JP2020130007A - 冷凍パン生地、該冷凍パン生地を用いたパン類の製造方法及びパン類、並びに冷凍パン生地用組成物 - Google Patents

冷凍パン生地、該冷凍パン生地を用いたパン類の製造方法及びパン類、並びに冷凍パン生地用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】最終発酵を行う必要がない冷凍パン生地を提供すること。【解決手段】穀粉類と、α化澱粉と、増粘剤及び/又は膨張剤及び/又はマルトース生成アミラーゼと、を含有し、前記α化澱粉の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%である、冷凍パン生地、並びに該冷凍生地を用いたパン類の製造方法及びパン類。【選択図】なし

Description

本発明は、冷凍パン生地、該冷凍パン生地を用いたパン類の製造方法及びパン類、並びに冷凍パン生地用組成物に関する。
パン類の製造において、成形済み冷凍パン生地を用いる技術が普及している。成形済み冷凍パン生地を用いることで生地の作製から成形までの工程を省略できるため、店舗面積の縮小や設備負担の軽減を図ることが可能であり、且つ、熟練した職人以外の者でも簡便にパンを製造することが可能である。
成形済み冷凍パン生地を用いた焼き立てパンの提供には、少なくとも冷凍保存、解凍、最終発酵(ホイロ)及び焼成の設備が必要である。小規模な店舗や既存の喫茶店などが焼き立てパンの提供を始めるにあたり、特に障壁となっていると考えられるのが最終発酵に必要な設備の準備である。
上記障壁を解消する有用な技術の1つが、最終発酵を必要としない冷凍パン生地を用いた製パン技術である。例えば、特許文献1には、解凍及び醗酵をとるための専用設備を必要としない技術として、酵母を含有した穀物粉組成物と油脂組成物(折り込み油脂)を用い連続的な多層構造のパン生地を形成し、該パン生地を所望の形状に形成した後、該形成物の最厚部表面に凹みを形成せしめることを特徴とする冷凍パン生地の製造法が記載されている。
また、市販品として最終発酵済みの冷凍パン生地が流通しており、このような生地を用いる場合も最終発酵用の設備は不要である。
国際公開第2011/87152号
しかしながら、特許文献1に記載の技術はクロワッサン生地などの多層構造を有する冷凍パン生地に関する技術であり、多層構造を有しない冷凍パン生地において最終発酵を必要とせずにパンを製造する技術は確立されていない。また、最終発酵済みの冷凍パン生地は、生地が2倍以上に膨張した状態で冷凍される。そのため輸送コストが高くなるだけでなく、衝撃に弱く、保管及び流通において破損防止の対策が必要であり、コストが増大するというデメリットがある。
そこで、本発明は、最終発酵を行う必要がない冷凍パン生地を提供することを主目的とする。
すなわち、本発明は、
穀粉類と、
α化澱粉と、
増粘剤及び/又は膨張剤及び/又はマルトース生成アミラーゼと、を含有し、
前記α化澱粉の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%である、冷凍パン生地を提供する。
前記膨張剤の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量部に対して0.5〜6.0質量部であってもよい。
前記増粘剤の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量部に対して、0.2〜2.0質量部であってもよい。
前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びガム質からなる群より選択される少なくとも1種を含有してもよい。
前記冷凍パン生地は、前記マルトース生成アミラーゼとして、β−アミラーゼ及び/又はマルトース生成α−アミラーゼを含有してもよい。
前記冷凍パン生地は、生地玉冷凍パン生地又は成形済み冷凍パン生地であってもよい。
前記冷凍パン生地は、最終発酵を必要としないことを特徴とすることができる。
本発明は、前記冷凍パン生地を最終発酵させずに加熱する工程を含む、パン類の製造方法を提供する。
前記パン類の製造方法は、前記冷凍パン生地を解凍する工程を含んでもよい。
本発明は、前記冷凍パン生地を加熱してなるパン類を提供する。
本発明は、
穀粉類と、
α化澱粉と、
増粘剤及び/又は膨張剤及び/又はマルトース生成アミラーゼと、を含有し、
前記α化澱粉の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%である、冷凍パン生地用組成物を提供する。
本発明によれば、最終発酵を行う必要がない冷凍パン生地が提供されうる。また、本発明によれば、最終発酵を行わなくても、従来の冷凍パン生地を最終発酵して得られるパン類に近い品質のパン類が得られうる。当該パン類は、しわが少なく外観が良好で、比容積が大きくボリュームがあり、しっとり感があって口溶けが良い。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<1.冷凍パン生地>
本発明の一実施形態に係る冷凍パン生地は、穀粉類(但し、α化澱粉を除く。以下同様。)及びα化澱粉を必須成分とする。本実施形態の冷凍パン生地は、さらに、増粘剤及び/又は膨張剤及び/又はマルトース生成アミラーゼを必須成分とする。すなわち、本実施形態の冷凍パン生地は、増粘剤、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼからなる群より選択される少なくとも1種を必須成分とする。α化澱粉の含有量は、穀粉類及びα化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%である。このような配合とすることで、最終発酵を行わなくともパン生地を加熱により十分に膨化させることが可能である。また、上記冷凍パン生地から最終発酵を経ずに製造されたパン類は、従来の冷凍パン生地を最終発酵して製造されたパン類に近い品質を有しており、具体的には、外観が良好で、ボリュームがあり、硬くなく、しっとり感があって口溶けが良い。つまり、本実施形態の冷凍パン生地は、最終発酵を必要としないことを特徴としており、最終発酵させずに加熱工程を行うパン類の製造方法に好適である。
なお、「最終発酵」とは、「ホイロ」ともいい、生地を成形した後加熱する前に発酵させる工程を意味する。最終発酵は、後段の焼成工程(加熱工程)での窯伸びや火通りを最適な状態とするために一般的な製パン方法においては必要不可欠な工程であり、加熱した際の窯伸び力が発揮できる程度に成形後の生地を膨張させる目的で行われる。また、生地表面の乾燥防止やイーストの活動を活性化させるために、湿度(70%以上)や温度(生地の種類により異なるが概ね27〜38℃)を制御した専用の発酵室で行われる。パン類の種類によって異なるが、一般的には、成形直後の生地の2.5倍程度に膨張させる。最終発酵が不足(最終発酵における生地の膨張が不足)すると、焼成後のパン類はボリュームに欠け、形状が不揃いとなり、火通りが悪く、重く、クチャつく食感となる。また最終発酵が過度(最終発酵における生地の膨張が過度)になると、焼成後のパン類は、外観の品質低下(腰折れやシワの発生、焼き色が付かないなど)、内相の品質低下(空洞の発生など)、食感の低下(パサつきなど)が生じてしまう。
本明細書において「最終発酵を経ずに」・「最終発酵させずに」・「最終発酵を行わずに」とは、何れも成形後の生地を後段の加熱工程に供するのに適した生地膨張の状態とするための工程を行わないことを意味する。
(1)冷凍パン生地の成分
(1−1)穀粉類
冷凍パン生地に用いられる穀粉類は、特に限定されず、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、デュラム小麦粉などの小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、大豆粉(全脂又は脱脂大豆粉、おから、豆乳粉)、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、トウモロコシ粉などの公知の穀粉、及び、α化澱粉以外の澱粉類(加工澱粉類を含む)から選択される1種又は2種以上でありうる。これらの中でも小麦粉(好ましくは強力粉)を含むことが好ましい。また、α化澱粉以外の澱粉類(加工澱粉類を含む)を含む場合は小麦粉(好ましくは強力粉)を併用することが好ましい。
(1−2)α化澱粉
冷凍パン生地におけるα化澱粉の含有量は、穀粉類及びα化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%であり、より好ましくは3.0〜9.0質量%である。α化澱粉には生地中の水分量を増やす働きがあり、生地作製に必要な加水量が増す。α化澱粉を含有することにより、生地中の水分量が増え、生地の加熱工程において水蒸気膨化による生地膨張が起こり、パン類の容積が増加する。しかしながら、α化澱粉は水分の保持力は弱いため、α化澱粉の含有量を10質量%超とすると、生地のべたつきが生じて生地作製時の作業性が悪化する。また、含有量を10質量%超とすると、水蒸気膨化が過剰となり、加熱後のパン類(放冷後)において、縮みが生じてしわが発生し見た目が劣る場合がある。一方、α化澱粉の含有量を1.5質量%未満とすると、パン類のしっとり感と口溶けが悪化する場合がある。
上記α化澱粉は、好ましくはα化加工澱粉であり、より好ましくは架橋処理が施されたα化架橋澱粉である。α化架橋澱粉を用いることで、最終発酵工程を経ずに製造されるパン類の品質をより向上させることが可能である。α化澱粉の原料となる澱粉(原料澱粉)は、植物から抽出した澱粉、及びこれらに化学的加工を施した加工澱粉であれば、特に制限はない。例えば、馬鈴薯澱粉、餅種(糯種又はワキシーともいう。)の馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、餅米澱粉などの澱粉、及びこれらの澱粉を原料として化学的な加工が施された加工澱粉が挙げられる。加工澱粉としては、どのような種類の加工澱粉でもよく、例えば、酵素処理澱粉;酸化澱粉;酸処理澱粉;酢酸澱粉(アセチル化澱粉)などのエステル化澱粉;リン酸化澱粉;ヒドロキシプロピル化澱粉などのエーテル化澱粉;リン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉などの架橋澱粉;アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉などの複数の加工を組み合わせた加工澱粉;などが挙げられる。本実施形態の冷凍パン生地は、これらの原料澱粉を常法によってα化処理したα化澱粉を1種又は2種以上含有しうる。本実施形態の冷凍パン生地に用いられるα化澱粉としては、リン酸架橋を有するα化加工澱粉が更に好ましく、α化エーテル化リン酸架橋澱粉及び/又はα化リン酸架橋澱粉が特に好ましい。上記α化澱粉は、粉末状、糊状など任意の状態で用いることができる。
(1−3)増粘剤
本実施形態の冷凍パン生地は、更に増粘剤を含有することが好ましい。冷凍パン生地における増粘剤の含有量は、穀粉類及びα化澱粉の合計100質量部に対して、好ましくは0.2〜2.0質量部であり、より好ましくは0.2〜1.0質量部である。増粘剤には、生地の水分量増加に加えて水分保持力を高める働きがある。増粘剤は、α化澱粉との併用により、加水量増加に伴う生地のべたつきなどの作業性の悪化を抑制する。また、増粘剤は、加熱後の品質、特に食感(しっとり感)を向上させる。加熱後の製品の食感、特にしっとり感を向上させるためには、製品が一定の水分を保持している必要がある。増粘剤とα化澱粉とを併用することで、十分な水蒸気膨化による製品容積の増大と、しっとり感を実現できる製品中の水分量保持と、を両立することができる。
増粘剤は、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」ともいう。)、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」ともいう。)及びガム質からなる群より選択される少なくとも1種である。ガム質としては、例えば、キサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム及びタラガムなどが挙げられ、これらの中でもキサンタンガム及び/又はグアガムが好ましい。すなわち、上記増粘剤は、より好ましくは、HPMC、CMC、キサンタンガム及びグアガムからなる群より選択される少なくとも1種である。上記増粘剤は、更に好ましくはHPMC及び/又はCMCであり、特に好ましくはCMCである。
(1−4)膨張剤
本実施形態の冷凍パン生地は、更に膨張剤を含有することが好ましい。冷凍パン生地における膨張剤の含有量は、穀粉類及びα化澱粉の合計100質量部に対して0.5〜6.0質量部が好ましく、1.0〜5.0質量部がより好ましい。本発明者らは、膨張剤には、生地の加熱工程での火通りを良くして過剰水分の気化を促進することで加熱の初期段階から水蒸気膨化を促す働きがあること、及び余分なガス(水蒸気)を逃がす効果があることを見出した。そして、これら膨張剤の効果により、火抜け・火通りが良くなり食感が向上することを見出した。このため、0.5〜6.0質量部の割合で膨張剤を含有することで、加熱後の製品の縮みが起きにくく、製品の容積を増大させることができ、さらに、火抜け・火通りが良くなって食感が向上する。また、含有量の上限を6.0質量部以下とすることで、水蒸気膨化により発生したガスが過剰に逃げることを防止して、製品容積の減少、製品の硬化、及び食味への影響(苦味、酸味の発生など)を抑えることができる。
膨張剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。また、これらのガス発生基剤に加えて、酸性剤、遮断剤などを含有するいわゆるベーキングパウダーを膨張剤として用いることも可能である。本実施形態の冷凍パン生地においては、これらの膨張剤の中でもベーキングパウダーが好適に用いられる。
(1−5)マルトース生成アミラーゼ
本実施形態の冷凍パン生地は、更にマルトース生成アミラーゼを含有することが好ましい。マルトース生成アミラーゼを含有することにより、最終発酵を行わずに焼成した場合でもしっとり感と口溶けがより良好なパン類が容易に得られる。マルトース生成アミラーゼとしては、具体的にはβ−アミラーゼ及び/又はマルトース生成α−アミラーゼを用いることができる。マルトース生成α−アミラーゼとは、一般的なカビ由来のα−アミラーゼと違い、マルトースを主体とするオリゴ糖を生成するα−アミラーゼであり、市販品としてはノボザイムズ社のノバミル(登録商標)シリーズ(ノバミル3DBG、ノバミル10000BG)などが挙げられる。また、過剰に添加した場合にも、製パン時の作業性や焼成後のパン類の品質に悪影響を及ぼさないことから、β−アミラーゼを選択して用いることがより好ましい。なお、マルトース生成アミラーゼ(β−アミラーゼ、マルトース生成α−アミラーゼ)と共に、本技術の効果を損なわない範囲において、一般的なカビ由来α−アミラーゼとを、併用することも可能である。
β−アミラーゼを用いる場合の含有量は、本技術の効果を損なわない限り自由に設定することができるが、5.0単位以上とすることが好ましく、10.0単位以上とすることがより好ましく、20.0〜150.0単位とすることがさらに好ましい。β−アミラーゼの含有量を5.0単位以上とすることで、最終発酵を行わずに焼成した場合でもしっとり感と口溶けが良好なパン類が得られる。なお、150単位を超えて添加しても問題ないが、後述する実施例に示す通り、150単位を超えて添加しても、その効果に変化がなく、また96単位の添加でも高い効果を発揮するため、コスト削減の観点からは、150単位以下とすることが好ましく、100単位以下とすることがより好ましい。
マルトース生成α−アミラーゼを用いる場合の含有量は、本技術の効果を損なわない限り自由に設定することができるが、3.0〜30.0単位とすることが好ましく、5.0〜25.0単位とすることがより好ましい。マルトース生成α−アミラーゼの含有量を3.0単位以上とすることで、最終発酵を行わずに焼成した場合でもしっとり感と口溶けが良好なパン類が得られる。また、30.0単位以下とすることで、製パン時の作業性を良好に保つことができる。
更には、本実施形態の冷凍パン生地には、マルトース生成α−アミラーゼとβ−アミラーゼを併用することもでき、併用する場合であってもそれぞれ上記の酵素単位の範囲で用いればよい。
なお、β−アミラーゼの上記「1単位」とは、第四版既存添加物自主規格(日本食品添加物協会、2008年10月16日発刊)記載のデンプン糖化力測定法に従い測定した、1分間に1mgのブドウ糖に相当する還元力の増加をもたらす酵素量を示す。
またマルトース生成α−アミラーゼの上記「1単位」とは、マルトトリオースを基質として酵素を作用させ、1分間に1μmolのマルトースを生成する酵素量を示す。マルトースの測定は、還元糖の定量法第2版(福井作蔵著 学会出版センター)を参照して行うことができる。
本実施形態の冷凍パン生地は、前述のとおり、増粘剤、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼのうち少なくとも1種を含有する。これにより、最終発酵を行わずとも良好な品質のパン類が得られる冷凍パン生地となる。増粘剤、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼは、それぞれが本発明の効果をもたらす成分であり、いずれを用いても本発明が目的とする冷凍パン生地が得られる。冷凍パン生地から得られるパン類の品質をより向上させる観点からは、増粘剤、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼのうち少なくとも2種を含有することが好ましく、増粘剤、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼを含有することがより好ましい。
(1−6)イースト
本実施形態の冷凍パン生地は、従来の冷凍生地において通常用いられる量のイーストを含有させればよい。イーストを含有させる手段は、通常の製パン法における手段と同様に行えばよく、生地配合にイーストを直接添加する方法や予備発酵を行って添加する方法、サワー種・液種等の発酵種の形態で添加する方法などが挙げられる。イーストの種類は、特に限定されず、生イースト(圧搾パン酵母)、インスタントドライイースト、ドライイースト、セミドライイースト(アクティブドライイースト)、いわゆる天然酵母、など、パン類の製造方法で通常用いられるものであればよい。
(1−7)その他
本実施形態の冷凍パン生地は、本発明の効果を損なわない範囲において、上述した成分以外に、パン類用の生地に一般的に配合される他の成分を含有することができる。当該他の成分としては、例えば、小麦グルテン;ふすま、豆皮などの穀物外皮及びその加工品;大豆蛋白質、豆乳などの大豆加工品(穀粉類である大豆粉を除く);植物性油脂、動物性油脂、加工油脂、粉末油脂などの油脂類;卵黄、卵白、全卵などの卵類;脱脂粉乳、カゼイン、チーズ、牛乳などの乳由来製品;食物繊維;澱粉分解物、デキストリン、ぶどう糖、ショ糖、オリゴ糖、マルトースなどの糖質類;食塩、炭酸カルシウムなどの無機塩類;上記マルトース生成アミラーゼ以外の酵素製剤;乳化剤、その他、pH調整剤、ビタミン類、イーストフード、甘味料、香辛料、調味料、ミネラル類、色素、香料などが挙げられる。加熱後、放冷中の縮み(外皮のシワ発生)を予防するために、小麦グルテンを添加するのがより好ましい。
(2)冷凍パン生地の形態
一般的に、冷凍パン生地は、ミキシング後、成形前の生地を凍結した生地玉冷凍パン生地;成形後、最終発酵前の生地を凍結した成形済み冷凍パン生地;最終発酵後、加熱前の生地を凍結したホイロ済み冷凍パン生地に大別される。また生地玉冷凍パン生地は、ミキシング後のパン生地を大分割した状態で凍結されるものと、目的の重量に小分割して凍結されるものがあり、前者は解凍後に目的の重量に分割して用いられる。本実施形態の冷凍パン生地は、上述の通り最終発酵を必要としないことを特徴とするため、好ましくは生地玉冷凍パン生地又は成形済み冷凍パン生地であり、解凍後の工程の簡便性からより好ましくは成形済み冷凍パン生地である。
(3)冷凍パン生地の製造方法
上記冷凍パン生地は、ストレート法、中種法、発酵種法、湯種法などの公知の製パン方法により製造されうる。例えば、生地用の各種成分をミキシングして混捏生地を調製し、必要に応じて、フロアタイム、分割及び丸め、ベンチタイム、成形といった工程を行った後に生地を凍結することで、冷凍パン生地を製造することが可能である。本実施形態の製造方法においては、分割及び丸め後成形前にパン生地を凍結すること、又は、成形後最終発酵させずにパン生地を凍結することが好ましい。すなわち、本実施形態の製造方法は、好ましくは分割及び丸め後成形前に生地を凍結する生地玉冷凍パン生地の製造方法であり、好ましくは成形後最終発酵させずに生地を凍結する成形済み冷凍パン生地の製造方法である。生地玉冷凍パン生地の製造方法において、分割及び丸めと成形の間に任意でベンチタイムを設けてもよい。
パン生地の凍結条件は、生地の種類や大きさなどによって適宜調整されればよく、特に限定されないが、凍結温度は好ましくは−20℃以下であり、より好ましくは−30℃以下であり、急速凍結とすることが好ましい。また、凍結後の冷凍パン生地の冷凍保管条件は、生地の種類や大きさなどによって適宜調整されればよく、特に限定されないが、冷凍保管の温度は好ましくは−18℃以下であり、より好ましくは−20℃以下である。
<2.パン類の製造方法>
本発明の一実施形態に係るパン類の製造方法は、上記冷凍パン生地を、最終発酵させずに加熱する工程を含む。上記冷凍パン生地を用いることで、最終発酵工程を省略することが可能であり、生地を最終発酵させずに加熱しても、従来の冷凍パン生地を最終発酵して製造されたパン類に近い品質のパン類を製造することができる。より具体的には、本実施形態の製造方法は、外観が良好でボリュームがあり、ソフトで、しっとり感があって口溶けが良いパン類を製造することができる。
上記冷凍パン生地が生地玉冷凍生地である場合は、少なくとも解凍後に所望の成形を行った後に、加熱してパン類を製造することができる。上記冷凍パン生地が成形済み冷凍生地である場合は、少なくとも解凍が行われた生地を加熱することでパン類を製造することができる。
解凍方法は、特に限定されず、冷凍パン生地の解凍において一般的に用いられる方法であればよい。簡易的な手法としては、例えば、常温(室温)解凍、冷蔵解凍などのある一定の温度帯で解凍する手段が挙げられ、応用的な手段としては、解凍温度を適宜変化させて解凍する手段が挙げられる。後者は、ドウコンディショナー等のプログラム制御が行える設備を用いることで簡便に実施が可能である。
常温(室温)解凍は、解凍時間が短く、特別な設備を必要としないが、生地表層部と中心部で温度差が生じるため、解凍状態に個体差を生じやすい。特に冷凍パン生地が成形済み冷凍生地である場合は、加熱後のパン類の品質安定性に留意する必要がある。
冷蔵解凍は、緩やかに解凍が進むため、生地表層部と中心部の温度差が少なく推移し、生地全体を均一に解凍することができる。また冷蔵解凍では、生地の温度推移が緩やかであり、かつイーストの活動が抑制される温度帯であるため、前日に解凍を開始すれば、翌日の作業状況に合わせて適宜解凍を終了させて、次工程(生地玉冷凍生地の場合は成形工程、成形済み冷凍生地の場合は最終発酵工程又は加熱工程)に供することができるので利便性が高い。
上記冷凍パン生地が成形済み冷凍生地である場合の解凍方法では、解凍の過程の多くを冷蔵温度帯で行うことが好ましい。ここで、冷蔵温度帯とは、0〜10℃である。生地の種類や大きさにより異なるが、冷蔵解凍(冷蔵温度帯にて解凍を行うこと)の場合、0〜10℃の環境下で、6〜48時間保管することが好ましく、8〜36時間保管することがより好ましい。ドウコンディショナー等の設備を用いて、プログラム制御による解凍を行う場合、0〜10℃の環境下で少なくとも6時間、好ましくは8〜18時間保管した後に、温度条件を上昇させるのが好ましい。このような条件下で解凍を行うことで、生地全体が均一に解凍され、加熱時の窯伸びが十分に行える生地状態とすることができる。
本実施形態のパン類の製造方法において、上記冷凍パン生地(解凍された生地を含む)の加熱方法は、特に限定されず、焼成、油ちょう、蒸しなど公知の方法が用いられうる。加熱の条件も特に限定されず、生地の大きさやパンの種類などに応じて適宜調節されればよい。加熱方法が、焼成である場合は焼成時に蒸気を入れて加熱するのがより好ましく、油ちょうである場合は潜行式の油ちょうを行うのがより好ましい。蒸気の利用や潜行式とすることで、最終発酵を行わずに加熱した場合でも、窯伸びを促進し、容積増大効果をより高めることができる。
<3.パン類>
本発明の一実施形態に係るパン類は、上記冷凍パン生地を用いて製造され、好ましくは上記冷凍パン生地を最終発酵させずに加熱してなるパン類である。パン類の種類は、イーストを含有するパンであれば特に限定されず、例えば、食パン、ロールパン、菓子パン、フランスパン等のハード系パン類、デニッシュペストリー、バラエティブレッド、調理パン、イーストドーナツ類などが挙げられる。本実施形態のパン類は、従来の冷凍パン生地から最終発酵工程を経て製造されるパン類に近い品質を有しており、しわが少なく外観が良好で、比容積が大きくボリュームがあり、ソフトで、しっとり感があって口溶けが良好である。
<4.冷凍パン生地用組成物>
本発明の一実施形態に係る冷凍パン生地用組成物は、上述した冷凍パン生地に用いられる組成物である。当該組成物は、穀粉類(但し、α化澱粉を除く)と、α化澱粉と、を必須成分とし、さらに、増粘剤及び/又は膨張剤及び/又はマルトース生成アミラーゼを必須成分とする。本実施形態の組成物において、α化澱粉の含有量は、穀粉類及びα化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%である。穀粉類、α化澱粉、膨張剤、増粘剤及びマルトース生成アミラーゼの詳細については、上記冷凍パン生地の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明を省略する。
本実施形態の冷凍パン生地用組成物は、粉末状の形態であることが好ましい。当該組成物は、穀粉類、α化澱粉、増粘剤、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼ以外の原料として、パン類の生地に一般的に配合される原料を、1種又は2種以上含有してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例で使用した原料の一部を以下に示す。
強力粉:ブルチアーレ(昭和産業株式会社)
α化澱粉A:α化エーテル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉
α化澱粉B:α化リン酸架橋タピオカ澱粉
CMC:サンローズF(日本製紙株式会社)
HPMC:メトセルF50(ユニテックフーズ株式会社)
キサンタンガム:ウルトラキサンタン(伊那食品工業株式会社)
グアガム:ネオソフトG(太陽化学株式会社)
β−アミラーゼ:βアミラーゼFアマノ(天野エンザイム株式会社)
マルトース生成α−アミラーゼ:ノバミル(登録商標)10000BG(ノボザイムズジャパン株式会社)
イースト:カネカイーストGA(株式会社カネカ)
改良剤:C冷凍生地用フード(オリエンタル酵母工業株式会社)
膨張剤(ベーキングパウダー):トップBPアルフリー(奥野製薬工業株式会社)
(1)試験例1
<冷凍パン生地の製造>
下記表1に示す配合の原料のうちマーガリン以外をミキサーボウルに入れ、ミキサーの低速で4分間、中速で8分間ミキシングした後、マーガリンを添加し、ミキサーの低速で3分間、中速で6分間ミキシングして混捏生地を調製した。生地の捏上温度は、20±1℃とした。フロアタイムを10分間とり、一玉60gに分割して丸めた後、ベンチタイムを10分間とった。生地をロール成形し、−30℃で40分間急速冷凍して冷凍パン生地を製造した。得られた冷凍パン生地は、−18℃の冷凍庫で4週間保管した。なお、下記表1に示す参考例1及び2は、従来の成形済み冷凍パン生地に相当する。
<パン類の製造>
上記冷凍パン生地を、下記表1に示す解凍条件(温度及び時間)で解凍した後、200℃で13分間焼成し、ロールパンを製造した。参考例2、実施例及び比較例は最終発酵(ホイロ)を行わなかったが、参考例1のみ解凍後焼成前に38℃で60分間最終発酵(ホイロ)を行った。なお、参考例1は、従来の成形済み冷凍パン生地を最終発酵して得られたロールパンであり、参考例2は、従来の成形済み冷凍パン生地を最終発酵せずに得られたロールパンである。
<評価>
得られたロールパンの外観及び食感について、以下の基準に従って10名の専門パネルが評価を行った。また、得られたロールパンの比容積と物性(硬さ)を以下の手順で求めた。
[外観]
10名の専門パネルの合議により以下の5段階で評価した。
5:しわが全くなく良好
4:しわがほとんどなく良好
3:しわが少なくやや良好
2:しわがやや多くやや不良
1:しわが非常に多く不良
[食感]
10名の専門パネルが各自、以下の5段階で評価した。
5:しっとり感が非常に強く、口溶けが良い
4:しっとり感が強く、口溶けが良い
3:しっとり感があり、口溶けが良い
2:しっとり感がやや弱く、口溶けが悪い
1:しっとり感が非常に弱く、口溶けが悪い
下記表1には、10名の専門パネルが付与した評価点の平均点、最高点及び最低点を示した。
[比容積]
得られたロールパンを室温まで冷却した後、ロールパンの体積(cm)を3Dレーザー体積計(Selnac−WinVM2100、株式会社アステックス製)を用いて測定し、体積を質量(g)で除することにより比容積(cm/g)を算出した。同一条件で製造した10個の試料の平均値を評価結果として下記表1に記載した。
[物性(硬さ)]
下記条件で物性(硬さ)を測定した。測定結果の数値(単位:g)は、大きいほど硬いことを示す。
使用機器:Texture Analyser XTplus型(Stablemicrosystems社製)
使用プランジャー:φ10mm、シリンダー型(10mm Cyl.Delrin)
プランジャー速度:1mm/sec
測定方法:50%圧縮×2サイクル
測定点数:6点(下記表には平均値を記載)
測定試料の前調製:焼成後20時間経過後のロールパンを用い、パンの下部表面(焼成時に下方に位置し、鉄板に接していた焼成面)から20mmの厚さでスライスした切片(大きさ:3cm×3cm)を調製して測定に供した。
結果を下記表1に示す。なお、下記表において、各成分の配合量の単位は原則「質量部」であり、穀粉類とα化澱粉との合計が100質量部となっている。ただし、酵素の配合量は「単位」で示している。また、比容積の単位は「cm/g」であり、物性(硬さ)の単位は「g」である。
上記表1の結果が示すように、従来の成形済み冷凍パン生地を用いて最終発酵を経ずに製造された参考例2のパンは、比容積が小さくボリューム感に欠け、硬く、食感が悪かった。従来の成形済み冷凍パン生地を最終発酵させた参考例1のパンと、上記参考例2との結果から、従来の冷凍パン生地は最終発酵を行わないとパンの品質を確保できないことが確認された。これに対して、実施例1のパンは、最終発酵を行っていないにも関わらず、外観、比容積(ボリューム)、硬さ、食感が良好であり、参考例1のパンに近い品質を有していた。この結果から、本発明の冷凍パン生地は、最終発酵を行う必要がないことが確認された。また、本発明の冷凍パン生地から得られるパンは、最終発酵を行わなくても従来の冷凍パン生地を最終発酵して得られるパンに近い品質を有していることが確認された。
穀粉及びα化澱粉を含有し、増粘剤、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼを含有しない比較例1のパンは、外観と食感が悪かった。この結果から、穀粉とα化澱粉の2成分では本発明の効果が得られないことが確認された。
(2)試験例2
試験例2では、α化澱粉の含有量を変更した試験を行った。具体的には、下記表2に示す配合及び条件で試験例1と同様の手順でロールパンを製造し評価した。結果を下記表2に示す。
上記表2の結果が示すように、α化澱粉の含有量を1.5質量部又は10.0質量部に変更しても本発明の効果が得られることが確認された。α化澱粉を含有しない比較例2のパンはしっとり感が弱く口溶けが悪かったことから、しっとり感と良好な口溶けを付与するためにはα化澱粉が必須であることが確認された。
(3)試験例3
試験例3では、増粘剤の含有量を変更した試験を行った。具体的には、下記表3に示す配合及び条件で試験例1と同様の手順でロールパンを製造し評価した。結果を下記表3に示す。
上記表3の結果から、増粘剤の含有量を0.2〜2.0質量部に変更しても本発明の効果が得られることが確認された。膨張剤及びマルトース生成アミラーゼを含有し増粘剤を含有しない実施例6の結果から、増粘剤を含有しない場合、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼを含有することで本発明の効果が得られることが確認された。増粘剤を含有し膨張剤及びマルトース生成アミラーゼを含有しない実施例7〜9の結果から、増粘剤を含有する場合、膨張剤及びマルトース生成アミラーゼは必須ではないことが確認された。
(4)試験例4
試験例4では、α化澱粉及び増粘剤の種類を変更した試験を行った。具体的には、下記表4に示す配合及び条件で試験例1と同様の手順でロールパンを製造し評価した。結果を下記表4に示す。
上記表4の結果から、α化澱粉及び増粘剤の種類を変更しても本発明の効果が得られることが確認された。
(5)試験例5
試験例5では、膨張剤(ベーキングパウダー)の含有量を変更した試験を行った。具体的には、下記表5に示す配合及び条件で試験例1と同様の手順でロールパンを製造し評価した。結果を下記表5に示す。
上記表5の結果から、膨張剤の含有量を1.0〜5.0質量部に変更しても本発明の効果が得られることが確認された。膨張剤を含有し増粘剤及びマルトース生成アミラーゼを含有しない実施例23〜26の結果から、膨張剤を含有する場合、増粘剤及びマルトース生成アミラーゼは必須ではないことが確認された。
(6)試験例6
試験例6では、マルトース生成アミラーゼの含有量を変更した試験を行った。具体的には、下記表6に示す配合及び条件で試験例1と同様の手順でロールパンを製造し評価した。結果を下記表6に示す。
上記表6の結果から、マルトース生成アミラーゼの含有量を変更しても本発明の効果が得られることが確認された。また、マルトース生成アミラーゼを含有し増粘剤及び膨張剤を含有しない実施例35〜41の結果から、マルトース生成アミラーゼを含有する場合、増粘剤及び膨張剤は必須ではないことが確認された。
(7)試験例7
試験例7では、解凍条件を変更した試験を行った。具体的には、下記表7に示す配合及び条件で試験例1と同様の手順でロールパンを製造し評価した。結果を下記表7に示す。
上記表7に示すように、解凍条件は、実施例42が5℃で8時間、実施例43が5℃で40時間、実施例44が常温で3時間であった。いずれの解凍条件においても本発明の効果が得られることが確認された。また、実施例42及び43のパンは実施例44よりも品質が良好であったことから、冷蔵解凍が好ましいことが確認された。
(8)試験例8;カレーパン
(8−1)実施例45
下記表8に記載の配合、工程にて冷凍生地(生地玉冷凍生地)を製造し、−18℃の冷凍庫で4週間保管した。冷蔵解凍(条件:5℃で18時間)後の生地で、カレーフィリング50gを包み、生地表面全体にパン粉をまぶした。これを、油温180℃で片面3分間の条件(3分間−反転−3分間)で油ちょうし、カレーパンを製造した。
(8−2)実施例46
下記表8に記載の配合、工程にて冷凍カレーパン生地(成形済み冷凍生地)を製造し、−18℃の冷凍庫で4週間保管した。冷蔵解凍(条件:5℃で18時間)後、油温180℃で片面3分間の条件(3分間−反転−3分間)で油ちょうし、カレーパンを製造した。
上記カレーパンの外観及び食感を試験例1と同様の手順で評価した。結果を下記表8に示す。
上記表8に示すように、実施例45及び46のカレーパンは外観と食感が良好であった。また、双方の外観及び食感の評価点はほぼ同等であった。この結果から、生地玉冷凍生地及び成形済み冷凍生地の両方の生地形態で本発明の効果が得られること、並びに、両者の品質にほぼ差がないことが確認された。また、包餡タイプのパン類や、油ちょう加熱するイーストドーナツ類についても本発明の効果が得られることが確認された。

Claims (11)

  1. 穀粉類と、
    α化澱粉と、
    増粘剤及び/又は膨張剤及び/又はマルトース生成アミラーゼと、を含有し、
    前記α化澱粉の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%である、冷凍パン生地。
  2. 前記膨張剤の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量部に対して0.5〜6.0質量部である、請求項1に記載の冷凍パン生地。
  3. 前記増粘剤の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量部に対して、0.2〜2.0質量部である、請求項1又は2に記載の冷凍パン生地。
  4. 前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びガム質からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷凍パン生地。
  5. 前記マルトース生成アミラーゼとして、β−アミラーゼ及び/又はマルトース生成α−アミラーゼを含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の冷凍パン生地。
  6. 生地玉冷凍パン生地又は成形済み冷凍パン生地である、請求項1から5のいずれか一項に記載の冷凍パン生地。
  7. 最終発酵を必要としないことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の冷凍パン生地。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の冷凍パン生地を最終発酵させずに加熱する工程を含む、パン類の製造方法。
  9. 前記冷凍パン生地を解凍する工程を含む、請求項8に記載のパン類の製造方法。
  10. 請求項1から7のいずれか一項に記載の冷凍パン生地を加熱してなるパン類。
  11. 穀粉類と、
    α化澱粉と、
    増粘剤及び/又は膨張剤及び/又はマルトース生成アミラーゼと、を含有し、
    前記α化澱粉の含有量が、前記穀粉類及び前記α化澱粉の合計100質量%中1.5〜10質量%である、冷凍パン生地用組成物。
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