JP7017288B2 - ベーカリー生地及びベーカリー食品 - Google Patents

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本発明は、軽い食感と良好な口どけを有し、食感の経時的な劣化が少ない、ベーカリー食品に関する。
パン、ケーキなどのベーカリー食品は、人気のある食品である。近年では、消費者嗜好の多様化に対応して、もっちりとしたソフトな食感のベーカリー食品や、さっくりとした軽い食感のベーカリー食品など、さまざまな食感のベーカリー食品が開発されている。さっくりとした軽い食感のベーカリー食品は、歯切れがよく、口どけ(口の中でのこなれ)がよいものが好まれる。
さっくりとした軽い食感のベーカリー食品を得るために、従来、乳化剤、改質された澱粉または改質された油脂、を用いるなどの方法が提案されている。乳化剤を用いる方法として、例えば、特許文献1には、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル、モノグリセリンジ脂肪酸エステル、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの4種の乳化剤を特定量含有するペーストリー類練り込み用油脂組成物が提案されている。また、特許文献2には、HLB6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを特定量含有し、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの50%以上が重合度10のデカグリセリンモノステアリン酸エステルであるケーキ用起泡性乳化油脂組成物が提案されている。しかしながら、乳化剤は総じて風味がよくないので、乳化剤の強化による改質は、この点が懸念される。
また、改質された澱粉を用いる方法として、例えば、特許文献3には、膨潤度と溶解度を調節した架橋澱粉を用いる方法が提案されている。また、特許文献4には、エステル化及び/又はエーテル化の化学修飾をされた油脂加工澱粉を用いる方法が提案されている。しかしながら、改質澱粉の使用は、経時的に食感にひきが生じやすい。
また、改質した油脂を用いる方法として、例えば、特許文献5には、10℃において5~25重量%の固体脂含有量を有し、徐冷したときに析出する固体脂の量が急冷を行った時の70%以上である油脂を油相に用いた製菓用油中水型油脂組成物が提案されている。しかしながら、油脂のみでの改質では、経時的に食感が劣化しやすい。
特開2003-92986号公報 特開2010-110250号公報 特開平11-9174号公報 特開2008-237054号公報 特開2005-21018号公報
従って、軽い食感と良好な口どけを有し、食感の経時的な劣化が抑制された、ベーカリー食品の開発が求められている。
本発明の目的は、軽い食感と良好な口どけを有し、食感の経時的な劣化が抑制された、ベーカリー食品を提供することである。また、該食品を製造するためのベーカリー生地を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、食物繊維含有量が高い、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉と、アミラーゼと、を併用することにより、上記目的が達成されることを見出した。これにより、本発明は完成された。
すなわち、本発明は以下の、ベーカリー食品生地及びベーカリー食品を提供する。また、本発明は以下の、ベーカリー食品生地及びベーカリー食品、の製造方法を提供する。
(1)4質量%以上の食物繊維を含む、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉と、アミラーゼと、を含む、ベーカリー生地。
(2)前記アミラーゼが、エンド型アミラーゼと、エキソ型アミラーゼと、を含む、(1)のベーカリー生地。
(3)前記穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉に占める大豆粉の含有量が、10~100質量%である、(1)又は(2)のベーカリー生地。
(4)(1)~(3)の何れか1つのベーカリー生地が加熱焼成された状態である、ベーカリー食品。
(5)大豆粉に水を吸水させる工程を有する、(3)のベーカリー生地の製造方法。
(6)(5)の製造方法で得られたベーカリー生地を加熱焼成する、ベーカリー食品の製造方法。
本発明によると、軽い食感と良好な口どけを有し、食感の経時的な劣化が抑制された、ベーカリー食品を提供できる。また、該ベーカリー食品を得るための、ベーカリー生地を提供できる。
以下に、本発明について詳細に説明する。なお、本発明においてA~Bは、A以上B以下を意味する。
本発明においてベーカリー生地は、パンや焼菓子などのベーカリー食品の、加熱焼成前の生地を意味する。本発明のベーカリー生地に含まれる、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉は、4質量%以上の食物繊維を含有する。穀物粉は、粉状に挽かれており、食用に適すれば、特に制限されない。穀物粉は、例として、小麦粉(強力粉、中力粉及び薄力粉)、小麦全粒粉、小麦ふすま粉、小麦胚芽粉、ライ麦粉、米粉、とうもろこし粉、大豆粉、アーモンド粉、及びへーゼルナッツ粉などが挙げられる。穀物粉は、それらの加工粉であってもよい。また、穀物粉の代替粉としては、穀物粉の代替としてベーカリー生地に用いられる粉であれば特に制限されない。代替粉は、例として、グルテン、デンプン、及びセルロース粉末などが挙げられる。代替粉は、それらの加工粉であってもよい。本発明のベーカリー生地には、1種又は2種以上の、穀物粉及び穀物粉の代替粉が、用いられてもよい。
本発明のベーカリー生地に含まれる、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の、食物繊維含有量は、ベーカリー生地に含まれる個々の穀物粉及び穀物粉の代替粉の食物繊維含有量を、加重平均した値である。例えば、ベーカリー生地に、小麦粉、大豆粉及びデンプンが含まれ、小麦粉、大豆粉及びデンプンの総量(穀物粉及び穀物粉の代替粉の総量)あたり、60質量%の小麦粉、30質量%の大豆粉及び10質量%のデンプン、が含まれる場合、小麦粉、大豆粉及びデンプン、の食物繊維含有量をそれぞれ、3質量%、18質量%及び0質量%とすると、ベーカリー生地に含まれる穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の食物繊維含有量は、7.2質量%(=3×0.6+18×0.3+0×0.1)と算出される。本発明のベーカリー生地に含まれる穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の食物繊維含有量は、好ましくは4~50質量%であり、より好ましくは4.5~30質量%であり、さらに好ましくは5~20質量%であり、ことさらに好ましくは5.5~12質量%である。ベーカリー生地に含まれる穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の食物繊維含有量が上記範囲内にあると、生地を焼成後のベーカリー食品は、さっくりと軽い食感を有する。
なお、本発明における穀物粉の食物繊維含有量は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の合計含有量であり、その測定は、例えば、プロスキー法(厚生労働省監修 食品衛生検査指針 2005)に準じて行うことができる。
本発明のベーカリー生地に含まれる、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉は、食物繊維含有量が4質量%以上である、小麦全粒粉、小麦胚芽粉、ライ麦粉、大豆粉、とうもろこし粉、小麦ふすま粉、米ぬか粉、及びそれらの加工粉から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。食物繊維含有量が高く、粉砕微粒化された程度の加工度が低い天然素材を使用することにより、副次的な効果として、豊かな素材の風味を有するベーカリー食品が得られる。本発明のベーカリー生地は、生地に含まれる穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の全量に占める、小麦全粒粉、小麦胚芽粉、ライ麦粉、大豆粉、とうもろこし粉、小麦ふすま粉、米ぬか粉、及びそれらの加工粉から選ばれる1種以上の含有量が、好ましくは10~100質量%であり、より好ましくは14~70質量%であり、さらに好ましくは18~56質量%である。
本発明のベーカリー生地に含まれる、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉は、より好ましくは大豆粉を含む。大豆粉は、例として、脱皮した丸大豆を粉砕した全脂大豆粉、脱脂大豆を粉砕した脱脂大豆粉、全脂大豆粉を加熱脱臭した脱臭全脂大豆粉やそれらの混合物が挙げられる。大豆粉は、好ましくは全脂大豆粉であり、より好ましくは脱臭全脂大豆粉である。
本発明のベーカリー生地に含まれる、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の、小麦全粒粉、小麦胚芽粉、ライ麦粉、大豆粉、とうもろこし粉、小麦ふすま粉、米ぬか粉、及びそれらの加工粉から選ばれる1種以上、を除いた部分は、好ましくは小麦粉(強力粉、中力粉及び薄力粉から選ばれる1種以上)が含まれる。小麦粉は好ましくは強力粉である。小麦粉を含有することにより、生地を焼成後のベーカリー食品は、適度な食感と素材の風味を発現しやすい。すなわち、ベーカリー生地に含まれる穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の全量に占める、小麦粉の含有量は、好ましくは0~90質量%であり、より好ましくは30~86質量%であり、さらに好ましくは44~82質量%である。本発明のベーカリー生地は、小麦粉の使用を控えた低糖質のベーカリー生地としても有用である。
また、本発明のベーカリー生地に含まれる、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉に占める、グルテン、デンプン及びセルロースなどの穀物粉の代替粉の含有量は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは0~10質量%である。
本発明のベーカリー生地は、アミラーゼを含有する。アミラーゼは、澱粉などのグリコシド結合を加水分解する酵素である。作用する部位の違いによって、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、及びグルコアミラーゼなど、が知られている。
本発明のベーカリー生地は、好ましくはエンド型アミラーゼを含有する。エンド型アミラーゼは、好ましくはα-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)である。α-アミラーゼは、典型的には、無作為に澱粉分子内部のα-D-(1→4)0-グリコシド結合を切断し、多糖およびオリゴ糖を生成する能力を有する酵素である。α-アミラーゼの由来は特に限定されない。α-アミラーゼは、動植物、カビ、細菌などから得られた市販の酵素製剤を用いてもよい。α-アミラーゼは、生地の加熱焼成後に完全に失活するように、好ましくは、至適温度が、60~80℃である中温域活性型α-アミラーゼや60℃未満である常温域活性型α-アミラーゼ、が使用される。このようなα-アミラーゼとして、例えば、ノボザイムズジャパン(株)のα-アミラーゼ(商品名:FUNGAMYL)や天野エンザイム(株)のα-アミラーゼ(商品名:ビオザイムF10SD、または、商品名:クライスターゼL1)などが挙げられる。
本発明のベーカリー生地に含まれるα-アミラーゼの含有量は、ベーカリー生地に含まれる穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の100g(グラム)に対して、好ましくは酵素活性100~10000単位であり、より好ましくは200~6000単位であり、さらに好ましくは300~3000単位であり、ことさらに好ましくは400~2000単位である。本発明のベーカリー生地に含まれるα-アミラーゼの含有量が上記範囲内にあると、生地を焼成後のベーカリー食品は、さっくりと軽い食感を有する。α-アミラーゼの酵素活性の単位は、AZCL-アミロースを基質に酵素を作用させ、1分間に1マイクロモルのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1単位と定義する。還元糖の測定は、還元糖の定量法第2版(福井作蔵著 学会出版センター)を参照して行なうことができる。
また、本発明のベーカリー生地は、好ましくはエキソ型アミラーゼを含有する。エキソ型アミラーゼは、好ましくはβ-アミラーゼ(EC 3.2.1.2)及び/又はマルトースα-アミラーゼ(EC 3.2.1.133)である。エキソ型アミラーゼの由来は特に限定されない。β-アミラーゼは、澱粉の非還元性末端からマルトース単位でα-1,4グリコシド結合を逐次分解し、マルトースを生成する。生成されるマルトースの旋光性はβ型である。β-アミラーゼは、市販の酵素製剤を用いることができる。例えば、ナガセケムテックス(株)のβ-アミラーゼ(商品名:β-アミラーゼ#1500S)が挙げられる。また、β-アミラーゼは、生大豆粉などの天然食材に含まれていてもよい。マルトースα-アミラーゼは、エキソ様形式で澱粉からマルトースを生成するエキソα-アミラーゼである。エキソα-アミラーゼは、β-アミラーゼやグルコアミラーゼとは異なり、エキソおよびエンドの両方の活性を示すことがわかっている。しかしながら、エキソα-アミラーゼはプロセッシブ活性が一般的に知られているα-アミラーゼよりも非常に強く、これによりマルトオリゴ糖を大量に生成出来ると言われている。マルトースα-アミラーゼは、市販の酵素製剤を用いることができる。例えば、ノボザイムズジャパン(株)のマルトース生成α-アミラーゼ(商品名:NOVAMYLE)が挙げられる。
本発明のベーカリー生地に含まれるβ-アミラーゼ及び/又はマルトースα-アミラーゼの含有量は、ベーカリー生地に含まれる穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の100gに対して、好ましくは酵素活性30~4000単位であり、より好ましくは80~3000単位であり、さらに好ましくは120~2000単位であり、ことさらに好ましくは140~1000単位である。本発明のベーカリー生地に含まれるβ-アミラーゼ及び/又はマルトースα-アミラーゼの含有量が上記範囲内にあると、生地を焼成後のベーカリー食品は、食感の経時的な劣化が抑制される。β-アミラーゼ及び/又はマルトースα-アミラーゼの酵素活性の単位は、マルトトリオースを基質に酵素を作用させ、1分間に1マイクロモルのマルトースを生成する酵素量を1単位と定義する。マルトースの測定は、還元糖の定量法第2版(福井作蔵著 学会出版センター)を参照して行なうことができる。
また、本発明のベーカリー生地は、好ましくはエンド型アミラーゼとエキソ型アミラーゼとを含有する。エンド型アミラーゼであるα-アミラーゼとエキソ型アミラーゼであるβ-アミラーゼ及び/又はマルトースα-アミラーゼとの酵素活性単位の比率は、αアミラーゼ:β-アミラーゼ及び/又はマルトースα-アミラーゼが、好ましくは1:0.1~1:1であり、より好ましくは1:0.2~1:0.8であり、さらに好ましくは1:0.3~1:0.6である。エンド型アミラーゼであるα-アミラーゼとエキソ型アミラーゼであるβ-アミラーゼ及び/又はマルトースα-アミラーゼとの酵素活性単位の比率が上記範囲内にあると、生地を焼成後のベーカリー食品は、さっくりと軽い食感を有し、食感の経時的な劣化が抑制される。
本発明のベーカリー生地は、4質量%以上の食物繊維を含む穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉とアミラーゼとを含む以外は、一般的に用いられる方法によって製造できる。例えば、パン生地であれば、直捏法(ストレート法)、中種法、オールインミックス法、老麺法、加糖中種法、液種法などの製法が適用できる。ケーキ生地であれば、シュガーバッター法、共立て法、別立て法、オールインミックス法などの製法が適用できる。調製された生地は冷凍生地として冷凍保存されてもよい。アミラーゼは、粉体である場合は、穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉に直接混ぜ合わせて使用してもよい。また、アミラーゼが液体である場合は、水に加えて使用してもよい。
本発明のベーカリー生地は、アミラーゼを穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉に直接混ぜ合わせて、上記のような一般的な方法で製造できる。しかし、アミラーゼを分散させた油脂組成物を製造し、当該油脂組成物を原材料の一つとして配合する方法も有効である。例えば、本発明において、100gの穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉へのα-アミラーゼの添加量は、酵素活性100~10000単位相当量である。しかし、この酵素活性相当量は、仮に酵素活性がg(グラム)あたり10000単位のα-アミラーゼ製剤を使用した場合、100gの穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉に対して10~1000mg(ミリグラム)と、非常に少ない。よって、酵素の計量や生地への均一な混合が困難である。そこで、アミラーゼを予め配合した可塑性油脂組成物を使用すると、アミラーゼが生地に均一に分散し易くなり、アミラーゼの添加効果を得やすくなる。
上記アミラーゼを含む可塑性油脂組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、一般的なマーガリンやショートニングの製造方法が適用できる。すなわち、油脂と乳化剤などの油溶成分を含有する油相を溶解する。当該油相を、冷却・結晶化させることにより可塑性油脂組成物(ショートニング)を得る。または、当該油相に、水と食塩などの水溶性成分を含有する水相を加えて攪拌し、乳化物を得る。当該乳化物を、冷却・結晶化させることにより可塑性油脂組成物(マーガリン)を得る。冷却・結晶化には、コンビネーター、オンレーター、及びボテーターなどの急冷混練装置が使用できる。アミラーゼは、油相または水相のどちらに分散されてもよい。
上記アミラーゼを含む可塑性油脂組成物は、ベーカリー生地を製造する際に、一般的なマーガリンやショートニングと同様の手順で生地に添加されてもよい。アミラーゼを含む可塑性油脂組成物の添加量は、100質量部の穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉に対して、好ましくは0.5~60質量部であり、より好ましくは0.5~40質量部であり、さらに好ましくは1~20質量部であり、ことさらに好ましくは1~10質量部である。
また、本発明のベーカリー生地に、食物繊維含有量が高く、粉砕微粒化された程度の低い加工度を有する天然素材(例えば、小麦全粒粉、小麦胚芽粉、ライ麦粉、大豆粉、とうもろこし粉、小麦ふすま粉、米ぬか粉、及びそれらの加工粉から選ばれる1種以上の粉)を使用する場合は、当該天然素材を予め吸水させてもよい。当該天然素材を予め吸水させることにより、生地を焼成後のベーカリー食品は、さっくりと軽い食感になりやすい。また、食感の経時的な劣化が抑制されやすい。天然素材を予め吸水させる方法は、特に限定されない。例えば、生地に配合する天然素材と水とを予め混合しておけばよい。または、中種法などの2段階で生地を調製する場合は、最初の調製物(中種)の中に天然素材を配合しておけばよい。
本発明のベーカリー食品は、本発明のベーカリー生地を加熱焼成することにより、得られる。ここでいう加熱焼成は、オーブン、直焼きで加熱焼成する他、電子レンジ調理、煮る、蒸す、揚げるなどの加熱調理の態様全般を指す。
本発明のベーカリー食品としては、例えば、パン類(食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッドなど)、イースト菓子(シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツなど)、ペストリー(デニッシュ、クロワッサン、パイなど)、ケーキ(バターケーキ、スポンジ、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフル、バウムクーヘンなど)、ビスケット、クッキー、和菓子(饅頭、乳菓、蒸しパン、かすてら饅頭、どら焼き、など)麺類(うどん、そば、中華めん、パスタなど)、点心(餃子、焼売、饅頭、ワンタン、春巻きなど)などが挙げられる。
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例になんら制限されない。
<可塑性油脂組成物の調製>
表1の配合のとおり、油相と水相を調合した。油相に水相を混合攪拌し、乳化物を得た。当該乳化物を急冷混練して油中水型の可塑性油脂組成物A及びBを得た。1g(グラム)の可塑性油脂組成物に含まれる酵素活性を、製造3日後に測定した。
なお、表中の油脂混合物は、40質量%のパーム油、35質量%の大豆油及び25質量
%の大豆硬化油の混合物である。また、酵素製剤A、Bは以下の酵素製剤である。
酵素製剤A:αアミラーゼ製剤(ノボザイムズジャパン(株)製、商品名:Fungamyl800L)
酵素製剤B:マルトース生成αアミラーゼ製剤(ノボザイムズジャパン(株)製、商品名:NovamylL)
Figure 0007017288000001
<小麦全粒粉含有パンの製造>
表2の配合にしたがって、中種法により、比較例1、2及び実施例1、2の食パンを得た。表中の対穀粉%は、穀粉(強力粉と全粒粉の合計)100質量部に対するその他の材料の割合(質量部)を示している。焼成1日後、2日後及び3日後に、5年以上の製菓製パン職人歴を有するパネル5名が、比較例1、2及び実施例1、2の食パンを試食した。パネル5名は、ディスカッションにより、以下の基準にしたがって食感を評価した。評価結果は表2に示される。
(食感評価)
◎:さっくりと軽い食感であり、非常に良好
〇:さっくりと軽い食感であり、良好
△:ふつう
▲:やや軟らかい、もしくは、やや硬い
×:かなり軟らかい、もしくは、かなり硬い
Figure 0007017288000002

*1;穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の食物繊維含有量(質量%)
*2;穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉100gに対する活性単位
<大豆粉含有パンの製造1>
表3の配合にしたがって、中種法により、比較例3、4及び実施例3の食パンを得た。また、ストレート法により実施例4、5のロールパンを得た。実施例5については、予め大豆粉と水とを混合して30分間静置した混合物を使用した。表中の対穀粉%は、穀粉(強力粉、脱臭全脂大豆粉及び小麦グルテンの合計)100質量部に対するその他の材料の割合(質量部)を示している。焼成1日後、2日後及び3日後に、5年以上の製菓製パン職人歴を有するパネル5名が、比較例3、4及び実施例3~5のロールパンを試食した。パネル5名は、ディスカッションにより、<小麦全粒粉含有パンの製造>と同様の基準にしたがって食感を評価した。評価結果は表3に示される。
Figure 0007017288000003

*1;穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の食物繊維含有量(質量%)
*2;穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉100gに対する活性単位
<大豆粉含有パンの製造2>
表4の配合にしたがって、中種法により、比較例5及び実施例6、7のちぎりパンを得た。表中の対穀粉%は、穀粉(強力粉、脱臭全脂大豆粉及び小麦グルテンの合計)100質量部に対するその他の材料の割合(質量部)を示している。焼成1日後、2日後及び3日後に、5年以上の製菓製パン職人歴を有するパネル5名が、比較例5及び実施例6、7のちぎりパンを試食した。パネル5名は、ディスカッションにより、<小麦全粒粉含有パンの製造>と同様の基準にしたがって食感を評価した。評価結果は表4に示される。
Figure 0007017288000004

*1;穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉の食物繊維含有量(質量%)
*2;穀物粉及び/又は穀物粉の代替粉100gに対する活性単位

Claims (2)

  1. 18~56質量%の大豆粉、44~82質量%の小麦粉、及び0~10質量%のグルテンを含み、食物繊維の含有量が4質量%以上である、穀物粉及び穀物粉の代替粉と、エンド型アミラーゼおよびエキソ型アミラーゼと、を含む、ベーカリー生地の製造方法であって、
    前記穀物粉は、大豆粉及び小麦粉であり、前記穀物粉の代替粉は、グルテンであり、
    前記大豆粉に水を吸収させる工程を有し、
    前記エンド型アミラーゼと前記エキソ型アミラーゼは、酵素活性単位の比が1:0.1~1:1であり、可塑性油脂組成物に分散された状態で添加される、
    前記ベーカリー生地の製造方法(ただし、ベーカリー生地は甘酒を含む態様を除く)
  2. 請求項に記載の製造方法で得られたベーカリー生地を加熱焼成する、ベーカリー食品の製造方法。
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