JP6853631B2 - 冷凍生地、及びそれを用いるパン類の製造方法 - Google Patents

冷凍生地、及びそれを用いるパン類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パン、イーストドーナツ等のパン類の製造に用いられるイーストを含有する冷凍生地に関し、特に、最終発酵工程(ホイロとも称する)を経ずに、焼成、又は油ちょうしても十分にボリュームがあるソフトな食感を有するパン類が製造可能な冷凍生地に関する。
近年、焼き立て、揚げ立てのパン類の需要の向上とともに、パン類用の冷凍生地の使用が増加している。例えば、パン類用の冷凍生地は、工場でパン類の種類に応じて大量に製造された後、リテールベーカリー等のパン類製造者に配送、保管され、需要に合わせて、焼成、又は油ちょうされて消費者に提供される。これにより、パン類製造者の作業の効率化が図られ、出来立てのパン類を容易に消費者に提供できる。一般に、冷凍生地は、必要に応じて、解凍工程、及び最終発酵工程を経た後に焼成、又は油ちょうされる。しかしながら、これらの工程は、解凍や発酵の温度、及び時間を十分管理するための専用設備や技能が必要であり、パン類製造者の負担になる上、消費者への商品提供にタイムラグが生じることになる。一方、単純に解凍工程、最終発酵工程を省略して、冷凍のまま焼成、又は油ちょうすると、発酵中の炭酸ガス発生が不十分であり、発酵による生地の引き伸ばしも十分に行なわれないため、ボリュームのあるソフトな食感のパン類を得ることは困難である。また、冷凍のまま焼成する方法として、最終発酵工程の後に冷凍した冷凍生地を用いる方法もあるが、通常、最終発酵工程後に冷凍した生地は、容積が大きく、流通効率が悪い上、生地が弱くなり、焼成後のパンの内相が荒れ、風味、食感が低下するという問題がある。
そこで、簡便、迅速に消費者に出来立てのパン類を提供するため、解凍工程、及び最終発酵工程を経ずに、冷凍のまま焼成、又は油ちょう可能なパン類用の冷凍生地の開発が進められている。例えば、特許文献1では、パン生地を成形後冷凍し、冷凍保管されたパン生地を冷凍状態のまま焼成することを特徴とするパンの製造方法を目的として、小麦粉、イースト及び水など通常の製パン原料を用いたパンの製造方法において、小麦粉の少なくとも50%以上を薄力粉とするとともに、α−アミラーゼを添加し、さらにリン脂質(レシチン等)を添加してパン生地を成形後、冷凍し、冷凍保管されたパン生地をホイロ(第2発酵)をとらずに焼成することを特徴とするパンの製造方法が開示されている。特許文献1の製造方法においては、小麦粉の一部を澱粉および/またはα化澱粉に置き換えることが好ましいことが記載されている。
特公平05−53454号公報
しかしながら、上記特許文献の方法であっても、パン類用の冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうした場合、イーストによる十分な炭酸ガス発生が得られず、十分にボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を得られない場合もあり、さらなる開発が望まれている。
したがって、本発明の目的は、パン類の製造に用いられるイーストを含有する冷凍生地であって、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても十分にボリュームがあるソフトな食感を有するパン類が製造可能な冷凍生地を提供することにある。また、本発明の目的は、パン類用の冷凍生地を用いて、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても、十分にボリュームがあってソフトな食感を有するパン類が得られるパン類の製造方法を提供することにある。
冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに焼成、又は油ちょうすると、最終発酵工程で期待されるイースト発酵の炭酸ガス発生による膨化が得られない。本発明者等は、その膨化を補う方法を種々検討し、複数の膨化機構を組み合わせることで上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、上記目的は、小麦粉を含む原料粉、及び水を含むパン類用の生地を冷凍した冷凍生地であって、前記原料粉が、前記原料粉の質量を基準として、α化架橋澱粉を2〜8質量%含み、且つ前記生地が、前記原料粉100質量部に対して、ベーキングパウダーを質量部、及びイーストを質量部含有し、前記生地が、リング状に成形されており、前記冷凍生地は、最終発酵工程を経ずに、コンベクションオーブンによる焼成工程、又は潜行フライ法による油ちょう工程による加熱工程を含むパン類の製造方法に用いられることを特徴とする冷凍生地によって達成される。冷凍生地が、原料粉としてα化架橋澱粉を上記範囲の含有率で含むことにより、生地中に水分を多く保持することができ、且つ生地の膜の伸びがよくなるので、生地中の水分が加熱されることで発生する水蒸気によって生地が膨張し易くなり、生地の膨化を補うことができる。また、ベーキングパウダーを上記範囲の含有量で含むことにより、イーストだけでは不十分な炭酸ガス発生を補うことができる。さらに、イーストを上記範囲の含有量で含むことにより、冷凍前の一次発酵において生地に保持される炭酸ガス量を高めることができる。これらの膨化機構の組み合わせによって、本発明の冷凍生地は、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても、十分な膨化が得られ、ボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を製造することができ、前記加熱工程が、コンベクションオーブンによる焼成工程、又は潜行フライ法による油ちょう工程であることにより、生地に均一且つ短時間に熱を加え、膨化させることができるので、さらにボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を製造することができるまた、前記生地が、リング状に成形されていることにより、パン類を焼成、又は油ちょうする加熱工程において、熱の通りを良好にすることができ、生地に均一に熱を加え、膨化させることができるので、さらにボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を製造できる。
本発明の冷凍生地の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記α化架橋澱粉が、タピオカ澱粉、又は馬鈴薯澱粉由来である。これにより、さらに水蒸気による膨化が高められた冷凍生地とすることができる
また、上記目的は、本発明の冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに、コンベクションオーブンによる焼成工程、又は潜行フライ法による油ちょう工程によって焼成、又は油ちょうする加熱工程を含むパン類の製造方法によって達成される。上述の通り、本発明の冷凍生地を用いることで、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても、十分にボリュームがあってソフトな食感を有するパン類を製造することができ、前記加熱工程が、コンベクションオーブンによる焼成工程、又は潜行フライ法による油ちょう工程であることにより、生地に均一且つ短時間に熱を加え、膨化させることができるので、さらにボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を製造することができる。
本発明により、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても十分にボリュームがあるソフトな食感を有するパン類が製造可能な冷凍生地を提供することができるので、パン類製造者が、発酵のための専用設備や技能がなくても、消費者に対して、即時且つ簡便に商品提供を行なうことができる。
[冷凍生地]
本発明の冷凍生地は、小麦粉を含む原料粉、及び水を含むパン類用の生地を冷凍した冷凍生地であって、前記原料粉が、前記原料粉の質量を基準として、α化澱粉を2〜8質量%含み、且つ前記生地が、前記原料粉100質量部に対して、ベーキングパウダーを1〜5質量部、及びイーストを3〜8質量部含有することを特徴とする。一般に、冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに焼成、又は油ちょうすると、最終発酵工程で期待されるイースト発酵の炭酸ガス発生による膨化が得られないため、十分にボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を得られない。本発明においては、その膨化を補うため、複数の膨化機構を組み合わせている。まず、冷凍生地に、原料粉としてα化澱粉を上記範囲の含有率で配合することにより、生地中に水分を多く保持することができ、且つ生地の膜の伸びがよくなるので、生地中の水分が加熱されることで発生する水蒸気によって生地が膨張し易くなり、生地の膨化を補うことができる。また、ベーキングパウダーを、上記範囲の含有量で配合することにより、イーストだけでは不十分な炭酸ガス発生を補うことができる。さらに、イーストを通常よりも多い、上記範囲の含有量で配合することにより、冷凍前の一次発酵において生地に保持される炭酸ガス量を高めることができる。これらの膨化機構の組み合わせにより、本発明の冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても、十分な膨化が得られ、ボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を製造することができる。したがって、本発明の冷凍生地は、最終発酵工程を経ずに焼成、又は油ちょうする加熱工程を含むパン類の製造方法に用いることが好ましい。
後述の実施例に示す通り、原料粉におけるα化澱粉の含有率が上記範囲より少ない場合、十分な膨化が得難くなり、上記範囲より多い場合、生地のべたつきが強くなる。また、冷凍生地におけるベーキングパウダーの含有量が上記範囲より少ない場合、十分な炭酸ガス発生を補うことができず、上記範囲より多い場合、過剰な炭酸ガス発生により生地の崩壊が生じ、吸油量も多くなる。さらに、イーストの含有量が上記範囲より少ない場合、一次発酵において生地に保持される炭酸ガス量が十分でなく、上記範囲より多い場合、生地のべたつきが強くなり、吸油量も多くなる。本発明において、原料粉におけるα化澱粉の含有率は、前記原料粉の質量を基準として、3〜7質量%が好ましく、4〜7質量%がさらに好ましい。また、ベーキングパウダーの含有量は、前記原料粉100質量部に対して、2〜5質量部が好ましく、2〜4質量部がさらに好ましい。さらにイーストの含有量は、前記原料粉100質量部に対して、4〜8質量部が好ましく、4〜7質量部がさらに好ましい。
本発明において、原料粉に含まれる小麦粉としては、パン類の製造に用いられるものであれば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等どのようなものでもよく、パン類の種類によって種々の小麦粉を混合して用いてもよい。また、原料粉として、小麦粉以外の穀粉、例えば、大麦粉、ライ麦粉、燕麦粉、トウモロコシ粉、ホワイトソルガム粉、大豆粉(きな粉)、緑豆粉、そば粉、アマランサス粉、キビ粉、アワ粉、ヒエ粉、米粉等を含んでもよい。
本発明において、原料粉に含まれるα化澱粉は、植物から抽出した澱粉、及びこれらに物理的又は化学的加工を施した加工澱粉をα化処理した澱粉を意味する。具体的には、馬鈴薯澱粉、餅種馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、トウモロコシ澱粉、餅種トウモロコシ澱粉、高アミローストウモロコシ澱粉、サゴ澱粉、小麦澱粉、米澱粉等、又はこれらの澱粉を物理的又は化学的に加工した加工澱粉を、常法によりα化処理したものである。α化処理に用いられる加工澱粉としては、湿熱処理澱粉;酸化澱粉;酸処理澱粉;酢酸澱粉(アセチル化澱粉)等のエステル化澱粉;リン酸化澱粉;ヒドロキシプロピル化澱粉等のエーテル化澱粉;リン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉等の架橋澱粉;アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等の複数の加工を組み合わせた加工澱粉等が挙げられる。α化澱粉としては特に制限はなく、これらを単独、又は複数混合して使用することができる。本発明において、さらに水蒸気による膨化が高められた冷凍生地とするため、α化澱粉は、高い膨化率が得られる馬鈴薯澱粉(餅種馬鈴薯澱粉を含む)、タピオカ澱粉由来であることが好ましい。また、α化澱粉は、パン類用の生地を製造する際のミキシング時に崩壊せず、グルテン形成を阻害しないものが好ましく、α化架橋澱粉を用いることが好ましい。α化架橋澱粉は、リン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等の架橋澱粉をα化したものである。本発明のα化架橋澱粉としては、α化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉、α化リン酸架橋タピオカ澱粉、α化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉、α化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋餅種馬鈴薯澱粉等が挙げられる。また、原料粉として、α化澱粉以外の澱粉類、例えば上述のα化澱粉の原料となる澱粉(加工澱粉を含む)を含んでもよい。
本発明において、ベーキングパウダーは、通常のものであり、基材として炭酸水素ナトリウム、酸性剤として、酒石酸水素カリウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、酒石酸、焼ミョウバン、フマル酸、フマル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン等を含み、さらに賦形剤として澱粉、穀粉、セルロース等を含むものである。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ベーキングパウダーとしては、例えば、アイコクベーキングパウダー 金印(株式会社アイコク製)、アイコクベーキングパウダー白(株式会社アイコク製)等を用いることができる。
本発明において、イーストは、パン類の製造に用いられるものであれば、特に制限はなく、市販のものを適宜用いることができる。特に冷凍耐性を有する冷凍生地用のイーストを用いることが好ましい。冷凍耐性を有するものであれば、インスタントドライイーストであっても、生イーストであっても好ましく用いることができる。生イーストの場合は、例えば水分約70質量%のものを用いることができる。イーストとしては、例えば、カネカイーストGA(株式会社カネカ製)等を用いることができる。
本発明の冷凍生地は、上述の材料以外に、一般に、パン類用の生地に配合されるその他の材料を適宜含むことができる。他の材料としては、砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、異性化糖、水あめ、粉あめ、オリゴ糖、デキストリン、糖アルコール類等の糖質;バター、ラード、サラダ油、マーガリン、ショートニング等の油脂;グルテン、脱脂粉乳、乾燥卵等のたん白質、その他、増粘多糖類、食塩、カルシウム塩、調味料、香料、ビタミンC、乳化剤、イーストフード等が挙げられる。
本発明の冷凍生地は、常法に従って、直捏法、中種法、液種法等の製パン方法を適応して製造することができる。例えば、上記材料を適切な配合で混捏機に投入し、水とともに混捏する。水の量は、原料配合、パン類の種類等に応じて、適宜調節することができる。混捏した生地を必要に応じて、一次発酵、分割、成形し、冷凍する。冷凍方法は、特に制限はなく、従来公知のパン類用の冷凍生地の冷凍方法を用いることができる。本発明の冷凍生地は、上述の通り、最終発酵工程を経ずに焼成、又は油ちょう可能なので、パン類の種類に応じて、適宜、所定の形態に成形した後、冷凍することが好ましい。パン類の種類としては、特に制限はなく、例えば、バターロール、クロワッサン、デニッシュ、ベーグル、揚げパン、イーストドーナツ等が挙げられる。さらに、本発明においては、パン類を焼成、又は油ちょうする加熱工程において、熱の通りを良好にすることができ、上記の複数の膨化機構を効果的に機能させ、さらにボリュームがあるソフトな食感を有するパン類を製造できる冷凍生地とすることができる点で、前記生地が、リング状に成形されていることが好ましい。このようなパン類としては、ベーグル、イーストドーナツ等が挙げられる。
[パン類の製造方法]
本発明のパン類の製造方法は、本発明の冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに焼成、又は油ちょうする加熱工程を含むパン類の製造方法である。上述の通り、本発明の冷凍生地を用いることで、最終発酵工程を経ずに焼成、又は油ちょうしても、複数の膨化機構によって、十分にボリュームがあってソフトな食感を有するパン類を製造することができる。前記加熱方法は、特に制限はなく、パン類の種類に応じて、従来公知の焼成方法、及び油ちょう方法を用いることができる。例えば、コンベクションオーブン(熱風対流式オーブン)、固定釜、ラックオーブン、トンネルオーブン等による焼成方法や、潜行フライ法(フライ油中に投入した生地を金網や多孔板等で押さえ、フライ油の液面以下に沈めた状態で所定時間フライする方法)、反転フライ法(フライ油中に生地を投入し、フライ油の液面に浮いている生地を、所定時間後に反転し、さらに所定時間フライする方法)等による油ちょう方法が挙げられる。本発明においては、生地に均一且つ短時間に熱を加え、上記の複数の膨化機構を効果的に機能させ、膨化させることができるので、前記加熱工程が、コンベクションオーブンによる焼成工程、又は潜行フライによる油ちょう工程であることが好ましい。なお、本発明の製造方法は、パン類の種類や加熱方法によっては、解凍工程、及び最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうする加熱工程を含む製造方法とすることができる。特に、前記加熱方法が、油ちょうの場合、より生地に均一且つ短時間に熱を加えられるので、解凍工程、及び最終発酵工程を経ずに油ちょうする加熱工程を含む製造方法とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.冷凍生地の調製
表1〜4に示した各実施例、及び比較例の生地材料を混捏機に投入し混捏した。混捏した生地を一次発酵(25℃、20分)した後、シート状に圧延し、抜型で各50gのリング状に成形し、−40℃で急速冷凍した。
2.イーストドーナツの調製
表1〜3に示した各実施例、及び比較例の生地材料から、1.の通り調製した冷凍生地について、解凍工程、及び最終発酵工程を経ずに、180℃のフライ油(プレミックスオイル150(昭和産業株式会社製))で、潜行フライ法により、4分間油ちょうした。その後、イーストドーナツの油切りをして室温に冷却した。
3.イーストドーナツの評価
2.で調製したイーストドーナツについて、以下の評価基準により官能評価を行なった。各評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を示した。
(1)外観
5:均一に十分に膨化しており、非常に良好である。
4:均一に膨化しており、良好である。
3:膨化しており、やや良好である。
2:内側のみ破裂するなど不均一に膨化しており、劣っている。
1:膨化せず、非常に劣っている。
(2)食感
5:ソフトな食感で、口溶けも非常に良好である。
4:ややソフトな食感で、口溶けも良好である。
3:ソフトな食感、口溶けともに普通である。
2:ソフトな食感、口溶けともにやや劣っている。
1:ソフトな食感がなく、口溶けが劣っている。
評価結果を表1〜3に示す。
Figure 0006853631
Figure 0006853631
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表1〜3に示した通り、原料粉がα化澱粉を2〜8質量%含み、且つ生地が、原料粉100質量部に対して、ベーキングパウダーを1〜5質量部、及びイーストを4〜8質量部含有する実施例1〜、参考例9、実施例10〜12、参考例13、実施例14及び参考例15の冷凍生地を、解凍工程、最終発酵工程を経ずに油ちょうして得られたイーストドーナツは、外観、食感とも3.0以上の良好な評価であった。これに対し、原料粉におけるα化澱粉の含有率が1%の比較例1、及び9%の比較例2、原料粉100質量部に対するベーキングパウダーの含有量が0質量部の比較例3、及び6質量部の比較例4、並びに原料粉100質量部に対するイーストの含有量が2質量部の比較例5、及び9質量部の比較例6は、外観、食感とも評価が劣っていた。表には示していないが、α化澱粉の含有率が高い比較例2では、生地のべたつきが強く、作業性が劣り、安定的な製造ができなかった。また、ベーキングパウダーの含有量が多い比較例4では、吸油量が多くなり、イーストの含有量が多い比較例6では、生地がべたつき、安定的な製造ができず、吸油量も多くなった。したがって、冷凍生地を、解凍工程、最終発酵工程を経ずに油ちょうして良好なイーストドーナツを調製するためには、生地における原料粉がα化澱粉を2〜8質量%含み、生地が原料粉100質量部に対して、ベーキングパウダーを1〜5質量部、及びイーストを3〜8質量部含有することが必要であることが示唆された。
4.リング状のパンの調製
表4に示した各実施例の生地材料から、1.の通り調製した冷凍生地について、室温(約20℃)で1時間解凍し、最終発酵工程を経ずに、180℃に設定したコンベクションオーブン(株式会社愛工舎製作所製)で、スチームを入れ、5分間焼成した。その後、リング状のパンを室温に冷却した。
5.リング状のパンの評価
4.で調製したリング状のパンについて、3.のイーストドーナツの評価と同様な評価基準により官能評価を行なった。各評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を示した。
Figure 0006853631
表4に示した通り、原料粉がα化澱粉を5〜8質量%含み、且つ生地が、原料粉100質量部に対して、ベーキングパウダーを3質量部、及びイーストを6質量部含有する実施例16〜17の冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに焼成して得られたリング状のパンは、外観、食感とも4.0以上の良好な評価であった。なお、実施例16〜17の評価と、それぞれ同様な冷凍生地を油ちょうした実施例3、6の評価とを比較すると、焼成してパン類を製造する場合は、油ちょうする場合と比較して、α化澱粉、及び加工澱粉の含有率は高い方が好ましいことが示唆された。
以上により、本発明の冷凍生地は、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても十分にボリュームがあるソフトな食感を有するパン類が製造可能であることが示唆された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、最終発酵工程を経ずに、焼成、又は油ちょうしても十分にボリュームがあるソフトな食感を有するパン類が製造可能な冷凍生地を提供することができるので、パン類製造者が、発酵のための専用設備や技能がなくても、消費者に対して、即時且つ簡便に商品提供を行なうことができる。

Claims (3)

  1. 小麦粉を含む原料粉、及び水を含むパン類用の生地を冷凍した冷凍生地であって、
    前記原料粉が、前記原料粉の質量を基準として、α化架橋澱粉を2〜8質量%含み、且つ
    前記生地が、前記原料粉100質量部に対して、ベーキングパウダーを質量部、及びイーストを質量部含有し、
    前記生地が、リング状に成形されており、
    前記冷凍生地は、最終発酵工程を経ずに、コンベクションオーブンによる焼成工程、又は潜行フライ法による油ちょう工程によって焼成、又は油ちょうする加熱工程を含むパン類の製造方法に用いられることを特徴とする冷凍生地。
  2. 前記α化架橋澱粉が、タピオカ澱粉、又は馬鈴薯澱粉由来である請求項1に記載の冷凍生地。
  3. 請求項1又は2に記載の冷凍生地を、最終発酵工程を経ずに、コンベクションオーブンによる焼成工程、又は潜行フライ法による油ちょう工程によって焼成、又は油ちょうする加熱工程を含むパン類の製造方法。
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