JP7120805B2 - 焼成後冷凍パン類及び焼成後冷凍パン類用組成物 - Google Patents
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α化澱粉と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ガム質から選ばれる一種以上の増粘剤と、
が用いられた焼成後冷凍パン類を提供する。
本技術に係る焼成後冷凍パン類では、前記α化澱粉と前記増粘剤との配合比を、1.0~10:0.1~2.0とすることができる。
本技術に係る焼成後冷凍パン類には、更に、マルトース生成アミラーゼを用いることができる。
本技術に係る焼成後冷凍パン類において、前記マルトース生成アミラーゼとしては、少なくともβ-アミラーゼ及び/又はマルトース生成α-アミラーゼを用いることができる。
この場合、前記β-アミラーゼとして5.0~100.0単位用いることができる。
また、前記マルトース生成α-アミラーゼとして3.0~30.0単位用いることができる。
α化澱粉と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ガム質から選ばれる一種以上の増粘剤と、
を含有する焼成後冷凍パン類用組成物を提供する。
本技術に係る焼成後冷凍パン類用組成物には、更に、マルトース生成アミラーゼを含有させることができる。
本技術に係る焼成後冷凍パン類は、(1)α化澱粉と、(2)増粘剤と、が用いられる。また、その他の成分として、(3)マルトース生成アミラーゼや(4)その他パン類に用いることができる成分を用いることもできる。以下、各成分について詳細に説明する。
α化澱粉は、水分とともに加熱することにより糊化した澱粉を、ドラムドライヤーやスプレードライヤー等を用いて急激に脱水乾燥して得られ、加熱を必要とせず、冷水で膨潤糊化するのが特徴である。
原料澱粉は、植物から抽出した澱粉、及びこれらに化学的加工を施した加工澱粉であれば、特に制限はない。例えば、馬鈴薯澱粉、餅種(以下、糯種またはワキシーともいう)の馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、餅米澱粉等の澱粉、及びそれらの澱粉を原料として、化学的に加工を施した加工澱粉が挙げられる。加工澱粉としては、どのような種類の加工澱粉でもよく、例えば、酵素処理澱粉;酸化澱粉;酸処理澱粉;酢酸澱粉(アセチル化澱粉)等のエステル化澱粉;リン酸化澱粉;ヒドロキシプロピル化澱粉等のエーテル化澱粉;リン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉等の架橋澱粉;アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等の複数の加工を組み合わせた加工澱粉等が挙げられる。これらの原料澱粉を常法によってα化処理したものを単独または複数混合して使用することができる。本技術においては、リン酸架橋を有するα化加工澱粉を用いるのが特に好ましい。そして、本技術において、α化澱粉は、粉末状、糊状など任意の状態で用いることができる。
本技術に係る焼成後冷凍パン類に用いる増粘剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」ともいう)、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」ともいう)、ガム質から1種又は2種以上選択して用いることができる。ガム質としては、本技術の効果を損なわない限り、公知のガム質を1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、グアガム、タラガム等が挙げられる。
本技術に係る焼成後冷凍パン類は、前記α化澱粉及び前記増粘剤と共に、更に、マルトース生成アミラーゼを用いることで、再加熱後の喫食時においても、そのパン類本来の食感を保つことができる。マルトース生成アミラーゼとしては、具体的に、β-アミラーゼ及び/又はマルトース生成α-アミラーゼを用いることができる。ここで、マルトース生成α-アミラーゼとは、一般的なカビ由来のα―アミラーゼと違い、マルトースを主体とするオリゴ糖を生成するα―アミラーゼであり、市販品としてはノボザイムズジャパン社のノバミルシリーズ(ノバミル3DBG、ノバミル10000BG)などが挙げられる。また、過剰に添加した場合にも、焼成後冷凍パン類の外観及び食感に悪影響のないことから、β-アミラーゼを選択して用いることがより好ましい。なお、マルトース生成アミラーゼ(β-アミラーゼ、マルトース生成α-アミラーゼ)と共に、本技術の効果を損なわない範囲において、一般的なカビ由来α―アミラーゼとを、併用することも可能である。
本技術に係る焼成後冷凍パン類は、前述した(1)α化澱粉と、(2)増粘剤と、(3)マルトース生成アミラーゼの他に、従来からパン類に用いられている材料や添加物を1種又は2種以上、自由に組み合わせて用いることができる。例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、大豆粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、トウモロコシ粉等の穀粉類;前記α化澱粉以外の澱粉類(加工澱粉類を含む);大豆蛋白質、小麦グルテン、卵粉末、脱脂粉乳などの蛋白素材;植物性油脂、動物性油脂、加工油脂、粉末油脂等の油脂類;食物繊維;澱粉分解物、デキストリン、ぶどう糖、ショ糖、オリゴ糖、マルトース等の糖質類;食塩、炭酸カルシウム等の無機塩類;膨張剤、前記増粘剤以外の増粘剤、乳化剤、前記マルトース生成アミラーゼ以外の酵素製剤、pH調整剤、ビタミン類、イースト、イーストフード、膨張剤、甘味料、香辛料、調味料、ミネラル類、色素、香料などを適宜含有させることができる。なお、本技術における加水量増加の効果を確実にするため、パン類の骨格形成を補助する目的で小麦グルテンを含有させること又は穀粉の一部に超強力粉を用いることがより好ましい。
本技術に係る焼成後冷凍パン類用組成物は、前述した(1)α化澱粉と、(2)増粘剤と、を含有することを特徴とする。また、(3)マルトース生成アミラーゼや(4)その他の成分として、パン類に用いることができる成分を用いることもできる。本技術に係る焼成後冷凍パン類用組成物は、(1)α化澱粉と、(2)増粘剤と、を含有することで、保存・流通時の外皮の剥がれや外皮と内相との分離の発生を抑制し、焼成後冷凍パン類の外観を良好に保つことができる。また、再加熱後の喫食時においても、本来の食感を保つことが可能である。
本技術に係る焼成後冷凍パン類は、一般的に用いる製パン方法にてパン類を製造し、その焼成工程において、半焼成時又は焼成後に、冷凍(凍結)を行うことで、製造することができる。
強力粉:ハイネオン(昭和産業株式会社)
α化澱粉A:α化エーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉
α化澱粉B:α化リン酸架橋タピオカ澱粉
CMC:サンローズF(日本製紙株式会社)
HPMC:メトセルF50(ユニテックフーズ株式会社)
キサンタンガム:ウルトラキサンタン(伊那食品工業株式会社)
マルトース生成アミラーゼ:ノバミル(登録商標)10000BG(ノボザイムズジャパン株式会社)
β-アミラーゼ:βアミラーゼFアマノ(天野エンザイム株式会社)
実験例1では、焼成後冷凍パン類を製造する場合において、各種成分の配合効果を調べた。なお、本実験例では、パン類の一例として、フランスパンを製造した。
[参考例1、参考例1-1~3、実施例4、5、参考例6~11、実施例12~18、比較例1及び2]
下記表1に記載の配合の材料を、低速で8分、中速で10分ミキシングして、混捏生地を調製した。生地の捏上温度は、24℃とした。調製した混捏生地について、室温で60分間フロアタイムをとった後、300gに分割して丸めた。その後、室温で20分間のベンチタイムをとった後、バゲットモルダーを使用してバゲット型に成形して、28℃、湿度70%で60分間のホイロをとった後、蒸気を使用し、230℃で25分間焼成してフランスパンを得た。得られたフランスパンを、室温にて粗熱をとった後、-30℃にて急速冷凍して、焼成後冷凍フランスパンを製造した。
前記で製造した参考例1、参考例1-1~3、実施例4、5、参考例6~11、実施例12~18、比較例1及び2に係る焼成後冷凍パン類(焼成後冷凍フランスパン)を、-18℃にて4週間、冷凍保存した後、下記の評価基準に基づいて、クラスト部(外皮、以下同じ)の状態、及びクラム部(内相、以下同じ)とクラスト部の境界の状態を評価した。なお、クラスト部の状態は自然解凍後の状態を観察し、クラム部とクラスト部の境界の状態は自然解凍の後、再加熱を行い、包丁で輪切りにした断面を観察した。
◎:冷凍前の状態を保っており、商品価値高い
○:品質上問題となる不具合はなく、良好
△:細かな欠損部位はあるが許容範囲内である
×:欠損部位があり、外観劣る
××:大きな欠損部位があり、商品価値なし
○:クラム部とクラスト部の分離(隙間)は認められず、良好な状態である
△:クラム部とクラスト部に僅かな分離(隙間)があるが許容範囲内である
×:クラム部とクラスト部に一部分離(隙間)がみられる
××:クラム部が縮み、クラスト部と明らかに分離し、商品価値なし
10名の専門パネルにより、下記の評価基準に基づいて、食感の評価を行った。10名の専門パネルの評価点の平均値を算出した値を評価点とした。
5:非常にソフトで、しっとりとした食感であり、優れている
4:しっとりとした食感で好ましい
3:通常製法での標準的な食感である
2:やや引きがあり、劣る
1:ヒキが強く、明らかに老化している
結果を下記表1に示す。
表1に示す通り、増粘剤を用いていない比較例1は、再加熱後の食感評価が劣り、α化澱粉を用いていない比較例2は、クラスト部に大きな欠損部位があり、クラム部とクラスト部に一部分離が見られた。これに対して、α化澱粉と、増粘剤とを併用した参考例1-1~3、実施例4、5、参考例6~11、実施例12~18は、外観の状態も問題なく、再加熱後の食感評価も良好であった。
また、実施例4及び5の結果から、マルトース生成アミラーゼを用いる場合に、その種類を変更しても、本技術の結果を得られることが分かった。
実験例2では、各種バラエティでの効果の確認を行った。
下記表2の配合、工程にて、焼成冷凍ソフトフランスパンを製造した。冷凍保存4週間後に、自然解凍を行い、次いでオーブンにて220℃3分間の再加熱を行い、ソフトフランスパンを得た。自然解凍後の外観(クラスト部の状態)は良好であった。再加熱後4時間経過後に、パン切り包丁にてカットし、断面の観察(クラム部とクラスト部の境界の状態)を行い、さらに食味評価を行った。断面観察では、クラム部とクラスト部の分離は認められず良好な状態であった。また食味評価では、しっとりとした食感で、美味であった。
下記表2の配合、工程にて、焼成冷凍ロールパンを製造した。冷凍保存4週間後に、自然解凍を行い、次いでオーブンにて200℃3分間の再加熱を行い、ロールパンを得た。自然解凍後の外観(クラスト部の状態)は良好であった。再加熱後4時間経過後に、パン切り包丁にてカットし、断面の観察(クラム部とクラスト部の境界の状態)を行い、さらに食味評価を行った。断面観察では、クラム部とクラスト部の分離は認められず良好な状態であった。また食味評価では、しっとりとした食感で、美味であった。
Claims (8)
- 小麦粉と、
α化澱粉と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ガム質から選ばれる一種以上の増粘剤と、
マルトース生成アミラーゼと、
を含有する焼成後冷凍パン類用組成物。 - 前記α化澱粉は、リン酸架橋を有するα化加工澱粉である、請求項1に記載の焼成後冷凍パン類用組成物。
- 前記α化澱粉と前記増粘剤との配合比が、1.0~10:0.1~2.0である、請求項1又は2記載の焼成後冷凍パン類用組成物。
- 前記マルトース生成アミラーゼとして、少なくともβ-アミラーゼ及び/又はマルトース生成α-アミラーゼが用いられた、請求項1から3のいずれか一項に記載の焼成後冷凍パン類用組成物。
- 前記β-アミラーゼとして5.0単位以上用いられた、請求項4記載の焼成後冷凍パン類用組成物。
- 前記マルトース生成α-アミラーゼとして3.0~30.0単位用いられた、請求項4又は5に記載の焼成後冷凍パン類用組成物。
- β-アミラーゼとして5.0単位以上及びマルトース生成α-アミラーゼとして3.0~30.0単位が用いられた、請求項4から6のいずれか一項に記載の焼成後冷凍パン類用組成物。
- 小麦粉と、
α化澱粉と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ガム質から選ばれる一種以上の増粘剤と、
マルトース生成アミラーゼと、
が用いられた焼成後冷凍パン類。
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JP2018094917A JP7120805B2 (ja) | 2018-05-16 | 2018-05-16 | 焼成後冷凍パン類及び焼成後冷凍パン類用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018094917A JP7120805B2 (ja) | 2018-05-16 | 2018-05-16 | 焼成後冷凍パン類及び焼成後冷凍パン類用組成物 |
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JP2018094917A Active JP7120805B2 (ja) | 2018-05-16 | 2018-05-16 | 焼成後冷凍パン類及び焼成後冷凍パン類用組成物 |
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2018
- 2018-05-16 JP JP2018094917A patent/JP7120805B2/ja active Active
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