JP3689774B2 - 冷凍パン生地の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は冷凍パン生地の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンの種類は極めて多く、消費者に新鮮な製品を供給するにはその全ての品種を毎日生産する必要があり、少量多品種の生産が避けられない。しかし、パン生地を冷凍保存し、適宜解凍してその後の工程を継続することによって、一貫生産の製品に劣らぬパンの製造ができれば、パン生地を集中生産して冷凍保存し、必要量だけ解凍して製造することができ、製パン工場に於ける製造スケジュールの円滑化を計りながら、消費者へ新鮮なパンを常に供給することが可能になる。
【0003】
しかし、冷凍パン生地を用いると、▲1▼ホイロ時間が著しく長くなる、▲2▼パン体積の低下、▲3▼パン内相の気泡膜が厚くなり、食感が悪くなる、▲4▼パン外相の肌荒れ、▲5▼パン形状の歪化などの問題を生じる。
【0004】
これらの原因としては、凍結によって酵母に障害を生じ、更に障害酵母から漏洩してくる還元性物質による影響、また凍結によるグルテンの変化や氷結晶によるグルテン膜の破壊などによって、生地の構造が破壊されるためと考えられている(田中康夫、中江利昭:冷凍生地の理論と実際、P17他、1982、食研センタ−発行)。
【0005】
これら問題点の改善方法として、パン生地への水の配合の減量、酵母の増量、冷凍耐性酵母の使用、砂糖などの糖類や油脂含量を高くするなどが知られている他に、更に種々の提案がある。
【0006】
例えば、三糖類以上の非還元オリゴ糖及び/又は二糖アルコール類以上の還元オリゴ糖を添加する方法(特開平4−141041号)、ラクチトールを添加する方法(特開平4−141042)、難消化性ポリサッカライド及び/又はイースト非資化性糖を添加する方法(特開平5−252858)、ゼラチンと酵素分解レシチン、モノグリセリドなどの乳化剤の混合物を添加する方法(特開平4−234938)、パン生地の最終発酵温度帯でゲル化しない熱可溶性のゲル化剤(例えばゼラチン)を添加する方法(特開平5−292872)などが開示されている。
【0007】
特開平4−141041号や特開平4−141042号では、パン表面の梨肌の出現を防止する効果が十分でない。特開平5−252858号の難消化性ポリサッカライドなどの添加では食感の低下がみられる。特開平4−234938号では、クロワッサンやデニッシュ・ペストリイなどのようなリッチなパンにはある程度適用できても、食パンやフランスパンなどのようなリーンなパンでは十分な効果が得られず、また特開平5−292872号ではパン容積の減少防止効果はある程度みられても、食感や風味の点でものたりないものであった。
【0008】
これらに対して、トレハロースを添加する方法(特開平06−253722号)、デキストランを添加する方法(特開平08−9872号)、アミラーゼ類と乳化剤を添加する方法(特開平08−89158号)、冷水膨潤度と加熱膨潤度を特定の比率にし、冷水膨潤度が4〜15の加工澱粉と澱粉分解酵素を添加する方法(特開平08−80155号)などが開示されていて、リッチのみならずリーンな処方の製品に対してもある程度適用されるとしているが、必ずしも満足のいくものでなかった。
【0009】
一方、冷凍生地は通常小麦粉を主原料とする小麦粉生地であり、小麦粉生地を形成する主役は小麦蛋白であるということから、小麦蛋白を用いる提案として、例えば、小麦蛋白含量の高い小麦粉、或は小麦蛋白(活性グルテン等)を添加するなどして実質上小麦タンパク質含量16%以上になる小麦粉を使用する方法(特開昭58−116625号)、グルテン、アミラーゼ、アスコルビン酸、レシチンを配合した200〜350のミリング力を有する小麦粉を使用する方法(特開昭61−234735号)、レシチン−グルテン複合体からなる乳化剤を添加する方法(特開平03−117449号)などが開示されている。
【0010】
特開昭58−116625号の如く、小麦粉中の蛋白含量を増やすことにより、冷凍保存によるパンの容積の低下を減じたり、特開平03−117449号に示されている如くレシチンとグルテンを複合体にすることによって冷凍生地の膨化特性などをある程度改良できるものの、何れも内相や外相の状態が必ずしも好ましいものといえるものでなかった。また、特開昭61−234735号でも、ある程度効果が認められるが、小麦粉が極めて特殊で商業的に入手困難で実現性に問題がある。
【0011】
このように冷凍パン生地を用いた時の欠点を克服すべく、種々の提案、試みがなされているが、冷凍保存されたパン生地を用いて、スクラッチ法によるパン(原材料から一貫生産される通常のパン)に劣らぬ品質を有するパンを得るに至らず、特にリッチな処方では比較的近い製品が得られるにしても、リ−ンな処方の製品では品質的に十分満足できる域に達していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、冷凍パン生地を用いてパンを製造する際に生じるパン体積の低下、パン表面のザラツキやパンの形状や色調が悪い、梨肌の発生など外観の問題、すだちが不均一で膜が厚くなるなど内相の問題を解消し、食感の優れたパンを得る冷凍パン生地の提供にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる実情に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、冷凍パンの製造に際し、小麦粉と特定の小麦蛋白を特定の比率にした原料粉に、L−アスコルビン酸とアミラーゼ類を併用することによって、問題点が解消されることを見出して本発明を完成させた。即ち、冷凍パン生地の製造に際し、小麦粉:膨潤度7〜11mlの小麦蛋白=90〜99:10〜1の重量比からなる原料粉にL−アスコルビン酸とアミラーゼ類を併用して生地を製造し、冷凍することで達成される。
【0014】
【発明の作用】
本発明に於て、パン生地とは小麦粉に水、食塩、酵母、イーストフードの他、砂糖、グルコース、異性化糖、オリゴ糖などの糖類、脱脂粉乳、全乳粉末などの乳製品、ショートニング、マーガリン、バターなどの油脂類、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤、シナモン、バジリコなどの香辛料、ブランデー、ラム酒などの洋種類、レーズン、ドライチェリーなどのドライフルーツ、アーモンド、ピーナツなどのナッツ類、香料(例えばバニラエッセンス)、人工甘味料(例えばアスパラテーム)、ココアパウダーなど一般にパンの製造に用いられる副原材料、或はパンの種類によって用いられる副原材料を必要に応じて適宜添加し、混捏工程を経て得られる生地であって、最終的にブルマン、イギリスパンなどの食パン類、バゲット、パリジャンなどのフランスパン、スイートロール、バンズ、テーブルロールなどの各種ロ−ル類の他、菓子パン、イングリッシュマフィン、蒸気で加熱される蒸しケーキ、中華饅頭、鉄板で焼かれるパンケーキ、グリドルケーキなどを製造するに用いられる生地を指称する。
【0015】
本発明で使用する小麦粉は、一般にパンの製造に使用されている蛋白質含量が約11〜13重量%の準強力乃至強力小麦粉を用いるが、パンの種類によっては、中力小麦粉、薄力小麦粉を一部混用することもできる。また、必要に応じて小麦粉の一部(通常20%程度まで)を、ライ麦粉、コーンフラワー、グラハムフラワー、米粉などの穀粉に置換してもよい。また、本発明では小麦粉と共に膨潤度7〜11mlの小麦蛋白を用いるが、これら2成分を含む言葉として原料粉と呼称する。
【0016】
本発明でいう小麦蛋白の膨潤度とは、小麦粉の製パン適性をみるスウェリングパワーの測定法(小麦粉より分離した乾燥前の生グルテンが1/50N乳酸溶液中で膨潤する度合を測定)の1/50N乳酸溶液を使用することを基本とし、測定方法が容易で再現性もよく、乾燥した小麦蛋白にも適用できるように後記に示す改良した方法を用いて測定した値であり、膨潤度の値が高いほど製パン適性が優れているとされている。市販の小麦蛋白では、元の小麦粉の種類などによっても異なるが、膨潤度が14ml程度或はそれ以上の値を示すけれども、本発明にはそれより低い膨潤度7〜11mlの小麦蛋白を使用する。
【0017】
膨潤度が7ml未満ではパンのボリュームがでにくく、11mlを越えるとパンのボリュームはあっても外観や内相の状態が悪くなるなど、冷凍パン生地に生ずる障害を克服する効果がでにくくなる。
【0018】
かかる膨潤度の小麦蛋白を得るために、例えば小麦粉より分離された小麦蛋白を原料とし、密閉容器中で水分を蒸発させないで加熱する、或は5〜40重量%の含水アルコール溶液中に40℃程度の温度で短時間浸漬処理し、凍結乾燥などで粉末化するなどの方法が例示できる。
【0019】
ここに示した膨潤度7〜11mlの小麦蛋白を得る方法は、本発明で用いる小麦蛋白を製造する上での好ましい態様の一例であり、必ずしもこの条件に制限されるものでなく、要は膨潤度が7〜11mlの範囲にあるように加工された小麦蛋白が得られる限り特に限定される訳でない。尚、原料の小麦蛋白としては、小麦粉に水を加えて混捏し、小麦粉中に含まれるグルテンを水和、膨潤させて粘着性でまとまりのある生地をつくり、この生地を水で洗浄して生地中の澱粉や水溶性物質を洗い出した生グルテン、生グルテンをそのまま凍結した冷凍グルテン、或は生グルテンを真空乾燥、フラッシュ乾燥、スプレイ乾燥や凍結乾燥などの方法で乾燥した乾燥小麦蛋白などを用いることができる。
【0020】
尚、本発明における小麦蛋白の膨潤度は以下の方法によって測定された値である。但し、未乾燥の生グルテンの場合は、凍結乾燥し、粉砕したものを試料とする。
【0021】
50ml容のビーカーに小麦蛋白0.3gと1/50N乳酸溶液20mlを投入し、ガラス棒で30秒間攪拌後減圧下で軽く脱泡する。脱泡後の懸濁液を20ml容のメスシリンダー(20mlまでの目盛があり、実際には26ml程度までの溶液を注入することが可能)に移し、1/50N乳酸溶液5ml用いてガラス棒及びビーカーの壁に付着している小麦蛋白をメスシリンダーに洗い流し、そのまま靜置する。靜置30分後にメスシリンダーの口をサランラップで蓋をして3回転倒を繰返した後靜置する。靜置2時間後に沈降した小麦蛋白の容量(ml)を読みとって膨潤度とする。
【0022】
本発明に使用するL−アスコルビン酸は、通称ビタミンCと称せられ、植物、特に野菜や果実に多く含まれている成分で、これを分離・抽出してもよいが、通常は価格の点でD−グルコースから工業的に合成されたものを利用する。
【0023】
本発明に使用するアミラーゼ類とは、澱粉に作用してα−1,4−グルコシド結合やα−1,6−グルコシド結合の加水分解に関与する酵素を総称し、具体的には、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼなどが例示できるが、好ましくはグルコアミラーゼを含む酵素製剤で、例えばグルコチームDB(ナガセ生化学工業製)が用いられる。
【0024】
市販の酵素のアミラーゼ活性について、本発明では1活性単位を40℃で10分間に1mgのグルコースに相当する還元力を生成するに要する酵素量と定義し以下の方法によって測定される。
【0025】
標線25mlの試験管に基質5mlを秤り、40℃の恒温水槽に約10分間保ち、同温度の酵素液1mlを加えて正確に20分間作用させ、沸騰浴中にて10分間失活させ、冷後蒸留水で25mlとしたものを被検液とする。別に酵素1mlを先に失活させた後基質5ml加え、蒸留水で25mlにしたものを酵素ブランクとし、Somogyi法によって定量したグルコースに相当する還元力から計算で求める。
【0026】
尚、基質は200ml容のメスフラスコ中で精製馬鈴薯澱粉を無水物で2.4gを約50mlの蒸留水で分散し、2N−NaOHを10ml加えて溶解し、沸騰水中で5分間加熱後冷却し、冷却後2N−CH3 COOHでpH4.5に調整し、蒸留水で200mlにて定容とした1.2%澱粉溶液を用い、酵素液は適宜希釈したものを使用する。
【0027】
本発明は、小麦粉と膨潤度7〜11mlの小麦蛋白よりなる原料粉に、L−アスコルビン酸とアミラーゼ類を併用して、生地を製造し、冷凍する冷凍パン生地の製造法であり、これらの併用によって初めて所期の効果が期待できる。その際、原料粉は小麦粉:膨潤度7〜11mlの小麦蛋白=90〜99:10〜1の重量比、より好ましくは93〜98:7〜2の重量比にし、L−アスコルビン酸を原料粉100重量部に対し0.005〜0.10重量部、より好ましくは0.01〜0.05重量部、アミラーゼ類をアミラーゼ活性が原料粉1kg当り2000〜30000単位、より好ましくは5000〜20000単位になるような割合で添加する。
【0028】
原料粉中の膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の量が1重量%未満では殆ど効果がみられず、10重量%を越えるとボリュームはあっても内相の状態が悪くなったり、食感が悪くなったりする。また、L−アスコルビン酸の量が原料粉100重量部に対して0.005重量部未満では、生地の機械耐性を改良する効果や、パンの外観や内層の品質を改善する効果が弱くなり、0.10重量部を越えるとパンのボリュームを減少させる。一方、アミラーゼ類がアミラーゼ活性として原料粉1kgに対し5000単位未満では内相や外相の状態を改善する効果が弱く、30000単位を越えると生地だれ等がおこるなどの問題が発生する。
【0029】
本発明では、必須成分である小麦粉と膨潤度7〜11mlの小麦蛋白より成る原料粉、L−アスコルビン酸とアミラーゼ類を上記のような割合で使用する生地に、目的とするパン生地に応じて適宜、食塩などの塩類、砂糖などの糖類、マーガリンなどの油脂、全卵、イースト、イーストフード、香料など常用の原材料を使用することで、クロワッサンのようなリッチなパンのみならずフランスパンのようなリーンなパンまで冷凍耐性に優れたパン生地の製造を可能になる。パンの種類によっても変わるが、少なくとも2月間の冷凍期間をとっても品質的に問題のないパンの製造が可能になる。この際、一般的に冷凍生地を製造する時によく利用される冷凍障害に強いとされるイースト、酒石酸モノグリセライドエステルなどのごとき乳化剤、トレハロースなどのオリゴ糖、ソルビトールなどの糖アルコールなどを特に選択して使用する手段、無発酵の冷凍生地とする手段、冷凍を急速にして解凍を緩慢にするなどの手段をとってもよいが、本発明では特にこれら手段を特に選択して実施する必要はない。
【0030】
尚、本発明では冷凍耐性に優れた冷凍パン生地の開発を主たる目的としているが、本発明のパン生地を冷凍しないでそのままパンを製造してもボリュームがあって、外観、内相、食感の良好なパンが容易に得られることは言うまでもない。
【0031】
本発明のさらなる利点として、本発明の原料粉をベースにして、未処理澱粉や加工澱粉と組み合わせることで、冷凍耐性を損なわずに、好みに合わせた食感を有するパンをつくれることを可能にすることがあげられる。
【0032】
パンの食感について、パンの種類毎にかなりの部分で固定観念ができあっているが、一方では食感は個人の嗜好の問題であり、同じ種類のパンでも食感にバリエーションをもたせてほしいという要望も強い。これに対して、例えばもちもち感を望むときは、ワキシーコーンスターチやタピオカ澱粉などの未処理澱粉、或いはこれらのエステル化澱粉やエーテル化澱粉を使用する。また、食感を幾分硬く感じさせたい時には、原料澱粉を軽度に架橋した架橋エステル化澱粉や架橋エーテル化澱粉などの加工澱粉を選択するだけで容易に食感を変更できる。また、上記の未処理澱粉や加工澱粉をドラムドライヤーやエクストルーダーなどで処理して得られるアルファー化澱粉も同じように用いることができる。その際、添加量としては、パンの種類や使用する澱粉や加工澱粉の種類によって異なるが、通常原料粉に対して3〜20重量%程度とする。3重量%未満では食感を変える効果が弱く、20重量%を越えると幾分容積や風味が低下する。
【0033】
本発明はパンの製造法として、一般に行われている中種法、直捏法などのいずれの方法にも適用できる。以下に直捏法による製造法の一例を示す。
【0034】
小麦粉、膨潤度7〜11mlの小麦蛋白、L−アスコルビン酸、アミラーゼ類、イースト、イーストフード、食塩、砂糖など通常パンの製造に使用される原材料を混合後、水を添加して混捏する。添加法としては、小麦粉、膨潤度7〜11mlの小麦蛋白、L−アスコルビン酸、アミラーゼ類を予め混合、これらの原材料をその他の原材料とも予め混合、或は別々に添加するなど何れの方法もとれる。尚、油脂の添加は、油脂量の少ない場合にはその他の添加物と混合してもよいが、多い場合には水を添加して混捏後に行うことが望ましい。
【0035】
混捏後の生地を適当な時間、通常10〜20分程度発酵させる。得られた生地を適宜分割して生地玉として冷凍するか又は分割、成型して冷凍する。冷凍はトンネル式、ベルト式、流動床式などのエアブラスト式冷凍装置や液体窒素トンネルフリ−ザ−、冷凍庫内静置による冷凍などの方法で冷凍し、冷凍保存する。
【0036】
冷凍保存された冷凍パン生地は、所望の時に解凍し、必要に応じて寝かし、発酵、分割成型し、ホイロ工程を経て焼成或は蒸しを行って製品とすることができる。その際、解凍はリタ−ダ−、ドウコンディショナ−、ホイロなどを用いて一定温度、好ましくは0〜18℃の一定温度で解凍するのが望ましい。
【0037】
本発明によって、リッチな処方のみならずリ−ンな処方の製品に適用する冷凍耐性に優れたパン生地が得られ、冷凍期間が少なくとも2月間はとれるようになった。また、澱粉、加工澱粉の種類を選択することによって、冷凍耐性を変えないで食感に幾分変化をつけることも可能になった。
【0038】
【実施例】
以下に参考例、実施例を示し、本発明を更に詳しく説明する。但し、部は重量部、%は重量%を示す。
【0039】
【参考例1】
市販の活性グルテン(膨潤度14.5mlの乾燥小麦蛋白)をメイワパック(株)製のレトルトパウチに入れ、シールした試料を2点用意し、これらを予め90℃に設定しておいた通風乾燥機に入れ所定時間加熱した。得られた小麦蛋白の膨潤度を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003689774
【0041】
【参考例2】
室温で攪拌下にある表2に示す含水アルコール100部に参考例1で使用した活性グルテンを10部投入し、5分間分散させた後42℃まで昇温した。この温度で10分間攪拌を続けた後、直ちに凍結乾燥し、粉砕して得られた小麦蛋白の膨潤度を表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0003689774
【0043】
【参考例3】
攪拌下の水130部に硫酸ナトリウム15部を溶解し、タピオカ澱粉100部を分散し、3%水酸化ナトリウム溶液を加え、プロピレンオキサイド6部添加し、40℃で20時間反応後、10%硫酸で中和、脱水、乾燥して得られた置換度0.08のエーテル化タピオカ澱粉を得た。これを試料No.6とする。
【0044】
【実施例1】
小麦粉としてフランスパン専用粉、小麦蛋白として市販の活性グルテン(膨潤度14.5ml)、参考例1と参考例2で得られた試料No.1〜No.5の小麦蛋白を使用し、以下の配合割合でフランスパン用の生地を製造した。尚、原料粉として対照区では小麦粉100部、小麦蛋白使用区では小麦粉と小麦蛋白の合計量で100部とし、グルコチ−ムDB(ナガセ生化学工業製のアミラーゼ製剤でアミラーゼ活性が20000単位/g)についてはアミラーゼ活性が原料粉1kgに対する酵素単位、それ以外については部で表す。
【0045】
Figure 0003689774
混合機(関東混合機工業製の関東ミキサー、HPS200型)に水以外の成分を投入して予め混合し、次いで水を加え、捏上温度24〜25℃で混捏し、フロアタイムを15分とり、350gずつに分割し、15分間のベンチタイムをとってからフランスパン用に成型した。成型後、−40℃の冷凍庫に40分置き、冷凍パン生地を製造した。
【0046】
この冷凍パン生地を−20℃の冷凍庫で2月間保存した後、ドウコンディショナーを用いて15℃、5時間放置して解凍した。解凍後、32℃のホイロで65分処理し、200℃で35分焼成してフランスパンを得た。得られたパンを次の方法で評価し、その結果を用いた試料と共に表3に示す。尚、表3で添加量は原料粉100重量部中の小麦蛋白の重量部を示す。
【0047】
<パンの体積>
菜種置換法によってパンの体積を測定し、そのパンの重量で体積を除した比容積(ml/g)で表す。
<外観>
パンの形状、表面のザラツキや色調などを総合的に評価。
◎:良好 ○:やや良好 △:やや不良 ×:不良
<内相>
す立の均一性や膜の厚さなどを総合的に評価。
◎:良好 ○:やや良好 △:やや不良 ×:不良
<食感>
歯ざわり、阻嚼感や口溶けなどを総合的に評価。
◎:良好 ○:やや良好 △:やや不良 ×:不良
【0048】
【表3】
Figure 0003689774
【0049】
【実施例2】
実施例1の小麦粉95部と試料No.2の小麦蛋白5部を原料粉として使用し、L−アスコルビン酸とグルコチームDBを表4の割合にした他は、実施例1に準じてフランスパンを製造し、その結果を表4に示す。尚、表4でL−アスコルビン酸は部、グルコチームDBはアミラーゼ活性が原料粉1kgに対する酵素単位で表示する。
【0050】
【表4】
Figure 0003689774
【0051】
【実施例3】
強力粉97部と試料No.2の小麦蛋白3部とからなる原料粉、イースト5部、イーストフード0.1部、L−アスコルビン酸0.015部、グルコチームDB(アミラーゼ活性が原料粉1kgに対し12000単位)、食塩2部、上白糖4部、ショートニング4部、水57部を捏上温度24℃で混捏し、フロアータイムを15分とり、250gずつに分割、丸めを行い、ベンチタイム20分をとり食パン用に成型後−40℃の冷凍庫で50分置いて冷凍生地を製造した。
【0052】
この冷凍パン生地を−20℃の冷凍庫で2月間保存した後、6℃で12時間放置して解凍した。解凍後、32℃のホイロで65分発酵させ、180℃で35分焼成して食パンを得た。
得られた食パンはボリュームもあり、内相や外相の状態も良好であり、食パン特有の食感を有するものであった。
【0053】
【実施例4】
準強力粉96部と試料No.3の小麦蛋白4部とからなる原料粉、イースト6部、イーストフード0.1部、L−アスコルビン酸0.015部、上白糖10部、脱脂粉乳2部、グルコチームDB(アミラーゼ活性が原料粉1kgに対し12000単位)、食塩2g、全卵15部、水47部を捏上温度24℃で混捏し、マーガリン15部を添加して混捏し、フロアータイムを15分とり、50gずつに分割、丸めを行い、ベンチタイムを15分とり、バターロール用に成型し、−40℃の冷凍庫で30分置いて冷凍生地を製造した。
【0054】
この冷凍生地をー20℃の冷凍庫で2月間保存した後、6℃で12時間放置
して解凍した。解凍後、ホイロ32℃で50分発酵させ、200℃で10分焼成してバターロールを得た。得られたバターロールはボリュームもあり、内相や外相の状態も良く、食感も良好であった。
【0055】
【実施例5】
強力粉97部と試料No.2の小麦蛋白3部とからなる原料粉、イースト6部、イーストフード0.1部、L−アスコルビン酸0.015部、上白糖10部、脱脂粉乳2部、グルコチームDB(アミラーゼ活性が原料粉1kgに対し12000単位)、全卵15部、水47部を捏上温度24℃で混捏し、マーガリン10部を添加して混捏し、フロアータイムを15分とり、50gずつに分割、丸めを行い、ベンチタイム15分をとり、市販の餡40部を包み餡パンに成型し、−40℃の冷凍庫で40分置いて冷凍生地を製造した。この冷凍生地をー20℃の冷凍庫で2月保存した後、6℃で12時間解凍し、ホイロ32℃で75分発酵させ、200℃で10分間焼成して餡パンを製造した。
得られた餡パンは、ボリュームもあり、内相や外相の状態も良く、包餡状態も良好であった。
【0056】
【実施例6】
強力粉97部と試料No.2の小麦蛋白3部とからなる原料粉、参考例3の加工澱粉10部、イースト6.6部、イーストフード0.12部、L−アスコルビン酸0.02部、上白糖11部、脱脂粉乳2.食塩2部、グルコチームDB(アミラーゼ活性が原料粉1kgに対し12000単位)を2部、全卵15部、水50部を捏上温度24℃で混捏し、マーガリン11部を添加して混捏温度24℃で混捏し、フロアータイムを15分とり、250gずつに分割して32℃のホイロで65分処理し、200℃で20分間焼成して食パンをを得た。
得られた食パンは、ボリュームもあり、内相や外相の状態も良好であった。
【0057】
【実施例7】
強力粉97部と試料No.2の小麦蛋白3部とからなる原料粉、試料No.2の加工澱粉10部、イースト6.6部、イーストフード0.12部、L−アスコルビン酸0.015部、グルコチームDB(アミラーゼ活性が原料粉1kgに対し12000単位)、食塩2部、上白糖4部、ショートニング4.4部、水57部を捏上温度24℃で混捏し、フロアータイムを15分とり、250gずつに分割、丸めを行い、ベンチタイム20分をとり食パン用に成型後−40℃の冷凍庫で50分置いて冷凍生地を製造した。
【0058】
この冷凍パン生地を−20℃の冷凍庫で2月間保存した後、6℃で12時間放置して解凍した。解凍後、32℃のホイロで65分発酵させ、180℃で35分焼成して食パンを得た。
得られた食パンはボリュームもあり、内相や外相の状態も良好であった。一方、食感に関しては、実施例3に比してもちもち感が強く感じられるものであった。

Claims (2)

  1. 冷凍パン生地の製造に際し、小麦粉:膨潤度7〜11mlの小麦蛋白=90〜99:10〜1の重量比からなる原料粉にL−アスコルビン酸とアミラーゼ類を併用して生地を製造し、冷凍することを特徴とする冷凍パン生地の製造法。
  2. L−アスコルビン酸が原料粉100重量部に対して0.01〜0.05重量部、アミラーゼ類がアミラーゼ活性として原料粉1kg当り5000〜20000単位の割合である請求項1に記載の冷凍パン生地の製造法。
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