JP6855053B2 - 鉄基硼素系合金の製造方法 - Google Patents

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本発明は、鉄基硼素系合金の製造方法に関する。
近年、電子部品として使用されるノイズフィルターやトランス材向けに鉄損が低く飽和磁束密度が高い材料が市場から求められており、透磁率が高く、鉄損が低い軟磁性材料として鉄基アモルファス材料や、同じく鉄基のナノ結晶材料と言った鉄、硼素、ケイ素等々を主原料とする溶湯急冷凝固により作製される厚み17μmから22μm程度の鉄基アモルファス合金薄帯が従来のケイ素鋼板に代わる高性能高効率軟磁性材料として大型トランス等に巻鉄心として使用され需要が年々拡大している。
また、鉄基材料としては鉄、硼素、ネオジム(希土類元素の一種)を主原料とする合金溶湯を上記と同じく溶湯急冷凝固により得た厚み20μm前後のフレーク状の急冷合金薄帯を結晶化熱処理した後、粉砕し等方性希土類鉄基硼素系磁粉とした上で樹脂と混合・混錬した後、成形した等方性ボンド磁石がDC小型モータや各種センサなどの各種電子工業製品分野に応用されている。
非特許文献1では鉄基硼素ケイ素系のアモルファス合金は、従来、104〜106 K/secといった非常に速い急冷凝固速度で厚み17μmから22μm程度の急冷凝固合金薄帯でなければアモルファス組織を得られなかったが、リンを添加することで急冷凝固速度を低下させ厚み50μm以上の鉄基アモルファス合金薄帯が得られることが開示されているが、リン添加は飽和磁束密度Bsの低下を招来するだけでなく、リン添加系合金は合金溶解時にリン成分が揮発し炉内汚染が著しいことから未だ産業分野での応用例は少ない。
非特許文献2では、改良された新規の水アトマイズ法により鉄基のアモルファス合金粉末を直接得る方法が開示されているが、ガスアトマイズ法と高速水流による冷却を組みあわせた湿式工程のため、乾式工程でアモルファス化できる単ロール液体急冷法に比べ粉末の乾燥工程が加わることによる歩留り低下、並びにアトマイズ法のため一度に溶解出湯できる量が最大でも300kg/バッチ程度に制限されることから生産効率の向上が難しく、低コスト化の阻害要因となっており、鉄基アモルファス合金粉末の軟磁気性能が不可欠である応用分野への適用に限定されている。さらに急冷凝固時の合金溶湯中のSiがFeに先立ち優先酸化されSiO2を粉末表面に形成するため、軟磁気特性を得るための必須元素であるSiの一部が酸化物として奪われる。また、酸化を低減するため磁束密度の低下を招来するCrを添加するなど工夫も必要となる。加えて酸素に対して活性な希土類元素を含む硬磁性の鉄基硼素系合金組成では希土類成分が酸化によりRE2O3を生成するため硬磁気特性(永久磁石特性)が得られないことから希土類レスの合金組成系に限定される。
特許文献1、特許文献2および特許文献3は50μm以上といった厚みの急冷合金薄帯の作製方法が記載されているが、何れもスリットノズルから帯状に出湯される合金溶湯を冷却ロールにて急冷凝固することで、巻鉄心や積み鉄心等々に適用する帯材の急冷合金を提供するものであり、圧粉磁心等々向けの鉄基軟磁性粉末への応用には適さない。
加えて、特許文献1、特許文献2および特許文献3の実施例に記載されているようなスリット幅0.4mmの加工を精度良く加工することは容易でなく、さらに二列、三列と平行にスリット加工することはさらに難しいことから、BN材質の出湯ノズルを採用した場合、ノズル本体よりスリット加工費の方が高価となり溶湯急冷凝固時の消耗品コストが高騰するという問題もある。
特許文献4では、移動する冷却基板上(回転する冷却ロール)に、その移動方向に対しほぼ直角に配列され、かつそれぞれが前記移動方向に対して10〜80°の角度をもつ複数の開口部(多孔ノズル)から溶融金属を噴出させ、急冷凝固させることを特徴とする金属薄帯の製造方法を開示しているが、本特許文献5は幅の広い急冷薄帯を作製する際、幅方向における金属薄帯の厚みばらつきの低減を目的になされた発明であり、生産効率に直ぐれ、かつ、粉砕することで成形性に優れた粉末の作製に適した鉄基硼素系合金の製造には適さない。また、10〜80°の角度を持つ複数の細長い平行四辺形、台形または楕円形状の開口部を加工することは難しく、ノズル加工費が高騰するという問題もある。
特許文献5では、(B+C)濃度を10原子%以上にすることでアモルファス生成能を上げ、加えてTi添加により非磁性相であるNd2Fe23B3相の析出抑えることで、平均厚さが40μm超90μm以下の急冷凝固合金であっても永久磁石として優れた性能を有するNd2Fe14B相からなる硬磁性合金が得られることに加え、平均厚さが40μm超90μm以下の急冷凝固合金とすることで成形性に優れた等方性ボンド磁石磁粉が得られることが開示されているが、(B+C)濃度を10原子%以上20原子%未満に限定されているため、次世代高性能DCブラシレスモータ等に期待される残留磁束密度Brが0.9T以上の高Br型硬磁性粉(永久磁石粉)が得られないだけでなく、硼素リッチ組成であるが故に硬磁性を担うNd2Fe14B相の金属組織全体に占める割合が80体積%以下に制限されるため自動車向けの応用が期待される固有保磁力HcJ≧800kA/m、最大エネルギー積(BH)max≧120kJ/m3の永久磁石特性が得られる硬磁性合金(永久磁石)を作製することが難しい。
特開平5−329587 特開平7−113151 特開平8−124731 特開昭63−220950 特願2002−140236
高飽和磁束密度を有する新規バルク金属ガラス/アモルファス厚板の創製(東北大学・金属ガラス総合研究センター)牧野彰宏、久保田健、常春涛 新しい水アトマイズ 法(SWAP法)によるアモルファス軟磁性粉末の作製(株式会社クボタ・クボタ技術開発研究所)遠藤功、他
回転する金属製の冷却ロールにて合金溶湯を急冷する溶湯急冷凝固法にて作製される鉄基硼素系合金において軟磁性系合金並びに硬磁性合金を問わず、生産性並びに粉末時の成形性を確保するためには従来、合金組成の調整による急冷凝固速度の緩和が主たる方法として用いられてきたが、本手法は軟磁気特性並びに高磁気特性の低下を招来するか、もしくは、生産性に問題があり、合金組成に因らず製造コストの低減が可能な高生産性でかつ粉末成形性に優れた鉄基硼素系合金の製造方法が各種受動素子、モータ、センサ等々の電子部品市場より強く望まれている。
硼素リッチ組成並びにリンを始めとするNb、Zr、V等々のアモルファス形成能を上げる添加元素を加えた鉄基硼素系合金組成ではFeの体積比率が低下することで高性能な鉄基軟磁性粉および鉄基硬磁性粉の高性能化を阻害する。しかし、前記添加元素等の組成的な対策無しに急冷凝固時の平均出湯レートを上げ生産性を高めようとすると磁気特性の低下につながるα-Feが急冷凝固合金の組織中に析出するためα-Feの析出を抑制する前記添加元素等が必要となる。また、粉砕することで成形性に優れた磁性粉末が得られる厚み40μm以上の急冷凝固合金を得るためには冷却ロールのロール表面速度を落とすことが必要になるが、ロール表面速度を落とすと平均出湯レートを上げるのと同様、α-Feが急冷凝固合金の組織中に析出し、良好な磁気性能を発現する鉄基硼素系急冷合金を得ることは出来ない。
そこで、本発明は、量産性と成形性に優れた鉄基硼素系合金の製造方法の提供を目的とする。
本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、鉄及び硼素を必須元素とする合金溶湯を用意し、ロール表面速度14m/sec以上60m/sec未満にて回転する金属製の冷却ロール表面上において前記合金溶湯を急冷する急冷凝固合金作製の際、オリフィス径Φ0.6mm以上Φ2.0mm未満の2孔以上4孔未満の複数のオリフィスが前記冷却ロールの回転方向に沿って一直線上に1列以上並んだ縦列マルチオリフィスを底部に配した出湯ノズルを用いて、前記出湯ノズルおよび前記冷却ロール間距離を0.16mm以上20mm未満に設定した上で、前記縦列マルチオリフィス1列からの単位時間当たりの平均出湯レートを0.6g/min以上6kg/minとして前記出湯ノズルから前記冷却ロール表面に前記合金溶湯を噴出することで、平均厚みが40μm以上160μm未満である急冷凝固合金を製造することを特徴とする。
本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、前記合金溶湯の組成が、組成式T loo-x-y-z-n QSiyRE (TはFe、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素であって、Feを必ず含む遷移金属元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、REは希土類元素、MはP、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Cu、Zn、Ga、Mo、Ag、Hf、Zr、Ta、W、Pt、Au及びPbからなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびnが、それぞれ、5≦x<20原子%、0≦y<15原子%、0≦z<16原子%、0≦n<10原子%を満足することが好ましい。
本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、前記縦列マルチオリフィスにおける各オリフィスの整列方向の間隔Dが0.2mm以上10mm未満であることが好ましい。
本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、前記縦列マルチオリフィスが、複数列のオリフィスを有しており、隣り合う列同士の間隔Eが3mm以上であることが好ましい。
本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、前記出湯ノズルから噴出される溶湯の出湯圧力が2kPa以上60kPa未満であることが好ましい。
あるいは、本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、鉄及び硼素を必須とする鉄基硼素系合金において、組成式T loo-x-y-z-n QSiyRE (TはFe、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素であって、Feを必ず含む遷移金属元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、REは希土類元素、MはP、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Cu、Zn、Ga、Mo、Ag、Hf、Zr、Ta、W、Pt、Au及びPbからなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびnが、それぞれ、5≦x<10原子%、0≦y<15原子%、3≦z<16原子%、0≦n<10原子%を満足する組成を有する合金溶湯を用意し、ロール表面速度14m/sec以上60m/sec未満にて回転する金属製の冷却ロール表面上において前記合金溶湯を急冷する急冷凝固合金作製の際、オリフィス径Φ0.6mm以上Φ2.0mm未満の2孔以上4孔未満の複数のオリフィスが冷却ロールの回転方向に沿って一直線上に1列以上並んだ縦列マルチオリフィスを底部に配した出湯ノズルを用いて、前記出湯ノズルおよび前記冷却ロール間距離を0.16mm以上20mm未満に設定した上で、前記縦列マルチオリフィス1列からの単位時間当たりの平均出湯レートを0.6g/min以上6kg/minとして前記出湯ノズルから前記冷却ロール表面に前記合金溶湯を噴出することで、RE2Fe14B相を含む結晶相を1体積%以上95体積%未満の範囲で有し残部がアモルファスである平均厚みが40μm以上160μm未満である急冷凝固合金を製造することを特徴とする。
本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、前記冷却ロールの素材に銅または銅を主成分とする合金、MoまたはMoを主成分とする合金、あるいは、WまたはWを主成分とする合金のいずれかを用い、さらにロール表面の算術平均粗さRaを1nm以上10μm未満とすることが好ましい。
上記の鉄基硼素系合金の製造方法により製造された鉄基硼素系合金は、150℃以上900℃未満の一定温度にて熱処理した後、平均粉末粒径が20μm以上200μm未満に粉砕して、タップ密度4.0g/cm3以上とした鉄基硼素系合金粉末を得ることができる。
本発明によれば、量産性と成形性に優れた鉄基硼素系合金の製造方法を提供することができる。
本発明によれば、鉄及び硼素を必須元素とする鉄基硼素系合金溶湯をロール表面速度10m/sec以上100m/secにて回転する金属製の冷却ロール表面上において急冷する急冷凝固合金作製の際、オリフィス径Φ0.6mm以上Φ2.0mm未満の2孔以上4孔未満の複数のオリフィスが冷却ロールの回転方向に沿って一直線上に1列以上並んだ縦列マルチオリフィスを底部に配した出湯ノズルを用いることで、同一ロール表面速度において急冷凝固速度を落とすことなく、単孔出湯ノズルを用いる従来の単ロール急冷凝固法(通称、メルトスピンニング法)においてΦ1mm以下のオリフィス径を配した出湯ノズルにて得られる単位時間当たりの出湯レート0.5g/min未満を超える高い出湯レートを実現でき、さらに縦列マルチストランドを複数列配することで、更なる高生産性の急冷凝固法が実現出来る。
加えて縦列マルチオリフィスを採用した出湯ノズルを用いることで、厚み40μm以上160μm未満であることを特徴とする鉄基硼素系合金得られ、本鉄基硼素系合金を平均粉末粒径20μm以上200μm未満に粉砕することでタップ密度4.0g/cm3以上の優れた成形性を有する合金粉末を製造可能となる。
また、ボール盤等で容易に加工できる円形状のオリフィスは、平行四辺形、台形、三角形及び楕円形のオリフィスやスリット出湯ノズルに比べて大幅に加工費を低減出来る。
本願発明は、汎用用途まで高性能な鉄基軟磁性粉および鉄基硬磁性粉の応用分野を拡大することを狙った急冷凝固工程の低コスト化を主たる目的とし、磁気性能の低下を招来すること無く単位時間当たりの平均出湯レートを大幅に向上してもα-Feが析出せず、アモルファス組織からなる急冷凝固合金を、合金組成上の対策に因らず実現すると共に、平均厚みが40μm以上160μm未満であることを特徴とする鉄基硼素系合金を得た後、粉砕し、平均粉末粒径が20μm以上200μm未満に粉砕したタップ密度4.0g/cm3以上が得られる成形性に優れた鉄基硼素系合金粉末を提供することができる。
(a)は本発明による希土類元素を含む合金組成の鉄基硼素系合金に適用する急冷凝固合金を製造する際に使用する装置の全体構成例を示す断面図であり、(b)は急冷凝固が行われる部分の拡大図である。(c)は出湯ノズル底面の拡大図であり、縦列マルチオリフィスの配置を示す。 (a)は従来の単ロール溶湯急冷凝固法における急冷凝固が行われる部分の拡大図である。(b)は従来の単ロール溶湯急冷凝固法における出湯ノズル底面の拡大図である。 実施例1で得られた急冷凝固合金の粉末X線回折プロファイルである。 比較例13で得られた急冷凝固合金の粉末X線回折プロファイルである。
従来の単孔の出湯ノズルから噴出される溶湯は冷却ロール表面上で孔径と同じ幅から孔径×2倍程度までの幅を持つ湯だまりを形成し、この湯だまりの幅が急冷凝固合金薄帯の幅となることから、発明者は、この湯だまりを複数の孔をロールの回転方向に沿った直線上に複数並べることで重ね湯だまりの厚みを増すことで急冷凝固合金薄帯の厚みを増すと同時に短時間当たりの出湯レートを増すことが可能な製造条件を検討した結果、従来、スリット状出湯ノズルでしか実現出来なかった湯だまりを重ねることによる急冷凝固合金薄帯の厚肉化を2孔以上4孔未満の複数のオリフィスが冷却ロールの回転方向に沿って一直線上に1列以上並んだ縦列マルチオリフィスにおいてオリフィス径をΦ0.6mm以上Φ2.0未満とし、さらに各オリフィスの整列方向の間隔Dを0.2mm以上10mm未満とした上、出湯ノズルと冷却ロール間距離を0.15mm以上20mm未満に設置することにより直線上に並んだ各孔から噴出される溶湯からなる湯だまりは孔径と同じ幅から孔径×2倍までの幅で重なり、スリットノズルを用いなくても平均厚みが40μm以上160μm未満で、かつ粉砕し易い0.6mmから4mm程度の幅を持つα-Feの析出が無い急冷凝固合金薄帯が得られることを見出した。
さらに、縦列マルチオリフィスを複数列並べ出湯レートをさらに増す際、縦列マルチストランド同士の列間隔Eを3mm以上とすることで、隣接する縦列マルチストランドから噴出する溶湯で形成される湯だまりが接触することなく、粉砕し易い0.6mmから4mm程度の幅を持つ急冷凝固合金薄帯を複数列生成することを知見し、単位時間当たりの平均出湯レートを0.6g/min以上6kg/minとする前記縦列マルチオリフィスを複数列配置することが可能となり、0.6g/min以上6kg/minの単位時間当たりの平均出湯レートを複数倍に出来る製造方法を実現した。
本発明による製造方法にて得られる鉄基硼素系合金は、鉄及び硼素を必須とする鉄基硼素系合金において、組成式T loo-x-y-z-n QSiyRE (TはFe、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素であって、Feを必ず含む遷移金属元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、REは希土類元素、MはP、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Cu、Zn、Ga、Mo、Ag、Hf、Zr、Ta、W、Pt、Au及びPbからなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびnが、それぞれ、5≦x<20原子%、0≦y<15原子%、0≦z<16原子%、0≦n<10原子%を満足する。
本発明による製造方法にて得られる鉄基硼素系合金は、鉄及び硼素を必須とする鉄基硼素系合金において、組成式T loo-x-y-z-n QSiyRE (TはFe、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素であって、Feを必ず含む遷移金属元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、REは希土類元素、MはP、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Cu、Zn、Ga、Mo、Ag、Hf、Zr、Ta、W、Pt、Au及びPbからなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびnが、それぞれ、5≦x<10原子%、0≦y<15原子%、3≦z<16原子%、0≦n<10原子%を満足する。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
[合金組成]
Feを必須元素として含む遷移金属Tは、上述の元素の含有残余を占める。Feの一部をFeと同じく強磁性元素であるCo及びNiの一種または二種で置換しても、所望の硬磁気特性を得ることができる。ただし、Feに対する置換量が30%を超えると、磁束密度の大幅な低下を招来するため、置換量は0%〜30%の範囲に限定される。
Q(=B+C)の組成比率xが5原子%未満になると、アモルファス生成能が大きく低下するため、溶湯急冷凝固の際にα-Feが析出するため軟磁性組成の場合、透磁率が低下し高性能の軟磁性材料が得られない。また、希土類元素含む硬磁性組成の場合、残留磁束密度Brが低下し高性能の硬磁性材料が得られない。
軟磁性組成の場合、組成比率xが20原子%を超えるとFeの成分比率が低下することから磁束密度の低下を招来するため高性能な軟磁性材料を得ることが困難になる。また、希土類元素を含む硬磁性材料の場合、組成比率xが10原子%を超えると、硬磁性特性を担うRE2Fe14B相の存在比率が低下するため硬磁気特性の低下を招来する。このため、軟磁性組成の場合、組成比率xは5原子%以上20原子%未満の範囲とし、組成比率xは7原子%以上19原子%未満であることが好ましく、8原子%以上19原子%未満であることが更に好ましい。加えて希土類元素を含む硬磁性組成の場合、組成比率xは5原子%以上10原子%未満の範囲とし、組成比率xは5.5原子%以上10原子%未満であることが好ましく、5.5原子%以上9原子%未満であることが更に好ましい。
QにおけるBに対するCの置換率が増すと合金溶湯の融点が低くなり急冷凝固の際に用いる耐火物の損耗量が減るため急冷凝固に係る工程費用が低下出来るが、Bに対するCの置換率が50%を超えるとアモルファス生成能が大きく低下するため好ましくなく、置換率は0%〜50%に限定する。好ましくは0%〜30%が良く、さらに好ましくは0%〜20%が良い。
本発明においてSiは、FeおよびBと同時添加することでアモルファス生成能を向上すると共に鉄基硼素系急冷凝固合金の透磁率を高める元素として有効であるが、Siの添加量yが15原子%を超えると飽和磁束密度Bsが大幅に低下するためyは15原子%未満とする。また、希土類元素REを含まない軟磁性を示す鉄基硼素系急冷凝固合金の場合、yは透磁率の向上の観点から2原子%以上15原子%未満が好ましい。さらに好ましくは2.5原子%以上12原子%未満が良い。
本発明においては、P、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Cu、Zn、Ga、Mo、Ag、Hf、Zr、Ta、W、Pt、Au及びPbからなる群から選択された1種以上の添加元素Mを加えてもよい。本添加元素により、アモルファス生成能の向上、急冷凝固金属組織の微細化等々の効果により、急冷凝固時の生産性の向上が得られるだけなく、希土類を含む硬磁性組成の場合、減磁曲線の角形性向上及び保有保磁力HcJの向上が実現できる。ただし、これらの元素Mの添加量が10原子%を超えると、磁化の低下を招くため、Mの組成比率nは0原子%以上10原子%未満に限定され、組成比率nは0原子%以上7原子%未満であることが好ましく、組成比率nは0原子%以上5原子%未満であることがさらに好ましい。
希土類元素を含む硬磁性を有する鉄基硼素系合金の場合、希土類元素REはLaおよびCeを実質的に含まない希土類金属の1種または2種以上とする。REの組成比率yが3原子%未満では硬磁性特性を担うRE2Fe14B相の存在比率が著しく低下するため、200kA/mを越える固有保磁力HcJが得られず、実用に供せる硬磁性材料(永久磁石)とならない。また、REの組成比率yが16原子%を越えると、RE2Fe14B相の粒界相全体を酸素に対して非常に活性なRE-rich相が占めるため急冷凝固合金を粉砕する際、発火・爆発の危険があると共に、粉末自体の耐食性が著しく低下するため硬磁気特性の経時的な劣化が大きいためREの組成比率yは3原子%以上16原子%未満の範囲に限定するとする。組成比率yは4原子%以上15原子%であることが好ましく、6原子%以上14原子%未満であることがさらに好ましい。
[合金溶湯の急冷凝固装置]
本発明の好ましい実施形態によれば、合金溶湯を高速で回転する金属製の冷却ロールの表面に接触させることにより、合金溶湯から熱を奪い急冷凝固させる。適切な量の合金溶湯を冷却ロールの表面に接触させるためには、オリフィス径Φ0.6mm以上Φ2.0mm未満の2孔以上4孔未満の複数のオリフィスが冷却ロールの回転方向に沿って一直線上に1列以上並んだ縦列マルチオリフィスを底部に配した出湯ノズルを用いることで、同一ロール表面速度において急冷凝固速度を落とすことなく、単孔出湯ノズルを用いる従来の単ロール急冷凝固法においてΦ1mm以下のオリフィス径を配した出湯ノズルにて得られる単位時間当たりの出湯レート0.5g/min未満を超える高い出湯レートを実現できるが、オリフィス径はロール表面へ供給する溶湯の供給レートに影響するため、Φ0.6mm以上Φ2.0未満が良く、Φ0.6mm以下ではオリフィス1孔当たりの溶湯供給レートが、0.1kg/min以下となり4孔の縦列マルチオリフィスを配した出湯ノズルでも総量が0.4kg/min程度となり急冷凝固工程の生産性が極めて悪いだけでなくノズル閉塞の原因となる、Φ2.0以上ではオリフィス1孔当たりの溶湯供給レートが1500g/min以上となるため冷却ロール上に湯だまりが形成されず溶滴(スプラッシュ)となり急冷凝固合金薄帯が生成されないことから、アモルファス組織の生成が可能な急冷凝固を達成できないため、オリフィス径はΦ0.6mm以上Φ2.0mm未満に限定する。オリフィス径はΦ0.7mm以上Φ1.8mm未満が好ましく、Φ0.7mm以上Φ1.5mm未満がさらに好ましい。
前記縦列マルチオリフィスの孔数は、急冷凝固合金の厚みに係り、1孔では平均厚み40μm以上の急冷凝固合金の厚みが得られないため2孔以上が必要となるが、4孔以上では急冷凝固合金の厚みが160μm以上になり、アモルファス組織の生成が可能な急冷凝固速度を達成できないため2孔以上4孔未満に限定する。
前記縦列マルチオリフィスを底部に配した出湯ノズルを介して合金溶湯を冷却ロール表面上へ噴出する際、出湯ノズルと冷却ロール間距離は、生成される急冷凝固合金薄帯の最大厚み160μm(0.16mm)以上に設定しないと出湯ノズル底面と急冷凝固合金薄帯が干渉するため0.16mm以上に限定する。また、出湯ノズルと冷却ロール間距離が20mmを超えると縦列に配した各オリフィスから噴出する溶湯が回転する冷却ロールの巻込み風により揺らぐと共に冷却を受けるため、冷却ロール上に生成する各湯だまりの位置がずれ、平均厚み40μm以上160μm未満の急冷凝固合金薄帯が得られないことから、20mm未満に限定する。好ましくは0.2mm以上10mm未満が良く、さらに好ましくは0.3mm以上5mm未満が良い。
出湯ノズルの低部に縦列で配置されるオリフィスは噴出する合金溶湯の直進性に影響することから、ロール表面に垂直に溶湯が噴射されることで合金溶湯をロール表面の密着性が上がり安定した溶湯急冷凝固状態が維持出来るため、オリフィス長は0.5mm以上30mm未満が良い。オリフィス長は0.5mm未満では、溶湯噴射の直進性が得られず、ロール表面上での急冷凝固が不安定になる。また、オリフィス長が30mm以上では合金溶湯がオリフィスを通過中に凝固しノズル閉塞を引き起こす。オリフィス長は0.7mm以上20mm未満が好ましい。
図1の(c)に示す前記縦列マルチオリフィスにおける各オリフィスの間隔Dが0.2mm以下の場合、各オリフィスから噴出される溶湯が冷却ロールに到達する前に接触するため平均厚みが40μm以上160μm未満の急冷凝固合金薄帯が得られない。また、Dを10mm以上にした場合、各オリフィスから溶湯が噴出され冷却ロール表面に形成される湯だまりが重なりあうことが出来ないため平均厚みが40μm以上160μm未満の急冷凝固合金薄帯が得られない。Dは0.5mm以上8mm以下が好ましく、1mm以上6mm未満がさらに好ましい。
図1の(c)に示すように縦列マルチオリフィスを複数列並べることで出湯レートをさらに増すことが可能となるが、縦列マルチオリフィス同士の列間隔Eを3mm以内の場合、隣接する縦列マルチオリフィスから噴出する溶湯で形成される湯だまりが接触するため3mm以上に限定する。Eは冷却ロールの抜熱性を考慮し5mm以上にすることが好ましく、7mm以上がさらに好ましい。但し、Eが大き過ぎるとより多くの縦列マルチオリフィスを並べることが出来ないため20mm以下であることが好ましく、15mm以下がさらに好ましい。
冷却ロールの表面に供給される合金溶湯は、冷却ロールによって冷却された後、冷却口−ルの表面から離れ、薄帯状の急冷凝固合金が形成される。
本発明において非常に酸化し易い希土類元素を含む鉄基硼素系の急冷凝固合金の場合、合金溶解時、並びに合金溶湯の急冷凝固の際、合金溶湯の酸化を防ぐことが重要であるため、例えば、図1に示す急冷装置を用いて急冷凝固合金を製造する。
合金溶湯の酸化を防ぐためには、図1に示す急冷装置内を20Pa以下、好ましくは10Pa以下、さらに好ましくは1Pa以下まで真空排気した後、不活性ガスを絶対圧10kPa〜101.3kPaまで導入し、急冷装置内の酸素濃度を500ppm以下、好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下にした上、急冷凝固合金の作製工程を実施する必要がある。不活性ガスとしては、ヘリウムまたはアルゴン等の希ガスや窒素を用いることができるが、窒素は希土類元素並びに鉄と比較的に反応しやすいため、ヘリウムまたはアルゴンなどの希ガスを用いることが好ましい。
図1の装置は、真空または不活性ガス雰囲気を保持し、その圧力を調整することが可能な原料合金の溶解室1および急冷室2を備えている。図1(a)は全体構成図であり、図1(b)は急冷凝固が行われる部分の拡大図である。
図1(a)に示されるように、溶解室1は所望の合金組成になるように配合した原料20を高温にて溶解する溶解炉3と、底部に出湯ノズル5を配する貯湯容器4と、大気の進入を抑制しつつ配合原料を溶解炉3内に供給するための配合原料供給装置8を備えている。貯湯容器4は原料合金の溶湯21を貯えている。急冷室2は、出湯ノズル5から出た溶湯21を急冷凝固するための回転冷却ロール7を備えている。
この装置においては、溶解室1および急冷室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御される。そのために、雰囲気ガス供給口lb、2b、および8bとガス排気口la、2a.および8aとが装置の適切な箇所に設けられている。
溶解炉3は傾動可能であり、ロート6を介して溶湯21を貯湯容器4内に適宜、注ぎ込む。溶湯21は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱される。貯湯容器4の出湯ノズル5は、溶解室1と急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21を下方に位置する冷却ロール7の表面に噴出させる。
冷却ロール7は、好ましい実施形態において前記鉄基硼素系合金を作製するにあたり前記冷却ロールの素材には熱伝導性や耐久性に優れる銅または銅を主成分とする合金、MoまたはMoを主成分とする合金製、あるいは、WまたはWを主成分とする合金を用いる。さらにロール表面の算術平均粗さRaを1nm以上10μm未満とすることで前記湯だまりとロール表面の密着性が向上し、冷却ロールによる溶湯急冷能力が増すことから好ましい。Raは1nm以上1μm未満とすることが好ましく、1nm以上700nm未満とすることがさらに好ましい。
冷却ロール7の直径は例えばΦ200mm〜Φ1000mmであり、冷却ロール7を水冷する場合、冷却ロール内に設けた水冷装置の水冷能力を単位時間あたりの凝固潜熱と出湯量とに応じて算出され適宜調節される。
[急冷工程]
先ず、前述の組成式で表現される原料合金の溶湯21を作製し、図1の溶解室1の貯湯容器4に貯える。次に、この溶湯21は出湯ノズル5から不活性ガス雰囲気中にて回転する冷却ロール7上に底部にオリフィスを配した出湯ノズルより噴出された後、前期合金溶湯は冷却ロールとの接触によって急冷され凝固する。
図1に示すような溶湯急冷凝固法として単ロール急冷法を採用する場合、合金溶湯の冷却速度は、冷却ロールのロール表面速度や、ロール表面へ供給される単位時間当たりの出湯レートによって制御することが可能である。また、冷却ロールの温度が水冷によって調整され得る構造を有している場合、合金溶湯の冷却速度は、冷却ロール中を流れる冷却水の流量によっても制御可能である。このため、必要に応じてロール表面速度、出湯量および冷却水流量の何れか少なくとも1つを調節することにより、合金溶湯の急冷凝固速度を制御することが可能である。
本発明にて採用している単ロール溶湯急冷凝固法では、溶湯急冷凝固速度の可変がロール表面速度により容易に変更可能であり、例えばロール表面速度10m/secでは5×10-4℃/sec前後の急冷凝固速度が得られ、50m/secでは10-5℃/sec後半から10-6℃/sec以上の急冷凝固速度に到達可能である。前期の銅または銅を主成分とする合金、MoまたはMoを主成分とする合金製、あるいは、WまたはWを主成分とする合金のいずれかを主原料とする冷却ロールのロール表面速度は10m/sec以上100m/sec未満が良い。10m/sec以下では溶湯急冷凝固速度が遅く粗大な結晶粒からなる急冷合金組織となり良好な軟磁気特性並びに硬磁気特性を得られない。また、100m/sec以上では高速回転による巻込み風によりノズルオリフィスから噴出した合金溶湯が凝固する等の理由によりロール表面に形成される湯だまりがロール表面に密着せず溶湯急冷状態が得られない。好ましいロール表面速度は、12m/sec以上70m/sec未満、さらに好ましいロール表面速度は、14m/sec以上60m/sec未満である。
合金の溶湯21が冷却ロール7によって冷却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面に合金が接触してから離れるまでの時間に相当し、その間に合金の温度は低下し、過冷却液体状態になる。その後、過冷却状態の合金は冷却ロール7から離れ、不活性ガス雰囲気中を飛行する。合金は薄帯状で飛行している間に雰囲気ガスに熱を奪われる結果、その温度は更に低下する。雰囲気ガスの絶対圧力は、10kPa〜101.3kPa(常圧)の範囲内に設定することが好ましい。
なお、希土類元素を含まない軟磁性鉄基硼素系合金の場合、必ずしも不活性ガス雰囲気である必要はなく、大気中で溶湯凝固急冷を実施しても良い。
[熱処理]
好ましい実施形態では、鉄基硼素系合金もしくは前記鉄基硼素合金を150℃以上900℃未満の一定温度にて熱処理することにより合金中の歪除去並びに結晶化することが出来る。
歪除去の場合は、アモルファス相の結晶化温度以下である550℃以下が好ましく。500℃以下がより好ましい。また、アモルファス相の結晶化を目的とした場合は、550℃以上900℃未満の温度熱処理することが好ましい。より好ましくは600℃以上800℃以下が良く、さらに好ましくは600℃以上750℃以下が良い。熱処理雰囲気については希土類元素を含む合金組成の場合は真空中もしくは不活性ガス中の熱処理が好ましく、希土類元素含まない合金組成の場合は、大気中での熱処理も許容される。
[粉砕]
本発明の鉄基硼素系合金を平均粉末粒径が20μm以上200μm未満に粉砕したタップ密度4.0g/cm3以上である成形性に優れた鉄基硼素系合金粉末が得られるが、射出成形用途に適用する場合は、平均粒度が100μm以下になるように粉砕することが好ましく、より好ましい粉末の平均粉末粒径は20μm以上100μm以下である。また、圧縮成形用途に適用する場合は、粒度が200μm以下になるように粉砕することが好ましく、より好ましい粉末の平均結晶粒径は50μm以上150μm以下である。さらに好ましくは粒径分布に2つのピークを持ち、平均結晶粒径が50μm以上130μm以下である。
なお、粉砕した鉄基硼素系合金粉末の表面にカップリング処理やリン酸処理等の化成処理及びガラス被膜処理などの表面処理を施すことにより、成形方法を問わず成形品における成形性の改善や耐食性、耐熱性の向上、並びに電気絶縁性を高めることが可能である。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例)
以下の表1に示す各合金組成となるよう、純度99.5%以上のB、C、Si、Cr、Nb、P、CuおよびFeの各元素を配合した素原料100kgをアルミナ製坩堝へ挿入した後、高周波誘導加熱により溶解、合金溶湯を形成した後、低部に表1に示す縦列マルチオリフィスを配したBN製出湯ノズルが接続されている内径200mm×高さ400mmのアルミナ製貯湯容器へ前記合金溶湯50kgを注いだ。なお、出湯ノズル直下にはΦ600mm×幅200mmの表1に記載の金属にて作製された冷却ロールが配置されている。
その後、貯湯容器の周囲に設置された高周波加熱用コイルへ通電することで、前記合金溶湯50kgをさらに加熱し、溶湯温度が配合組成合金の融点より50℃以上高温に到達した後、出湯ノズル上部に配したアルミナ製溶湯ストッパーを引き抜き、出湯ノズル底部に配した縦列マルチオリフィスから合金溶湯を表1に記載の出湯ノズル/ロール間距離に設定した位置で同じく表1に記載のロール表面速度にて回転している冷却ロールの表面上へ噴出した。なお、冷却ロールの表面粗度をRaは表1に示される値に調節した。
前記冷却ロールの表面に接触した前記合金溶湯は冷却ロール表面上にて湯だまりを形成、湯だまりと冷却ロールの界面にて溶湯急冷凝固し、表2に示す平均厚みおよび平均幅を持つ薄帯状の急冷凝固合金を得た。表2に急冷凝固合金の生産効率を表す平均出湯レート並びに縦列マルチオリフィス1列当たりの平均出湯レートを合わせて示す。
粉末X線回折による調査の結果、得られた急冷凝固合金は、アモルファス単相組織であることを確認した。図3に代表例として実施例1の粉末X線回折プロファイルを示す。表2に粉末X線回析より評価した急冷凝固合金の構成相を示す。
希土類元素を含む合金組成系においては、合金溶湯の酸化を防ぐため、以下の表1に示す各組成を有するように、純度99.5%以上のNd、Pr、B、Ti、Co、Ti、Nb、ZrおよびFeの各元素を配合した素原料200gを10-2Pa以下に真空排気した後、絶対圧80kPaになるようアルゴンガスを導入した上、高周波溶解にて母合金を作製。その後、100mm角程度に破砕した前記母合金100kgをアルミナ製坩堝へ挿入した。
その後、10-2Pa以下に真空排気した後、絶対圧70kPaになるようアルゴンガスを導入した上、高周波加熱を行なうことにより、前記アルミナ製坩堝内の母合金を再溶解し合金溶湯を形成した後、低部に表1に示す縦列マルチオリフィスを配したBN製出湯ノズルが接続されている内径200mm×高さ400mmのアルミナ製貯湯容器へ前記合金溶湯50kgを注いだ。なお、出湯ノズル直下にはΦ600mm×幅200mmの表1に記載の金属にて作製された冷却ロールが配置されている。
その後、絶対圧70kPaのアルゴンガス雰囲気を維持した状態のまま、貯湯容器の周囲に設置された高周波加熱用コイルへ通電することで、前記合金溶湯50kgをさらに加熱し、溶湯温度が配合組成合金の融点より80℃以上高温に到達した後、出湯ノズル上部に配したアルミナ製溶湯ストッパーを引き抜き、出湯ノズル底部に配した縦列マルチオリフィスから合金溶湯を表1に記載の出湯ノズル/ロール間距離に設定した位置で同じく表1に記載のロール表面速度にて回転している冷却ロールの表面上へ噴出した。なお、冷却ロールの表面粗度をRaは表1に示される値に調節した。
前記冷却ロールの表面に接触した希土類元素を含む合金溶湯は冷却ロール表面上にて湯だまりを形成、湯だまりと冷却ロールの界面にて溶湯急冷凝固し、表2に示す平均厚みおよび平均幅を持つ薄帯状の急冷凝固合金を得た。表2に急冷凝固合金の生産効率を表す平均出湯レート並びに縦列マルチオリフィス1列当たりの平均出湯レートを合わせて示す。
粉末X線回折による調査の結果、得られた急冷凝固合金は、アモルファス相とNd2Fe14B型正方晶化合物推定される結晶相が混在した急冷合金組織を有していることを確認した。表2に粉末X線回析より評価した急冷凝固合金の構成相を示す。
次いで希土類元素含有組成の実施例については、急冷凝固合金を長さ20mm程度に切断した後、数gをニオブ箔に包んだ後、1Pa以下の真空雰囲気中で結晶化熱処理を行なった。表3に各試料に対する結晶化熱処理条件を示す。
結晶化熱処理を行なった後、急冷凝固合金薄帯の結晶相を粉末X線回折にて確認したところ、Nd2Fe14B型正方晶化合物並びにα-Feと推定される結晶相で構成されていた。
振動式試料磁力計(VSM)を用い、結晶化熱処理後の急冷凝固合金薄帯の室温磁気特性を測定した磁気特性結果を表3に示す。
結晶化熱処理を実施していない希土類レス鉄基硼素系合金と結晶化熱処理を実施した希土類を含む急冷凝固合金を平均粉末粒径75μmになるよう粉砕した後、タップデンサーにて評価したタップ密度を表4に示す。
(比較例)
以下の表1に示す各合金組成となるよう、純度99.5%以上のB、C、Si、Cr、Nb、P、CuおよびFeの各元素を配合した上、実施例と同一方法にて急冷凝固合金を作製した。表1に縦列マルチオリフィスの設定状態、冷却ロール材質、出湯ノズル/ロール間距離、ロール表面速度並びにロール表面粗度Raを示す。
表2に比較例で得られた急冷凝固合金薄帯の平均厚みおよび平均幅並びに急冷凝固合金の生産効率を表す平均出湯レート並びに縦列マルチオリフィス1列当たりの平均出湯レートを合わせて示す。
粉末X線回折による調査の結果、得られた急冷凝固合金は、アモルファス単相もしくはアモルファス相とα-Feが混在する組織であることを確認した。図4に代表例として比較例1の粉末X線回折プロファイルを示す。表2に粉末X線回析より評価した急冷凝固合金の構成相を示す。
希土類元素を含む合金組成系においては、合金溶湯の酸化を防ぐため、以下の表1に示す各組成を有するように、純度99.5%以上のNd、Pr、B、Ti、Co、Ti、Nb、ZrおよびFeの各元素を配合した上、実施例と同一方法にて急冷凝固合金を作製した。表1に縦列マルチオリフィスの設定状態、冷却ロール材質、出湯ノズル/ロール間距離、ロール表面速度並びにロール表面粗度Raを示す。
表2に比較例で得られた希土類元素を含む急冷凝固合金薄帯の平均厚みおよび平均幅並びに急冷凝固合金の生産効率を表す平均出湯レート並びに縦列マルチオリフィス1列当たりの平均出湯レートを合わせて示す。
粉末X線回折による調査の結果、得られた急冷凝固合金は、アモルファス相とNd2Fe14B型正方晶化合物と推定される結晶相が混在した急冷合金組織を有していることを確認した。表2に粉末X線回析より評価した急冷凝固合金の構成相を示す。
次いで希土類元素含有組成の比較例については、急冷凝固合金を長さ20mm程度に切断した後、数gをニオブ箔に包んだ後、1Pa以下の真空雰囲気中で結晶化熱処理を行なった。表3に各試料に対する結晶化熱処理条件を示す。
結晶化熱処理を行なった後、急冷凝固合金薄帯の結晶相を粉末X線回折にて確認したところ、Nd2Fe14B型正方晶化合物並びにα-Feと推定される結晶相で構成されていた。
振動式試料磁力計(VSM)を用い、結晶化熱処理後の急冷凝固合金薄帯の室温磁気特性を測定した磁気特性結果を表3に示す。
結晶化熱処理を実施していない希土類レス鉄基硼素系合金と結晶化熱処理を実施した希土類を含む急冷凝固合金を平均粉末粒径75μmに粉砕した後、タップデンサーにて評価したタップ密度を表4に示す。
Figure 0006855053
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Figure 0006855053
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本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、例えば、圧粉磁心等に用いられる鉄基硼素系軟磁性粉並びに小型DCブラシレスモータ等に用いられる等方性ボンド磁石用鉄基硼素系硬磁性粉へ適用される。
本発明の鉄基硼素系合金の製造方法は、磁気性能の低下を招来する合金組成での対策に因ることなく、回転する金属製の冷却ロールにて合金溶湯を急冷する溶湯急冷凝固法にて作製される鉄基硼素系合金において、軟磁性合金並びに硬磁性合金を問わず、溶湯急冷凝固時の平均出湯レートを大幅に向上できることから、高性能でかつ成形性に優れた鉄基硼素系磁性粉を安価に市場へ提供することが可能であり、各種受動素子、モータ、センサ等々の電子部品市場での利用可能性が極めて高い。
lb、2b、8b、および9b雰囲気ガス供給口
la、2a、8a、および9aガス排気口
1 溶解室
2 急冷室
3 溶解炉
4 貯湯容器
5 出湯ノズル
6 ロート
7 回転冷却ロール
21 溶湯
22 合金薄帯
23 オリフィス
24 縦列マルチオリフィス
25 冷却ロール回転方向

Claims (7)

  1. 鉄及び硼素を必須元素とする合金溶湯を用意し、ロール表面速度14m/sec以上60m/sec未満にて回転する金属製の冷却ロール表面上において前記合金溶湯を急冷する急冷凝固合金作製の際、オリフィス径Φ0.6mm以上Φ2.0mm未満の2孔以上4孔未満の複数のオリフィスが前記冷却ロールの回転方向に沿って一直線上に1列以上並んだ縦列マルチオリフィスを底部に配した出湯ノズルを用いて、前記出湯ノズルおよび前記冷却ロール間距離を0.16mm以上20mm未満に設定した上で、前記縦列マルチオリフィス1列からの単位時間当たりの平均出湯レートを0.6g/min以上6kg/minとして前記出湯ノズルから前記冷却ロール表面に前記合金溶湯を噴出することで、平均厚みが40μm以上160μm未満である急冷凝固合金を製造する鉄基硼素系合金の製造方法。
  2. 前記合金溶湯の組成が、組成式T loo-x-y-z-n QSiyRE (TはFe、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素であって、Feを必ず含む遷移金属元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、REは希土類元素、MはP、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Cu、Zn、Ga、Mo、Ag、Hf、Zr、Ta、W、Pt、Au及びPbからなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびnが、それぞれ、5≦x<20原子%、0≦y<15原子%、0≦z<16原子%、0≦n<10原子%を満足する請求項1に記載の鉄基硼素系合金の製造方法。
  3. 前記縦列マルチオリフィスにおける各オリフィスの整列方向の間隔Dが0.2mm以上10mm未満である請求項1または2に記載の鉄基硼素系合金の製造方法。
  4. 前記縦列マルチオリフィスは、複数列のオリフィスを有しており、隣り合う列同士の間隔Eが3mm以上である請求項1から3のいずれかに記載の鉄基硼素系合金の製造方法。
  5. 前記出湯ノズルから噴出される溶湯の出湯圧力が2kPa以上60kPa未満である請求項1から4のいずれかに記載の鉄基硼素系合金の製造方法。
  6. 鉄及び硼素を必須とする鉄基硼素系合金において、組成式T loo-x-y-z-n QSiyRE (TはFe、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素であって、Feを必ず含む遷移金属元素、QはB、Cからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、REは希土類元素、MはP、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Cu、Zn、Ga、Mo、Ag、Hf、Zr、Ta、W、Pt、Au及びPbからなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびnが、それぞれ、5≦x<10原子%、0≦y<15原子%、3≦z<16原子%、0≦n<10原子%を満足する組成を有する合金溶湯を用意し、ロール表面速度14m/sec以上60m/sec未満にて回転する金属製の冷却ロール表面上において前記合金溶湯を急冷する急冷凝固合金作製の際、オリフィス径Φ0.6mm以上Φ2.0mm未満の2孔以上4孔未満の複数のオリフィスが冷却ロールの回転方向に沿って一直線上に1列以上並んだ縦列マルチオリフィスを底部に配した出湯ノズルを用いて、前記出湯ノズルおよび前記冷却ロール間距離を0.16mm以上20mm未満に設定した上で、前記縦列マルチオリフィス1列からの単位時間当たりの平均出湯レートを0.6g/min以上6kg/minとして前記出湯ノズルから前記冷却ロール表面に前記合金溶湯を噴出することで、RE2Fe14B相を含む結晶相を1体積%以上95体積%未満の範囲で有し残部がアモルファスである平均厚みが40μm以上160μm未満である急冷凝固合金を製造する鉄基硼素系合金の製造方法。
  7. 前記冷却ロールの素材に銅または銅を主成分とする合金、MoまたはMoを主成分とする合金、あるいは、WまたはWを主成分とする合金のいずれかを用い、さらにロール表面の算術平均粗さRaを1nm以上10μm未満とした請求項1から6のいずれかに記載の鉄基硼素系合金の製造方法。
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