JP2007326942A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課 題】ウェットグリップ性能と、氷雪上制動性能とドライブリップ性能とを同時に向上させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】(A)(A−1)シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体A5〜50質量%と、(A−2)重量平均分子量20,000〜150,000のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム4〜45質量%を含むゴム成分を含有するゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤである。
【選択図】なし
Description
湿潤路面での制動性能(ウェットグリップ制動性能)を向上させる手段としては、補強用充填材としてシリカの配合量を増加すればよいことが知られている。しかしながら、この場合、これまで一般的に用いられてきた補強用充填材であるカーボンブラックの配合量が相対的に減少するため、タイヤの破壊強度や耐摩耗特性が低下するという問題が生じる。また、シリカの分散性が悪く、混練りを行う際の作業性についても、現実にタイヤを製造する上で大きな問題となってきている。
また、ウェットグリップ性能を向上させるために、湿潤路面上での摩擦係数を高める手段として、従来より比較的高いガラス転移温度を示すスチレン・ブタジエン共重合体を主とするゴム組成物を用いて、湿潤路面上での摩擦係数とよい相関関係を示すヒステリシスの尺度としての0℃のtanδを高くする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この場合、氷雪上制動性能については、低温領域でのゴム弾性率が上昇して路面の凸凹に追従できなくなり、また、凍結路面では通常道路に比べて表面の凸凹が少ないのでトレッド表面の変形が少なくなる結果、ゴムと路面との間で生じるエネルギー損失(tanδ)の氷雪上制動への寄与は小さくなる。
また、乾燥路面での制動性能(ドライグリップ性能)を向上させるには、補強用充填材の配合量を増やせばよいことが知られているが、この場合、氷雪上制動性能が低下し、また低燃費性も低下する。このように、ウェットグリップ性能、氷雪上制動性能及びドライグリップ性能が高いレベルでバランスした空気入りタイヤは、これまで得られにくかったのが実状である。
本発明者は、この着目に基づき、さらに研究を重ねた結果、特定の方法で得られた変性共役ジエン系重合体及び特定の分子量を有する低分子量のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを、それぞれ所定の割合で含むゴム成分を含有するゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤが、その目的に適合し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)(A−1)シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体A5〜50質量%と、(A−2)重量平均分子量20,000〜150,000のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム4〜45質量%を含むゴム成分を含有するゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ、
(2)ゴム組成物において、(A)ゴム成分が、さらに(A−3)天然ゴム及び/又は(A−1)及び(A−2)以外のジエン系合成ゴムを含み、かつ該(A)ゴム成分100質量部に対し、(B)シリカ30〜150質量部を含む上記(1)項に記載の空気入りタイヤ、
(3)ゴム組成物において、(A)ゴム成分100質量部に対し、さらに、(C)カーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材を、(B)成分のシリカとの合計量が35〜180質量部の範囲になるように5〜80質量部の割合で含む上記(2)項に記載の空気入りタイヤ、
(4)ゴム組成物において、さらに(D)シランカップリング剤を、(B)成分のシリカに対して1〜20質量%の割合で含む上記(2)又は(3)項に記載の空気入りタイヤ、
(5)ゴム組成物をトレッド部に配設してなる上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
(6)(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下にヒドロカルビルオキシシラン化合物により第2次変性してなるものである上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
(8)(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下に末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物とを縮合反応させてなるものである上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
(9)(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、第2次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものである上記(6)項に記載の空気入りタイヤ、
(11)ヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記(a)一般式(I)、(b)一般式(II)、(c)一般式(III)及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である上記(1)〜(10)項のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
(a)一般式(I)
(b)一般式 (II)
(c)一般式 (III)
(12)多価アルコールのカルボン酸部分エステルが、ソルビタン脂肪酸のモノエステル,ジエステル又はトリエステルである上記(7)、(9)及び(10)項のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
(d)一般式(IV)で表される酸化数2のスズの炭素数3〜20のカルボン酸塩
Sn(OCOR10)2 ・・・(IV)
[式中、R10は、炭素数2〜19の有機基であり、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
(e)一般式(V)で表される酸化数4のスズ化合物
R11 rSnA4 tB1 (4-t-r) ・・・(V)
[式中、rは1から3の整数、tは1又は2の整数であり、かつt+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基またはハロゲンである。A4は、(イ)炭素数2〜30の脂肪族カルボン酸残基、(ロ)炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基、(ハ)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、及び(ニ)炭素数1〜20のヒドロカルビル基および/または炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていてもよい)されたシロキシ基から選ばれる基であり、R11が複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、A4が複数ある場合には同一でも異なっていてもよい。]
(f)一般式(VI)で表される酸化数4のチタン化合物
A5xTiB2 (4-x) ・・・(VI)
[式中、xは2または4の整数である。A5は(イ)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、(ロ)炭素数1〜30のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。B2は、炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基であり、B2が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
(14)(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、変性ポリブタジエンである上記(1)〜(13)項のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
を提供するものである。
当該ゴム組成物において、前記(A)成分のゴム成分に含まれる(A−1)変性共役ジエン系重合体Aとしては、シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシランに化合物により変性してなるものが用いられる。
当該変性共役ジエン系重合体Aの中間体として用いられるシス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の活性末端を有する共役ジエン系重合体は、例えば原料モノマーの共役ジエン化合物を、下記の重合触媒を用い、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法等の方法、好ましくは溶液重合法にて重合することにより、製造することができる。重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
原料モノマーの共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン;イソプレン;1,3−ペンタジエン;2,3−ジメチルブタジエン;2−フェニル−1,3−ブタジエン;1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物に少量の他の炭化水素系モノマーを少量共存させてもよいが、共役ジエン化合物は、全モノマー中80モル%以上であることが好ましい。
[(x)成分]
下記の(x1)〜(x4)から選ばれる希土類化合物で、そのまま不活性有機溶媒溶液として用いても、不活性固体上に担持して用いてもよい。
(x1)酸化数3の希土類化合物で、炭素数2〜30のカルボキシル基、炭素数2〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリーロキシ基、及び炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基の内から自由に選ばれる配位子を合計三つ有するもの、又はこれとルイス塩基化合物(特に、遊離カルボン酸、遊離アルコール、1,3−ジケトン、環状エーテル、直鎖状エーテル、トリヒドロカルビルホスフィン、トリヒドロカルビルホスファイト等から選ばれる)の錯化合物である。具体的には、ネオジムトリ−2−エチルヘキサノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリネオデカノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリ−n−ブトキシド等がある。
(x2)希土類の3ハロゲン化物とルイス塩基の錯化合物である。例えばネオジム三塩化物のTHF錯体がある。
(x3)少なくとも一つの(置換)アリル基が直接希土類原子に結合した、酸化数3の有機希土類化合物である。例えばテトラアリルネオジムとリチウムの塩がある。
(x4)少なくともひとつの(置換)シクロペンタジエニル基が直接希土類原子に結合した酸化数2又は3の有機希土類化合物、又はこの化合物と、トリアルキルアルミニウム又は非配位性アニオンと対カチオンからなるイオン性化合物との反応生成物である。例えばジメチルアルミニウム(μ−ジメチル)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムがある。
上記希土類化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、更に好ましくはランタン、ネオジム、サマリウムである。
上記(x)成分の中では、ネオジムのカルボン酸塩及びサマリウムの置換シクロペンタジエニル化合物が好ましい。
次の一つから選ばれる少なくとも1種類の有機アルミニウム化合物で、複数を同時に用いることができる。
(y1)式R12 3A1であらわされるトリヒドロカルビルアルミニウム化合物(ただし、R12は炭素数1〜30の炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい)
(y2)式R13 2A1H又はR13A1H2であらわされるヒドロカルビルアルミニウム水素化物(ただし、R13は炭素数1〜30の炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい)
(y3)炭素数1〜30の炭化水素基をもつヒドロカルビルアルミノキサン化合物である。
上記(y)成分としては、例えばトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、アルキルアルミノキサンがある。これらの化合物は混合して用いてもよい。(y)成分の中では、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物との併用が好ましい。
[(z)成分]
次の一から選ばれる化合物であるが、(x)がハロゲン又は非配位性アニオンを含む場合、及び(y)がアルミノキサンを含む場合は必ずしも必要ない。
(z1)加水分解可能なハロゲンを有する周期表(短周期型)II、III、IV族に属する元素の無機又は有機化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物である。例えばアルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化珪素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等ルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等ルイス塩基との錯体等である。
(z2)少なくとも一つの三級アルキルハライド、ベンジルハライド、及びアリルハライドから選ばれる構造を有する有機ハロゲン化物である。例えば塩化ベンジル、塩化t−ブチル、臭化ベンジル、臭化t−ブチル等である。
(z3)亜鉛のハロゲン化物又はこれとルイス塩基の錯化合物である。
(z4)非配位性アニオンと対カチオンからなるイオン性化合物である。例えばトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましく用いられる。
また、(x)成分又は(z)成分の一部又は全部を不活性な固体上に担持して用いてもよく、この場合はいわゆる気相重合で行うことができる。
上記触媒の使用量は、適宜設定することができるが、通常(x)成分はモノマー100g当たり0.001〜0.5ミリモル程度である。また、モル比で(y)成分/(x)成分は5〜1000程度、(z)成分/(x)成分は0.5〜10程度である。
溶液重合の場合において用いられる溶媒としては、反応に不活性な有機溶媒、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶媒がある。具体的には、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく二種以上を混合して用いてもよい。
この重合反応における温度は、好ましくは−80〜150℃、さらに好ましくは−20〜120℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常はモノマーを実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この重合においては、触媒、溶媒、モノマー等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものを用いることが望ましい。
まず第1の態様は、前記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下にヒドロカルビルオキシシラン化合物により第2次変性してなる変性共役ジエン系重合体である。
第2の態様は、前記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第3の態様は、前記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下に末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物とを縮合反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第4の態様は、前期第1の態様において、第2次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第5の態様は、前記第3の態様において、縮合反応後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
また、変性に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、下記(a)一般式(I)、(b)一般式(II)、(c)一般式(III)及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
[(a)ヒドロカルビルオキシシラン化合物]
このヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一般式(I)
で表される化合物及び/又はその部分縮合物である。
R1のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基を好ましく挙げることができる。このアルキレン基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、等が挙げられる。
R2及びR3としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状いずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、へキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、等が挙げられる。
また、該アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としてフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。さらに該アラルキル基は、芳香環上低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等があげられる。
nは0〜2の整数であるが0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
また、イミン基含有ヒドロカルビルオキシシアン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物,エチルジメトキシシリル化合物等を好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。
また、カルボン酸エステル基含有化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、この内、好ましいのは3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランである。さらに、イソシアネート基含有化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、内、好ましいのは3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランである。また、カルボン酸無水物含有化合物としては、3-トリエトキシシリルプロピルサクシニック無水物、3−トリメトキシシリルプロピルサクシニック無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルサクシニック無水物等が挙げられ、この内、好ましいのは3−トリエトキシシリルプロピルサクシニック無水物である。
[(b)ヒドロカルビルオキシシラン化合物]
このヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一般式(II)
で表される化合物及び/又はその部分縮合物である。
この一般式(II)表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又は、その部分縮合物は、活性末端との直接反応は実質的に起こらず、反応系に未反応として残存するため、活性末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基との縮合に消費される。
この一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば非環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ )シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン等が挙げることができるが、これらの中で、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
また、環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシランを好ましく挙げることができる。特に3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
さらに、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、4−エチルピリジン等を挙げることができる。
[(c)ヒドロカルビルオキシシラン化合物]
このヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一般式(III)
で表される化合物及び/又は部分縮合物である。
この一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルジメチル(3−トリメチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、シアノメチルトリメトキシシラン、シアノメチルトリエトキシシラン、スルホニルメチルトリメトキシシラン、スルホニルメチルトリエトキシシラン、スルフィニルメチルトリメトキシシラン、スルフィニルメチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
なお、前記の一般式、(I)、(II)、(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものを言う。
本発明において、縮合促進剤の存在下にて、残存又は新たに加えられたヒドロカルビルオキシシラン化合物と反応させる前記第1の態様、第3の態様、第4の態様、及び第5の態様の場合には、まず活性末端を有する中間重合体と、反応系に加えられた実質上化学量論的量のヒドロカルビルオキシシラン化合物とが反応して、実質的に該末端の全てにヒドロカルビルオキシシリル基が導入され(第1次変性)、さらに上記で導入されたヒドロカルビルオキシシリル基にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させることにより、該活性末端に当量より多くのヒドロカルビルオキシシラン化合物残基が導入される。このため、低発熱性や加工性に一層の効果が得られるので、これらの態様は前記第2の態様よりも好ましい。
前記変性反応の温度は、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には20から100℃が好ましい範囲として挙げられる。温度が低くなると重合体の粘度が上昇する傾向があり、温度が高くなると重合活性末端が失活し易くなるので好ましくない。
次に、前記第2次変性を促進するためには、縮合促進剤の存在下で行なうことが好ましい。この縮合促進剤としては、一般にアルコキシ縮合硬化型室温架橋(RTV)シリコーンのための硬化触媒として知られている金属化合物と、水との組み合わせが使用できる。たとえば、スズのカルボン酸塩及び又はチタンアルコキシドと水との組み合わせを好ましく挙げることが出来る。縮合促進剤の水の反応系中への投入方法には特に制限が無い。アルコール等の水と相溶な有機溶媒の溶液としてもよいし、種々の化学工学的手法を用いて水を直接炭化水素溶液中に注入・分散・溶解させてもよい。
(d)一般式(IV)で表される酸化数2のスズの炭素数3〜20のカルボン酸塩:
Sn(OCOR10)2 ・・・(IV)
[式中、R10は、炭素数2〜19の有機基であり、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
(e)一般式(V)で表される酸化数4のスズ化合物:
R11 rSnA4 tB1 (4-t-r) ・・・(V)
[式中、rは1〜3の整数、tは1又は2の整数であり、かつt+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。A4は、(イ)炭素数2〜30の脂肪族カルボン酸残基、(ロ)炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基、(ハ)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、及び(ニ)炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていてもよい)されたシロキシ基から選ばれる基であり、R11が複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、A4が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
(f)一般式(VI)で表される酸化数4のチタン化合物:
A5 xTiB2 (4-x) ・・・(VI)
[式中、xは2又は4の整数である。A5は(イ)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、(ロ)炭素数1〜30のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。B2は、炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基であり、B2が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
また、前記(f)の一般式(VI)で表される酸化数4のチタン化合物としては、酸化数4のチタンのテトラアルコキシド又はテトラキス(トリヒドロカルビルオキシシロキシド)、あるいはジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン等のジアルコキシビス(1,3−ジケトネート)チタン(チタンキレート化合物)等が挙げられる。
縮合促進剤を形成する金属化合物及び水は、反応系に別々に投入しても、使用直前に混合して混合物として投入してもよいが、混合物の長期保存は金属化合物の分解を招くので好ましくない。
この縮合促進剤の使用量として、前記金属化合物の金属及び反応に有効な水のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビルオキシシリル基総量に対するモル比が、共に0.1以上が好ましい。上限は目的や反応条件によっても異なるが、縮合処理以前の段階で重合体末端に縮合されたヒドロカルビルオキシシリル基総量に対するモル比が0.5〜3程度の有効な水が存在することが好ましい。前記金属化合物の金属と反応に有効な水とのモル比は求められる反応条件によっても異なるが、1:0.5〜1:20程度が好適である。
ここで、多価アルコールのカルボン酸部分エステルとは、多価アルコールとカルボン酸とのエステルであり、かつ水酸基を一つ以上有する部分エステルを意味する。具体的には、炭素数4以上の糖類又は変性糖類と脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。このエステルは、さらに好ましくは、(1)多価アルコールの脂肪酸部分エステル、特に炭素数10〜20の飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル(モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよい)、(2)多価カルボン酸と高級アルコールの部分エステルを、多価アルコールに1ないし3個結合させたエステル化合物等が挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸部分エステルの中ではソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、具体的には、ソルビタンモノラウリン酸エステル,ソルビタンモノパルミチン酸エステル,ソルビタンモノステアリン酸エステル,ソルビタントリステアリン酸エステル,ソルビタンモノオレイン酸エステル及びソルビタントリオレイン酸エステル等が挙げられる。
また、市販品としては、ICI社の商標としての「SPAN60」(ソルビタンステアリン酸エステル),「SPAN80」(ソルビタンモノオレイン酸エステル),「SPAN85」(ソルビタントリオレイン酸エステル)等がある。
当該部分エステルの添加量は、中間重合体に付与されたヒドロカルビルオキシシリル基の1モルに対して0.2〜10モル程度、特に1〜10モルが好ましい。
これに対し、当該ゴム組成物において、前記変性共役ジエン系重合体Aと併用される(A−2)成分の低分子量スチレン−ブタジエン共重合体ゴムは、剛性を増加させずに湿潤路面での制動性を向上させる作用を有している。このような作用を効果的に発揮させるには、(A−2)成分の低分子量スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量は20,000〜150,000の範囲にあることを要し、好ましくは30,000〜120,000、より好ましくは50,000〜100,000である。なお、この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定したポリスチレン換算の値である。
このような作用を有する、(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aと、(A−2)成分の低分子量スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを併用したゴム組成物を、タイヤトレッド部に配することにより、乾燥路面や湿潤路面での制動性能向上を図っても、積雪及び氷結路面での制動性能を減少させることがない。
前記効果を有効に発揮させるために、本発明においては、当該ゴム組成物における(A)ゴム成分として、前記(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aを5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%の割合で含むと共に、(A−2)成分の低分子量スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを4〜45質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%の割合で含むものが用いられる。
ここで、(A−1)及び(A−2)以外のジエン系合成ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、高分子量スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。この(A−3)成分の天然ゴムやジエン系合成ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(A)ゴム成分には、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR、EPDM)を含むことができるし、前記ゴム成分の一部が多官能型、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより、分岐構造を有しているものでもよい。
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。この湿式シリカは、補強性、加工性、ウェットグリップ性、耐摩耗性のバランスなどの面から、BET法による窒素吸着比表面積(N2SA)が140〜280m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。好適な湿式シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)製のAQ、VN3、LP、NA等、デグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:210m2/g)等が挙げられる。
前記シリカの含有量は、所望の性能及び良好な作業性を有するゴム組成物を得る点から、前記(A)成分であるゴム成分100質量部に対して、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは30〜80質量部の範囲で選定される。
一方、シリカ以外の無機充填材としては、例えば、下記一般式(VII)で表される化合物を挙げることができる。
(式中、M1 は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。尚、上記式において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。)
上記式で表わされる無機フィラーとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al2O3)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO3)2]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が使用できる。また、前記一般式(VII)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
上記式で表されるこれらの無機フィラーは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
当該ゴム組成物においては、(B)成分のシリカの性能をさらに向上させる目的で、(D)シランカップ剤を含有させることができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、当該ゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性が良好となる。
本発明の空気入りタイヤは、前述のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させたのゴム組成物が未加硫の段階でタイヤトレッドに加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、湿潤路面での制動性能と、積雪及び氷結路面での制動性能と、乾燥路面での制動性能とが共に良好である。
なお、各例で得られた空気入りタイヤの性能は、排気量1800ccの乗用車4輪共に、同一のゴム組成物を用いた試験タイヤを装着し、下記の要領に従って評価した。
(1)ウェットグリップ性能
供試タイヤを実車に装着し、水深2mmの湿潤路面での制動距離を測定した。評価結果は、比較例1のタイヤの制動距離の逆数を100として指数表示した。指数の数値が大きいほどウェットグリップ性能が良好である。
(2)氷雪上制動性能
冬季テストコースでの積雪/氷結路面制動距離を外気温−4℃、40km/hrの条件にて求め、比較例1の制動距離の逆数を100として指数表示した。この指数の値が大きいほど、氷雪上制動性能が良好である。
(3)ドライグリップ性能
供試タイヤを実車に装着し、乾燥路面での制動距離を測定した。評価結果は、比較例1のタイヤの制動距離の逆数を100として指数表示した。指数の数値が大きいほどドライグリップ性能が良好である。
(1)触媒の調製
乾燥・窒素置換された、ゴム詮付容積100ミリリットルのガラスびんに、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56モル/リットル)0.59ミリリットル、メチルアルミノキサンMAO(東ソーアクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23モル/リットル)10.32ミリリットル、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90モル/リットル)7.77ミリリットルを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミニウム(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95モル/リットル)1.45ミリリットルを加え室温で、時折攪拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011モル/リットルであった。
(2)中間重合体の製造
約900ミリリットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのシクロヘキサン溶液および乾燥シクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、前記(1)で調製した触媒溶液2.28ミリリットル(ネオジム換算0.025mmol)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行い、中間重合体を製造した。得られた重合体のミクロ構造は、シス−1,4−結合量95.5%,トランス−1,4−結合含有量3.9%,ビニル結合含有量0.6%であった。これらのミクロ構造は、フーリエ変換赤外分光法によって求めた。このフーリエ変換赤外分光法の詳細は、例えば特許文献2に記載されている。
(3)変性処理
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMOS)濃度が1.0モル/リットルのヘキサン溶液を、GPMOSがネオジムに対して23.5モル当量になるように、前記(2)で得た重合液に投入し、50℃にて60分間処理した。
次いで、ソルビタントリオレイン酸エステル(関東化学社製)を1.2ミリリットル加えて、さらに60℃で1時間変性反応を行った後、重合系に老化防止剤2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行ない、ドラム乾燥することにより、変性ポリブタジエンを得た。この変性ポリブタジエンには、マクロゲルは認められず、100℃ムーニー粘度(ML1+4:100℃)は59であった。変性処理後のミクロ構造も上記中間重合体のミクロ構造と同様であった。
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)を、ブタジエン単量体40g、スチレン単量体10gとなるように注入し、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.66ミリモルを注入し、これに、n−ブチルリチウム(BuLi)1.32ミリモルを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合した。重合転化率はほぼ100%であった。
この後、重合系に、更に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを添加し、反応を停止させた。その後、常法に従い乾燥することにより、重合体を得た。NMR法による結合スチレン含有量は20質量%、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量は80,000であった。
第1表に示す配合組成のゴム組成物を調製し、各ゴム組成物をそれぞれタイヤサイズ195/60R15の乗用車用空気入りタイヤのトレッドに配設して16種の空気入りタイヤを試作した。各タイヤの性能評価結果を第1表に示す。
1)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:JSR(株)製「SBR1712」、オイル含量27.3質量%油展SBR
2)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:JSR(株)製「SBR1721」、オイル含量27.3質量%油展SBR
3)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:旭化成(株)社製[SBR Tufden3335]、オイル含有量27.3質量%油展SBR
4)RSS#3
5)ポリブタジエンゴム:JSR(株)製「BR01」
6)製造例1の変性ポリブタジエン
7)製造例2の液状スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:重量平均分子量80,000
8)東海カーボン(株)製[シースト7HM(N234)]
9)東ソー・シリカ(株)製「AQ」
10)デグサ社製「Si69」
11)TDAE:新日本石油(株)社製「TDAE」:蒸留処理アロマチック系プロセス油
12)N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
13)2,2,4−トリメチルー1,2−ジヒドロキノリン重合物
14)ジフェニルグアニジン
15)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
16)ジベンゾチアジルジスルフィド
第1表から分かるように、比較例2〜5は、従来手法での改良を試みているもので、やはり比較例1対比で、3つの路面での制動性能をともに改良することは実現していない。
実施例1は、本発明の基本的な要素を盛り込んだゴム組成物を適用したタイヤであって、3つの路面での制動性能が、いずれも改良されている。実施例2〜5は、本発明の基本的要素に従来の手法を組み合わせて各路面での所望の性能を向上させた結果を表している。それに比べて、比較例6〜11は、本発明に係わるゴム材料を用いても本発明の範囲を超えた配合では、目的とする各路面での制動性能を、共に向上させることは出来ていない。
Claims (14)
- (A)(A−1)シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体A5〜50質量%と、(A−2)重量平均分子量20,000〜150,000のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム4〜45質量%を含むゴム成分を含有するゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
- ゴム組成物において、(A)ゴム成分が、さらに(A−3)天然ゴム及び/又は(A−1)及び(A−2)以外のジエン系合成ゴムを含み、かつ該(A)ゴム成分100質量部に対し、(B)シリカ30〜150質量部を含む請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- ゴム組成物において、(A)ゴム成分100質量部に対し、さらに、(C)カーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材を、(B)成分のシリカとの合計量が35〜180質量部の範囲になるように5〜80質量部の割合で含む請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- ゴム組成物において、さらに(D)シランカップリング剤を、(B)成分のシリカに対して1〜20質量%の割合で含む請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
- ゴム組成物をトレッド部に配設してなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下にヒドロカルビルオキシシラン化合物により第2次変性してなるものである請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものである請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下に末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物とを縮合反応させてなるものである請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、第2次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものである請求項6に記載の空気入りタイヤ。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、縮合反応後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものである請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- ヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記(a)一般式(I)、(b)一般式(II)、(c)一般式(III)及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
(a)一般式(I)
(b)一般式 (II)
(c)一般式 (III)
- 多価アルコールのカルボン酸部分エステルが、ソルビタン脂肪酸のモノエステル,ジエステル又はトリエステルである請求項7、9及び10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 縮合促進剤が、下記(d)一般式(IV)、(e)一般式(V)及び(f)一般式(VI)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種と水とからなるものである請求項6又は8に記載の空気入りタイヤ。
(d)一般式(IV)で表される酸化数2のスズの炭素数3〜20のカルボン酸塩
Sn(OCOR10)2 ・・・(IV)
[式中、R10は、炭素数2〜19の有機基であり、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
(e)一般式(V)で表される酸化数4のスズ化合物
R11 rSnA4 tB1 (4-t-r) ・・・(V)
[式中、rは1から3の整数、tは1又は2の整数であり、かつt+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基またはハロゲンである。A4は、(イ)炭素数2〜30の脂肪族カルボン酸残基、(ロ)炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基、(ハ)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、及び(ニ)炭素数1〜20のヒドロカルビル基および/または炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていてもよい)されたシロキシ基から選ばれる基であり、R11が複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、A4が複数ある場合には同一でも異なっていてもよい。]
(f)一般式(VI)で表される酸化数4のチタン化合物
A5 xTiB2 (4-x) ・・・(VI)
[式中、xは2または4の整数である。A5は(イ)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、(ロ)炭素数1〜30のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。B2は、炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基であり、B2が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。] - (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体Aが、変性ポリブタジエンである請求項1〜13のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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