JP5965657B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
このように、グリップ性能及び耐摩耗性が高いレベルでバランスしたゴム組成物は、これまで得られにくいのが実状であった。
すなわち、本発明は、
(1)(A−1)シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体5〜50質量%と(A−2)ジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)と、その100質量部に対し、(B)樹脂5〜60質量部を含むタイヤトレッド用ゴム組成物である。
(2)さらに、(A)成分100質量部に対し、(C−1)シリカ50〜95質量%及び(C−2)カーボンブラック50〜5質量%からなる補強用充填剤(C)を40〜140質量部含むタイヤトレッド用ゴム組成物が好ましい態様であり、
(3)さらに、(A)成分100質量部に対し、(D)オイル等の軟化剤を50〜135質量部を含むタイヤトレッド用ゴム組成物であることがより好ましい。
(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体は、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下にヒドロカルビルオキシシラン化合物により第2次変性してもよく、第1次変性後、多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものであってもよい。
(A−1)変性共役ジエン系重合体
(A)成分のゴム成分に含まれる(A−1)変性共役ジエン系重合体としては、シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシランに化合物により変性してなるものが用いられる。
変性共役ジエン系重合体の中間体として用いられるシス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の活性末端を有する共役ジエン系重合体は、共役ジエン系モノマー単独、または、他のモノマーと共に、下記の重合触媒を用い、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法等の方法、好ましくは溶液重合法にて重合することにより、製造することができる。重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
また、これらの共役ジエン化合物に少量の他の炭化水素系モノマーを少量共存させてもよいが、共役ジエン化合物は、全モノマー中80モル%以上であることが好ましい。
[(x)成分]
下記の(x1)〜(x4)から選ばれる希土類化合物で、そのまま不活性有機溶媒溶液として用いても、不活性固体上に担持して用いてもよい。
(x1)酸化数3の希土類化合物で、炭素数2〜30のカルボン酸基、炭素数2〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリーロキシ基、及び炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有炭化水素基の内から自由に選ばれる配位子を合計三つ有するもの、又はこれとルイス塩基化合物(特に、遊離カルボン酸、遊離アルコール、1,3−ジケトン、環状エーテル、直鎖状エーテル、トリヒドロカルビルホスフィン、トリヒドロカルビルホスファイト等から選ばれる)の錯化合物である。具体的には、ネオジムトリ−2−エチルヘキサノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリネオデカノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリ−n−ブトキシド等がある。
(x3)少なくとも一つの(置換)アリル基が直接希土類原子に結合した、酸化数3の有機希土類化合物である。例えばテトラアリルネオジムとリチウムの塩がある。
(x4)少なくとも一つの(置換)シクロペンタジエニル基が直接希土類原子に結合した酸化数2又は3の有機希土類化合物、又はこの化合物とトリアルキルアルミニウム又は非配位性アニオンと対カチオンからなるイオン性化合物との反応生成物である。例えば、ジメチルアルミニウム(μ−ジメチル)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムがある。
上記(x)成分の中では、ネオジムのカルボン酸塩及びサマリウムの置換シクロペンタジエニル化合物が好ましい。
次の一つから選ばれる少なくとも1種類の有機アルミニウム化合物で、複数を同時に用いることができる。
(y1)式R12 3Alで表わされるトリヒドロカルビルアルミニウム化合物(ただし、R12は炭素数1〜30の炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい)。
(y2)式R13 2AlH又はR13AlH2で表わされるヒドロカルビルアルミニウム水素化物(ただし、R13は炭素数1〜30の炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい)。
(y3)炭素数1〜30の炭化水素基をもつヒドロカルビルアルミノキサン化合物。
上記(y)成分としては、例えばトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、アルキルアルミノキサンがある。これらの化合物は混合して用いてもよい。(y)成分の中では、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物との併用が好ましい。
次の一から選ばれる化合物であるが、(x)がハロゲン又は非配位性アニオンを含む場合、及び(y)がアルミノキサンを含む場合は必ずしも必要ない。
(z1)加水分解可能なハロゲンを有する周期表(短周期型)II、III、IV族に属する元素の無機又は有機化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物である。例えばアルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化珪素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等ルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等ルイス塩基との錯体等である。
(z2)少なくとも一つの三級アルキルハライド、ベンジルハライド、及びアリルハライドから選ばれる構造を有する有機ハロゲン化物である。例えば塩化ベンジル、塩化t−ブチル、臭化ベンジル、臭化t−ブチル等である。
(z3)亜鉛のハロゲン化物又はこれとルイス塩基の錯化合物である。
(z4)非配位性アニオンと対カチオンからなるイオン性化合物である。例えばトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
上記触媒の使用量は、適宜設定することができるが、通常(x)成分はモノマー100g当たり0.001〜0.5ミリモル程度である。また、モル比で(y)成分/(x)成分は5〜1000程度、(z)成分/(x)成分は0.5〜10程度である。
この重合反応においては、触媒、溶媒、モノマー等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものを用いることが望ましい。
第2の態様は、前記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第3の態様は、前記中間重合体の活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下に末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物とを縮合反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第4の態様は、前記第1の態様において、第2次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
第5の態様は、前記第3の態様において、縮合反応後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなる変性共役ジエン系重合体である。
変性に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)で表わされる化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を挙げることができる。
R2及びR3としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状いずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、へキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。さらに、アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等があげられる。
で表される化合物及び/又はその部分縮合物が使用できる。
で表される化合物及び/又は部分縮合物が使用できる。
なお、上記の一般式(I)、(II)、(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものを言う。
変性反応の温度は、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には20〜100℃が好ましい範囲として挙げられる。温度が低くなると重合体の粘度が上昇する傾向があり、温度が高くなると重合活性末端が失活し易くなるので好ましくない。
Sn(OCOR10)2・・・・・・(IV)
[式中、R10は、炭素数2〜19の有機基であり、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
R11 rSnA4 tB1 (4−t−r)・・・・・・(V)
[式中、rは1〜3の整数、tは1又は2の整数であり、かつ、t+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。A4は、(a)炭素数2〜30の脂肪族カルボン酸残基、(b)炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有炭化水素基、(c)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、及び(d)炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていてもよい)されたシロキシ基から選ばれる基であり、R11が複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、A4が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
A5 xTiB2 (4−x)・・・・・・(VI)
[式中、xは2又は4の整数である。A5は(1)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、(2)炭素数1〜30のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。B2は、炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有炭化水素基であり、B2が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
ここで、多価アルコールのカルボン酸部分エステルとは、多価アルコールとカルボン酸とのエステルであり、かつ水酸基を一つ以上有する部分エステルを意味する。具体的には、炭素数4以上の糖類又は変性糖類と脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。このエステルは、さらに好ましくは、(イ)多価アルコールの脂肪酸部分エステル、特に炭素数10〜20の飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル(モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよい)、(ロ)多価カルボン酸と高級アルコールの部分エステルを、多価アルコールに1ないし3個結合させたエステル化合物等が挙げられる。
また、市販品としては、ICI社の商標としての「SPAN60」(ソルビタンステアリン酸エステル)、「SPAN80」(ソルビタンモノオレイン酸エステル)、「SPAN85」(ソルビタントリオレイン酸エステル)等がある。
部分エステルの添加量は、中間重合体に付与されたヒドロカルビルオキシシリル基の1モルに対して0.2〜10モル程度、特に1〜10モルが好ましい。
この(A−1)成分の変性共役ジエン系重合体は、補強用充填剤、特にシリカに対する分散改良効果が大きく、全体的にE’(動的貯蔵弾性率)を全温度域で低下させるが、特に低温側のE’の低下を大きくすることが可能となる。したがって、タイヤのグリップ性能をより高めることができる。
また、損失係数(tanδ)においても低減効果が大きく、通常のポリブタジエンゴムを使用した場合と比較すると、0℃での低下を小さくしながら、高温(60℃)の低下をより大きくすることが可能なため、高充填シリカ配合においても、グリップ性能と低燃費性のバランス向上にも同時に作用する。さらに、補強用充填剤の分散改良効果により、耐摩耗性を向上させることができる。
一方、(A−2)ジエン系合成ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。この(A−2)成分のジエン系合成ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のコム組成物には、天然ゴムを含まない。
また、(C)成分の補強用充填剤の含有量は、前記(A)成分であるゴム成分100質量部に対して、40〜140質量部の範囲で選定される。この含有量が40質量部未満では補強効果が充分に発揮されず、140質量部を超えると作業性が悪化する。
さらに、所望の性能を有し、かつ作業性の良好なゴム組成物を得る上から、前記シリカの含有量は、前記(A)成分のゴム成分100質量部に対して通常20〜133質量部程度、好ましくは24〜126質量部であり、一方、カーボンブラックの含有量は、(A)成分のゴム成分100質量部に対して、通常2〜70質量部程度、好ましくは4〜63質量部である。
シランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
[式中、M1 は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、a、b、y及びcは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。尚、上記式において、b、cがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物、金属水酸化物又は炭酸塩となる。]
上記式で表されるこれらの無機フィラーは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(F)無機フィラーは、ゴム成分100質量部に対し、5〜30質量部配合することが好ましく、10〜25質量部配合することがより好ましい。
具体的には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの天然樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂などの分子量が好ましくは、500〜5000、より好ましくは700〜4000の合成樹脂が使用できる。
これらの天然樹脂の中でも、配合されたゴム組成物の耐摩耗性とグリップ特性の観点から、重合ロジン、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂が好ましい。
該石油系樹脂としては、ナフサの熱分解によって得られるC5留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂、ナフサの熱分解によって得られるC9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂、前記C5留分とC9留分を共重合して得られる共重合系石油樹脂、水素添加系,ジシクロペンタジエン系等の脂環式化合物系石油樹脂、スチレン,置換スチレン,スチレンと他のモノマーとの共重合体等のスチレン系樹脂等の石油系樹脂が挙げられる。
また、C9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂とは、ビニルトルエン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂であり、ナフサの熱分解によって得られるC9留分の具体例としては、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン等のスチレン同族体やインデン、クマロン等のインデン同族体等が挙げられる。
商品名としては、三井化学製ペトロジン、ミクニ化学製ペトライト、JX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー、東ソー製ペトコール、ペトロタック等がある。
変性石油樹脂としては、不飽和脂環式化合物で変性したC9系石油樹脂、水酸基を有する化合物で変性したC9系石油樹脂、不飽和カルボン酸化合物で変性したC9系石油樹脂等が挙げられる。
ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂は、ジシクロペンタジエンおよびC9留分両者の存在下、熱重合等で得ることができる。
ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂としては、例えばJX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー130Sが挙げられる。
アルコール化合物の具体例としては、例えば、アリルアルコール、2−ブテン−1,4ジオール等の二重結合を有するアルコール化合物が挙げられる。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等のアルキルフェノール類を使用できる。
これらの水酸基含有化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
本発明では、水酸基含有C9系石油樹脂として、前記のように各種の方法により得られるものを使用できるが、性能面、製造面から見て、フェノール変性石油樹脂等を使用するのが好ましく、フェノール変性石油樹脂は、C9留分をフェノールの存在下でカチオン重合して得られ、変性が容易であり、低価格である。
フェノール変性C9系石油樹脂としては、例えばJX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー−E−130が挙げられる。
かかるエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとして、(無水)マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロ(無水)フタール酸、(メタ)アクリル酸またはシトラコン酸などが挙げられる。
不飽和カルボン酸変性C9系石油樹脂は、C9系石油樹脂及びエチレン系不飽和カルボン酸を熱重合することで得ることができる。
本発明においては、マレイン酸変性C9系石油樹脂が好ましい。
不飽和カルボン酸変性C9系石油樹脂としては、例えばJX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー160が挙げられる。
ここでC9留分としては、特に制限はないが、ナフサの熱分解によって得られたC9留分であることが好ましい。
具体的には、SCHILL&SEILACHER社製StruktolシリーズのTS30、TS30−DL、TS35、TS35−DL等が挙げられる。
その他ポリブテンも粘着付与性を有する樹脂として使用することができる。
これらの合成樹脂の中で、配合されたゴム組成物の耐摩耗性とグリップ性能の観点から、C5留分とC9留分の共重合樹脂、C9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂及びクマロンインデン樹脂が好ましい。
軟化点が200℃を超えると、ヒステリシスロス特性の温度依存性が高くなりすぎる場合があり、また加工性を悪化させる場合がある。また、80℃未満ではグリップ性能が劣る場合がある。
これらの観点から軟化点は90〜120℃の範囲がより好ましい。
上記樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(B)樹脂は、ゴム成分100質量部に対し、5〜60質量部、好ましく、10〜35質量部配合する。
加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
各例で得られたゴム組成物の加硫ゴム物性は、下記の方法に従って測定した。
比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを車輌に装着し、5万キロ走行後の残溝測定から摩耗量を算出した。結果は、走行距離/(走行前溝深さ−走行後溝深さ)を計算し、比較例1の結果を100とし、指数表示した。数値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを車輌に装着し、テストコースにてラップタイムを測定した。結果は、比較例1の結果を100とし、指数表示した。数値が大きいほどグリップ性に優れることを示す。
変性ポリブタジエン(変性BR)の製造
(1)触媒の調整
乾燥・窒素置換された、ゴム栓付き容積約100mlのガラス瓶に、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2重量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56M)0.59ml、メチルアルミノキサンMAO(東ソーアクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23M)10.32ml、水素化ジイソブチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90M)7.77mlを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95M)1.45mlを加えて、室温で時折撹拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011M(モル/リットル)であった。
乾燥・窒素置換された、ゴム栓付き容積約900mlのガラス瓶に、乾燥精製された1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンを各々装入し、1,3−ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、(1)において調整した触媒溶液2.28ml(ネオジム換算0.025mmol)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行い、中間重合体を製造した。得られた重合体のミクロ構造は、シス−1,4−結合95.5%、トランス−1,4−結合含有量3.9%、ビニル結合含有量0.6%であつた。これらのミクロ構造は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)によって求めた。
第1次変性剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMOS)のヘキサン溶液(1.0M)として、GPMOSがネオジムに対して23.5モル当量になるよう前記(2)で得た重合液に投入し、50℃で60分間処理することにより、第1次の変性を行った。
続いて、縮合促進剤として、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ(BEHAS)のシクロヘキサン溶液(1.01M)を1.76ml(70.5eq/Nd相当)と、イオン交換水32μl(70.5eq/Nd相当)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間処理した。その後、重合系に老化防止剤2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2mlを加えて反応の停止を行い、更に微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行い、ドラム乾燥することにより変性BRを得た。得られたBRのムーニー粘度ML1+4(100℃)を、(有)東洋精機製作所製のRLM−01型テスターを用いて100℃で測定したところ、93であった。変性後のミクロ構造も中間重合体のミクロ構造と同様であった。
表1〜3に示す配合組成のゴム組成物を調製し、各ゴム組成物をそれぞれタイヤサイズ195/60R15の乗用車用空気入りタイヤのトレッドに配設してタイヤを試作した。各タイヤの性能評価結果を表1〜3に示す。
1)天然ゴム:RSS#4
2)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:JSR(株)製「SBR1500」
3)ポリブタジエンゴム:JSR(株)製「BR01」
4)製造例1の変性ポリブタジエン
5)三共油化工業株式会社製「A/OMIX」
6)樹脂:東ソー製「ペトロタック90」
7)東ソー・シリカ(株)製「AQ」
8)ISAF(N220)、東海カーボン(株)製「シースト6」
9)デグサ社製「Si69」
10)ワックス:日本精鑞製マイクロクリスタリンワックス オゾエース−0111
11)N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン:大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
12)ジフェニルグアニジン:大内新興化学工業社製「ノクセラーD」
13)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド:大内新興化学工業社製「ノクセラーCZ」
14)ジベンゾチアジルジスルフィド:大内新興化学工業社製「ノクセラーDM」
Claims (15)
- (A)(A−1)シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上の共役ジエン系重合体の活性末端を、少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性共役ジエン系重合体10〜50質量%と、(A−2)天然ゴムを含まず、ジエン系合成ゴムを含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し、(B)ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種であって、その軟化点が80〜200℃である熱可塑性樹脂5〜60質量部と(D)オイル30質量部以上を含むことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (A)ゴム成分100質量部に対し、さらに(C−1)シリカ50〜95質量%及び(C−2)カーボンブラック50〜5質量%からなる補強用充填剤40〜140質量部を加えた請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (A)ゴム成分100質量部に対し、(D)オイル50〜135質量部を加えた請求項2記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (E)シランカップリング剤を(C−1)成分のシリカに対して5〜20質量%の割合で含む請求項2又は3に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (A)ゴム成分100質量部に対し、(F)下記一般式(VII)で表される無機フィラー5〜30質量部を含む請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
aM 1 ・bSiO y ・cH 2 O・・・・・・(VII)
[式中、M 1 は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、a、b、y及びcは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。] - (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体が、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下に第1次変性と同じ又は異なるヒドロカルビルオキシシラン化合物により第2次変性してなるものである請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体が、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものである請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体が、活性末端をヒドロカルビルオキシシラン化合物により第1次変性後、さらに縮合促進剤の存在下に末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物とを縮合反応させてなるものである請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体が、第2次変性後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものである請求項6に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体が、縮合反応後、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させてなるものである請求項8に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- ヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(I)、(II)、(III)で表わされる化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜10のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
一般式(I)
一般式(II)
一般式(III)
- 多価アルコールのカルボン酸部分エステルが、ソルビタン脂肪酸のモノエステル,ジエステル又はトリエステルである請求項7、9及び10のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- 縮合促進剤が、下記一般式(IV)、一般式(V)及び一般式(VI)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種と水とからなるものである請求項6又は8に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
一般式(IV)
Sn(OCOR10)2・・・・・・(IV)
[式中、R10は、炭素数2〜19の有機基であり、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい]
で表される酸化数2のスズの炭素数3〜20のカルボン酸塩、
一般式(V)
R11 rSnA4 tB1 (4-t-r)・・・・・・(V)
[式中、rは1〜3の整数、tは1又は2の整数であり、かつ、t+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。A4は、(a)炭素数2〜30の脂肪族カルボン酸残基、(b)炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基、(c)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、及び(d)炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていてもよい)されたシロキシ基から選ばれる基であり、R11が複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、A4が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい]
で表される酸化数4のスズ化合物、
一般式(VI)
A5 xTiB2 (4-x) ・・・・・・(VI)
[式中、xは2又は4の整数である。A5は(1)炭素数3〜30のヒドロカルビルオキシ基、(2)炭素数1〜30のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。B2は、炭素数5〜30の1,3−ジカルボニル含有基であり、B2が複数ある場合は同一でも異なっていてもよい]
で表される酸化数4のチタン化合物。 - (A−1)成分の変性共役ジエン系重合体が、変性ポリブタジエンである請求項1〜13のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物をトレッドゴムに用いた空気入りタイヤ。
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