JP7127705B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、主としてオールシーズンタイヤとして用いることを意図した空気入りタイヤに関する。
一年を通じて様々な天候下で使用することを意図した所謂オールシーズンタイヤは、通常の乾燥路面の他、雨天時のウェット路面や、冬季の積雪路面において優れた走行性能を発揮することが求められる(例えば、特許文献1を参照)。つまり、例えば乾燥路面における操縦安定性能(以下、ドライ性能という)、ウェット路面における制動性能(以下、ウェット性能という)、および積雪路面における制動性能(以下、スノー性能という)を高度に両立することが求められる。これに加えて、環境負荷を低減するために走行時の燃費性能を向上すること(転がり抵抗を低減すること)も求められる。
しかしながら、これら性能を空気入りタイヤのトレッド部を構成するゴム(トレッドゴム)によって改善しようとしても、これら性能は相反するため、高次元で両立させることは困難である。例えば、ドライ性能およびウェット性能に優れるゴムを得る方法として、0℃におけるtanδを高くすることが知られているが、0℃におけるtanδが高くなると、60℃におけるtanδも高くなり、転がり抵抗を低減することはできない。また、0℃におけるtanδが高くなることで、ガラス転移温度Tgが上昇するため、スノー性能が悪化することも懸念される。或いは、スノー性能に優れるゴムを得る方法として、ブタジエンゴムの配合量を増加することが知られているが、ブタジエンゴムの配合量が増えることでシリカの分散が悪化するため、転がり抵抗の低減が困難になる虞がある。そのため、トレッドゴムの配合や物性を調整することで、ドライ性能、ウェット性能、およびスノー性能をバランスよく向上しながら、転がり抵抗を低減して、これら性能を高次元で両立するための対策が求められている。
特開2015‐229701号公報
本発明の目的は、ドライ性能、ウェット性能、およびスノー性能を向上しながら、転がり抵抗を低減し、これら性能を高次元で両立することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、前記一対のサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層の補強層とを有し、前記トレッド部が、前記補強層の外周側に配置されたアンダートレッド層と、前記アンダートレッド層の外周側に配置されて前記トレッド部の踏面を構成するキャップトレッド層との2層で構成された空気入りタイヤにおいて、前記キャップトレッド層は、天然ゴム15質量%以上30質量%以下、スチレンブタジエンゴム40質量%以上70質量%以下、およびブタジエンゴム15質量%以上30質量%以下の合計100質量%からなるジエン系ゴム100質量部に対して、シリカ70質量部~90質量部が配合されたゴム組成物で構成されており、前記スチレンブタジエンゴムは、ビニル含有量が35質量%~45質量%である末端変性スチレンブタジエンゴムであり、前記ブタジエンゴムは、共役ジエン系重合体の活性末端を少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物とポリオルガノシロキサンのうちから選ばれる少なくとも1つの官能基により変性してなる変性ブタジエンゴムであり、前記アンダートレッド層を構成するアンダートレッドゴムの20℃における硬度Hu と前記キャップトレッド層を構成するキャップトレッドゴムの20℃における硬度Hc とがHu >Hc の関係を満たし、前記硬度Hc は63以上67以下であり、前記硬度Hu と前記硬度Hc との差ΔHが10以上であることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部をキャップトレッド層とアンダートレッド層の2層で構成し、キャップトレッド層を上述の配合からなるゴム組成物で構成し、更に、キャップトレッドゴムの硬度と、キャプトレッドゴムおよびアンダートレッドゴムの硬度の関係を上述のように設定しているので、スノー性能を良好に発揮しながら、ドライ性能およびウェット性能を向上し、且つ、転がり抵抗を低減することができる。尚、本発明において、各ゴムの「硬度」は、JIS K6253に準拠して、デュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した値である。
本発明においては、ブタジエンゴムにおけるシス-1,4-結合の含有量が75モル%以上であることが好ましい。これにより、キャップトレッド層を構成するゴム組成物におけるブタジエンゴムの特性が良好になるため、ドライ性能、ウェット性能、およびスノー性能を向上しながら、転がり抵抗を低減するには有利になる。尚、「シス-1,4-結合の含有量」とは、ブタジエンに由来する全繰り返し単位のうち、シス-1,4-結合を有する繰り返し単位が占める割合(モル%)を言う。
本発明においては、キャップトレッド層を構成するキャップトレッドゴムの-20℃における貯蔵弾性率E′が70MPa以下であることが好ましい。これにより、スノー性能を向上するには有利になる。尚、本発明において、「-20℃における貯蔵弾性率E′」は、粘弾性スペクトロメータを用いて、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、-20℃の条件にて測定された値とする。
本発明においては、アンダートレッド層が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムの群から選ばれる2種以上を含むゴム成分100質量部に対して、シリカまたはカーボンブラックを70質量部以上配合したゴム組成物で構成されており、アンダートレッドゴムの20℃における硬度Hu が75以上80以下であることが好ましい。これにより、アンダートレッド層の物性が更に良好になり、特に、アンダートレッドゴムの硬度が適正化されるので、ドライ性能、ウェット性能、およびスノー性能を向上しながら、転がり抵抗を低減するには有利になる。
本発明においては、トレッド部に形成された溝の溝底からトレッド部の踏面までのブロック高さhと、アンダートレッド層の厚みGとの比h/Gが9~12であることが好ましい。これにより、キャプトレッド層およびアンダートレッド層の構造(ゴムゲージ)が適正化されるので、ドライ性能、ウェット性能、およびスノー性能を向上しながら、転がり抵抗を低減するには有利になる。
本発明の空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。 図1のトレッド部を拡大して示す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。尚、図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コード(カーカスコード)をコートゴムで被覆することで構成され、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。
図1の例では、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側に複数層(2層)のベルト層7が設けられている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コード(ベルトコード)を含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、ベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。ベルトコードとしては、例えばスチールコードが使用することができる。
図1の例では、ベルト層7の外周側に、複数層(2層)のベルトカバー層8が設けられている。尚、図示の例の2層のベルトカバー層8のうち、一方はベルト層7の全域を覆うフルカバー層8aであり、他方はベルト層7の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層8bである。ベルトカバー層8は、タイヤ周方向に配向する補強コード(ベルトカバーコード)を含む。ベルト補強層8において、ベルトカバーコードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。ベルトカバーコードとしては、例えば有機繊維コードを使用することができる。
本発明では、これらベルト層7およびベルトカバー層8を総称して補強層という。本発明では、補強層として、ベルト層7のみを設けても、ベルト層7およびベルトカバー層8の両者を設けてもよい。以降の説明における「補強層の外周側」とは、ベルト層7のみを設ける場合は、ベルト層7(特に、複数のベルト層7のうちタイヤ径方向最外側の層)の外周側を意味し、ベルト層7およびベルトカバー層8の両者を設ける場合は、ベルトカバー層8(特に、複数のベルトカバー層8のうちタイヤ径方向最外側の層)の外周側を意味する。
トレッド部1において、上述のカーカス層4および補強層(ベルト層7、ベルトカバー層8)の外周側にはトレッドゴム層10が配置される。本発明では、トレッドゴム層10は、物性の異なる2種類のゴム層(キャップトレッド層11およびアンダートレッド層12)がタイヤ径方向に積層した構造を有する。キャップトレッド層11は、アンダートレッド層12の外周側に配置されてトレッド部1の踏面を構成する。アンダートレッド層12は、キャップトレッド層11と補強層との間に挟まれる。尚、サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドゴム層20が配置され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層30が配置されている。
本発明は、トレッド部1(キャップトレッド層11およびアンダートレッド層12)に関するものであるので、他の部位や構成部材については、上述の構造に限定されない。尚、以降の説明では、キャップトレッド層11を構成するゴム組成物をキャップトレッドゴム、アンダートレッド層12を構成するゴム組成物をアンダートレッドゴムという場合がある。
キャップトレッド層11を構成するゴム組成物において、ゴム成分は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムの3種を必ず含み、これらの合計が100質量%になる。本発明では、これら3種のゴムを後述の割合で併用することで、スノー性能、ウェット性能、転がり抵抗性能を向上することができる。
天然ゴムは、タイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。天然ゴムを含むことにより、スノー性能をより優れたものにすることができる。天然ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、15質量%以上30質量%以下、好ましくは17質量%~25質量%である。天然ゴムの含有量が15質量%未満であると、スノー性能を十分に改良することができない。天然ゴムの含有量が30質量%を超えると、ウェット性能や転がり抵抗を改善する効果が得られない。
本発明で使用されるスチレンブタジエンゴムは、ビニル含有量が35質量%~45質量%、好ましくは38質量%~43質量%である末端変性スチレンブタジエンゴムである。このような末端変性スチレンブタジエンゴムを用いることで、ウェット性能と低転がり抵抗性を向上することができる。ビニル含有量が上述の条件を満たしていれば、末端変性スチレンブタジエンゴムにおける変性基の種類は特に限定されるものではないが、例えばエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アルコキシシリル基、アミド基、オキシシリル基、シラノール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、カルボニル基、アルデヒド基、等が挙げられる。これら変性基の中でも、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基、アミド基を好適に用いることができる。
スチレンブタジエンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、40質量%以上70質量%以下、好ましくは55質量%~65質量%である。スチレンブタジエンゴムの含有量が40質量%未満であると、ウェット性能が低下する。スチレンブタジエンゴムの含有量が70質量%を超えると、スノー性能が低下する。
本発明で使用されるブタジエンゴムは、共役ジエン系重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物、ポリオルガノシロキサンから選ばれる少なくとも1つの官能基により変性してなる変性ブタジエンゴムである。尚、ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、およびN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシランなどを例示することができる。この変性ブタジエンゴムにおけるシス-1,4-結合の含有量は、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上であるとよい。このような変性ブタジエンゴムを用いることで、後述のシリカとの親和性を高くし分散性を改善することができ、シリカの作用効果を向上するので、低転がり性能およびウェット性能を改善することができる。
ブタジエンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、15質量%以上30質量%以下、好ましくは17質量%~25質量%である。ブタジエンゴムの含有量が15質量%未満であると、スノー性能が低下する。ブタジエンゴムの含有量が30質量%を超えると、ウェット性能が低下する。
キャップトレッド層11を構成するゴム組成物にはシリカが必ず配合される。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が用いることができる。これらシリカは、単独または2種以上を組合わせて使用することができる。シリカの表面にシランカップリング剤による表面処理を施した表面処理シリカを使用してもよい。シリカを配合することにより、ゴム組成物のゴム硬度を高くし、空気入りタイヤにしたとき、ドライ性能(操縦安定性)を優れたものにすることができる。シリカの配合量は、上述のジエン系ゴム100質量部に対して、70質量部~90質量部、好ましくは70質量部~80質量部である。シリカの配合量が70質量部未満であるとウェット性能が低下する。シリカの配合量が90質量部を超えると転がり抵抗を低減することができない。
シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは150m2/g~220m2/g、より好ましくは160m2/g~200m2/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を150m2/g以上にすることによりウェット性能を確保することができる。また、シリカのCTAB吸着比表面積を220m2/g以下にすることにより、ドライ性能およびウェット性能を向上し、且つ、転がり抵抗を低減することができる。本発明において、シリカのCTAB吸着比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
本発明では、シリカの他に無機充填剤としてカーボンブラックを配合してもよい。カーボンブラックを配合することで、ゴム組成物のゴム硬度を高くし、空気入りタイヤにしたとき、ドライ性能(操縦安定性)を優れたものにすることができる。カーボンブラックの配合量は、上述のジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは5質量部~15質量部、より好ましくは5質量部~10質量部である。カーボンブラックの配合量が5質量部未満であるとドライ性能が低下する。カーボンブラックの配合量が15質量部を超えると低転がり抵抗性が低下する。カーボンブラックとしては、例えば、窒素吸着比表面積(N2SA)が好ましくは90m2/g~130m2/g、より好ましくは110m2/g~120m2/gであるものを用いることができる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が90m2/g未満であると、ドライ性能を十分に改良することができない。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が130m2/gを超えると、転がり抵抗を十分に小さくすることができない。本発明においてカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2により測定された値とする。
キャップトレッド層11を構成するゴム組成物においては、上述のシリカおよびカーボンブラック以外の他の充填剤を配合することもできる。他の充填材として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができる。これら他の充填剤は単独または2種以上を組合わせて使用することができる。
キャップトレッド層11を構成するゴム組成物においては、上述のシリカと共にシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤により、シリカの分散性を改良することができる。シランカップリング剤の配合量は、好ましくはシリカの7質量%~10質量%、より好ましくは8質量%~9質量%であるとよい。シランカップリング剤の配合量が7質量%未満であると、シリカの分散性を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量が10質量%を超えると、ゴム組成物が早期加硫を起こしやすくなり成形加工性が悪化する虞がある。
シランカップリング剤としては、タイヤ用ゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。なかでもメルカプト基を有するシランカップリング剤が好ましく、シリカとの親和性を高くしその分散性を改良することができる。これらシランカップリング剤は、単独で配合してもよいし、複数を組合わせて配合してもよい。
アンダートレッド層12を構成するゴム組成物において、ゴム成分は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムの群から選ばれる2種以上を必ず含み、これらの合計が100質量%になるようにするとよい。好ましくは、天然ゴムおよびブタジエンゴムの2種を含み、任意でスチレンブタジエンゴムおよび/またはイソプレンゴムを含むとよい。このようにアンダートレッド層12を構成することで、キャップトレッド層11との協働によって優れたドライ性能(操縦安定性)を確保するには有利になる。即ち、前述のキャップトレッドゴムはスノー性能を向上するには有利であるが、ドライ性能を十分に確保できない虞があるところ、上述のアンダートレッドゴムを用いることでドライ性能を補い、これら性能をタイヤにおいて両立することが可能になる。
上述のように、アンダートレッド層12において、天然ゴムおよびブタジエンゴムの2種を主成分として、任意でスチレンブタジエンゴムおよび/またはイソプレンゴムを配合する場合、ゴム成分100質量%に対して、天然ゴムを好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%~80質量%配合するとよく、ブタジエンゴムを好ましくは15質量%以上35質量%以下、より好ましくは20質量%~30質量%配合するとよい。アンダートレッド層12において、天然ゴムの配合量が50質量%未満、またはブタジエンゴムの配合量が15質量%未満であると低転がり抵抗性が低下する。アンダートレッド層12において、ブタジエンゴムの配合量が35質量%を超えるとドライ性能が低下する。
上述のように、アンダートレッド層12において、天然ゴムおよびブタジエンゴムの2種を主成分として、任意でスチレンブタジエンゴムおよび/またはイソプレンゴムを配合する場合、任意で配合するスチレンブタジエンゴムやイソプレンゴムの配合量については特に限定されない。但し、アンダートレッド層12として求められるゴム物性の更なる向上のために、イソプレンゴムについては、天然ゴムとの合計が、ゴム成分100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%~80質量%になるように配合するとよい。同様に、スチレンブタジエンゴムについては、ゴム成分100質量%に対して、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~20質量%配合するとよい。
アンダートレッド層12を構成するゴム組成物には、無機充填剤としてシリカおよび/またはカーボンブラックを配合することが好ましい。シリカおよび/またはカーボンブラックを配合することで、ゴム硬度を高くすることができ、上述のキャップトレッド層11の内周側に配置されるアンダートレッド層12に用いた場合には、キャップトレッド層211との協働により特に優れたドライ性能(操縦安定性)を確保することができる。アンダートレッド層12におけるシリカおよび/またはカーボンブラックの配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは55質量部~65質量部である。アンダートレッド層12において、シリカおよび/またはカーボンブラックの配合量が50質量部未満であるとドライ性能が低下する。
アンダートレッド層12に用いるシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が用いることができる。これらシリカは、単独または2種以上を組合わせて使用することができる。シリカの表面にシランカップリング剤による表面処理を施した表面処理シリカを使用してもよい。シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは130m2/g~175m2/g、より好ましくは138m2/g~168m2/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を130m2/g以上にすることによりウェット性能を確保することができる。また、シリカのCTAB吸着比表面積を175m2/g以下にすることにより、ドライ性能およびウェット性能を向上し、且つ、転がり抵抗を低減することができる。本発明において、シリカのCTAB吸着比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
アンダートレッド層12に用いるカーボンブラックとしては、例えば、窒素吸着比表面積(N2SA)が好ましくは40m2/g~100m2/g、より好ましくは80m2/g~100m2/gであるものを用いることができる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が40m2/g未満であると、ドライ操縦安定性能を十分に改良することができない。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が100m2/gを超えると、転がり抵抗を十分に小さくすることができない。本発明においてカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2により測定された値とする。
アンダートレッド層12を構成するゴム組成物においては、上述のシリカおよびカーボンブラック以外の他の充填剤を配合することもできる。他の充填材として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができる。これら他の充填剤は単独または2種以上を組合わせて使用することができる。
アンダートレッド層12を構成するゴム組成物においては、上述のシリカと共にシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤により、シリカの分散性を改良することができる。シランカップリング剤の配合量は、好ましくはシリカの7質量%~10質量%、より好ましくは8質量%~9質量%であるとよい。シランカップリング剤の配合量が7質量%未満であると、シリカの分散性を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量が10質量%を超えると、ゴム組成物が早期加硫を起こしやすくなり成形加工性が悪化する虞がある。アンダートレッド層12を構成するゴム組成物に用いるシランカップリング剤としては、前述のキャップトレッド層11に使用可能な各種シランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、単独で配合してもよいし、複数を組合わせて配合してもよい。
本発明において、キャップトレッド層11を構成するゴム組成物およびアンダートレッド層12を構成するゴム組成物のいずれも、上述の配合剤の他に、加硫または架橋剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またこれら添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これら添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。タイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
上述の配合からなるゴム組成物を用いた本発明のタイヤにおいて、キャップトレッド層11を構成するキャップトレッドゴムの20℃における硬度を硬度Hc とし、アンダートレッド層12を構成するアンダートレッドゴムの20℃における硬度を硬度Hu としたとき、キャップトレッドゴムの硬度Hc は63以上67以下、好ましくは64以上66以下であるとよく、アンダートレッドゴムの硬度Hu は好ましくは75以上80以下、より好ましくは77以上79以下であるとよい。更に、キャップトレッドゴムの硬度Hc とアンダートレッドゴムの硬度Hu とがHu >Hc の関係を満たし、これらの硬度差ΔH(=Hu -Hc )が10以上、好ましくは10以上13以下であるとよい。このように硬度の関係を設定することで、スノー性能を向上することができる。
このときキャップトレッドゴムの硬度Hc が63未満であると、タイヤにおいて路面に当接するキャップトレッド層11が柔らかすぎるため、ドライ性能を向上することができない。キャップトレッドゴムの硬度Hc が67を超えると、スノー性能を向上することができない。アンダートレッドゴムの硬度Hu が75未満であると、ドライ性能を向上することができない。アンダートレッドゴムの硬度Hu が80を超えるとウェット性能を向上することができない。キャップトレッドゴムの硬度Hc とアンダートレッドゴムの硬度Hu との大小関係が逆転すると、ドライ性能、ウェット性能、およびスノー性能を向上するができない。硬度差ΔHが10未満であると、キャップトレッドゴムとアンダートレッドゴムとが実質的に同等の硬度になるため、ドライ性能、ウェット性能、およびスノー性能を向上するができない。例えば、キャップトレッド層11を適度に軟らかくしてスノー性能を確保する場合には、アンダートレッド層12を十分に硬くしてドライ性能を担保するところ、硬度差ΔHが小さいと、アンダートレッド層12によってドライ性能を確保することが難しくなる。
キャップトレッド層11を構成するキャップトレッドゴムについては、上述の硬度を有するだけでなく、-20℃における貯蔵弾性率E′が好ましくは70MPa以下、より好ましくは60MPa~68MPaであるとよい。このように貯蔵弾性率E′を設定することで、スノー性能を向上するには有利になる。キャップトレッドゴムの貯蔵弾性率E′が70MPaを超えると、スノー性能を向上することができない。
キャップトレッド層11を構成するゴム組成物およびアンダートレッド層12に関する上述の物性は、各層を構成するゴム組成物として上述の配合を採用することで達成することができる。或いは、具体的な配合量の範囲を示した配合剤以外のプロセスオイル、硫黄などの配合量を調整することでも適宜設定することができる。
上述のキャップトレッド層11およびアンダートレッド層12を採用するにあたって、所望のタイヤ性能を得る観点から、各層の厚みを適正化することが好ましい。具体的には、ブロック高さhとアンダートレッド層12の厚みGとの比h/Gを好ましくは9~12、より好ましくは9~11に設定するとよい。比h/Gが9未満であるとスノー性能を向上することができない。比h/Gが12を超えると低転がり性能を向上することができない。尚、ブロック高さhとは、図2に示すように、トレッド部1に形成された溝40の溝底からトレッド部1の踏面まで、トレッド部1の踏面の垂線に沿って測定した距離(最大値)である。アンダートレッド層12の厚みGとは、当該タイヤに設けられた補強層(ベルト層7またはベルトカバー層8)のうち最外周側に位置する補強層の外表面からキャップトレッド層11とアンダートレッド層12との境界まで、前述の補強層の外表面の垂線に沿って測定した距離(最大値)である。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す配合からなる16種類のタイヤ用ゴム組成物(標準例1、比較例1~8、実施例1~7)をそれぞれキャップトレッド層(キャップトレッドゴム)に使用し、図1に示す基本構造を有し、タイヤサイズが285/60R18 116Vである空気入りタイヤ(試験タイヤ)を製造した。尚、これら16種類のタイヤ用ゴム組成物を調製する際には、それぞれ加硫促進剤および硫黄を除く配合成分を秤量し、1.8Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、マスターバッチを放出し室温冷却した。その後、このマスターバッチを1.8Lの密閉式バンバリーミキサーに供し、加硫促進剤及び硫黄を加え2分間混合して、16種類のタイヤ用ゴム組成物を得た。
表1に記載される物性値は、上述の16種類のタイヤ用ゴム組成物をそれぞれ用いて、所定形状の金型を用いて145℃、35分間加硫し、各タイヤ用ゴム組成物からなる加硫ゴム試験片を作成して測定したものである。具体的には、「硬度Hc 」は、キャップトレッドゴムの20℃における硬度を意味し、JIS K6253に準拠して、デュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した値である。また、「E′(20℃)」は、-20℃における貯蔵弾性率を意味し、粘弾性スペクトロメータを用いて、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、-20℃の条件にて測定した値である。
各試験タイヤにおいて、アンダートレッド層を構成するアンダートレッドゴムは、表1の「アンダートレッドの種類」の欄に示すものを使用した。具体的には、表2に示す配合からなるアンダートレッドゴムA~Cのいずれかを使用した。表には、配合の他にアンダートレッドゴムの20℃における硬度(表中の「硬度Hu 」)も示した。「硬度Hu 」は、JIS K6253に準拠して、デュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した値である。表1における、「硬度差ΔH」は、前述の「硬度Hc 」と「硬度Hu 」の差(ΔH=Hu -Hc )である。
いずれの試験タイヤにおいても、トレッド部に形成された溝の溝底からトレッド部の踏面までのブロック高さhは10mm、アンダートレッド層の厚みGは1mm、比h/Gは10で共通とした。
各試験タイヤについて、下記に示す方法により、スノー性能、ドライ性能、ウェット性能、転がり抵抗の評価を行った。
スノー性能
各試験タイヤをリムサイズ18×8JのJATMA標準のリムホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして四輪駆動のSUV車両の評価車両に装着し、氷雪路面において速度40km/hの走行状態から制動し、完全停止までの制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、標準例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、制動距離が短く、氷雪路面での制動性能(スノー性能)が優れていることを意味する。
ドライ性能
各試験タイヤをリムサイズ18×8JのJATMA標準のリムホイールのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして四輪駆動のSUV車両の評価車両に装着し、乾燥した舗装路面において操縦安定性についてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、それぞれ標準例1の値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど乾燥路面における操縦安定性(ドライ性能)が優れることを意味する。
ウェット性能
各試験タイヤをリムサイズ18×8JのJATMA標準のリムホイールのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして四輪駆動のSUV車両の評価車両に装着し、濡れた路面において速度100km/hの走行状態から制動し、完全停止までの制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、標準例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、制動距離が短く、濡れた路面での制動性能(ウェット性能)が優れていることを意味する。
低転がり性能
各試験タイヤをリムサイズ18×8JのJATMA標準のリムホイールのホイールに組み付け、ISO28580に準拠して、ドラム径1707.6mmのドラム試験機を用い、空気圧240kPa、荷重4.82kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、標準例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が低く、低転がり性能に優れることを意味する。
Figure 0007127705000001
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、PT.KIRANA SAPTA社製SIR20
・SBR1:末端変性スチレンブタジエンゴム、旭化成ケミカルズ社製タフデンE581(変性基:グリシジル基、ビニル含有量:38質量%)
・SBR2:末端変性スチレンブタジエンゴム、旭化成ケミカルズ社製タフデンF3420(変性基:アミノシラン基、ビニル含有量:38質量%)
・BR1:ヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性されたブタジエンゴム、JSR社製BR54(官能基:シラノール基、シス-1,4-結合の含有量:98モル%)
・BR2:ポリオルガノシロキサン基により変性されたブタジエンゴム、日本ゼオン社製BR1261(官能基:ポリオルガノシロキサン、シス-1,4-結合の含有量:35モル%)
・BR3:未変性のブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1220(シス-1,4-結合の含有量:96モル%)
・BR4:N-メチルピロリドンにより変性されたブタジエンゴム、日本ゼオン社製BR1250H(官能基:N-メチルピロリドン、シス-1,4-結合の含有量:35モル%)
・シリカ:Evonik社製Urtrasil 9100GR
・CB:カーボンブラック、キャボットジャパン社製VULCAN MS
・シランカップリング剤:Evonik Degussa社製Si69
・アロマオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:Korea Kumho Petrochemical社製6PPD
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤1:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ‐G
・加硫促進剤2:住友化学社製ソクシノールD‐G
Figure 0007127705000002
表2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、PT.KIRANA SAPTA社製SIR20
・BR2:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1220(シス-1,4-結合の含有量:96モル%)
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502
・シリカ:Evonik社製Urtrasil 9100GR
・CB:カーボンブラック、キャボットジャパン社製VULCAN 7HJ
・シランカップリング剤:Evonik Degussa社製Si69
・アロマオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:Korea Kumho Petrochemical社製6PPD
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ‐G
表1から明らかなように、実施例1~7の空気入りタイヤは、標準例1と同等以上のスノー性能、ドライ性能、ウェット性能、および低転がり性能を確保し、これら性能をバランスよく高度に両立した。一方、比較例1は、スチレンブタジエンゴムの配合量が多く、ブタジエンゴムの配合量が少ないため、スノー性能が悪化した。比較例2は、スチレンブタジエンゴムの配合量が少なく、ブタジエンゴムの配合量が多いため、ウェット性能が悪化した。比較例3は、スチレンブタジエンゴムの配合量が少なく、天然ゴムの配合量が多いため、ウェット性能および低転がり性能が悪化した。比較例4は、シリカの配合量が多いため、低転がり性能が悪化した。比較例5は、硬度差ΔHが小さいため、ドライ性能が悪化した。比較例6は、硬度Hc が低いため、ドライ性能が悪化した。比較例7は、未変性のブタジエンゴムが配合されているため、低転がり性能が悪化した。比較例8は、ブタジエンゴムがヒドロカルビルオキシシラン化合物またはポリオルガノシロキサン以外(具体的には、N-メチルピロリドン)で変性されているため、スノー性能が悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 トレッドゴム層
11 キャップトレッド層
12 アンダートレッド層
20 サイドゴム層
30 リムクッションゴム層
40 溝
CL タイヤ赤道

Claims (5)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、前記一対のサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層の補強層とを有し、前記トレッド部が、前記補強層の外周側に配置されたアンダートレッド層と、前記アンダートレッド層の外周側に配置されて前記トレッド部の踏面を構成するキャップトレッド層との2層で構成された空気入りタイヤにおいて、
    前記キャップトレッド層は、天然ゴム15質量%以上30質量%以下、スチレンブタジエンゴム40質量%以上70質量%以下、およびブタジエンゴム15質量%以上30質量%以下の合計100質量%からなるジエン系ゴム100質量部に対して、シリカ70質量部~90質量部が配合されたゴム組成物で構成されており、前記スチレンブタジエンゴムは、ビニル含有量が35質量%~45質量%である末端変性スチレンブタジエンゴムであり、前記ブタジエンゴムは、共役ジエン系重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物とポリオルガノシロキサンのうちから選ばれる少なくとも1つの官能基により変性してなる変性ブタジエンゴムであり、
    前記アンダートレッド層を構成するアンダートレッドゴムの20℃における硬度Hu と前記キャップトレッド層を構成するキャップトレッドゴムの20℃における硬度Hc とがHu >Hc の関係を満たし、前記硬度Hc は63以上67以下であり、前記硬度Hu と前記硬度Hc との差ΔHが10以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ブタジエンゴムにおけるシス-1,4-結合の含有量が75モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記キャップトレッド層を構成するキャップトレッドゴムの-20℃における貯蔵弾性率E′が70MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記アンダートレッド層が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムの群から選ばれる2種以上を含むゴム成分100質量部に対して、シリカまたはカーボンブラックを70質量部以上配合したゴム組成物で構成されており、前記硬度Hu が75以上80以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記トレッド部に形成された溝の溝底から前記トレッド部の踏面までのブロック高さhと、前記アンダートレッド層の厚みGとの比h/Gが9~12であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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