び(z)成分のそれぞれの中から選ばれる少なくとも1種の化合物を組み合わせてなるものが好ましい。
[(x)成分]
下記の(x1)〜(x4)から選ばれる希土類化合物で、そのまま不活性有機溶媒溶液として用いても、不活性固体上に担持して用いてもよい。
(x1)酸化数3の希土類化合物で、炭素数2〜30のカルボン酸基、炭素数2〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリーロキシ基、及び炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有炭化水素基の内から自由に選ばれる配位子を合計三つ有するもの、又はこれとルイス塩基化合物(特に、遊離カルボン酸、遊離アルコール、1,3−ジケトン、環状エーテル、直鎖状エーテル、トリヒドロカルビルホスフィン、トリヒドロカルビルホスファイト等から選ばれる)の錯化合物である。具体的には、ネオジムトリ−2−エチルヘキサノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリネオデカノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリ−n−ブトキシド等がある。
(x2)希土類の3ハロゲン化物とルイス塩基の錯化合物である。例えばネオジム三塩化物のTHF錯体がある。
(x3)少なくとも一つの(置換)アリル基が直接希土類原子に結合した、酸化数3の有機希土類化合物である。例えばテトラアリルネオジムとリチウムの塩がある。
(x4)少なくとも一つの(置換)シクロペンタジエニル基が直接希土類原子に結合した酸化数2又は3の有機希土類化合物、又はこの化合物とトリアルキルアルミニウム又は非配位性アニオンと対カチオンからなるイオン性化合物との反応生成物である。例えば、ジメチルアルミニウム(μ−ジメチル)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムがある。
上記希土類化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、これらの中でも、ランタン、ネオジム、サマリウムがさらに好ましい。
上記(x)成分の中では、ネオジムのカルボン酸塩及びサマリウムの置換シクロペンタジエニル化合物が好ましい。
[(y)成分]
次の一つから選ばれる少なくとも1種類の有機アルミニウム化合物で、複数を同時に用いることができる。
(y1)式R12 Alで表わされるトリヒドロカルビルアルミニウム化合物(ただし、R12は炭素数1〜30の炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい)。
(y2)式R13 AlH又はR13AlHで表わされるヒドロカルビルアルミニウム水素化物(ただし、R13は炭素数1〜30の炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい)。
(y3)炭素数1〜30の炭化水素基をもつヒドロカルビルアルミノキサン化合物。
上記(y)成分としては、例えばトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、アルキルアルミノキサンがある。これらの化合物は混合して用いてもよい。(y)成分の中では、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物との併用が好ましい。
[(z)成分]
次の一から選ばれる化合物であるが、(x)がハロゲン又は非配位性アニオンを含む場合、及び(y)がアルミノキサンを含む場合は必ずしも必要ない。
(z1)加水分解可能なハロゲンを有する周期表(短周期型)II、III、IV族に属する元素の無機又は有機化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物である。例えばアルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化珪素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等ルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等ルイス塩基との錯体等である。
(z2)少なくとも一つの三級アルキルハライド、ベンジルハライド、及びアリルハライドから選ばれる構造を有する有機ハロゲン化物である。例えば塩化ベンジル、塩化t−ブチル、臭化ベンジル、臭化t−ブチル等である。
(z3)亜鉛のハロゲン化物又はこれとルイス塩基の錯化合物である。
(z4)非配位性アニオンと対カチオンからなるイオン性化合物である。例えばトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
上記触媒の調製は、予備的に、上記の(x)、(y)、(z)成分以外に、必要に応じて、重合用モノマーと同じ共役ジエン化合物及び/又は非共役ジエンモノマーを併用してもよい。また、(x)成分又は(z)成分の一部又は全部を不活性な固体上に担持して用いてもよく、この場合はいわゆる気相重合で行うことができる。
上記触媒の使用量は、適宜設定することができるが、通常(x)成分はモノマー100g当たり0.001〜0.5ミリモル程度である。また、モル比で(y)成分/(x)成分は5〜1000程度、(z)成分/(x)成分は0.5〜10程度である。
溶液重合の場合において用いられる溶媒としては、反応に不活性な有機溶媒、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく二種以上を混合して用いてもよい。
この重合反応における温度は、好ましくは−80〜150℃、さらに好ましくは−20〜120℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常はモノマーを実質的に液相に保つのに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この重合反応においては、触媒、溶媒、モノマー等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものを用いることが望ましい。
本発明で使用する変性共役ジエン系重合体は、このようにして得られたシス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の活性末端を有する共役ジエン系重合体(中間重合体)の該活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなるものであるが、以下に示す5種の態様がある。
まず第1の態様は、上記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下にヒドロカルビルオキシシラン化合物により第2次変性してなる変性共役ジエン系重合体である。
第2の態様は、上記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第3の態様は、上記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下に末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物とを縮合反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第4の態様は、上記第1の態様において、第2次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第5の態様は、上記第3の態様において、縮合反応後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
上記の各態様における、第1次変性の反応において、使用する中間重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
(ヒドロカルビルオキシシラン化合物)
変性に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、下記一般式(I)、一般式(II)又は一般式(III)で表わされる化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を挙げることができる。
Figure 0006859709
[式中、Aは、(チオ)エポキシ、(チオ)イソシアネート、(チオ)ケトン、(チオ)アルデヒド、イミン、アミド、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル、(チオ)カルボン酸エステル、(チオ)カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物及び炭酸ジヒドロカルビルエステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する一価の基、Rは単結合又は二価の不活性炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0〜2の整数であり、Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、ORが複数ある場合、複数のORは同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない]
なお、本明細書において、「(チオ)エポキシ」とはエポキシ又はチオエポキシを示し、「(チオ)イソシアネート」とはイソシアネート又はチオイソシアネートを示し、「(チオ)ケトン」とはケトン又はチオケトンを示し、「(チオ)アルデヒド」とはアルデヒド又はチオアルデヒドを示し、「(チオ)カルボン酸」とはカルボン酸、チオカルボン酸エステル又はジチオカルボン酸を示す。
一般式(I)において、Aにおける官能基の中で、イミンはケチミン、アルジミン、アミジンを包含し、(チオ)カルボン酸エステルは、アクリレートやメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルを包含する。又、(チオ)カルボン酸の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Zn等を挙げることができる。
のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基を好ましく挙げることができる。このアルキレン基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。 R及びRとしては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状いずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、へキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。さらに、アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等があげられる。
nは0〜2の整数であるが0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、(チオ)エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン及びこれらの化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたものを好ましく挙げることができるが、これらの中で、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好適である。
また、一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、イミン基含有ヒドロカルビルオキシシアン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等を好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。
また、一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、イミン(アミジン)基含有化合物として、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリン等が挙げることができるが、これらの中で、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール及び1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾールを好ましく挙げることができる。また、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、なかでも、好ましいのはN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールである。
また、一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、カルボン酸エステル基含有化合物として、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、なかでも、好ましいのは3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランである。
また、一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、イソシアネート基含有化合物として、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、これらのうち、好ましいのは3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランである。
また、一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、カルボン酸無水物含有化合物として、3−トリエトキシシリルプロピルサクシニック無水物、3−トリメトキシシリルプロピルサクシニック無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルサクシニック無水物等が挙げられ、このうち、好ましいのは3−トリエトキシシリルプロピルサクシニック無水物である。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記ヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
次に、ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、また一般式(II)
Figure 0006859709
[式中、Aは、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、スルフィド及びマルチスルフィドの中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する一価の基、Rは単結合または二価の不活性炭化水素基、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、mは0〜2の整数であり、Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、ORが複数ある場合、複数のORは同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
で表される化合物及び/又はその部分縮合物が使用できる。
一般式(II)表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物は、活性末端との直接反応は実質的に起こらず、反応系に未反応として残存するため、活性末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基との縮合に消費される。
上記一般式(II)において、Aのうちの非環状三級アミンは、N,N−(二置換)アニリン等のN,N−(二置換)芳香族アミンを含有し、また環状三級アミンは、環の一部として(チオ)エーテルを含むことができる。Rのうちの二価の不活性炭化水素基、R及びRについては、それぞれ上記一般式(I)におけるR、R及びRについて説明したものと同じである。この分子中には活性プロトン及びオニウム塩は有しないことが必要である。
なお、本明細書において、「(チオ)エーテル」とはエーテル又はチオエーテルを示す。
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、非環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン等が挙げられ、これらの中でも、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好ましい。
また、一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシランを挙げることができる。なかでも3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
さらに、一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、4−エチルピリジン等を挙げることができる。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、さらに一般式(III)
Figure 0006859709
[式中、Aは、アルコール、チオール、一級アミン及びそのオニウム塩、環状二級アミン及びそのオニウム塩、非環状二級アミン及びそのオニウム塩、環状三級アミンのオニウム塩、非環状三級アミンのオニウム塩、アリール又はアリールアルキルSn結合を有する基、スルフォニル、スルフィニル及びニトリルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する一価の基、Rは単結合又は二価の不活性炭化水素基、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、qは0〜2の整数であり、Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、ORが複数ある場合、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
で表される化合物及び/又は部分縮合物が使用できる。
上記一般式(III)において、Aのうちの一級アミンはアニリン等の芳香族アミンを包含し、また非環状二級アミンはN−(一置換)アニリン等のN−(一置換)芳香族アミンを包含する。さらに、非環状三級アミンのオニウム塩は、N,N−(二置換)アニリン等のN,N−(二置換)芳香族アミンのオニウム塩を包含する。また。環状二級アミンや環状三級アミンの場合は、環の一部として(チオ)エーテルを含むことができる。Rのうちの二価の不活性炭化水素基、R及びRについては、それぞれ上記一般式(I)におけるR、R及びRについて説明したものと同じである。
一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルジメチル(3−トリメチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、シアノメチルトリメトキシシラン、シアノメチルトリエトキシシラン、スルホニルメチルトリメトキシシラン、スルホニルメチルトリエトキシシラン、スルフィニルメチルトリメトキシシラン、スルフィニルメチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記ヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
なお、上記の一般式(I)、(II)、(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものを言う。
本発明において、縮合促進剤の存在下にて、残存又は新たに加えられたヒドロカルビルオキシシラン化合物と反応させる上記第1の態様、第3の態様、第4の態様、及び第5の態様の場合には、まず活性末端を有する中間重合体と、反応系に加えられた実質上化学量論量のヒドロカルビルオキシシラン化合物とが反応して、実質的に該末端の全てにヒドロカルビルオキシシリル基が導入され(第1次変性)、さらに上記で導入されたヒドロカルビルオキシシリル基にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させることにより、該活性末端に当量より多くのヒドロカルビルオキシシラン化合物残基が導入される。
本発明において、ヒドロカルビルオキシシラン化合物がアルコキシシリル化合物である場合、上記第1の態様、第3の態様、第4の態様、及び第5の態様におけるアルコキシシリル基同士の縮合反応は、(残存又は新たに加えられた)遊離アルコキシシランと重合体末端のアルコキシシリル基の間で起こることが、また場合によっては重合体末端のアルコキシシリル基同士で起こることが好ましく、遊離アルコキシシラン同士の反応は不必要である。従って、アルコキシシラン化合物を新たに加える場合は、そのアルコキシシリル基の加水分解性が、重合体末端のアルコキシシリル基の加水分解性を凌駕しないようにすることが効率の点から好ましい。例えば、一次変性のアルコキシシランIには加水分解性の大きなトリメトキシシリル基含有化合物を用い、新たに添加するアルコキシシランIIにはこれより加水分解性の劣るアルコキシシリル基(例えばトリエトキシシリル基)を含有する化合物を用いる組み合わせが、好適である。逆に、例えば、アルコキシシランIをトリエトキシシリル基含有、かつ同IIをトリメトキシシリル基含有とすることは、本発明の範囲に含まれるものの、反応効率の観点からは好ましくない。
本発明における変性反応は、溶液反応及び固相反応のいずれでもよいが、溶液反応(重合時に使用した未反応モノマーを含んだ溶液でもよい)が好適である。また、この変性反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いて行ってもよく、多段連続式反応器やインラインミキサ等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、変性反応は、重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、重合体単離に必要な諸操作等を行う前に実施することが肝要である。
変性反応の温度は、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には20〜100℃が好ましい範囲として挙げられる。温度が低くなると重合体の粘度が上昇する傾向があり、温度が高くなると重合活性末端が失活し易くなるので好ましくない。
次に、上記第2次変性を促進するためには、縮合促進剤の存在下で行なうことが好ましい。この縮合促進剤としては、一般にアルコキシ縮合硬化型室温架橋(RTV)シリコーンのための硬化触媒として知られている金属化合物と、水との組み合わせが使用できる。例えば、スズのカルボン酸塩及び/又はチタンアルコキシドと水との組み合わせを好ましく挙げることが出来る。縮合促進剤の水の反応系中への投入方法には特に制限が無い。アルコール等の水と相溶な有機溶媒の溶液としてもよいし、種々の化学工学的手法を用いて水を直接炭化水素溶液中に注入・分散・溶解させてもよい。
このような縮合促進剤としては、一般式(IV)、一般式(V)及び一般式(VI)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種と水とからなるものであることが好ましい。
一般式(IV)で表される酸化数2のスズの炭素数3〜20のカルボン酸塩:
Sn(OCOR10・・・・・・(IV)
[式中、R10は、炭素数2〜19の有機基であり、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
一般式(V)で表される酸化数4のスズ化合物:
11 SnA (4−t−r)・・・・・・(V)
[式中、rは1〜3の整数、tは1又は2の整数であり、かつ、t+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、Bはヒドロキシル基又はハロゲンである。Aは、(a)炭素数2〜30の脂肪族カルボン酸残基、(b)炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有炭化水素基、(c)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、及び(d)炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていてもよい)されたシロキシ基から選ばれる基であり、R11が複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、Aが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
一般式(VI)で表される酸化数4のチタン化合物:
TiB (4−x)・・・・・・(VI)
[式中、xは2又は4の整数である。Aは(1)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、(2)炭素数1〜30のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、Aが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。Bは、炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有炭化水素基であり、Bが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
上記一般式(IV)で表される酸化数2のスズのカルボン酸塩としては、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ、ジオレイン酸スズ及びジラウリン酸スズ等が、上記一般式(V)で表される酸化数4のスズの化合物のうち、(a)のスズのカルボン酸塩としては、四価のジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩(ビス(ヒドロカルビルジカルボン酸)塩を含む)、モノカルボン酸塩ヒドロキシド等が、(b)炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有炭化水素基を有するものとしては、ビス(1,3−ジケトネート)等が、(c)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基を有するものとしては、アルコキシハライドが、(d)炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていてもよい)されたシロキシ基を有するものとしては、アルコキシ(トリヒドロカルビルシロキシド)、アルコキシ(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、ビス(トリヒドロカルビルシロキシド)、ビス(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)等が好適に挙げられる。スズに縮合した炭化水素基としては炭素数が4以上のものが望ましく、炭素数4〜8のものがより好ましい。
また、上記一般式(VI)で表される酸化数4のチタン化合物としては、酸化数4のチタンのテトラアルコキシド又はテトラキス(トリヒドロカルビルオキシシロキシド)、あるいはジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン等のジアルコキシビス(1,3−ジケトネート)チタン等が挙げられる。
縮合促進剤における水としては、単体やアルコール等の溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセル等の形態が好適に用いられるほか、必要ならば固体表面の吸着水や水和物の水和水等の反応系中で水を放出し得る化合物が潜在的に含んだ水分も有効に用いることが出来る。
縮合促進剤を形成する金属化合物及び水は、反応系に別々に投入しても、使用直前に混合して混合物として投入してもよいが、混合物の長期保存は金属化合物の分解を招くので好ましくない。
縮合促進剤の使用量として、上記金属化合物の金属及び反応に有効な水のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビルオキシシリル基総量に対するモル比で、共に0.1以上であることが好ましい。上限は目的や反応条件によっても異なるが、縮合処理以前の段階で重合体末端に縮合されたヒドロカルビルオキシシリル基総量に対するモル比が0.5〜3程度の有効な水が存在することが好ましい。金属化合物の金属と反応に有効な水とのモル比は、求められる反応条件によっても異なるが、1:0.5〜1:20程度が好適である。
本発明において、変性共役ジエン系重合体における上記第2の態様、第4の態様及び第5の態様においては、多価アルコールのカルボン酸部分エステルを、重合末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物由来の基と反応させ、該基を安定化させる操作が施される。
ここで、多価アルコールのカルボン酸部分エステルとは、多価アルコールとカルボン酸とのエステルであり、かつ水酸基を一つ以上有する部分エステルを意味する。具体的には、炭素数4以上の糖類又は変性糖類と脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。このエステルは、さらに好ましくは、(イ)多価アルコールの脂肪酸部分エステル、特に炭素数10〜20の飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル(モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよい)、(ロ)多価カルボン酸と高級アルコールの部分エステルを、多価アルコールに1ないし3個結合させたエステル化合物等が挙げられる。
上記の部分エステルの原料に用いられる多価アルコールとしては、好ましくは少なくとも三つの水酸基を有する炭素数5又は6の糖類(水素添加されていても、水素添加されていなくてもよい)、グリコールやポリヒドロキシ化合物等が用いられる。また、原料脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜20の飽和又は不飽和脂肪酸であり、例えばステアリン酸,ラウリン酸,パルチミン酸が用いられる。
多価アルコールの脂肪酸部分エステルの中ではソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、具体的には、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル及びソルビタントリオレイン酸エステル等が挙げられる。
また、市販品としては、ICI社の商標としての「SPAN60」(ソルビタンステアリン酸エステル)、「SPAN80」(ソルビタンモノオレイン酸エステル)、「SPAN85」(ソルビタントリオレイン酸エステル)等がある。
部分エステルの添加量は、中間重合体に付与されたヒドロカルビルオキシシリル基の1モルに対して0.2〜10モル程度、特に1〜10モルが好ましい。
このようにして製造された変性共役ジエン系重合体としては、シス−1,4−結合量が75モル%以上の変性ポリブタジエンが、タイヤ用ゴム組成物の性能の点から好適である。
変性共役ジエン系重合体は、補強用充填剤、特にシリカに対する分散改良効果が大きく、全体的にE’(動的貯蔵弾性率)を全温度域で低下させるが、特に低温側のE’の低下を大きくすることが可能となる。したがって、タイヤのウェットグリップ性能をより高めることができる。
また、損失係数(tanδ)においても低減効果が大きく、通常のポリブタジエンゴムを使用した場合と比較すると、0℃での低下を小さくしながら、高温(60℃)の低下をより大きくすることが可能なため、高充填シリカ配合においても、ウェットグリップ性能と低発熱性のバランス向上にも同時に作用する。さらに、補強用充填剤の分散改良効果により、耐摩耗性を向上させることができる。
<その他のゴム成分>
上記ジエン系ゴムは天然ゴム及び上述した変性共役ジエン系重合体以外のゴム成分(その他のゴム成分)を含んでいてもよい。そのようなゴム成分としては特に制限されないが、上述した変性共役ジエン系重合体以外の、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。
上記ジエン系ゴム中のその他のゴム成分の含有量は特に制限されないが、0〜30質量%であることが好ましい。
〔シリカ〕
本発明の組成物に含有されるシリカは特に制限されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜300m/gであることが好ましく、100〜250m/gであることがより好ましい。
なお、本明細書において、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、シリカの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して20〜100質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、30〜90質量部であることが好ましく、50〜80質量部であることがより好ましい。
〔特定硬化物〕
本発明の組成物に含有される硬化物は、上記ジエン系ゴムと相溶しない架橋性オリゴマー又はポリマーを硬化させた硬化物であり、JIS A硬度が3〜45である、硬化物(以下、「特定硬化物」とも言う)である。
「(上記ジエン系ゴムと)相溶しない」とは、上記ジエン系ゴムに包含される全てのゴム成分に対して相溶しないという意味ではなく、上記ジエン系ゴムおよび上記架橋性オリゴマーまたはポリマーに用いる各々の具体的な成分が互いに非相溶であることをいう。すなわち、架橋性オリゴマーまたはポリマーはジエン系ゴムに実際に含有される成分との間で非相溶であればよく、ジエン系ゴムに実際には含まれていないゴム成分(例えば、上述した「その他のゴム成分」)と非相溶である必要はない。例えば、後述する実施例の場合、ジエン系ゴムは天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体からなるため、架橋性ポリマーは天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体と互いに非相溶であればよい。
「硬化させた硬化物」とは、本発明の組成物を混合して調製する前に予め架橋性オリゴマーまたはポリマーを硬化させた硬化物のことをいう。
「JIS A硬度」とは、JISK6253−3:2012に規定されるデュロメータ硬さであって、タイプAのデュロメータにより温度25℃において測定した硬さをいう。
<架橋性オリゴマーまたはポリマー>
上記架橋性オリゴマーまたはポリマーは、上記ジエン系ゴムと相溶せず、架橋性を有する、オリゴマーまたはポリマーであれば特に限定されない。
なお、「相溶」とは、2種類の(或いは複数の)異なる分子鎖が分子レベルにおいて均一に相溶すること(分子レベルで完全に混ざり合うこと)を意図し、逆に、「相溶しない」とは、分子レベルで完全には混ざり合わないことを意図する。
上記架橋性オリゴマーまたはポリマーとしては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、脂肪族系、飽和炭化水素系、アクリル系、植物由来系もしくはシロキサン系の重合体または共重合体等が挙げられる。
これらのうち、熱安定性、分子鎖の柔軟性、耐加水分解性などの観点から、上記架橋性オリゴマーまたはポリマーとしては、ポリエーテル系もしくはシロキサン系の重合体または共重合体であるのが好ましい。
上記ポリエーテル系の重合体または共重合体としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
上記シロキサン系の重合体または共重合体としては、例えば、−(Si(R1)(R2)O)−で表されるシロキサン構造(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表す。)を主鎖に有する重合体または共重合体等が挙げられる。
上記架橋性オリゴマーまたはポリマーは、分子間の架橋により硬化物が形成されやすい理由から、シラン官能基を有しているのが好ましい。
上記シラン官能基は、いわゆる架橋性シリル基とも呼ばれ、その具体例としては、加水分解性シリル基;シラノール基;シラノール基をアセトキシ基誘導体、エノキシ基誘導体、オキシム基誘導体、アミン誘導体などで置換した官能基;等が挙げられる。
上記加水分解性シリル基としては、具体的には、例えば、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が挙げられる。
これらのうち、加水分解性と貯蔵安定性のバランスが良好となる理由から、アルコキシシリル基が好ましく、具体的には、下記式(1)で表されるアルコキシシリル基がより好ましく、メトキシシリル基、エトキシシリル基が更に好ましい。
Figure 0006859709
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、aは1〜3の整数を表す。aが2または3の場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、aが1の場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記シラン官能基は、上記架橋性オリゴマーまたはポリマーの少なくとも主鎖の末端に有しているのが好ましく、主鎖が直鎖状である場合は1.5個以上有しているのが好ましく、2個以上有しているのがより好ましい。一方、主鎖が分岐している場合は3個以上有しているのが好ましい。
上記架橋性オリゴマーまたはポリマーの重量平均分子量または数平均分子量は、得られる上記硬化物の上記ジエン系ゴムへの分散性やゴム組成物の混練加工性が良好となる理由から、300〜30,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましい。
重量平均分子量および数平均分子量は、いずれもゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
上記架橋性オリゴマーまたはポリマーを硬化する硬化方法は特に限定されないが、例えば、酸触媒、アルカリ触媒、金属触媒およびアミン触媒からなる群から選択される少なくとも1種の触媒を用いて硬化させる方法等が挙げられる。
これらのうち、硬化効率が高い理由から、酸触媒または金属触媒を用いて硬化させる方法が好ましい。
上記酸触媒としては、具体的には、例えば、例えば、乳酸、フタル酸、ラウリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ナフテン酸、オクテン酸、オクチル酸(2−エチルヘキサン酸)、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、安息香酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記酸触媒として、酸性度や分散性の観点から、常温で液体の酸を用いるのが好ましく、具体的には、乳酸、ギ酸を用いるのがより好ましい。
上記金属触媒としては、例えば、オクチル酸スズ等の有機金属化合物、アルカリ金属アルコラート等が挙げられる。
具体的には、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマスなどのオクタン酸金属塩;等が挙げられる。
上記金属触媒として、酸性度の観点から、スズカルボン酸塩類を用いるのがより好ましい。
上記硬化物の硬度は、JIS A硬度で3〜45であり、本発明の効果がより優れる理由から、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましい。
上記硬化物を混合して調製した本発明の組成物における上記硬化物の平均粒子径は、上記ジエン系ゴムへの分散性が良好となり、スタッドレスタイヤの氷上性能および耐摩耗性がより良好となる理由から、平均粒子径が5〜250μmの粒子状物であるのが好ましい。
本発明の組成物における上記硬化物の平均粒子径は、本発明の組成物の加硫試験体の断面を電子顕微鏡(倍率:500〜2000倍程度)にて画像解析し、観察された上記硬化物の粒子の最大長を任意の10個以上の粒子で測定し、平均化した値をいう。
本発明の組成物において、上記硬化物の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜30質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、0.5〜25質量部が好ましく、1〜15質量部が好ましい。
〔任意成分〕
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに他の成分(任意成分)を含有することができる。
上記任意成分としては、例えば、カーボンブラック、シランカップリング剤、芳香族変性テルペン樹脂、熱膨張性マイクロカプセル、充填剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
<芳香族変性テルペン樹脂>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、芳香族変性テルペン樹脂を含有するのが好ましい。上記芳香族変性テルペン樹脂は、本発明の効果がより優れる理由から、軟化点が60〜150℃である芳香族変性テルペン樹脂(以下、「特定芳香族変性テルペン樹脂」とも言う)であることが好ましい。上記軟化点は、本発明の効果がより優れる理由から、70〜140℃であることがより好ましい。
ここで、軟化点は、JIS K7206:1999に準拠して測定されたビカット軟化点である。
本発明の組成物において、上記芳香族変性テルペン樹脂の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、2〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。
<熱膨張性マイクロカプセル>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、熱膨張性マイクロカプセルを含有するのが好ましい。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であり、この粒子をその膨張開始温度以上の温度、通常130〜190℃の温度で加熱して膨張させて、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封入した気体封入熱可塑性樹脂粒子となる。
上記熱可塑性樹脂において、その膨張開始温度は100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。最大膨張温度は150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリルの重合体、また(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。その共重合体の場合の他のモノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。
なお、上記熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については、未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損わない程度に部分的に架橋していてもよい。
また、熱により気化して気体を発生する上記液体としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンなどの塩素化炭化水素;等の液体が挙げられる。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂となる熱膨張性マイクロカプセルであれば特に限定されず、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の粒子径は、5〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、EXPANCEL社製のエクスパンセル091DU−80、エクスパンセル092DU−120;松本油脂社製のマイクロスフェアF−85、マイクロスフェアF−100;等が挙げられる。
本発明の組成物において、熱膨張性マイクロカプセルの含有量は特に制限されないが、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
<カーボンブラック>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200m/gであることが好ましく、70〜150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
上記カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。
<シランカップリング剤>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。
上記シランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記有機官能基は特に制限されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられ、なかでも、メルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましい。
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル−メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したシリカの含有量に対して2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが好ましい。
〔タイヤ用ゴム組成物の調製方法〕
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄または加硫促進剤を含有する場合は、硫黄および加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100〜155℃)で混合し、冷却してから、硫黄または加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
上述のとおり、本発明の組成物は、氷上性能、ウェットグリップ性能、低発熱性及び耐摩耗性に優れるため、特に、スタッドレスタイヤに好適である。
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いた空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔合成例〕
以下のとおり、変性共役ジエン系重合体、及び、特定硬化物を合成した。
<変性共役ジエン系重合体の合成>
(1)触媒の調製
乾燥・窒素置換された、ゴム栓付き容積約100mlのガラス瓶に、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56M)0.59ml、メチルアルミノキサンMAO(東ソーアクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23M)10.32ml、水素化ジイソブチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90M)7.77mlを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95M)1.45mlを加えて、室温で時折撹拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011M(モル/リットル)であった。
(2)中間重合体の製造
乾燥・窒素置換された、ゴム栓付き容積約900mlのガラス瓶に、乾燥精製された1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンを各々装入し、1,3−ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、上記(1)において調製した触媒溶液2.28ml(ネオジム換算0.025mmol)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行い、中間重合体を製造した。得られた重合体のミクロ構造は、シス−1,4−結合含有量95.5モル%、トランス−1,4−結合含有量3.9モル%、ビニル結合含有量0.6モル%であつた。これらのミクロ構造(シス−1,4−結合含有量、トランス−1,4−結合含有量、ビニル結合含有量)は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)によって求めた。
(3)第1次変性処理
第1次変性剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMOS)のヘキサン溶液(1.0M)として、GPMOSがネオジムに対して23.5モル当量になるよう上記(2)で得た重合液に投入し、50℃で60分間処理することにより、第1次の変性を行った。
(4)第2次変性以降の処理
続いて、縮合促進剤として、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ(BEHAS)のシクロヘキサン溶液(1.01M)を1.76ml(70.5eq/Nd相当)と、イオン交換水32μl(70.5eq/Nd相当)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間処理した。その後、重合系に老化防止剤2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2mlを加えて反応の停止を行い、更に微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行い、ドラム乾燥することにより変性共役ジエン系重合体を得た。得られた変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度ML1+4(100℃)を、(有)東洋精機製作所製のRLM−01型テスターを用いて100℃で測定したところ、93であった。変性後のミクロ構造も中間重合体のミクロ構造と同様であった。
<特定硬化物の合成>
加水分解性シリル基末端ポリオキシプロピレングリコール(末端に加水分解性シリル基を有するポリプロピレングリコール)(MSポリマーS810、カネカ社製)(架橋性ポリマー)のペースト状生成物10質量部に対して、乳酸(酸触媒)を0.1質量部添加した。
次いで、十分に撹拌した後、常温にて2日間で硬化させることにより、特定硬化物を合成した。
得られた特定硬化物1のJIS A硬度は8であった。また、後述する加硫ゴム試験片における特定硬化物の平均粒子径は38μmであった。
〔タイヤ用ゴム組成物の調製〕
下記表1に示す成分を同表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記表1に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて150℃付近に温度を上げてから、5分間混合した後に放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
〔評価〕
得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。そして、得られた加硫ゴム試験片について、以下の評価を行った。
<氷上性能>
加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて、測定温度:−1.5℃、荷重:5.5kg/cm3、ドラム回転速度:25km/時間の条件で、氷上摩擦係数を測定した。
結果を表1に示す(表1中の「氷上性能」の欄)。結果は標準例の氷上摩擦係数を100とする指数で表した。指数が大きいほどゴムと氷との摩擦力が大きく、タイヤにしたときに氷上性能に優れる。
<tanδ(0℃)>
加硫ゴム試験片について、JIS K6394:2007に準じ、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件でtanδ(0℃)を測定した。
結果を表1に示す(表1中の「tanδ(0℃)」の欄)。結果は標準例のtanδ(0℃)を100とする指数で表した。指数が大きいほどtanδ(0℃)が大きく、タイヤにしたときにウェットグリップ性能に優れる。
<tanδ(60℃)>
温度0℃の条件で測定する代わりに、温度60℃の条件で測定した以外は上述したtanδ(0℃)と同様の手順にしたがって、加硫ゴム試験片のtanδ(60℃)を測定した。
結果(tanδ(60℃)の逆数)を表1に示す(表1中の「tanδ(60℃)」の欄)。結果は標準例のtanδ(60℃)の逆数を100とする指数で表した。指数が大きいほどtanδ(60℃)が小さく、タイヤにしたときに低発熱性に優れる。
<耐摩耗性>
加硫ゴム試験片について、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を用いて、JIS K6264−2:2005に準拠し、付加力4.0kg/cm3(=39N)、スリップ率30%、摩耗試験時間4分、試験温度を室温の条件で摩耗試験を行い、摩耗質量を測定した。そして、下記のとおり指数を算出した。結果を表1に示す。指数が大きいほど摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れる。
指数=(標準例の試験片の摩耗質量/各例の摩耗質量)×100
Figure 0006859709
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・天然ゴム:TSR20(天然ゴム、Tg:−62℃)
・比較共役ジエン系重合体:NIPOL BR1220(未変性BR、日本ゼオン社製)
・変性共役ジエン系重合体:上述のとおり合成された変性共役ジエン系重合体
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シリカ:ZEOSIL 1165MP(CTAB吸着比表面積:159m/g、ローディア社製)
・シランカップリング剤:Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製)
・アロマオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・特定硬化物:上述のとおり合成された特定硬化物
・芳香族変性テルペン樹脂:YSレジン TO−125(軟化点:125±5℃、ヤスハラケミカル社製)
・熱膨張性マイクロカプセル:マイクロスフェアF100(松本油脂社製)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24質量%、鶴見化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日油社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社社製)
・加硫促進剤1:ノクセラーCZ−G(大内新興科学工業株式会社)
・加硫促進剤2:ソクシノールD−G(住友化学株式会社)
表1から分かるように、変性共役ジエン系重合体と特定硬化物とを併用する本願実施例は、優れた氷上性能、ウェットグリップ性能、低発熱性及び耐摩耗性を示した。なかでも、特定芳香族変性テルペン樹脂を含有する実施例1、2及び4は、より優れたウェットグリップ性能を示した。なかでも、タイヤ用ゴム組成物中の変性共役ジエン系重合体の含有量に対するタイヤ用ゴム組成物中のシリカの含有量の割合が80質量%以上である実施例1及び2は、より優れた氷上性能及びウェットグリップ性能を示した。そのなかでも、タイヤ用ゴム組成物中の変性共役ジエン系重合体の含有量に対するタイヤ用ゴム組成物中のシリカの含有量の割合が120質量%以下である実施例1は、より優れた耐摩耗性を示した。
一方で、変性共役ジエン系重合体と特定硬化物とを併用しない標準例及び比較例1〜5、並びに、変性共役ジエン系重合体と特定硬化物とを併用するがシリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して20質量部に満たない比較例6は、氷上性能、ウェットグリップ性能、低発熱性及び耐摩耗性の少なくともいずれかが不十分であった。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (4)

  1. ジエン系ゴムと、シリカと、硬化物とを含有し、
    前記シリカの含有量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して20〜100質量部であり、前記硬化物の含有量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜30質量部であり、
    前記ジエン系ゴムが、天然ゴムと、変性共役ジエン系重合体とを含み、前記ジエン系ゴム中の前記天然ゴムの含有量が30〜90質量%であり、前記ジエン系ゴム中の前記変性共役ジエン系重合体の含有量が10〜70質量%であり、
    前記変性共役ジエン系重合体が、シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体であり、
    前記硬化物が、前記ジエン系ゴムと相溶しない架橋性オリゴマー又はポリマーを硬化させた硬化物であり、前記硬化物のJIS A硬度が3〜45である、タイヤ用ゴム組成物であって、
    さらに、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂と、熱膨張性マイクロカプセルとを含有し、
    前記芳香族変性テルペン樹脂の含有量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して2〜20質量部であり、前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜20質量部である、タイヤ用ゴム組成物
  2. 前記硬化物が、平均粒子径が5〜250μmの粒子状物である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記架橋性オリゴマー又はポリマーが、ポリエーテル系若しくはシロキサン系の重合体又は共重合体であり、且つ、シラン官能基を有する、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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